第11期研究費部会(第3回) 議事録

1.日時

令和3年9月27日(月曜日)15時00分~16時30分

2.場所

オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 令和4年度概算要求について
  2. 若手研究者支援の改善・充実について
  3. 今後の基盤研究のあり方について
  4. 基盤研究(B)における合同審査の検討状況について

4.出席者

委員

大野委員、白波瀬委員、仲委員、福田委員、上田委員、尾辻委員、城山委員、中野委員、中村委員、山本委員、荒井委員、加藤委員、速水委員

文部科学省

池田研究振興局長、永田学術研究助成課長、高見沢学術研究助成課企画室長、吉田学術研究助成課企画室室長補佐、他関係官

オブザーバー

大野独立行政法人日本学術振興会システム研究センター所長、永原独立行政法人日本学術振興会学術システム研究センター副所長、岸本独立行政法人日本学術振興会学術システム研究センター副所長

5.議事録

【大野部会長】
  大野です。皆さん、こんにちは。時間となりましたので、これから第11期第3回の研究費部会を開催させていただきます。
まず、事務局に人事異動があったとのことですので、御紹介をお願いいたします。
【吉田企画室長補佐】
  はい。事務局に人事異動がございましたので、御紹介と、一言御挨拶をさせていただければと思います。
9月21日付けで研究振興局長に池田が着任してございます。
【池田研究振興局長】
  池田でございます。よろしくお願いいたします。
【吉田企画室長補佐】
  7月1日付けでございますが、研究振興局学術研究助成課長に永田が着任してございます。
【永田学術研究助成課長】
  永田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【吉田企画室長補佐】
  ほか、本日後ほど出席する予定でございますが、7月1日付けで大臣官房審議官に坂本、それから研究振興局振興企画課長に奥野が着任してございます。どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【大野部会長】
  ありがとうございます。
本日は、前回に引き続き、科研費による若手研究者支援の改善・充実及び今後の基盤研究の在り方を中心に御審議をいただきたいと思います。
それでは、まず事務局から、配付資料の確認と、オンライン会議の注意事項の説明をお願いいたします。
【吉田企画室長補佐】
  資料につきましては、事前にお送りさせていただきましたファイルを御参照いただければと思います。
本日、オンライン会議となります。事前にお送りした注意事項につきまして御説明をさせていただきます。
まず、音声の安定のため、発言時を除き、常時ミュート、マイクをオフにしてください。それから、部会長、委員を含め、メイン席の方は常時ビデオをオンに、その他の方は常時ビデオをオフにしてください。
発言される場合は、「手を挙げる」ボタン、こちらを押してください。部会長が指名されますので、ミュート解除、マイクをオンにして、その都度お名前を御発言いただくとともに、オンラインでも聞き取りやすいよう、はっきりと御発言ください。それから、資料を参照される際は、資料番号、ページ番号などを分かりやすくお示しください。
最後に、トラブル発生時には、事務局まで電話で御連絡をいただければと思います。
以上でございます。
【大野部会長】
  ありがとうございました。
それでは、議事に入ってまいりたいと思います。最初の議題は、令和4年度概算要求についてでございます。事務局からまず御説明をお願いいたします。

(1)令和4年度概算要求について

【永田学術研究助成課長】
  学術研究助成課長の永田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、私のほうから、令和4年度の概算要求について御説明させていただきたいと思います。資料の4ページを御覧ください。
こちらのほうが科研費について、令和4年度の概算要求の概要を示した資料でございます。対前年度比134億円増、全体としまして2,510億円の要求としているところでございます。その主な内容でございますけれども、左側の中段、令和4年度概算要求の骨子にありますとおり、3つの柱から要求してございます。
まず最初でございますが、前回の研究費部会でも先生方のほうから、国際共同研究の改善・充実に向けて御審議いただいたところでございますが、いただいた御意見等を踏まえまして概算要求をさせていただいたところでございます。1つ目としまして、国際共同研究の強化として、国際先導研究、仮称でございますけれども、新たな種目を創設すると。中身につきましては、高い研究実績と国際ネットワークを既に有するトップレベルの研究者が率います優れた研究チームによります国際共同研究を強力に推進するという内容になってございます。この内容としては、後ほどまた御説明させていただきたいと思いますが、国際共同研究を強力に推進することと併せまして、若手研究者、ポスドクですとか博士課程の学生、そういった若手の参画を要件化することとしてございます。そういった若手を海外に派遣・交流することによりまして、自立支援を行って、優秀な若手研究者を育成するといった観点も含む種目でございます。
2つ目としましては、若手研究者の重点支援でございます。こちらについては、平成30年度以降、若手研究の強力な推進という政府の方針に基づいて、採択率も40%ということで、ほかの種目に比べて、採択率並びに採択件数を強化してまいりました。そういった方々が今後、研究期間の終了に伴いまして、次のステップアップということで、切れ目のない支援を行うに当たって、研究基盤(B)の拡充ということを考えてございます。それに加えまして、次世代の学術研究を担う研究者の育成といった観点から、学術変革領域研究(A)と(B)の拡充といったことを挙げてございます。これらについては採択率が3%強から8%と、やや採択率が非常に少ないという状況がございます。そういったところから、採択率を10%に上げるということを目標にしまして、今回概算要求をさせていただいているところでございます。
3つ目としましては、政府の方針でもありますとおり、新興・融合領域の拡充といった観点から、学術変革領域研究(A)と(B)の拡充ということを図ってまいりたいと。これは先ほど申し上げました若手研究者育成と併せまして、再掲でございますけれども、この学術変革領域研究の拡充をしてまいりたいといった内容になってございます。
右側のイメージのところでは、その増額要求に係る部分の種目等につきまして、赤字で示させていただいているところでございます。
次のページを御覧ください。先ほど申し上げました概算要求の新たな事項の中でも、特に今回挙げておりますのが国際先導研究という新たな種目の創設でございます。RECONNECT Initiativeということで、国際共同研究とネットワーク構築の推進というところで挙げてございます。現在、コロナ禍の中、海外での共同研究というところが非常に落ち込んでいる現状がございます。そういった状況を改善すべく、アフターコロナを見据えて、研究国際ネットワークの再接続を目指すということを挙げさせていただいてございます。
具体的な内容でございますけれども、四角囲みのちょっと上にございますが、研究期間としましては7年間、評価等に応じまして10年までの延長可というようなことをイメージしてございます。研究費につきましては最大5億円、また、使いやすい資金という観点から、基金による措置というものを想定してございます。
今回の研究チームでございますけれども、応募要件にありますとおり、研究代表者となっていただきますPIには、国際共同研究の高い実績を有する方、具体的には、3年以内にトップ10%の論文を出されている実績、さらにはスポークスパーソンというような、プロジェクトをまとめられている実績を有する方、そういった方をイメージしてございます。そういった高い実績を有するPIの方が率います研究チームとしまして、下にありますとおり20名から40名程度の研究チーム、さらには、その内容としましてはポスドクですとか院生、そういった方々が約8割を占めるような構成で計画を立てていただくということを想定してございます。
その国際共同研究のカウンターパートとしましては、やはり海外のトップレベルチーム、日本の研究代表者となります方と既に関係をお持ちになるような海外のトップレベルチームとの共同研究をさらに加速するということをイメージしてございます。真ん中にございますとおり、ポスドク、院生、そういった若い研究者を長期間、全員ではございませんけれども、例えば5名程度を二、三年、交代で海外に派遣していただくというようなことをイメージしてございます。海外の現地に行って、トップ研究チームに加わってさらに研究を加速させる、そういった実績から、さらに日本に帰ってきてハイレベルな国際共著論文を発出していただきまして、世界と闘える若手人材に育っていただきたいということを考えてございます。
研究費としましては、先ほど最大5億円という話をさせていただきましたが、真ん中の四角囲みの上段にございますとおり、若手育成の経費の観点から、別枠で予算を措置するということをイメージしてございます。具体的には、ポスドク、院生の人数に合わせまして、プロジェクトの立ち上げ当初、初年度でございますけれども、研究環境整備ということで別枠で予算を措置すると。また、7年間の研究期間中にポスドクの方がテニュアとして採用された場合には、スタートアップ的な経費としまして研究費を支給するということを想定してございます。
海外の研究チーム等との国際共同研究を強力に推進するということでございますけれども、海外のチームにも相応の研究資金を分担していただきまして、お互いが対等の立場で研究をするということをイメージしてございます。前回の研究費部会でも様々な意見をいただいたところでございますけれども、いただいた意見等を踏まえながら概算要求をさせていただきました。これが予算措置につながるよう、我々精いっぱい努力してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【大野部会長】
  どうもありがとうございました。それでは、御意見ございましたら、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
仲委員、お願いいたします。
【仲委員】
  今の国際先導研究、大変すばらしい企画だと思いました。ありがとうございます。
1つお尋ねしたいんですけれども、この若手の方たちというのは、給料というような形での支給、経費の支給というのはあるのかどうか、お尋ねしたかったです。
【永田学術研究助成課長】
  制度的には、給料も出せる制度にはしたいと思ってございます。ただ、やはり限られた予算でございますので、ほかの制度で博士課程学生の支援等もあるかと思いますので、そういった支援を受けながら、こちらのほうのプロジェクトに参画していただくということも想定してございます。
【仲委員】
  ありがとうございました。そういう余地もあるということで、安心いたしました。
【大野部会長】
  それでは、城山委員、手が挙がっておられる。
【城山委員】
  はい。どうもありがとうございます。ちょっと細かい点なんですけれども、この新しい国際先導研究は基金にするということで書かれているんですけれども、一般的に、恐らく研究費は基金にしたほうが、かなり効率的な利用が可能になるということだと思うんですけれども、今回この新しいカテゴリーを追加的な基金の対象にしたときの説明というか、ロジックをどういうふうに整理されたのかというのを、ちょっと確認させていただければと思います。特に今まで比較的小規模なもので、恐らく効率的運用が可能になるようにというところで積み上げてきたんだと思うんですが、今回かなり大規模で、かつ人の移動、若い人の移動を伴うようなもので、プロジェクトの性格からして基金が望ましいという、多分ちょっと違う次元の理屈を立てられたのではないかなと思いますが、その辺りの議論の整理としてはどうなっているのかということと、他方、その間に挟まれたようなところも、恐らく長期的には基金化をしていく必要はあるんだと思いますので、そこに向けた戦略的なことがあればお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
【永田学術研究助成課長】
  御意見ありがとうございます。我々も科研費全体を基金化したいというのはこれまでも考えているところでございますけれども、徐々に基金化を図ってきたというところでございます。今回の新たな種目について、基金化でございますけれども、前の4ページを御覧いただきますと、既に国際関係の種目としまして、国際共同研究強化(A)と(B)、さらには帰国発展というところがございます。これが全て基金化で今措置されておりますので、この枠組みの中で新たに基金の種目として立てたいといったところでございます。今、先生おっしゃっていただきましたとおり、やはり長期間にわたる安定的な資金を確保する、海外との折衝をスムーズに行うといったところから、この種目については、ちょっと金額が高額ではございますけれども、基金化を図ってまいりたいということで要求させていただいているところでございます。
【城山委員】
  分かりました。国際関係が伴うので、ある程度長期的な安定性が必要だと、そういう理解ですね。ありがとうございました。
【大野部会長】
  続きまして、速水委員、そして中村委員、お願いします。
【速水委員】
  ありがとうございます。今の件とやや関わるんですけれども、長ければ10年間ということで、基金化で措置されるということなんですが、途中で中間評価などをして、その後に変動するということはあり得るのでしょうか。
【永田学術研究助成課長】
  延長するに当たっては、途中で中間評価を入れたいと思ってございます。評価を受けたからといって金額が増額ということではなくて、決められた予算の中で、必要に応じて期間が延長できるといったようなことをイメージしてございます。
【大野部会長】
  それでは、中村委員、お願いします。
【中村委員】
  大変にすばらしい企画ができたと思います。これが実現するということを前提に質問です。今までこういう国際事業というのは、外国側こちら側の関係というのが、なかなかすり合わせが難しかったわけです。つまり、こっちはお金をもらったけど、向こうはもらっているのかどうか確認するのに手間どるとか、そういうところを具体的に、学振あたりが、審査するのでしょうか。もちろんまだ通っていないので、イメージということで教えていただけますか。
【永田学術研究助成課長】
  その点につきましては、マッチングファンドとして、明確に要件化することはなかなか難しいかとは思っております。金額が幾らかということを明確にすることは難しいかもしれないですが、事前にどのぐらいの規模で相手方は計画しているのか、そういったことを証明するようなものを提出していただきまして、審査にかけていただくということを想定してございます。国際共同研究強化(B)のほうでも現在、そのような書類を提出していただいておりますので、こちらの新しい種目についても同様な審査方法というのを今、学振のほうで検討していただいているかと思います。
【中村委員】
  分かりました。アメリカあたりを考えると、みんな1人1年1億円ぐらいの研究費を持っているような人しか相手にならないでしょうから、それは比較的簡単にクリアできるでしょうね。どうもありがとうございます。
【大野部会長】
  それでは、山本委員、荒井委員、尾辻委員、そこで一区切りにまずはしたいと思います。
では、山本委員、お願いします。
【山本委員】
  すみません。全体の予定規模というか、採択規模というのはどの程度になりますか。
【永田学術研究助成課長】
  今回概算要求としましては、新種目で110億円を予定してございます。最大5億円という研究費を考えますと、採択としては15件程度を想定しているということでございます。
【山本委員】
  ただ、これは年次で進行していきますので、平準時になったときの採択件数と予算規模は幾らになりますか。
【永田学術研究助成課長】
  平準化するとしたら年間15件で7年間採択する規模になっています。
【山本委員】
  分かりました。かなり大きい規模ですね。了解しました。
【大野部会長】
  それでは、荒井委員、お願いします。
【荒井委員】
  ありがとうございます。すごい計画だなと思ったんですけれども、見当違いだったら申し訳ないんですが、JSPSのCore-to-Coreのプログラムがあるかと思うんですけれども、それとの明確な違いというのは、もっと博士研究員、院生を支援するというところが大きく違うと考えていいんでしょうか。
【永田学術研究助成課長】
  そうですね、明確という観点でいいますと、科研費はあくまでも個人補助の観点になります。学振でいろいろな事業をやっていただいておりますけれども、どちらかというと大学と大学であったり、ファンディングエージェンシーが間に必ずかんでやっているプログラムになっているかと思います。そこの点は明確に、ちょっと違っているのではないかと我々は思ってございます。
【荒井委員】
  ありがとうございます。
【大野部会長】
  それでは、尾辻委員、お願いします。
【尾辻委員】
  ありがとうございます。国際先導研究、大変すばらしいプログラムを立ち上げていただきまして、本当にありがたいと思っています。と申しますのが、我々、学術の支援に対して、特に学術振興会と文科省の間では、科研費制度の中で特別推進研究が一生に1回になり、さりとて基盤研究(S)の増額は難しいと。それから財務省に対しても、既存の種目に対する拡大というのは、例えば今回、基盤(B)は若手支援という名目がありますので、できますけれども、ハイエンドを伸ばす大型種目の拡大というのが非常に難しいという現状を認識しています。そういった中で、国際共同研究加速基金の枠の中に、特別推進クラスの極めて大きな種目をつくっていただいたということは、恐らくはそのハイエンドを伸ばすと、しかも国際競争力の低下を何とか回復したいという、一石二鳥の部分を狙っているのではないかというふうに思います。その辺の考え方について、そういったことで相違がないかということを、1つ確認させていただきたいと思います。今後もぜひ大型種目のほうも引き続き、御支援のための施策等、お願いしたいところであります。
以上です。
【永田学術研究助成課長】
  尾辻先生、御意見ありがとうございます。まさしく我々もそのように考えてございます。なかなかここ数年、科研費については2億、3億ぐらいの増しか認められていないという状況がございます。そういった中で、やはり科研費を伸ばしていくといったこと、さらには研究力の低下というものがいろいろ今言われてございますけれども、その一つとしては、やはり国際共著論文、2国間ですとか多国間、そういった国際共著論文が諸外国に比べて日本は伸びる割合が少ないというところがございます。そういった観点から、若手研究者を長期に海外に派遣しまして、そういったところでの国際とのつながりを強化して、さらには国際共著論文を伸ばして研究力を強化していただきたいという思いで、今回、新種目を立てているところでございます。
【大野部会長】
  どうもありがとうございました。まだ御質問もあろうかと思いますけれども、まずは議事を最後まで進行させて、時間がありましたら、振り返ったところで御質問をお受けしたいと思います。本件、非常にプラスの御意見が多く、私もとても期待しています。ぜひ実現するように取組をしていただければと思います。よろしくお願いします。
それでは、次の議題です。若手研究者支援の改善・充実について、こちらも事務局からまず御説明をお願いいたします。

(2)若手研究者支援の改善・充実について

【高見沢企画室長】
  学術研究助成課の高見沢です。資料2、6ページからの説明をさせていただきたいと思います。
飛んで7ページを御覧いただきたいと思います。前回この部会で出されました主な意見を整理しております。若手研究の在り方という点で、まず御意見がありました。若手研究者の研究奨励という登竜門的な扱いで設置されている若手研究、これの1回目の採択ということを見ないで重複制限を緩和するということについては、種目の在り方を含めた検討が必要ではないかという御意見がございました。一方で、重複制限の緩和ということ自体については、種目間の趣旨・目的の違い、あるいは採択の競争率の厳しさ、そういったことがございますので、そういったことを若手のうちから経験するということ自体は意義があるのではないかという御意見もございました。また、種目間の重複制限の緩和の状況、重複制限の採択の状況について、一部、学術変革領域研究(B)というものについての応募動向ですとか、重複応募の状況についての情報共有もしてほしいといった御要望があったかと思います。
次の8ページを御覧いただきますと、現在の重複応募制限の状況と、緩和の状況ということで整理したものでございます。本日の議題の関連するところとしましては、若手研究から縦に3本、矢印が延びていると思います。基盤研究のところ、若手研究2回のみ重複応募可というところ、それから学術変革領域研究(B)に延びています真ん中の縦の長い矢印、それから、一番右側の挑戦的研究のところにかかっている、黄色い枠になっております重複応募が不可となっている、この3点について、前回に引き続き御審議いただきたいと思います。
まず、前回御要望のありました学術変革領域(B)との重複応募の状況について、事務局で調べたものを9ページに御用意しております。9ページを御覧いただきたいと思います。少し細かい資料で申し訳ありません。幾つかかいつまんで御説明をさせていただきたいと思います。
まず学術変革領域研究(B)について、留意しておく点が2点ほどございます。まず、学術変革領域研究自体がグループ研究になっておりますので、領域代表者が45歳以下であるということと、その下に幾つかの計画研究がぶら下がってくると、数課題がまとまって領域を形成するという支援になっている点。それから、令和2年度の特例的な状況ということですけれども、予算が措置されて、予算が認められた状況の中で、令和2年の1月から、要は冬場から公募を開始したということで、そこの表にあります挑戦的研究あるいは若手研究については、その年の秋に公募がなされて、学術変革領域のほうはその後、冬に公募がかかったということで、少し公募のタイミングが違ってございます。そういった状況の中で、令和2年度どうだったかということを整理させていただきました。
表のところを御覧いただきますと、まず学術変革領域(B)に応募したものは2,939件でございました。採択率は非常に厳しくて、3.1%という状況でした。この学術変革(B)の中で挑戦的研究の開拓、萌芽、それから若手研究、これらに重複応募した課題がどれぐらいあったかということを整理しますと、挑戦的研究に対して592件、大体2割程度が重複応募しておりました。それ以外のところは6%程度ということで重複応募がございました。
これらの採択の結果ですけれども、挑戦的研究の開拓のところ、青字の数字をこれから説明したいと思いますが、重複応募で応募された課題の中で、例えば挑戦的研究の開拓と重複応募したものについて、学変(B)での採択は9件ということで、採択の成功率で言いますと4.9%。一方で、挑戦的研究の開拓のほうに採択されたのが22件ということで、12%ということになりました。一番上の枠囲みのところ、それぞれの種目の応募、採択、採択率のデータも載せておりますけれども、例えば開拓で見た場合には採択率9.2%だったところが、重複応募にかかったものだけで見た場合には12%となっておりました。また同様に、挑戦的研究の萌芽について見ますと、萌芽的研究自体は12.8%の採択率であったんですけれども、学変(B)に重複応募した課題の中での成功率ということで見た場合には、萌芽のほうは21.1%。同様に若手研究の場合は、全体40%のところ、この重複をかけたものの中で見ますと63.7%ということで、採択率、競争率自体は全体と比較してもかなり高い成功率となっているかなということで、若手研究者の挑戦には一定程度の寄与が認められるのではないかなというふうに思われます。
また別の観点から同様の整理をさせていただいたものが10ページにございます。10ページは、今度は若手研究のほうから見た場合に、前回基盤(B)だけ御覧いただきましたけれども、これに、今見ていただきました資料、学変(B)についても両方並べさせていただきました。これで見ますと、例えば若手研究の応募をしたうち、基盤研究(B)に重複応募したのは559件、それから学変の(B)に応募したのが190件という状況になってございます。若手研究とそれぞれの種目、両方に採択になっているものは、基盤(B)では107件ございましたけれども、学変(B)のほうはゼロ件、あるいは、若手研究と学変(B)に重複応募したもので、学変(B)のほうだけに採択になったというものはございませんでした。一方で、先ほど申し上げましたとおり、若手研究のほうの採択の状況というのは、全体平均よりも高いという状況が認められるかと思います。特に学術変革の(B)という種目の趣旨、特にグループ研究ですとか、あるいは採択件数の少なさといったところから、実際若手研究者の応募に対して、その挑戦意欲を学術変革の観点から受皿としていくということについては、まだ十分機能していない面もあるのかなというふうに思われます。
本日御議論いただきたい点、11ページに整理させていただきました。3点ほどございます。まず若手研究の趣旨・目的、前回の御議論を踏まえますと、1回目から重複制限を緩和するということについては、もう少し議論が必要ではないかというふうに考えられます。一方で、重複制限の緩和ということは、研究者の挑戦あるいはステップアップの可能性を高めるということから、若手の研究意欲を喚起することが期待されるのではないかということで、一番下の丸ですけれども、若手研究の2回目と挑戦的研究の開拓について、重複応募、受給制限を緩和していくことによりまして、若手研究者の支援をさらに充実してはどうかということで、この点について御意見を賜れればと思います。
説明は以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございました。これは前回から継続の審議事項ということでございます。皆様から、御質問あるいは御意見を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いします。
中野委員、お願いします。
【中野委員】
  質問ですが、学術変革の(B)が若手研究応募者の挑戦意欲の受皿として十分に機能していない可能性があるとおっしゃったのは、学術変革領域(B)の規模がまだ十分ではないということをおっしゃっているのでしょうか。
【高見沢企画室長】
  ありがとうございます。こちらのほうで考えておりましたのは、まずは先生おっしゃいましたような採択件数の少なさということもございますけれども、学術変革のもともとの趣旨がグループ研究ということですので、仮に個人の計画研究がいいものがあっても、領域全体としての構成によって不採択になってしまう場合があるということですと、個人の挑戦意欲を喚起するというところでは十分な受皿になり得ないところもあるかなというふうに考えたところです。
【中野委員】
  分かりました。受皿にはなっていないかもしれないですが、学術変革領域(B)と若手と重複応募した方は、若手の採択率がかなり高いわけですよね。
【高見沢企画室長】
  はい。
【中野委員】
  やはり学術変革の特徴として、複数の研究者がそれぞれの研究計画について検討する中で意見を闘わせるというか、ブラッシュアップしていくという過程があると思います。そのような過程は、それなりに、研究者のレベルアップのためには効果があるように思います。
以上です。
【大野部会長】
  ほかにいかがでしょうか。
山本委員は手が挙がっていますけれども、これは先ほどの挙手のものでしょうか。
【山本委員】
  すみません、下ろし忘れていました。
【大野部会長】
  はい。いかがでしょうか。
加藤委員。
【加藤委員】
  加藤です。若手の可能性を伸ばすということで、すごくいい御提案だと思います。この学術変革領域(B)の採択率を抑えている理由が、よく分からないので、教えていただけないでしょうか。
【高見沢企画室長】
  ありがとうございます。これ自体は、創設時の予算規模、それに対して非常に応募が多かったということで、用意した財源に対して応募が非常に多かったということが一番大きな原因かと思います。ですので、いたずらに件数を減らしたというよりは、結果的にこのようになっているという現状でございます。
【加藤委員】
  それでは、これに関してはもう少し拡大する方針というのは今のところはあまりないという理解でよろしいでしょうか。
【高見沢企画室長】
  令和4年度の概算要求においては学術変革領域研究(A)(B)の拡充についても入れさせていただいております。
【加藤委員】
  ありがとうございました。
【大野部会長】
  それでは、荒井委員、お願いします。
【荒井委員】
  ありがとうございます。すみません、教えていただきたいんですが、11ページの一番最後の丸で、若手研究2回目と挑戦的研究開拓との重複がオーケーというのは、挑戦的研究の萌芽はどうなって。駄目なんですよね。それが萌芽ではなくて開拓なのはどうしてなんでしょうか。
【高見沢企画室長】
  ありがとうございます。事務局のほうで幾つか検討していく中で、萌芽的研究についてはかなり応募件数が多いということですので、重複制限を解除したときの審査の負担というのがかなり出るのではないかというふうに思われるということと、あとは、これはまた別途制度上の議論が必要になると思うんですけれども、挑戦的研究萌芽の応募総額と若手研究の応募総額、両方とも500万円になっておりますので、ステップアップあるいは可能性をさらに上に上げていくといった点で考えますと、その研究規模が同じものを広げるということについては、もう少し議論が必要なのかなというふうに考えたところです。
【荒井委員】
  そうなんですね。萌芽が審査件数が多いというところでちょっと、聞いていたと思うんですが、ショックなのは、こことは話が違うんですけど、基盤(C)との重複制限も何とかならないものかなと思っていたもので、また別のお話にはなりますが、今のお話で分かりました。ありがとうございます。
【大野部会長】
  それでは、よろしいでしょうか。
福田委員、お願いします。
【福田委員】
  この改善・充実の方向性は、私、これでいいと思うんですけど、ちょっと分からなかったのは、2番目のところですね。これ、エビデンスは何かあるのか。これはエビデンスがなくても、そういう結論になるのではないでしょうか。今回いろいろ調査したそのエビデンスがここでは生きていないと思いました。この結論を引き出すためのエビデンスは今回の調査で得られていますでしょうか。その辺りを教えていただけませんでしょうか。
【大野部会長】
  今のは11ページの真ん中の丸のところでしょうか。
【福田委員】
  そうです。
【高見沢企画室長】
  福田先生、ありがとうございます。こちらのほうはエビデンスベースの話ではないんですけれども、少なくとも複数の、重複応募している研究者については、一方の採択率がかなり高くなると、平均よりも高くなるという状況が見てとれますので、それなりに重複を選択される研究者の方については、こういった研究意欲を高める効果があるのではないかというふうに推察したところです。全体審議をまとめる際に留意したいと思います。
【大野部会長】
  よろしいでしょうか。まだ何か。
【福田委員】
  いや、もういいです。結構です。
【大野部会長】
  では、続きまして中野委員、お願いします。
【中野委員】
  先ほどは質問だったんですけど、今回は意見です。最後の若手研究2回目と挑戦的研究開拓の重複応募・受給制限を緩和するということに賛成します。参考になるのは、基盤研究(B)との重複制限の緩和だと思います。重複して応募された方で両方に採択されている方という例が非常に多く、若手研究の中でもレベルの高いものが基盤研究で採択されているというのが分かります。予算規模的にも、基盤研究(B)と挑戦的研究開拓というのは同等で、若手以外でも両者の重複制限が緩和されている種目なので、若手研究との関係も同じにするというのは良いと思います。
以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。
それでは、山本委員、お願いします。
【山本委員】
  ありがとうございます。私も開拓との重複は問題ないと思います。それで、若手が参入してくるということに、開拓のほうから見るとなるわけですけれども、開拓のほうは採択率9.1%という状況にあります。やはり開拓のほうの予算規模を増やすということも大事かと思います。それは現在、基盤(B)のほうで、若手支援ということで概算要求しておられるということだと思いますが、同様の論理で、やはり開拓のほうの予算増ということを来年度以降お考えになると非常にいいかなというふうに感じました。
以上です。
【大野部会長】
  どうもありがとうございます。事務局いかがですか、今の件は。
【高見沢企画室長】
  山本先生、ありがとうございます。そのような方向を踏まえて、引き続き検討を進めたいと思います。
【大野部会長】
  白波瀬委員が手を挙げておられたように思いました。
【白波瀬委員】
  時間があれば、少し意見です。
【大野部会長】
  はい。
【白波瀬委員】
  全体の流れとして、私自身はあまり詳しくないところもあるので、混乱している部分があるんですけど、若手の採択率を上げるという議論と、学術変革(B)で重複制限の議論との兼ね合いについてです。このデータをどう読み込んで全体の若手支援のところの方向性に反映させていけばよいのかが、少し見えにくい感じがあります。そもそも採択率がどれぐらい上がっているのかとか下がっているのかとかいうところですね。あとは学術変革領域(B)のほうから見たときの結果の数値をどう読むかというのも、全体議論する場合区別したほうがいいかなという、感想です。
以上です。
【大野部会長】
  事務局から何かありますか。
【高見沢企画室長】
  ありがとうございます。本日の議論は、少なくとも基盤ですとか学術変革ですとか挑戦的研究といった各種との制度の緩和ができていないところがあるといった点から、挑戦的研究を取り上げさせていただきました。全体で若手研究のキャリアアップあるいはステップアップをどう支援していくかというところは、本日の議論も踏まえて、全体審議のまとめに向けては整理させていただきたいというふうに考えております。
【白波瀬委員】
  はい。
【大野部会長】
  ほかにいかがでしょうか。
中村委員、お願いします。
【中村委員】
  重複制限を解除する方向に動き出したのは大変よいことだと思っています。この重複、もう15年ぐらい前からやっています。前から懸念していたのが、若手にしろ誰にしろ、テーマは1つだけ、ということを政府が要求してきたわけです。これではもう研究のスケールがどんどんどんどん小さくなりますよね。この悪影響が出ていると思います。若手の人には「テーマは3つぐらいやれ」というようにエンカレッジするほうが、先に伸びていくんだと思うんですね。ですから、重複制限はとにかく外して、みんなが幅広いテーマを探求できるようにするということが、まさに科研費の重要な在り方だと思います。
【大野部会長】
  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
私のほうからも意見を言わせていただきますと、若手研究をそもそも設定してあるのは、若手をエンカレッジしようということで、そこにまず手厚くする。一方、若手も一人前の研究者ですから、ほかの種目に挑戦することは問題ないと私は考えます。そういう意味で重複制限というのはどんどん外していくのだと思います。
前回もたしか、福田委員でしょうか、お話しされていたかと思いますけれども、審査負担が大きくなるということであれば、それに対応する別な方策を考えるべきであって、若手研究と挑戦的研究は重複してはいけないというと、若手の人たちを支援するために設定した枠のおかげで若手は挑戦できないというメッセージにもなってしまうので、今回の方向というのはとてもいい方向だと私は感じます。
上田委員、お願いします。
【上田委員】
  今、大野先生のコメントを受けて、私も同感なのですけれども、萌芽のほうとか、その辺の制限もなくしていいと思うんですね。つまり、そこの制約というのは、先ほど審査の負担増とおっしゃいましたけれども、今、AI関係では、相当な論文数増えていますけれど、逆にレビュアーをどんどん増やしているんですね。つまり若い人に、研究するだけではなくて、評価というような立場でも十分勉強になるので、もっと評価者を若手からも増やすということで、研究をすると同時に、評価の能力といいますか、そういうことも切磋琢磨させるという意味では価値があると思います。審査の負担増のために重複を制限しているというのでしたら、そのような制限は全部外したほうがよい。かつレビュアーをもっと若手からもどんどん増やすというような方向でやると、自ら、どういう申請書がよいのか、どういう研究が本来よいのかということも学べるので、萌芽の方も重複制限を外してはどうかというふうにも思います。
以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。
城山委員、お願いいたします。
【城山委員】
  どうもありがとうございました。基本的には大野先生が言われたことに全面的に賛成なんですけれども、ただ結局最後、やはりその審査負担の話で制約条件になっているところが幾つかあるんだと思うんですね。だから先ほどの御意見でも、結局何で挑戦的研究のうち開拓だけを対象にしたかという1つの理由は、やっぱり審査負担の話が大きくて、それからもう一つ、その金額規模が同じですという話があるのですが、それがどのぐらい制約要因になるかは、若干クエスチョンがあるんだろうと思います。つまり、新しいテーマをやるときに、新しい挑戦的なテーマが額が上でなければいけないというのも、何かそれはそれでおかしい気もするので、そうすると要するに、今の段階でなぜ開拓が対象で萌芽が入っていないのかというのは、やっぱりその審査負担が利いているんだろうと思います。
あるいは、これはどなたかの御意見でもありましたけれども、基盤(C)に挑戦との重複を認めていないというのも、恐らく、金額がこの場合にはほぼ同じだというのもあるかもしれませんが、実質的にはやはり審査負担の問題なんだろうと思います。特に分野によっては、多分基盤(C)でも実質的な研究ができる分野というのもあり得て、そういう方が新しい分野についても実は勉強したいというときに、それを額が少ないからというだけで制約するのは、やっぱりちょっとかなり無理がある理屈かなと思います。そういう意味で、大野先生が言われた、審査負担というのはもちろん考えなければいけないんだけれども、それは基本的には別の方法で考えるべきだという点を、今すぐとは申しませんけれども、ちょっと考えていくことというのは、やはり宿題として残るのではないかなというふうに思いました。
以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。
ほかにもし御意見がないようでしたら、いつも時間の関係と申し上げて誠に申し訳ありませんけれども、次の議題に移りたいと思います。
今後の基盤研究の在り方について、こちらもまず事務局から説明をお願いいたします。

(3)今後の基盤研究のあり方について

【高見沢企画室長】
  ありがとうございます。基盤研究の在り方について、前回、自由討議いただきましたけれども、今回も引き続き、幅広い御意見を頂戴できればと思っております。
13ページのところをまず御覧いただきたいと思います。左側のほうですけれども、前回この部会でいただきました主な意見を整理しております。一番上にございますとおり、基盤的経費の役割を実質的に担っているということで考えますと、先ほど来御意見いただいているような論点になろうかと思いますけれども、応募が増加する中では、その審査体制をどうするべきかということをまず考えていく必要があるのではないかという御意見がございました。一方で、基盤(C)というのは多様性を維持する上で必要な種目であって、その位置付けを考えるときには、デュアルサポートの構造というのは確保していく必要があるという御意見。それから、基盤(C)の獲得が今後さらに増えていく可能性があるのではないかという御意見。それから、研究期間を含めた、現状に合わせた種目の在り方を検討すべきではないかといったような御意見が出されたかと思います。
本日は、その基盤(C)、特に基盤(C)について少し御意見を深めていただくという観点で、データを整理させていただきました。4点ほど、これから御覧いただきたいと思います。
まずは基盤(C)の配分の概観というところのマル1番ですけれども、基盤研究(C)については、特定の審査区分、セクターで応募が大幅に増加しているという状況が見られるということ。それから、マル2番にありますとおり、1機関当たりの執行件数というのは大体30件ぐらい、平均でございます。それから、マル3番ですけれども、各機関別に件数、あるいはその大学の中で採択の占めているシェアというものを見ますと、大学によってかなり違いが出てきている可能性があるということ。それからマル4番ですけれども、基盤(C)の採択課題の8割は、大体同一機関の中の研究組織で構成されているという状況が見てとれます。
順次見ていただきたいと思いますけれども、14ページについては、まずは応募件数の推移ということで、医歯薬系、それから人文学、社会学といった応募件数が、平成25年から29年度にかけて増加している状況がございます。また15ページは、同様のデータでありますけれども、審査区分が変わったこともございまして、改めて整理をさせていただいていますが、左から2番目のところ、ここが私立大学のセクターのデータですけれども、オレンジ色のものが5,000から6,000まで、応募件数が伸びていますが、これが人文・社会科学関連のところで、そういったところでの伸びが顕著に見てとれます。
それから、16ページのところですけれども、これも非常に細かいデータで恐縮ですが、一番上に整理しておりますとおり、基盤研究について、基盤(C)については、その採択を管理している大学というのは1,220機関ございます。今、科研費の採択を管理できる機関が1,945機関ございますので、大体6割ぐらいの機関で基盤(C)が管理されている、すなわちそれだけ広く採択者が広がっているという状況で、1機関当たりの執行管理件数というのが右から2番目のところですけれども、国立大学で見ますと1大学当たり206件ぐらいなんですが、全体で見ますと1機関当たり32件という状況になります。
それで、16ページの下半分のところについて御覧いただきますと、採択上位10大学でどの種目をどの程度採択しているのかというものを整理したものでございます。東京大学あるいは京都大学のところを御覧いただきますと、右から3番目のところに基盤(C)の採択件数がございますけれども、800件から900件ということで、数自体は非常に多いんですけれども、その大学での採択件数自体が3,000ないし4,000ということで、実際に基盤(C)が占めている割合というのは20%台という状況になっております。上位10大学のところを見ていただきますと、大体30%台のところが非常に多うございます。
一番下のところは、科研費の採択件数全体の8万3,000件のデータを横に並べてみますと、大体基盤(C)のシェアが48%、約半分占めているということですので、上位の大学ではそれよりも低い状況になっているということで、逆を返せば、それより下位の大学になってくると基盤(C)の割合が多分増えているだろうという状況が推察されます。
それから、17ページですけれども、これは基盤研究において、研究組織、研究組織は研究代表者と分担者で構成されますけれども、その人数と、所属機関の分布状況を調べさせていただきました。上のヒストグラムは、左から基盤(A)(B)(C)と並んでいますけれども、横軸に研究組織の人数を取っておりまして、その人数の課題がどれぐらいあるのかというのを整理したものでございます。一番右側に基盤(C)がございますけれども、基盤(C)の研究組織の人数、1というのは個人で、1人でやっているというものですが、その課題数が6,800件ございまして、基盤(C)全体の半分以上を占めているという状況になっています。基盤(A)あるいは基盤(B)については、研究組織の人数が3人とか4人といったところで比較的広がりがあるんですけれども、基盤(C)については個人でやっているという状況が顕著に出ているかなというふうに思います。
また、下のセルになっている表ですけれども、これは縦軸に、今申し上げた研究組織の人数を取っています。横軸に研究機関数を取っているんですけれども、1人でやっているところ、例えば基盤(A)の1の1というところが90件ございます。基盤(A)で見ますと、下に行くほど研究組織の人数が増えるんですが、それに合わせて研究機関数というのもピークになるところがどんどん多くなっていくと。黄色く塗ってあるところは、研究組織の人数で一番多い研究機関の場所ということで塗っておりますけれども、人数が増えれば研究機関の数も増えていくという状況が基盤(A)(B)共に見えてくるんですが、基盤(C)を見ていただきますと、研究組織の数が1から6以上と増えていくんですけれども、所属機関数自体は1のところが一番ピークが出ているということで、同一機関で進められている研究が大体75%という状況がありまして、同じ基盤研究の中でも(A)(B)とは少し違った分布になっているのかなという状況でございます。
18ページは、科研費において、機関内での支援という形で行われている取組について掲載させていただいております。ここで挙げています例示で見ますと、より大型の種目にチャレンジする、あるいは、ある一定の審査の結果の上位にあったものについて支援をするといったような観点で、ステップアップを支援するといった観点で各大学では取組がなされているところですけれども、こういった取組が大型種目のみならず、基盤(C)などにも拡大させていくことが可能かどうかということは、今後御議論の中で伺えればというふうに思っております。
本日の論点ということで整理させていただいたのが19ページでございます。繰り返しになりますけれども、データから考察される点ということで、1から3まで整理させていただきました。応募の件数が多くなっているということで、今4万5,000件まで達していますけれども、その増えているところをセクター、審査区分で分解して見ていくと、特定のところでの応募が増えているという状況があるということ。それから、かなり広く管理されている、多くの機関で管理されているということがありまして、執行管理件数自体は平均30件程度ということで、全体採択率30%の競争的環境下での採択ということですので、この状況でいきますと、基盤的経費の役割を担い得る状況に、規模的にはあるとはなかなか言えないのではないかなというふうに思われます。
一方で、1人あるいは同一機関内で進められているということから考えますと、研究者の方々の身近なファシリティーですとか身近な組織、起点となるような研究、そういったものをこの基盤(C)で求めておられるのかとも考えられまして、学術研究を推進していくという観点から、所属機関の支援、その連携ですとか要件の設定ということも含めた基盤研究の在り方の検討というのも必要になってくるのではないかなというふうに思われます。
非常に雑駁ですけれども、検討の論点ということで、まず研究組織の構成を踏まえた基盤(C)の在り方についての検討、あるいは、応募が増えているということを直接受ける形で、審査負担軽減の検討といったあたりがまずは検討の論点としてあるかなというふうに挙げさせていただきましたけれども、これに限らず幅広く御意見頂戴できればと思います。
以上です。
【大野部会長】
  どうもありがとうございます。基盤(C)に焦点を当てつつ、基盤研究全体の設計をどう考えていくかという議論をさせていただければと思いますが、何かまず御質問、あるいは御意見、御発言お願いできますでしょうか。
中村委員、お願いします。
【中村委員】
  中村です。私は今回、分野別の表というのを初めて見せていただいたと思います。医歯薬関係がとてつもなく多いわけです。こういう議論するときに必ず、基盤的校費がなくなっていって、デュアルサポートが崩壊している、だから基盤(C)が必要なんだという議論になります。そうすると、医歯薬関係で増えた6,000件という応募には、もともとデュアルサポートがあったのかどうかが少し疑問になります。もしも学校からの支援がもともとなかった人が基盤Cから基盤的校費分取っているという話だとすると、議論の根底が崩れていると思うんです。それはいかがでしょうか。
【大野部会長】
  事務局、お願いします。
【高見沢企画室長】
  中村先生、ありがとうございます。私どももその点についてはもう少し、資料の収集ですとか検討が必要なのかなというふうに思っております。少なくともここ数年の状況で見ますと、特定のセクター、特定の分野での応募が伸びているという状況かなというふうに思います。
【大野部会長】
  まず皆さん、御発言を求めておられる委員を1人ずつ御指名させていただきたいと思います。
仲委員、お願いします。
【仲委員】
  ありがとうございます。御説明どうもありがとうございました。私は人文社会系なんですけれども、このように基盤(C)への応募や採択数が増えているというのはたいへん身近に感じられるところです。人文社会系の研究は個人研究が多いので、これがないと研究を進められないということがあります。大学では、運営費交付金がどんどん減っていて、これがないとトナーも買えないというふうな話を聞いたりすることもありまして、本当に必要なものになるわけですね。
今後のことを考えますと、こういうのはちょっと不可能かもしれないですけれども、一律やはり(C)のような、何というか、基本的な研究費は、研究者番号を持っている人は全てに当たるみたいな、当たるというのも変ですけれども、そんなふうな形にならないかと思うところです。(C)が3年から5年の期間のものだとするならば、3年に1回、5年に1回ぐらいは全ての人が申請すれば頂けるということで基本的な研究を進めていける、というふうにならないかなと思うところです。
以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。
それでは、中野委員、お願いします。
【中野委員】
  まず質問なんですけど、令和2年度というと、コロナで、繰越しが非常に簡単になったと思うんですが、基盤(C)の繰越しの率です。繰り越した人が多い分野と、それから(C)の応募件数が伸びている分野というのは相関があるのかどうかというのを聞きたいです。やはり繰り越すというのは、日々のお金をできるだけ長くというような意図があると思いますので、その点を聞きたいということと、もしそのような相関があるんだったら、例えば、そういう使い方をしなくてはいけない分野があるということで、基盤(B)で、金額は同じなんだけれども7年とか10年とか、どんと長くするとか、そういうようなことで、応募件数を抑えながら、優秀な研究者には長期にわたる支援を行うというようなことはできないかという、その2点、お願いします。
【高見沢企画室長】
  ありがとうございます。繰越しの数は確かにコロナ禍でかなり増えてございますけれども、どの分野でということについては少し整理が必要かなというふうに思いますので、一旦ちょっと資料のほうを整理させていただければと思います。
【中村委員】
  分かりました。
【大野部会長】
  よろしいでしょうか。
それでは、速水委員、お願いします。
【速水委員】
  先ほどもう仲先生がほとんど、言おうと思っていたことをおっしゃってくださったんですけれども、やはり人文社会系の立場から見ますと、(C)というのは本当に、一番人社系の行動様式がそのまま出ているんですね。(A)を取りにいくというのは、人社系としては、やはり理系と違うのは、共同でやらないと意識してやる場合が多く、それよりもやはり個人研究が一番基盤にありますので、まずは(C)で、個人の研究でこつこつやって、いい本を出すという、そういう流れの自然なところの起点に(C)があるので、それが、すごくたくさんの研究費は要らないけれども、研究を成果に導くためには絶対に必要というものを(C)で確保させていただいていると。その「すごくたくさんは要らないけれども」の部分が、大学で措置される研究費でも何とかなっていたものがならなくなってきている現状が如実に現れているなということをすごく感じまして、繰り返しになって大変申し訳ないですけれども、やはり(C)というのは本当に大事なものだということを思いながら、資料を拝見いたしました。
【大野部会長】
  ありがとうございます。
白波瀬委員、お願いいたします。
【白波瀬委員】
  ありがとうございます。人文社会系ということで、同じような意見となりますけれども、競争的資金と基盤的資金についてです。これはやっぱり区別して、しっかり議論をしたい。金額の多寡に関わらず、基盤研究Cは今もありましたけれども、人文社会的な研究ニーズに応えていることは確かです。ただ、これはあくまで競争的資金という枠組みにおいてです。
そこで、もう少し丁寧に人文社会系の研究の実態について分析をしていただきたい。つまり、文系の若手は今まで、文化としても、理系ほど、研究費を取りにいく、という文化があんまりなかったかもしれませんが、もう今はそれは当てはまりません。その点、ほとんど理系と共通する目線で議論してもよいと思います。ただ、研究チームの組み方云々については、少しそのヒエラルキーのつくり方が理系と文系で異なる。しかしながら文系も理系の場合と同様のチームプレーに転換してしまったわけではありません。国際共同研究ということになりますと、より理系に似たチームのつくり方というのが出てきます。従って、その辺り文系的な研究というものに対して何というか、先入観なく検討をお願いしたい。基盤(C)の規模は、中堅研究者にとっても極めて重要で有益な位置づけであるわけで、これは、基盤的経費に代替するものという位置付けではありません。つまり、基盤的資金とはちょっと区別して、しっかり競争的資金として議論し、検討していくべきと考えます。
あと1点、ちょっと思ったんですけど、医療、医薬のところで、看護が含まれていると文系的な研究もあるように思います。最近の傾向として、現場と近い看護分野で研究を積極的に展開して研究費を獲得されている方も少なくないんじゃないかなというふうに思います。ですので少し丁寧な分析をしていただけると、具体的な対策の議論が進んでいくのではないかなと思いました。
以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。
それでは、城山委員、お願いいたします。
【城山委員】
  どうもありがとうございます。今日の論点として、19ページにまとめていただいたところがあると思うんですけれども、多分2つぐらい大きなメッセージがあると思うんですが、1つは、やはり2ポツのところの考察はすごく大事で、つまり、現実には1執行機関当たり平均30件であって、確かにいろんな人たちが基盤(C)を出す背景的な要因としては、そのデュアルサポートの形骸化というのはあるかもしれないけれども、現実にはそうなっていないんだというのが大きなポイントだと思います。つまり、ある種の競争的研究資金としての性格というのは持っていて、したがって、全体で、アグリゲートで見たときの量というのは必ずしも絶対的にそんなに多くないという、これは結構重要な発見なんですね。確かに分野ごとのなぜというのを、医歯薬系も含めて見なければいけないと思うんですが、多分そのデュアルサポートの代替になっている的な形で現実を考えてしまうと、現実をかなり誤って認識する可能性があるのではないかと。その点をまず今回の分析というので明らかにしていただいたということは大事だろうというふうに思います。
その上で、3ポツのところのデータからの考察のところ、ここは微妙だと思うんですけれども、要するに2ポツの後に3ポツがあることの意義は、恐らく競争的資金としては(C)は機能していますというのが結論なわけですが、だけども審査負担が増えていますと、あるいは場合によっては使える額が限定されますというときに、小規模な競争的資金というのは大学で手当てできないかという、端的に言ってしまうとそういう議論なんだと思うんですね、3ポツのところは。恐らくそれが表われているのが、その前の18ページのところの議論もそうで、今までは、(A)とかにトライした人で、合格はしなかったけれども事後評価がよかった人を各大学がサポートしていますと。そうすると、例えば(C)で応募したけれども、(A)とか(B)とかで次点になったという、こういう人も大学がサポートしてくれれば、(C)の絶対量というのは減っても大丈夫なんじゃないんですかという、何かそういう読み方をちょっとしてしまうというところがあります。
それは本当に適切なのかどうかです。そこは私も人社系なので、最後はそっちに行っちゃうところもあるんですが、やっぱり競争的資金としてきちんといろんな規模をそろえるということで、(C)を維持するラショナルというのは残ると思うので、ある意味で2ポツのところは、競争的資金として機能しているというところは極めて了解可能な話なのですが、そこから3のところで数の多い小規模な競争的資金をどうするかというところの扱いには、若干この論点整理は飛躍があるような気もしますので、ちょっとそこは注意して議論させていただければなと思いました。
以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。重要なポイントだと思います。
続きまして、荒井委員、お願いします。
【荒井委員】
  ありがとうございます。人社系の方のお話がよく出てきておられますけれども、私、化学のほうからの意見を言わせていただければと思うんですけれども、今の大学にいる前は地方大学におりまして、やはり基盤(C)で何とか研究をしているという研究者がすごく多くて、大学からの公費はもう本当に減ってしまうということで、基盤(C)をやっと取って何とか研究を続けているというような状況の方もかなり多いと思います。先ほども申し上げて恐縮なんですけれども、やはり基盤(C)を取って、プラス挑戦的萌芽をチャレンジできると、そうすると研究者にも少し余裕ができてくるのではないかと思うので、何とかその辺が、光が見えてくるといいなと思いました。
以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。
山本委員、お願いします。
【山本委員】
  失礼します。ありがとうございます。
2点あるので、まず1つ目は、1大学1機関のが多いというのは、これはもう基盤(C)の性格上、額の面からやむを得ないことというか、むしろそういうことになると思うので、これに関して何か制限をかけたりしないほうが私はいいと思っています。
それから2番目、例の、幾つかの分野で急激に増えたりするようなことですけど、この背景には、応募件数と申請金額によって配分の枠が決まるというシステムがあります。これがやっぱり相当大きく働いていて、たくさん出せば必ずたくさんもらえるという、そういう1つの分野、あるいは1つの大学、1つの何とかで、そこのところの考え方をやはり若干変えないといけないのかなというふうに思います。例えば、急激に増えてくるということに対して、例えばある時間で平均するだとか、ある大きな分野で平均するだとか、そういうことをして、やはり全体として適正な分配にしていくことによって、いわゆる、何というのか、出せ出せという、そういうモチベーションを下げるということがやはり大事なような私は気がしています。若干配分の在り方自体に関わる問題のように考えております。
以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。
あと尾辻委員、手が挙がっているようです。
【尾辻委員】
  ありがとうございます。白波瀬委員からもお話があったように、やはり科研費は競争的資金としての性格をしっかりと担保しなければいけないと、金額の、種目の大小に関わらずです。そういった意味で、今回、基盤研究(C)が競争的資金としての性格をきちんと担保しているということをデータとして示せたことは非常に大きかったと思います。
今回の資料には、データとしてはお示しになっておりませんけれども、種目別の応募件数の年次推移を見ると、明らかに基盤研究(C)の応募件数が増加しているんですね。その応募件数の増加の背景には、やはりデュアルサポートの劣化という、一方の基盤的経費が十分に遇されないという部分があるんだろうというふうに思います。そこのところをやはり何とか改善して、格段に進歩するような学術的な計画を支援する科研費の本来の性格をしっかりと担保できるように、科研費事業とその周辺の基盤的経費の側、両方の支援と改善を望むものであります。期待しているところです。
以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。
中村委員。
【中村委員】
  これは前から申し上げていることなんですけれども、やはり大学が自ら研究者を支援しているということを、形でぜひ出していただきたいと思うんですよね。熊本大、北大の例を見ても分かるように、これらの大学は大学がコミットメントして、ちゃんと支援していますよということがはっきりしています。大学が自ら努力することなく、先生方を使って間接経費を稼いでいるというような形が見えるのが、気になるところです。大学と先生が一緒になって研究を推進し、その結果として間接経費が来るんだというような形を文科省がはっきり示していただきたいと思うんですね。そうすれば誰も彼もがどんどん申請するというようなことは自然となくなりますし、みんなで最先端を目指そうということが日本全体として共有できるようになるんじゃないかと常々思ってまいりました。
以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。
福田委員、お願いします。
【福田委員】
  すみません、もうみんなが終わりそうなところで。
2点あります。1つは科研費。誰も彼も申請するというのをやめようというより、むしろ僕はみんなが申請すればいいのではないかというふうに思っていて、それを、さっき白波瀬さんが言ったみたいに、競争的な資金の枠組みできちんと審査をするのがいいのではないかと思うのです。もし落ちた場合でもきちんとした審査結果が返ってくれば、それがモチベーションになって、よりよい研究するということにつながるはずなので、この競争的資金としての立場をきちんと維持した状態で、できるだけたくさんの人が申請するという形がいいのではないかというふうに思います。
一方、採択率というのは結構問題だと思っていて、かつてこの基盤(C)の採択率を上げようということを頑張った人たちがいて、ある時期、上がったんだと思います。この上がったことも基盤(C)に応募が増えた理由の一つになっているんじゃないかというふうに思っていて、そういう意味では、今、基盤(C)にたくさんの人が応募しているということで、さらにこの採択率を上げようと資金を投入することが本当にいいかどうかというのはやはり考えなくてはいけないと思っています。全体のバランスをどうするかを、シミュレーションを基に考えることが重要でで、一気に採択率を上げるだとか、特定の種目にお金を投入するという格好にはしないほうがいいなと思いました。
以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。もうはるかに時間が過ぎているんですけど、私からも一言だけ発言させていただきたいと思います。
委員の一人としての意見ですが、デュアルサポートについては、競争的資金と基盤的経費は分けて考えるべきと思います。我々は今、競争的資金を議論しています。といいますのも、私立大学のことを考えると、もちろん非常に苦しい国立大学もあるわけですけれども、大学の長として私立大学の方とお話しすると、国立86大学には相当の運営費交付金が配分されている、一方で私立大学全体は比較して少ないという議論になります。その中で、そもそもデュアルサポートは、多くの私立大学には、行き届いていないかもしれない。その中で一所懸命努力をして競争的研究費を獲得している実態が、これだけ多くの方が基盤(C)を獲得されている背景にはあるのかと思っています。そういう視点も含めて、競争的研究費を見ていく必要があるのではないかと私は感じているところです。
すみません、言いっ放しになりましたが、あとごく僅かな時間でもう一つの議題をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。本議題に関しましては、事務局に本日の御意見を整理していただいて、次回以降、さらに検討の進め方も含めて、皆様と御議論させていただきたいと思います。
それでは、最後の議題に移ります。基盤研究(B)における合同審査の検討状況について、事務局より御説明をお願いします。

(4)基盤研究(B)における合同審査の検討状況について

【高見沢企画室長】
  ありがとうございます。資料4、22ページ以降を説明させていただきます。時間の関係もございますので、かいつまんで説明させていただきます。
23ページを御覧いただきたいと思います。この議題については、基本的には報告、情報共有ということで説明させていただきたいと思いますけれども、現在、科研費改革の一環として、同じ学術分科会の中にあります科学研究費補助金審査部会、及び日本学術振興会におきまして、審査のシステムのさらなる改革に向けた議論がなされています。具体的には、上の2ポツにありますように、基盤研究(B)について、応募件数の多い小区分と少ない小区分とございます。特に著しく応募件数の少ない小区分が見られるという状況がありますので、複数の小区分での合同審査の実施といったことについて現在検討しております。8月にパブリックコメントを実施しましたので、その意見の状況も含めて最終的な検討を進める予定としておりますけれども、この小区分の合同審査といった点については、科研費の審査システムの新たな改革ということの意義もあると思いますので、当部会におきましては改革の工程表という形で、引き続きフォローアップをさせていただきたいというふうに考えているところです。
具体的な合同審査の実施イメージというのは、24ページ、次のページにございますとおり、左側ですけれども、応募件数が10件の区分と20件の区分があった場合に、それぞれ今は小区分ごとに採否を決定しておるんですけれども、今後は、合同審査を行う場合には、2つの小区分を合わせて、30件の中を審査すると。それぞれ精通している審査委員を選抜しまして採否を決定するといったような取組を進めていきたいということでございます。
25ページは、その検証に当たって、日本学術振興会で行われた分析結果でございます。それから26ページ以降は、今後、研究費部会において、審査システム改革の進展ということで、現時点での最新の審査システムを整理するとともに、27ページから29ページにかけては改革の工程表という形で、第6期の科学技術・イノベーション基本計画、この期間中にどういった改革を進めていくかということを少し俯瞰していただきながら、部会の議論を進めてはいかがかなというふうに考えているところです。
説明は以上です。
【大野部会長】
  ありがとうございます。それでは、御質問あるいは御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。
福田先生の手が挙がっているのは、先ほどの挙手ということですね。――ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
これは御報告ということですから、今後も含めてモニターをしていきたいという形でまとめてもよろしいのかなと思います。
それでは、どうもありがとうございました。科研費の改善状況については随時進捗状況を御報告いただいて、確認していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
あと数分ございますけれども、その他ご発言はございませんか。よろしいですか。――はい。手が挙がりませんので、それでは、本日の審議はこれで終了させていただきます。
最後に、事務局より連絡事項がありましたらお願いします。
【吉田企画室長補佐】
  本日の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で公開をさせていただきたいと思います。
それから、次回の研究費部会につきましては、後日、日程調整をさせていただきまして、改めて御案内をさせていただきます。
以上でございます。
【大野部会長】 それでは、これで終了させていただきます。本日もたくさんの御意見をどうもありがとうございました。これで失礼いたします。

―― 了 ――

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