第11期研究費部会(第8回) 議事録

1.日時

令和5年2月1日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 令和4年度第2次補正予算及び令和5年度予算案について
  2. 第11期研究費部会における審議のまとめについて
  3. その他

4.出席者

委員

大野委員、白波瀬委員、仲委員、福田委員、井関委員、上田委員、大竹委員、川端委員、城山委員、中野委員、中村委員、速水委員

文部科学省

森研究振興局長、木村大臣官房審議官、永田学術研究推進課長、高見沢学術研究推進課企画室長、吉田学術研究推進課企画室室長補佐、他関係官

オブザーバー

大野独立行政法人日本学術振興会システム研究センター所長、岸本独立行政法人日本学術振興会学術システム研究センター副所長

5.議事録

【大野部会長】
皆様、おはようございます。時間となりましたので、ただいまより、第11期第8回の研究費部会を開催させていただきます。
本日は、令和4年度第2次補正予算及び令和5年度予算案についての御報告をいただいた後、本日が今期の最終回となりますので、第11期研究費部会における審議のまとめについて御審議いただき、また意見交換をさせていただきます。
それでは、まず事務局から、配付資料の確認とオンライン会議の注意事項について御説明をお願いします。
【吉田企画室長補佐】
資料につきましては、事前にお送りさせていただきましたファイルを御参照いただければと思います。
本日はオンライン会議となります。事前にお送りした注意事項につきまして御説明をさせていただきます。まず、音声の安定のため、発言時を除き、常時ミュート、マイクをオフにしてください。部会長、委員を含め、メイン席の方は常時ビデオをオンに、その他の方は常時ビデオをオフにしてください。
発言される場合は、「手を挙げる」ボタン、こちらを押してください。部会長が御指名されますので、ミュート解除、マイクをオンにしていただいて、その都度、お名前を発言いただくとともに、オンラインでも聞き取りやすいよう、はっきりと御発言いただければと思います。また、資料を御参照される場合には、資料番号、ページ番号などを分かりやすくお示しいただければと思います。
最後に、トラブル等が発生した場合には、お電話にて事務局に御連絡いただければと思います。
以上でございます。
【大野部会長】
ありがとうございます。
それでは、早速ですが、初めの議題に入らせていただきます。令和4年度第2次補正予算及び令和5年度予算案に関し、事務局から御説明をお願いいたします。
【永田学術研究推進課長】
学術研究推進課長の永田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料のほうも提示しながら、御説明をさせていただきたいと思います。資料1の4ページ目でございます。科学研究費助成事業でございますけれども、右肩上にありますとおり、令和5年度当初予算案といたしましては、対前年度同額、2,376億円の計上となってございます。それに加えまして、その下のほうにございますけれども、令和4年度第2次補正予算としまして、156億円が今措置されているといったところでございます。
その内容としては、左側でございますけれども、大きく2点、国際共同研究の強化といたしまして国際先導研究の充実、さらには2つ目としまして、アカデミアへのキャリアパスを支える切れ目ない支援の強化としまして、特別研究員奨励費の抜本的見直しということになっております。
国際先導研究につきましては、当初、概算要求時には令和5年度の当初予算で要求させていただいていたところでございますけれども、今回、令和4年度の補正予算でその緊急性等をお認めいただきまして、措置されたといったところでございます。
それでは、具体的な内容でございます。次のページ、5ページ目でございます。国際先導研究の拡充といたしまして、こちらについては令和3年度の補正予算で110億円が措置されまして、昨年、15件が既に採択されたところでございます。そちらに引き続きまして、令和4年度2次補正予算としまして、同額110億円が措置されたところでございます。
種目の概要につきましては、前回とほぼ同じ、研究期間としては7年間、研究費総額は最大5億円、採択予定件数としては約15件程度を想定してございます。事業の内容としましても、国際共同研究など、高い実績を有するPIの方が率いますトップレベル研究チームと、海外のトップレベル研究チームとの共同研究を強化するという内容でございます。
この事業につきましては、このトップレベル研究チームの構成としまして、約8割程度がポスドク、院生などの若手で構成していただく。さらには、その若手を長期間、2年から3年程度、海外に派遣するといった人材育成の観点も含めた事業の内容になってございます。
こちらにつきましては、既に今年の1月12日に日本学術振興会のほうで公募が開始されておりまして、3月中旬の締切り、最終的には今年の11月下旬ぐらいに採択決定の見込みで、これから選考等が進められるという予定になってございます。
次に6ページ目を御覧ください。もう一つの柱でありました、特別研究員の研究を強力に後押しする科研費改革といたしまして、赤枠でございますけれども、国際的な研究活動とアカデミア採用前後の研究活動を継続・発展する仕組みを科研費に導入するといったことから、特別研究員の研究ポテンシャルを最大限引き出すという取組といたしまして、特別研究員奨励費の改革を行いたいといったものでございます。
その内容としましては、大きく2点、まず丸1 のところでございますけれども、基金化の推進というところでございます。これまで補助金という種目でございましたけれども、この基金化を進めることによりまして、柔軟な研究費の使用、さらには、国際活動に積極的に参加していただくことが可能になるという取組を考えてございます。
また、2つ目、丸2 としては、雇用管理の下で、特別研究員PDについては、研究の活性化をしていただくという新たな取組を入れたいといったところでございます。
具体的には次のページ以降になります。7ページ目でございますけれども、特別研究員奨励費の基金化でございます。上段にありますとおり、これまで補助金という種目でございましたので、単年度単年度で研究成果等を取りまとめいただきまして、場合によっては繰越し等の手続が発生するといった内容でございました。
これを基金化することによりまして、今回、上にありますけれども、令和4年度の継続課題につきまして、継続分について補正予算として46億円を今回措置いただいたといったところでございます。今年1年目という課題につきましては、残り2年間ある研究者がございますけれども、そういった場合には、2年間が基金化されるといったことになります。
また、その下のところにございますけれども、令和5年度に新規に採用される方、こちらにつきましては、令和5年度の当初予算案で基金化という予定になってございますので、この3年分が基金化されるといった内容になります。
具体的にこの基金化によりまして、研究費の使用イメージでございますけれども、こちらのほうは既に科研費でほかの種目でも基金化されておりますので、各皆様方のほうではお感じいただけているかと思いますが、研究費の柔軟な執行が可能になる、また、その他のメリットのところにもありますとおり、会計年度を意識することなく、海外研究者との国際共同研究に参加しやすい環境ができるといった取組が今後見込まれるところでございます。こういった取組を通じながら、特別研究員奨励費を使って、特別研究員の研究が活性化されることを我々期待しているところでございます。
もう一つございました、PDの機関雇用の関係でございます。研究環境向上のための若手研究者雇用支援事業といったものを、日本学術振興会のほうで新たな制度として取り組みたいといった内容でございます。特別研究員につきましては、自立的な研究者として研究に専念していただくといった観点から雇用関係にないといったところでございますけれども、身分的には不安定な状況といったところから、様々な課題がこれまでも指摘されたところでございます。
そういった課題を解決するために、今回、新たな事業としまして、この特別研究員事業の趣旨に賛同していただいて、PDを雇用して、積極的に優秀な若手研究者の確保、育成に取り組むことを希望する研究機関を公募いたしまして、所定の要件を満たす機関に対しては、雇用制度導入機関としてまず登録していただく。その登録をしていただいた上で、その機関を通じて特別研究員に採用された場合には、従来の研究奨励金、36万2,000円相当になりますけども、そちらの予算に加えて、学術条件整備といたしまして100万円、これに間接経費も加えますと130万円を機関にお渡しする。機関のほうで雇用いただき、研究奨励金見合い分については給与といたしまして特別研究員にお支払いいただくということを枠組みとして考えてございます。
こういった取組を通じまして、特別研究員のさらなる自立的な研究を行う環境を改善してまいりたいといったことを、令和5年度当初予算案のほうでは検討しているところでございます。
科研費の予算につきましては、この2点を大きな取組として今後進めたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
説明は以上でございます。
【大野部会長】
どうもありがとうございました。
本部会でも様々に御議論いただきました国際先導研究、そして特別研究員奨励費については、令和4年度第2次補正予算において措置されることとなりました。非常にすばらしいことだと思いますが、ここまででいかがでしょうか。皆様から御意見、御質問ございますでしょうか。
中野委員、お願いいたします。
【中野委員】
国際先導研究についてお伺いしたいんですけれど、応募数はどれぐらいあったんでしょうか。研究者側からの需要というのがどれぐらい高いかということが興味あります。
以上です。
【永田学術研究推進課長】
中野先生、ありがとうございます。応募件数としましては、130件強というところになってございまして、今回、令和3年度の補正予算では15件採択され、既に日本学術振興会のほうで公表されてございます。したがいまして、採択率としては11%程度という高い期待の中で、厳しい審査を踏まえ、よい課題が採択されたのではないかと思ってございます。
【中野委員】
ありがとうございます。非常に高い期待が集まっているということですが、今年度継続しても、採択されていない課題のほうが多いわけですから、採択率は低いままだと思います。今後、継続化に向けてより一層期待しております。
以上です。
【大野部会長】
それでは、川端委員、お願いいたします。
【川端委員】
ありがとうございます。機関雇用の件、本当にありがとうございます。彼らを孤立化させないという意味で、機関で雇用するというのは絶対大切なことで、それが進められるということです。
なんですが、今まず、希望機関を聞いてというスタンスでスタートするという。それは仕方がないと思うんですけど、ゆくゆくは当然、全機関受け取るならば、こういうことをしてくださいよという方向に進んでいくんですよね。という、お聞きしたい点なんですけど。
【永田学術研究推進課長】
私どももそれを望んでおります。しかしながら、最初から強制してそういう枠組みをつくるというのは、いきなりちょっとやり過ぎかなというところもございまして、まずもって賛同いただく機関に登録いただきまして、取り組んでいただくと。今回の枠組みといいますのは、従来のお渡ししている給与相当の研究奨励金、36万2,000円を機関から給与としてお渡しするという仕組みでございますけれども、これは一応、下限としてございますので、優秀な研究者を積極的に育てたい、確保したいという機関は、例えばもうちょっと給与を上げるとか、そういったところも出てくるといいかなと思ってございます。
先生おっしゃっていただいたように、全機関がこの枠組みを使って特別研究員になる優秀な若手研究者を確保するツールとして活用していただくことを我々望んでいるところでございます。
【川端委員】
いろいろな意味で課題が出てくると思うんですよね、機関雇用しようとすると。それをぜひまとめていただいて、いろいろなところが展開しやすいような格好で共有化していただけると思いますので、よろしくお願いします。
【永田学術研究推進課長】
ありがとうございます。
【吉田企画室長補佐】
川端先生、少し事務局より補足させていただきます。今回、若手雇用支援事業につきまして、スケジュールでございますが、先週、日本学術振興会から各大学に公募させていただきまして、7月に受付をするということで、比較的長く学内のほうで検討していただけるように配慮したくスケジュールを設定しているところでございます。
その後、手を挙げていただいた大学等につきましては、雇用制度導入機関ということで日本学術振興会のホームページで公開をさせていただいて、今回応募がなかった大学等であっても来年度以降も引き続き同様の公募を行っていこうということで考えているところでございます。
各大学では総合大学、単科の大学、私立大学など、雇用に関する学内の取扱は異なると思いますので、ぜひ大学でもこの件について前向きに御検討いただければと、事務局では思っているところでございます。
以上でございます。
【大野部会長】
ありがとうございました。
それでは、井関委員、お願いいたします。
【井関委員】
ありがとうございます。今の川端委員に引き続いてなんですが、私が聞き漏らしてしまっているかもしれないんですが、この受入研究機関への追加支援というものというのは時限なんでしょうか。それとも、ちょっと聞いていて分からなかったんですが、ずっと続くわけではないということなんでしょうか。
【永田学術研究推進課長】
特別研究員として採用されている機関につきましては、同じように奨励金と併せて学術条件整備費として措置されます。補正予算ではなくて、当初予算での枠組みでございますので、単発で終わるというわけではなくて、この制度をずっと続けるといったことを今想定してございます。
【井関委員】
ありがとうございます。本当にこれは長年というか、ここ10年ぐらいずっとあちこちでこの話題は聞いておりましたので、本当に研究機関が雇用するようになるということで、若手の研究者、しかも優秀な方が活躍できるようになるのではないかなというふうに思います。ありがとうございました。
【大野部会長】
ほかにいかがでしょうか。
導入機関を登録することを求めるわけですけれども、この登録の要件というところに、例えば研究環境の確保などが入っているのかどうか。つまり、通常の雇用された職員と同等に扱われてしまいますと、特別研究員というものの本質的なところが薄まってしまうおそれもありますので、その点はいかがでしょうか。
【永田学術研究推進課長】
御指摘ありがとうございます。既に日本学術振興会のホームページで公募要領等提示してございますけれども、今、大野部会長御指摘いただきましたような点につきましては、従来の特別研究員の主体性を持って研究していただくという制度は変えない形で雇用していただくことが要件となってございます。
さらには、ちゃんと基本給として規則を定めるとか、大きな要件となっているわけではございませんけれども、従来の特別研究員が確保されていた研究環境をそのまま継続できるような要件を機関のほうで整備して、登録していただくということを今想定してございます。
【大野部会長】
ありがとうございます。
続きまして、仲委員、お願いいたします。
【仲委員】
どうもありがとうございます。大変すばらしいことが始まったと思います。
1つ御質問ですけれども、今、PDって大体、自分の出身機関から別の機関に移って、そこで研究を展開するということになっていると思いますが、もし移動した先のところで受入れが難しいとなった場合、ここでまた格差がついてしまうといけないなと思うところです。ですので、例えば、雇用に関しては柔軟に、もともとの出身大学だったら雇用できるとかということがあれば、そういう可能性なども少し検討していただければと思いました。
以上です。
【永田学術研究推進課長】
仲先生、御意見ありがとうございます。そういった御意見も踏まえながら、今後新たな制度の導入に対して検討してまいりたいと思います。
【大野部会長】
ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
速水委員、お願いいたします。
【速水委員】
ありがとうございます。特別研究員の奨励費のほうの、8ページのことなんですけれども、これもフレキシブルに基金化して使わせていただけるというのは非常にありがたいことだと思うんですが、1つ確認なんですが、3年目が終わって、今回コロナのことなどで使い切れなくて困って、もう期間が終わってしまったというようなケースもあったんですけれども、これをさらに期間が終わっても繰り越すということは可能なのでしょうか。
【永田学術研究推進課長】
現在も、日本学術振興会で行っております基金種目につきましては、期間が終了した後も、一定の必要な要件を満たしていれば、期間を延長して使えるという形の手続を取らせていただいています。特別研究員奨励費につきましては、延長する年度において特別研究員としての身分がある場合には期間の延長を可能とする予定です。余ったからそのままいいですねというわけではなくて、要件を満たしていれば、延長して使うことが可能になってございますので、今回の種目についても同様な取扱いになるかと思います。
【速水委員】
ありがとうございます。
【大野部会長】
ありがとうございます。
それでは、城山委員、お願いいたします。
【城山委員】
ありがとうございます。再度、若手研究者雇用支援のほうでちょっとお伺いしたいんですけれども、来年度から新設される学術条件整備のほう、100万円という額で出されていますけども、これの使途というのはかなり自由度がある形を想定されているんでしょうか。もともとの確か趣旨としては、まさに研究の自立性を担保するために、過大な事務負担がいかないように、そこを配慮してくださいよということがメインだったかなというふうに理解しているんですけども、例えば、この資料でいうと、社会保障の充実、細かいことだと社会保障の雇用者負担分とかをそこから出せるのかとか、あるいは、先ほど雇用のときの給与というのも、36万2,000円というのは下限で、柔軟に使えるということなので、まさに研究環境の整備の一環として、受入大学の意図として、それを例えば給与として環境向上につなげるみたいなことも許容するのかとか、その辺りについて、どういうような現段階でお考えなのかお伺いできればと思います。
【永田学術研究推進課長】
城山先生、どうも御意見ありがとうございます。この主な趣旨としまして、やはり雇用に切り替えるといったところから、社会保険料ですとか、そういった機関での負担が出てくるといったところがありまして、そういったところをしっかり手当てするというのがまずもっては趣旨になるかと思います。この特別研究員の雇用に伴って発生する費用に使っていただくということであれば、そこは柔軟な使い方ができるような仕組みと我々考えてございます。
【城山委員】
多分、そこは受入大学のほうの創意工夫も求められるということかなと思いますので、基本的にはいいことだろうなというふうに思います。ありがとうございました。
【大野部会長】
ありがとうございます。
それでは、続きまして、大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】
どうもありがとうございます。国際先導研究、あるいは特別研究員の奨励費の強化ということで、すばらしい取組が始まったと私も思っています。
細かい質問で恐縮なのですけれども、国際先導研究の中でPDを、これ、非常にいいことだと思うんですけど、若手を海外に派遣して育成するというプログラムが入っていて、その中にPDが含まれていたと思うのですけれども、そのPDの方も先ほどの機関雇用の枠組みというのは適用されるのでしょうか。そこは教えていただきたいと思いました。
【高見沢企画室長】
企画室長の高見沢ですけれども、国際先導研究のほうで書いてあるPDという点についてですけれども、こちら、一般的なポスドクのことを想定していますので、雇用される場合がほとんどかと思っております。
それに併せて特別研究員、日本学術振興会のPDについては、機関雇用される場合と、今までどおりのフェローシップの場合が出てくると思いますけれども、いずれもこの研究チームに加わっていただくということは妨げておりませんので、同じような活動ができると思っております。
【大竹委員】
分かりました。参加できるような仕組みが適当だと思いますので、ありがとうございます。
【大野部会長】
ありがとうございます。
白波瀬委員、お願いいたします。
【白波瀬委員】
ありがとうございました。私も、とてもいい試みで、すばらしいなと思いました。その反面、やっぱり受入先でのことが気になります。制度を作る側で皆さん、こんなに柔軟にこんなにいいですよとおっしゃるんですけど、実際に実行する側になると、かなり様々な問題が個別に出てきてしまうということがあります。両側でうまく連動し、実際に事がスムーズにいくようになるまで少しかかるのではないかという懸念があるので、既に先生方から御指摘もあったと思うんですけれども、失敗談や直面する問題、課題について共有していただくのがよいのではないかと思います。学生や若手研究者が所属する機関において、不利益が生じないような仕組みをぜひつくっていただければありがたいなと思います。その点だけよろしくお願いいたします。
【永田学術研究推進課長】
白波瀬先生、どうもありがとうございます。この制度設計に当たりましても、日本学術振興会のほうで幾つかの大学に意見を聞いたりして実際の雇用を想定しながら制度設計を行って、やっと公募に取り付けたといったところでございます。まだまだいろいろな課題は残っているかと思いますので、そういった課題が出てきた時点でまたいろいろ対応等については検討させていただいて、改善できるところから改善していくというところで取り組んでまいりたいと思います。
【大野部会長】
ありがとうございます。それはすごく重要ですね。新たにすばらしい仕組みをつくって、それがスムーズに動き出すまでには様々な誤解もあったりするかもしれませんし、事務手続上の整備が必要なところが出てくるかもしれません。そういうところも含めて、スムーズに全体が動くようにモニターをしていくということは極めて重要だと思います。ありがとうございます。
それでは、中野委員、お願いします。
【中野委員】
すみません、再度の質問です。この特別研究員の機関雇用という件に関してなんですが、機関側で複数財源で給与額を上げるというような、そういうことにも対応できるんでしょうか。特に大学側に渡されるお金は、社会保険とかいろいろなものに充てるということですが、複数財源になると、社会保険といっても、どの財源で雇われている分かとか、そういうのは切り分けがかなり難しいと思うんですけど、諸外国と比べると、やっぱり日本のポスドクの給与はかなり低いです。それを抜本的に改善するためには、複数財源ということも必要だと思うんですけれども、その点を答えていただけるでしょうか。
以上です。
【永田学術研究推進課長】
中野先生、どうもありがとうございます。先ほどもちょっと御説明したとおり、月額36万2,000円を下限とするということに設定してございますので、それを上げる分には、各機関のほうでいろいろな複数財源等を使いながらよりよい仕組みをつくっていただくということを我々期待しているところでございます。
【中野委員】
ありがとうございます。
【大野部会長】
その点も、あくまでも日本学術振興会の特別研究員としてのミッションを持っているという上で、プラスアルファのことができるということですね。ほかの財源を持ってきたので、エフォートの何%はこれをやってくださいという形になると、そもそも我々が今ここに考えている特別研究員ではなくなってしまいますので、そこの縛りはあるのかなと思いますけども、そこを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
【永田学術研究推進課長】
ありがとうございます。大野部会長が今おっしゃっていただいたように、現在も研究に支障のない程度のアルバイトといいますか、そういったところは許容されてございますので、そういった現在の制度は基本的に維持しつつ、しっかり特別研究員としての身分を持ちながら研究に従事していただくというのは、給料のプラスアルファについても同様な考え方で、機関のほうで取り組んでいただきたいと思ってございます。
【大野部会長】
ありがとうございます。
中村委員、お願いします。
【中村委員】
国際先導研究で応募したいという人がいて、最近一緒に話に乗っていたんですけども、今、日本のポスドクの人が外国に行ったときに、日本の給料では全く生活できない。向こうからさらにお金をもらうというようなことになって、そうすると、給料を両方で取ることになりますよね。そういう場合の税務処理の問題とか、それから、副業、兼業、その他いろいろありますよね。そういう問題が生じてこないのかなというような懸念を持っておられました。
今だんだん兼業の問題とかも出てくるので、整理が最近難しくなったんじゃないかと思うんですけど、その辺り、いかがでしょう。
【永田学術研究推進課長】
中村先生、どうもありがとうございます。その辺の各身分を持ちながら外国での研究をしていただく、外国での給与等ももらうといった場合には、それぞれの所属している機関でしっかり人材雇用等の規定整備をしていただいて、その中でしっかり取り組んでいただくということになろうかと思いますので、税務処理のところも含めて機関のほうでしっかり、事務サポートも含めて整備をしていただくということが必要なのかなと思ってございます。
その機関によってケース・バイ・ケースで対応が異なってくるのかなと思いますけれども、いろいろな懸案がある場合には、また我々のほうにも御意見寄せていただいて、対応できるよう検討してまいりたいと思います。
【中村委員】
逆に言うと、今年そのお金をもらって、来年から送るというようなケースになったときに、機関がそれを整備していないと、実際には実行できないということになるんですよね。それを機関がやってくれるかどうか、やってくれそうもない機関というのはあるので、その辺をどうしていくかという現実的な問題がすぐ生じてくると思います。
以上です。
【永田学術研究推進課長】
御意見ありがとうございます。
【大野部会長】
今、中村委員のおっしゃられたことも極めて重要ですね。大きな機関ですとエキスパートたちもいますので、こなせるということはあるかと思いますけれども、必ずしもそういう機関ばかりではありません。そのときにはぜひ、日本学術振興会になりますでしょうかね、こういうやり方もあるんだということを集めていただいて、問い合わせると、あ、そういうふうにするんだとか、なるほど、そういう幾つかのやり方があるんだということが分かるようにしていただけると、スムーズに動くと思います。よろしくお願いします。
ほかにいかがでしょうか。
上田委員、お願いいたします。
【上田委員】
ありがとうございます。皆さんが今議論されたように、制度としては非常に重要な制度だと思っています。
私の本務は今、NTTの基礎研に所属し、科研費を取得可能という意味で、議論の対象になると思うので発言します。ちょっとホームページを見ますと、機関はPDを常勤職相当として雇用と書いてあるのですね。この点確認ですが、御承知のように、企業は特に勤怠管理に関して、労基の関係で非常に厳しいです。研究者が10時以降に会社のファシリティーを使ったりとか、ネットワークを使ったりすることは禁止されているわけですね。1週間前に、例えば深夜勤を申請するだとか、かなり研究者にとっては制度的に不自由な環境になっているのですけれども、かといって、やっぱり受け入れることは非常に重要なので、こういう方々を特別扱いできるような措置といいますか、そういうことは可能なんでしょうか。
【永田学術研究推進課長】
個別に受入機関によっていろいろな諸事情が変わってくるかと思いますので、その辺、先ほども申し上げましたように、特別研究員の方々が自立的に研究できることを確保するといったことが機関としての要件となってございますので、そこはまた日本学術振興会のほうでも、しっかりそういう体制が組まれているのか、そういったところをチェックした上で、機関として登録していただくということになろうかと思います。
【上田委員】
そういうことを御指導いただけるという感じなのでしょうかね。ぜひそういう方向でやっていただくと、門戸も広くなりますので。ありがとうございます。
【大野部会長】
Q&Aを整備することは、今の何人かの委員の皆様とのやり取りで極めて重要だということが明らかですので、ぜひよろしくお願いします。
ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、引き続きこの仕組みの充実あるいは改善に努めていただければと思います。
それでは、次の議題です。第11期研究費部会の取りまとめについて審議をしたいと思います。まずは事務局より資料の説明をお願いいたします。
【高見沢企画室長】
資料2、10ページからの資料になりますけれども、御覧いただきたいと思います。
今回、第11期の審議の取りまとめに当たっては、先生方には、審議の効率化の観点で何度か素案をお送りさせていただいて、それを取りまとめたものが本日の資料になっております。本体資料は11ページから資料2-1となっております。この審議のまとめをまとめるに当たって幾つか御意見いただきましたので、それを補足するような形で全体を御説明させていただきたいと思います。
まず、今お示ししている目次ですけれども、第11期に推進した改善の内容が1にまとめられております。また、2としては、制度改善の観点で引き続き検討すべき課題というものを整理しております。
冒頭の「はじめに」ということで、12ページになりますけれども、我が国の研究力の向上に関して、大きな観点を示しているところであります。
具体的な内容になりますけれども、13ページからになります。この審議のまとめを作成するに当たって、前回の部会において、まず、現状と課題、特に俯瞰的な目で見たときの学術研究の置かれている課題ということに着目してほしいといったようなご意見ですとか、あるいは、科研費制度、かなり長い期間続いている制度ですので、かなり技術的に成熟している部分もあって、細かい技術的な話がどうしても増えてしまうということがあって、その辺りは報告書としては分かりやすい形でまとめてもらいたいといった御指摘をいただいていたところだと理解しております。
13ページからは、冒頭、現状と課題ということで幾つか出させていただきました。まずもって一番上ですけれども、研究力という観点で、論文の質・量から見た我が国の国際的な地位の相対的な低下傾向ということが課題として挙げられるかと思います。
あわせて、この第11期の2年の間というのは、まさに新型コロナウイルスの感染症の流行の中にあって、研究活動の国際的なネットワークが大きな打撃を受けたといったような状況があったというふうに理解しています。
また、日本特有の課題として、少子高齢化などもございます。日本の研究者の構成というのも大きく変化をしているといったことが、学術研究を支える大きな現状と課題として挙げられるかなというふうに思います。
こういった観点に対してどのように対処していくかということで、今回審議のまとめを整理させていただきました。
続きまして、どのような議論をしたかということで、14ページからになります。まず、14ページの1のところですけれども、国際頭脳循環・国際共同研究の推進ということで、特に前半で御議論いただきました国際先導研究の創設といった観点では、この研究費部会での審議を踏まえて創設に至ったということですので、その観点を整理しております。
一番上にありますような点、新型コロナウイルスの感染拡大で世界の情勢が激変しているという中で、研究活動の国際化に対するリスクが高まっているという状況を踏まえて、研究の開放性、透明性といった価値が損なわれないようにしていく必要があると。そのためには、国際的なネットワークの中できちんと研究が進められるような支援、さらには、世界をリードしていける若手研究者を育成していくといった取組を強化するといったことを基本的な観点としてこの部会で御議論いただいたかと思います。
それから、同じく14ページの一番下のポツですけれども、国際共同研究強化のBについて、研究費部会の議論では、種目の名称整備について御承認いただいたところですけれども、あわせて、現在国際的な価格の変動、各地域において特に研究を進めるに当たってのコストが大きく変動しているといったような状況を鑑みて、この国際B、名称を改めて「海外連携研究」においても、現在2,000万円の応募上限額についての見直しも必要ではないかという御意見を頂戴しましたので、部会の取りまとめとしてはそういった意見も盛り込んで整理しております。
それから、15ページのところになりますけれども、国際化を進めるといったことで、特定の研究種目の創設ということにこだわらずに、科研費全体で国際化を推進していく必要があるのではないかといった観点で整理しております。まずは(2)のところですけれども、学術研究の国際化に資する機能強化、データベースの機能強化ということで、成果を発信しているデータベースですとか、あるいは、審査委員の候補者をストックするデータベースですとか、幾つか科研費の運用に関わるデータベースがございますけれども、これらの中で国際化の状況が可視化できるような機能向上というのを進めるといったことを御議論いただいたと理解しております。
また、(3)のところですけれども、国際的なインパクトを醸成していく仕組みの構築ということで、科研費ですから、研究者個人、あるいは研究グループの研究活動を支援するというのが主目的ですけれども、その国際活動をきちんと支えていけるような機関のマネジメント能力、こちらの強化も必要ではないかという御議論があったかと思います。そういった観点で、機関のマネジメントを上げていくといったところのルールの改正ですとか、あるいは、審査の場では、最後のポツになりますけれども、国際共同研究の実施歴なども含めて、研究者の研究遂行能力を評価するといったような形で、機関での管理、あるいは審査上の観点といったところでも国際化をきちんと進められるような仕組みに変えていくということを御議論いただきました。
16ページからは、アカデミアを牽引する若手研究者の飛躍の支援ということで、具体的な内容については、資料1で説明したとおりなんですけれども、幾つかの観点を御議論いただきましたので、そこのところにポイントを絞って説明させていただきたいと思います。
まず、16ページの若手研究と挑戦的研究の重複制限の緩和というのは、制度の改善ということでお認めいただきました。
また、その下にあります(2)の特別研究員奨励費の抜本的な改善という点については、3点ございました。まず、基金化のところについてですけれども、基金化を進めるということと、あとは、国際共同研究強化という種目への応募を可能とするということがセットになって、若手研究者の国際的な活動の支援ということで御議論いただいたと思います。
17ページの上のほうになるんですけれども、特別研究員の中でも、特にDCの扱いについては御議論いただいたところであります。特別研究員(DC)は、博士課程学生でありまして、学位を取得する前の、学位取得を目指す段階にある立場ですので、国際共同研究強化ですとか、あるいは他の研究種目への分担者としての参画、そういったことを緩和していく一方で、そちらのほうの責任があまりにも大きくなってしまうと、そもそもの学位を取得するといった大目的に支障が生じることが懸念されるといった御意見もあったところであります。そのような観点の指摘ということについては、関係する研究者ですとか所属機関で十分に留意していただいて、先ほども孤立という話がありましたけれども、DCの学生がきちんと学位取得を目指しながら科研費で研究する機会を得られるというところを十分に留意いただきたいということで書いております。
それから、丸2 の学術遂行条件の整備という観点では、先ほど雇用支援制度を導入するということで進めておりますけれども、1点、真ん中の辺りですかね。科研費で研究遂行を確保するための仕組みを講ずるということにしておりますけれども、先ほど幾つか課題の指摘ですとか、これからその検討が必要になってくる観点等々、御指摘いただきました。そういったものも含めまして、やはりPD、雇用される側の研究員の意向と、あるいは雇用をする機関の採用方針双方で、制度導入時においては意見の調整ということが必要になってくるので、そういったところでは十分な調整期間を確保する必要があるといったことを書かせていただいております。
また、17ページの丸3 のところ、研究継続・発展のための改善ということで、今般、特別研究員奨励費が基金化され研究費の柔軟な使用が格段に向上するといったことを、さらに特別研究員制度の中で生かしていけるのではないかということで、今回、研究継続・発展という観点から、特別研究員が将来に展望を持てるような取組に変えていく必要があるだろうという御意見があったかと思います。
具体的には18ページの上のところですけれども、特別研究員の採用から、常勤の研究者など、科研費の応募資格を得るような立場で採用された場合では、研究支援が継続するように、特例的に科研費の継続使用を認めるという形で、一度お配りした特別研究員奨励費をそのままお使いいただけるという形で、特例的な制度改善ということを進めるということにしております。
それから、18ページの(3)のところですけれども、研究人材の流動性の向上についても御議論をいただきました。アカデミック・インブリーディングの件ですけれども、この問題というのが、研究費政策とどのような関わりがあるのかといったところがそもそもの論点としてあったかと思います。本来的には、機関の採用方針ですとか雇用政策上の課題であって、真正面から研究費政策として捉えることはなかなか難しいといったことがあったかと思います。一方で、科研費の中では、特に独立基盤形成の支援ということで、若手研究者の独立の際の負担を軽減する、あるいは、追加的な支援をすることで研究環境を整えていただくといった試行的な取組をしておりますので、何らかそういった後押しを改善できないかということで、御議論いただいたところです。
具体的には、一番下のポツにあるとおり、研究活動の質の向上に資するという観点で候補者の移動状況を確認した上で対象者を選定していくといったような審査プロセスに改善していくといったようなことですとか、あるいは、独立前後の研究者を支援するプログラムというものがJSTのほうで始まっております創発的研究支援事業というものですけれども、こちらでは、博士号取得後15年以下の研究者を支援対象とするという要件を設けておるんですけれども、そういった要件なども取り入れながらこの試行をさらに進めるということで、御議論をいただいたというところでございます。
それから、19ページになりますけれども、審査システムのさらなる改善ということで、基盤Bにおいて、小区分をまたいだ合同審査の導入といったことで、審査システムをさらに大くくり化をしていく観点での取組としても機能する合同審査といったことをお認めいただいたところであります。
19ページの下のところです。4番ですけれども、基盤Cの助成水準の考え方というところですけれども、ここについては、基盤Cの現状と課題というものを共有した上で、今後どうすべきかという御議論を何度かしていただいたところであります。基盤C自体は応募件数の増加が顕著でありまして、その状況の中で助成水準をどう保っていくかということが課題であったかと思います。
幾つか御意見を頂戴しまして、まずは応募件数の増加と多様性の確保という観点から重要であると。この基盤Cの支援は重要であるといった点は共有されているところです。これまで応募件数の増加に対して財源を確保し、配分状況の水準を保っていくということに努力はしてきていたところであります。一方で、応募件数の増加が顕著な場合には、採択率を優先するということをしてきたために、結果的には、十分な充足率の確保ということが難しい場面もあったというふうに思います。
一定の財源を確保した上で、その財源を増やしていくという方向性は何ら変わらないんですけれども、その確保の状況と比べて、さらに応募件数が多いという状況に対してどのように対処していくかといったところについて、ここでは考え方を整理していただいたところかと思います。まずもって財源確保が重要であるということは共通認識として持った上で、各採択された課題の研究の目的がきちんと達成できる、遂行できるといった観点で充足率の確保といったことを考えていかなければいけない状況になっているんではないかということで、ここでは、まず、充足率の回復といったことの方策を講じていく必要がある状況になっているんじゃないかという御指摘がございました。先ほど冒頭申し上げたような、国際的な研究を進める中で十分な資金が得られないといったような問題もある中で、充足率の回復ということが喫緊の課題として御議論されたというふうに理解しております。
それから、基盤研究について、20ページの一番上ですけれども、特に物価高騰のような話のみならず、オープンアクセスに伴う論文投稿料の確保ですとか、研究支援者の労働対価など研究活動を進める上で様々なコストが生じてくるわけですけれども、それらをきちんと確保していくという観点からも、充足率の確保ということが重要であるという御意見があったかと思います。
現時点で助成水準を確保していくべきであるという議論で一旦整理しておりますけれども、今後の課題としては、やはり基盤研究の応募上限額ですとか、あるいは研究期間の長さ、あるいはS・A・B・Cといった区分の構成、こういったもののそもそもの制度の立てつけについても研究が進めやすい状況に見直していく必要があるんではないかということで、検討課題として挙げさせていただいております。
20ページの後半からは、この部会で議論いただきましたけれども、まだ十分な議論がなされていないといいますか、差しかけの議論になっているものが幾つかございました。それらについて、検討すべき課題ということで並べさせていただいております。
まず、20ページの1のところの基盤研究の助成の在り方というところですけれども、まず、基盤研究の在り方ということになりますと、日本の研究力を牽引する原動力であるといったところは共通認識として持って、幅広い年代の研究者が独創性を一層発揮できるような、あるいは国際性を高めて、挑戦性を高めていけるような、そういった種目として検討していく必要があるということを冒頭に書かせていただいております。
部会の中の議論では、一つの例として、重複制限の緩和といったことを基盤研究の中でさらに広げていく方策はないかといったことで、特に基盤Cについては、重複制限の緩和はされていないという状況がございますので、例えば、大区分の異なる審査区分に限定して制限を緩和するとか、幾つか研究の可能性を高められるような方策を講ずる。そういったことを含めた助成の在り方の検討が今後必要であるということで書かせていただいております。
また、21ページのところですけれども、持続可能な審査システムの構築に向けた審査負担の軽減の検討ということで、こちらも応募件数の状況にどのように対処するかということが継続的な検討課題となっているというふうに思います。
まず、応募が増えるということに対して、それを消極的に捉えるのか、積極的に捉えるのかというところでの議論はあったと思いますけれども、ここでは、研究のボトムアップの精神からすると、応募件数を抑えるというよりは、応募をきちんと受け止めて、なお審査委員の増員ですとか審査負担の軽減、特にDXに取り組む中で負担を減らす、効率化を進めるといったような方向で持続可能性を追求する検討が必要ではないかといった御議論があったかと思います。
審査委員の増員については、特に若手研究者の方ですとか、審査未経験者の方の審査への参画ということが必要になってくるだろうということと、その際には、特に守秘の徹底ですとか利害関係者の排除といった、ピア・レビューの基本的なところについてきちんと理解をいただく。そういったことも併せて行う必要があるという御議論があったと思います。
それから、コロナ禍ということもあって、オンライン審査というのが一気に進みました。そういった検証がこれから必要になってくるということで、審査手続でDXをどのように取り込んでいくのか、審査の質を担保しながら業務の効率化を進めるといった観点の検討というのがまだまだ必要であるというふうに考えております。こういったDXのような取組というのは、この研究費部会で改善をしたから進めるというよりは、むしろ学術の動向に即したシステムとなるように検討を進める中で、実現可能なものから順次進めていくという点が重要かと思います。
それから、22ページの3ポツのところですけれども、学術変革領域研究の検証と日本学術振興会への移管の検討ということで、こちら、第10期の前期の検討として方向性が示されていたところですけれども、この2年間、国際化の検討ですとか、あるいは審査結果を2月末に応募者の方にお返しするという、審査結果の早期通知といったような取組も喫緊の課題として検討が行われました。そのような状況もあり、日本学術振興会の受入れ体制ですとか、審査・公募スケジュールの定着、そういった状況を踏まえないと、こういった大きな移管の検討というのはなかなか難しいと思われますので、これについては次期のこの部会において、計画的な進め方ということの検討が必要になっていると思います。
それから、23ページに「おわりに」ということで、この部会での第11期の議論について総括しております。まず、1パラ目については、科研費の歴史の経緯ということで、科研費が持っている助成機能ということへの期待の高まりについて書いております。
2パラ目のところですけれども、本部会の議論は研究力を向上する観点で、研究費制度をどのように改善していくかということが中心課題ではあるんですけれども、今般御審議いただいた、例えば、特別研究員制度の改革と研究費制度を連携させるといったような観点、そういった研究費制度に閉じない俯瞰的な議論ということをしていただいたと思います。
科研費制度の観点で見ますと、予算の充実ですとか基金化の推進ということが最も重要な課題として、これは継続して持っていく必要がありますけれども、この課題と他の学術研究政策の課題とどのような連携ができるのか。連携をすることによって、より付加価値の高い研究支援を追求していくことが重要であるといった御意見があったかと思います。
学術研究をめぐる全体の動向も踏まえた連携といった点について今後も目配りしながら、科研費の増額と科研費改革を継続的に進めていくことが重要であるということを最後に書かせていただいて、今期の審議のまとめとしていただきたいと思っております。
24ページ以降は、参考資料ということで添付しております。24ページは、ただいま申し上げたようなまとめの概要になっております。
25ページから27ページについては、科研費改革の工程表ということで、現在、科学技術・イノベーション基本計画の中でどのような取組が展開されてきたのか、あるいは展開されていくのかといったことを俯瞰して工程表にしてまとめております。赤文字になっているところが、今期の研究費部会において方針を示していただいたところでございます。
28ページ以降は、これまでの部会の中でお示しした資料、審議の際に用いた資料を抜粋して掲載しております。個別の説明は割愛しますけれども、一度御覧になり、御審議いただいたものをまとめたものであります。
あとは、委員会の名簿と、これまでの主な審議経過をまとめて、今期の審議のまとめとさせていただきたいというふうに考えているところです。
説明は以上です。
【大野部会長】
どうもありがとうございました。
それでは、今、第11期の審議のまとめの案について御説明いただいたわけですけれども、皆様からさらに御意見あるいは御質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
仲委員、お願いいたします。
【仲委員】
どうもありがとうございます。このおまとめ、本当に大変よく作っていただきまして、もう私からは何もありません。
こうやって伺っていて思うところは、昨今出てきた内閣府からの経済安全保障に関わる基金などのことであり、あれが例えば2,500億で、将来的に5,000億となっていたりする。科研費は全体で2,300、400億ではないかと思うんですけれども、こういうふうに考えると、科研費は全てオープンで、採択されたものは研究者がコントロールして、自由に行っていける。自由な発想の下、研究を行っていけるというのは、大変重要だと思うんですね。基盤Cの充実というのもそういう方向であるわけですし、改めてこの科研費の重要性を認識しているところです。
感想ですみません。本当によく作ってくださいまして、ありがとうございます。
【大野部会長】
ありがとうございました。
それでは、続きまして、大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】
ありがとうございます。私も仲委員のおっしゃったとおりで、科研費の重要性、あるいはどこを改善したのかということについて非常にうまくまとまっているなと。すばらしい報告書だと思いました。
その中でもう一つ共感した部分が、一番最後の今後の指針というところで、今後の学術の動向に注視しというところは極めて重要なのかなというふうに思っているところでありまして、ここで言及したいのが学術変革についてでございます。学術変革のA、Bというのは、融合領域を創出するという観点から非常に重要な取組だと思っておりますし、恐らくそういった潮流というのが、総合知という言葉もありますけれども、今、一つの流れになっているのかなと認識しています。
実際に採択率を先ほど見てみたんですけれども、不勉強ですみません。先ほど拝見したところ、8.3%がAで、Bが6.6%と、極めて低い。逆に申し上げると、ここの学術変革に申請している方々、研究者の方々というのは、我々の設計の想定よりもかなり多いというのが今の潮流というか、現状なのかなというふうに認識しております。
実際に文理連携の研究をやってみようというところで、小規模からやるときには、今、応募するところがかなり少ないのではないかというところもありまして、今年どうということではないですけれども、この部会の中でA、Bを充実させるとか、あるいは、例えばですけれども、Cについて検討するとか、そういったところも学術の潮流という観点からはあり得るのかなという感想を持っております。
以上でございます。
【大野部会長】
どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、城山委員、お願いいたします。
【城山委員】
御報告どうもありがとうございました。議論の内容を適切に反映していただいていると思います。
その上でちょっと個別の点なんですが、基盤Cの助成水準のところでなかなか微妙な書き方をされているのかなという印象を持ちました。恐らく、今回いろいろな議論があった中の共通項は、やはり競争的資金として、一定の充足率なり金額というのは必要だと。そういう意味でいうと、もちろん額が増えるということはベストなんだけれども、採択率というよりは、むしろ充足率にある程度注目していくということが必要だという、多分、そこは共通のコンセンサスでそこを明確に書かれているということかと思います。
その上で、表現がどうのこうのということではないのですが、若干感想めいたことになるんですが、1つは、基盤Cの冒頭のところで、基盤Cの性格として、採択件数が多く、同一機関内の研究者、1人の研究者が多いという。これは後ろのほうの参考資料でいうと53ページの資料かと思うんですけども、これはこれで指摘されている点ですね。
これは一つの重要なファクトで、53ページの資料もすごく興味深いと思うんですけども、これをどう読むかというのは結構微妙かなという気もします。だから、一つの読み方としては、個人だったり同一機関だったりという場合には、本来的には機関でサポートするべき話で、科研費のようなもののサポート対象から、場合によっては優先順位が下がるという発想もあり得ると思うんですね。ただ、ちょっとそういうことに踏み込もうと思うとかなり微妙で、恐らく分野の性格とか、いろいろなものがかなり違ってくるので、そこは相当議論があり得る話なんだと思うんですね。
この53ページの表を見てみても、確かに所属機関が1つの割合が7割5分というのは多いんだけれども、ただ、基盤Aとか基盤Bでも3割とか4割5分はあって、実は最大、第1位のカテゴリーではあるんですよね。そういう意味でいうと、同一機関内でやるということに若干ネガティブなインプリケーション、メッセージを発していいのかどうかというのも、この数字を見るだけでも若干微妙なところがあるので、この記述が独り歩きしないかなというのが少し心配なところというのが一つです。
それから、一番最後のポツのところで、投稿料だとか、支援者の労働対価だとか、物価高騰みたいのがあるので、多分、絶対額は必要な額は上がっていますよねという指摘があります。それで、そのときに、将来的には額だとか期間だとか区分を考えるというようなことで、ここのインプリケーションなんですけども、もちろん基盤Cも含めて、限度額を上げていくと。そういう意味では、場合によっては競争が激しくなるかもしれないというのもあるかもしれませんが、場合によっては、基盤Cと基盤Bの中間的なものを考えていくのかとか、多分、ちょっとここ、基盤Cの話だけじゃなくて、全体の話に広げられているので、いろいろなインプリケーションがあり得ると思うんですが、現在の記述でどのぐらいのことを念頭に置かれているのかということと、逆にこれはむしろ今後の課題としてどういうことを議論すべきかという、インプリケーションを我々としてどういうふうに発するべきかということに関わると思うんで、そこの解釈というか、意図の部分について若干確認をさせていただければと思いました。
以上です。
【大野部会長】
ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
【高見沢企画室長】
城山先生、ありがとうございます。先生おっしゃる点、特に基盤Cのところに着目した議論というのが多かったというふうに思いますけれども、まずもって競争的資金であるということが部会では確認されたかと思います。
あと、1人で行っている研究が多いとか、あるいは、8割が同一機関内の研究組織で行われているといった点については、基盤的な研究費として機関できちんと確保すべきであるといったご意見もあったことから、議論の経過としてこのような記述を加えさせていただいたところです。
一方で、おっしゃるように、基盤Cというのは区分の中の一つでありまして、本来的には基盤研究という一つの研究種目でありまして、その中で各応募者の先生方が研究計画で最も適切な区分を選択していただいているというのが制度上の立てつけかと思います。自由に区分を選択して応募ができるわけですけれども、現状において採択率の問題もありますし、実際に措置される充足率を勘案した研究費の配分において、十分な研究遂行ができないといったようなことが起きないようにしていかなきゃいけないというところが重要な点かというふうに思います。
そういう意味では、基盤Cにかかわらず、今後、基盤研究全体をどのようにしていくのかということを議論としては提起していく必要があるということで、具体的な中身については今後の検討ということになると思いますけれども、その検討の観点として、上限額の設定ですとか、研究期間ですとか、区分の構成といったことも視野に置きながら、研究種目としてどのような立てつけにしたら研究がやりやすくなるのか、そういったことの観点で基盤研究というのを捉え直してはどうかという議論としてまとめさせていただいております。
そこで止めてしまうと、今期で議論が終わりというような形になってしまいますので、20ページの下のところでは、引き続き検討すべき課題ということで、基盤研究の助成の在り方ということで項目を立てて整理させていただいたところです。
以上です。
【城山委員】
どうもありがとうございます。
【大野部会長】
ありがとうございます。これは非常に重要な論点の一つだと私も思います。今、城山先生がおっしゃられたところで、19ページの4ポツの最初の書き出しのパラグラフは、あまりネガティブにならないほうが確かにいいのかなと私は感じております。これだけの方々が応募されて、広く研究を支えているという事実は事実としてあります。今、1人で行われる、あるいは同一研究機関内の研究組織で行われているという事実はありますけれども、それをプラスあるいはマイナスとして評価するものではない形で表現を工夫するとよろしいのかなと思います。
今、城山先生の御発言の趣旨も多分そのようなものだったと受け止めましたけれども、それで間違いございませんでしょうか。
【城山委員】
そういうことです。よろしくお願いします。
【大野部会長】
ありがとうございます。
【高見沢企画室長】
例えばですけれども、本文のほうはそういった多様性を確保する重要な種目であるという共通認識として持ちつつ、例えば、注釈の形で、下に事実関係として少し付記をするというような形で、何らか工夫をさせていただければと思います。
【大野部会長】
よろしくお願いします。ありがとうございます。
【永田学術研究推進課長】
もう一点よろしいでしょうか。先ほど城山先生のほうから、学術変革領域の話題に触れていただいたかと思います。私どもも、やはり新しい分野を開拓していくという観点から学術変革領域は重要だというふうに認識してございます。
そういった面では、やはり予算的な充実ということも課題かなと思ってございまして、これまでも概算要求等で要求させていただいているところではあるんですが、前年同額というところで、なかなか伸びていないというのが正直なところでございます。
後ほど出てまいりますけれども、昨日、令和4年度の配分結果を公表いたしまして、今年度の状況も、コロナの影響もございまして、応募件数が若干減ってございます。これは繰越しの影響もあるかなとは思うんですけれども、そういったところから、全体のパイが変わっていない中で応募件数が減ってございますので、若干ですけれども、採択率は多少改善しております。その中でも、学術変革領域については、先ほどおっしゃっていただいたように、8%ですとか7%弱ですとか、他の種目に比べても非常に低いという影響がございましたので、もうちょっと採択率が高くなるように工夫しながら今現在進めているところでございますので、また御意見賜った内容を踏まえて検討してまいりたいと思います。
【大野部会長】
ありがとうございます。大竹委員が指摘されたように、極めて低い採択率であるということ、もう一つは、総合知の推進を受け止める方策として重要なカテゴリーであることが明示されていると良いと思いますので、これからの方向性としては、お考えいただく、我々の申し送り事項としたく思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
続きまして、福田委員、お願いいたします。
【福田委員】
福田でございます。とにかく全体としては非常によくまとめられていることと、今年、国際先導研究と特別研究員の雇用の問題がかなり進展して、特に国際先導研究は今年、補正予算ですけど、2度目の補正予算がついたので、これで継続化に向けてきちんと足場を築いたという点でとても大事だったんじゃないかなというふうに思いました。
このまとめそのものの意見ではないんですけど、ちょっと気にしていただきたいのは、これまでデフレ基調の中で科研費が一定同じような金額というのは、このままほぼ維持できたんだけれど、このインフレ基調の中で科研費の金額が一定ということは、実質的な減少になっていく。例えば、今見ても、いろいろな試薬等々が高くなっている中で、お金が同じということは、実質的に使える、質が下がるということを意味するので、最低限、物価に応じた上げ幅を維持していかないとマイナスになるということをとにかく考えておいていただかないといけないのかなというふうに思いましたので、今後、科研費がマイナスとか一定ということはあり得ないというつもりで、ぜひ最低限、物価に見合った増加は考えていただく必要があるんじゃないかということを言っておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【大野部会長】
どうもありがとうございます。引き続きぜひ対応をよろしくお願いしたいと思います。
それでは、白波瀬委員、お願いします。
【白波瀬委員】
ありがとうございました。とても本当によくできた報告書だというふうに思います。事務方の方、ありがとうございました。
特に今期は何をやったのかが明確に示されたというふうに思いますので、そういう意味でも大きな前進だと思いました。先ほどもちょっと申し上げたので繰り返しになりますけれども、今後モニタリングをしていただくというのが非常に重要だと思います。特に今回は、中心的な議論として国際化がありました。今、福田先生の為替レートの話も出てきましたけれども、実質的に運用する際、予想できなかった問題が様々なところで出てくると思いますし、問題に対処する際のマネジメント力、これ、大学それぞれの中の体力の差というところがございますので、この体力の差の中で日本全体の研究力といったときに、どう底支えをしてあげるのかというのも大きな課題として出てきたというふうに感じています。
そういう意味でも、今後の展開というところをさらに進めるためにも、今回の報告書はすばらしいと思いますけども、モニタリングして見直しをしていることも大切だと思います。あと、基盤Cの話なんですけれども、基盤Cに注目していただいたのは意味があったと思います。文系にとっては、この基盤研究は資金獲得という意味で唯一ともいうべき応募先であるというところはあるんですね。
ここの中でやっぱり分野の違いがあると思います。分野によってはティームを組むばかりでなく、1人で実施する場合もあります。また、所属機関からみた数値となると、その意味が異なってきます。ただ、少なくとも1人でやる研究があり、分野も多様であるということです。文系だけではなくて、看護分野もありますし、そこは誤解のないようにというふうには思うんですけれども、もう少し具体的な情報を簡潔にでも言及してもらえると数字の独り歩きというところは少し避けられるのではないか、と思いました。
以上です。
【大野部会長】
どうもありがとうございます。1人でも極めて重要な研究がありますので、そこのところをきちんと表現できるように改めるということにさせていただければと思います。ありがとうございます。
それでは、川端委員、お願いいたします。
【川端委員】
ありがとうございます。報告書はこれで私は別にもういいんですけれども、1点だけ、機関との関係、要するに、ファンディングという部分と同時に、先ほどのポスドクの機関雇用の話のように、機関がどういうふうにこれと連携していくのがいいのかというのと、機関の実情、要するになぜ基盤Cが増えてきているのかという。これ、機関側に金がないとか、何かそんな話の言い方もありますけど、極端な話をすると、機関側で研究者の人数を減らせば、研究費できるんですよ。でも、それをやったら多様性が消えていくでしょうというところから、研究者の数は確保しながら、じゃ、どうやってというところで、研究費側にしわ寄せがいっているというところもあって、基盤Cというものに関係がしているというのが1点と、もう一点は、やっぱりポスドクだからとか、若手のほうから見たときの大学研究の魅力というのが下がっているというのはすごく重要な点であって、大学での研究というのは、気楽に何か新しい挑戦をしようとしたときにやれる環境、だから、機器供与というのも進んでいますし、同じように、そんな大きな金額じゃなくてもいいから挑戦ができるような、ついつい大きく成果を求める話がすごく多いんですけど、そうでないスタイルというものがあって、大学に行くと、大学研究というのはやっぱり思いついたときにちょっとしたことがいろいろなことで試しができるみたいな、そんな話がベースにあって、それが魅力のすごく大きなところを持っているんだろうなというところで、ぜひ基盤Cとか挑戦とかという中に、そういう魅力的に見える大学研究というところのファンディングなんだというところも何か表に出ていけばいいなという、そんなような気がしました。
すみません。コメントなんで、よろしくお願いします。
【大野部会長】
ありがとうございます。多様性を支える最大のものが基盤研究、多数採択されている基盤研究だということですが、その魅力、あるいは重要性ということが分かるような表現ということだと思います。ありがとうございます。
それでは、井関委員、お願いいたします。
【井関委員】
ありがとうございます。私もコメントみたいなものなんですけれども、今回の報告書は、先ほど白波瀬委員がおっしゃったように、何をしたかがすごく明確で、今期は本当によかったなというふうに感じています。
もう一つ、18ページの研究人材の流動性向上に関してなんですけれども、今回、独立基盤形成の試行等があって、なるべく人に動いてもらうと。絶対動かなければいけないわけではないんですけれども、私も先日の国際学会で若い人としゃべっていたときに、アメリカですと、やっぱりラボを移動しないと、CV、履歴書がよく見えないという話を大学院生から聞き、そこまでアメリカというのは来ているんだと。先ほども言いましたように、絶対に動かなきゃいけないというわけではないんですけれども、結局人が動くということは、いろいろな経験をする、すなわちいろいろなことが学べるということなんですね。先ほど若手の方がいろいろな研究に参画するという。いろいろな研究に参画するのもいいんですけれども、でも、何かいろいろと参画した結果、自分の芯というのが何だったんですか、何なんですかということがなくなっても困るなと。
若ければ若いほど、やっぱりどうしても流されやすい部分というのは、いわゆるベテランに比べてあると思いますので、そういったことを考えながら、ぜひ次期、この研究人材の流動性を上げるようなことを検討していただければなというふうに感じております。
以上です。
【大野部会長】
どうもありがとうございます。申し送り事項の一つとして、流動性が重要であるという御発言をいただきました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、中野委員、お願いいたします。
【中野委員】
次期の委員会への申し送りということが可能であれば、やはり若手の雇用の安定というのは物すごく重要だと思います。今回のこの部会で、科研費制度と人材育成というのが連携してというか、協調して、いろいろな施策が出来上がったというのは非常にすばらしくて、また、特別研究員の機関雇用ということで、機関に対するメッセージも発せられたと思いますけれども、やはり今、若手が任期付きで働く期間の長期化というのが非常に大きな問題になっていて、それを解決しないと、ここでいろいろやった施策も最終的に生きてこない。海外へ行っていろいろ研さんを積んでも、日本に帰って安定したポストがないということでしたら、やはり安心して研究に打ち込めないということがありますので、これはこの部会で話し合っていることだけで解決する問題ではないですけれども、大学を含め関連機関に対してより強いメッセージを発して、雇用の安定というのにも全体として取り組んでいけるような、そういうことができればいいかなと思います。
以上です。
【大野部会長】
ありがとうございます。まとめのところにあります関連施策との連携というのがますます重要になっているというところで、それを申し送りたいと思います。ありがとうございます。
それでは、速水委員、お願いいたします。
【速水委員】
ありがとうございます。私も、まとめは本当によくまとめていただいているのと、それから、資料もとても見やすくて、いろいろ興味深いことが、発信力の一番、年齢のピークですとか、非常に面白い、見ていて触発される資料になっているなと思って拝見しております。
1つ、先の検討していただくことの中で、国際先導研究でどんどん進められていくこと、本当に結構なことだと思います。と同時に、国際発信を強化していくということが目的で、かつ、少子高齢化で研究者がなかなか大学の中で育っていかないということを考えますと、国際化といったときに、ただ単に日本の研究者が出ていって、あるいは国際的に発信をするというだけではなくて、海外から研究者が入ってきて、日本の大学に魅力を感じて、日本の大学にステイするということも念頭に入れていく必要があるのではないか。何か外国人が日本で発信しても、それはそれで科研費を出しても、外国人のために出しているだけじゃないかということではなくて、やはり日本の学術コミュニティーの中に外国人がたくさん入ってきている現状があると思うので、そういう人たちが自発的に発信できるような工夫も、少し念頭の中に入れていただければと思います。
今、例えば基盤研究の科研費に日本語のできない外国人が応募しようとすると、あまりフレンドリーではないんですよね。そこら辺も含めて、今後の検討の中に入れていただければと思いました。
【大野部会長】
どうもありがとうございます。非常に重要だと思います。国内外、で活躍する研究者が増えていくというのが極めて重要なわけですので、そういう意味で、国籍などではなく、我々の仲間としてコミュニティー全体の国際化をするというのが今の我々の方向性だと思います。それが制度の中にきちんと表現できるように、おっしゃられたような、誰かがついていないと研究費を1人で申請できないとか、そういうことじゃない仕組みにしていく必要があると私も強く思っているところです。
いかがでしょうか。ほかに御発言はございますでしょうか。
中村委員、お願いいたします。
【中村委員】
大変によくまとまったまとめで、感謝しております。これ、聞いていて思ったのは、大学の研究というのは、一つには人々の夢をかなえるというんですかね。自分の夢も、人々の夢も叶えるというのが一つ、もう一つは、社会問題を解決するという、この2つが両輪だと思ってずっと自分で研究してきました。科研費にも、人々の夢をかなえ、かつ社会にも貢献できる研究、というようなメッセージが今後きっちり入るといいんじゃないかというふうに思いました。
以上です。
【大野部会長】
ありがとうございます。全くおっしゃるとおりだと思います。
いかがでしょうか、ほかに御発言がもしございませんようでしたらば、皆様からいただいた御意見を踏まえて、事務局で修正した後、取りまとめについては部会長に御一任いただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、皆様の御意見を反映して、取りまとめさせていただきます。
最後の議題に移ります。報告事項が1件あるようですので、事務局より報告をお願いいたします。
【吉田企画室長補佐】
事務局でございます。資料3、62ページでございます。先ほど永田のほうからも少し説明させていただきましたが、令和4年度、本年度の科研費の配分の結果につきまして、昨日、1月31日付で公表をさせていただきましたので、その概要について御報告をさせていただきます。
グラフ、右側にも記載させていただいたところでございます。全体の概要でございますが、まずは令和4年度科研費について、主な研究種目9万2,000件余りの新規応募のうち2万6,000件余りを採択し、継続と合わせて8万3,000件に対して2,212億円を交付したという状況でございます。
主なポイントが枠内のポツで示してございます。まず、1つ目のポツでございますが、新規の応募の状況でございます。右側のグラフでいきますと、青色の棒グラフでございますが、コロナ禍に伴う継続課題の延長などが影響しまして、昨年度に引き続きまして、新規の応募件数が若干減少しているという状況となってございます。
また、新規の採択率でございますが、予算につきましては、前年度と同額を確保しているということもありまして、応募件数が減ったということもございましたので、新規の採択率につきましては28.6%ということで、こちらは2年連続で前年度を上回ったという状況となってございます。
また、先ほど国際先導研究の御質問の中でもありましたが、本年度、令和3年度の補正予算で措置いただきました、第1回目の国際先導研究の審査の結果でございますが、新規の応募が131件ございまして、そのうち15件が採択されましたので、採択率としましては11.5%ということで、非常に厳しい状況となったところでございます。
なお、国際先導研究につきましては、令和4年度第2次補正予算で措置いただきました。現在、公募してございまして、3月中旬に公募の締切りとなってございます。今後の予定では、日本学術振興会におきまして審査を行いまして、本年の11月頃に審査結果が出るというような予定で今現在進んでいるところでございます。
また、全体の研究種目ごと、または研究機関別の状況につきましては、一番下にございます文科省のホームページのほうに詳細を掲載してございますので、後ほどお時間ありましたら、御覧いただければと思います。
御説明は以上でございます。
【大野部会長】
ありがとうございました。
今の御説明に対して何か御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。本日の議題としてはこれで以上です。第11期の研究費部会としては今回が最後でございますので、もしこれだけは言っておきたい、こういうことは次に考えるべきではないかなど、何かございましたら自由に御発言いただければと思います。あるいは、今日の議題の中で少し言い残したことがございましたらぜひ御発言いただければと思いますが、発言のハードルを上げるつもりはありませんが、ぜひ何かお話をいただければと思います。いかがでしょうか。
仲委員、ありがとうございます。お願いします。
【仲委員】
ありがとうございます。先ほどの発言と重なりますが、やはり報告書のトップに書いてある開放性と、もう一つ、透明性。これがすごく重要だと思いますので、科学の発展のために、世界への貢献のためにも、ここが重要だと思いますので、これを信念として、さらに財源の確保を頑張っていただけましたらと思いました。ありがとうございました。
【大野部会長】
どうもありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
上田委員、お願いいたします。
【上田委員】
せっかくの機会なので1つだけ申し上げたいのですけれども、日本の研究力というのはやはりいろいろ問題視されているんだと思います。博士課程への進学率も低いですし、そういう中で、ダイバーシティーと研究の質の向上ということを、我が国においてどういうふうにかじ切りをするのかというのは、今、非常に重要なタイミングだと思います。先ほど基盤Cの話もありましたけど、充足率と採択率の関係ですよね。これは日本の財源がある程度リミテッドというのはもう皆さん分かっているので、一種のゼロサムになっているわけですよね。その中でちょっと中途半端に両方両立だとか言い続けても、やはり日本の研究の方針を決める上では、やや中途半端ではないかと思います。
個人的には、今、AIの研究などもGAFAには勝てないだろうという言い方をされたときに、質で勝負するのだと。理論研究は個人勝負だと。数では勝てないというようなことになっているようなところもあるのですが、分野によると思うのですが。そういう中で科研費において、充足率が減ると、研究計画が狂い、研究成果が中途半端になりかねません。一方でダイバーシティーはキープしないといけないと。こういうどっちつかずのことをやっていると、どちらもうまくいかないようなことにもなりかねないので、そういうところの方針はそろそろきちんと、どちらを優先するのかというメッセージを発する必要があるのではないのかと感じております。
以上です。
【大野部会長】
極めて重要なポイントです。第12期への申し送り事項として取り上げさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、今期最後の部会でございますので、まず、森研究振興局長から一言お願いできればと思います。
【森研究振興局長】
研究振興局長の森でございます。今、大野部会長からお話がございましたように、本日が今期最後の研究費部会となりますので、改めて委員の先生方に御礼を申し上げたいと思います。大野部会長、白波瀬部会長代理はじめ、委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところを本部会にお時間を割いていただきまして、これまで2年間にわたり精力的に御審議いただいたこと、改めて深く感謝申し上げたいと思います。
今期の部会では、新型コロナウイルス感染症の拡大等、学術研究をめぐる状況が激しく変化する中にありまして、科研費の改善充実に向けて、国際頭脳循環、国際共同研究の推進でありますとか、若手研究者の支援を実施する、さらには、基盤研究の助成の在り方などを中心に、様々な改善方策について御審議をいただき、御提言いただいたところでございます。
また、本日も御意見をいただいた審議のまとめでは、科研費制度改善に向けて引き続き検討すべき課題として今後取り組むべきこと、そして、課題等についておまとめいただいたところでございます。
文科省といたしましては、研究活動の国際化や若手研究者の育成、さらには研究機関のマネジメントの改善等にも資するような研究費の支援に向けまして、引き続き科研費の改善充実に取り組んでまいりたいと考えております。
先生方におかれましては、今後とも様々な形で我々に対して御指導、御助言賜りますようにお願い申し上げます。誠にどうもありがとうございました。
【大野部会長】
どうもありがとうございました。
最後に私からも一言だけ御挨拶申し上げます。今期2年間、貴重なお時間を頂戴し、皆様に非常に活発な御議論をいただきました。おかげさまで、先ほどの取りまとめに出てまいりましたように、2つのことが、この期に進みました。国際化と特別研究員の在り方です。まだまだ議論をしていかなければいけないことが多くはございますけれども、日本の多様な研究を支える研究力の基盤、原動力の科研費の重要性は増すばかりでございますので、部会を引き続きおやりになられる方、あるいは、これを機会に離れられる方もいらっしゃると思いますけれども、ぜひ私ども、力を合わせて、科研費をさらによくし、研究力を高めていく環境をつくってまいりたいと思います。
今期は誠に拙い司会でございましたけれども、ありがとうございました。
それでは、最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
【吉田企画室長補佐】
本日の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で公開をさせていただきたいと思います。
また、本日、審議のまとめにつきましては、大野部会長に御確認いただいた後に、確定したものにつきまして各委員に共有させていただきまして、内容につきましてはホームページのほうで公表をさせていただければと思います。
最後に、これまでの2年間、先生方におかれましては、御指導、御助言を賜りまして、誠にありがとうございました。
以上でございます。
【大野部会長】
それでは、今期の研究費部会はこれをもって終了とさせていただきます。皆様、これまで精力的な御審議、誠にありがとうございました。
 
―― 了 ――

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