第12期研究費部会(第12回) 議事録

1.日時

令和7年1月23日(木曜日)16時00分~18時00分

2.場所

対面及びオンライン会議併用のハイブリッド形式にて開催

3.議題

  1. 前回までの議論について
  2. 令和7年度当初予算案について
  3. 審議まとめ案について
  4. その他

4.出席者

委員

白波瀬部会長、仲委員、大竹委員、塩見委員、新福委員、城山委員、中野委員、長谷川委員、華山委員、山本委員、岸本委員

文部科学省

塩見研究振興局長、松浦大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、田畑学術研究推進課長、松本学術研究推進課企画室長、梅﨑学術研究推進課企画室室長補佐、他関係官

オブザーバー

杉野日本学術振興会理事長、大野日本学術振興会学術システム研究センター所長、岸本日本学術振興会学術システム研究センター副所長、西田日本学術振興会学術システム研究センター副所長

5.議事録

【白波瀬部会長】
 時間となりましたので、ただいまより、第12期第12回の研究費部会を開催いたしたいと思います。今日はハイブリッドで、初めて対面でお目にかかった方もいて、本当は何回も対面でできればよかったなというふうに改めて感じました。今日もどうかよろしくお願いいたします。
 本日の議題についてですけれども、最初に前回までの議論につきまして報告いただきました後、令和7年度当初予算案、審議まとめ案の2点について、御議論をいただきたいというふうに思います。
 事務局より、御連絡事項及び配付資料の確認等、よろしくお願いいたします。
【梅﨑企画室長補佐】
 本日は対面とオンラインのハイブリッド形式で開催していますので、事務局から配付資料の確認とオンライン会議の注意事項について説明します。
 資料については、対面で御参加の方は、机上の紙媒体で御参照願います。個々の資料の読み上げはしませんが、資料の欠落等がある場合や、タブレット端末の操作方法について御不明な点がある場合については、事務局まで申しつけください。また、オンラインで御参加の方は、事前にお送りしましたファイルを御参照願います。
 また、オンライン参加の注意事項についてですが、音声安定のため、発言時を除き、常時ミュート、マイクをオフにしてください。また、部会長、委員、オブザーバーの方を含め、メイン席の方は常時ビデオをオンに、その他の方は常時ビデオをオフにしてください。発言される場合は、「挙手」ボタンを押してください。部会長が指名されますので、ミュートを解除、マイクをオンにして、その都度、お名前を発言いただくとともに、オンラインでも聞き取りやすいよう、はっきりと御発言ください。資料を参照される場合は、資料番号、ページ番号などを分かりやすくお示しいただくよう、お願いします。また、トラブル発生時については、電話にて事務局に御連絡願います。
 以上です。
 
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 それでは、議題に入りたいと思います。資料1に基づきまして、前回の研究費部会における主な議論について、事務局より報告をお願いいたします。
【松本企画室長】
 それでは、資料1に基づいて、前回、12月24日の研究費部会での御議論における主な意見について、おさらいさせていただきたいと思います。
 まず、前回、補正予算について報告をさせていただきました。これに関連し、国際性の評価基準について幾つか御意見をいただいています。国際性の評価基準については初めて導入したということもございますので、今後、日本学術振興会のほうでも検証されることと思いますが、それらも踏まえて、引き続き、改善を図っていければと思っています。
 3ページを御覧ください。研究設備・機器の共用の促進について、御議論いただきました。こちらについては、共用をサポートする人材の問題ですとか、科研費だけの問題ではなくて、文科省全体として各研究機関に要請するような性質の問題ではないのかという意見や、科研費で使用ルールの案もお示ししましたけれども、その書き方についての御意見ですとか、幅広い意見をいただいております。こちらについても、引き続き検討をしていければと思っています。
 4ページ目をお願いします。目指すべき採択率・充足率の水準についても、御議論いただいています。こちらにつきましては、30%の採択率や充足率のことについて、全体の方針については賛成という御意見。それから、評価の高い研究課題については充足率を100%に近づけることで応募額が持つ意味をもう少し高めるべきではないかという御意見。「若手研究」についての採択率・充足率に関する御意見。それから、次のページにまたがっていますけれども、大型の研究種目についての御意見などをいただいております。
 最後に、本日、この後議論をしていただく審議まとめの骨子案について、議論していただきました。13期において引き続き検討すべき事項のところが少し細か過ぎるという御意見もございましたので、今回は目次を修正して、この後、御審議いただければと考えています。
 説明は、以上になります。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。
 では、前回の研究費部会でいただきました御意見も踏まえまして、引き続き議論・検討を進めていきたいというふうに思います。委員の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いします。
 では、次の議題に移ります。資料2に基づきまして、令和7年度当初予算案について、事務局より説明をお願いいたします。
【田畑学術研究推進課長】
 学術研究推進課長の田畑と申します。私のほうから、科研費の令和7年度予算案の概要について、説明申し上げます。資料2、スライドの6でございます。
 令和7年度の予算額は、対前年度2億円増の2,379億円を計上しております。当初予算は近年横ばいで推移しておりましたが、数年ぶりに当初予算ベースでの増額が実現できたところでございます。また、令和6年度補正予算においては、「国際・若手支援強化枠」を創設し、「基盤研究(B)・(C)」の事業費として、52億円を確保しております。したがいまして、令和7年度の新規事業に充てられる実質的な予算規模は、対前年度54億円の増額になります。今回の大きなポイントとしましては、骨子に記載してあるとおり、科研費の審査に新たに国際性の評価を導入し、高い国際競争力を有する研究や若手研究者への支援を質的・量的に充実することで、我が国の研究力・国際性の抜本的な向上を図ることとしております。
 具体的な支援策は二つです。いずれも、第12期研究費部会における議論、また、昨年まとめいただきました中間まとめの内容に沿ったものとなっております。一つ目は、学術研究における国際性の強化策でございます。「基盤研究(A)・(B)・(C)」において、新たに国際性の評価を導入し、国際性の高い研究に対して研究費を重点配分する内容でございます。二つ目、若手研究者への支援強化策でございます。具体には、「基盤研究(B)・(C)」において「国際・若手支援強化枠」を創設し、国際性の高い研究に取り組む若手研究者を強力に後押しすることとしております。本事業に必要な予算につきましては、本年度、令和6年度の補正予算で、確保しております。
 説明は、以上でございます。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。増額ということで御努力していただきまして、ありがとうございます。
 ただいまの御説明につきまして、御質問等ありましたら、どうかよろしくお願いいたします。確認を含めて、いかがでしょうか。
 大竹委員、お願いします。
【大竹委員】
 東京科学大学の大竹です。御説明いただいて、ありがとうございました。合計54億円という数字は本当に頭が下がるところであるということをまず申し上げた上で、ちょうど昨日、国大協があって、こんな質問をしたんですね。将来どうやって伸びていくような将来構想を描くかということについて、教えてくださいと。それについては間もなく回答が出てくるということで、それは理解しているところではあります。その後調べてみたところ、令和3年ですか、この会議で、こうやって伸ばすという図は出ているんですね。1.09%で伸ばしていくという。多分、過去の経緯から1.09%という数字が出てきたんだと思いますが、令和7年には約2,623億円になるというふうな格好になっていて、そのときのデータを今そのまま使えるとは思わないんですけれども、そういう、前提条件はこうで、その結果としてこういう伸びになるということは期待されますし、その結果として学術界なり社会にこういう好影響があるんだという、それを見せられるといいなあというふうに思うんですね。簡単ではないんですけど、昨今、インパクト評価ということについては着目されているところでもありますので、こういうインパクトは社会的なインパクトがあるんだよということを科研費からも発信できるといいんじゃないかなあというふうに思います。
 以上、半分感想ですけれど、ありがとうございます。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 課長、何かありますか。
【田畑学術研究推進課長】
 ありがとうございます。
 将来像につきましては、「科学技術・イノベーション基本計画」においても、科研費につきましては、採択率を30%にするということで、これまで2期計上しております。数字的には、前々回の数字の詳細については、確認しておりませんが、将来像をつくるに当たって、今回の研究費部会でも議論いただいております具体的な取組というのが、私は重要かと考えております。結果的にその取組を実現することによって幾ら所要額が必要かということで、最初から倍増とかっていうのではなく、そこは、今回の研究費部会のまとめに基づいて、これから、次期「科学技術・イノベーション基本計画」の中にしっかり盛り込んでまいりたいというふうに考えております。
【大竹委員】
 ありがとうございます。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。大竹先生がおっしゃったように、令和3年度に出てきたデータがあって、その継続性はどうかという基本的な確認があります。現時点で次期への継続審議をお願いしたことはありますが、と同時に次期の議論を縛りたくないという気持ちもあります。その意味で言及するにあえてとどめるといったところもあります。ただ、デュアルサポートについてはずっと議論されていることでもありますので、この原則は外せません。このように長期にわたる議論を評価する意味でも、長期にわたるデータは重要になってくると思います。よろしくお願いします。
【田畑学術研究推進課長】
 承知しました。しっかり対応してまいりたいと思います。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。ありがとうございます。令和6年度補正予算に盛り込まれました「国際・若手支援強化枠」に引き続きまして、新たに導入された「研究課題の国際性」の評価基準に基づきまして、研究費の重点配分をバックアップするものと理解いたしました。もちろん、どういうふうな国際性かという中身については引き続き議論ということになりますけれども、委員の皆様におかれましては、これまでの御議論、かなり厚い御支援もあって今回の結果になったのだというふうにも思いますので、大変ありがとうございます。令和7年度予算案の国会審議はこれからですけれども、研究費部会といたしましては、科研費制度について、来期以降も必要な改善・充実を図っていけるように引き続き検討してまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の議論に移ります。資料3に基づきまして、審議まとめ案について、事務局より説明をお願いいたします。
【松本企画室長】
 それでは、資料3を御覧ください。審議まとめについて、御説明します。
 前回、骨子案のところでも説明をさせていただきましたけれども、まず、1ポツは我が国の学術研究をめぐる現状及び課題ということ。2ポツは本審議まとめの位置づけ。3ポツは、具体的に取り組むべき事項で、(1)から(4)までの事柄。それから、4ポツは、今後の検討課題として、前回、事項を少し細かく整理していましたけれども、大きく、研究種目の在り方と審査システム改革という二つの事項にしています。最後は「おわりに」という構成にしています。
 中身について、説明をさせていただきたいと思います。次のページ、我が国の学術研究をめぐる現状及び課題について。まず、(1)の現状のところは、中間まとめで記載していた部分とほとんど同じでございます。一部、論文のところの数値、中間まとめではNISTEPの「科学技術指標2023」を使っていましたが、本審議まとめでは「科学技術指標2024」を使っているので件数が少し違っていますけれども、中身は基本的に変わっていません。
 それから、(2)の課題のところです。こちらについても、中間まとめで記載していたものから変更していません。こちらは、「NISTEPに所属する研究者による試行的な分析において、基盤的経費等から定常的に措置される教員一人当たりの研究開発費が減少傾向にあることが示されている」という部分ですとか、次のページで、「基盤研究(C)」の充足率が低下している状況ですとか、「物価及び為替の変動等の外的要因も相まって、学術研究を取り巻く状況は厳しさを増しつつある」とさせていただいています。
 それから、2ポツは本審議まとめの位置付けです。こちらは、読み上げます。「科研費は、研究者の自由な発想に基づく学術研究を助成する競争的研究費であり、助成対象となった研究課題の振興だけでなく、学術研究の水準の向上を通じて、我が国の研究力の向上にも寄与することが期待されている。研究力の相対的・長期的な低下傾向に歯止めをかけ、再び世界のトップレベルに返り咲くためにも、科研費で実施すべきことを再整理し、研究種目体系の在り方や研究活動の国際性・若手研究者支援を強化するための方策についての検討を進め、科研費の質的・量的充実を図っていく必要がある」としています。こうした問題意識の下、今期の研究費部会では議論していただきまして、第8回では中間まとめをまとめていただきました。本審議まとめに向けた議論の方向性も示していただきましたので、「本審議まとめは、中間まとめで示された方向性に基づく第9回以降の議論を総括するとともに、第13期研究費部会において引き続き検討するべき事項を示すものである」とさせていただいています。
 加えて、先ほども「科学技術・イノベーション基本計画」の話が出ましたけれども、令和7年度末で計画期間を終え、第7期の基本計画が定められる見込みとなっている状況ですので、「第7期基本計画の策定に当たり、本審議まとめが示す施策の方向性が斟酌されることを期待したい」とさせていただいています。
 それから、3ポツ目、こちらが具体的に取り組むべき事項です。(1)は研究種目の整理・統合ということで、こちらでは、複雑化を続けてきた研究種目体系を簡素化して、応募者たる研究者、審査委員たる研究者の双方に裨益することになるので、研究種目を統合して整理しようということを書かせていただいております。その際、「各種研究種目の趣旨及び機能を勘案しつつその整理・統合に取り組むことにより、一課題当たりの充足率の向上や研究者の研究時間の確保等を目指す必要がある」とさせていただいています。「第12期においては、上記の問題意識も踏まえ、「国際共同研究加速基金」を「基盤研究種目群」等に段階的に統合する方向性を打ち出したところであり、その第一歩として、「基盤研究(B)」との間で実質的な差異がなくなった「海外連携研究」について、令和7年度助成から公募を停止し、「基盤研究種目群」へと統合を行うこととしました。今後、「海外連携研究」以外の「国際共同研究加速基金」の研究種目についても、独立の研究種目として存置する必要性が高い「帰国発展研究」を除いて、(2)で再度述べますけれども、「順次、統合に向けた検討を加速する必要がある」とさせていただいています。
 続けて(2)国際性と若手研究者支援の強化についてです。ちょっと長いですけれども、読み上げます。
 研究活動の国際化が年々加速を続ける中で、諸外国の国際共著論文数は増加傾向を示しているものの、我が国の伸び率は相対的に低いものとなっている。また、主要国の国際共著相手国に関する分析では、国際共著相手国としての日本の順位が低下傾向にあり、国際的な研究コミュニティにおける我が国のプレゼンスの低下が示されている。
 以上の現状を打破するためには、研究人材の国際的な流動性を高めることで国際共同研究を促進することが必要となるが、諸外国の研究者とのネットワークは必ずしも短期間で形成できるようなものではなく、長期間に渡る研究交流の中で戦略的に構築することが望ましい。このため、研究者がキャリアの初期から国際共同研究等に従事する機会を多く持てるようにすることで、国際的な研究コミュニティにおいて我が国の研究者が存在感を発揮できるようにする必要がある。
 若手研究者の国際共同研究への参画に資する枠組みとしては、独立行政法人日本学術振興会の海外特別研究員制度のほか、科研費において、比較的少額の研究種目に採択された45歳以下の研究者による国際共同研究を助成する「国際共同研究強化」、ポストドクター及び博士課程学生の参画を要件とする「国際先導研究」等が存在する。さらに、「基盤研究(A)~(C)」の令和7年度助成に係る公募から「研究課題の国際性」の評定要素を導入しており、令和6年度補正予算及び令和7年度当初予算においては、国際性の評価が高い研究課題に対する応募額を尊重した配分や、若手研究者による国際性の評価が高い研究課題を追加的に採択する「国際・若手支援強化枠」の創設に必要な経費が計上されているところである。
 今後とも、引き続き科研費における国際性及び若手研究者支援の強化に取り組む必要があり、その第一義的な手段と考えられ得るのが、「国際共同研究強化」を「基盤研究種目群」等に統合することによる、若手研究者の採択が多い比較的少額の研究種目における国際性の抜本的な向上である、その際には、コロナ禍後の国際研究交流の回復傾向を後押しするためにも、「基盤研究種目群」等への統合によって研究活動の国際性が後退する結果とはならないよう、「国際共同研究強化」の機能に応じた検討を行うこととする。
 具体的には、「基盤研究種目群」等への統合後においても、「国際共同研究強化」に特有の経費である「渡航費・滞在費」及び「代替要員確保のための経費」を措置できるような統合の方法についても検討する必要がある。また、(1)で述べたようなそもそもの研究種目の整理・統合の意義を踏まえ、統合に伴って審査負担が増大するような制度設計を採用するべきではなく、海外渡航を伴う国際共同研究の実施を希望する者が「基盤研究(B)・(C)」又は「若手研究」に応募した際に、当該研究課題の採否に加えて「渡航費・滞在費」及び「代替要員確保のための経費」の交付の可否についても一括して審査し得るような方法を検討する必要がある。
 また、海外の研究機関で一定のポストを得ている「優秀な日本人研究者の呼び戻し」のための研究種目である「帰国発展研究」について、新たに海外特別研究員の応募資格を認めるとともに、採択から交付申請までの間の猶予期間を延長することで、制度の実効性を高めるべきである。
 さらには、「国際共同研究加速基金」の「基盤研究種目群」等への統合に限らず、例えば、一定の要件の下で在外日本人研究者に科研費の応募資格を認めるとともに、振興会の海外研究連絡センターを拠点として在外日本人研究者のコミュニティを形成する等、既存の研究種目の整理・統合以外の動機を出発点とする施策についても検討するべきである。
 引き続き、(3)研究費の効用の最大化でございます。こちらは主に基金化の話でございます。「研究種目の基金化は、国際共同研究の障壁となる会計年度の制約の解消に資するだけではなく、大学等で行われる学術研究の実態に即した枠組みでもあるほか、振興会による検証では、基金化前後で当該研究種目の産出論文に係る論文指標の向上も確認をされている。第12期では、研究種目の中で最も予算総額が大きい「基盤研究(B)」の基金化を実現したところであり、研究費の柔軟な執行による研究の「質」の向上や、特に若手・子育て世代の研究者における研究とライフイベントの両立、事務手続の簡素化に伴う研究時間の創出等、様々な面から我が国の研究力の向上に貢献したものと考えられる。いまだ基金化されていない「基盤研究(A)」以上の大型の研究種目についても、これらの研究種目における国際共同研究の実施率の高さや、高価格帯の設備・機器の導入実績が多く、会計年度をまたぐ調達等の需要が想定される点等を踏まえ、基金化を目指していくべきである」としています。
 それから、次の段落では、「研究費の効用の最大化の観点からは、科研費で購入した研究設備・機器の共用を促進することにより、より多くの研究者が基礎的な研究基盤にアクセスできる環境を整備することが必要となる。科研費で購入される研究設備・機器は、特定の補助事業における利用を動機として購入されることもあって使用頻度が高く、特に低価格帯の研究設備・機器ほど共用化率が低いといった現状もあるが、限られた研究費の有効活用を図るためにも、補助事業の遂行に支障がない範囲内で共用を促進することが求められる。このため、令和7年度採択課題に適用される使用ルールにおいては、購入価格が一定額以上であること等の要件を満たす研究設備・機器について、補助事業の遂行に支障がない範囲内における研究機関内外への共用を努力義務化するとともに、今後、更なる取組も検討していくべきである」としています。
 続きまして、(4)採択率・充足率の水準です。こちらにつきましては、少し具体的な、少々細かい数字になっていますけれども、この部会における議論を踏まえて、それぞれ、採択率の水準と充足率の水準について、6ページに書いているような内容にしています。
 採択率の水準ですけれども、こちらについては、諸外国のファンディング・システムも紹介させていただきました。「採択率は上昇傾向にあるか、あるいは年度によって変動が大きい場合であっても、20%後半台~30%前半台を維持している。諸外国との国際比較の観点や、研究費の助成を通じて一定規模の研究者を持続的に育成する観点から、研究種目全体の新規採択率については、第6期基本計画期間に引き続き、30%を目標とする」としています。
 それから、充足率の水準ですが、こちらについては、「充足率は、個々の研究者が応募時点で有していた研究計画を実現するに当たって重要な意義を有する指標としても説明することが可能であり、科研費の論文生産性に関するロジスティック回帰分析の結果が示唆するように、注目度の高い研究成果の創出に当たって一定の効果を有していると考えられる」ということで、厳しい財政状況の下で研究計画の実現に必要な経費を効果的に配分するためには、一律に同様の充足率を適用するのではなく、先ほど来何度も出てきますけれども、「研究課題の国際性」の評定要素に基づく重点配分を今回初めて導入しましたが、「当該研究課題の評価に基づいた水準の充足率を適用することが望ましい」としています。「個別の研究課題の充足率の水準については上記のような考え方を前提としつつ、注目度の高い研究成果の創出を通じて我が国の研究力の強化を図る観点から、研究種目全体の充足率については当面概ね80%となるように留意しつつ、応募上限額の引上げを含む配分額の更なる充実方策についても、並行して検討するべきである」としています。
 続きまして、4ポツ目、こちらは、今後の検討課題ということで、次期の研究費部会でも検討していただきたいという事柄でございます。
 まず、研究種目の在り方の中の基盤研究の助成の在り方についてです。今期の研究費部会においては、「基盤研究種目群」について、種目構成、応募上限額、研究期間、重複応募・受給制限の四つの論点を設定して、ゼロベースでの議論をしていただきました。第13期においては、特に種目構成に関して、「基盤研究(B)・(C)」の統合といった抜本的な改革の実現可能性も含め、後で述べます審査システム改革に向けた議論とともに、振興会における検討も踏まえて、引き続き議論する必要があるとしています。
 それから、研究種目の在り方の二つ目、「学術変革研究種目群」の在り方の検証ということで、「学術変革種目群」には、「学術変革領域研究(A)・(B)」「挑戦的研究(開拓)・(萌芽)」という研究種目がございます。こちらについては、「振興会における「挑戦的研究(開拓)・(萌芽)」の審査の在り方に関する検討の過程で議論があったように、研究者の研究活動に内在する大胆な変革や探索をこれまで以上に生み出せるよう、種目群全体としての在り方を検証し、その結果も踏まえて議論していくことが必要である」としています。その際、「学術変革領域研究(A)・(B)」においては、前身となる「新学術領域研究」に関する課題を克服できているかなどのような観点から、「段階的に成果を検証することも必要である」とさせていただいています。それから、「「挑戦的研究(開拓)・(萌芽)」に関しては、同研究種目に固有の「挑戦性」の趣旨を明確化することなどを通じて、真に挑戦的な研究を見出していくことが必要である。研究分野ごとの「挑戦性」の考え方も踏まえつつ、例えば新興・融合領域の研究への挑戦を後押しできるような「挑戦性」の在り方も模索するなど、分野横断的に議論・検討を行う必要がある」としています。
 それから、三つ目、その他の研究種目の在り方の検証等ですけれども、こちらについては、大きく、「特別推進研究」と「研究成果公開促進費」について、記載をさせていただいています。
 「特別推進研究」については、「多くの研究者に挑戦の機会を与える趣旨により、平成30年度公募から受給回数を1回に制限している。しかしながら、平成30年度の見直し以降の物価高・為替安等の社会経済情勢下で大型の研究種目の重要性が再認識されるようになり、研究者コミュニティにおいても、受給回数制限の必要性に関して様々な意見がある。このため、平成30年度の見直しの際の議論の総括や、受給回数制限の導入による政策効果の検証等を通じ、受給回数制限の必要性についてあらためて議論を行う必要がある」とさせていただいております。
 また、「研究成果公開促進費」についてですが、この研究種目については、「研究成果の公開発表、重要な学術研究の成果の発信及びデータベースの作成・公開について助成することによって、我が国の学術の振興と普及に資するとともに、学術の国際交流に寄与することを目的としている。「研究成果公開促進費」に関する動向として、近年になってオープンサイエンスの潮流が加速するなど、研究成果の公開を取り巻く状況はめまぐるしく変化を続けている。科研費の他の研究種目で助成した研究の成果がより積極的に国内外に発信されることで、国際的な研究コミュニティにおける我が国のプレゼンスを示すためにも、「研究成果公開促進費」の在り方についても、検討を開始する必要がある」とさせていただいています。
 それから、(2)審査システム改革についてです。「科研費の審査区分表や審査方式等については、おおよそ10年に一度の頻度で見直しを行っているところであり、令和10年度に実施される審査システム改革に向けて、研究種目や審査区分間の配分方式を含め、より適切な審査システムの構築に向けた検討を加速する必要がある。第12期においては、令和5年11月の科学研究費補助金審査部会において「科研費審査区分表及び審査方式等の見直しに当たっての基本的考え方」を決定し、研究に対する評価等を加味して行う研究費の配分等の具体的方策について、振興会に検討を依頼したところある。第13期では、令和8年8月頃に予定される新たな審査システムの決定に向けて、振興会との意見交換を重ねつつ、検討の具体化を進めるべきである」としています。
 最後に、「おわりに」ですけれども、「我が国の学術研究を取り巻く状況が重大な局面を迎える中で、最も基礎的・基盤的な競争的研究費である科研費に対して、我が国の研究力の抜本的な強化の観点から、アカデミア及び産業界の双方から期待の目が向けられるようになっている。政府において第7期基本計画の策定に向けた検討が本格的に開始されているところ、こうした科研費に対する期待の大きさに鑑みれば、本審議まとめが示す施策の方向性に留まらず、より積極的な制度の改善・充実の方策について継続的に検討することが求められる。上記の政策的背景の下、第13期においては、研究現場の実情に常に目を向けつつ、大局的な見地から積極的な議論が交わされることを期待して、第12期研究費部会の議論を締め括りたい」とさせていただいています。
 長くなりましたけれども、資料の説明は以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、ここまでの説明につきまして、先生方から、御意見、御質問、御忌憚のないところで、どうかよろしくお願いいたします。御自由に御発言ください。
 お願いします。
【山本委員】
 山本です。全体としてのトーンというのは、こんなものかなというふうに思っています。私としては、読んでいてちょっと引っかかるところが幾つかあります。3か所か、4か所ぐらいあるんですけど、それちょっと申し上げたいと思う。
 一つは2ページの、これは前回の中間まとめのときも出ていてたんですけど、「世界のトップレベルに返り咲くためにも」という、この表現というのはとっても負け犬だと思うんですね。「世界に伍していくためにも」ですよね。これはちょっと、こういう格調高い文章ときには適当でないかもしれません。
 それから、3ポツの研究種目の整理・統合ということの理由が、どちらかというと審査負担の軽減のためにあるんだというトーンになっています。もともとこの原因というのは、それぞれの概算要求のときに、いろいろな新たな政策を打ち出すために複雑化してきているところがあります。ある一定の期間がたった後、それを統合していく。これは当然のことで、そういうところは問題ないのですが、「基盤研究(B)・(C)」の統合とか、そういうところまで考えたときには、一丁目一番地で考えなきゃいけないのは、個人の自由な発想で行う研究を充実させていくにはどういうシステムが必要かと。こういう文書では、できれば最初にそれを出していただいて。実際、3ページの3行目からそれが書いてあるんですよ。「研究者が自由な発想に」云々と書いてある。そこから始めていただいて、その結果として審査負担も軽減されることが期待されるというふうにするのであればいいかなと思います。読んでいて、手段のために制度を変えているような、そんな気がするので、ちょっと気になりました。
 3番目は充足率なんですけども、できるだけ応募者の要求を尊重する観点からというのをどこかに入れておいていただければというふうに思います。じゃないと、研究者側としては、温かさを感じないというか、政策上、評価によって変わるんだというようなことになりますので、例えば、7ページの6行目ぐらいの最後の辺りをちょっと。
 それで、これが最後ですが、どこにも量のことが書いてないんです。この期、ここで相当議論してきたと思うんですね。デュアルサポートも含めて、量が足りないと。どこかにちょっとでもいいから入れておいていただけないか。例えば、6ページの採択率・充足率の水準のところで、根本的な解決にはそういう量の学術は必要であると。そのぐらいなら、別に毒にはならないと思うんですね。ここが言わないとどこが言うのという委員会だと思うので、いろんな努力はするけれども、根本的には量の充実が必要だというところを委員会としては打ち出したいかなと。
 長くなりまして、すみませんでした。よろしくお願いします。これらの採否はお任せします。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 本当に、先生方から、本音のところも含めまして、御自由にいただきたい。よろしくお願いします。
 仲先生、お願いします。
【仲委員】
 ありがとうございます。大変多くの議論をこのようにまとめてくださって、感謝申し上げます。幾つか、ちょっと思ったことがあったので、申します。
 先ほど山本委員が言われた「返り咲く」は、私も、ちょっと哀愁が籠もっているなと思いました。山本委員が言われたように、高度化を目指すとか、強化するというのがいいかなと思いました。
 それ以外に申しますと、1ページ目の研究力を活性化するというところに、Top10%の論文数とかTop1%の論文数の、2020年から2022年の数値というのは出ているんですけれども、10年前の2010年から2012年のほうは書かれてないので、これはファクトだと思うので、入れておかれるといいかなと思います。具体的に数字があったほうが、どれぐらい下がっているのかというのは見えやすいと思いますので。2020年~2022年のほうは3,719とか311と書いてあるんですけど、2010年から2012年のところは書かれていないので、あるといいかなと思ったのが1個目です。
 それから、今度は4ページ目に行きまして、国際性・若手研究者の支援のところでJSPSの海外研究連絡センターのことが書かれていると思います。そういうものを使って、よりアルムナイを活性化していくという議論があったと思います。海外研究連絡センターのことは、それほどみんなが知っているということではないと思います。振興会の海外研究連絡センターって、10か所(9か国・10か所)ぐらいにありますよね。例えば、南米、欧米とか、アフリカ等にある10か所の海外研究連絡センターを拠点としてとか、広く点在するセンターを利用して、と入ると、より具体性が増すかなと思いました。海外研究連絡センターについて、何か所というのも書かれてあるといいなと思いました。
 あと、もう一つだけです。5ページ目の(3)の研究費の効用の最大化のところに、共用を促進するというところがあったと思います。ここも議論されていたところだと思いますけれども、共用を促進することに加えて、共用を促進するシステムが強化されるとか、仕組みを強化するとか、構築するとかというのが入ると、さあ共用しなさいねと言って、あとはそれぞれ個人の努力で頑張るというよりは、そのシステムを、大学としてとか機関としてつくっていくということにつながりやすいかなと思いました。
 以上です。どうもありがとうございました。
白波瀬部会長
 ありがとうございます。
 では、次、城山先生、お願いいたします。
【城山委員】
 どうもありがとうございました。
 一つは、若干テクニカルかもしれないのですが、充足率のところの書き方なんですけども、基本的には充足率を上げるべきだという議論はずっとしてきたところだと思うんですが、ここでの書き方は、一つはおおむね80%という話と、それから、国際化について、評価に基づいてめり張りをつけるという話をしてきて、今後は充足率についてもそういうことがあり得るという話と、2本立てになっていると思うんですけども、この2本の関係をどういうふうに整理するのかというか、逆に今の段階ではあえて整理しなかったということかもしれないんですが、それをちょっと確認したいということです。つまり、例えば、まずはベースラインとして充足率80%ぐらいまで上げて、さらにそのプラスアルファの部分というのは、個々のプロポーザルのメリットに基づいて、評価に基づいて配分すべきだみたいなことなのか、例えば、一律80%に上げなくても、平均おおむね80%になれば、めり張りという形でやるということも一つのオプションとしてあるのか、そこの選択肢の話が潜在的にはあるんだと思いますが、今の段階でそんなに議論しないで踏み込まないということはありだと思うんですけども、そこについてどうお考えかというのを伺いたいというのが一つです。
 それから、もう一つは、大竹先生と山本先生がおっしゃられた、量の見通しみたいなことを書くとするとどこなのかなあというのは、ちょっと弱いかもしれませんが、最後の5ポツのところかなあという気はします。9ページでしたでしたかね。つまり、基礎的・基盤的研究費として、アカデミアからも産業界からも期待されていると。したがって、今回、施策の方向性という、比較的積み上げ的にやってきたことだけではなく、より積極的な改善方策が必要だというところに量的な見通しみたいなものを入れるということもあるのかなあという気がします。これは単に思いつきなので、お考えいただければと思います。
 それから、さらに広げると、どうやるかはすごく難しいんですが、これは山本先生が何回か問題提起された点なんですけど、一応、ここは研究費部会なので、科研費部会では必ずしもないということを考えると、研究費の中でいわゆるミッション志向的なものと基盤的なものとの適切な比率がどうかみたいなことを議論するということは、潜在的にはあり得るんだと思うんですね。これはむしろ、今回というか、長期的な話だと思うんですけれども、ただ、これをあまり正面から議論しちゃうと取り合いの話になっちゃって、なかなか適さないというところもあるので、ここは研究費部会とは言いつつ、ベースは科研費なので、基盤的なところがやっぱり重要で、その重要性というのはこういうインパクトからも見れるので、だから拡大していくことが必要ですよということを端的に書いておくということかなあという気もします。だから、そういう意味では、5ポツのところに書くにも、書き方は若干悩ましいなあと思うので、すみません、答えになってなくて、感想的なことですけども、以上2点です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 まず、事務局から、具体的な質問が出たので、充足率についてお応えただけますか。
【松本企画室長】
 最初の質問については、城山委員がおっしゃったとおり、そこはあまり踏み込んで議論していただいてないので、今の段階では明確に触れていません。ただ、現状の充足率が一律なので、そこは見直したほうが良いのではないかということと、「当面概ね80%」については、少しパラレルというか、そこの関係性については具体的に議論していないので、今、この審議まとめでは触れてないということです。今後、議論は必要だと思います。
【白波瀬部会長】
 ここは書き方の問題で、もう少しうまい具合に書けるのではないかと思うんです。ここは、平均値としての、80%の目安という形の表現だと思うんですけど。
【松本企画室長】
 先ほど山本委員にも御意見をいただきましたが、ここを書くのに我々も少し悩みました。科研費は、最後のほうに書きましたけれども、アカデミアと産業界から期待は大きい面もありつつ、研究費部会の議論では現実的な議論をしていただいたのもあって、少し現実的過ぎるといいますか、そういった書き方になっているのかなとも思いますので、山本委員の御意見とか、城山委員の御意見を踏まえて、少しここは工夫したいと思います。
【白波瀬部会長】
 あと、ちょっと前後してごめんなさい。仲先生からも大きく3点ほど指摘はありました。現時点でお答えできるところで、対応をお願いできますでしょうか。
【松本企画室長】
 数値のところは、それぞれ反映していきたいと思います。
【白波瀬部会長】
 それ以外は大丈夫ですかね。テクニカルなところも若干ありましたけれど、御指摘は共用のところの仕組みの話とか。
【松本企画室長】
 はい。
【白波瀬部会長】
 分かりました。
 では、次、塩見先生。
【塩見委員】
 最後のところですけど、今、期待という言葉を使われましたが、期待じゃないと思いますよ。切実な要望だと思います。しかも、喫緊の。フットノートにこういうことを書いてありますけど、山本委員とかが言われたように、これはこのテキストに入れるべきことなんじゃないかなと。もちろん、今回、2億円増えたというのはすばらしいと思うんですけど、前のほうにも書いてあるように、物価の高騰とか、いろんなことを考えると、実質はすごく減っているわけだから、それを踏まえたら、倍ぐらいにしないことには昔の勢いは取り戻せないというふうになるし、経団連からのも、期待じゃないと思うんですよ。彼らも、もう待っていられないと。これだけ落ち込んでいるのに何しているんだと、そういう要望だと思います。これ、「提言」って書いてありますけど、まさに、早く何とかしろよと、そういう提言なんだと思います。もちろん、研究者は研究者で、早くしてもらいたいというのもあるし。だから、そこをどういうふうに持っていけばいいか。単にお金をくれと言ったって、くれないだろうから、例えば、何が今まで悪かったのかとか、一応、ある種の反省みたいのが必要だと思うんです。制度の反省と、研究費をつけても成果を出せない研究者というのは必ずいるので、そういう人たちはどういうタイプなのかとか、あると思うんですよ。そういう、ある種の振り返りというか、反省みたいのがあって、だから、こういうところを変えていくともっとよくなるし、そのためにはお金が必要ですよというふうな、そんな、ある種のロジックが必要かなと思います。
 それと、関連ですけど、例えば、「特別推進研究」を見直そうというのもありますけど、例えば、私たちの生物系なんかは、去年は2件しか採択されてなくて、2件で、1回こっきりじゃなくて、複数回取ってもいいよというふうになると、当然、強い人たちが二つとも取ってしまうということになって、新しい人たちは取れないという、昔のことがまた起こる。だから、二つというんじゃなくて、ここを四つ五つに増やさないと、新しい人が取れないし、逆に、そういういい成果を出し続けている人たちは、50歳前後で特推を取ってしまうと、55歳から残りの10年間はどうするんだということになる。僕は、特推は2回でも3回でも取ってもいいと思うんですけど、ほかの人が入り込む余地をちゃんとつくっておかないと、せっかくのシステムがうまく機能しないんじゃないか。結局、大先生が取り続けるみたいな、そういう昔に戻ってしまうということになってしまう。
【白波瀬部会長】
 なるほど。でも、先生、あの事例は1件ですからね。1件しか取らないという状況でのことです。御指摘は重要です。
【塩見委員】
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 承っておいて、またということで、もし事務局からも追加的なというのがあれば、適宜言ってください。
 ごめんなさい。華山先生、手が挙がっていたのに、見方が分からなくて、すみません。どうぞ。
【華山委員】
 今、塩見先生が言われたとおり、増やすというのはもちろん一丁目一番地で非常に重要ですが、それをどのようにやっていくのかという議論が我々の中にまだ欠けていると私も思っております。昨年、学会連合が科研費倍増の署名運動を行ったとニュースになりましたが、具体的に何をすれば、どういうアクションをすれば良いのか、科学者から提言していかなければならない。文科省の皆様にお任せするというのは、科学者としてもちょっと無責任ではと私も感じているところでございます。
 あと、この文章において気になった点がございまして、4ページ目の下のところ、「さらには」のところからの段落ですが、「一定の要件の下で在外日本人研究者に科研費の応募資格を認める」というところですが、これはかなり大きな改革といいますか、我々のほうでも議論が煮詰まっていないことを書くのはどうかと感じました。といいますのも、その上に「優秀な日本人研究者の呼び戻し」のための「帰国発展研究」というのが並列でありますので、アメリカのトップ大学にいる日本人に科研費が取られるとも読めます。ですので、ここはまだ議論がなされていないので削除したほうが良いのではと個人的に思いました。
 あともう一つは、7ページ目のマル2の「学術変革領域研究種目群」の在り方の検証です。これはぜひ進めていただきたいと思っているのですが、2段落目のところの「その際、「学術変革領域研究(A)・(B)」においては、前身となる「新学術領域研究」に関する課題を克服できているか」の下に「マル1、種目名等が過度に新規性を意識させている」との注釈がございます。我々も学術調査官をやっていたときに、きらきらネームと呼んでいたのですが、子供に変な名前をつけるような新たな名称を皆さんが考えて出されます。その次のページに「段階的に成果を検証することも必要である」と書かれておりますが、「新学術領域研究」にしろ、「学術変革領域研究」にしろ、偉い先生方が最後に評価する過程で、業績が出ている、いい論文を出している領域が高い評価になっております。しかし、本当に新しい領域が生み出されたのか、学術変革が起こったのかという観点ではあまり議論されてはいないと感じました。国際的な観点、海外から見て、日本から新たな分野ができたのか?例えば、WPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)は必ず海外の委員を入れており、海外から見て、この融合研究は本当にクリエーティブなものか、新たな分野を創出しているのかといったことが非常に高く求められております。このように国際的な観点から新しい研究領域が日本からできているのかを検証するといったことを追記いただければと思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。何が新しいのかという点については、日進月歩で変わりますので、しっかりキャッチアップしないといけません。評価するほうが遅れていたら、評価自体を間違ってしまうことになります。種目によっては海外の評価委員にも評価していただいた結果というのもあるかと思いますけども、確かに、変革ということになると、検討が必要ですね。
 よろしいでしょうかね。ありがとうございます。
 大竹先生、どうですか。
【大竹委員】
 ありがとうございます。申し上げたいことは、皆さん、委員の方々がおっしゃっていたとおり、増額というのはあっていいなあというふうに思う中で、華山先生がおっしゃるように、Whyというか、なぜというところが、先ほどもちょっと申し上げましたけど、必要なのかもしれませんね。つまり、なぜ科研費が必要で、なぜ増額する必要があるのか、それがどう社会につながるのかというところが、このペーパーで言うなら一番最初に、論文で言えば緒言のところだと思うんですけど、確かに書いてあるんですよ、「内在的な動機に基づく」って。そのとおりなんですよね。ここはもうちょっと突っ込んで書いてもいいのかもしれませんね。科研費がこれまで役割として果たしてきたこと。知の地平を開いてきたという役割。今、複雑な時代になったときに、いかに基礎研究を未来のためにやっていくのが大切なのかということについては、我々が述べるべきことなのかなあと、今日、先生方のお話を伺って、改めて思ったところでもあるんですね。そういった書き出しを少し強めていくということは、増額ということを申し上げるのに対して必要なのかもしれませんね。そう思いました。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 どうですか、岸本先生は。
【岸本委員】
 最初のほうの話に戻ってしまうのかもしれませんが、5ページの共用促進の一番最後のところがどうしても気になるので、念のための確認させてください。共用を努力義務化するということですが、これは科研費を取得された先生の努力義務になるということですよね。
【松本企画室長】
 はい。
【岸本委員】
 そうすると、私たちも会社で装置を導入するときに、購入だけじゃなくて、その後の運転経費だとか、修理だとか、いろいろと考える必要があります。それに加え、個人の先生に共用に向けた努力義務を課すというのは難しいのかなと思うところもあります。前に議論があったように、たまに使ってよ、みたいな感じで気軽に使っていただくということも大切なんですが、取得された先生が所属される機関からのサポートも何らか考えていただけると、取得された先生の心理的安全性としては非常にいいのかなと思ったんですけど、その点、いかがでしょうか。私も、ちょっと感覚が分からないところがあって恐縮なんですけども。あるいは、今後のさらなる取組の検討のところで議論されてもいいのではないかとは思うんですけども。
【白波瀬部会長】
 この辺り。
【松本企画室長】
 そうですね。ここは前回の議論のところでも結構いろいろ御意見いただいていて、まとめてみると今後検討していくんだという部分になってしまうのですが、これまで科研費も、推奨という形でお願いしていたんですが、意識をもう少し前進させたいというので「努力義務化」ということにして、使用ルールのほうに書きたいということなんです。その際、いろいろ条件があって、何でもかんでも共用しなさいというわけでもなく、例えば、汎用性を有しているとか、サポートできる人が存在するとか、そういう条件が整ったら共用してくださいというような、まずはそこからかなと思っています。
【岸本委員】
 分かりました。
【松本企画室長】
 先ほど仲先生もおっしゃったような、システムを構築するとか、そういう事も大事なので、当然、文章には書いてもいいんですけど、検討していく課題は結構大きいと思いますし、多分、科研費だけでは解決しない問題でもあると思っています。
【岸本委員】
 分かりました。段階的に含まれていくということでいいと思います。先生方へのバックアップがあったほうがいいなと思うので、それも今後の検討事項として進んでいくことを期待しています。よろしくお願いします。
【白波瀬部会長】
 よろしくお願いいたします。
 この辺りは追加というか、どこまで具体的にここの段階で。でも、ちょっと言及しておかないと、ただ共用してくださいねって言われても、現場としては結局、負担だけ残ってしまったというのは本末転倒です。ご指摘をありがとうございます。
 何度でもご発言いただいて結構ですが、まだお声を聞いていない先生で、いかがでしょうか。本日御参加いただいている、長谷川先生とか、新福先生とか、中野先生。
 お願いいたします。
【長谷川委員】
 ありがとうございます。膨大な資料と、いろいろな御意見をまとめてくださいまして、ありがとうございます。
 私どもの場合にも、いろいろな観点から、実験系の立場から、ついついいろいろと見てしまうんですけど、やはり、採択率と充足率と、それから、近年の円安等、実験や試料に関わる文献等の拡大に関わるバランスというのは大変難しいことかと思うんですが、根本的にこれですごくまとまっていると思うんですけど、採択率をキープして、充足率もキープして、全体に基盤の研究が、日本独自の世界に誇れるシステムを維持するためにもう少し認識してもらえるようなチャンスを研究者としても意識するようなきっかけ、何か発信するきっかけを意識するようなことがあると、こういったものも自然と増えていくのではないかと思うんですけど、具体的な中に入れていくという意味では、今の段階では、この部分の文章に関してはすごくまとめていただいたなあと思って、感謝しております。よろしくお願いします。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
【長谷川委員】
 ありがとうございます。
【白波瀬部会長】
 新福先生、お願いいたします。
【新福委員】
 ありがとうございます。私は休業もあって議論に参加できてなかった部分もあるんですが、改めて、あえてフレッシュな目で見ると、これを読んだときに、若手の評定要素というのは比較的分かりやすいんですけれども、国際性の評定要素というのは一体どういった基準なのかというのが、研究者として評価される側としては気になるというのがあります。こちらは、文科省の方にお聞きしたときに、分野によって異なるので、設定される内容としても異なっていくというようなお話を聞いていて、また、これも今年からの運用なので、順を追って、それが妥当なのかの評価の検討も入っていくというような話だったと思いますけれども、その辺りのことも入っていると、読んでいる側としては一定の納得がいくのではないかというのは、読んでいて思いました。
 また、「研究成果公開促進費」の議論について実はあまり存じ上げていなかったのですが、確かにここのところというのは、今もそうですけれども、今後さらに重要性を増していくんだと思います。インターネット、SNS等で様々な発信方法というのが変わっていく中でいろんな取組がされていると思いますので、そういった新たな取組と研究成果の発信に関して、使いやすいような研究費の設定というのがされていく良いと、非常に思いました。これは感想です。
 以上になります。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 あとは中野先生かな? 何か御意見ありますか。
【事務局】
 中野先生は17時10分頃から御参加予定となっているので、まだ御参加されてないかもしれません。
【白波瀬部会長】
 分かりました。ありがとうございます。
 まだ、予定した時間までありますので、不要に時間を長引かせるつもりは全くないんですが、御忌憚のないご意見をよろしくお願いします。
【大竹委員】
 じゃ、つなぎで。
【白波瀬部会長】
 つなぎじゃなくて、どうかしっかりご発言ください。
【大竹委員】
 申し上げたいことがあって。
 大竹でございます。改めて資料の作成に御礼を申し上げる中で、注釈の部分ってすごく充実しているなという印象を持っていて、特に言及したいなと思ったのは、6ページの17、前回の研究費部会で御披露いただいた分析のところで、充足率が、一定の影響、一定の効果を有しているというのは、大きい、こう言えるというのは一歩前進なのかなというふうに、僕自身は思ったんですね。これぐらいの書き方で十分なのかもしれませんし、あんまり細かく書くといろいろ指摘があるということもあるのかもしれませんけど、何らかのときに、何か質問があったとき、あるいは、これはどういう背景があるんですかとかいったときに、しっかり説明できるといいかなと。あるいは、資料を用意しておくといいのかなと。いい意味で申し上げています。これは非常にすばらしい分析結果だと思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ここはいろいろ、実は御意見もあったんですけど、7ページところの「Top10%論文の産出に当たっては」云々というところなんですが、「Top10%論文の産出と充足率は一定の関係がある」というか、そのような書き方のほうが、「効果」云々ということになると因果関係を想定させることになります。ここでは、関係性の存在が否定されなかったという、ことだと思います。貴重な分析結果でもありますし、関係は決して無視できないよということを強調していただく書き方のほうがいいかもしれないと、思いました。今、大竹先生の言及に乗っかってしまいましたが、お願いします。
 それで、我慢していたんですけど、量的拡大については、最初と最後でしっかり明記していただくのがよろしいと思います。今後、いろんな意味で科学の意味づけが議論されています。国連でも、科学は中心的なテーマとして位置付けられています。世界平和についても、エネルギーや環境問題に至っても、科学は、ある意味、ど真ん中の柱です。広い意味の科学であるので、いろんな分野が入ってくるという点で非常に重要だと思いますし、ここは研究費の「拡大」をしっかり明記していただくのがよろしいと思います。今、ゼロサムのところで充足率と採択率の話になっている傾向がありますけれど、これは先生方から御指摘はあったんですが、研究費としての拡大は、これからの日本の未来もかかっているし、なおかつ、次世代育成というのは非常に重要です。まさしく未来への投資ということになるので、ここは文章を最初と最後に付け加えていただくというのが良いと感じました。その際、21の脚注のところで経団連の話もあるんですが、産業界が言っているからというのだけでは反感を買うこともあるかもしれないし、文科省としてどうかということはあると思います。また、華山先生からも言及があったんですが、学協会というか、現場の意見として、いろいろ意見表示も含め、科研費の拡大要望が現場からも強いことは、しっかり明記していただくのが良いと思います。学術研究を担っている人たちからも強い要望が出ているというのは、メッセージとして強くなります。
 あとは、「世界に伍する」という点について、元に戻るんじゃなくて、引っ張っていくという流れで、この点も強調していただいてもよろしいと思います。
 あとはいかがでしょうか。
 中野先生、どうぞ。
【中野委員】
 遅れて参加してしまい、申し訳ありません。これまでの議論には追いつけておりませんが、事前に資料を拝見し、少し意見がございますので、述べさせていただきます。
【白波瀬部会長】
 お願いします。
【中野委員】
 この資料ですが、おそらく7ページだと思うのですが、充足率の部分です。80%とかいう数字が入っているのは、7ページではなかったでしょうか?
【山本委員】
 7ページです。
【中野委員】
 そこですね。画面にありますように、原案では「当面概ね80%となるように留意しつつ」という文言が入っておりますが、これは少し問題があると思っております。まず、第一に、昨今の物価高騰などの影響で、研究現場では80%の充足率では既に研究の遂行が極めて困難な状況にあるということ。次に、先ほども少し御発言あったと思いますが、学会連合や経団連からの提言に示された期待に比べると、現在の表現はやや控え目過ぎると感じます。研究費部会としては、より積極的な増額目標を掲げるべきではないかと考えています。最後に、充足率が80%で打ち止めという誤った印象を与えかねないと思います。むしろ、応募額を尊重した配分となるよう留意する、といったより前向きな表現への修正を御検討いただきたいと思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 分かりました。80%じゃなくて、あくまで100%なので、一つの段階としてでも、おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございます。
 何かありますでしょうか。
 あと、国際性に関して、国際性の評定ということになるから問題があるんですけど、ここでのポイントは申請内容が国際的にどう位置づけられているのかということをしっかり述べてください、ということだと思います。その位置づけが説得的かどうかというのが評価される。国際性があるかどうかというか、そういうことでもありますが、言いぶりの問題です。それは『万葉集』研究でも、ドイツ文学でも、たとえば同様のことが言えます。ドイツ文学を日本でやることは全体的な中でどうかぐらいのことまで考えて申請してくださいという意味合いだと思うんですね。国際性って、共同研究者が外にいるかどうかとか、そういうことを必ずしも言っているわけではないので、短絡的な一枚岩にならない評定が求められると感じました。
 華山先生、お願いします。
【華山委員】
 前回も指摘したのですが、国際性の項目が、4点満点で決めるだけなのですね。それしか評価項目がなく、これで追加的に採択されるのはいかがなものかと思います。これはJSPSに伺うべきですけれども、3ぺージの一番下のところで「若手研究者による国際性の評価が高い研究課題を追加的に採択する」ということになっておりますよね。4、3、2、1という点数があった場合に、評価が高いのは全部既に採択されていると思うのです。追加的に採択されるのは、大体、1とか2とか、そういう人たちが後から採択されるのは制度的におかしいのではないかなと個人的に思います。これは実際にどういう形で運用されているのか、JSPSに聞かなければ分からないですが、4の人の充足率を上げるのだったら分かるのですが、追加的に補欠の人を採用する際に、1よりも2の人を採用しようみたいな形になりかねないのではないかなという懸念はございます。
【白波瀬部会長】
 中野先生、お願いします。
【中野委員】
 私はJSPS内の学術システム研究センターの立場もございますので、その視点からお話しします。
 2段階審査などにおいて、国際性についての評価は、既に始まっております。皆さんが懸念されている点についてですが、陪席させていただいる限り、各分野の特性に応じた国際性がしっかり評価されており、結果として、総合的な評価とも非常に強い相関があることが確認されています。当然ながら、研究内容が良くないのに国際性だけが評価されるということは稀であり、両者の間には強い相関があるというのが、私の第一印象でございます。
 次に、充足率についてですが、これは充足率を上げるという方向で活用されると聞いておりますので、その方向で運用されるものと考えています。現場を見ている限り、大きな混乱はなく、むしろよい改革・よい制度だったと感じています。
 以上です。
【華山委員】
 「追加的に採択する」という表現が間違っているのではないかという気もするのです。中野先生のお話でしたら、優秀な課題は充足率を上げるという書き方にしたほうが良いということではないのでしょうか。
【中野委員】
 ちょっと違う。
【華山委員】
 ちょっと違います?
【中野委員】
 はい。
【白波瀬部会長】
 その辺りはどうですか、事務局さん。
【梅﨑企画室長補佐】
 「国際・若手支援強化枠」は採択数を増やすという取組でして、もう一つの重点支援というのはもう一方の枠組みになっていますので、「若手・国際支援強化枠」に関しては、この表現でよろしいかと思います。あくまでも、国際性の評価の部分だけで追加採択するものではなく、総合評点が高いものをベースに考えているところですので、国際性の評価だけで採択する審査の仕組みにはなっていないはずです。
【白波瀬部会長】
 あと、その下の段落にあっても、「具体的には、「基盤研究種目群」等への統合においても」って、「渡航費・滞在費」というのが具体的に出でいますが、これも誤解がないように表記してもらうことが必要ですね。もちろん、国際的に共同研究したら、海外への渡航や滞在する必要は出てきます。ただ、そこだけ強調されると、国際性の意味が誤解されるのではないかと、危惧しました。
【梅﨑企画室長補佐】
 少し補足させていただきますと、今の「国際共同研究強化」の枠組みとしましては、「基盤研究」などに採択された比較的若い研究者の方たちが海外に長期渡航し研究を発展させたいときに応募して、この「国際共同研究強化」という予算を受けてさらに発展させるという2段階の審査を行う仕組みになっていまして、ここで言っていることと、今、行われていることは変わらないところです。さらに追加する予算は、研究費に加え、「渡航費・滞在費」と、長期で海外に渡航されるので、その分の代替要員を確保するための経費も措置が可能となっています。今、基盤研究等の審査と国際共同研究強化の二つが別個に審査が行われていますが、1回の審査で済むなど、そういった取組がやれないかというのが、ここの文章の趣旨です。
【白波瀬部会長】
 分かりました。
【梅﨑企画室長補佐】
 また、華山先生からいただいた御意見と、岸本先生からいただいた御意見、ちょっと遡ってしまいますが、補足させていただければと思いまして、4ページの「国際共同研究加速基金」の「一定の要件の下で在外日本人研究者に」というところですが、ここは少し書き方がよろしくなかったのかもしれませんが、イメージしているのは、例えば、クロスアポイントメントで日本にも所属がある場合とか、そのようなイメージで書いておりますので、表現は工夫させていただければと思います。
 あともう1点、岸本先生からご意見をいただいた設備の共用についてですが、科研費の仕組みでは研究設備は研究者の方が購入していただいた際には研究機関に寄附することがルールになっていて、研究者個人で管理など行われていると思いますが、一方で、研究設備の共用により適切に研究機関のほうでマネジメントもしていただいて、例えば、現在でも共用の際に使用料を取るとか、そういったマネジメントもやられているところがすでにあると思います。そこで今の取組からさらに科研費で購入された設備を有効活用していただきたいという趣旨で書いておりますので、その点も御了承いただければと。
【白波瀬部会長】
 あとはよろしいですかね。
 1点、7ページの次に検討というところで、私は、ここは少々禁欲的な書き方で良いのではないかと思っています。次期委員会今回やったことを中心に言ったほうが次の方がしっかり采配されるようにというのが正直な気持ちです。研究種目の在り方のマル1の「基盤研究(B)・(C)」の統合のところなんですが、「統合といった抜本的な」、つまり、ここのところに引っ張られ過ぎるというか、「統合の可能性を含む議論」とか、そういうふうに言ったほうが良いのではないでしょうか。統合まずありきの印象を与えるのはよくありません。これもなかなか中身的には難しいこともあるような気もするんですが、一筋縄にはいかない気がします。「統合の可能性を含む議論」というぐらいのほうが良いのではないか、と思いました。
 先生方、あとはよろしいですか。
 事務局からも、いいですか。
 では、御意見尽くしたということで、大変ありがとうございます。事務局のほうも、いろんな意見をこの形にまでまとめていただきまして、感謝します。本当に活発かつ生産的な御議論、大変ありがとうございました。もう少し積極的に、前のめりの前文と、最後のところで量的な拡大を頑張って書き込むということにはしたいと思いますけれども、今までいただきました御意見を踏まえまして、事務局において修正してもらった後、取りまとめについては部会長の私に一任していただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。では、取りまとめさせていただきます。
 なお、29日、来週水曜日に開催されます第94回学術分科会において、各部会等の審議状況について報告するよう、求められております。本部会の審議状況については、その日、申し訳ないんですけども、私は日本にいなくて、鷹野部会長代理のほうから御報告いただくということで御了解をいただいております。先生方も、よろしく御了解ください。
 報告につきましては、審議まとめ案を基に行うことを想定しておりますけれども、分科会当日までに審議まとめ案の取りまとめが完了しなかった場合には、本日時点の審議まとめを基に説明しつつ、御意見をいただいている箇所について、その旨補足するという形で進めたいと考えています。
 本当に、皆様の活発な御議論、誠にありがとうございました。本日の議事は終了となります。今期最後の研究費部会となりますので、塩見研究振興局長から、一言、よろしくお願いいたします。
【塩見研究振興局長】
 失礼いたします。研究振興局長の塩見でございます。先生方には、本当にお忙しい中、2年間、大変活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。先生方の熱い思い、情熱を事務局で十分受け止めきれなかったところがあったなというところは今日も反省しておりますが、最後のまとめに向けてしっかり受け止めて、最大限反映できるように努力していきたいと思っております。
 本当に、白波瀬部会長、鷹野部会長代理をはじめとしまして、皆様、ありがとうございました。特に今期の部会では、日本の研究力が相対的に低下してきているんじゃないかというふうな懸念のある中で、特に基礎研究・学術研究を支える科研費の改善・充実を主なテーマとしていただきまして、若手・子育て世代の研究者への支援強化でありますとか、あるいは研究活動における国際性の強化、また、「基盤研究」の助成の在り方などを中心に様々な御議論をいただいたところでございまして、その成果を踏まえまして、特に「基盤研究(B)」の基金化でありますとか、「国際・若手支援強化枠」の創設などが実現できたということを、本当に心から感謝を申し上げております。特に「基盤研究(B)」が基金化できたことに関しまして、たくさんの方から、本当によかったというふうな好意的な反応をいただいておりまして、我々もいろいろ仕事をしておりますけど、こんなに喜んでいただける仕事なかなかないなというふうに、ありがたいなというふうに思っているところでございます。
 また、今日の御議論でもございましたけれど、科研費について、非常に大きな期待が高まってきております。基盤的経費がなかなか増えない中ということもありますが、今日の御議論にもありましたように、ますます不透明な社会がこれから想定される中で、こうした時代だからこそ、学術研究や基礎研究を通じて、様々な、多様な知の種というものを開拓していくということの大事さということが一層求められていることの反映ではないかというふうに思っておりまして、だからこそ、研究者の皆様はもとよりですけど、産業界からも科研費は大事だからもっと増やそうよというふうなお声が上がるようになってきたんだというふうに思っております。
 また、物価高騰でありますとか、円安とか、こうしたことも重くのしかかってきている問題でもございまして、今日も御議論いただいた科研費の量の問題については、我々もしっかりと重要性を認識しながら、今、議論が始まっております第7期の「科学技術・イノベーション基本計画」の議論の中でもしっかりこの点を考えていけるように、また、充実を図っていけるように取り組んでいきたいと思っておりますので、ぜひ引き続き、先生方に、御意見、御指導を賜れればというふうに思っております。
 本当に、今期、ありがとうございました。また、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。
 「最後に私からも一言」ってあるので、述べさせていただきます。先生方、本当に助けていただきまして、ありがとうございました。思いのたけを議論できたのは、このチームが大変よかったからと思います。私自身も非常に勉強になりました。繰り返しですけれども、日本は人材が基礎ですので、そこの中で教育、そして、この投資というのは本当に欠かせないことだと思います。お金がないないということであれば、それをつくっていくということで、今期の議論が次にまたつながるように、期待しています。何か引退するみたいですけれど、今後もどうかよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
 最後に、事務局から連絡事項をお願いします。
【梅﨑企画室長補佐】
 本日の議事録につきましては、各委員に御確認をいただいた上で、公開させていただきます。
 また、研究費部会の審議のまとめにつきましては、取りまとめ確定後、各委員の方に共有させていただきますので、よろしくお願いします。
【白波瀬部会長】
 では、今期の研究費部会、これで終了させていただきたいと思います。皆様、本当にこれまで精力的な御審議を大変ありがとうございました。
 以上です。ありがとうございました。

―― 了 ――

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