第12期研究費部会(第10回) 議事録

1.日時

令和6年11月25日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 前回までの議論について
  2. 基盤研究の助成の在り方について
  3. 目指すべき採択率・充足率の水準について
  4. 挑戦的研究の審査の在り方について
  5. その他

4.出席者

委員

白波瀬部会長、鷹野委員、仲委員、大竹委員、尾辻委員、塩見委員、新福委員、城山委員、中野委員、華山委員、山本委員、加藤委員、速水委員

文部科学省

塩見研究振興局長、松浦大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)、田畑学術研究推進課長、松本学術研究推進課企画室長、梅﨑学術研究推進課企画室室長補佐、他関係官

オブザーバー

大野日本学術振興会学術システム研究センター所長、岸本日本学術振興会学術システム研究センター副所長、西田日本学術振興会学術システム研究センター副所長

5.議事録

【白波瀬部会長】
 皆様、おはようございます。時間となりましたので、ただいまより第12期第10回の研究費部会を開催いたします。
 本日の議題についてですけれども、最初に前回までの議論について報告いただいた後、基盤研究の助成の在り方、目指すべき採択率・充足率の水準、挑戦的研究の審査の在り方という3点について議論いただきたいと思います。
 まず、事務局より御連絡事項及び配付資料の確認等をお願いいたします。
 では、補佐、よろしくお願いします。
【梅﨑企画室長補佐】
 おはようございます。次に、事務局から配付資料の確認とオンライン会議の注意事項について御説明いします。
 資料につきましては、事前にお送りしましたファイルを御参照ください。
 また、オンライン参加の注意事項についてですが、音声安定のため、発言時を除き常時ミュート、マイクをオフにしてください。また、部会長、委員、オブザーバーを含めメイン席の方は常時ビデオをオンに、その他の方は常時ビデオをオフにしてください。
 発言される場合は、挙手ボタンを押してください。部会長が指名されますので、ミュートを解除、マイクをオンにして、その都度、お名前を発言いただくとともに、オンラインでも聞き取りやすいよう、はっきりと御発言ください。
 資料を参照される際は、資料番号、ページ番号などを分かりやすくお示しいただくようお願いします。
 また、トラブル発生時につきましては、電話にて事務局に御連絡いただければと思います。よろしくお願いします。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 では、議題に入ります。資料1に基づきまして、前回の研究費部会における主な議論について、事務局より報告をお願いいたします。
 では、室長、お願いいたします。
【松本企画室長】
 それでは、資料1に基づいて説明をさせていただきます。前回、8月30日、第9回の研究費部会においては、国際共同研究加速基金の統合に向けた具体策、それから基盤研究の助成の在り方について御議論いただいて、御意見をいただいています。簡単に振り返りをさせていただきます。
 まず、国際共同研究加速基金の統合に向けて、特に国際共同研究強化の部分について御議論をいただいています。資料に書いてあるとおり、2つほど御意見をいただいているところです。国際共同研究強化につきましては、改めて、検討を進めていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 それから、特に前回、基盤研究の助成の在り方について多く意見をいただいています。少し御紹介します。応募上限額についての御意見、それから充足率の下限の設定に対する御意見、種目構成を見直す場合の応募上限額付近の金額で応募することに対して、それ自体がインセンティブとならないような工夫を入れたほうがいいのではないかという御意見、研究期間の延長については、単に延長だけではなく、応募上限額とセットでしなければ研究力強化にはつながらないのではないかという御意見、応募上限額を引き上げるべきだという御意見、基盤的経費と特に基盤研究(C)との関係に関する御意見、基盤研究(B)(C)の統合、(S)と(A)ともに応募上限額を引き上げるなど、全体的な制度改革について具体的な議論を始める時期が来ているのではないかという御意見がございました。
 資料1については、以上でございます。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。前回の研究費部会でいただいた御意見も踏まえまして、引き続き、先生方と一緒に議論、検討を進めたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 では、次の議題に移りたいと思います。資料2に基づきまして、基盤研究の助成の在り方について、事務局より説明をお願いいたします。
【松本企画室長】
 それでは、資料2に基づいて、基盤研究の助成の在り方について説明をさせていただきます。
 まず、前回の研究費部会では、先ほど御紹介したとおり、基盤研究の助成の在り方に関して御議論いただいて、多くの意見をいただいています。特にここに書いているとおり、マル1の研究種目、マル2の応募上限額、それからマル3研究期間につきまして、各検討の切り口に基づいた御議論をしていただいたので、今回、引き続きこの3つ、種目構成、応募上限額、研究期間、これらについて今回御議論をいただければと思います。
 次のページをお願いします。まず最初のマル1、種目構成につきまして、基盤研究の(S)から(C)の現行の枠組み、これらについて統合を含む検討の余地について御議論をいただいたところです。前向きな御意見もいただいているところではございますが、技術的な懸念点も想定されますので、以下2点の検討課題について御議論いただければと思っています。
 まず、1ポツ、検討の切り口ですけれども、審査負担を軽減する観点とか、研究者が安定的に研究に専念できるようにする観点から、同一の審査方法を取る(S)と(A)、いわゆる総合審査と呼んでいる審査方式を取っている(S)と(A)。(S)はヒアリングがありますが、それと2段階書面の(B)と(C)、これらの間で種目の統合を含む検討を行う余地はないかどうか。
 それから、統合するということになれば、同一の種目における応募上限から下限額の幅が広がることになりますけれども、応募上限額付近に応募金額を設定するというような課題が増えて、種目間の配分額の差を広げる結果とならないかという懸念点もございます。
 それで、検討課題ですけれども、まず最初に、応募上限額付近に応募額が集中する可能性、例えば(B)(C)を統合した場合に、(B)の上限額である2,000万円付近に応募額が集中して、研究種目間で統合を行った意義がなくなるのではないかという点、それから、仮に応募上限額付近に応募額が集中しないとしても、現行の審査において金額規模がばらばらなものが多く出てきた場合に、審査をうまくやれるのかというような課題があるのではないかと考えています。
 次のページをお願いします。まず、検討課題1に関連して、応募上限額付近に応募額が集中する可能性としては、現行の(S)から(C)の応募額を調べてみました。大体、60%から90%の応募が上限額付近に集中していることがわかります。(B)と(C)を単純に統合した場合、上限額の2,000万円付近に集中するような現象が発生する可能性があるのではないかと考えています。
 それから、もう一つの資料です。多様な応募額を実効的に審査するための方策としての資料になります。NSFにおいては、POと外部レビュアーによる審査の後、POによる推薦を経た応募課題について、予算・財務・資金配分室(BFA)というところで財政的・行政的観点による審査が実施されるという流れになっています。
 POと外部レビュアーの審査基準には応募額の妥当性も含まれているほか、POによる推薦の過程で応募額自体が減額されるということがあるようです。また、BFAによる審査は、主にNSFの助成に係る諸条件、連邦政府の規則等の整合性の観点から実施されている事務的なレビューとなっているようです。POとしての役割がNSFとJSPS、科研費のPOとでは大分違いますので、御参考までですが、NSFでは応募額についての審査はこういうやり方でやっているということです。
 次のページをお願いします。今後の検討の方向性の案でございます。基盤研究(B)と(C)、こちらの統合については、審査負担の軽減のほか、(B)と(C)の間のギャップの解消という、そういう文脈でも説明はできると思いますが、まず、統合の前提となる目的、何のために統合するのかというところ。それから、問題意識を明確化することが重要ではないかと考えています。その上で、応募上限額付近に応募額が集中する可能性に対処するのであれば、研究者が研究計画の内容に即した応募額を設定することを促すために、何らかのインセンティブを設定するといった措置が必要ではないかということ。それから、同一研究種目の中で多様な応募額の課題を審査するということになるので、ピアレビューの枠組みの中で応募額の妥当性を精査するという方策についても、諸外国のファンディング・システムのさらなる調査を通じて実現可能性を含む検討を行う必要があるのではないかと思っています。
 このような抜本的な改革になりますので、研究現場に及ぼす影響等も含めて慎重な検討が必要だろうと思っています。令和10年度助成から適用される審査システム改革の議論、これはJSPSのほうで今議論していただいていますけれども、そちらと合わせて、そちらの議論も踏まえて検討を行ってはどうかと思っています。
 以上が種目構成の部分についてでございます。
 続いて、応募上限額についてです。応募上限額を物価水準等を考慮したものに見直すということや充足率の下限の設定に係る必要性などについて御議論をいただいたところです。
 今回、以下2点の検討課題について御議論いただければと思います。最初に、検討の切り口ですが、応募上限額を現在の物価水準・為替相場を考慮したものに見直す必要があるのではないか。それから、応募上限額の設定のみを見直しても科研費予算の総額が伸び悩む状況では、1課題当たりの平均配分額が直ちに増加することはなく、充足率がさらに低下する結果とならないかという点。それから、応募上限額の検討と併せて、最低限助成すべき金額を示す意味で、充足率の下限の設定が必要ではないかというのを切り口として挙げさせていただいています。
 検討課題ですけれども、応募上限額引上げのシミュレーション、そして科研費予算の総額が伸び悩む状況で応募上限額を見直した際に生ずる結果、これについてはシミュレーションを行って、その結果も踏まえて検討を行う必要があるのではないかと思っています。それから、充足率の下限の設定につきましては、応募件数が増加する場合には採択率を一定程度抑制することも意味することになりますので、採択率の低下をどこまで許容し得るかという観点からも検討が必要ではないかと思っています。
 次のページお願いします。こちら、応募上限額引上げのシミュレーションです。令和5年度実績を基に、各種目の応募上限額を20%増やした場合に、採択率を維持する場合と充足率を維持する場合で、それぞれ充足率や採択率がどうなるのかを計算したものです。
 一番上が令和5年度の実績です。中段、各種目の応募上限額を20%増して、採択率を仮に令和5年度実績で維持した場合、充足率がそれぞれ赤字で書いてあります。(S)で70%、(A)、(B)で64%、(C)で60%になります。それから、一番下が、応募上限額を20%増して、令和5年度実績の充足率を維持した場合に採択率がどう変わるかというものです。それぞれ、Sが10.2%、(A)、(B)、(C)、大体22~23%程度になります。
 次のページお願いします。充足率の下限の設定についてです。充足率の下限の設定については、応募件数が増加する場合には、採択率を一定程度抑制することも意味します。そのため、採択率の低下をどこまで許容し得るかという点で検討が必要かと思っています。こちらの表は、基盤(C)について、応募件数が過去10年同様のペースで推移した場合、充足率の下限を70%とした場合の採択率の推移について計算したものです。10年の応募件数の増加率が2.7%ということで、そのまま増えていけば、採択率が計算上23.7%まで下がることになります。
 次のページお願いします。今後の検討の方向性の案ですが、厳しい財政状況とか、採択率・充足率の現行の水準を前提としたときに、応募上限額の今後の在り方についてどのように考えるのか。また、研究種目構成との関連についてはどうかという点。それから、特に充足率の下限の設定に関しては、応募件数の増加に伴う採択率の低下をどこまで許せるのかという観点からも議論を要すると思っていますので、次の議事の「目指すべき採択率・充足率の水準」についての議論の際に、併せて検討をすることでどうかと思っています。
 それでは、3番目の研究期間についてです。研究期間の長期化については、研究期間の下限を維持すれば研究者への不利益とはならないほか、応募の機会が減少するということで、応募件数の抑制効果も期待されるところです。他方で、科研費によって実施される研究活動の総量の減少といった懸念もありますので、過去、研究期間の見直しを行った平成20年度のときの効果の検証も踏まえて、実現可能性について議論をいただければと思っています。
 まず、検討の切り口ですが、研究者の規模が研究費の規模に見合った計画を遂行できるように研究期間を長期化させる余地はないか。特に基盤研究(C)の研究期間を延長する場合、自然科学系の課題にとっては単年度当たりの配分額が過度に少額となる可能性もあるので、研究期間の下限は現在の水準に維持する必要があるのではないか。それから、研究期間の長期化によって応募件数の抑制が期待できないかという切り口を挙げさせていただいています。
 検討課題ですけれども、まず、個別課題の研究期間・研究成果への影響というところで、研究期間の幅、上限から下限の幅を拡大することで、実際の採択課題の研究期間がどのように変化するか、個別課題における単年度当たりの研究成果数等に負の影響がないかについて、過去の、平成20年度の見直し時の検証によって確認する必要があると思っています。それから、応募件数の抑制効果についても、当時の見直し時の検証によって、併せて確認する必要があると思っています。
 次の資料をお願いします。個別課題の研究成果への影響ですけれども、平成20年度の研究期間の見直し時では、個別課題の研究期間・研究期間を通じた研究成果数について、いずれの分野でも増加傾向が確認されたとなっています。ただ、単年度当たりの研究成果数の平均値については、人社系以外では低下傾向が見られたということになっています。
 次のページをお願いします。応募件数の抑制効果の検証という部分です。、平成20年度採択課題から研究期間の下限が2年から3年となりました。平成20年度採択者が平成22年度公募に応募することがなかったということになりますので、特に研究期間の伸びが大きかった分野において応募件数が減少したということが分かるかと思います。
 応募件数が平成21年度の水準に戻るまでは5.6年程度要していますので、応募件数の上限を延長する場合についても、一定程度の応募件数の抑制効果が期待されるのではないかと考えています。折れ線グラフ、一番上、水色の線が全体の応募件数の推移、緑より下は、それぞれ各系での応募件数の推移を表しています。ただ、平成20年度の改正については、下限を2年から3年というふうに延ばしていますので、その影響は結構大きかったのではないかと考えています。
 次の資料をお願いします。研究期間についての今後の検討の方向性の案についてです。まず、研究期間の長期化については、より長期間にわたって安定的に研究を実施することを希望する研究者のためにはなると思っていますが、下限を維持すれば、単年度当たりの配分額の水準を維持することになりますので、研究者にとっても不利益とはならないのではないかと考えています。
 応募件数の抑制効果が一定程度期待できる点において、科研費制度全体にとっての政策的意義も認められるものの、若干気になる点としては、成果の数が少し減っているように見えると見受けられる点については、慎重にデータを解釈する必要もあるのではないかと思っています。
 科研費により実施される研究活動の総量が縮減する結果とはならないように、研究期間の長期化は、将来的な応募上限額の引上げのタイミングで検討するべきではないかなと考えているところです。
 少し長くなりましたけれども、資料の説明については以上でございます。よろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。丁寧に背景と何を先生方に御検討していただきたいかという点についてお話がありました。これから大体30分ほどということになりますけれども、今後の検討の方向性、全体の政策の鍵になる基本的な考え方ということですので、御意見、御質問ありましたら、どうかよろしくお願いいたします。手を挙げていただければ見えると思うんですけど、よろしくお願いします。
 中野先生、お願いします。
【中野委員】
 ありがとうございます。これまでの議論にあったように、物価高や円安の影響、それから応募上限額の長年の据置きにより、研究費の実質的な目減りが生じています。その結果、国際競争力の低下が懸念されるため、上限額の引上げと、そのために必要になってくる科研費予算の増額が最も重要だと考えます。しかしながら、財務当局に対する予算増額要求を、採択率30%や充足率70%以上といった数値目標の達成を主な根拠にして行うのは、現状で困難ではないかと考えます。
 その理由として、今回の資料にもあるように、研究者は現在でも研究内容に即した適切な金額を申請することが可能であるにも関わらず、実際には60から90%の応募が応募上限額の0.95倍以上に集中しているという事実が挙げられます。これは、現行の審査システムが、結果として上限額に張りつくような応募行動を誘発している可能性を示唆しています。今後の改革では、この審査システムを見直して、研究内容に見合った金額での応募が適切に評価される仕組みを構築することが極めて重要だと思います。これにより、研究の実態に即した予算需要が明確になり、より説得力のある予算増額要求が可能になると考えます。同時に、採択率や充足率、今回議論されますけれども、これについても改善される可能性があるのではないでしょうか。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 では、次、城山先生、お願いいたします。
【城山委員】
 どうもありがとうございます。ちょっと基本的な質問のところもあるんですけれども、最初の種目間の統合のところで、特に(B)(C)について、統合の前提となる問題意識や目的を明確化することが必要であるというのは、まさにそのとおりだと思うんですが、その際にここで触れられている(B)(C)間のギャップ解消だとか審査負担の軽減というのは、具体的に何を意味しているのかというのをもうちょっとお伺いしたいというのがあります。
 審査負担の軽減ということですけども、例えば(S)と(A)であれば、これは多分、(S)に応募しつつ(A)をヘッジしているという場合も結構あるので、その分は恐らく減るだろうとは思いますけど、例えば(B)と(C)を統合したときに審査負担が減るというのは、申請件数が減るということを想定しているのかなということがあるわけですが、これは我々が議論してきた(C)のある部分というのは、本来的にはインスティテューショナルサポートすべき案件であって、科研費の本来の対象ではないというふうに理解していただければそういうことはあるのかもしれませんが、現状ですと、むしろ現状の(C)の部分が減るというのは必ずしも簡単には想定できないのかなという気がします。そういう意味では、審査負担の軽減というのは何なのかということと、あとはギャップの解消ということの意味をお伺いしたいということです。
 また、今、中野先生が言われた、額の審査がきちっとできるようになることは重要だというのは、まさにそのとおりだと思うんですけども、これは本当にやろうと思うと、かなりコストがかかるというか、手間がかかる部分があるかと思います。海外の事情を調べていただくということは極めて結構かと思いますが、その上でどういう形でやっていくのかとか、どういう形でローコストでその点のチェックをするのかという、そういうことも検討の必要があるかなと思いました。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。まず、質問が今出たんですけれども、もう一名の先生のお話を聞いてから事務局にまとめてという形で、少しずつやり取りをさせていただきたいと思います。先ほど中野先生からも少し御意見もありましたのでね。
 では、次は尾辻先生だったような気がする。
【尾辻委員】
 ありがとうございます。ちょっとこの後、学務のために退席しなきゃいけないので、一言述べさせていただきます。
【白波瀬部会長】
 お願いいたします。
【尾辻委員】
 基本的に、中野先生が御発言されたことに私も賛同なんですけれども、何より重要なのは、デュアルサポートをしっかり維持して、科研費の性格を競争的資金として維持し続けていくこと。そのためには、科研費だけではなくて基盤的経費に対する財政強化も同時に重要でありまして、これは6月の閣議決定で政府内閣としてその方針を打ち出しているところでございますので、我々研究費部会あるいは文科省の委員会においても、そのスタンスはやはり維持すべきだろうと思います。
 城山委員の基盤研究(C)の位置づけについて、科研費から若干外すような、恐らくこれは苦肉の御発言であるというふうに私は拝察申し上げるわけでございますが、基盤研究(C)の重要性は、人文社会科学あるいは素粒子物理学も含めて、重要な学術基盤の下支えをするという非常に大きな役割を果たしていることは事実でございますので、その辺を十分勘案して御検討を引き続きいただければと思います。
 それから、中野委員が言われたとおり、現状の採択率とか充足率をアップするだけで財務省にコンベンショナルな提案はできないというのは火を見るよりも明らかでありますので、やはり種目構成ですとか、あるいは各種目に与えるその目的みたいなところを、これまで挑戦とか若手とかそういったところを国際性とか特色づけて予算要求してきているわけですけれども、そういった方針は今後も知恵を絞りながら、財務省に対する予算要求については知恵を絞ってやっていく必要があるかと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。まず、質問等ありましたので、(B)(C)間のギャップというのが具体的に城山先生からもありましたけれども、一度、事務局のほうに戻したいんですけれども、いかがでしょうか。室長、いかがですか。
【松本企画室長】
 城山先生からの御質問からお答えします。審査負担の軽減と、(B)、(C)間のギャップという点についてだったと思いますけれども、審査負担の軽減については、確かに、実際どの程度になるのかというのはよく考えないといけないかもしれませんが、現状、(B)と(C)でそれぞれ別々の審査セットで実施しているものが1つの研究種目になるということで、軽減される部分もあるだろうとは思います。ただ、応募件数自体が、単純に足した数だけ出てくるということになれば、1課題当たりの人数や審査区分当たりの審査セット数というのは、別々で実施しているときより増える可能性もあるかもしれませんので、その辺はJSPSでも検討されていると思いますけれども、よく考えていかないといけない部分だと思います。
 (B)と(C)のギャップの解消というと、(C)のほうに今、応募件数がすごく増えているというところが一緒になれば、(B)と(C)の応募の動向については少し解消されるというか、見えなくなるというか、統合した研究種目の中でどう動いていくのかということかなと思っています。
 回答になっているのかわかりませんが。よろしいでしょうか。
【白波瀬部会長】
 取りあえずというところで、またあれだと思いますけれども、戻るという感じですけれども、先生方の御意見をまず最初に伺わせてもらってというところでお願いしたいと思います。すみません、また、いいですか。
【松本企画室長】
 追加で回答します。
【白波瀬部会長】
 あります? 何か。
【松本企画室長】
 尾辻先生にも御意見いただいたので、その部分について。デュアルサポートのところですが、先生御指摘のとおり、6月の骨太の方針、閣議決定では確かに運営費交付金とか私学助成等の基盤的経費を十分確保するということと、科研費への制度改革をはじめとする研究資金の不断の見直しと充実を図るというのが明記をされたところではありますが、骨太の方針は、7年度概算要求に向けての骨太の方針ということもあり、少し中長期的な科学技術・学術政策に関する全体的な動向が今後どうなっていくかというのは、この後の議題で説明をさせていただこうと思っていましたけれども、資料の21ページとか22ページ、中教審の特別部会でも、「基盤的経費とか競争的資金配分による公財政支援など、様々なアプローチを組み合わせて、多元的できめ細かなファンディング・システムを引き続き維持・発展させながら」ということが書かれていたり、22ページ、科学技術・学術審議会総会で示された7期基本計画に向けての基本的考え方の案の中にも、「研究者の自由な発想に基づく研究を支える研究費の充実」という文言が盛り込まれているという状況です。
 それから、基盤(C)の位置づけについては、先生方も科研費の性格については基本的に十分理解した上で、多分、現実問題がどうしてもそういう状況になりつつあるということもあり、検討していく上では、そのような現状も押さえる必要があるという御意見ではないかと我々認識をしているところです。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 では、また御意見に戻りたいと思いますけれども、次は山本先生、よろしくお願いいたします。
【山本委員】
 山本です。ありがとうございます。今のこの8ページの件なんですけれども、(B)と(C)を統合して、希望金額において審査するという考え方というのはあり得ると思いますし、例えば私、天文学分野でやってきましたけれども、そういうところでは観測時間の要求のときにそういう形を取っていて評価もしています。だから、やろうと思えばできるとは思います。ただ、これ審査が非常に難しくなることは間違いがないと思います。というのは、今までは学術的な観点における審査でございましたけれども、そこにいわゆるコストという概念が入ってきます。つまり、コストパフォーマンスみたいなところが問われることになりかねないので、純粋的な学問的な重要性に加えて、そこら辺をどういうふうに判断するかというところが審査委員に共有されるまでは、かなり揺れ動き、審査の揺れ動きというか、トレンドの変化というのが起こるような気がしますので、導入する場合には、非常に慎重な制度設計が要るのかなというふうに思います。
 したがって、これは審査委員にとっては楽になるどころか、かえって難しい判断を強いられることになりまして、応募数的にはどうなるか分かりませんけれども、判断の負担というのは結構大きいものがあると思います。つまり、少ない予算でこれだけの結果と大きな予算でこういう結果というものを比較しなきゃいけないことになって、できるとは思いますけども、かなり難しい問題を抱えます。
 それで、もともと応募上限金額に張りつき現象が起こるのは、全体的に予算が足りないというか、というところから来ているので、今回こういうことをやって解消するとはあまり考えられないというのが私の第一感ですし、また、実際、(B)と(C)を統合した形でやると、採択率は結果として下がるような気がします。なので、その辺、よくよくメリット・デメリットを総合的に判断されたほうが私はよいと思います。一方的な議論ではないように私は思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 では、次、大竹先生、お願いいたします。
【大竹委員】
 ありがとうございます。大竹でございます。先生方の御意見、あるいは先ほどの文科省さんの御説明を伺っていて、最後に結論として研究の長期化については、上限額の引上げとともにというふうにまとめていただいたのは、私も妥当だなというふうに思いました。
 その上で、2点だけ申し上げたいなと思っていて、1つは審査の負担なんですけれども、実際、審査は物すごい時間を要するということは理解する中で、勉強になるという言い方なのかもしれませんけれども、経験値としては非常に大きなものがあると思うので、過度な審査の負担というのはどうかなと思う中で、やはり審査をすることによって人材を育成している部分というのも忘れてはいけないのかなというふうには思います。ですので、負担、負担と言い過ぎないほうがいいのかなと、そういうのをふと思いました。
 2点目は、山本先生がおっしゃったのと私も同じなのですけれども、インフレ時代で国際競争の時代というのはこれまで我々経験していないはずで、先ほど出てきたグラフについても、物価が変動していないところの状態においてこうだったということを全て示しているものかと思います。そういう観点で申し上げると、フェーズが去年ぐらいから変わってきているわけですから、インフレ時代、かつ国際競争時代における科学技術予算の在り方とか、特に科研費の在り方ということについては、いま一度考える必要があって、そういう状態において、研究機関というのはこれだけ苦労しているんですよという、そういった現場の声もあると思うんですよね。そこに願わくば、財務省の方とか、あるいは一般の国民の方にも来ていただいて、こういう時代に本当にこれでいいのかと。あるいは、これからどうしたらいいのかというのを共に考えるような場を設定していただくといいのかなと、シンポジウム的なものでもいいので。それは感じるところではあります。
 そうした中で、先ほどの(B)(C)の統合もございましたけれども、地方大学あるいは地方の研究機関の御意見というのも聞いたほうがいいかなと思うんですよね。今月、国大協の総会があって、やはり科研費への期待というのは非常に大きいものがございました。そこはそれぞれの地方なり都市なりということで受け取りは違いますし、要望も違うと思います。その中で、(B)(C)を統合するということは、山本委員おっしゃるとおりで、採択率が下がる方向に行くということを考えると、かなりいろいろなステークホルダーの意見を聞いて、慎重に検討していく必要があるのかなというふうに思いました。
 以上でございます。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 では、次なんですけど、速水先生、11時にというようなお話があったので、次、華山先生の後、速水先生のほうに、何かあったら御意見行きたいと思うんですけど、よろしいでしょうか。すみません。
 では、華山先生、まずお願いいたします。
【華山委員】
 ありがとうございます。私からは、5ページ目の種目構成について意見を述べさせていただきます。
 (S)・(A)と(B)・(C)の間での統合について書かれておりますが、個人的には賛成です。といいますのも、1年ほど前に私からアメリカNIHの研究費制度について説明させていただきましたが、向こうでは大型予算としてのRO1と小型のRO3という2種目のみでやっております。それぞれこちらでいう基盤(A)と(C)に相当すると考えています。では、なぜ日本より多種多様な研究者がいるにもかかわらず、2種目しかないのかといったところでは、向こうでは複数の予算を獲得でき、応募額を分散できるというシステムがあるからです。
 ですので、「応募上限額付近に応募額が集中する可能性」については、アメリカと同じようにまず基盤(A)と(C)の2種目に統合し、それで足りない方には、2つ目の応募を認めるという形でバックアップすると良いのではと思います。その際には、1つ目と2つ目の採択率で大きな差を設けます。例えば、1つ目の研究費を取るときには40%の採択率、2つ目には20%や10%とかにします。そのような形にすれば、競争性を担保できますし、たくさんの応募が集中する可能性も減るのではないかと考えます。
 いずれにしても、初めの門戸を広くしていただいて、多くの方が1つ目の研究費を獲得できれば、安定して研究をすることができる仕組みをまず構築していただき、その上でより高額な研究費を希望する方々には、よりチャレンジングな競争率で追加獲得していただくといった形も一つの対処案なのではないかなと考えます。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 では、何か速水先生、ありますか。
【速水委員】
 特に今までおっしゃられたことに加えてということではないんですけれども、経費に関しても審査をしなければならないとなると、これは相当負担で、アメリカの事例を出されていましたけれども、ダブルシステムで内容の審査をした上でコストの審査を別のところでやっていたというお話でしたけれども、こういう、もし従来どおりの、学術的な審査と一緒に申請金額についても審査しなければならないとなると、その負担感ということが一つ懸念されます。もう一つは、基盤(B)と(C)の統合についてです。デュアルサポートということは別にして考えましても、おおよその人文系の、個人でこつこつと研究をする人にとっては、十分な費用で研究を遂行するためには今の基盤(C)の枠組みってとても重要で、それがなくなって(B)(C)が統合されて、しかも採択率がひょっとしたら下がるとなると、これはちょっと懸念すべきところも大きいかなと思います。ですので、まさに大竹先生がおっしゃったように、皆さんの御意見をもう少し伺ってみたいなと私も思いました。
 以上です。このまま12時までおれそうなので。
【白波瀬部会長】
 そうなんですか。
【速水委員】
 すみません。
【白波瀬部会長】
 分かりました。失礼いたしました。では、よろしくお願いいたします。
 まず、事務局の方、1回ここで何か対応ということができれば。いかがでしょうか。
【松本企画室長】
 御意見、ありがとうございます。我々も基本的に、(B)と(C)の統合ありきで議論していただいているわけでもありませんので、いろんな御意見をいただいて、今後、中期的にJSPSで審査システム改革の議論をやっていただいていますので、それと合わせるような形で慎重な検討をしていきたいと考えています。
 特に大竹先生がおっしゃっていた審査負担のところは、我々も負担、負担と言い過ぎないように、経験値になるという人材育成の面もあると伝えていければと思います。審査委員育成の面もあるというのはごもっともだと思いますので、過度に審査負担というのを言い過ぎないようにしていきたいと考えています。
 あと、インフレ、これまで経験していない状況というところで、その辺については、次の議題のところで触れさせていただければと思っています。
 それから、こういう問題について共に考える場、シンポジウム等というお話もありましたけど、確かにこれまでそういった取組が科研費では少ないというか苦手というか、あまりやってこなかった部分でもありますので、今後積極的に考えていければないけないと考えています。
 それから、地方の大学、地方での研究現場での御意見については、我々もいろんな地方大学にお邪魔していて、執行部の方々や現場の研究者の方々と意見交換させていただいているところで、かなり切実な状況というのは伺っているところです。引き続き、現場の声も聞きながら、政策に反映していければなというふうに思っております。
 それから、華山先生の御意見で、確かに、かつて華山先生がプレゼンしていただいた資料を基にした御発言だったと思います。そういったのも含めて今後、中期的にやっぱり検討していく必要があるのかなと考えています。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 では、次、鷹野先生、お待たせいたしました。よろしくお願いいたします。
【鷹野委員】
 ありがとうございます。鷹野でございます。中野先生が御発言なさいました、研究に見合った額での申請が必要というところに私も賛同いたします。そして、その件で山本先生が、既にこれまでの御経験と高い見識からいろいろ御指摘くださったところではあるのですけれども、私からもちょっと発言させていただきたいと思います。
 研究内容と費用、両方を審査するというのは、ほかの先生方も御指摘のように大変難しいところだとは思うのですけれども、審査の仕方、考え方を整理する必要があるのかなと思いました。そして、できるだけ専門に近い研究者のピアレビューによって、研究内容と費用の関係というのを含めてしっかり審査していただくようお願いしていく必要があると思います。そのためには、個人の努力に任せるというだけではなくて、例えば審査のガイドラインをしっかり作るとか、そういった努力も私たちの方でする必要があるのかなと感じました。
 以上でございます。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 では、次、仲先生、お願いいたします。
【仲委員】
 どうもありがとうございます。私は(B)と(C)を合わせるということについて、少し反対の意見があるので申します。
 さっき、速水先生の御意見にもあったように、私も人文社会系ですけれども、(C)というのは本当に、基盤的に、人文社会系の研究者が研究を行うときに、大変使い勝手がいいと言ったら申し訳ないんですけれども、そういう競争的資金だと思っているところです。研究者の20%、30%が人文社会系ですので、この(C)を大事に思っている研究者は多いんじゃないかと思うんです。
 ですので、統合するのには反対という意見なのですが、その根拠の一つは、そういう本当に使い勝手のいい競争的資金であるということが1つ。応募額が500万円という上限に寄ってしまうというのは当然で、その規模の計画を立てて出すということになるので、300万でもいいですよ、200万でもいいですよということがあっても、やっぱり500万だったらここまでできるかなということで、この年度にはどれぐらいできるかなということを計画立てて出すということがあるので、どうしても上限に張りつくということは起こってくる。結局、その規模での研究計画を立て、そしてまた審査する、ということになると思うんです。そういう意味で、500万ぐらいを上限とするような研究計画というのは大事だと思いますし、また、研究者となって新しく研究の世界に入ってくる方々にとっても、ここは最初の、競争金的研究費の獲得を可能にする場なんじゃないかなと思うところです。ですので、これが1つ。
 それから、審査をする場合も、500万規模の研究と2,000万規模の研究を合わせて審査するというと、やはりグループ分けしてみなくてはいけないんじゃないか、研究の規模が違うので、というふうになるかもしれません。そうなると、結局、今までの分割して行うのと同じことになってしまうのではないかなというのが2番目の理由です。
 審査の負担や件数をどうやって抑制し、コントロールするかということで言うと、先ほど華山先生の御意見にあったような、1課題目はどの課題でもより得られやすく、2課題目から厳しくするとか、あとは期間の延長であるとか、というようなことを考えていくのがいいんじゃないかなと思ったところです。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 では、次、加藤先生、お願いいたします。
【加藤委員】
 加藤でございます。私も今までの先生方の御意見とかなりかぶるんですけれども、(B)と(C)の統合というのは、かなり慎重にすべきではないかと考えております。もしも統合するとすれば、上限の金額に集中しない仕組みにしないと、適切な統合とは言えないのではないかと思いました。では、どうやれば上限の金額に集中しないのかというと、それはなかなか難しいのではないかと思います。その中で1つ質問ですが、こちらの8枚目のスライドに、何らかのインセンティブを設定すると書いてあります。私にはその具体的なインセンティブというのがどのようなものなのかちょっとイメージがわかないので、それを御教示いただきたいということと、あと、何人かの先生が言われていましたけれども、審査する側の意識ですね、金額がばらばらになってしまった場合、少額の規模の研究と大型の規模の研究と同時に審査することになるので、その辺、審査委員の意見が分かれてしまって適切に審査ができなかった――できないことはないと思うんですけど、難しいというケースも想定できると思いますので、その辺についても併せて考えていく必要があるのではないかと思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 では、中野先生からまた手が挙がったので、よろしくお願いします。今質問があったので、事務局行きますから、よろしく。中野先生、お願いいたします。
【中野委員】
 すみません。おそらく、インセンティブという発言をしたのは私なので、私が答えるのが適当かと思い、答えさせていただきます。
 いろいろな方法が考えられますが、現在、審査委員に対して、応募件数に基づいて採択件数を指定しているところを、例えば採択額に変更することです。採択額の決め方については検討が必要ですが、「この採択額の範囲内で件数を決めてください」と審査委員に委ねるのは一案だと思います。
 今までの議論でもあったように、分野によって基盤(B)(C)の考え方は全く違うので、分野の特性に合って採択件数や採択額をデザインできる仕組みが整えば、応募側とファンディングエージェンシーの双方の折り合いがつくのではないでしょうか。例えば人文社会系では、(B)(C)統合しても、大半が(C)の規模で運用されるといった形が実現できるかもしれません。
 この後、上限額の議論に移ると思いますが、現行制度を維持したまま上限額だけ上げると、理工系は必ず上限額に張りつきます。その結果、今の配分額の決め方だと、理工系に予算が流れ、人文社会科学系の配分額や充足率が低下することになります。そのため、現在の状況を改善するには、何らかの工夫、特に上限に張りつかない工夫が必要ではないかと思います。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。部分的にお答えいただいて、ありがとうございます。
 では、質問、続けますね。新福先生、よろしくお願いいたします。
【新福委員】
 ありがとうございます。私、産・育休をいただいたため久々の参加となりまして、ここまでの議論の文脈が分かっていない部分もあろうかと思うんですけれども、そういった立場からもこの統合というのを見たときに、最初はやはり不安を感じました。丸々1年、研究にエフォートをかけられないなというようなライフイベントが生じたときに、今年出すのは(C)にしておこうかなとか、そういうふうな形で選ばざるを得ないときもあると思うので、全部が(B)のような形に統合されてしまうと不安だというのをまず一つ感じたのけれども、もしこの中で統合されたときにいいことがあるとしたら、(C)から(B)に移行しようとする段階の研究者が、(B)としてはちょっと弱いということで今まで採択に至らなかった人たちが、もしかしたらある程度入ることができて、でもその分、(C)のほうのレベルで採択される人たちが減っていくのかなというのを感じておりました。ですので、私のような中堅で(B)と(C)どちらに応募しようかというようなレベルの研究者からすると、挑戦したが故に不採択になるということが減るといういい面もあるかもしれないというのは感じたところです。その辺りは認識が違っていたらまた教えていただきたいのですが。ですので、どちらもベネフィットとそうでないところがあると感じており、私の立場から御意見いたしました。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 もし塩見先生、この件について何か御意見ありますか。
【塩見委員】
 先ほどからの議論で中野委員が言われていたように、人文社会系と自然科学系は、多分お金の使い方が違うので、一つのやり方としては分けて考えたほうがいいのかなと思いました。というのは、私たち、例えば生物医学系だと、基盤(C)のレベルの研究費だと、今論文の掲載料だけでもすごく取られるので、100万前後みたいな。
【白波瀬部会長】
 そうですね。
【塩見委員】
 それでごそっとなくなってしまうという。じゃあ、実際の研究費はどこが出すんだというようなことになってしまうし、それから、むしろ私からすると(B)と(C)を統合してもいいかなというふうに思うんですけど、でも、仲委員だったかが言われたように、人文社会系では(C)というのは極めて重要だというような意見があって、やはりそこは一括して全部統合というようなことでもなくて、僕はNIHのグラントが、例えば人文社会系をカバーしているのかどうかも全然分かっていないんですけど、アメリカの人文社会系の人たちはどういうグラントを捉えているのかとかというようなところがあるのか分からないから何とも言えないんですけど、少しそこは全部一緒に議論するよりは、分けて考えるのも一つの手かなと思いました。
 というのは、具体的に言うと、人文社会系は(C)とかを残しておくけど、自然科学系は(B)(C)一緒にしてという。審査の負担ということに関しては、僕はやっぱり負担だと思います。(B)と(C)ってすごい数の審査が来るので、経験値になるとかという話もありましたけど、そこを丁寧に見ていったら、すごい若い人も、特に金額まで査定しろというふうになってくると、とんでもない時間を使うんじゃないかなという危惧がありますね。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。NIH、私が知る限りでは、私の分野でありますので、社会科学系は今いろいろ融合が始まっていますから、結構メジャーなファンディングの一つです、やっぱり。
 まず、事務局、よろしくお願いいたします。今までの先生方の御意見というか、質問もあったんですけど、いかがでしょうか。
【松本企画室長】
 今回、多くの御意見をいただきましたので、それらを踏まえ、また振興会の検討状況の検討状況とも合わせて、中期的に検討していければと思っています。多くの意見をいただき大変ありがたいと思っています。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。改めてなんですけども、先生方の本当に御忌憚のない御意見をいただくというのがこの会の目的ですので、どうかよろしくお願いいたします。
 では、まず次の議題に、時間もありますので移りたいと思います。資料3に基づきまして、目指すべき採択率・充足率の水準について、事務局より説明をお願いいたします。松本さん、お願いします。
【松本企画室長】
 では、資料3に基づいて説明をさせていただきます。中間まとめでは、審議まとめに向けた中長期的な課題の一つとして、「科研費予算の望ましい規模」というのを掲げていました。実際の文言は資料のとおりでございます。一応、ここで書いているとおり、具体的な予算額の算出の前提として、目指すべき採択率・充足率の水準を設定することを要するのではないかと。その際には、そういう充足率・採択率の変動が成果の創出とかに及ぼす影響とか、諸外国のファンディング・システムにおける状況を分析して、望ましい在り方を検討することが重要と中間まとめには記載させていただいています。
 それでは、次のページをお願いします。現行の第6期科学技術・イノベーション基本計画においては、第5期に引き続き、採択率に関する目標として、全体として新規採択率30%を目指すこととしています。充足率に関する目標値は設定していません。新規採択率30%という目標値は、一定の競争性を維持する趣旨で設定をされたものということです。第5期から新規採択率30%の目標を目指しつつ、科研費の充実強化を図るという文言が入っておりまして、第5期から第6期に向かうまでの間、審議会のほうでの御議論を経て、第6期においても、科研費については新規採択率30%を目指し、確保・充実を図ると現状ではなっているところです。
 次のページをお願いします。この間、第10期、第11期の研究費部会においては、採択率・充足率の水準に関して議論いただいて、多くの御意見をいただいています。少し分類させていただきますと、まず、採択率・充足率の設定根拠についての御意見では、これまで30%を目標としてきたから今後も30%でやるという説明ではちょっと説得力が弱いのではないかという御意見とか、外国のFAを調査・評価すべきではないのかという御意見とか、充足率100%と試算を行うのは簡単だが、対外的な説明のエビデンスとして利用できるように、もう少し理論武装が必要ではないかという御意見がございました。
 それから、種目ごとの採択率の水準についての御意見では、全ての種目で採択率30%を目指すべきではないかという御意見。それから、充足率に関しては、充足率は100%とするというところから議論を始めるべきであり、理想的な水準を考える際に、70%などを前提に議論することは違和感があるというような御意見がありました。
 それから、採択率・充足率のバランスに関する御意見については、かなり多くの御意見をいただいています。例えば、どのバランスが正解かという点を議論して見いだしていくのが部会の役割ではないかという御意見。それから、予算の制約があるのであれば、採択率を30%から下げることで充足率を回復させるべきではないかという御意見。予算の制約の下では、採択から不採択のボーダーに近づいていくほど充足率を下げるというような選択肢もあり得るのではないかという御意見など、これまでもかなり御意見をいただいているところではあります。
 次のページをお願いします。それから、物価高・為替安等の社会経済情勢です。為替レートにつきましては、円安基調で推移をしています。消費者物価指数も緩やかな上昇傾向だというところです。
 左の上のグラフですけれども、これは為替レートの年次推移で、2023年までですが、御承知のとおり、これ以降も円安基調ということでございます。
 それから、その左側の下、消費者物価指数の推移ですけれども、アメリカまでとは言わず、我が国でも緩やかな上昇傾向です。
 それから、今後、消費者物価指数はどういう見通しなのかというのが右側のグラフでして、少し分かりにくいですが、これは前年度に対してどうかというグラフで、0.0より上にあれば、前年度よりも上昇していくであろうということでございますので、引き続き、消費者物価指数も上がっていくのではないかという見通しが示されているということになります。
 それから、21ページですが、これは先ほど説明させていただきましたけれども、中教審の特別部会での今後の高等教育の目指す姿というところに記載されている内容です。
 それから、次のページ、こちらは科学技術・学術審議会で示された次期基本計画の検討に向けた基本的考え方の案の抜粋です。
 では、次のページお願いします。目指すべき採択率の水準に関する基本的考え方ですが、全体として目指すべき採択率の水準を検討するに当たっては、以下に示すような観点を踏まえて総合的・俯瞰的な議論を行うことが求められていると思っています。例えば、応募件数等の動向、運営費交付金等の基盤的経費による支援の状況、それから競争的研究費として維持するべき競争性の観点、最も基盤的な競争的研究費として求められる安定性の観点、それから科研費により実施される研究の継続性の観点、それから採択率とトレードオフの関係にある充足率の水準など、こういった観点を踏まえて総合的な議論を行う必要があると思っています。このうち競争性の部分については、前期までの部会での議論とか、諸外国のファンディング・システムにおける採択率の水準も参考に検討するということが考えられると思っています。
 次に諸外国のファンディング・システムの資料です。最初はNSFですが、こちら左下を見ていただくと、応募件数、採択件数、採択率等のグラフがあります。原因までは調べ切れていないのですが、NSFでは2019年度ぐらいから少し応募件数が減っているということもあって、採択率自体は20%後半台ぐらいに上昇してきているという状況です。額面ベースの金額、助成金額は増加傾向にあるということですが、実質額は伸び悩んでいる状況です。実質額を維持するために額面は少し上昇させているということではないかと思います。
 続きまして、NIHです。NIHの採択率は微増傾向です。20%前半台になっています。額面ベースの助成金額は増加傾向ですが、実質額は横ばいとなっています。助成金額がNSFのグラントよりも高額なものになっています。
 それから3番目はイギリスのFA、UKRIの状況です。こちらは全体としてのデータが公表されていないので、工学・物理化学分野の研究費の部分、EPSRCというところの部分だけを掲載しています。採択率については年度によって変動が大きいものの、おおむね20%台後半から30%台前半の間で推移をしています。
 最後にドイツのDFGについてです。こちらについては、助成金額のデータが公表されているものが見つからなかったので、応募件数・採択件数のデータがなく、採択率のみのグラフになっていますけれども、個人研究プログラムにおける採択率は、基本的に30%以上で推移をしているという状況です。
 次のページをお願いします。今後の検討の方向性(案)についてです。諸外国のファンディング・システムの多くで採択率が上昇傾向にある中、科研費においても、維持または上昇させる方向で検討を進めることが望ましいのではないかと考えています。このため、引き続き、全体としては30%を目標としてはどうかと考えています。
 それから、充足率ですが、採択率の水準に関する今回の議論を踏まえ、次回、また第11回の研究費部会で、引き続き充足率については議論をしていきたい考えています。
 少し駆け足ですが、資料の説明は以上です。よろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございました。
 それでは、これまでの説明につきまして、御意見、御質問がありましたら、どうかよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。いかがですかね。諸外国……。
 中野先生、お願いいたします。
【中野委員】
 どうもありがとうございます。諸外国で採択率が概ね30%になっているのは偶然ではないと思います。研究者の養成には多大な教育的・財政的投資が必要であり、また、大学等の教育・研究現場では人件費が大きな割合を占めています。このような状況の中で、科研費の採択率が30%を大幅に下回ることになると、せっかく育成した研究人材を十分に活用できない状況が生まれますので、国費の最適な活用という観点から問題が生じます。したがって、今回の目標を30%に設定するというのは適切だと考えます。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 では、次、大竹先生、お願いいたします。
【大竹委員】
 私も中野先生がおっしゃるとおりで、30%、少なくとも25%かなと。4人に1人というのは妥当なところだとすると、願わくは3割というのは、感覚的に納得のいくところかなというふうに思っています。ただ、確かにバックグラウンドでこういうことが必要だから30%ですよという説明は必要になりますよね、恐らく。
【白波瀬部会長】
 印象に留まらないためにも、数値は重要ですね。。
【大竹委員】
 そこはちょっと確かに弱点かなというふうには自分でも思います。
 もう一つ、充足率は次回ということですけれども、私が不勉強で申し訳ないので、事前にお願いです。挑戦的研究の充足率を100%近くに上げましたよね。それで、ドラスティックな変化というのは我々は経験していて、充足率に関しては。それによって、論文業績って今日ありましたけれども、ああいったアウトプットというのはどれぐらい変化したかということについてはかなり重要ですし、有効なデータになるかなというふうに思うので、私が知らないだけだと思うんですけども、次回議論のときにそれを教えていただけるとありがたいなと思いました。
 以上でございます。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございました。では、事務局のほう、次回までによろしくお願いいたします、データ。
【松本企画室長】
 はい。
【白波瀬部会長】
 では、次、塩見先生、お願いいたします。
【塩見委員】
 今の議論ですけど、僕が知りたいのは、財務省に相当するような各国の省庁があると思うんですけど、その人たちと、例えば文科省に相当するような省庁または大学関係者とどんなやり取りがあるのかというのを、その結果として、どういうふうにしてこういうふうに安定的に30%というのを獲得しているのかというのが分かると、一つの方向が見えるかもしれないなと思います。
 といいますのも、皆さん読まれたかもしれませんけど、今月の初めぐらいに、財務省から文教・科学技術云々に関する財務省の考えみたいなのが出されましたけど、もう予算は十分上げていますよみたいな、そんな感じですよね。しかも、あなたたち、つまり現場の運営が悪いからうまくいってないんだみたいな、そんなふうな書き方で、だからこれ以上予算を増やしたって期待はできないんだというのが彼らの主張であって、あなたたちこそ反省しろみたいな、そんなふうに読めるような発表というか、文言だったと思います。
 じゃあ、何を反省しろと言っているのかということと、そういうのが、各国でのそういう財務省関係の人たちとのやり取りというのがどういうふうに行われているのかというのは参考になるかなと思うんですけど、私たち何を反省したらいいんですかみたいな。現場の運営が悪いというのはどういうことを言っておられるんですかというようなね。じゃあ、反省したらお金上げてくれるの、予算をもっとつけてくれるのということになるので、そういう何か具体的なところをぜひ知りたいなと思います。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。なかなか鋭いところをつかれたんですけど、宿題をいただいています。1か国だけでも何かちょっと、文科と科学研究行政についてのやり取りの資料があるといいかもしれないですね。よろしくお願いします。少なくとも、トランプ政権への移行にあたり、大学関係者は皆さん、戦々恐々としておりますし、トップが変われば、そこでドラスティックに変わるというところは否めないところです。
 次、山本先生、よろしくお願いいたします。
【山本委員】
 山本です。今の点なんですけれども、確かに文教関係、あるいは研究開発関係全体で見たらそうなのかもしれません。詳しく調べてみないと分からないんですけど、目的志向型の研究経費あるいは政策誘導経費というのが、やはり卓越してきているわけです、増分において。そこのところのバランスというのがやっぱり崩れている。つまり、科研費のような基盤的な研究を支援する経費と、それから、ある政策目的のために遂行する研究費と、研究者としては両方あったほうがいいんですけども、それのバランスというのが若干悪いのかなと私は個人的には前から思っています。これはここの研究費部会で閉じる話じゃなくて、文科省全体、あるいはもうちょっと政府のほうで考えていただきたいということなんですけども、やはり、そこのところのバランスが多分ちょっと私は悪いと思っています。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 あと、いかがでしょうか。この辺りは制度の問題とかいろいろあるとは思うんですけれども、いかがですか。
 では、華山先生、よろしくお願いいたします。
【華山委員】
 ありがとうございます。外国との比較、非常に参考になりました。今、日本においてはデュアルサポートとして、こういう競争的研究費と、運営費交付金をはじめとする大学からの基盤的研究費の両方が重要ですが、地方大学においては、特に基盤的研究費がほとんどない状況であり、先ほども議論がありましたが、基盤(C)を取らないと全く研究費がないという研究室も数多くございます。アメリカの場合、私の知る限り、そういったデュアルサポートの中でも大学からのサポートが、特に駆け出しの研究者に非常に手厚いと理解しております。研究室のスタートアップにしても、最初に1億円、場合によっては2億、3億円もらえる人たちがいて、そこから5年間はそのお金のみでもしっかりと研究することができます。その後にRO1などの大型研究費が取れれば、その間接経費で大学に還元するという仕組みです。そういったデュアルサポートの面も加味しないと、採択率というのは議論できないのではないかと思います。NSFで20%後半、NIHで20%前半の採択率と記載されておりますが、向こうはデュアルサポートによる支援が最初のスタートアップだけでも1億円、2億円とつくので、日本はもっと採択率を上げるという形でやらないと、皆さん疲弊してしまうのではないかと感じました。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。でも、華山先生の事例は多分、ホームランを打った後の場合ということもあるかもしれません。みんながみんなどうなのかというのは多分、大学ごとに違うと思います。そういうスタートアップを提供できる大学というのはごく限られているというところもあって、そこにまた職を得るということ自体、熾烈な競争が年々厳しくなっているような感じがします。ただ、その辺り、先生もおっしゃるように、アシスタントで採用すると決まったら、そこで何かほかのことで使うようなことはしなくて、やっぱり研究者としてアソシエイトとして仕事をする、ということは契約上も確認されているところはあると思いますし、同契約に即したサポートはあるような気もします。ただ大学によって、北米とかイギリスぐらいしか知らないですけど、財政規模も含めて違うような感じもします。、参考にはなります。ありがとうございます。
 仲先生、お願いいたします。
【仲委員】
 ありがとうございます。各国のデータ、大変参考になりました。ドイツは広く数多くの大学に配分していく。一方、アメリカ、イギリスなどは、比較的先鋭的な大学に集中して研究費を出していく。というようなことと同じようなことが、この採択率にも現れているのかなと思ったところです。広く配分される、4割ぐらいが採択率、というのはすばらしいなというふうに思ったりもいたしました。
 先ほど華山委員のお話にあったように、採択率も、若手とか、第1課題目とか第2課題目以降というふうな、何かそういう工夫をすることで検討できないのかなと、かえって審査が大変になるのかなと思いつつも、そういう案もあるのかなと思いました。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。あとはいかがでしょうか。
 ここでは本当にいろんな御意見をいただくのが目的なので、今までどおりがいいということもあるかもしれませんし、いや、もっと違った経験をしてきたからこういうのというのも、華山先生みたいにすごくおっしゃっていただけると、いろいろ情報も増えるのでありがたいなと思っています。また、いろんなライフステージがあるので、今、新福先生もありましたように、これからは男女関係なくこういうステージをくぐっていかなくちゃいけない時代になってきたと思いますので、その辺りも含めていかがですか。よろしいですか。
 では、今後ということで、外国の事例についてはなかなか難しいところがあって、今回のデータも限られたところでというところで、それぞれ日本の側が想定しているデータとそもそも論、違うということもありますので、全体から見るとごく一部の現状だったということも実はあったりとかもするんですけれども、もし可能であれば、その背景にある考え方とか、今、仲先生からもありましたように、確かにドイツは何でこんなに強いんだろうと思うぐらい、PhDを取ったことの社会的な意味も含めて、かなり自信を持ってそういうことに関わっていらっしゃる先生方が研究の大切さみたいなことをおっしゃるとか、でも、ドイツ自体、経済がものすごく厳しくなっていますしというところがあるので、引き続き、海外の情報をこうしていただけると大変ありがたいので、よろしくお願いいたします。
 あと、大竹先生からも具体的なデータというところがあって、非常にそこも重要なので、よろしくお願いいたします。
 では、次の、本件につきましては……。
【松本企画室長】
 先生、すみません、事務局です。一言。
【白波瀬部会長】
 お願いします。
【松本企画室長】
 大竹先生にいただいた挑戦的研究の種目の改変の前後でのアウトプットの変化については、調べてみたいと思います。次回以降、御提示できればと思います。
 それから、塩見先生にいただいたご意見は難しいと思っています。国の制度が議院内閣制や大統領制で違っていたり、財政当局の権限もかなり違っている中で、なかなか一概に言えない部分もあると想像していて、かなり難しいと思っています。
【白波瀬部会長】
 そうですね。城山先生もいらっしゃいますが政治学で背景的な事項についてヒアリングできるといいかもしれません。テーマとしてはちょっと超えるかもしれないんですけど、相談させてください。でも、背景的なところがもう少しわかってくると、判断材料になるのでよいとは思います。人的資本というか、人に対してお金を投資しようという方向性が前政権がありました。ただ、その動きがうまくこの研究費部会まで届かないままに新しい政権になってしまった感じです。その辺りは適宜ご検討いただいて、完全ということはないかもしれないけれども、よろしくお願いします。
【松本企画室長】
 はい。あと、山本先生にいただいた、目的志向型と科研費みたいな研究者の自由な発想に基づく研究とのバランスの問題については、非常に重要な問題だと思っていますので、できれば今後も研究費部会だけではなくて、学術分科会とか、そういったところで御議論していただければと思います。
 あと、華山先生にいただいたデュアルサポートの仕組みも、もともと海外の大学と日本の大学は財政基盤が全然違いますし、デュアルサポートという考え方自体がなかったりするかもしれないので、その辺も含めて考えないといけないと思います。
【白波瀬部会長】
 それはちょっと違うかもしれないけども、もちろんシステムは違うんですけれど、華山先生がおっしゃったように、もちろん大学によって基盤があるところとないところが雲泥の差です。でも、いわゆるデュアルサポートが重要で、基盤的なところは採択如何をこえて保障することは大切かと。一方、その基盤的支援を提供できない大学の事情も無視できなくなってきてると感じます。
【松本企画室長】
 やれる範囲で考えたいと思います。
【白波瀬部会長】
 そうですね。ありがとうございます。
【松本企画室長】
 ありがとうございます。以上です。
【白波瀬部会長】
 では、この件についても引き続き議論を進めていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 では、次の議題に移ります。資料4に基づきまして、挑戦的研究の審査の在り方について、中野委員より振興会における検討状況の御説明をお願いいたします。
【中野委員】
 JSPS、学術システム研究センター科研費ワーキング主査の中野です。よろしくお願います。
 本年6月の本研究費部会の中間まとめを受けて、センターにおいて挑戦的研究の審査の在り方について見直しに向けた検討を続けています。今回、研究費部会のお時間をいただき、検討の状況について中間報告させていただきます。
 スライドの29を御覧ください。初めに、挑戦的研究の現状と課題についてです。挑戦的研究では現在、審査委員同士で挑戦性の考え方を共有することにより適切に審査がなされているところです。しかしながら、挑戦的か否かの評価に加えて、基盤研究等と同様の評価要素、研究計画の妥当性や研究遂行能力の適切性も用いて審査していることから、今後、本研究種目において最重要視している挑戦性の意義が形骸化しないよう、本研究種目の趣旨をより徹底するためにも、審査プロセスについて改善策を検討する必要があると考えています。
 また、よりインパクトのある真に挑戦的な課題を見いだし、新たな知の改革を志向する研究を促進するためには、既存の分野にとらわれない審査システムを構築することも重要であると考えています。
 さらに、挑戦的研究には、開拓と萌芽の2種目がありますが、開拓は総合審査方式で、萌芽は2段階書面審査方式で審査しております。これも異なる審査方式による審査を同時期に並行して実施しているため、審査委員からも大きな負担となっているという御意見をいただいており、審査負担の軽減も喫緊の課題であると考えております。
 次のページお願いします。そこで、挑戦的研究の審査の在り方についての見直しの方向性として、以下のとおり提案したいと思います。挑戦的研究においては、これまでの学術の体系や方向を大きく変革、転換させる潜在性を有することを必須の条件としており、審査においては、各審査区分における挑戦性の考え方について議論し、確認するというプロセスを踏んでいます。しかしながら、学術研究において、チャレンジという意味での挑戦は常日頃より行われているため、挑戦的研究と基盤研究とでは何が異なるのか、挑戦的研究の趣旨・目的がきちんと研究者コミュニティーに広く深く浸透しているのかという問題提起があったところです。
 そのため、挑戦的研究の趣旨である挑戦性をさらに徹底しつつ、審査プロセス、選定基準、審査区分、重複制限等を見直し、真に挑戦的な課題を見いだすとともに、審査委員の審査負担を軽減しつつ、より適切なプロセスに見直す必要があると考えています。審査プロセス等の見直しの詳細については、次のスライドで説明させていただきます。また、審査プロセスの見直し以外としては、我が国の研究力を強化するためには、研究者の研究活動に本来的に内在する大胆な変革や探索をこれまで以上に生み出せるように積極的に支援することが重要であると考えており、学術変革研究種目群にある挑戦的研究は個人研究であり、学術変革領域研究はグループ研究と、両種目は研究推進体制が大きく異なるものの、研究種目の趣旨・目的は類似点も多いことから、学術変革研究種目群全体についても見直す必要があるのではないかと考えています。
 次のスライドお願いします。次に、審査プロセス等の見直しの方向性について、次の4つの項目を立てて検討しています。1つ目は、挑戦性の考え方の明確化です。挑戦的研究の趣旨・目的を徹底するため、例えば開拓の合議審査の場において、挑戦性の考え方についてすり合わせを行ってきましたが、これまでの議論を整理して、応募者に挑戦性とはどのようなものか理解してもらうため、公募要領に挑戦性について具体的に明記してはどうか。研究計画調書の挑戦的研究としての意義の欄に、研究構想のどの部分が挑戦的であるかについて応募者に具体的に記載させてはどうか。審査意見に、応募課題のどの部分について挑戦性があると評価したのかについて審査委員に必ず記載させてはどうか。さらに、審査においては、これまでも挑戦性を最重要視した審査が行われてきたところですが、評定要素(A)の挑戦的研究としての妥当性の評価を、現在の3段階から4段階の絶対評価に変更することで、より挑戦性が高い課題を見いだすことができる仕組みにしてはどうかなど、公募要領、研究計画調書、審査意見、評定基準を見直してはどうかと考えています。
 2つ目は、研究の硬直化が指摘されていることから、例えば、挑戦的研究独自の新しい学術分野、学際・融合分野の審査区分を設置してはどうかと考えています。
 次のスライドお願いします。3つ目は、審査プロセスの簡素化です。挑戦的研究の開拓は総合審査方式、それから萌芽は2段階書面審査方式と、異なる審査方式による審査を同時期に並行して実施しています。また、事前の選考も含めると3段階の審査を行っていることとなり、審査負担の軽減のため、開拓、萌芽ともに2段階書面審査方式としてはどうかと考えています。ただし、学際・融合分野の審査においては、必要に応じて合議審査による審査ができる仕組みを残しておきたいと考えています。
 また、審査意見の記入について、総合評点の上位の応募課題や審査委員として専門が近い応募課題は、挑戦性があると評価した点についての審査意見を必須としてはどうかと考えています。ここでいう総合評価の上位の応募課題とは、例えば評点分布上位から、S10%、A10%、B10%、C70%に見直すことで、上位30%、SからBの評価に絞り込んではどうかと。逆にそれら以外の下位の応募課題については、定型コメントの選択肢をチェックし、個別に審査意見を記入したい場合は任意として記入するというふうにしてはどうかなど、審査負担軽減のため審査プロセスを見直したいと考えています。
 4つ目は、重複応募・重複受給の制限と緩和です。挑戦的研究については、いつでも誰もが挑戦できる種目にしたいと考えていますが、重複制限の緩和は、応募件数の増、それによる審査負担の増を招くことから、実効性を含め、重複制限の在り方を検討する必要があると考えています。例えば、挑戦的研究で得られた成果を基盤研究等で発展できるようにするため、挑戦的研究の継続課題から基盤研究に重複応募・重複受給をできるようにしてはどうかと検討しています。
 報告は以上となります。なお、スライドの33ページ以降は参考資料です。本日は御意見をいただき、それをセンターに持ち帰り、挑戦的研究の審査の在り方の見直しに向けてさらに検討を重ねたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。御苦労さまです。
 では、先生方から御忌憚のない御意見なり質問、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 やはりお話を伺って、挑戦性というところが一つの鍵になるように思いますが、この挑戦性の目利きに左右されるという点で、審査の在り方なりが非常に重要なポイントだと思います。ここは挑戦性とは何かというところで古い情報しかお持ちになっていないと挑戦性の判断はできませんので、この辺りはどういう御議論が中であるんでしょうか。
【中野委員】
 単なるチャレンジではなく、学術を変革する「トランスフォーマティブ」であるということが重要だと考えています。挑戦的研究は、学術変革研究と同じカテゴリーに属し、それがグループ研究として行われるか、個人研究で行われるかの違いがあります。挑戦的研究は、個人研究に対応するものです。現在、審査の前に話し合いの場を設けて確認していただいていますが、この点をより明確にするため、公募要領あるいは審査要領に具体的に記載する必要があるのではないかと考えています。それにより、審査委員の方々が適切に審査していただけるようになります。もちろん、これまでも適切に審査していただいていますし、今後もしていただけると思います。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。いかがですか。
【仲委員】
 仲です。私は、御質問なんですけれども、硬直化しているとか、意識合わせができないということが一つの課題になっているということなんですけれども、どれぐらいの振れ幅があるのかとか、その硬直化というのはどういう形での硬直化なのか、もう少し伺えればなというふうに思いました。すみません、御質問になってしまって。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。中野先生、まとめますか。
【中野委員】
 後でまとめて。全てに答えられるかどうか分からないですけど。
【白波瀬部会長】
 分かりました。
 山本先生、お願いいたします。
【山本委員】
 山本です。ありがとうございます。2つありまして、今映っている31ぺージ、新たな審査区分の設置というところ、そういう考えはあるかと思うんですけど、やはりこれは結構気をつけなければいけなくて、どういうプロセスをもって設置するかということについては、かなりフェアでないとまずい。実際、この科研費システム2018以前は、いわゆる時限付き分科細目みたいなのがあって、それに持ち込むというのでいろんな動きがあった。そういうことを避けるという一つの目的もあって、分野の垣根を払って、バウンダリーをぼかして、より広い範囲の審査を行うということで区分というか、中区分というのをつくったと思うんですね。だから、もしこれをおやりになるとすると、特設分野でやったということはあるんですけれども、あれも相当な議論をした上で選定をしているというところもあるので、この選定方法については、しっかりとルール化したほうがいいと思うのが1点です。
 それから2番目は、これはちょっと質問的になるんですけども、次の32ページですが、両方とも2段書面ということですね。始まったときには両方とも対面でやっていたと思います。それは分野が広い中区分で審査する以上、やはり相互の意見交換が重要だということで始めたという経緯があります。審査負担のこともあるので2段書面にされたんだと思います、萌芽のほうを。その結果、萌芽のほうでうまく、2段審査でうまくいっていますでしょうかというのが質問でございます。
 以上、よろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。2点、また後ほどよろしくお願いいたします。
 次、大竹先生、お願いします。
【大竹委員】
 ありがとうございます。御説明いただいて、ありがとうございました。非常に緻密な議論を重ねてこられた結果だというふうに感じました。私も今、山本先生がおっしゃったのと全く同じことを申し上げようと思っていて、この2段については、それでうまくいっているのであれば、今回合わせることで合理化を図るというのは私も賛成です。その前段のところというのはやはり知りたいなというふうに思いました。
 もう一つ、非常に初歩的な申し上げ方で恐縮なんですけど、挑戦性についてです。科研費全体というのが、未知の課題に立ち向かうものだと思うんですよね、基盤研究であれ何であれ。そういう意味では、何らかの挑戦性というのは必ず個々の課題というのを持っていて、今回、挑戦性がというのは非常によく分かる中で、挑戦的研究というのは、それぞれの課題が挑戦的な部分を持っている中で、これだけ大事にするんだと、あるいはこういう部分の挑戦性を大事にするんだということがあると分かりやすいかなというふうに思いました。ほかの課題も挑戦性を持っているというところはベースとしても重要かなと私は思っているので、あえて発言させていただきました。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。
 では、次、鷹野先生、お願いいたします。
【鷹野委員】
 鷹野です。ありがとうございます。私のほうからは、現状の把握として伺いたいのですけれども、挑戦性というキーワードでこの課題を公募しているわけなんですが、その趣旨が十分伝わっていないかもしれないというような課題があるということでこの改善案があると思うのですが、現状でどの程度、挑戦的研究として……。逆ですか。どの程度、趣旨に合わないものがあると認識されているのかという辺りの現状認識を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【白波瀬部会長】
 ありがとうございます。
 では、中野先生、お願いします。
【中野委員】
 まず、硬直化という問題は挑戦的研究に限らず、全ての種目に関わる問題だと思います。現在の区分が長年にわたり割合も変えずに維持されている点は、財務当局から見ると「硬直化している」、「新しい分野が出てきていない」と捉えられる可能性があります。もっとも、研究の現場では、区分が同じであっても中身は常に変化しており、それだけで硬直化とは言えません。しかし、挑戦的研究を適切に実施することで、その変化を「見える化」することが一つの目的になります。つまり、基盤的研究を行なっている中で、挑戦的研究を通じて新しい潮流や分野が生まれていることを示せれば、最も望ましい形になると考えています。
 先ほど山本先生、それから大竹先生からも御意見があった区分についてですが、私たちは特定の分野を設定し、「この分野が必要だから特設分野にしよう」と議論をしているわけではありません。むしろ、大区分に近い考え方を取り入れ、申請者が「これは全く新しいもので、どの中区分を選んでいいか分からない」といった場合でも対応できる受皿を設けることを目指して議論を進めております。
 それから、2段階審査についてですが、うまく機能しているという判断のもと、今回の方向性を決めました。本日は資料は用意しておりませんが、2段階審査は適切に機能していると考えております。また、総合審査についてですが、この種目は非常に競争率が高く、採択率も低いため、開拓の総合審査は、形骸化しつつあるのではないかと考えています。そのため、書面審査の2段審査で十分ではないかと考えております。
 最後に、挑戦性についての定義が十分に伝わっていないのではないかという点についてですが、確かにその側面は否めないと考えています。そもそも、この種目が最初に登場した背景として、NSFでのトランスフォーメーション・リサーチの概念に由来するのではないかと考えています。そこでの定義についてですが、今読み上げたいと思いますので、少々お待ちください。2番目のブレットのところで、「学術の体系や方向の変革・転換、新領域の開拓を先導する潜在的な可能性を持った研究、長期的な視野に立った不確実性の高い研究への挑戦」という記述が、挑戦性の定義として明確に示されています。どの研究でも挑戦的な側面はありますが、失敗を恐れず、研究の過程で明確な論文や成果が得られなくても、その方向性自体に十分な価値がある研究を取り上げていくということを指します。
 この点については、審査の段階では議論し、共有していただいています。しかし、先ほども申し上げたように、公募要領や審査の手引には明確に記載されていませんでした。これまで手探りの中で進めてきましたが、挑戦的研究の公募や審査を重ねる中で、その概念が次第に明確になったと考えています。そこで、今回の改革では、この概念を文章化し、徹底するということを取り入れたいと考えております。
 以上です。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございました。
 もし、ほかに先生方。華山先生、お願いいたします。
【華山委員】
 中野先生、御説明どうもありがとうございます。30ページの一番最後のところにコメントさせていただきます。「挑戦的研究と学術変革は大きく研究推進体制が異なるが、趣旨・目的は類似性が多いから、全体的に見直す必要があるのではないか」という御意見、私も非常に賛同いたします。私は、JST創発的研究支援の運営委員も担当しておりますが、あちらも「破壊的イノベーション」といって、非常に突拍子もない提案がよく来るのですね。今、挑戦的な研究を行う研究費が各組織に分散されており、挑戦的研究はJSPSが、学術変革は文科省が、創発はJSTが運営しています。それぞれ個人研究、グループ研究、若手研究と少しずつ違いを出してはいますが、全体として文科省が主導して見直してシームレスにできる体制をつくっていただければと思っております。
【白波瀬部会長】
 貴重な意見だと思います。ありがとうございます。
 ほかによろしいでしょうか。
 では、中野先生、ありがとうございました。挑戦的研究の審査の在り方については、今先生方からこの時点でもいただきました意見も共有していただき、振興会にて引き続き御検討をお願いしたいと思います。また、振興会における検討の過程で、種目の在り方についても議論があったとのことですので、事務局においては、第13期以降の議論も見据えた論点整理をお願いいたします。
 ありがとうございました。もうそろそろ時間になってまいりました。本日は、委員の皆様の活発な御意見、御議論、本当にありがとうございました。最後に、事務局から連絡事項をお願いします。
【梅﨑企画室長補佐】
 本日の議事録につきましては、各委員に御確認をいただいた上で公開をさせていただきます。また、次回の研究費部会につきましては、12月24日火曜日の10時から12時にオンラインでの実施を予定しておりますので、御出席と御回答いただいた委員につきましては、引き続き日程の確保をお願いします。また、資料につきましては、開催日が近づいてまいりましたら改めて御案内させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
【白波瀬部会長】
 大変ありがとうございます。皆様、本当にありがとうございました。引き続き、どうかよろしくお願いいたします。
 本日の会議はこれで終了いたします。ありがとうございました。
 

―― 了 ――

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