人文学・社会科学特別委員会(第4回) 議事録

1.日時

令和元年9月19日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館13階 13F会議室
(〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 共創型プロジェクトについて
  2. その他

4.出席者

委員

(委員、臨時委員、専門委員)
城山主査、小長谷委員、白波瀬委員、井野瀬委員、川添委員、岸村委員、喜連川委員、小林傳司委員、小林良彰委員、盛山委員
(科学官)
頼住科学官、鹿野田科学官

文部科学省

増子大臣官房審議官、原振興企画課長、前田学術企画室長、藤川学術企画室長補佐

5.議事録

【城山主査】  ただいまより第4回人文学・社会科学特別委員会を開催いたします。
 まずは、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【藤川学術企画室長補佐】  それでは、確認させていただきます。本日は、タブレットPCを御用意しており、ペーパーレス会議を実施させていただきます。本日の配付資料につきましては、配付資料一覧のとおり、全ての資料はタブレットPCで御覧いただけるようにしております。操作など不明な点がございましたら、お近くの職員にお声掛けください。
 以上でございます。

【城山主査】  よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、議事次第に書いてあるとおりであります。
 まず一つ目の主要な議題でございますけれども、共創型プロジェクトについてということであります。これまで共創型プロジェクトについては御議論いただきましたけれども、これまで御議論いただいたものを踏まえまして中間まとめの案を提示いたしておりますので、御審議をお願いしたいと思います。
 それではまず、事務局から資料の説明をよろしくお願いします。

【前田学術企画室長】  よろしくお願いいたします。資料1と資料2-1、それから、資料2-2がございますけれども、資料1をまず御覧いただければと思います。前回の御議論を踏まえ追記させていただいた御意見について、御説明させていただければと思います。
 まず、資料1の2ページ目を御覧いただければと思います。1の事業の目的のところ、そのうちの上から四つ目の黒ポツでございます。事業タイトルについて、学術知の「統合」ではなくて、「共創」の感覚を残した方が事業のイメージに近いのではないかという御意見。それから、プロジェクトの大きな特徴は二つ。共創のプロセスを作るということと、新たな人文学・社会科学の学術を作るということ。それから、三つ目と致しまして、研究実践をする中で、人社の具体的な学術レベルの発展というのが先に見据えられている必要があるという御意見を頂いております。
 続きまして、2ポツの研究テーマ設定の考え方に関することでございますけれども、3ページ目、黒ポツ上から四つ目でございます。三つの大きなテーマについて、人社系がこれを最重要課題だと認定しているわけではなくて、本来は三つのテーマを考えること自体をテーマにすべきという御意見。
 ただ、足場がないとスタートできずに、取っ掛かりとしてはどこかから始めないといけないんじゃないかという御意見。
 それから、次のポツでございますけれども、大きなテーマが何を意味するかというところについては、柔軟に解釈できるし、実際の共創の場で内容を展開していくという理解という御意見。
 それから、次のポツでございますけれども、今回示されているこの大きなテーマを、今後別のものに変えるのかということも含めた考察のプロセスなのか、それとも、取りあえずこの三つのテーマの下で実践に向けてどういうやり方をするかというところに焦点を当てたプロセスなのかということが大きな争点だという御意見がございました。
 それから、特に大きなテーマの三つ目につきまして、研究課題キーワード(例)としては余り当てはまらないというのもあるんだけれども、これからの世界システムはどうなっていくかということも考えて、そういうものを日本から出していくというのは非常に重要なテーマじゃないかという御意見。
 それから、同じく、テーマ三つ目でございますけれども、例えば「人新世」というようなキーワードを入れて、人間的な環境という側面から人文系が取り組んでいくというような、自然科学との橋渡しになるものがあればよいという御意見。
 それから、二つ目の黒ポツでございます。「世界秩序」というタイトル、これはむしろ科学技術の発展とか生命倫理、環境問題などから来る問題提起の方が強いというわけで、そちらから出てきた新しい価値の創造というテーマということを明確にした方がよいという御意見。
 それから、日本の人文学・社会科学を自己省察的に考えるということについてやらなくてよいか。西洋的な人文学・社会科学の理論モデルだけでやるというのはどこか限界があるという議論を正面から引き受ける覚悟があるかどうかという御意見。
 それから、若手アカデミーの中には、「シチズンサイエンス」という科学の在り方をもっと推進していきたいという考えがあるという御紹介もございました。
 それから、三つ目のプロジェクト運営に関することの一番下の黒ポツでございます。事業の実施機関の候補について、大学あるいは大学共同利用機関などの研究機関については、そもそもこれを候補にする理由が分からないという御意見。それから、続きまして、実施機関については日本学術振興会以外にないのではないか。特定の研究機関だと、利益相反でなくても、あるように見えてしまうというような御意見。
 それから、以下、テーマ代表者についての御意見でございます。テーマ代表者の一つの大きな資質としては、混成チームのようなものをコーディネートできるということがあるんじゃないかという御意見。それから、テーマ代表者は、プログラム・オフィサー的な役割なのか、研究課題にも取り組めるのかということを明確にする必要があるという御意見。それから、エフォートの8割がマネジメントで、残り2割が研究への参加ということもあり得るという御意見。それから、テーマ代表者はどこにいるのかという御議論がございましたけれども、共創の場にいるんだろうと。そして、事業総括者は事業運営委員会に所属していると、そういうイメージだという御意見がございました。
 それから、四つ目のプロジェクト形成と共同研究の実施に関することでございます。三つ目の黒ポツ、これまでも技術系や企業が入っていろいろなところで議論をしているんだけれども、行き詰まっている。市民の目線といったようなものを入れた議論をしないとまずいのではないかという御意見。それから、産業界、NGO、多様なステークホルダーが参画するというのは重要な要素であるという御意見がございました。
 続きまして、次の6ページ目でございます。多様なステークホルダーにつきまして、例えば調査対象として現場を提供しますよというようなことでも、参加要件としては大きなコントリビューションになるんじゃないかという御意見。
 それから、共創の場に参加する研究者でございますけれども、グループでの参加だとしても、それは閉じられたグループというのではなくて、ここまでは組んだんだけども、更にこういうところと議論したいというような、ある種の可塑性のあるグループではないかという御意見。
 それから、大きなテーマを設定して、研究のやり方自体を変えた上で、科研費のシステムとは異なる形で取り組んでいくことに価値があるという御意見。
 それから、応募のあったものから研究課題を選択するんじゃなくて、共創の場の参加者がインタラクションをしながら、具体的な研究課題をテーマ代表者の下で形成していくと、そういうことではないかという御意見。
 それから、共創の場への参加を応募するときには、純粋な研究提案という形よりも、むしろ、こういうテーマがあるんじゃないでしょうかというようなそういった提案になるんじゃないのかという御意見がございました。
 それから、最後に、5番目の成果(評価)の考え方に関することでございます。最後の二つの黒ポツ、7ページ目でございます。例えば、若手研究者が共創の場に参加して議論したという経験、今回のこういう全体の実験的プロセス自身をどう評価するのかというのは今後の検討課題ではないかという御意見。
 それから、研究実践に実際移った段階で、どのポイントである種のブレークスルーが起こったかという、モニタリングについてきっちりとやるべきだという御意見を頂戴しております。
 これらを踏まえまして、2-1と致しまして今回お示ししております中間まとめについて御説明させていただければと思います。
 一つ目のタイトルでございますが、「学術知統合」と致しておりましたけれども、ここは「学術知共創」というふうに修正させていただいております。
 それから、ページをおめくりいただきまして3ページ目の1から5の事業の目的というところがございます。ここは1から4だったんですけれども、最初に、マル1として、「未来の持続可能な社会の姿を想定し、そこで求められる新しい考え方や技術、社会的課題を提示するとともに、人文学・社会科学の新たな学術知を共創する」というふうに入れてございます。
 それから、3として、大きなテーマ(研究テーマ)というところでございます。ここは大きなテーマを設定した背景とか、参考としている考え方、あるいはテーマ名と研究課題との関係について、丸を追記してお示ししてございます。一つ目の丸の1行目から2行目で、「Society5.0やSDGsなど国レベルや国際社会レベルで推進されているテーマや考え方を参考にしつつ」という点を加筆してございます。
 それから、4ページ目の最初の丸でございます。ここにつきましても、「学術研究は」というところから始まる文章でございますが、大きなテーマを設定している、今回これが有効であるというような理由を書いてございます。「「審議のまとめ」でも指摘されているように、我が国の人文学・社会科学に対しては、研究分野が過度に細分化しており、また、現代社会が対峙している社会課題に対して十分な応答ができていないとされている中で、人文学・社会科学、自然科学から実社会までの様々な知見をもって対象を捉えるためには、大きなテーマに対して関心を有する研究者等が、それぞれの知見を寄せ合っていく新たな形式が有効である」というふうにしてございます。
 それから、以下、大きなテーマと研究課題との関係でございます。大きなテーマに関する背景、すなわち、太文字になっているところ以下の丸の文章でございますけれども、背景とか社会状況あるいは研究課題のキーワード、これについては例示という位置付けが適当であり、本委員会としては、多くの研究者や社会の多様なステークホルダーによって研究課題が作り出されていくということを期待したいとしてございます。
 それからもう一つ、なお、当分の間はこのテーマ設定に基づいてやっていくんだけれども、事業の進捗、社会的要請等を踏まえて、今後は必要に応じてテーマの追加を行うなどの措置を講じることが適当であるというふうにさせていただいております。
 それから、(1)将来の人口動態を見据えた社会・人間の在り方というところの丸の二つ目でございます。ここは以前、世界の人口動態について触れてございましたけれども、以前は生産年齢人口の低下と高齢化について触れておりましたけれども、一方で世界の人口が77億から97億人ということで増えるということでございますので、そこについての影響を加えております。
 具体的には、丸の中の「また」以降の4行目でございますけれども、この間、天然資源と生態系への圧力が更に強まるということを付け加えさせていただいています。これは若手アカデミーの先生方からの研究課題についての御意見を頂いた中でも、例えば食糧問題とか資源問題、それから、野生生物管理の問題というような御意見を頂いておりましたので、そういう趣旨も反映する意味で加筆させていただいております。
 それから、具体的な研究課題例、5ページ目でございます。先生方から前回の会議が終わった後に幾つかの研究課題のキーワード(例)を頂いております。新たに付け加えさせていただきましたのが、生産と消費、それから、国際産業連関、外国人労働者、少子高齢化、それから、都市・農村――ここは地方創生ということだったんですけれども、地方を創生するという方向性はほかの研究課題のキーワード(例)と比較してなじまないんじゃないかということで、単純に都市と農村としております。それから、家族、雇用制度、情報基盤を付け加えております。これについては、行政情報の活用という話もあるんじゃないかということで、情報基盤ということを入れさせていただいております。
 それから、(2)の分断社会の超克につきましては、研究課題のキーワード(例)として入れさせていただいておりますのが、ホスピタリティ、それから、ジェンダーとセクシュアリティ、公共圏――これは公共意識とか共有空間といったものはいかがかといった御意見がございましたので、ここについては公共圏という言葉で整理させていただいております。それから、在来知。これは開発や国際保健の分野等で先進国の知識や価値観を押し付けるんじゃなくて、うまく取り込んでその地での知や素材、文化を取り込んで展開する考え方があるという御意見を頂きまして、在来知というキーワードを入れております。それから、シチズンサイエンスを最後に入れております。
 それから、3番目でございますけれども、タイトルにつきまして、「世界秩序」という表現についても御意見ございましたので、「人類社会」というふうにタイトルを少し修正しております。
 それから、5ページ目の最後の丸を追記してございます。これは次の丸につなげるように科学技術という営みにフォーカスしたのと、人間と環境という点に触れたものでございます。特に人類史上最も大きな営みとされ、19世紀以降急速な発展を遂げてきた科学技術が、その加速度的な進展によりもたらすと言われている技術的特異点等の劇的な社会環境の変化に対し、いかにして人類が向き合っていくかという点、また、緊迫した地球環境問題として、例えば地質年代区分である人新世という考え方にあるように、人類の活動と地球環境の関係の均衡をいかに保っていくのかというようなそういう課題があるとした上で、そういった地球的規模の課題に取り組む過程では、これまで国や地域、人々の文化や歴史、思想・倫理等を背景に価値の創造がなされてきたというふうにつなげてございます。
 研究課題のキーワード(例)、6ページ目でございます。SDGsの再定義という話もあるんじゃないかという御意見を頂きまして、それを加えています。それから、文明間の対話、相互理解、それから、社会・経済システムの移行、西洋と日本、分解と創造、再記憶化、地球・宇宙環境と倫理といったことを研究課題のキーワード(例)として付け加えてございます。
 それから続きまして、事業の実施体制でございます。6ページ目の2の組織、(1)事業運営委員会の二つ目の丸でございます。事業総括者、テーマ代表者は、これは事業の成否を左右する重要な役割を担う者であるとして、このため、文部科学省においても、事業の円滑かつ効果的な実施を図るために、資質や経験等について検討することが必要であると。実施機関に全て人選等を委ねるのではなくて、国も一緒になりながら考えていくことが必要だというニュアンスを入れてございます。
 それから、7ページ目の二つ目の丸でございます。これは公募に対する研究者等からの応募についての資格に関する整理でございます。この共創の場で多様で闊達な議論が更地から行われるということを期待する観点から、基本的には研究者の応募については個人単位の応募を基本としつつも、グループ単位での応募も認める場合には、研究提案がそのグループだけで完結することのない提案であることを担保するために、例えばグループ外からの参画が必要な研究分野の明記等を求めることとすると。また、自然科学の研究者については、研究提案という形だけでなくて、アイデアベースでの提案も可能としてはどうか。それから、ステークホルダーについては、これは組織単位での応募も可能とするとともに、アイデアベースでの提案も可能とする。こういう整理でよいかどうかということでございますけれども、今、仮置きでこういう形にさせていただいております。
 研究提案という、丸の中に数字の4番と右肩についてございますけれども、脚注を入れております。下の7ページの4を御覧いただければと思います。知見を寄せ合って研究課題と研究チームを作るということをこの共創の場では企図していると。ですので、ここでいう研究提案というのは、既存の競争的資金制度で求められているような研究計画調書ではなくて、提案する研究の趣旨・目的や参画予定の研究者又は必要な研究分野など、実施する研究が想定できる程度の記載を想定しているところでございます。
 それから、次の丸でございます。若手、外国人という話等がございましたので、ここに、女性研究者や若手研究者、外国人研究者の確保が運用上の工夫として必要だということを書かせていただいております。
 それから、事業総括者、次の8ページ目でございます。(2)の事業総括者の丸の二つ目でございますけれども、「事業総括者は、事業運営委員会に所属するとともに」ということで1文追加しております。
 それから、(3)のテーマ代表者でございます。三つ目の丸、テーマ代表者は、テーマにおいて実施される研究を取りまとめる観点から、必要に応じて個別の研究課題に参画することもできるとしてございます。これが資料2-1でございます。
 最後に、資料2-2の本事業のスキーム(案)、この図も修正いたしておりますので、御説明させていただければと思います。資料2-2の一番上の実施機関の枠、黒枠の中に、事業運営委員会の中に「事業総括者」と入れてございます。それから、事業運営委員会が共創の場への参加を公募するということで、下の丸の点々枠で囲っておりますけれども、研究者コミュニティと社会の多様なステークホルダーに公募をして、そこから、マル4番として、研究提案又はアイデアベースの提案を持って共創の場に参加するということで上矢印を引っ張っております。テーマ代表者については共創の場にいるんだろうということで、それが明確になるように、テーマ代表者は共創の場の中にいるという図にしてございます。
 それから、この数字につきましてはこの事業の流れを大まかに示したもので、そういう意味での数字を付けておるのと、それから、前回、研究課題は二つありましたけれども、これは別に二つ作るということを意図しているわけじゃなくて、実際に作られる数は分からないわけですけれども、紙の制約上二つにしてあるということを注意書きとして入れさせていただいております。
 事務局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

【城山主査】  どうもありがとうございました。今の御説明を踏まえて御議論いただきたいと思います。科学官のお二人にも是非御発言いただければと思いますので、よろしくお願いします。
 残り時間はこの議論に使うわけですけれども、恐らく前半の1のところは余り問題ないと思いますが、ローマ数字2の目的、それから、ローマ数字3の大きな研究テーマの辺りで恐らくまず三、四十分ぐらい使わせていただいて、その後、これは前回から少し密に議論するようになっていますが、4の実施体制のところももう少し詰めさせていただきたいと思いますので、後半についてはそちらを中心に議論するということにしたいと思いますので、大体半分ずつぐらいをめどにさせていただければと思います。
 まず前半の主として目的、それから、テーマの辺りから御議論いただければと思いますが、いかがでしょうか。

【川添委員】  ごくごく表面的なことで、変更された点についてですけれども、資料2-1でいうと3ページ目の事業目的のマル1番です、新しく付けられた。やっぱり非常に肝心な文章として全体を包括するような事業目的が書かれているんだと思うんですけれども、その最後のところが、「人文学・社会科学の新たな学術知を共創する」となっているんですけれども、もともとはタイトルも含めて、学術知共創ということで、必ずしも人文科学がリードするとか、あるいは軸になるんだけども、新しいものを作るのは別に人文学の新しい共創ではないんじゃないでしょうか、もともとの発想は。少し表現し切れていないんじゃないか。

【前田学術企画室長】  おっしゃるとおりです。

【川添委員】  どうするのがいいのか代案はすぐあれなんですけれども、「を軸とした新たな統合的学術知」とか何とかという、そういう言い方の方がこれまでの議論には合うのじゃないかという感じが、取りあえず私としては。

【前田学術企画室長】  おっしゃるとおりだと思います。済みません、修正させていただければと思います。

【城山主査】  プロジェクトのタイトルは「人文学・社会科学を軸とした学術知共創プロジェクト」なので、そのまま使うとすると、人文学・社会科学を軸とした新たな学術知を共創するとか、くらいですかね。

【川添委員】  そうですね。何しろちょっとぬえ的な側面はあるんですけれども、この事業そのものが。

【城山主査】  「の」というのはやめた方がいいということで、ちょっとここは修正させていただくということでよろしいですかね。

【川添委員】  この表現はちょっと露骨だと思って。

【城山主査】  ほかいかがでしょうか。

【岸村委員】  目的のマル4のところもそうなんですけれども、若手研究者の参画というのは見込んでいる面はあると思うんですけれども、何か全体的な文章の中では割とアディショナルな雰囲気が出ているような気がしてしまいます。前回の議論では、実際こういうものをやっても若手しか応募してこないんじゃないかという懸念も逆にあったわけですけれども、今、この文章の中だと、その辺りをどう扱うかというのが、予算規模もそんな大きくないという面もあると、こういう若手をある意味で育成していく場をもうちょっと強く出してもいいのかなと。
 だから、実際上は、先ほどの意見の取りまとめをどう評価していくかというのもあったと思いますけれども、評価の軸として、例えばこういう経験をして、こういうグループを作ってリーダーシップを取っていける人が増えてきたら、例えば次は科研で、今度名前が変わりますけれども、学術変革領域でしたっけ、ああいう(B)とかは若手が出すべきものになっていますので、ここで作ったフォーメーションがそこに行って正しく評価されるというスキームをある程度作れるようなことがあるのかなと。それをここに書くわけには多分いかないと思うんですけれども、ここでそういう経験をして、何かチームを作ることが今新しくできている科研とかにもつながっていくようなのがちょっと見えるような作文が入っていると、若手としても意識の持ち方というか、応募をもっと積極的にできるのかなとちょっと思いました。

【城山主査】  ありがとうございました。恐らく趣旨としてはかなりそういう感じは共有しているのではないかなと思いますが、どこにどういう文章を入れるかですかね。

【岸村委員】  そうです。

【城山主査】  今おっしゃっていただいたところを多少変えるという手もあるんでしょうか。参画を得ながらというと確かに周辺的なイメージなので、むしろこういう人たちが中心的な人だというニュアンスを書くということでしょうかね。

【岸村委員】  やってほしいとか、そういうものを期待しながら歓迎しているんだというようなのがあると、育成面も強調されるんじゃないかと思います。

【井野瀬委員】  4のところ、「若手研究者の参画も得ながら」となっていますね……。

【城山主査】  今の表現だと、若手研究者の参画を期待しながらとかですかね。期待しながらも若干弱いですね。

【岸村委員】  目的なので、そういう人材育成だとはっきり書いてもいいのかもしれないですけれども。書いてはあるんですけれども、何か薄い気がちょっとしてしまうという。

【城山主査】  ただ、俯瞰できる人材を逆に若手研究者だけに限定してしまうと、それはそれでまた若干微妙ですよね。

【岸村委員】  そうですね。

【城山主査】  何かいい知恵はありますか、そこは。

【岸村委員】  実際上、今回の大きなテーマがずっと続くわけではないと思うんですけれども、30年、50年後を見据えるとしたら、中心的にそういう人が入ってきてもらわないといけないという面はあると思いますので。

【小林傳司委員】  若手という言葉を入れないといけないですか。それとも、俯瞰できるような、次世代型研究人材みたいな形で次の世代とやってしまえば……。

【城山主査】  だから、次世代の研究人材という形にすると、恐らく若手が中心だけども、ある意味では、シニアであっても生まれ変わろうという人たちが当然そこに入り得るということですかね。

【岸村委員】  そうですね。

【城山主査】  そうすると、今の、若手研究者の参画を得ながらというと逆に弱くなってしまうので、むしろ双方のニーズを俯瞰できる次世代の人材の育成という表現にしておくということですかね。

【岸村委員】  そうですね。若手をエンカレッジしているようには見えるかなと。

【城山主査】  その方が見えるという。

【岸村委員】  はい。

【城山主査】  いかがでしょうかね。事務局、何かありますか、今の点。

【前田学術企画室長】  いえ、御指摘のとおりにしたいと思いますけれども、ここで若手研究者の参画も得ながらというのは、若手にも育成と活躍を期待したいということを趣旨で入れていますけれども、もう一つが、世代間の協働ということで、シニア研究者の方と若手研究者の方との協働という御意見もございましたので、こういう形でさせていただいておりますけれども、今の御指摘のように、若手研究者の期待ということ、人材育成ということで、俯瞰できる人材育成、次世代の人材の育成ということで修正させていただきたいと思います。

【小林良彰委員】  よろしいですか。次世代の人材育成ということになると、やっぱり若手はサブになりますよね。シニアが飽くまでも主で……。

【城山主査】  次世代だとですか。

【小林良彰委員】  ええ。従来と何も変わらないような気がします。

【城山主査】  シニアで代々つないでいくという、その次の世代という、そういうイメージですか。

【小林良彰委員】  ええ。その下に若手がくっついていて、育ててあげますよという話ですよね。これ、従来の科研と余り変わらない感じがします。だから、マル4で「若手研究者の参画も得ながら」というのがもし引っ掛かるならば、若手研究者の知見を得ながらとか、人材育成以上に、もうちょっと若手が研究の中心に位置付けられるような表現の方が私はいいと思います。

【喜連川委員】  分野が違うからかもしれないんですけれども、こういう内局系のプロジェクトに対して厳かに見えて、若手が応募する権利がないように見えるということは、それは排除しておくことが必要だと思うんですけれども、我が国が今置かれている状況というのは、原則、年寄りが余るほどいてるということですよね。ですから、そこをいかに活用することが重要であって、もうこれ以上そんなに若手若手と言うほどのこともないんじゃないかなという気が個人的にしています。かわいそうなのは、むしろ老人の研究者の方にあるんじゃないかなと。そういう人たちをもうちょっと我が国家としては知として活用できるようなプログラムも。年寄りの喜連川の意見で申し訳ございません。

【城山主査】  いかがでしょうか。そうすると、もともとの、先ほどの案の次世代というのは両方を包含しているという側面はあるんだと思うんですけどね。いかがですか、何か御意見ありますか。はい。

【岸村委員】  今の点、別に私もシニアの活用を否定しているつもりは全くないですけれども、何回か前、こちらの小林傳司先生がおっしゃっていた話として、人社系で、新しい価値観なり、リーダーシップを持って牽引していける人が余り育っていないんじゃないのかという話がありましたので、やっぱりそこを何とかしようとしているプロジェクトなんだというのもあってもいいのかなということで、若手だけを支援しようとかいうと、私もちょっとそれは違います。

【川添委員】  今、喜連川さんがおっしゃったとおりで、やっぱりこのプロジェクトの趣旨は、人材のどういう世代にポイントを当てるかということは余り主要な問題じゃなくて、人社系を構想する場合の新しいアスペクトとか新しいマインドセットをどうやって育てるかというところですよね。だから、そういう意味では、つまり、若いというよりは、新しい斬新な発想を重視しつつとか、それを取り入れつつとか、それは誰がそういうものを出すかは余り問題じゃないということじゃなかったんでしょうかね。そこのところ、経緯を十分把握していないかもしれません。

【小長谷委員】  若手については大事ですけれども、7ページに、女性、若手、外国人を確保するということが書かれているので、ここは若手よりもむしろ今おっしゃったような、新しい価値観が良いと思います。
 例えば理系出身で人文系のことを取り込んでやれるような人材が生まれつつあるのに、理系から人文に広げたばっかりに、その人は就職できない。だからこそ、新しい評価の課題が付記されていて融合的な分野が取り組めるようになった人材を評価するという仕組みも考えるぐらいまで焦点を振った方がいいんじゃないかと思います。
 4はとにかく、これらの五つの文章の中では一番たくさんスペックが盛り込まれていて、もうちょっとそこを省いてもいいから、融合的にやっていけるようなそういう人材を育てて、そういう人材を評価するという点に焦点を当ててはどうでしょうか。たくさん書いてある中のそこをむしろ中心に書いていただいた方が、今までの議論、今日の先生方の御意見に一番合うんじゃないかと思います。

【小林良彰委員】  私がずっと理解していたことと大分違うので、何が共通理解なのか確認しておきたいのですけれども、融合研究をやることが目的とは思ってなかったのです。むしろ従来の人文・社会科学では大きな学術知というのは出てきていない。イギリスは出ているのかもしれないけれども、少なくとも日本がだんだんアメリカ型評価にどんどん近付いてきて、何か非常にショートなパースペクティブのすごくたこつぼ的な小さな研究の方をどんどんやってきていて、何か大きなものが出てきていないと。それでは現実社会の問題に全然応えていないのではないかと。もっと何か大きな学術知というのを、現実社会の問題を見据えていく中で出してくることができるのではないのかというところから出発してきていたと思っていたのです。

【小長谷委員】  そこは変わらないです。

【小林良彰委員】  理系・文系の融合でやらなければいけないことというのは必ずしもマストじゃないと思うのです。

【小長谷委員】  いやいや、そういう意味じゃないです。済みません、いいですか。

【城山主査】  どうぞ。

【小長谷委員】  理系というのをたまたま入れて話しただけでややこしくなったかもしれないですけれども、大きな学術知を作っていく、あるいは大きな問題に応えていくためには、やはり専門化された知だけではだめだから、それで、たくさんの細分化された分野を俯瞰できるという、そういう意味での融合であって、文理融合の融合ではないです。済みません、例が悪かったので誤解を生んだかと思いますが、志としては、小林先生のおっしゃっている話と少しも違わないと思います。

【城山主査】  だから、俯瞰した上で、各分野をイノベーションしていくということも十分あるということで、そこはいろいろな対応の仕方があるということかなと思います。
 はい、どうぞ。

【川添委員】  だから、さっき冒頭に話があった、マル1の書きっぷりを、そこをもう少し充実させる方がいいんじゃないですかね。マル4については、もうちょっと特化した論点を入れるというか、そういう構造化を。マル1を入れるならマル1は厚く書くという、今おっしゃられたような基本的な発想で基本的なこのプロジェクトの性格というのを。これでは少し足らないかもしれない。

【城山主査】  具体的にどうなりますかね。先ほどは、人文学・社会科学を軸とした新たな学術知を作るという、若干逃げた書き方をしてしまっているんですけれども……。

【川添委員】  最後だけ申し上げたんですけれども。

【城山主査】  今の御議論だと、例えば4の表現でいうと、人文学・社会科学と自然科学の双方のニーズを俯瞰した上で、人文学・社会科学の新たな学術知を作るであればいいんですかね。軸としたところの意味なんですが、俯瞰はしますと、だけども、ある種イノベーションしていく対象は人文学・社会科学と言ってしまうのか。ただ、他方、理系の参加者を求めると書いているので、理系の話にインプリケーションを持つことも、このプロジェクト全体としては否定はしていないんだと思うんですね。そうすると、そこは人文学・社会科学とやってしまうと、当初おっしゃったとおり、かなり限定してしまうということもあるかなという気もします。

【川添委員】  僕はよく分かっていないので、小林良彰さんなんかに確認したい。つまり、学術知と学術知じゃないものとの区別はどこにあるのかということだと思います。社会が抱えている問題というのは学術知の方から来る問題ばかりじゃなくて、社会そのものがいわば自然にというか、社会の方から抱えている問題があって、それに学術的な角度から応えると。しかしながら、その学術的な角度というこれまでの考え方が狭過ぎるから、学術そのものをもうちょっと広げる。しかし、それはある意味ではやっぱり学術知ではあるということになるのか。だから、そこの理解がどういうふうにこれまで議論されてきたのか、どういう共通理解になっているのかですね。つまり、単にいわゆるプロジェクトの実際の共創の場に誰が参加するかということがそれに表れるとは思いますけれども、理念的には、つまり、何を生み出そうとするプロジェクトなのか。やっぱり学術知だったというふうに限定したいのかどうなのかという。

【城山主査】  これ、小林先生の御意見を伺いたいですが、私の理解は、単に社会課題を解決する実践知ではないので……。

【川添委員】  やっぱりそうなんですね。

【城山主査】  やっぱりそこと連携することによって、学術知自身が革新されていくでしょうというところに焦点を当てるというのがこのプロジェクトの趣旨だということだったかなと思いますが、いかがですか。

【小林良彰委員】  全く同意見で、単なる社会的課題に対して応えるのだったら、ほかにいくらでもやっているのです。ここでやる必要があるのかということが本当に説得力を持ってほかの人を説得できるかどうかです。具体的に言えば、民間のいろいろな財団があります。余り具体名を言うのはよくないかもしれませんけれども、鹿島もあれば、トヨタもあれば、松下国際もあれば、いろいろなところがやっています。そういうところはまさに学術知は求めているよりも具体的な今の問題をどう解決するのかということを求めて、それに対する回答を書いているわけです。データ分析などをして、例えばどうやったらもっと外国人の観光客が来るのだとか、日本の自動車で売れていない国があるわけですけれども、どうやってもっとそこで売れるのだとか、そういう問題はいくらでもやっています。あとは、少子化・高齢化の問題だったら、掃いて捨てるほどあります、この研究は。
 多分そういうことではないと思うのです。そういうショートレンジのことを求めているのではなくて、やはり従来の人文・社会科学で実は知らぬうちにどこかでバイアスが入ってきているのではないかとか、特に社会科学でいえば、アメリカの社会科学の持っている限界とバイアスがあたかも当たり前のものであるかのように入ってきてしまっている部分があって、それが実は今の問題に応えられない一つのネックにもなっている。だから、むしろそれを超えるような何かメタなものを出していかなければいけないのかなというもう少し壮大なプロジェクトと思って聞いて、かつ参加をしているつもりでいたのです。だから、そういうところをマル1のところでもうちょっと強く書いていただけるといいのかなという気はします。

【盛山委員】  皆さんがおっしゃること、そのとおりだと思います。やはりマル1では、川添先生と小林先生がおっしゃったように、大きなテーマに取り込むというニュアンスが目立たないんですね。大きなテーマということが出てくるのが、マル3で「「大きなテーマ」の下」でという形でイン・パッシングに出ているだけですね。本当は、マル1で新たな学術知を共創するというときに、そのことが出ていた方がいい。原案のように、単にと言ったら失礼ですけれども、新しい考え方や技術や社会的課題を提示するというだけだったら、これまでの様々な取組と余り変わらない。
 そこで、これまでの取組では欠けているような、より本質的な、人文知や社会科学の基本的な革新までも視野に置くような抜本的な取組がここで必要だというニュアンスが、本当はマル1でもうちょっと出てきた方がいい。そうすれば、今おっしゃった御意見が生かされるのではないかなと感じました。

【川添委員】  ついでに言ってしまいますけれども、「大きなテーマ」というのは鍵括弧が付いているんですけれども、これは固有名詞なのか、普通名詞なのか。ずっと気になっているんですけれども、もうちょっと何か、この言葉をもう少し練り上げる必要はないのかと。そうでないと、「大きなテーマ」といっても、外向けには、えっ、何のことですかになりますから。そこは今の問題と絡むと思うので。

【城山主査】  ちょっと細かい点ですが、事務局の趣旨を確認しておきたいんですが、これは、要するに、この仕組みの中で具体的に作る、仕組みの中での場だったり、名前だったりするので括弧を付けているという、だから、ある種、固有名詞だという、そういうニュアンスなんですか。念のために確認です。

【前田学術企画室長】  この仕組みの中、こういう共創の場で共創するに当たって、一つの一番頭にあるものとして大きなテーマがありますと。これはもともとこの委員会が立ち上がる経緯になったのは、ワーキンググループでの報告書でございまして。

【川添委員】  そうなんですね。そこからあるんですね。

【城山主査】  だから、ここもローマ数字2のところは鍵括弧が付いているんだけど、ローマ数字3からはタイトルからしても大きなテーマなので、もう鍵括弧を取っているわけですよね。だから、2の導入部分だけこれは括弧が付いているんですけどね、何か意味があるのでしょうか。

【前田学術企画室長】  単に私の趣旨としては、ワーキンググループでの報告書の大きなテーマというのを引いたということですね。

【城山主査】  引いてきたという、そういうニュアンスですね。

【川添委員】  外向けには分からないと思うんですけどね。

【城山主査】  ここでも、別に2のところでも、別に鍵括弧なくても大丈夫だと思いますけどね。

【川添委員】  ということは、「大きなテーマ」というワードはやっぱり固有名詞として扱うということですか。このプロジェクト専用のあるコノテーションを持った。

【城山主査】  ということですよね。だから、3のところでまさにそういうものとして、大きなテーマというセクションを作っているので、要するに、一般論として大きなテーマを議論しているわけではない。

【喜連川委員】  先ほど小林先生のお話の中で、高い視点での学術知の重要性と、それから、今ある社会課題の解決はギャップがあるというお話で、そうかなと感じたんですけれども、やっぱり理系と大分違うなという気がします。理工系の場合は、余り距離の短い、これを解いてくださいというようなファンディングが公的財団から出ることというのは、長い歴史の中で私は正直言って見たことがないです。なぜかといいますと、問題を見付けた人間が勝ちなんですね。問題がクリアに規定されると、もう解けばおしまいなので、それそのものが研究の領域とビジネスになりますので、理系の場合には問題を一般には出さないんですね。出てくる問題はどういう問題が出てくるかというと、例えば海洋プラスチックみたいにちょっとやそっとじゃもう到底解けないような問題は出てきますが、私は、小林先生の御意見に反論しているわけではなくて、高邁な人文知というものを目指していただきたいというのは心の底から思っているんですけれども、何か境目はそんなにはっきりしないんじゃないのかなという気が個人的にしております。人類が面している大きな社会的な課題も、解こうとするアティチュードが実は非常に必要で、そこに立ち向かおうという人が余りおられないのも国家として非常に問題ないのかなという気がします。ブレグジットのケンブリッジ・アナリティカの問題を日本人の中で一体何人が早い時期から深く理解していたかというととても少なかったと思います。例えば今、エルゼビアの問題で文部科学省が一つグループを作ろうとしているわけですけれども、それを本当にやれる人間はほとんどいません。
 何でいないかというと、こちらでも、これも先ほど御議論があったかと思うんですけれども、今の流れというのは、ゲームが決まったところの学問にずっとみんなが流動していくような気がするんですね。自分で新しい学問を提示して、この問題を解こうよというふうにリーダーシップを取りながら進める人は余りいなくなってしまっているような気がしています。これは若くても年寄りでもそんなもの何の関係もない話で、そういうものをエンカレッジするということこそが何となく、我々的には人文・社会と理系とが、融合じゃなくて手を携えながら研究を一緒にしていくみたいな、僕としてはこれに対してはそういう期待感をとても強く持っています。

【城山主査】  一つは、今おっしゃっていただいた、課題に取り込むという話と、ある種の革新的な学術みたいな話の関係はどうかというのは、これ、前回、前々回で多分議論したような気もします。ここは一応、マル1のところでも並列しているところがあって、つまり、その二つが課題に取り込むということがある意味では本質的な話につながっていくということもあるということで、一応そこは併記をしているという位置付けなんだと思うんです。だから、そこのパスの在り方というのは、いろいろな考え方があると思いますし、分野によって違うかもしれませんが、そういう意味でいうと、そういう議論を踏まえて一応今のような書き方にしています。
 小林先生のおっしゃった点に関していうと、一応今の表現だと、新たな学術知と書いてある、「新たな」というのはそういう革新的なということを一応は言わんとはしているんだと思いますが、それで十分なのか、もうちょっと書き込んだ方がいいのかという、そういうことなのかなというふうに思いますけれども、どうですか、何か御議論ありますか。もうちょっと何か書いた方がよろしいですか。

【小林良彰委員】  理系の話が入ってくると状況は全く違ってくるので、話が元に戻るようなところがあると思うのです。喜連川先生のような、もう日本の理系はすばらしくて、自分で問題を発見してきてというところだと思うのです。
 文系ではやはり多くはアメリカでPhDを取るときにデータサプライヤーになっています。それで、日本のデータを向こうにサプライして、それで、向こうの人の考えているショートレンジなモデルや何とかに当てはめてやっているという。だから、やっぱり常にそこで何か起きて初めて、例えばブラックマンデーが起きる、リーマンショックが起きるとアマルティア・センのようにイギリスから新たなものが何か出てくるわけです。そうすると、またそれを追い掛ける。その繰り返しです。
 済みません、私、人文学は分からないので社会科学しか分からないのですけれども、日本がアメリカの社会科学が持っているベースからもうちょっと自立した形で問題を考えていく場が、これが作れるということが、私は、だから、従来ほかのどこでもやっていないこと、従来の科研でもないだろうし、従来の民間財団でもないだろうし、そういうところを文科省が今やろうとしている。それがここの新しいところ。だから、額は極めて限られているのでしょうけれども、そのためにはそういうものが必要だということではないかなという気はしています。

【城山主査】  その辺の二つの趣旨はそんなにはずれていないものなのではないでしょうか。

【小林良彰委員】  そうですね。

【城山主査】  一応、よくよく読んでみると、今の原文もそんなに悪くはないのかなというのが今、私はちょっと思いました。一応、新たな学術知を共創するという「新たな」というのは、今の小林先生がおっしゃられたような思いを踏まえて多分こういう表現にしているのかなと思うので、文章を変えるのか、こういう趣旨だというのを議事録上ある意味で残していくということでいいのか、その辺りかなという感じを持っています。

【小林良彰委員】  でも、マル1は、川添先生もおっしゃるとおり、もう少しここを書き加えて、もうちょっとそこに重点を置いてもいいのじゃないかなという気はします。

【喜連川委員】  だから、課題というのをマル1の中にちゃんと入っているからというので、主査の城山先生がおっしゃられたことで全然アグリーでありますし、小林先生が理系は云々って、やっぱり理系もこの中にしっとりと仲間に是非入れていただきたいんですね。予算がどうか分からないですけれども。我々からすると、やっぱり経済学は理系のサイエンスに本当になると思うんですね。グローバルに見て10京円のお金がどうフローしているのかというのが我々には本当に興味深くて、今までの経済学なんかよりもぶっ飛んだ世界っていくらでも描けると思うんです。理系は電卓がちょっと賢くなったぐらいだろうとかいう、そういう気持ちもおありかもしれないんですけれども、是非仲良くしていただけるとありがたいということだけは申し上げたいと思います。

【城山主査】  そうしますと、取りあえずは、人文・社会科学を軸としたということで、理系も入り得るという、新しい学術知をベースラインにさせていただいて、これ、すぐにこの場でいい表現を思い付けといってもなかなか難しいと思いますので、そこは御意見あれば頂いた上で、最終的にフィックスをするという形にさせていただければと思いますが、大体そんな感じでよろしいでしょうかね。

【小林傳司委員】  1点だけ。マル4のところの人文学・社会科学のところでですね……。

【城山主査】  そっちは残っているので。

【小林傳司委員】  双方のニーズと書いていますね。学問の方のニーズだけなんですかね。このニーズは何を意味しているんですかね。人文学・社会科学のニーズとか、自然科学のニーズって何ですかね。これがちょっと気になる。

【城山主査】  これ、事務局の方ありますか、何か趣旨は。

【前田学術企画室長】  趣旨としては、自然科学、人文学・社会科学に求められる社会からの要請という意味と、それから、もともとそれらの学問が持っている課題というイメージです。

【城山主査】  だから、こっちは主体じゃなくて、「に対するニーズ」ということですかね。だから、社会の側の人文・社会学、自然科学へのニーズ。

【小林傳司委員】  あるいは、それぞれの分野のアプローチの仕方とか、思考の癖とか、そういうのありますよね。そういうものを両方理解できるという意味の方が分かりやすくて……。

【小長谷委員】  だから、シーズの方が近い。

【小林傳司委員】  社会科学のニーズというのはどうもちょっと気になって。結局、越境知を作ろうと言っているわけですから。

【小長谷委員】  じゃ、「のニーズ」を取ったら。

【喜連川委員】  自然科学は、ニーズは、失礼ながら、人文・社会科学の先生方にこんなことをしてほしいんだみたいなニーズはエクスプリシットに持っています。

【小林傳司委員】  あ、そういう意味?

【喜連川委員】  それはこの前、僕が前回か前々回申し上げたみたいに、今、世の中を本当に変えたのはGDPRだと思っています。アメリカはアメリカ版を作ろうと。日本版どうやって作るんですか、みんなで考えてくださいというか、一緒に考えさせてくださいと、例えばそういうニーズがあります。

【小林傳司委員】  それは自然科学のニーズなんですかね。

【喜連川委員】  要するに……。

【小林傳司委員】  社会のニーズですよね。

【喜連川委員】  これ、科学と書いてあるのが、この後文句を言おうと思ったんですが、情報科学と書いてあるんですけれども、情報工学みたいな、僕みたいな人は非常にまま子扱いされるので、情報技術ぐらいにしておいていただいた方がいいんですけれども、何か科学科学というのが理学だけを主体にしているような気がして。

【城山主査】  その話はここでやり出すとなかなか……。

【喜連川委員】  いや、だから、今のは小林先生のお答えに対して申し上げますと、社会からではなく科学プラス工学からのニーズです。

【小林傳司委員】  ありますよね。だから、そういう意味での学問の側からのニーズの議論をここでするのでいいのかということ。

【城山主査】  そういう意味でいうと、小林先生のアプローチみたいなのも踏まえて、例えば双方の観点を俯瞰できるとかね。観点だと、アプローチの違いもあるし、ニーズがあるのであればニーズの話を入れてもいいので、そしたら、そのぐらいにしておきますかね。

【小林良彰委員】  「双方を俯瞰できる」でいいのではないですか?

【城山主査】  じゃ、もう取ってしまいますか。「双方を俯瞰できる」に。分かりました。
 じゃ、そこをまずそうして、話の当初であった若手研究者なんですが、この前の文章は取りあえず取っておいて、どうしますか、人材の育成は、若手も当然なんだけど、別にシニアな人も当然排除はしないので、だから、俯瞰できる人材の育成で、もうシンプルでいいですかね、それにしてしまって。若手については、小長谷先生に触れていただいたように後でも書いてあるので、ダイバーシティのところで書いていると。そうしましたら、ここは、「双方を俯瞰できる人材の育成」という形にして、前の「若手研究者」は取るということでよろしいでしょうか。

【鹿野田科学官】  私、自然科学分野で物理学分野の研究者なんですけれども、今回、共創型プロジェクト、人文・社会の分野でどういう議論をされているか勉強しようと思って参加させてもらいました。
 今の御議論を聞いていて、やっぱり議論の熱い思いが、1番というのが多分一番肝なわけですね。その熱い思いをこの1番の文章にどう盛り込むかというのが一つのポイントかなというふうに、そういう印象を持ちました。
 それともう一点、若手なんですけれども、やはりこういう大きなテーマである程度長く続くプロジェクトにはどれだけ次世代の若い方に興味を持って参画してもらうかというのが重要なのかなと思います。なので、文章をどうするかという問題と、それ以外に、具体的に若手といった場合、人文・社会ではどこまで指すか分からないんですけれども、助教なり院生なり、そういう彼らがこういう問題に興味を持って参画してもらう何か具体的な施策ですね。例えば理科系だったら、大学院生を海外に派遣するのは自由にさせるとか、そういうのがあるんですけれども、なるべくこのプロジェクトに若い人を引き付けられるような、できれば文言と具体的な施策があるといいんじゃないかなという印象を持ちました。

【城山主査】  多分必ずしも文言というよりは、どういう考え方かということかと思いますが、先ほど若手若手だと若干うんざりするという話もありましたが、例えば私なんかは、若干理系のプロジェクトなんかを見させていただくと、理系はやっぱりそういう機会がすごく多いんだと思います。これはむしろJSTがやっておられるような、さきがけとかああいう、バーチャルラボラトリーみたいなとかですね。
 文系の場合には基本的にはJSPSのポスドクしかないという感じなので、そういう意味でいうと、何かプロジェクトベースの中にも若手が入っていって、そういういろいろな機会を、経験をするという、ある種、強制的な何か経験の機会もすごく重要じゃないかという気はしてします。多分、これ、前に少し議論はあったかと思いますが、例えばこういうプロジェクトが動いたときに、通常のポスドクじゃない形でこういうプロジェクトの中で次の新しい研究テーマの経験をするような人が出てきて、そこで育っていくというようなことは、そういう意味でいうと大変重要な要素なんじゃないかなという気がします。だから、そういう意味で、今言った御趣旨のようなことをある程度共有させていただくといいかなと思いました。

【鹿野田科学官】  一つ付け加えさせていただきますと、シニアも重要だというのは、私も年寄りの部類に入りますので。理科系の場合、特に物理学の分野は、定年になると、大体目立って著名な方は、最近、中国に行くという流れが顕著なんです。なので、研究の場を中国、台湾に移して。日本では定年がはっきりしていますので、そういう意味では本当に有能な方ほど定年後に海外に流れてしまうという、そういう状況があります。ですので、先ほどシニアの、つまり、年寄りをどう使うかというのが重要だというのは大切な問題というのは、多分分野によらず重要だと思いますので、その点は私も共感しております。

【城山主査】  その点は比較的元の文章もよくできていて、世代間の協働等にも意識的に取り組むというのはそういう趣旨を踏まえてのことかなと思います。
 はい、どうぞ。

【白波瀬委員】  済みません、遅れてきましたので勘違いがあるかもしれないんですけれども、基本的に理系の先生がおっしゃったことに違和感は持っていなくて、人文学にも当てはまるところがあると思います。やはり新しい問いを発見し、それを斬新なアプローチで展開すること自体が、やっぱり次の学問につながるものとして最も期待しているところだと私も個人的には思います。
 ただ、そういう大きな次元での理解はさておき、現実的なことをいうと、事業というのはある意味で時間的な制約もあり、結果としての評価を全く無視できないというのも事実です。現実的な枠組みを考えた場合に、事業とはある意味では単なる一つの手段というふうに位置付けられるとすると、この目的の書き方が余りに大上段に構え過ぎていて、背景という意味合いに近いような気もします。
 事業自体の目的というのは極めて明確で、やっぱりそういうような新しい斬新な研究環境を作り出すような呼び水というか、一つのきっかけにすること自体が本事業の目的であるということだと思うんです。そのときにどういう新しさなり、将来に向けての軸足の掛け方をするかといったときには、基本的に私は年齢も関係ないと思いますし、ジェンダーももちろん関係ないし、国籍も関係ない。それが学術の世界であることの一つの意味だとは思いますけれども、やっぱり現実問題としては、いろいろな人たちが同じ共創の場で切磋琢磨することが非常に重要である一方で、現時点として、若年層への優先的なメッセージを明確に出して良いと思います。人文・社会系については、賞とかの場合何歳以下とか若手優先の枠組みがあるのですが、理系に比べると全体規模が小さいので目立たないということはあると思うんですけれども、それが事実です。
 ということになると、やっぱり斬新な、今までの既得権に左右されないような発想なり、問題の指摘こそを求めているんだということぐらいで目的としては置いておくというのが私は良いのではないかと思います。この目的自体が五つ、この目的を達成すること自体可能なのかなというぐらい高い目的が並んでいるような気がしているので、そこの辺りはめり張り感というか、もう少しこの事業としての、まさしく現実的に最も発信したいところの目的を明確に出していただくが良いのではないかと思います。今更このようなことを申し上げて済みませんが、文章にめり張り感はあった方がよくて、そもそも論の大きな問いとはという、やっぱり非常に根幹的な議論にもつながることは非常に重要なんですけれども、事業を立ち上げるという観点からすると、若干大上段に構え過ぎかなという感じがしています。
 以上です。

【城山主査】  ありがとうございます。言われてみてよく考えると、これ、だから、実は、本当の目的はマル1だけなんですね。あとはそのための手段なので。だから、1から5とまとめてしまうのがいいのかというと、ちょっとそこはクエスチョンマークもあって。その意味でいうと、マル1のところの目的は、今議論がありましたけれども、ずっと議論があった、課題に取り組むという話と、新しい学術知で、新しいというのは、今、白波瀬先生が言われた趣旨でいうと、斬新さみたいなところで、要は、そこが中心だということなので、これ、マル1からマル5を並列するのがいいのかどうかということがちょっとあるのかなという感じがいたしました。
 どうぞ。

【川添委員】  いいですか。この辺の議論は前回の議論を踏まえて事務局でおまとめいただいたんですけれども、今の議論を考えると、やっぱりマル1は外して、これ、ローマ数字2の目的に前文みたいなのが長々とあるんですね。これが背景なのか。つまり、ローマ数字の1が背景になっていて、2の前文のところにも、いわば白丸が三つある何か前文みたいなのがあるんですね。そこで詳しく書くことを、事業目的には入れないで、今の事業目的のマル1は前文の方に書いてしまう。この事業単独の目的としては、もう少しコンクリートなものを2から4で書き込むという構造化の方が適切なのかもしれませんね。

【城山主査】  そういう意味でいうと、いずれにしてもマル1は、少なくとも1、2、3、4、5ではなくて、上と同じ丸のレベルで書くと。

【川添委員】  そうですね。そういうことだと思います。

【城山主査】  今、目的の丸で書いてあるのが本当に全部目的に必要なのか、ある部分はむしろローマ数字1の背景なのかというところをちょっと精査するという、今のお話はそういう感じでしょうかね。

【川添委員】  前回だと、マル1からマル4ばかり議論して、前文のところの議論は全然しない形で、そこについてだけ御意見を申し上げた経緯があって、事務局の方には申し訳なかったというふうな感じがしますけれども。

【城山主査】  だから、今のマルになっているのは、もともとのある意味では、今のマル2からマル5が具体的な手段について書いているのは、それはそれでいいですと。だけども、今のマル1は、むしろもう少しメタなレベルの目的なので、目的のところを多分本文として書くということかなと。

【川添委員】  本文というか、前文というかね。具体的な目的の背景的であり、直接的には、この事業は最終目標はそこに置くけどという位置付けをマル1に置いておくということですよね。

【小林傳司委員】  そうすると、マル2からマル4は目的ではなくて……。

【城山主査】  目的のための手段ですね。

【小林傳司委員】  やっぱり手段だから、以下を本事業の目的とするという書き方じゃなくて……。

【城山主査】  目的というよりかは、だから……。

【小林傳司委員】  取組をするんですよ。

【城山主査】  そうですね。今の目的の丸の部分で前に持っていった方がいいところはありますかね。

【盛山委員】  ちょっとよろしいですか。もちろん変えた方がいいというのはおっしゃるとおりだと思うのですが、要するに、このプロジェクトが2段構えになっているということがそういうところに表れているわけでね。つまり、2から5までというのは体制作りについてのお話なのですが、それが、この事業の目下の目的なのですね。つまり、それが取りあえず目下の目的。けれども最終目標は、マル1に書いてあるようなこと。そこはもう少しうまい書き方を考えないといけないんですが、そのように2段構えになっている。それをどのようにうまく書くかという問題をどう解決するかは、今すぐには出てこないのですが。

【城山主査】  少し宿題を預かる形になるかもしれませんが、いずれにしろ、マル1は大きな目的ですと。これからの取組といいますか、当面は具体的に以下のようなことをやりますというのが今の2から5ですという、それを切り分けた書き方にちょっと整理をするということかなと思いますが、事務局、そういう方向でよろしいでしょうかね。

【前田学術企画室長】  はい。

【城山主査】  今の目的のところの丸の最初に四つあるうちの、これ全部ここに残すのか、若干前に持っていくのがあるのかというのは、そこは、済みません、個々に確認した方がいいので精査をして、そこをどうするかは後でお任せいただくということかなと思います。
 はい。

【小林良彰委員】  話が前回に戻った気がする。前回、マル2からマル5、これだと、ただ課題解決の研究で、ほかでもありますよということで、マル1を入れなければいけないというので入ったのです。今度またこれを外すと。

【城山主査】  いや、外すけれども、だから、より大きな高次の目的はまさにそれですと、そういう整理ですね。

【小林良彰委員】  ですから、マル2からマル5はもう目的ではないと。

【城山主査】  取組というか、そのための手段というか。

【小長谷委員】  こういう仕組みを作るということも、一つのこの事業の目的なので。この事業の目的はもともと、大きな学術知を作るということと、その方法論を、スキームを作るということのその2段構えですということをもう最初にぱしっと言って、学術知はなぜ作らなければいけないかというのは前文に一杯あって、メカニズムを作る、スキームを作るという話に2から5がはまると、そんな感じ。

【城山主査】  だから、具体的にこういうことを取組として行うというのが今の2から5。

【小林良彰委員】  ですから、マル2からマル5を目的と言われるとちょっとおかしな気がするので。

【城山主査】  そうそう。だから、目的ではなくて、むしろ取組とかですね……。

【小長谷委員】  そうですね。

【城山主査】  よろしいでしょうかね。
 そろそろ後半の方の議論にも入りたいと思うんですが。

【川添委員】  もう一度だけ。しつこいようですけれども、この事業内部では、大きなテーマというのは固有名詞ですか。

【城山主査】  固有名詞でしょうね、ある種。別に大きなテーマはこれだけに限られるわけではないので、ここでは大きなテーマとして、大きなテーマというのはある一定の制度として設定しているわけですよね、この三つ。

【小長谷委員】  例えばほかに統合的課題とかいろいろありうるけれど、何か単語を使うたびにいろいろ新たな表現上の問題が出るので、これは固有名詞というわけじゃなくて、仮置きじゃないですかしら。

【城山主査】  いや、だから、大きなテーマって、これ、例えばローマ数字3だと研究テーマと書き直しているんですけれども、研究テーマの下に研究課題がぶら下がるわけですね。だから、これはもう制度上の位置付けのあるキーワードなので、もはや一般名詞ではないですよね。ということだと思うんですが。

【川添委員】  それを、だから、外向けにもそういうふうに表現するんですか。この事業で「大きなテーマ」、いつも括弧付きなんだと。

【城山主査】  だから、大きなテーマというか、もうちょっと、研究テーマぐらいにしておいた方がいいのかとかですね。
 はい、どうぞ。

【白波瀬委員】  多分一番、本音の言いたいところはきっと大きなテーマという言葉が出てきてしまうんじゃないかと思うんですね。今、現在進行形で例えば若い人たちがやっている研究とかを見て問題だと思われている、ここの中の委員の先生たちはやはりたこつぼ的ではなくて、もっと根幹的な大きな学問知に通じるような、どうしてそういう研究まで視野が出せないの? みたいなところがきっと大きなテーマという言葉になってくるんじゃないかと思うんです。
 ただ、これが公の文書としてこういう事業をやりますというところで、大きなテーマって言われても、という感想ですね。そこは考えた方がいいかもしれないというか、大きなテーマをこっち側が考えるわけじゃないので。何が大きいのかって、じゃ、小さいテーマはだめだよと、何か非常にレベルが低い議論になりそうな気もするし。やっぱりそこで、大きなテーマの背景に隠された、落としどころというか、意味するところはというか、その心はというところにもう一回、言葉を出してもらって、その言葉から作ったらどうでしょうか。

【城山主査】  だから、一応、今の表現は、今のだとマル3になっていますけれども、人文学・社会科学固有の本質的・根源的問いから生じる「大きなテーマ」で、大きなテーマというのは、前のワーキンググループの報告書を引いてきているんだけれども、それは根源的な問いにつながるようなものだということは一応この文章は残している。

【白波瀬委員】  ですから、大きなテーマと言うとポジティブに聞こえるかもしれないんですけれども、非常にネガティブでもあるんですね。例えば研究指導するときに、大き過ぎるのでもっとテーマを絞った方が良いということはよく言います。だから、やっぱりそぎ落としていないとい、否定的な意味もあるんです。

【城山主査】  だから、ここは根源的な問いにつながるというのは、これはポジティブな意味での大きなテーマということを前のワーキンググループの文章から引いてきて、それを具体化するための仕組みを作るんですよという趣旨かと思います。だから、言葉を変えればというわけでもないですね、もはや。

【白波瀬委員】  ないし、全部、修飾語も入らないし。

【城山主査】  そうそう。

【白波瀬委員】  了解です。

【城山主査】  懸念は分かりますが、今からローマ数字3の表題を変えるのはなかなかつらいなという気はしますけれども。

【白波瀬委員】  失礼しました。ごめんなさい。了解です。

【川添委員】  つらいんですか。

【城山主査】  何かいい単語あります?

【川添委員】  どうつらいのか分かりませんけど、私は。

【盛山委員】  ちょっとよろしいですか。

【城山主査】  どうぞ。

【盛山委員】  その辺りは、前の報告書の文章をどこかうまく引くか何か注を付けてですね……。

【城山主査】  注を付けますかね。

【盛山委員】  大きなテーマという言葉に。それから、やはりある程度、単なる大きなテーマじゃなくて、ある程度限定された意味を持ったものだということが伝わる方がいいかもしれませんね。

【城山主査】  そうすると、今のマル3のところで注を付けてもう少し丁寧に説明するようにして……。

【盛山委員】  いや、マル3よりもっと早くに出てきますから。1ページ目もあるし、2ページ目に「「審議のまとめ」では」とあるし、それから、本当は目的のところの早めにあった方がいいかなと思うんです。今は、目的の早めには必ずしも出てきていないですね。

【城山主査】  検討の背景に入っていればいいですよね、最初の部分だから。ここはしかも、ここは括弧を付けていないんですね。本当はここに括弧を付けておかないと分からないですよね。

【盛山委員】  括弧があった方がいい。ある特定の意味が込められているということを示すために。

【城山主査】  では、1ページ目のところの「大きなテーマ」に括弧を付けて、ちゃんとそこに注を付けておくということにしましょうか。取りあえずは、済みませんが、ローマ数字3のところは、それを受けて、ここでは大きなテーマというのはこういう形で仕組み作りをするんですよという説明にするということで。

【川添委員】  「(研究テーマ)」もそのままの残すんですか。ますます混乱する表現だと思いますけど。

【城山主査】  どうしますかね。これ、だから、最後、むしろ仕組みを作るときに、研究課題が何に張り付けているかというときに、やっぱりそこは研究テーマなんですよね。研究テーマの下に研究課題が張り付きますと。だから、そうするとどこかで、ワーキンググループでは大きなテーマとして議論してきたけれども、それを制度としてはむしろ研究テーマという形で設定しますということを入れて、ローマ数字3からは、制度の仕組みの提案としては、むしろ研究テーマにしますかね。というのが一つあるかなと思います。
 はい。

【白波瀬委員】  でも、一つは、もしあれだったら、俯瞰的なテーマ設定じゃないでしょうか。 「設定」と入れたらだめですか。大きなテーマじゃなくて。

【城山主査】  いや、だから、その後に、要するに、実際にこれ、三つ例示で取りあえず動き出すので、その下に張り付くわけですよね。だから、それはやっぱりテーマ設定というよりは、テーマと言わないとまずいんじゃないですかね。

【川添委員】  もう一つだけ関係して言うと、三つが、私は前回のときに、これは飽くまでも、僕はサンプルという言葉を使いましたけれども、そういう言葉はやっぱりはっきり書いていない。「例示」という言葉が出てくるのは、キーワードについてだけですね、今度の事務局案では。つまり、この三つは例示ではあるとは書いていないんです、やっぱり。いろいろあり得るうちの。

【城山主査】  その書き方は、いや、ただ、これに尽きるものではないという書き方。

【川添委員】  最後に、変えてもいいしということは出てきますけれども。

【城山主査】  そうそう。だから、まずはこれでやってみましょうと。だから、まずはやってみましょうなので、そこを、何とでもいじれますとはさすがに書けないだろうなと。ただし、新たなテーマが当然出てくるということはあり得る。ただ、それがどれだけできるかどうかとかは予算等の条件によるという、今のところはそういう整理だと思うんですけどね。

【白波瀬委員】  じゃ、三つのテーマといって書いて、その下が、これは、要するに、ここで言う大きなテーマの三つ、ここの事業における、第1弾における三つのテーマというふうに書けばいかがでしょう。

【城山主査】  そうです。だから、それを研究テーマという名前にしておいてもいいわけですよね。いずれその下に研究課題が張り付くことになるので。

【白波瀬委員】  いや、でも、余りもう。単刀直入に言うことによって、この事業のある意味での位置付けが明確になりませんかね。 済みません。

【小林傳司委員】  むしろ、これ、「研究テーマ」という言葉は要りますか。研究課題と大きなテーマって2段構え。

【城山主査】  大きなテーマというのを、だから、制度上の用語にしてしまいますかね。だから、大きなテーマでまず三つ作りましたと。将来的に大きな……。

【小林傳司委員】  という言葉遣いでずっとやってきたんじゃなかったんだっけ。

【城山主査】  だから、趣旨はそうなんだけど、ただ、これ……。

【小林傳司委員】  全部研究テーマに切り替えてしまう?

【城山主査】  ここは書いてないんですね。

【小林傳司委員】  両方あるのはまずいだろう。

【白波瀬委員】  そうそう、併記するから混乱するような気がします。

【小林傳司委員】  4ページ目の1行目のところですよね。大きなテーマ(研究テーマ)を三つ提示していますけれども、これが要るのかというのが川添さんの質問ですよね。

【城山主査】  だから、これ、どうしますかね。図には、テーマA、テーマB、テーマCという書き方をしているんですけれども、このレベルの話をいずれ制度としてやるときに、大きなテーマはこれこれで、その下の研究課題をいろいろ張り付けますとやるのか、研究テーマと研究課題という整理にするのか。

【小長谷委員】  じゃあ、大きな研究テーマにしておいたら?

【白波瀬委員】  でも、例えばやっぱりわざわざ括弧に入れられると、財務省なんかに持っていく書類のときに、大きなテーマという、一般にこれでいいんですかというのと同じことで、やっぱりやりにくいから研究テーマと言い換えているわけですから、「大きな」ということが肝ですよということですね。このプロジェクトの趣旨と、研究テーマというふうな形で出さないとなかなか先が進まないという気もします。

【城山主査】  そうすると、仕組みとしては多分研究テーマって使うんだけども、このタイトルはその心を残して大きな研究テーマにしてはどうかという、そういうお話?

【小長谷委員】  そうです、はい。

【白波瀬委員】  済みません、でも、やはり大きなテーマというのがあって、そこに幾つか派生しているような、カテゴリーとしては、極めて二次元的にぺたっとしたものじゃないと思うんですね。大きなテーマというのはここの中では多分一つの概念みたいな話になっているから、そしたら、この三つ、本当に三つの課題なんですよね。だから、三つの課題を通して具体的に大きなテーマという新しい人文知、あるいは知の構築にむけた事業とする。こういう位置付けじゃないと、何かこの書き方だと、既に申し上げたように、第1概念があって、その下に何かカテゴリーがこうなっていて、何かちょっと混乱します。だから、やっぱり大きなテーマって、大分類、小分類、何とかというところで設定してしまうから、誤解してしまうのかもしれません。

【城山主査】  だから、大きなテーマは、一応、4ページとかにある(1)、(2)、(3)の太字レベルの話で、その後のはテーマではないという。そこは飽くまでも参考情報。背景だったり、関連概念……。

【小林傳司委員】  研究テーマと大きなテーマを括弧で名詞で並べるのでどうなんだという話になるので、「研究を通じて取り組むべき大きなテーマ」と言ってはだめですか。研究を通じて取り組む大きなテーマというふうに研究テーマを文章的に開いてしまって、言い換えみたいに見えない?

【城山主査】  ただ、その場合、だから、具体的に言うと、(1)とか(2)とか(3)のレベルは、これは何だということに?

【小林傳司委員】  大きなテーマ。

【城山主査】  要するに、研究テーマという概念は使わないの?

【小林傳司委員】  研究を通じて取り組むべき大きなテーマ。

【城山主査】  いや、だから、テーマ、大きなテーマですけれども。

【白波瀬委員】  その方が分かりやすいんじゃないでしょうか。

【城山主査】  少なくともこの報告書のレベルではそれ以上具体化はしないので、それが一番変えないで済むパターンだという気はしますけどね。
 事務局、いかがですか。若干、二転三転して恐縮ですが。

【前田学術企画室長】  済みません、お示しの仕方が悪かったんですけれども、ワーキンググループの報告書では大きなテーマとしており、本質的・根源的な問いを持つ大きなテーマとしてはございませんので、これを受けてこの委員会で先生方にお集まりいただき御意見をいただければと存じます。

【城山主査】  だから、一応この段階では大きなテーマという概念をそのまま使うことにして、3のタイトルのところだけは、少し説明を加えて、研究として取り組むべき大きなテーマと。だから、単に大きなテーマを並べるだけじゃなくて、もうちょっと説明も入っているので、そういう形にするということですかね。

【前田学術企画室長】  はい。

【城山主査】  よろしいでしょうか。はい。

【井野瀬委員】  済みません、今、その次の、大きなテーマの話に行ってもよろしいですか。

【城山主査】  もう入っていますので、どうぞ。

【井野瀬委員】  前回も議論をお聞きしてようやく分かったと言った、3番目の研究の柱ですけれども、そこで、前の文章からあまり余り修正されていないように見えるのが三つ目の○、つまり、研究課題のキーワード(例)のすぐ上の○です。ここで言いたいことは、日本の多様な経験の中で従来の世界全体の文化や価値観などを見直すという、そういうことですよね。

【城山主査】  だから、日本の経験を踏まえてこういう新しい価値の課題に取り組むということもあり得ると。

【井野瀬委員】  ということですよね。

【城山主査】  ただし、それに限定されるわけではなくて、ワンオブゼムですという、そういうこと。

【井野瀬委員】  そうなんです。ですが、この書き方、2行目から、「上述のような地球規模の課題に取り組む過程で
は、非西欧国である日本の明治以降の近代化」云々がどのような影響を与えてきたかを省察する視点が重要であり、その視点の下で、「我が国固有の価値、倫理観、強みなどがいかに貢献し」という書き方は、私は少し違うのではないかと思います。
 前回も申し上げたのですが、今、主査の確認にもあったように、日本の多様な経験、だから別に近代以降でなくてもいいわけですが、その多様な経験の中で従来の物の見方を変えるようなものを出し、世界に発信するということであれば、この文章は逆に発想を狭めてしまうことになりませんか。
 喜連川先生がおっしゃったように、問いというのはできるだけ解決までの道のりを考えさせるようなものであり、ここにこうやって「近代化」などと例示してしまうと、それをテーマにすればいいのだというふうに、アプライする側を縛ることになるかと思います。また、その下のキーワードですが、前回私は「日本らしさ」は少し違うと問題提起したのですが、まだそこに残っている。そうした点に、違和感を覚えるのですが、そこはいかがでしょうか。

【小林傳司委員】  そこの辺り、私が前、原文のところで少しアイデアを出した記憶がありますので。これだと確かに日本主義みたいになっているので、そういうことを言いたかったのではなくて、むしろ先ほど小林良彰さんがおっしゃったみたいに、日本の社会科学がアメリカの植民地、データプロバイダーになってしまっているとか、そういうふうな学問の在り方みたいなものを見直す契機として日本というものを考えるということの方が大事だということを私は言いたかったわけです。

【城山主査】  御趣旨は分かりました。これ、今、文章で言うと、多分、下から3行目の「こうした視点のもと」の後の文章が基本的には要らないですよね。

【井野瀬委員】  要らない。

【城山主査】  だから、「こうした視点のもと、新たな人類社会を構成する価値について検討を行う」とか、それだけにしてしまえばいいんですよね。

【井野瀬委員】  その上のところも、「日本の明治以降の近代化」という表現があって、それが申請する側を縛るところがあるので、それよりも、「日本の文化・歴史の中の多様な経験」といった表現にした方がいいと思います。小林傳司先生の意向も前回の委員会のときに聞いており、「そういうことだったらこの表現はおかしいですね」と申し上げたと思います。小林良彰先生がおっしゃった、「アメリカのバイアスからの自立」も、恐らく関連すると思います。よって、ここは少し書き過ぎでしょう。それから、「我が国固有の価値、倫理観」ですが、もはやそういう表現はしませんよね。

【城山主査】  だから、まず固有の価値とか書いてある、「こうした視点のもと」以下の部分のところはまずシンプルにしますということと、この例示で書いていることを取ってしまうかどうかですね。ただ、「非西欧国」は何となく入れておいた方がいいかなという気はします。非西欧国における日本の経験も踏まえぐらいにしてしまうのかどうかですね、そこはシンプルに。

【小林傳司委員】  シンプルにしておいた方がいいかもしれない。

【井野瀬委員】  私はシンプルの方がアプライの幅を広げると思います。

【城山主査】  ほかに何か御意見ありますか。

【盛山委員】  「平和主義」は残しておいてもいいと思うんですけれども。

【城山主査】  ただ、そうすると、後半それだけ残すというのもバランスがあるかなと思うので、残すならば幾つか……。そうしたら、ここはシンプルにしてしまいますかね。どうもありがとうございました。
 そろそろ体制に行きたいのですが、よろしいでしょうかね。それでは、6ページでありますが、実施体制のところ、御意見頂ければと思いますが、いかがでしょうか。

【川添委員】  じゃ、皮切りに一つ。

【城山主査】  どうぞ。

【川添委員】  前のところで、特にスキームのこの絵を見ているんですけれども、やっぱり評価のことがずっと議論になっていて、誰が評価するんだということで、どのポストがどういう役割を担うかという話をしていた記憶があるんですけれども、今回のこの体制だと、要は、具体的な金を伴ったような事業としての評価はどこでやるということになるんですかね。

【城山主査】  まず、事務局の方からいかがですか。

【前田学術企画室長】  来年度はまさに研究チームと研究課題を大きなテーマのテーマ代表者の下で作っていただ
いて、事業運営委員会にもお示ししながら作っていくことが来年度の事業でございます。そういったプロセスについて評価をするというのは、まさに事業運営委員会の方でモニタリングというか、レビューをしていただくことになろうかと思っております。

【城山主査】  だから、そういう意味でいうと、ここは一応御議論を踏まえて書き分けて、テーマ代表者以下の方は、ここは評価される方で、事業運営委員会が評価する方と。ただし、事業総括者というのは、両方に関わるような立場を持っているという意味で、そこは若干曖昧な形になっているんだと思います。

【川添委員】  組織としては、事業運営委員会が実際に事業を運営しながら評価もするということですか。

【城山主査】  テーマの評価はしますと。ただし、このスキーム自体の評価を誰がしますかというのは、当然それはまた別途あるんですよね。

【川添委員】  それはここにはまだ書かれていないということでいいんですか。

【城山主査】  書かれていないということだと思います。

【川添委員】  共創の場が、要は、意図したように作られて動いているかの評価は、事業委員会がやると。

【城山主査】  そうですね。

【川添委員】  自分から任命した委員会が。そういう理解ですかね。

【城山主査】  だと思います。

【川添委員】  そうすると、評価ということは、表面的にはどこにも現れていないけれども、そういう機能を事業運営委員会が担うと? このスキーム、図の中では、評価ということはどこにも書いていないですけれども……。

【城山主査】  それはどのレベルの評価で、共創の場に対する評価は事業運営委員会がやると。ただし、そもそも事業に対する評価がどこをやるのかというと、そこはまだここでは考えていないということでしょうね。本当にこれが長期的に動き出せば、多分このスキーム全体を評価する場をどこかに作らなければいけなくなるんだと思います。

【盛山委員】  ちょっとごめんなさい。事業そのものの評価なんていうのは、ここで考えなくてもいいんじゃないですか。もしそうした評価を考えると、どんな事業を提案するときだって、メタ的に永遠に作らなければいけなくなってくるでしょう。それは別問題で……。

【城山主査】  だから、そこはここの枠外の話だということですかね。

【盛山委員】  はい。

【川添委員】  それにしても、一応、事業運営委員会がいわば設置とかじゃないけれども、外側にというか、それに基づいて共創の場なるものが作られるわけですね。共創の場がうまく機能しているかどうかの評価は事業委員会がやると。

【城山主査】  そういうことだと思いますね。

【川添委員】  そういう理解ですね。

【城山主査】  共創の場というレベルなのか、テーマ設定に基づいてちゃんと運営できているかどうかというのは、当然事業運営委員会は見ている。

【川添委員】  テーマを設定するのは事業運営委員会でしょう?

【城山主査】  というか、テーマ設定に基づいて実際の研究課題なり研究プロジェクトを作っていくのは、共創の場の方のわけですよね。テーマはもう既にありきなので。

【川添委員】  そうか。ただ、テーマA、テーマB、テーマCについて、いろいろ議論しながらも、それは変更したり、取りやめたり、加えたりということを、そのことは事業運営委員会が決定するんですかね。共創の場のそれぞれのテーマ代表者がやれるわけじゃないと?

【城山主査】  だから、テーマとして決まっているのは大きな1行文章だけなので、その中でどう具体化するかは、まさにテーマ代表者を中心として、いろいろな参加者といろいろ共創してくださいとなっているので、そこはかなりの裁量があるわけですね。それが適切にされたかどうかという評価は当然事業運営委員会がするんだと思います。あるいは、評価をするだけよりは、むしろ適切にそれに基づいて助言・指導するという。

【川添委員】  助言と書いてある。

【小林傳司委員】  7ページの一番下の丸ですよ。

【城山主査】  ええ。

【井野瀬委員】  今のことですが、図の中では、全て「指導・助言」という表現をされていますよね。

【城山主査】  そうですね。

【井野瀬委員】  この「指導・助言」というのが、川添先生が御質問になっている評価ということ……。

【川添委員】  ということなんですかね。

【井野瀬委員】  そこがちょっと見づらいですね。

【盛山委員】  ちょっとよろしいですか。

【城山主査】  はい。

【盛山委員】  一応、別組織として動くんだけども、時間的な問題として、動いているものを評価するというプロセスが特別に入る時間的な余裕は多分ないと思うんです。指導・助言の形で介入するけれども、主体そのものは共創の場が動いてもらうと。事業運営委員会の方は、もちろんアセスメントあるいはモニタリングはするんだけれども、何かメタ的に評価して採点するみたいな機能は必要ないと私は思います。ただ、実際上、どういうふうに指導・助言のプロセスを入れていくかというのは、またこれから考えなければいけない話であって。

【城山主査】  まさにそこは実質的なところで。だから、実際はここは研究課題の案を作るわけなので。実質的な評価は、それが次のステップへ行くかどうかで決まってくるので、だから、それはこの場の新たな外側の世界ですよね、恐らく。

【小長谷委員】  指導・助言の後、モニタリングも入れておけばいいんじゃないでしょうか。見守るという意味で。それで、事業全体とか、学術評価だけではない評価の在り方について検討するようなことはまた事業運営委員会でしたらいいし、さらに、スキームがどうだったかということは自分なりに書くでしょうけれども、それをまた評価するのはまたその外側の話ということだと理解されます。

【城山主査】  どうぞ。

【小林傳司委員】  ちょっと気になっているのは、事業運営委員会が事業総括者を任命するんですよね。任命された人が事業運営委員会の委員になってしまうんですね。そして、モニタリングの対象になっているんですね。これって大丈夫ですか。

【城山主査】  今の設定は、そこはちょっとつなぎをいれているんですね。だから、これは前回の議論を踏まえて、テーマ代表者はもう完全に事業運営委員会の外に置きましたと。ただし、事業総括者というのは、むしろ間に立つような立場に置いていますと。

【井野瀬委員】  1人だけですね。

【城山主査】  はい。

【小林傳司委員】  運営委員会の委員長と事業総括者だと、委員長の方が偉い?

【城山主査】  前回は、これ、運営委員会の委員長を事業総括者にするという意見もあったんだけど、そこは今の案は切っているんですね。それは当然のことながら、事業運営委員会においては委員長の方が偉いので、そういう意味では事業総括者は飽くまでも一メンバーだという、そういう整理ですね。だから、全く切ってしまうとやっぱりまずいんだろうなという。先ほどのモニタリングの話じゃないですけれども、日常的なやりとりとかそういう情報がまさに入っていかなければいけないわけですよね。おっしゃるように、そこは若干微妙な位置付けにはしています。
 だから、一つの考え方は、事業総括者は運営委員会のメンバーで、運営委員会のメンバーとして指導・助言をするにとどめるというのはあり得るんですが、とはいえ、やっぱりテーマ代表者がそれぞれテーマを具体化したときに、全体のバランスを考えたり何なりという、やっぱりそういうある種のルーティン的な業務はあるだろうと。やっぱりそういうのはやってもらわなければいけないので、事業総括者として一定の関与はできるという。

【川添委員】  いいですか。

【城山主査】  じゃ、まず盛山先生。

【盛山委員】  それでいいと思います。つまり、ごく大ざっぱに言ってしまうと、事業運営委員会というのは国会みたいなものですから、モニタリングする議員の集まりになります。それに対して、事業総括者というのは実際に事業を推進する責任者なので、それは運営委員会の中で任命されて、運営委員会に対して責任を負うという仕組みでいいと思うんですね。

【城山主査】  ええ。では、川添先生。

【川添委員】  済みません。やっぱり先ほど前田さんは、1年目は事業運営委員会の立ち上げそのもので1年過ぎてしまうというような言い方をなさったけれども、そうすると、モニタリングとか何とかいう、アセスメントも考えると、やっぱりタームがどれぐらいのスパンでどれぐらいの厚みを持った活動をそれぞれのテーマの代表者が行うのかという、そういうイメージをもう少し具体的にしておかないと、何か組織の作り込みもしにくいように思いますけれども、そのところはどう考えたらいいんですか。僕はまだ具体的なイメージを持ち切れていないんです。何がそこで行われるのか、共創の場で。

【城山主査】  それは各テーマごとに何が起こるのかという。

【川添委員】  ええ。

【城山主査】  いかがですか、少し具体的なイメージ。

【前田学術企画室長】  済みません、私の理解だと、研究チームの研究課題を研究提案あるいはアイデアベースの下で作っていただくと、それがこの共創の場での大きなポイントだと思うんですね。それをテーマ代表者の下で作り上げていただいて、事業総括者ともやりとりしながら事業運営委員会に御報告して、指導・助言を受けてやっていくと。
 ただ、来年度はそういう場ですけれども、次年度で研究実践というところに移行させていただきたいと思っておりますので、そこへの研究実践というもの全体も含めてこの事業がどうだったかという、そういうモニタリングというのは必要だと思っています。ですので、来年度どの部分をモニタリングするかというのは、もう少し時間軸を幅広く取ってやった方がいいんじゃないかというのが私が持っている意見でございます。

【城山主査】  そうすると、要するに、共創の場の方は取りあえずまず単年度で具体的な研究チームと研究課題のセットを作るというのが第1年度でやることでしょうと。だけども、事業運営委員会というのは、これはまだ決まっていない話だけども、仮にテーマが動き出したとしたときには継続的に関与する可能性があって、そのときには、実際のプロジェクトの運用のモニタリングなり、評価になるか分かりませんが、そういう機能を持つという可能性はありますという、そういうことですかね。

【前田学術企画室長】  そういうイメージです。事業運営委員会は来年度だけの話ではなくて、もう少し長期的な研究実践も含めた全体のモニタリングというか評価というか、そういうところにも引き続き機能を発揮していただきたいというのがイメージでございます。

【城山主査】  だから、そういう意味では、事業運営委員会は比較的中長期の話で、共創の場は取りあえずはこれは単年度で、その中の一部のものがプロジェクトとしてもうちょっと継続的に動くかもしれませんという、そういう整理ですね。

【川添委員】  ちょっと。そうすると、共創の場を作るというのが、メーンの大きなターゲットであったはずのものが1年で終わって、あとは、個別の研究に支援が行われるだけですか。

【城山主査】  いやいや。だから、共創の場というのは、引き続き継続的にやるということは当然ある。

【川添委員】  引き続きあるんですか。存在はしているわけですか、そうすると。

【城山主査】  それは新しいテーマについて共創の場を作るということは。

【川添委員】  新しいテーマを設定しないとできない? 1年掛けて、わずか1年でそれぞれ三つの個別研究課題が確定したら、そしたら、あとは、個別研究をそれぞれの研究者がやっていて、その三つの大きなテーマについてはもう共創の場は終わったと?

【城山主査】  だから、そこはまさに考え方の整理で、共通テーマについて何年かやるべきだという考え方はもちろんあり得るわけですね。だから、そこは、今の書き方は極めてぼかしていますよね。新しいテーマにしてもいいし、今の大きなテーマを継続的にもうちょっと募集するということも否定はしてないですよね。

【前田学術企画室長】  そうですね。それで、私、前回も申し上げましたけれども、この共創の場というのは別に来年度だけではなくて3年間の事業を考えておりますので、来年度、共創の場で研究チーム、研究課題が出来上がって、それを研究支援して、また、要するに、同時並行で走ると、そういうイメージでございます。だから、来年度だけでこの三つのテーマが全て終わりというわけではありません。
 それから、今、主査からもお話がございましたけれども、この三つのテーマで、取りあえず取っ掛かりとしては必要だろうと思っていますので始めさせていただければと思うんですけれども、追加で変更する必要があるということであれば、柔軟に対応をした方がいいんじゃないかという趣旨で書かせていただいております。

【城山主査】  済みません、私は若干言い過ぎていて。だから、原則はむしろ今のを継続するというのがありですか。場合によっては変えることもありということ?

【前田学術企画室長】  継続していただいてもいいかと思うし、場合によっては変えることもあり得るかと思います。

【小林傳司委員】  ちょっと具体的にね。これ、研究提案、公募すると言っていますよね。公募するということは採択するわけですね。そこにある種のコンペティションが働くということが予測されますね。却下される、採択されないものも当然出てくると考えるのかどうか、これが一つ。
 採択されたときに何が頂けるのかというと、初年度に関しては、共創の場に参加する資格が与えられて、旅費ぐらいしか出ないわけですよね。そして、その次の年からはファンディングが始まるんだと。そうすると、そのファンディングに参加する資格というのは、そこでもう一回ゼロリセットをして公募をするのか、それとも、共創の場に参加していた人たちが優先的に研究のステージに進めるのかという辺りの設計はどうするのかというところが多分出てくる。

【城山主査】  一番最後のところが一番大事な点だと思いますが。はい。

【小長谷委員】  そういうふうに語られると、今までのと全然違う。だから、そういうふうに語ってはいけなくて……。

【小林傳司委員】  いけないって、どう語ればいい?

【小長谷委員】  結局、公募だけれども、それは研究のスペックで入ってこられるわけで、どんなふうな研究にするか
ということ自体を作るわけですね。だから、科研を作りに来るというような感じです。だけど、それは個人でできるような科研だったら科研と同じだから、それは個人では到底できないような大きなものに対して、それから、今まで出会ったことのないような他人と一緒にというような意識を持っている人たちがやって来るわけですね。

【小林傳司委員】  1年目ね。

【小長谷委員】  はい。そのお見合いの場で1年目に作るわけです。だけど、その作ったときの、予算に応じて作ったけれども、予算の結果、それが基盤(A)よりも小さかったら何の意味もないから、そしたら、次年度送りというようなこともあるかもしれないですよね。

【小林傳司委員】  それはマネジメントが難しそうだな。

【小長谷委員】  そうですけれども、本当に最初に絶対三つで二つずつだということになったら、付いた予算で割ってしまってもう何もできないということにもなりかねないので。もちろんこういう小さくなるようなことを言うべきじゃないから、これ、カットしてもらいたいですけれども、できるだけ頑張って取って進めていくということじゃないかと思うんです。

【盛山委員】  ちょっと関連して。

【城山主査】  どうぞ。

【盛山委員】  今、小林先生がおっしゃった問題は難しい問題で、要するに、共創の場でテーマを作り上げていく。作り上げていくときに、どうしてもそれが実際に研究テーマを遂行する人と重なる可能性は非常に多いんですよ。そのときに、最終的なテーマ、個々の研究課題を採択しようとするときに、どのような競争、コンペティションを公明正大に入れていくかというのは難しい仕組みです。実は、今走っている課題設定のプログラムを動かす際にも時々問題になることです。これはしかし、避けて通れないので、私は、無理してでも、微妙な問題をどうクリアするかというのは、あと数か月というか、あるいは走りながら来年になるかもしれないけれども、それで考えていくというのが必要じゃないかなと思っています。

【城山主査】  一番最後の点だけ確認させていただくと、ここで案が出てきますと。次に、そういう案をサポートするのはファンディングスキームが必要ですという話が出てきて、それに接続するときにどうするかですよね。だから、実質的にはそれがベースになるんだろうと思いますが、多分自動的に行きますという設計はなかなか難しいですよね、恐らくね。そこは、ただ、だからといってオープンにするかというと、出てきた案が適切かどうかをチェックするような意味での競争というのは多分もう一回どこかで入るんだろうなというふうに思います。

【小長谷委員】  それは事業運営委員会の仕事じゃないですか。

【盛山委員】  今日は決められないですよ、まだ。

【城山主査】  そうそう。だから、そこの接続をどうするかというのが論点として残るということでしょうかね。そこは次のフェーズのときの事業委員会の位置付けで、さっき言った、継続的にやるのであれば、そういう役割は当然担い得るということですよね。
 はい。

【前田学術企画室長】  そこは、9ページ目の最後の丸のところで、研究実践というステージに移行するに当たっては、本事業による研究支援も含め、どのような支援方策が適切かについて、この中間まとめ以降の検討課題としてお示ししている趣旨でございます。

【川添委員】  済みません、何度も僕が。

【城山主査】  どうぞ。

【川添委員】  こんなこと、金目の問題ですから仕方ないと思うんですけれども、つまり、公募を掛けますね。何番ですか、事業委員会が。そのときに、公募の中身に、将来どうなるかという、つまり、どれぐらい実入りがあるのか、どれぐらいメリットがあるのか、何にも示さないで公募なんかできますか。だから、残されている検討課題をどこまでの時点で決めるのか、どこまでにどういうことを決めるのかだけは決めておかないと、公募なんかできないと思います。

【城山主査】  だから、どの時点でどこまで明らかにできるかですよね。これ、他方、公募をして、多分案を作るのは、来年の概算要求の前にやらないと意味がないので、多分年度の前半にやらないといけないわけで、そのときに応募者に対して、何につながるかということの具体的なある程度イメージがないと、なかなか応募者も応募するインセンティブというか、安定的な期待を持てないでしょうと。

【川添委員】  飽くまでもそれが決まっていないのがこの新しさだと言い張るならいいですけれども、それでも。

【前田学術企画室長】  済みません、別に我々、何も決めずに公募するなんて一言も申しておりませんので。

【川添委員】  そうですね。

【前田学術企画室長】  なので、今この時点でお決めいただくことと、それから、来年度の事業、これ、実践に向けて決めていただこうという、やっぱり時間軸があると思うんです。もともと実施機関をどこにするかということは、独法にするのか、特定の大学共同利用機関法人にするのかということもまだ浮かせた状態でございますので、それは私どもの方でお願いしたりしてこれから詰めていくところがございますから、そういう過程の中で、実施要綱みたいなものを作っていくと思います。それはもちろんこの人社の先生方の特別委員会の方でも中身を見ていただきながらやっていくということを考えております。別に今、何も決めずに公募しますなんて私は一言も申しておりませんので、その辺は誤解なきようにお願いいたします。

【城山主査】  だから、そこはまさにつなぎの課題として、どの程度明確な情報を出すべきかということをある程度考えないと。だから、一応、この新しいチームを作っていくこと自身に興味を持つ人に手を挙げてもらいますよというのが一番ボトムですけれども、それだけだとやっぱりもうちょっと先を見通せないと、研究者も経営者みたいなところもあるのでなかなか難しいでしょうという、そういうお話だったかなと思います。

【川添委員】  済みません。それはよく分かる。ただ、長年関わられておられる小長谷さんの先ほどの発言は、さっき僕が冗談で言ったみたいに、志のある人に参加してもらって、後でそのメンバーで考えて、どういうふうな研究課題を設定して、どれぐらいのお金が必要でということをその後に考えましょうというふうに聞こえるんです。だから、つまり、そこが決まらないままに、志のある人この指止まれと言いましょうという話なのかどうかということだけは決めておかないと。

【城山主査】  一番大きい話は、多分案を作ってもらうときに、6月ぐらいとかにやるんでしょうけれども、そのときに一体どのぐらいの規模のプロジェクトを考えるのかというやっぱりガイドラインがないと、なかなか自由に考えてくださいと言っても困りますよね、恐らく。だから、それの何かめどになるようなものを出せるということは、やっぱり少なくとも公募をして、何かそれこそワークショップとかやる段階では必要なんだろうと思うので、その段階では少し具体的イメージを出せるようなものを考えていただきたいということかなと思います。それは現時点ではこちらからは要望としてしか言えないと思いますけれども。

【小長谷委員】  私も全く金額に対して白紙でみんなに志が生まれるとは思っていません。7ページの二つ目のところに、確認論点、応募資格についてはこのような整理でよいかという、この応募資格の意味は、個人単位か、研究グループ単位かというようなそういうところですけれども、やっぱりアプライしてもらうときに、こういう研究でこうするのにはこのぐらいのお金が要るというような、そこのことも含めてアプライすることになるんじゃないかと思います。最初にもちろん大体の金額の枠の提示があるかもしれないけれども、100万円でできるような提案をなさる人もいれば、3,000万円ぐらいでこれだけの大きなチームでやりたいというのもあるでしょうし、それは、ここのアプライの仕方の様式をどうするかという辺りはまだ全然議論していないと思います。

【城山主査】  ただ、多分、金額はなかなか難しいんじゃないですか。つまり、こういう人と組んでやりたいといって、こういう人というのはまだ希望なので、誰と組んでやるか分からない段階ですよね。だから、金額はむしろワークショップでいろいろな人たちと議論するときに多分必要な話なので、多分、公募の段階では金額までは要らないんだと思いますけれども、ただ、ワークショップで議論する段階ではある程度のめどを持っていただく必要があるのかなという気はします。

【小林傳司委員】  確認論点のところの意味は、研究者以外のステークホルダーからの応募も認めるかどうかというのは一つのポイントという理解でいいですか。

【城山主査】  それはもう認める。

【小林傳司委員】  認めるんですね。

【城山主査】  認めるんです。それは研究アイデアでも構わないと。

【小林傳司委員】  研究者番号がなくてもいいということですよね。

【城山主査】  そういうことです。ここの趣旨は、要するに、個人にするか、グループを認めるかの話で、ただ、実質的なこのプロセスを考えると、取りあえず研究提案会議に行く人なので多分個人だと思いますが、ただ、その段階で既にこういうことを一緒にやっている研究協力者がいるのであれば、多分研究協力者を書く欄も設けておいてもいい。それを否定する必要はないのかなと。ただ、中心になる人は個人で多分書いてもらうのがいいのかなという感じはします。

【盛山委員】  ちょっとよろしいですか。

【城山主査】  どうぞ。

【盛山委員】  その辺りを含めて、多分もし予算が通れば、来年の6月ぐらいに何かそういう公募をするということになる。つまり、内示が出た段階から長くて6か月、短ければ数か月の間に公募要領を含めて、共創の場をどういうふうに運営するかという仕組みをかなり詳細に、今言ったいろいろな論点がまだ一杯残っていますが、それらを詰める必要がある。ということを今日は確認しておけばいいんじゃないですか。

【城山主査】  だから、今日の大事なことは、一番最後の継続的な検討の必要性のところの論点リストを作っておくことなので、今挙げていただいた点はまさにそういう点に関わることかなと思います。

【盛山委員】  ある意味ではこれは今までやったことがない公募ですから、まだ正直言ってイメージは必ずしも完全には湧かないわけです。何を公募するのか、これに参加するとどういうメリットがあるか、かつ任期の長さが幾らぐらいだとか、その後、個別のテーマにどういうふうにつながってくるかとか、そうしたことをきちんと書かなければいけない。たくさんあり過ぎて、今日だけでは、論点を全部挙げられない

【城山主査】  ほかいかがでしょうか。
 あと、先ほど室長の方からもありましたけれども、これ、実施機関、今の書き方は一応、独法か、あるいは大学共同利用機関、表現としては両方書いていますと。ただ、これはこれまでの議論の紹介でもありましたけれども、ある種の運営の公平性なり、中立性を考えると、やっぱり独法、恐らくJSPSなんだと思いますが、そういうところが適切じゃないかという議論が前回もあったので、多分議事録的にはそういうものをちょっと残していただくぐらいかなと思います。ただ他方、ここにも若干の関係者の方がいらっしゃるのかもしれませんが、やるんだとすると、ある程度そういうことを運営するサポートもそういうところに付けないと多分なかなかうまくいかないということもあると思うので、そういうことは配慮していただきたいということは当然あるかなと思います。
 この運営機関のところで何か特に御意見等ありますか。

【井野瀬委員】  一つよろしいですか。

【城山主査】  どうぞ。

【井野瀬委員】  アプライする方からすると、JSPSのさまざまな区分けに加えて、このプログラムが自分たちにどういうメリットがあるを考えて、アプライしてくると思います。JSPSの科研費にプラスアルファを考えたとき、そのアルファが、ここで議論しているような、高いところを目指していることが分かる立て付けにする。それをこれから具体化していくことになりますね。

【城山主査】  そういうことですね。

【井野瀬委員】 だから、JSPSの資金先にもう一つ選択肢が増えた、という印象しか研究者たちに持たれないのであれば非常に困る。そこのところに仕掛けをせねばならない。先ほどから出ている議論もそういうことですね。

【城山主査】  そういう意味でいうと、PRというか、周知はすごく大事ですね。新しいことをやるんだということです。これもある意味では、今後に引き続いて検討することが必要な事項ということかと思います。
 いかがでしょうか。はい、喜連川先生。

【喜連川委員】  これ、テーマのところがすっと通ってしまったので、いつ話題になるのかよく分からなかったんですけれども、さっきの、散発的に情報系のキーワードが入っていて、三つ目のところだけ情報のキーワードが入っていないんですけれども、Society5.0って原則、ITイネーブリングしましょうというのが5.0なので、ここだけ情報が入っていないというのは。細かい話で恐縮なんですが、僕に分かるのはそれぐらいしかないので。
 それから、さっき言いました、2の「情報科学技術」の「科学」は取っていただくというのだけ、時間ぎりぎりですけれども、お願いできればと。

【城山主査】  まず、では、「情報科学技術」の「科学」は取って、「情報技術」と。

【喜連川委員】  ええ。

【城山主査】  あと、だから、これは例なんですが、喜連川先生いらっしゃるというのもありますが、情報で全部入れて、ほかのも全部入れるとなかなか大変なところもあり。これ、もともと経緯でいうと、多分、情報は最初、2の分断のところに入っていたんですが、1のところも、高齢社会の話で入れましょうとなって入ったんですが、3にも入れた方がいいですか。

【喜連川委員】  あー、そうか。

【城山主査】  要するに、どこかに……。

【喜連川委員】  二つにしてあげたんだという……。

【城山主査】  いやまあ。

【喜連川委員】  そういうことをちゃんと忖度しなさいとおっしゃられておられるとすると、いや、世の中的には、3はやっぱり入れておいた方が。

【城山主査】  3は入れておいた方が。

【喜連川委員】  ほかは削っていただいてと言うとまた怒られてしまうんですけれども、そういう感覚はございます。

【城山主査】  逆に何で2に入っているかというと、やっぱり2のところも技術の話も何かはないとまずいなというときに、要するに、情報技術が分断を加速するのかどうなのかみたいな話というのは、やっぱり我々、社会的にはむしろ是非入っていただきたいなという意味で入っていて。もちろん、だから、3に入ることは否定はしないので。

【喜連川委員】  三つも入れてあげるようなレベルの学問じゃないとお考えであれば、それで結構なんですが……。

【城山主査】  逆に3に入れるんだと、どういう入れ方がいいんですかね。

【喜連川委員】  3はもうあれですよ。

【城山主査】  情報技術と入れてしまう?

【喜連川委員】  5.0は情報基盤ですよね、多分。

【城山主査】  だから、一応、5.0という形では入っていますと。5.0の再定義。

【喜連川委員】  5.0はブランディングですので、政府から見ますと、技術感が特段そこにあるわけではありませんから、そういうキーワードはという。もうこれ以上申し上げません。
 あと、さっきの実施の体制とか、どこに管理をというような話からすると、やっぱりこれだけ文科省の中で非常に丁寧な御審査をなされておられるというのは、JSPS、とても恩恵をこうむっているんですけれども、ファンディングエージェンシーがやるという以上の柔軟性があるんですね。要するに、ここで決めるのは、全部決められるという一番大きな柔軟性を持っている施策として動かすわけですので、余り丁寧にフレームワークをがしっと決めるというよりは、動かし方そのものをここでエクスプロアするというようなことも含めて、是非ゆとりの部分というか遊びの部分を含めたような形で人文・社会系の今後のプロジェクトということも考えながら動かしていただければいいんじゃないのかな。多分それがここの内局でやるということの一番の大きなメリットなんですね。というふうに感じますので、一言申し上げます。

【城山主査】  はい、では、頼住先生。

【頼住科学官】  先ほどのテーマの三つ目について、少し言いそびれてしまったので補足させていただきます。三つ目のテーマの最後の丸のところ、研究課題のキーワード(例)のすぐ上のところで、先ほど井野瀬先生も問題にしてくだったところです。私も、「我が国固有の価値」というのはちょっと問題あると思いますが、この丸全体からすると、やはり日本の特徴的な価値とか、実践とかそういうものを強みとして発信していきましょうという目的というか狙いがあって、それ自体は意味のあることではないかと私は思います。先ほど出ていた「我が国固有の」という言い方は取って、例えば特徴的なとか、もう少しニュートラルな言葉にしてそのようなものを打ち出していくというのがいいのではないかと思います。
 私自身、倫理学を専攻しておりますが、これまでずっと西洋的な倫理学で個人の内面の規範意識ということを問題にしてきたわけですが、日本の間柄の倫理学が現在、かなりグローバルエシックスとして注目を集め始めているというようなこともありますので、そういうことも含めて我が国の強みを発信するという方向性がいいのではないでしょうか。ただ、言葉を誤解がないように変えていくというのが必要かなと思いました。
 以上です。

【小林傳司委員】  済みません、それに関しては私は、やっぱり強みとか弱みとかというより、もっとニュートラルにしておいた方がいいと思うので、日本の経験ぐらいでいいと思っているんです。

【頼住科学官】  そうですか。

【小林傳司委員】  はい。その方が多様な観点で議論ができるので。強みありきではないはずなんです、これは。日本の経験と言った方がいいと思うんです。

【頼住科学官】  おっしゃることはすごくよく分かるのですけれども、やはり強みがあれば弱みがあるというのは裏表になっていて。今まで自虐的とも見えるような、弱みを前面に出すかたちでの研究も多いので、ここは少しバランスを取ってもいいかなと思うんですけれども、先生がおっしゃることも非常によく分かりますので、その辺りは……。

【城山主査】  先ほどのお話だと、日本の経験を踏まえてある種の価値の創造なりにどういうふうに寄与できるかみたいなことを検討しますという形で若干ニュートラルにしておいて、ただ、もちろんプロジェクトとしてはそういうものが出てくるということは当然ありということを受け止める表現にはしておくという感じかなと思います。

【頼住科学官】  分かりました。

【小林傳司委員】  キーワードの「日本らしさ」は「らしさ」を取って、「日本の経験」ぐらいにしておいていいんじゃないかと思います。日本らしさという言い方じゃなくて、日本の経験をキーワードの方で拾っていただいてもいいかと。

【城山主査】  そうすると、若干重なってしまうんですけれども、これ、何かある段階の案で「日本的価値」みたいなのがあったので、それは避けた方がいいと思ってですね。だとしたら、「日本らしさ」だと、若干ふわっとしていて、価値観みたいなものも否定はしないですが、もうちょっといろいろなレベルのものも含み得るので……。

【小林傳司委員】  主査にお任せします。

【城山主査】  「日本らしさ」ぐらいであれば、ぼかしていていいのかなという感じなんですけれども。

【井野瀬委員】  でも、「らしさ」は今、余り良くないと私は思います。

【城山主査】  良くない? ほかの選択肢はありますか。

【井野瀬委員】  ちょっと考えてみます。またメールで。

【城山主査】  ただ、ここは余り明確にし過ぎないということが大事なので、もちろんそれ、何かキーワードがあれば是非いただければと思います。

【小林傳司委員】  あともう一つだけ。情報技術もそうですし、それから、生命技術もそうですが、結局、それが人間の領界を変えるだけではなくて、人間そのものを変えてしまうという、トランスヒューマニティという議論がやはり今相当議論され始めているので、そういった論点をどこで拾うかというのはちょっと考えた方がいいかなと。

【城山主査】  まさに3ですよ。

【小林傳司委員】  3ですよね。だから、やっぱりそのキーワードにそういう言葉を入れてもいいかなという気はします。

【城山主査】  トランスヒューマニティ。若干注が必要だというような気がしますけれども。

【小林傳司委員】  でも、今、哲学思想系は結構議論しています。

【城山主査】  じゃ、今の、「日本らしさ」をどうするかと、トランスヒューマニティは少しペンディングにさせていただいて。このままにさせていただくかもしれませんが、少し修正させていただく余地も残っている。

【井野瀬委員】  それでいくと、「西洋と日本」というのも、日本も多様だし、西洋だけではなく、アフリカもあれば、アジアもある。「西洋と日本」も取った方がよくないですか。

【城山主査】  これは本文の方に「非西欧国である日本の経験」という言い方をしているので、重なるので、あえてなくてもいいかもしれないですね。

【川添委員】  確認ですけれども、今みたいな議論は尽きない議論で、そういうことをやるのが共創の場で、だから、そういうことが分かるような形で表に出さないと。つまり、ある種のバイアスをこの委員会なり文科省が掛けるというふうにしないことが大事だと思います。

【城山主査】  だから、いろいろなものが受け入れ可ですよというメッセージを出すことが大事なので、多少批判があるような概念も入れておいた方がいいということですね、今のはね。ちょっと済みません……。

【鹿野田科学官】  「日本の個性」はだめですか。

【盛山委員】  いや、それは問題じゃないでしょうか。「日本らしさ」とか「日本の個性」というと、日本に固有のものがあるという前提になってしまいます。個人個人としてはそういう前提を持っていてもいいんだけど、学術界全体のレベルで前提にするにはちょっと限定的すぎると思います。

【城山主査】  分かりました。ただ他方、多分今の御意見じゃありませんが、多分いろいろな議論が喚起できるようなものを入れておくということによって、共創の場が活性化することもあるので、多少皆様に御満足いただけない答えかもしれませんが、それはそれで意味があるということで御理解いただきたい。

【小林良彰委員】  「西洋と日本」は入っていてもいいと思いますが、後で取れば、議論で。ただ、「日本の個性」とか「日本らしさ」は入れない方がいいと思います。それはやはり文科省がそういうある種の方向性を持っているというふうに誤解されるので。「西洋と日本」というのは、それは中立的な話ですから、別にそれを入れる入れないは後からゆっくり議論すればいいことですけれども。

【盛山委員】  一言。同じことの繰り返しになりますが、そのとおりでいいと思うんですね。この問題ですが、人文学・社会科学の振興というときに、ある種のエスノセントリズムをどういうふうに克服した形で提示するかというのは、やはりどうしても必要なんです。これは日本の学術がずっと取り組んできた課題であるわけです。
 そういうことを考えると、小林先生が言われるように違和感を持たれないように工夫してプロジェクトを提示するということが、人文学と社会科学の振興にとって重要なことだと思います。もちろん我々、もともと日本の学術を振興したいと思っているわけだから、どこかで日本の価値を生かしたいとかという気持ちは潜在的には必ずある。けれども、それを前面に出すとかえって学術界から誤解を持たれてしまう。そこだけは注意しなければいけないと思います。その点、言葉遣いには注意するということだと思います。

【城山主査】  じゃ、ここは「日本の経験」ぐらいで。最後のところは、済みません、事務局とやりとりしていただくことになりますが。
 済みません、また10分程度超過してしまいましたが、よろしいでしょうかね。どうも、毎回ですが、精力的に御審議いただきまして、ありがとうございました。論点は尽きることがなかったというふうに思います。
 それで、本日は、これ、中間まとめ(案)でございますけれども、本日頂いた御意見を踏まえて修正をさせていただきたいと思います。恐縮ですが、最終的なところは主査の方に御一任いただければと思います。よろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)

【城山主査】  ありがとうございます。その上で、10月8日に開催予定の学術分科会において中間取りまとめとして報告させていただくとともに、いろいろなところに発信できるように準備を進めさせていただきたいと思います。
 また、議事録については、今までどおり御確認いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、事務局の方から何かございますでしょうか。

【藤川学術企画室長補佐】  4回にわたりましてかなり白熱した御議論をしていただきまして、誠にありがとうございました。我々、頂きました意見を踏まえまして、財務省の方に説明してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【城山主査】  どうもありがとうございました。それでは、これで閉会とさせていただきたいと思います。

―― 了 ――

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