令和6年8月22日(木曜日)16時00分~18時00分
文部科学省17階研究振興局会議室及びWeb会議(Zoom)
(委員、臨時委員、専門委員)
城山主査、白波瀬委員、仲委員、大橋委員、尾上委員、北本委員、木部委員、安田委員、青島委員、後藤委員、田口委員、森田委員、山中委員
(科学官)
清水科学官、杉岡科学官、池田科学官、松田科学官
生田振興企画課長、助川学術企画室長、林学術企画室長補佐
【城山主査】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第24回人文学・社会科学特別委員会を開催したいと思います。どうぞよろしくお願いします。
初めに、事務局から人事異動があったということですので、御紹介いただければと思います。
【林学術企画室長補佐】 事務局でございます。7月に人事異動がございましたので、ここで御紹介いたします。
7月11日付で振興企画課長に着任しました生田でございます。
【生田振興企画課長】 生田でございます。よろしくお願いいたします。前職は科政局で人材政策をやっておりましたけれども、久しぶりに振興局ということで、人文社会科学というのが今までなかなか接点なかった世界なんですけれども、いろいろ勉強させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【林学術企画室長補佐】 それから、私、7月16日付で振興企画課学術企画室長補佐に着任いたしました林と申します。よろしくお願いいたします。
事務局からの紹介は以上でございます。
【城山主査】 続きまして、配付資料の確認及び注意事項について、よろしくお願いいたします。
【林学術企画室長補佐】 それでは、資料でございますけども、事前に電子媒体でお送りさせていただいておりますけれども、議事次第に記載のとおり、資料1から資料3-2をお配りしてございます。
もし資料の不足等ございましたら事務局までお申出をいただければと思います。
前回、委員の先生方からいただきました御意見等、資料1にまとめさせていただいておりますので、こちら適宜、御参考にしていただければと思います。
御発言いただける際は、「手を挙げる」ボタンをクリックをしていただき、これオンライン参加の先生ですけれども、クリックをしていただきまして、主査より指名を受けましたら、マイクをオンにしていただいて、お名前から御発言いただければと思います。終わりましたらミュートにしていただきたいと思います。
もし不具合等ございましたら、マニュアルに記載の事務局連絡先まで御一報いただきたいと思います。
なお、本日の会議でございますが、傍聴者を登録の上、公開ということとしてございます。
現時点で、委員・臨時委員10名中6名の御出席をいただいておりますので、本委員会の定足数を満たしておりますことを御報告いたします。
事務局からは以上でございます。
【城山主査】 ありがとうございました。
それでは、議事に移りたいと思います。まず冒頭、助川学術企画室長より本日の流れについて御説明いただければと思います。
【助川学術企画室長】 ありがとうございます。学術企画室長の助川でございます。
本日、議題2つございます。1点目が人文学・社会科学振興関連事業の取組についてでございますけれども、まず初めに、JSPS、日本学術振興会関係の事業について2点、進捗等、御報告いただいた上で、その次に人間文化研究機構に関係する事業及び文科省からの委託事業についての状況を御説明いただきます。
その上で議題2といたしまして、今後の人文学・社会科学の振興に向けた推進方策について6月に御議論いただいたところでございますけれども、これの中間まとめ案について御議論いただく予定でございます。
それぞれ、JSPS関係事業のところで全体の3分の1ぐらいの時間、その次の報告で大体3分の1ぐらいの時間、中間まとめの御審議で3分の1ぐらいの時間というふうに考えてございます。
私のほうからは以上でございます。
【城山主査】 それでは、議題の1、「人文学・社会科学振興関連事業の取組について」であります。最初に「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業」につきまして、資料2-1に基づいて、事業委員会委員長の盛山先生より御報告いただきたいと思います。続いて、「人文学・社会科学データインフラストラクチャー強化事業」につきまして、資料2-2に基づき、学術振興会の事業委員会委員長の廣松毅先生より御報告いただきたいと思います。また、関連して資料2-3に基づきまして、当該事業の中核機関である東京大学の山田先生より御報告いただきたいと思います。
先生方から御報告いただいた後にまとめて質疑の時間を設けたいと思います。
それでは、盛山先生、よろしくお願いいたします。
【盛山事業委員長】 よろしくお願いします。「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業の現状について」、御報告いたします。
この事業は、御存じの方も多いと思いますが、2段階に分かれておりまして、最初の第1段階目は2013年度から発足しています。そのときは、ちょうど東北の大震災の後、東日本大震災の後でありまして、リスク社会というコンセプトをキーワードにしながら、次の3つ、そこにあります3つのプログラムを立てるという形で推進してまいりました。
その後、大体10年近くたった後に、少しテーマの焦点を変えまして、右側にありますように、「未来社会が直面するであろう諸問題(大きなテーマ)に係る有意義な応答を社会に提示することを目指す研究テーマを掲げ」云々という形で、新たに学術知共創プログラムというものを立ち上げました。
そこで大きなテーマとしましては、A、将来の人口動態を見据えた社会・人間の在り方、Bが分断社会の超克、それからCが新たな人類社会を形成する価値の創造というふうに設定いたしました。
これらの設定は、特別委員会、その前身であるワーキンググループにおいて検討されて設定されたものです。
簡単に言いますと、学術知共創プログラムの狙いは、私は2つの柱から成っていると思います。1つは、有意義な応答、現代社会が抱えている大きな課題に関して有意義なことを人文学・社会科学の観点から成し遂げるということ。
そして、もう一つの柱が、人文学・社会科学に固有の本質的・根源的な問いを追求する研究というものを推進することでそういう課題に対応していくということ。そういう柱になっていると申し上げていいと思います。
次のページお願いいたします。令和3年度から発足しまして、ここにありますように、これまで合計10の課題を採択してまいりました。金額は、総額が9,000万円以下ですけれども、9,000万円に近い金額でありまして、かなり大きな規模の研究になっております。
それから、期間も最大6年間ということで、非常に長期にわたって遂行するかなり大規模の、人文学・社会科学にしては大規模の研究となっております。
ただ、残念ながら、実は令和3年度の最初の2つの課題は、いろんな事情がありまして、研究が停止しております。実質的には現在8つの研究が走っておりまして、そこにありますように、細かくは一々申し上げませんが、様々なテーマが遂行されております。
最初のところだけちょっと御紹介しますと、出口先生のは、東アジア人文社会知という観点をベースにしまして、価値多層社会という現在求められているテーマを追求されております。
それから中村先生のは、「人新世」という、これも現代における新たな観点をベースにしながら、ある意味では人文学あるいは社会科学の根源的な問い直しというものに立ち返って研究を進めようとされております。
あと、令和5年度は4課題を採択し、令和6年度は2課題を採択しました。このうち、実は出口先生の課題と大竹先生の課題は、同時並行的に発足し、現在終わっておりますけれども、大阪大学が引き受けまして、3年間遂行した学術知共創プロジェクトの中から生まれてきた研究課題で、これが現在、先導人社のほうでも遂行されているという形になっております。
次に、どういう展開がされていっているかといいますと、令和4年にはシンポジウムをオンラインにて開催いたしました。プログラムの文字が小さいので見えにくいと思いますが、事業説明を盛山のほうからいたしまして、基調講演を城山先生にお願いいたしました。
研究報告としては3つ行っていただきまして、2つが、先ほどの出口先生のものと中村靖子先生のもの、それからもう一つは、これは、グローバル展開のほうの事業だったんですが、令和元年に採択されました九州大学の河野俊行先生のものも報告していただきました。
これらの報告の後、パネルディスカッションを行いまして、そこではパネラーとしましては、当時理事でもありました家先生、それから大阪大学の小林傳司先生、東京大学の情報学の鳥海不二夫先生、それから先ほどの発表者の中村靖子先生にそれぞれ短い御報告をいただいて、ディスカッションをしました。
特に小林傳司先生と中村靖子先生、どちらも文系の先生ということで、人文学・社会科学がどのようにその根源に立ち返って新たな展開をしていくかという観点で御報告いただいたと記憶しております。
もう一つ、このとき、あまりディスカッションはしませんでしたが、家先生のほうから少しクレーム的な問題提起がありました。それは、研究というものは言わば下から来るものであって、あまり上から先導するのはどうかという問題提起でした。言わば自生的研究を大事にしろということです。たしかに科研費の仕組みというのは基本的にそういう仕組みです。学術振興会が遂行している研究支援のプロジェクトの基本は科研費をベースにしておりますから、それは自生的な発想を重視するというものになっています。それはそうなんですが、それとは別に先導人社というのは、私の観点では、言わば経済における産業政策といいますか、特に支援して育てたいという観点を遂行するものであって、これは決して否定する必要はないと思っております。これが先導人社の特色だと思います。あるテーマを掲げて、そこに方向性を示しながら人文学・社会科学の研究を支援していくというスタイルは、私は大変有意義だと考えております。
ほかに、制度改善いろいろと試みております。資料に書いたのはごく僅かですけれども、例えば、研究分担者の位置づけがあります。これについては一度、研究チーム内部に問題が起こったこともあったりしまして、これを明確に、「研究分担者」は委託費の配分を受けるというふうに義務化するとともに権利を明確にし、かつそれを受けない「研究参画者」というのを別途カテゴリーとして明確にしたということも行いました。
それからもう一つ、ここに書いておりませんが、研究の中間評価のプロセスにおきまして、中間評価そのものは最初からうたってはいたんですが、それとは別に、中間評価にかからない年度におきましては、フォローアップを実施するということにしました。ある意味では、学術振興会のほうから研究者に若干介入するという面があることになりますが、モニタリングを強化しようということで、今年度からフォローアップの対象になっている研究が幾つかございます。
そういう形で、走りながら考えています。あと、審査の基準等につきましても時々見直しをしたりしまして、実態に合わせて、かつ、この大きなテーマと本質的・根源的課題の追求という、大変難しい問題を遂行していただけるように工夫しながらこの事業を運営してきたつもりであります。
最後に一言申しますと、人文学・社会科学の現状というのは大変難しい課題を現在抱えていると思うんですが、特に現代社会の課題に応えているかということになりますと、例えばこの数年大きな課題となっていますのは、例えば民主主義の問題とか自由の問題とかという、非常に世界を揺るがす課題があるわけですね。本当に、そういう課題に人文学・社会科学というのは、実証データを踏まえまして真正面から取り組む必要があると思いますし、そういう課題に日本の学術振興政策というのが対応できればありがたいなと思っているところですが、なかなかそこまで、我々の事業も、果たしてどこまで遂行できているかどうかというのは若干心もとなく感じているところではあります。
でも、そういう大きな課題に向けた支援策について、我々としても何らかの形で支援できるように心がけていきたいと思っていますので、どうかよろしくお願いいたします。
以上で私からの報告は終わります。
【城山主査】 盛山先生、どうもありがとうございました。
次に資料2-2に基づきまして、廣松先生、それから資料2-3に基づいて山田先生から御説明いただきたいと思います。
それでは、廣松先生、よろしくお願いいたします。
【廣松事業委員長】 人文学・社会科学データインフラストラクチャー強化事業の事業委員長を務めております廣松です。
私のほうから事業の概要について御説明した上で、具体的な活動状況については東京大学史料編纂所の山田さんから報告していただくことにしたいと思います。
では、まず、この事業の背景でございます。今共有していただいている画面を御覧いただければお分かりのとおり、問題意識といたしまして、諸外国に比して日本の人文学・社会科学分野におけるデータインフラは不十分、不十分というか、未整備であること。そのため、データの入手が容易でないため、研究者の生産が阻害されていること。また、国際比較研究において、日本のデータを利用することを難しくしているという問題意識がございます。
それに対して、平成29年に文部科学省の学術イノベーション審議会の基礎科学力の強化に関するタスクフォースから、御覧いただいていますような、「基礎科学力の強化に向けて-『三つの危機』を乗り越え、科学を文化に-」という議論のまとめが提出されました。
それを踏まえまして、平成30年度から令和4年度までの5年間、人文学・社会科学データインフラストラクチャー構築推進事業を行いました。
これは令和4年度までの5年計画でございましたが、その成果を踏まえて現在行われております人文学・社会科学データインフラストラクチャー強化事業を進めているところです。
次の画面を見ていただければと思いますが、これは構築推進事業の主な成果でございます。一番特記すべきなのは、そこにございます人文学・社会科学総合データカタログ、Japan Data Catalog for the Humanities and Social Sciencesの構築でございます。これを略してJDCatと呼んでおります。
このJDCatの大きな特徴としては、利用者がメタデータを使用してJDCatに連結されたデータを一元的・横断的に検索可能になるようにしたことでございます。
その準備作業として、下の一番左のところにありますようにメタデータスキーマ等の策定を行いました。このメタデータスキーマに基づき、現在JDCatを運用しているところでございます。
それと併せまして、「データ共有の手引き」を作成し、これをJDCatにおいて公開をしております。
令和4年度までのメタデータに関しましては、これは令和6年8月現在でございますが、右端にございますような5つの組織、これは令和4年度までの構築推進事業の拠点機関でございますが、この5つの組織が御覧いただいているような数のメタデータが連結し、現在利用可能になっています。
一言だけ補足いたしますと、一橋大学の数がちょっと増えて大きいんですが、これは日本統計年鑑の各表をPDF化し、その一部は現在エクセルファイルで参照可能なようになっておりますが、それを表単位で数えているものですからこういう数になっております。
この構築推進事業を受けまして強化事業を始めたわけですが、以下の資料では構築推進事業と強化事業の比較という意味で、左右分けて提示しております。現在の強化事業では、中核機関として東京大学の史料編纂所と東京大学の社会科学研究所に務めていただいておりまして、JDCatの運用を、そして技術的な改修等に関しては国立情報学研究所に行っていただいています。
拠点機関としては、神戸大学の附属図書館、奈良文化財研究所に現在御協力をいただいています。
最後、強化事業の実施体制でございますが、御覧いただきますとおり、日本学術振興会の役目が少し変わっております。これは強化事業においては日本学術振興会は、言わばファンディングエージェンシーとしての機能に特化することにし、実際の事業に関しては、中核機関群、それから拠点機関群に外部の組織として御努力をお願いするという形に変更して、現在活動をしています。
私からの概要説明としては以上にさせていただきまして、活動状況について、山田さんのほうから説明をお願いいたします。
【東京大学(山田)】 東京大学史料編纂所の山田と申します。私からは、廣松先生のお話の後半になりますが、データインフラストラクチャー構築事業から強化事業に向けての活動の状況ということでお話をさせていただきます。幾分廣松先生の資料と重なるところがありますので、重なるところはなるべく省くように、省略するようにしたいと思っております。
まず強化事業の概要のところですが、先ほど廣松先生からのお話にもほぼあったとおりなんですけれども、人文学・社会科学データインフラストラクチャー構築推進事業の成果というものを前提としながら進めていくというものになっております。
データインフラの機能としては、人文学・社会科学のデータ共有・利活用を促進するデータプラットフォームという役割、これを強化事業では充実・強化していこうというものになっております。それを経て、研究者がともにデータを共有し合い、国内外の共同研究等を促進することを目指すというものになっておりまして、昨年、23年10月から実質的に開始しております。
計画としては、ここから5年間ということですかね。
構築推進事業の取組ですが、先ほどお話ありましたので、なるべく割愛したいと思っておりますが、ここにあるとおりということになっております。
JDCatのお話もございましたので、ちょっと簡単に付加情報といいますか、お話ししますが、こちら、人文学・社会科学の分野のデータを分野横断的に一括検索できるデータカタログ、そういったものでして、令和3年、21年7月より運用を開始しております。
こちら検索しますと、先ほどのとおり、人文学のデータ、社会科学のデータが一元的に検索できる、そういったものになっておりまして、それを行うために、この下にあります拠点機関のデータベースからメタデータを自動的に収集し一元検索できるようなメタデータ、JDCatメタデータスキーマに基づいたメタデータというものを検索して、検索したユーザーに提供すると、そういった仕組みになっております。
ここで重要なのが、データをいかに収集してくるかという点において、まず研究者からのデータを寄託、受けて、我々、拠点機関としても振る舞っておりますので、そのデータをメタデータとして整備していく。そのもののデータ自体の整備をして、分類し、メタデータをつくっていく。そのメタデータを自動収集できるような、そこのスキームも確立していくと、そういった仕組みになっております。
それを踏まえてJDCatの機能というのを右下のほうにちょっと書いております。
ちなみに、ここのデータ登録件数は廣松先生の資料のほうが正しいです。これ、ちょっと前のデータで、廣松先生のデータ、本当に2日前ぐらいの更新されたデータです。そちらが正しいです。
これが検索ページでございます。これは一例ですけど、入力したキーワードに基づいて検索できるだけではなくて、配付者などファセットの検索なども備えております。
検索結果については、メタデータの提示機能もそうなんですけども、DDIとか、JPCOARなどのスキーマに基づいたメタデータがダウンロードできる、そういう仕組みとともにデータを配信しているサイトに行って実際のデータを見る、そこまで案内をするという仕組みになっています。
こういった事業を強化していくということが強化事業の第一の目的なんですけれども、そこで何をやっているか。先ほど廣松先生のお話にもありましたように、中核機関というところがJSPSから東京大学のほうに移ってきたというのが強化事業の一番大きな体制の変化でございます。
中核機関としては、東京大学と書いてあるんですが、史料編纂所と社会科学研究所が合同で運営している。中核機関運営委員会というのを組織して運営しております。
委員長は史料編纂所の所長、副委員長が社研の所長ということになっております。
それぞれのところに担当者がいて、人文のデータと社会科学のデータをどういうふうに今後も配信できていくかというようなことを中核機関で主な議題として捉えています。この後にちょっと簡単なお話はしたいと思いますが。
JSPSのとの関係は、情報共有したり、手引きをどう作っていくかということを綿密に連絡したりしておりまして、国内外の研究機関、特に関係機関と呼んでいるところとは、実際にどういったデータをJDCatから提供していくか、そういったところの案内をしたり、広報したり、そういったことを行っています。
JDCatについては、国立情報学研究所のほうで構築しておりますので、そちらとのシステム連携を行いながら運営していると。
この運営しているシステムについては、広報という観点もありまして、人社データインフラ・フォーラムなどを行ったり、人文のほうでのデータインフラ・フォーラム、社会科学のデータインフラ・ワークショップなどを行いながら広報したり、どんなデータがあるかとか、そういったことを相談したり、どういった需要があるかということを確認しながら広報しているという状態です。
強化事業における体制としては、ここにある機関名のとおりでして、新たに強化事業で拠点となったところとしては、神戸大学の附属図書館と奈良文化財研究所です。これによってこれまでのデータの幅が広がる、種類が広がるということが一応期待されるかなと思っております。
特に神戸のところでは、これ附属図書館と書いておりますが、震災文庫が中心になっておりまして、社会科学に関する図書館のところに設置されているということで、特に阪神・淡路大震災のようなデータなどがやってくるということが期待されています。
奈良文化財研究所のところでは、まさに、埋蔵文化財、考古学のデータがやってくると、これまでにないデータがここに来て登載されることが期待されています。
これまでの構築推進事業での拠点機関は関係機関として今後も関係していくという体制を確認しております。
取組としては、中核機関と拠点機関の役割があるんですが、こちら、先ほど廣松先生のお話や先ほど私が説明したとおりの話です。
ちょっと割愛させてもらって、中核機関としての役割、もうちょっと具体的なこと、一体この1年間何やってきたかというところです。東京大学内の人文・社会科学・情報学などの専門家等の協力も随時求めながら、中核機関の運営というものに責任を持って当たるということを行っていまして、運営委員会、原則月1回、対面とかオンライン、オンライン、本当につい最近なんですけれども、基本的には月1確認しながら随時進めているというところです。
活動状況や情報共有、意見交換などを行うような場も、先ほどのとおり、フォーラムなど、シンポジウムなどで行ってきております。
拠点機関・関係機関とのやり取り・連絡窓口というのを行いながら、拠点機関とも綿密に連絡を取っていると。
ウェブサイトを公開するという点でも、広報の一環でも行っています。
あと、拠点機関として新たに参画したところでは、JDCatに一体どういったデータを載せていけばいいか。そういったことを直接、我々のほうから行きまして、実際にどうメタデータを整備していくかということも具体的に実務者と対話を行いながら進めてきております。
あと、情報関係ということで、システム担当であるNIIとの情報交換というものも綿密に行っています。
データインフラとしての整備のところは、こういった一連の流れをやっているというところで、これ、廣松先生のお話などと関わるところあるので、またこれも割愛させていただいて、最後に「これまでの取組を踏まえて」というところです。人文学・社会科学のデータの特徴、JDCatに載ってくるデータというのは一体何なのか。データとしてのメタデータが収集されるけど、その先のデータは一体どういったものかという点です。人文学・社会科学のデータは、昔つくったデータでも今も使える、古くならないという特徴があります。
あと、当然なんですけども、古い時代のデータ、最近の事件とか新聞のようなデータからあって、最近のデータだけじゃなくて古い時代のデータ、データ自体古くても使えるという、こういう特徴がある。だから、どんどん載せていけばそれなりの何かが見えてくるんじゃないかというのが一応、ちょっとその後にも書いてありますが、そういうところをちょっと狙っていくべきかなと思っています。
あと、データカタログとしての機能の重要性という点を強調したいと思っています。人社のデータ、統合されたカタログ、代えがないんですね、JDCat以外。そういう点でも非常に重要だと。
メタデータスキーマで一元的に検索できる、そういった仕組みは本当にない。今、この事業ではそれを確立しているというところが非常に重要だと思っています。
あと、基盤・環境の必要性ですね。メタデータ、データの整備が継続して行っていける環境というものがこの事業以外多分ない。この点が結構重要で、継続してやれるというところがこの事業の特徴なんじゃないかと思っています。先ほどのとおり、アクセスポイントとしてのJDCat、代えがないですね。これも重要だと。さらなる有用性の確保のために、先ほど言いましたが、古いデータが蓄積していって、新しいデータも蓄積していって、それでもちゃんと利用できていけるというのが人文と社会科学のデータの特徴だと思っています。
なので、データの網羅性というものをいかに広げていくか。時間とか空間での切り口みたいなのが、ほかのデータとかデータセットとか集めてきて、比較できるようなぐらいになっていけば利用者は絶対増えていくと思っております。網羅性を高めていく必要があると。
あともう一つですが、この事業を踏まえて、すいません、長くなってしまったんですが、ほかの地方に行って博物館とか行くと、うちにもこんなデータあるんだけど提供できないか、もっとデータ実は出したいと要望が、国中にいろんなところにあるんだというのを我々改めて認識しました。そのときに、この事業が名刺代わりに使える。
上記を達成するためには、この事業の継続が重要だと今思っております。
以上です。長くなってすみません。
【城山主査】 どうもありがとうございました。
それでは、ここで若干、御質問等受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
仲先生、お願いします。
【仲委員】 御説明ありがとうございました。今のJDCatの取組み、すごいなと思うんですが、これって今、どれぐらい利用率があるかというようなことなど、もし検討がなされていたら教えてください。
【東京大学(山田)】 すいません。利用率とか利用に関するデータのレポートを僕、実は、資料を実は頂いたことがないです。はっきり言います。ないんです。実はまだ中核機関としての引継ぎというところも、まだ、そこの点も踏まえて実はちゃんとやっていかないといけないんですけれども、今、運用面の引継ぎはこの1年間でいろいろやってきましたが、実際の利用率のレポートのようなところまでは、すいません、実はお恥ずかしながら、そこまでまだ把握できておりません。
【仲委員】 有望なだけにお尋ねしました。ありがとうございました。
【廣松事業委員長】 よろしいでしょうか。
【城山主査】 廣松先生、お願いします。
【廣松事業委員長】 補足ですが、利用実績に関しては、NIIでログの情報等は技術的に収集しています。それを中核機関と共有していただき、なるべく早く公表できるような形にしたいと考えております。
以上です。
【仲委員】 ありがとうございます。JDCatを使用したら、論文等にアクナレッジメントというか、こうやって分析しましたとか、こう使いましたというのをつけていただくようにすれば、ますます使用頻度も増していくのかなと思いました。ありがとうございました。
【城山主査】 これまでの議論の中でも、利用者コミュニティーをつくることとつながっていくことが大事だという話があったので、そういう点でも、そういうことについてもいずれ検証していただいて、議論させていただけるといいのかなと思います。どうもありがとうございました。
【仲委員】 ありがとうございました。
【城山主査】 田口先生、よろしくお願いします。
【田口委員】 ありがとうございます。盛山先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、こちら、学術知共創プログラムのほうで、最初のほうにある趣旨のところを見ると、やはり人文・社会科学がもちろん中心になっていますので、自然科学との異分野融合というのはそんなに表に出ていないと思うんですが、4ページの遂行中の研究テーマ一覧のほうを拝見すると、人新世というところにも自然ということが入っていますし、コロナ危機であるとか、低炭素水素事業であるとか、自然科学の問題もある程度入ってきているように見えるんですね。自然科学との異分野融合というのは、こちらのプログラムではどういうスタンスで考えていらっしゃるのかという辺りをちょっとお伺いできれば思いました。よろしくお願いいたします。
【盛山事業委員長】 ありがとうございます。盛山です。2ページ目のプログラムを説明している文章の中にありますように、自然科学を含む分野を超えた研究者が参加してということを前提に考えておりまして、これは当初の設計から、人文学・社会科学だけではなくて、多様な分野、自然科学も含む研究者も参加するプロジェクトを遂行していただくことを基本的に考えております。
したがって、それがないと絶対駄目だという形で採択を考えているわけではないんですが、それが優先されるという形で採択審査にも当たっておりまして、これは、いま全部の採択課題について詳しくチェックしてはおりませんが、ほとんどについて、自然科学、広い意味でのあるいは狭い意味での自然科学の研究者が必ず研究分担者等として参加していらっしゃると思っております。
それから、ここで考えていますのは、「融合」というのはちょっとコンセプトとしては必ずしも正確ではないところがありまして、それぞれの専門性をベースにしながら、共同のテーマにアタックしていただくということで、分野を超えて理論とか何かをつくっていくというよりは、それぞれの持ち味、ないし得意技というのを生かす形で大きなテーマに取り組んでいただくというのをベースに考えているものであります。
基本的にそうですが、よろしいでしょうか。
【田口委員】 ありがとうございます。よく分かりました。どうもありがとうございました。
【城山主査】 あと今3人の方、手挙がっていて、実は今日結構タイトなスケジュールになっているんですね。簡潔に御質問いただいて、応答いただくという形でさせていただければと思います。
最初、森田先生、お願いします。
【森田委員】 ありがとうございます。山田先生に対する質問になります。先ほど、いろんなところに名刺代わりにこういうことやっていますと言うと、そこのデータが使わせてもらえることがあるというお話がありました。全国の様々な機関が様々なデータを持っていると思うのですけれども、そういう全国のいろんな機関に対して営業活動というか、データをくださいという営業活動をする、そういう活動はどういうふうにやっておられるのでしょうか、それとも現段階ではそこまでまだ手が、ヒューマンリソースの関係でそこまで手が回ってない、そういう状況なのでしょうか。その点について御教示いただければと思います。
【東京大学(山田)】 山田でございます。一例ではございますが、これが全ての機関じゃなくて、史料編纂所の例とさせていただきたいと思っております。
私の機関では、日本全国、古文書、記録を持っているところ、前近代の史料について持っているところに訪れて、編纂ということを、日本の歴史を編纂するというのを事業としてやっております。その中で、文書の調査を行ったときに、実はこんな事業やっているんですと言ったら、「うちの画像、実はウェブで公開したいんですけど」とかいうふうな感じで言われることがよくあります。
これが我々の機関、53人教員がいるんですけれども、その人たちが行くと、うちも公開したいんだけどというところがいろいろあるんだけどとかいう、そういったお話です。
なので、行った先々で言われるというのは、そういった調査のタイミングで言われるという感じです。
特に、そういったことをやっていたら、同じ地域のところでほかのところでも、この間聞いたんだけどとかいうふうなお話を次にいただいてというような、だんだんちょっと広まっていると、そういうような感じですね。
以上です。すいません。ちょっと曖昧な答え方になったかもしれません。
【森田委員】 ありがとうございます。
【城山主査】 北本先生、よろしくお願いします。
【北本委員】 私もちょっと山田先生にお聞きしたいんですけれども、データインフラストラクチャーの事業、大変重要だと思っていますが、ネットワークを広げていくというところで、拠点機関が重要というのはもちろんそうなんですけれども、それ以外に広がっていく、例えば旧拠点機関も今、付き合いが続いているとか、それ以外にもこういうところに加わるのに興味があるとかという、そういう広がりに関する情報って何かありますでしょうか。
【東京大学(山田)】 今の話についてお答えになるかどうかちょっと分からないんですけれども、拠点機関の公募は今後もありますかという問合せがありました。問合せが、そういうのがあったというのと、あとは、ちょっと言いにくいんですけれども、もしかしたら、お金とか、それはさておき、拠点機関に、うちにもデータがあるので、もしかしたらなれるかもしれないといった機関が1つあったというところです。
なので、やっぱりかなりメタデータ整備については、人を雇うとか、そういった機能を持っているところじゃないとなかなか難しいので、そういったところとなると結構絞られてくるんじゃないかなと思っているんですけれども、その中でもやれそうなところというのは、先ほど問合せあったところと、ちょっと言えないですけれども、うちももしかしたらできるかもと言っている1拠点、その2つの拠点からお話があったというところです。
【城山主査】 ちょっと1点確認ですけども、先ほど御説明もあったように、旧拠点機関は新しいスキームでも関係機関となっていて、そのような機関については基礎的なところの投資は終わっているので、継続的にメタデータのアップロードみたいなものはされているというような形で伺ったような気がするんですけど、そういう理解でよろしいわけですかね。
【東京大学(山田)】 一応というか、そういう約束で前事業は行ってきましたので、事業を終えた後も継続してデータを提供する、メタデータを提供するということになっていますので。なので、今年の3月、昨年度末ですけれども、そこで委員会を一応、旧拠点の方々に来ていただいて再度確認したということです。
【城山主査】 分かりました。
関連して、後藤先生、よろしくお願いします。
【後藤委員】 後藤でございます。すいません。失礼いたします。私もこの2つの事業、いずれもやはり今後、事業自体は大変すばらしいものなので、どれだけ広がりを持っていくかということが重要かなと思っております。
時間がちょっとないので、山田先生だけにちょっと質問させてください。例えばユーザーであるとか、先ほどの北本先生とかの質問とも極めて近いものになるんですけども、データをアップロードする機関とかといったところの広がり、例えばイベントとか、何かそういうような活動とかというのをやっておられるというのがありましたらお願いいたします。
【東京大学(山田)】 イベントや活動についてですが、先ほどの報告の中にも入れさせていただいたんですけれども、年1回、強化事業についての報告を行うフォーラムを行っております。そこでオンライン・現地参加のハイブリッドで対応すれば、それなりに参加しやすい環境なるんじゃないかと思っております。そういったところでひとつ成果を踏まえて、広報をやっていると。
もう一つは、人文と社会科学、それぞれデータの事情が違うということもあって、人文は人文のデータに関するシンポジウム、社会科学は社会科学のデータのワークショップ、そういったものも年1回、これまでに2度開いております。昨年も人文も社会科学も1回やりまして、人文は今年の9月に国際会議の併設ということで、人が集まりやすい環境でそういったシンポジウムを行うということを計画しております。
【城山主査】 あと、安田先生、手挙げられていたかと思いますけど、よろしいですか。
【安田委員】 簡単にコメントだけなんですけれども、非常にすばらしい取組だなと思っていて、理系ではよく質問形式で質問を入れると、それに関連するデータがばーっと出てくるというようなシステムとか、AIのシステムがいっぱい出てきているので、最終的にそういう形に持っていくと、一般の人も興味のあることとかを検索できて非常に未来が広がるのではないかなと思いました。
あと、利用者の把握がまだということなんですけれども、身近なところでユーザーへのアンケートを行うとさらにユーザビリティのところではアップできるかなと思いました。
コメントで、以上です。ありがとうございます。
【東京大学(山田)】 ありがとうございます。ちょっとだけ。アンケートについては我々も今後用意しておりまして、今年中でよろしいですかね、やるつもりです。
【城山主査】 皆さんせかしてしまったようで恐縮ですけども、どうもありがとうございました。いろんな形で御意見いただけたかなと思っております。
それでは、続きまして、国文学研究資料館が平成26年度から10年計画で取り組んだ「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」について、本年度から後継計画が開始されておりますので、本計画について御報告いただきたいと思います。
また、同じく今年度から「人文学・社会科学のDX化に向けた研究開発推進事業」の、「データ基盤開発に向けたデジタル・ヒューマニティーズ・コンソーシアムの運営」については、人間文化研究所機構が事業の中核機関となることが決定したため、事業の展望等について御発表いただきたいと思います。
先ほどと同様に先生方から御発表いただいた後にまとめて質疑の時間を取りたいと思います。
それでは、まず、資料3に基づきまして、渡部館長より御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【国文学研究資料館(渡部)】 国文学研究資料館の館長の渡部泰明です。
それでは、我々が今年度、2024年度から進めております大規模学術フロンティア促進事業、「データ駆動による課題解決型人文学の創成」、副題、「データ基盤の構築・活用による世代型人文学研究の開拓」について御説明申し上げます。
略称として国文研DDHプロジェクト、もしくはDDHプロジェクトと呼ぶかもしれませんが、このプロジェクトについての御説明をいたします。
国文学研究資料館の概要については割愛しますけれども、日本の文学の資料及び関連資料を大規模に集積して、これを研究し公開するという目的で設置されました。52年の活動を行ってまいりました。そのうち、この10年間、先ほども御紹介がありましたように、日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画を行いまして、人文・社会系で初めて採択されたこの計画において、成果としては、何よりも歴史的典籍の30万点、コマ数でいうと3,200万コマに及ぶデジタル画像を作成いたしまして、これを公開したというところに特色がございます。
それを簡単にまとめましたものが3ページでございます。これに関しては去年も御説明申し上げたということで、御覧いただければと思いますけれども、一番肝腎なのは、「国書データベース」において、御覧のような画像データベースを公開しているということですね。
それでは、問題は、そのような大規模な画像データベースをこれからどのように使ったらいいのか。それは一体何の意味があるのかというようなことをこれから明らかにしていかなければいけないということになります。
そこで、後継計画として認められ、今年度から始めることができましたデータ駆動による課題解決型人文学について御説明いたします。
我々、価値の多様性という時代に生きている。これは大変いいことですけれども、また、その多様性を認めることによって分断や疎隔が生じてしまっては、これは好ましくない。どのようにそれを多様性を生かしながら生きていくかという問題がひとつ大きくあろうかと思います。
その点で、日本の古典というものを考えることに大きな意味があるんじゃないかと私たちは考えている。それはやっぱり古典というものが、ずっと長い間大事にされてきた、群れとして生きる知恵がそこに凝縮しているのではないかと考えるんですね。多様性を認めながら、相互関係というものに非常に意識を深めていた。
それともう一つは、日本の古典というのは、つくれる古典というとちょっと大げさなんですけども、参加型なんですね、常に。それによって様々な人々が参加することができる、そういう古典としてあった。そのことが意外とデジタルと相性がいいのではないかと考えております。
DDHプロジェクトですけれども、この下の段にありますように4つの柱を設けております。データインフラストラクチャの構築、人文系データ分析技術の開発、コンテンツ解析からの展開、マテリアル分析・解析ですけれども、以下、この4つについて、それぞれ御説明を申し上げます。
大きな流れで言えば、まず、大規模なデータを集積して、そのデータを解析していって、そのデータを利活用していく。社会的に実装していく。そしてまた、物としての書物を解析していく、科学的に解析していく。この4つです。
まず1番目に参ります。データインフラストラクチャの構築で、これは先ほども御紹介しました国書データベースで画像データがいつでもどこでも誰でも使えるように世界中から利用可能になったわけですけれども、しかし、これをさらに拡充していきたい。左側には緑の白抜きで「メタデータ標準化」とあります。書誌データを様々な図書館、様々な機関、研究者が参加可能なものへとさらに充実させていく。
それから、テキストとして27万点とあります。画像データをテキストデータに拡充していく。人間も機械も読めるようにしていく。
さらに一番右には画像15万点。30万点に加えて15万点の画像データをさらに加えていく。その15万点の中には近代資料や、寺社・個人所蔵の資料という、これまで随分ハードルの高かったものに挑んでいきたいと思っております。ここには近代資料、自筆資料を上げてきました。
次に、人文系データ分析技術の開発で、ここが少し眼目になろうかと思います。要するに、これは画像データをテキストデータにする。そのテキストデータをさらに可読性の向上を目指していく。それにはTEIコンソーシアムの策定するガイドラインに準拠して、データを構造化していく。タグをつけながら構造化していくわけですけれども、これに関しては、今、学会が大変興味を持ち始めてくれまして、本当に幸いなことなんですけれども、例えば始まったばかりの今年度なんですけども、既に3つの学会で、西行学会、和歌文学会、日本近世文学会の3つで既にシンポジウムが予定されておりまして、特にTEIに関して、要するに学会としても、コミュニティーとしても、自分たちが持っていたデータ、あるいはつくろうとしているデータがどうやって大きな輪の中で使うことができるか、オープン化していけるかということが、次世代の研究者を育てる意味でもすごく大きいだろうと考えてのことだろうと思います。それは私たちの方向性と非常に一致いたします。
それからまた、こういう構造化によってどういうことが分かるだろうかと考えましたときに、全くごく一例なんですけれども、今はNHKの大河ドラマで「光る君へ」というのをやっています。これ、紫式部のお話ですけど、4日前に紫式部が『源氏物語』をいよいよ書き始めまして、書いて宮中に提出した途端に自分でまた改訂版をつくる。これはドラマですけれども、でも、これに近いことはどうやらあったと言われていますけれども、そうすると、紫式部が書いた途端に既に2つのバージョンが存在している。それがさらに写されていくわけですから、無数のバージョンがそこに生まれてくるわけです。ただし、そのバージョンもいろいろ、重きがあったり、軽いところがあったりするわけですが、そうしたもの、一つ一つの異文にやはり意味があるわけです。そうしたものを一つ一つ無視しないでいて、なおかつ全体像を捉えていくなんていうのは、これ1人の人間の力では無理なんですね。
こういうのを例えば構造化したテキストで様々な異文を統合できたらば、いろんな点から異本や異文を位置づけていくことができるんじゃないか。それは原点に遡ることをまず第一に考えていたこれまでの研究の方法を大分大きく変革していけることなのではないか。
要するに、右の下に個の作品分析から束としての分析へと書きました。この束を群れと言い換えてもいいかと思いますけれども、そういう群れであったり、束であったり、そうしたものの意味を考えていくということにつながろうかと思っております。もちろんそれにはAIなどを活用するということも当然のこととして組み込まれてまいります。
それから、DDHプロジェクトの3番目の柱、コンテンツ解析からの展開で、これは要するに異分野融合研究、先ほどから少しいろいろ話題にも上っていますけど。異分野融合と申しましても、これ本当にマッチングの問題で、マッチングをどうするかというのが非常に大事になろうかと思います。
そこに多少なりとも我々が成果を上げてきたものとして、真ん中辺の上に典籍防災学と。歴史資料の中から天気に関わるもの、そういうデータ、これを理系と共有しながらすることが可能になったので、防災に生かしていくというような研究であるとか、あるいは左側の下、「文献観光資源学」と名づけておりますけれども、ここには佐賀県の祐徳稲荷神社の中川文庫、大分県日田市の廣瀬資料館の写真を上げておきましたけれども、そういう地域の資料を、中央に単に集めていくだけではなくて、それももちろん大事なことですけれども、地域の方々とともに学びながら地域に還元していって言わば地域おこしに生かしてもらう。あるいは、震災からの復興に生かしていくというような、そういう方向性を考えております。
これは52年間、そういった地域の資料、史料編纂所ももちろんそうですけど、我々よりもっと古いですけれども、我々は52年間のこうした事業の蓄積などをここで生かしながら、地域と結びついていくというようなことも1つの大きな要素として組み込んでおります。
要するに、様々な方々と同じ土俵で考えられるように、そういうような場づくりと、またはその実践とトライアルというふうに考えていただければ幸いです。
それから4番目の柱で、マテリアル分析・解析。要するに、物としての本ですね。本というのは、中身だけではなくて、内容だけではなくて、様々な情報が折り畳まれているものですけれども、特に今、今回、特に人文機構の御支援を得まして、微小部X線分析装置、左側の下に写真がありますけれども、X線を照射することによって、顔料等の金属元素の分析やら、それから紙の植物、原料ですね、それから毛髪など人間由来の成分、垢なども含まれますけれども、そうしたものの分析を行うことによって、例えばその本がいつ頃できたのかとか、従来、研究者が長年の経験と勘で判断していたことを科学的な客観的なエビデンスを用いながら考えていくことができるのではないかというのがマテリアル分析・解析の1つの柱でございます。
こうした大きな柱の下に共同研究、成果発信、もちろん考えているわけですけれども、共同研究は大きく3期に分けておりますが、第1期として、萌芽研究、共同研究、ネットワーク事業発展型研究と3種類ありますけれども、その中の例えば共同研究としてここに取り上げましたのは、「新古今和歌集の校訂本文データと現代語訳データの相互的研究」と。せっかくですから、私自身がやっておりますこの研究を例えば例に挙げますと、これまで日本の文学の作品で完全なオープンデータで本文と訳が最新の研究に基づいてオープンデータ化しているというのはないんですね。それをつくっていくにはどうしたらいいのか。
まず、試みとして、『新古今和歌集』でそれをつくってみる。要するに、本文をしっかり確定させた上で、現代語訳をそこにひもづけて、それをオープンデータ化していく。これを『新古今集』だけではなくて、主要な全作品へ、『源氏物語』や『平家物語』や『古事記』、『日本書紀』、そうしたものに広げていく。そうすると、現代的な課題から、もっと言えば、現代語から古典へアプローチすることができる。現代語訳が標準的なものが確定していれば、もちろん翻訳などもより確かな翻訳へとつながっていくだろうと思いますが、そういう現代我々が生きる上での課題、問題から古典へとたどっていくことができる。古典の知、知恵と進んでいくことができる、深めていくことができるのではないかと考えることもひとつです。
それから、こういう校訂本文や現代語訳データをつくっていく、これは大きく若手の力が必要になります。恐らく学会総動員に近いような、そういうことになろうかと思いますけれども、例えばそういうことで若手育成などにも貢献したいと思っております。
国際展開としては、日本古典籍研究国際コンソーシアムを設立し、83機関が既に参加しております。例えば、書誌学用語勉強会などで世界の司書、研究者などが参加して、日本の典籍の書誌学、これ様々な用語があって、日本でも厄介なわけですけれど、そうしたものを世界で統一的なというんですかね、標準的なものを考えて共有していく。そういう場にしていこうと考えております。
10ページ目へ参ります。人材育成・情報発信。今のこととも関わりますけれども、若手・シニア研究者を交えた定期的なブリーフィング、様々な種類の会合や研究会等々も設けまして、そこで互いに勉強し合うといいますかね、そういう場をつくっております。さらにこれはつくろうとしております。
さらに2段目に中高生向けSDGsイベントというのがありました。これは中学校・高校生に紙を漉いてもらって、そしてそれを分析してもらうというような、そういうことをしましたけれども、それだけに限らないですね。参加型というようなことを言いましたけれども、結局それは主体的学び、探求学習なんかと非常に相性がいいわけです。もちろんICT教育とも結びつきますけれども、教育の分野での可能性というのも極めて高いだろうと私は考えております。
小・中・高・大・大学院あるいは生涯教育、それぞれの場面で、古典の知恵とアプローチしていって、その知恵に学んでいく場を提供できるのではないかと考えております。
12月1日にはキックオフシンポジウムを予定しております。情報・システム研究機構の機構長、喜連川優機構長やデジタルアーカイブ学会の会長の吉見俊哉氏、あるいは日本語学会の会長の近藤泰弘氏などに御登壇いただいて、いろいろ御意見を頂戴できればと考えております。
年次計画は次のように図示されることになっております。
最後に用語解説をつけましたので、御参考にしていただければ幸いです。
最後になりましたけれども、文科省、本審議会、人間文化研究機構の多大なる御支援や御協働によって進めることができております。改めまして感謝を申し上げたいと思います。御教示いただければ幸いです。
以上でございます。
【城山主査】 どうもありがとうございました。それでは、続けて資料4に基づいて、堀浩一理事より御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
【人間文化研究機構(堀)】 人間文化研究機構の堀と申します。デジタル・ヒューマニティーズ(DH)コンソーシアム事業について御報告いたします。
この事業は、文科省の委託事業、人文学・社会科学のDX化に向けた研究開発推進事業の中の一部として行うものです。この事業そのものにつきましては、既にこの委員会で御報告があったということですので、詳細は割愛させていただきますが、二つあった一つ目が、データ基盤の開発に向けたデジタル・ヒューマニティーズ・コンソーシアムの運営、もう一つが成果の可視化に向けた研究開発ということでございます。
それぞれ公募がなされまして、これを受託する事業者が公募されました。私ども人間文化研究機構は、上のほう、デジタル・ヒューマニティーズ・コンソーシアムの運営に関するほうに応募させていただきまして、ありがたいことに採択していただきました。
まずデジタル・ヒューマニティーズとは何かということを復習しておきたいと思います。昔から人文学の研究者の中にはデジタル技術を使って何か面白いことやろうという人たちがいました。
一方、私自身、デジタル技術の情報系で人工知能の研究者ですが、情報系の研究者の中にも、数値計算などには飽き足らず、言葉の意味や知識や知恵というものをどう扱ったらいいんだろうかということを人文学の人々と一緒になって研究する人々がいました。昔は人文学のちょっと変わった人と情報系のちょっと変わった人が何か変わったことやっている分野と思われていた時期がございました。現在において、DHは大きく変わっております。人文学全体がデジタル技術を使うことで深まる、人文学の研究そのものが深まる、また他の分野とつながって新しいつながりができる。それから、情報系にとりましても、人文学の知恵、知識というのは不可欠、特に、現在の生成系AIがこのように進歩した、また普及する時代におきましては、人文系の信頼できる知識源、情報源というものが非常に重要になっております。
そういう意味で、人文学とデジタル技術のどちらが主でどちらが従ということなく、それぞれがウィン・ウィンの関係で、相思相愛の関係で新しい研究が生まれているというのがDHでございます。
新しい研究というのは、分野間をつないで新しい研究が生まれる、時代を超えて新しい研究が生まれる、国境を越えて新しい研究が生まれる、また、研究者だけでなく、市民とつながって新しい研究が生まれるという、まさに新しいこれまでなかった研究という意味と、従来の人文学そのものが深くなる、たとえば、仏教学の研究がデジタル技術を使うことによって、さらに仏典の資料の中に新しいことが見えてくる、そういう深まるという意味での新しい研究の両方の意味があります。
前半のデータインフラストラクチャとの関係でいきますと、前半の話は、言わば料理をする食材をそろえましょうというふうに例えるとするならば、DHのほうは、食材を使ってどういう料理を作るか、素材を組み合わせて新しいものを作り出すという領域になります。
日本のDHには何が欠けているか、ボトムアップに何をやってきたか、トップダウンに試みる今回の受託事業ということについてお話ししたいと思います。
日本のDHを見てみますと、それぞれの研究者、それぞれの組織はよい仕事をしています。デジタル・ヒューマニティーズの一番大きな国際会議も2022年に日本で開催されました。日本の存在感は決して低くありません。研究面では非常に良い仕事をしていると国際的にも認知されています。
しかし、残念ながら、それらの研究者や組織をつなぐ仕組みというのが不十分であると言わざるを得ないと思います。もちろん学術研究のコミュニティーはあるのですが、組織的に何か事業をやるという点においてそれらをつなぐ仕組みは不十分。また、国全体の戦略的なビジョンがあるのかという辺りも考える必要があると思います。
我々のNIHUのDH講座という名称で、DHを紹介する動画シリーズを公開しております。その中の1つの講座で、DARIAH-EUのディレクターのToma Tasovacさんがこんなことを話しています。
「日本にとって重要なことがあります。政府または研究や戦略的思考をつかさどる省庁のレベルの話になりますが、政策を決める人が2つのことを認識する必要があります。
まず、人文学が大切だ(Humanities matter)ということです。文化、歴史、アイデンティティと同様に、です。そして科学的発見や手法を未来に推進していくことはどの国にとっても戦略的に重要だということです。
そのために投資をして研究インフラを構築し国レベルで能力構築にも投資をする必要があります」。
まず第1に、ヒューマニティーズマターというのが1本目の柱。もう一方の柱が科学的発見や手法ということで、この両方の柱をちゃんと立てて国として戦略的に投資していくべきだと。DARIAHというのは、Digital Research Infrastructure for the Arts and Humanitiesです。
この話をTasovacさんから文科省担当官にしてもらう機会があって、文科省担当官もぜひそうしたいんだけど、財政当局からの厳しい反応があるとおっしゃっていました。Tasovacさんがそれは世界共通だねとおっしゃっていました。しかし、我々は、ちょっと団結して頑張る必要、財務当局と戦う必要があると思います。
今回行う事業というのは、まさに、学企室の皆さんはじめ、頑張って獲得された事業予算で、トップダウンに戦略的に組織をつなごうという話になると思います。ボトムアップな仕事とトップダウンの仕事というのは当然両方が必要で、その組合せが重要だと思われますので、まず、我々が、ボトムアップに何をやってきたかということをちょっとだけ御紹介させてください。
人間文化研究機構では2022年からデジタル・ヒューマニティーズを大きなテーマとして推進してきました。2023年7月にDH推進室というものをつくらせていただきました。主な活動といたしまして、DHの方法や、どういうことできるか、実際どういうことがなされているかという講座シリーズをオンラインで公開しております。既に6編ほどの動画を配信しております。
また、DH組織ネットワーキング協議会というものを設立いたしました。これは今回お話しするトップダウンなコンソーシアムとは逆方向にボトムアップにDHに関わっている組織同士をつなごうと。手弁当で集まるような会で、トップダウンなミッションというのはなくて、お互いに悩みを共有し情報交換をしようと。緩やかなつながりという形で既に準備会と第1回の会合を行っております。そこでは人文系と情報系がウィン・ウィンの関係でどういうふうに協力したらいいか。各大学に今人文系と情報系が連携する組織、センターや研究科が次々にできております。皆さん、いろんな悩みを抱えています。伝統的な人文学とDHの関係をどうするのか。DHで育った学生たちにどういうキャリアパスを用意できるのかと。そういう率直な意見交換をやっているところでございます。
また、DH若手の会ということで、若手の研究者、大学院生を中心ですが、まだ学会で発表するに至らないような研究アイデアを持ち寄って互いに情報交換をすると。研究の交流するという会を行っています。
あと、nihuBridgeというプラットフォームを運用しています。また、DHにおいては権利処理の問題が非常に重要ですので、著作権や所有権や肖像権などに関するハンドブックを作成し、公開しております。
その他研究会を行ったり、あるいは小中高校生の学習の場でDHを使ってもらうというようなことも行っております。
すみません、前置きが長くなってしまいましたが、今回のトップダウンに試みる受託事業、これは委託事業という形ですので、補助事業とは違って我々が自由に何かやるわけではなくて、文科省から委託された項目を粛々とやるという枠組みになっております。人文学DXの拠点としてDHコンソーシアムを設置し、人文学の高度化と国際展開の基盤へ貢献し、またデジタル・ヒューマニティーズの研究者育成を見越した事業展開を行うということで、絵を見ながら御説明したいと思います。ぼやっとDHを促進しようというのでは委託事業として成立しないということで、割と明確にこういうことをやろうということが求められております。
幾つか求められているのですが、1つには、日本や東アジアのテキストに関するTEIの基盤に関する、テキスト・エンコーディング・イニシアティブに関する基盤をつくります。先ほどの渡部館長のお話の中にもTEIのお話が出てきましたが、ヨーロッパのアルファベットで単語が分かち書きされた資料と違って、例えば、日本語ですと「恐れ入谷の鬼子母神」の「恐れ入る」という動詞と「入谷」という地名が掛詞になっている。掛詞があると、アノテーションをどうつけたらいいんだろうという問題が生じます。単語の区切りからして扱いが難しくなる。
そういうことについて研究レベルではいろんな提案がこれまでにもなされているんですが、そういうのをお互いに全部集めて日本として固まった提案をしていこうと。
それから、入谷というのが江戸時代にはどこからどこまでで、それより前の時代に何処から何処までという地理情報に関する時空間情報基盤に関するいろんな研究の枠組み、方法の枠組みをつなぎ、日本としてそういうモデルガイドライン、こういうことをやりたいときにはこういうふうにやればいいんだというようなことを、文字情報のTEIと地理情報について提案をまとめるようなことを2つのハブでやっていきます。
ハブの運営は、連携機関をこれから私どもが公募しまして、その連携機関が行うことになります。実は昨日この事業の契約が成立したばかりでございまして、今日以降、我々が公募して、研究基盤ハブ1をやってもらう機関と研究実践ハブをやってもらう機関、連携機関を公募することになります。
また、人材育成ハブということで、これは協力機関、これは指名する協力機関と一緒に人材育成に関するカリキュラムというよりは、DHをやるためにはこういう素材を、こういうことを学んでもらうという全体像を提示するようなことをやると。それぞれハブの上に人材育成部会、研究・基盤規格構築部会というのを構成し、全体をまとめるDHコンソーシアムというのをつくる計画でございます。
一応計画としては15ぐらいの組織に参加してもらうところから出発するDHコンソーシアムになる予定です。
その成果をウェブサイトで公開し、また国際的な場で提案を行っていくような活動を行っていきたいと考えております。
これ以降の文章は、今、図を見ながら御説明したことでございますので、飛ばさせていただきます。最後になりますが、人間文化研究機構として、このコンソーシアムの運営を通じて、文科省が頑張ってトップダウンにやろうとしていることを下からお手伝いさせていただければと考えているところでございます。
予算を言うのを忘れましたが、全体、全てで年間6,400万掛ける3年間です。私は工学系の人間ですので、正直申しまして、1桁小さいな、これだけのことをやるんだったらあと一桁多く欲しいなと思ってしまいますが、6,400万円の限られた予算で約束した項目を着実に行い、今後ぜひトップダウンの事業ももっと大きく発展させていければよろしいのではないかと思っているところでございます。
以上でございます。
【城山主査】 どうもありがとうございました。それでは、今御報告いただいた2つの件につきまして質疑していただければと思いますが、御質問、御意見いかがでしょうか。
大橋先生、よろしくお願いします。
【大橋委員】 どうもありがとうございます。大変御説明、参考になりました。人文・社会科学系でDX化というか、データ化を促していくというためには、データを集積して公開する、あるいはそうした基盤をつくるというだけでは恐らく、それで公開してさあどうぞというだけで多分うまくいかないのではないか。よって、利活用とか解析とか委託とか含めて、ある程度公開する機関が先導事例をつくっていく必要があるんじゃないか。そうしたことを思っていたんですけれども、国文研さんの御説明、まさにそうした流れの中での御説明だったのかなと思って、大変感銘を受けたというか、すばらしいと思った次第です。
特に利活用の点でお伺いしたいんですけど、予算事業として進めていくということになると、ある程度目標というか、指針というか、どの程度の利活用をどのぐらいのタイミングでやっていくのかという機関としてのスケジュール感というのはあるんだと思うんです。KPIかもしれませんが、そうしたものをどういうふうにお考えなのかというところを教えていただけると参考になると思いました。ありがとうございます。
【城山主査】 渡部先生にお伺いする感じでしょうかね、具体的な国文のプロジェクトとの関連ということで。
【大橋委員】 ええ、結構かと思います。
【城山主査】 では、渡部先生、よろしくお願いします。
【国文学研究資料館(渡部)】 ありがとうございました。大変御理解をいただきまして、そのことに御礼申し上げたいと思います。
具体的な目標、もちろん数値的にいろいろな目標を立てながらやっておりますけれども、具体的にどのことを申し上げればいいか、また申し上げよう、どの辺りの数値でしょうか。共同研究でしょうかね。
【大橋委員】 利活用だと思っていたので、文献観光学とか、結構興味深いなと思っていまして。
【国文学研究資料館(渡部)】 7ページですね。数値的にこれがこうだというふうに申し上げにくいところではありますけれども、例えば祐徳稲荷神社の中川文庫であれば、これ、五十年来の調査が前提とはなっているんですけど、総目録をこのたび発行をすることになりました。
そういうような形で、これをつくるにも当然地域の研究者の力が必要になりますが、それを広く流布するにも、地元の方々の御協力が必要になるわけですけど、特に祐徳稲荷神社、大変不便なところにあるんですけど、そういう広報活動に非常に熱心なところです。そういう力を借りながら、宣伝もしてまいりたいと思います。
拠点としては5か所、基本的に今は考えておりますけど、さらにこれは引き合いもありますし、増やしていこうとは思うんですけど、具体的に数字という形ではちょっと今申し上げにくいところがございますけれども、積み上げていきたいとは思っております。
これも本当にマッチング、あとは理系との関わりは、本当にマッチング次第で、そういう場をとにかく設けながら、こんなのがあるんだというのを発見していかなければならないなとは思っていますが、ちょっとその程度の御説明で、それ以上のことが御説明しにくいところはございますけれど、努力を積み重ねてまいりたいと思っていますので、御支援をお願いいたしたいと思います。
【城山主査】 ありがとうございました。多少関連して私からもお聞きをしたいんですけども、これむしろ今日、人間文化機構の機構長として参加されている木部先生にお伺いするのがいいのかなと思うんですが、堀先生お話あったように、今回、人社系でデジタルの話をやろうということで、さらに頑張ってこういう枠組みをつくったわけですが、3年間、かつ極めて額も限られているということなので、こういうものをどうやって使って次のステップに進めていくか、すごく重要なんだと思うんですね。
そういう意味では今回、人間文化研究機構さんのほうにお願いできたというのは、ある意味では幸いなところもあって、まさに国文のデータベースの話はたしか大規模フロンティアの話だと思うので、基本的には理系ベースの比較的規模が大きい話が人社系で動いている極めて希有な例だったと思うので、そういうある種のプラクティスをやっているところにこういう形でもうちょっと枠組みづくりだとか、基準づくりだとか、そういう話をセットでお願いするということになったのかなと思っているんですね。そういう意味でいうと、この辺をどうやってうまく有機的につなげていっていただけるかみたいなことが大事なのかなと。恐らく人間文化研究機構さんもかなり中に多様な組織を抱えているので、国文だけではなくて、いろんな分野に潜在的にはつながる可能性があって、必ずしも外部の連携機関というだけじゃなくて、恐らく、内部でこういう話をうまくつなげていっていただくかということが多分ほかにとっても1つのモデル性を持つのかなと思いますので、ちょっとそういう観点で、必ずしもKPIという話ではないと思うんですが、どういうステップで今後進めていくといいとお考えなのか、ちょっとその辺御意見あればお伺いできればなと思うんですが、どなたかよろしいでしょうか。
すいませんが、木部先生から。
【木部委員】 これは委員としてというよりは、機構長としての発言になりますかね。おっしゃるように、人間文化研究機構は6つの機関があって、それぞれが膨大な資料を持っていますので、これを実際にマッチングさせて、一体どういうことが言えるのかというのを早く、1つでも2つでも新しい事例を出したいと思っています。そのためにはデータを実際に使っている人たちが集まって、いろ、ああでもない、こうでもないという、それこそ自発的なキュリオシティー、興味に基づいた議論をする場が必要だと思います。それを9月以降立ち上げる準備をしております。
ということでよろしいですか。
【人間文化研究機構(堀)】 では、私からも。堀ですが、一言だけ補足すると、この事業は100年もたせる必要があると思うんですね。100年もたせるためには、人文機構だけでは絶対駄目で、やっぱりいろんな組織がネットワークでつながっていることが大事だと思います。仮にどこかがポシャってもどこかが生き残るという形で全体が生き残るという形にするんだと思います。そのためにはやっぱりコンソーシアムという形でネットワークをつくるという最初の一歩が大事だと思います。
【城山主査】 では、後藤先生。
【後藤委員】 後藤でございます。同じく人間文化研究機構からということになりますけども。あと、今回のDHコンソーシアム事業のところではユースケースの創出ということも求められております。なので、その部分でユースケースをつくっていくということを進めていくことになりますので、その中で各機関の研究でありますとか、そういうところの興味とも連携しつつやっていくことによって、機構内機関も併せてユースケースを上手につくっていくというのが今後の展開ということになるのかなと個人的には思っております。
以上でございます。
【城山主査】 どうもありがとうございました。それでは、白波瀬先生、よろしくお願いします。
【白波瀬委員】 大変ありがとうございました。本当にデータをつくること自体が非常に大変だということも改めてよく分かりましたし、非常に貴重な作業であるということも改めて確認した次第であります。
ただ、これがやっぱり限られた小さなサークルの中で価値があるねと言っていては問題だろうということになりまして、私なんかちょっと距離があるので、すごくずれているかもしれないんですけれど、どれぐらいの人たちが本当に具体的に論文として実際にあるデータを使われていたのか。その論文というのは、恐らくデータを使えば大体寄贈するというか、こういうことやりましたというフィードバックがあるはずなんですけども、その辺りというのは大体どのぐらい今あるのか。つまり、データをつくること自体、それをカタログ化すること自体、物すごく時間はかかるんですけれども、さあ、さて、時間がかかると言っているだけでは、なかなか説明というか、いろんな意味で評価というか、難しいという現実もある中で、本当に別に若い人たちだけじゃなくてもいいんですけれども、論文としてというか、書籍としてもそうなんですけど、具体的にどれだけ活用というか、データとして申請が、その辺りはどうなんでしょうか、教えていただけるとありがたいと。お二人、2つの報告の中でということなんですけども、よろしくお願いいたします。
【城山主査】 最初、渡部先生お願いします。
【国文学研究資料館(渡部)】 じゃあ、私のほうから。ありがとうございます。日本文学及び関連領域では、例えば国文学研究資料館がつくりました国書データベース及び国文学・アーカイブズ学論文データベース、これを使わない研究者はいないので、みんな使っているんですけど、空気みたいなもので、だからこそ誰も書いてくれないんですね、これを使ったというふうに。恐らく日々、何十件という論文がそれで生み出されているはずなのに、それが表に出てこないという実は形になっていて、これ……。
【白波瀬委員】 でも、先生、それが問題じゃないんですか。表に出さないと、渡部先生。やっぱり空気ではみんな感謝もしないので、それは出してもらうことがやっぱり必要じゃないかなと思います。すいません。
【国文学研究資料館(渡部)】 全くそういうふうに持っていきたいと思っています。
【城山主査】 堀先生、付け加えることありますか。
【人間文化研究機構(堀)】 皆さん、グーグル使いましたとか、ワープロ使いましたって書かないのと同じぐらい使われているんですよね。国語研のコーパスなんかは、人工知能の分野でも、国語研のコーパス使いましたというのもたくさんあります。
ですので、分野を超えて使われていることは間違いないのですが、それを系統的に集める手法ってなかなかなくて、参考文献と違って道具を使ったというのはなかなか論文に書く習慣がありませんので、難しいところです。今後工夫が必要かと思います。
【城山主査】 後藤先生よろしくお願いします。
【後藤委員】 実は我々も、これも、歴博、国立歴史民俗博物館の事例なんですけども、先般、データベースを1か所統合しまして、一時的に使えないサービスがあったんですね。そのときに苦情が来るんです。つまり、使われなくなったときに初めて使われていたということが判明するということが先般ありました。アクセスできなくなって初めて可視化されるユーザみたいなのもあるわけですが、これを恒常的に可視化してく必要があると思っています。
ただ、恐らくこれは人社系の研究評価とかにも関わってくる話でもあって、論文、引用で、例えば論文で書いたとき、例えば論文を引用するのは全部注に載るわけなんですけど、そのときに例えばデータベースなんかも引用中に載せてもらうとか、そういうようなところを何か工夫してもらうとかということをちょっと今後考えていくというのが重要なのかなと個人的には思っております。
以上です。
【城山主査】 ありがとうございます。まさに最後おっしゃられたような、具体的なポジティブに可視化していく工夫を多分考えていくことが必要かなと思います。
尾上先生、よろしくお願いします。
【尾上委員】 大変すばらしい試みありがとうございます。国際展開をやっていただいているというのはすごく重要だと思っておりまして、これはやはり文化というのは日本だけで閉じたものじゃないというところだと思っております。
そういう観点でいうと、こういう国際展開、国際連携等のターゲットというのは、アジアなのか、あるいは世界なのか、欧米なのか、そういうようなところ、もし何かデータ等をお持ちでしたら教えていただければと思います。
【城山主査】 渡部先生、もしあればどうぞ。
【国文学研究資料館(渡部)】 もちろん欧米、アジア含めまして、少し昔はアジアがかなり多かったんですけれども、最近は、あらゆる国に、さらにもっと多くの国にというふうにターゲットは広まっております。むしろ、本当に欧米なりのほうが我々日本人ができない事柄を非常に強く深くやっていて、こちらが学ぶことももちろん大変多いので、そういう意味では、研究の多様性という点でもさらに広げていかなくちゃいけないんじゃないかなと思っております。
【尾上委員】 ありがとうございます。ぜひプレゼンスを上げるためにも重要だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
【城山主査】 どうもありがとうございました。まだいろいろ御質問あるかと思いますが、ちょっと時間の関係で次に移らせていただきたいと思います。
御発表いただきました先生方、どうもありがとうございました。
続きまして、資料3-1、3-2に基づきまして、「今後の人文学・社会科学の振興に向けた推進方策(中間まとめ)(案)」について議論したいと思います。
まず事務局から御説明いただければ幸いです。
【助川学術企画室長】 ありがとうございます。学術企画室長の助川でございます。
資料3に基づいてコンパクトに御説明申し上げたいと思います。
前回の会議でお諮りした中間まとめ案でございますけれども、委員の先生方の御意見を反映させた形で今回お諮りしております。
まず、1ページ目の第1章の「人文学・社会科学の現代的役割について」でございますけれども、1つ目のポツ、横の行番号でいうと5行目以下に関しまして、人間が生きていく力や人間社会の根源的な部分を根底で支えている人文学・社会科学の持っている力というのを強調すべき旨の御意見を頂戴いたしまして、7行目のところで、人々の「生きる力の根源や社会の根本を支えている」といった表現を追加してございます。
また、人文学・社会科学の役割としてグローバルな知に貢献するという観点も重要との御指摘もございましたので、この点についてこの同じページの25行目以下のところ、総論の4つ目のポツとしてその旨を書いた1段落を追加したところでございます。
総論は以上でございますけれども、各論の第2章、「取組の実施状況、現在の課題について」でございます。
今回の中間まとめ全体として、ここでまとめた文章によって方向性に少し偏りがあるように見えてしまうんじゃないかという御意見もありましたので、2ページ目の26行目以降のところに2.2として「中間まとめの位置付け」という項目を設けまして、31行目のところから、共創型研究の推進とか研究DXなど人文学・社会科学の論点のうちの特に議論が必要とされる観点について検討したものであるということと、第24回までの議論を総括して12期の審議のまとめに向けた議論の方向性を整理したものだということで、その旨を明確にいたしまして、人社の論点全体を網羅したものではなくて、特に議論が必要とされる論点をまとめたものとの位置づけを明確にいたしました。
その先、少しページ飛んで恐縮でございます。9ページを御覧いただければと思いますけれども、こちら、丸4のところの「研究成果の国内外への発信」の項目でございますけれども、特に海外への成果の発信については、翻訳についての御意見頂戴しておりました。ここに関して、会議後に御趣旨を確認いたしまして、御意見の御趣旨としては、翻訳されて海外で出版されている日本の歴史的典籍には誤訳だとか日本の研究成果を適切に反映していないような事例もあって問題であるという、そういう御指摘をいただきまして、これは歴史的典籍についての翻訳のことですので、研究成果についてのものではないのですけれども、翻訳されて海外に発信されているものという点で共通する課題ですので、脚注の24として入れさせていただいております。
続いて第3章の「更なる推進方策について」でございますけれども、丸1の「課題設定型・異分野融合研究の価値」についてでございます。社会課題の解決に関する表し方について、人文学・社会科学というのが本来課題を解決するということよりも課題を設定することが大事であるという哲学があって、そのようなニュアンスを反映すべき旨の御意見頂戴いたしまして、これについては、10ページの最初のポツ、行でいうと7行目以降の文章、「人文学・社会科学は、課題の直接的な解決よりも、その前段階における課題の発見や、社会と繋げるアジェンダ設定、さらには技術・知見の社会への確実な実装等を通じて、その力が発揮される」旨を追記してございます。
同じページの丸2の項目でございますけれども、異分野融合研究について、専門分野にしっかり足を置いた上での異分野融合であることを強調したほうがいい。あるいは、専門分野における足場固めについては、若手に限らず多くの研究者にとって極めて重要である旨の御意見頂戴しておりまして、これらについて、同じく10ページの27行目以降の段落、「異分野融合研究に参画するにあたっては、本来の自身のバックグラウンドである専門分野の足場をしっかり固めておくことが極めて重要である」と表現を修正してございます。
続きまして、11ページの丸3の項目に関しまして、データに関して、若手を育成する側の研究者に対しても、データ公開ですとか、あるいは共創、共につくる、共創に向けてサポートを行うような場をつくることが重要との御意見ございまして、ちょっと何点か書いてございますけれども、共創、共につくる共創に関しては、9ページ目のところ、「若手を育成する立場のシニアを含めた研究者が交流し、共創しやすい仕掛けを設ける」ということ。
あるいは、デジタルに関して、次の12ページの19行目以降のところで、人材育成プログラムについて述べているところでございますけども、研究者のスキルの向上に資するように広く継続的に普及していくことが重要である。あるいはデータ公開に関して、ページ変わって13ページの11行目からでございますけれども、「研究者のオープンサイエンスへの対応を組織として支援する体制の整備が必要である」旨を追記してございます。
また、ちょっと戻って恐縮でございますけれども、DXに関しては、研究のプロセスに係るデータについても説明が必要である旨の御指摘頂戴いたしましたので、「また」以下に「研究のプロセスに係るデータについても、適切に保存し公開していく必要がある」旨の一文を追記してございます。
また、今度は14ページの3.4の「研究成果の国内外への発信」についてでございますけれども、海外への発信について、タイトルと研究成果の要約版だけでもいち早く外国語で作成し可視化する視点も重要との御指摘ございまして、3.4の下のほう、30行目のところ、1つの段落を付け加えたところでございます。
また、最後の15ページの3.5のところでございますけれども、人材育成の項目については、見出しを明確にするために、「これまでの論点における」という文字を追加して、これまでの論点における人材育成についての方策であることを明確にいたしました。
このほか、文章の意味の明確化などの観点から修正を幾つか加えてございます。
また、今本文で御説明申し上げましたけれども、資料の3-2、中間まとめの概要でございます。説明は省略いたしますけども、ただいま御説明申し上げた点に沿ってこちらも修正してございます。
ちょっと駆け足で恐縮でございますけれども、以上でございます。御意見のほど、御審議のほどよろしくお願いいたします。
【城山主査】 どうもありがとうございました。前回、その後の議論に基づいてこのような形で修文していただいて、それをまず今日の案として御提示いただいたということかと思います。
それでは、御質問あるいは追加的な御意見を含めて御自由に発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
山中先生、お願いします。
【山中委員】 大変細かいことで恐縮なんですが、10ページの8行目、3.1の丸1で、人文学というのが直接的な解決よりも問題を発見することが大事だと言っているところです。これ本当にそうだと思うんですけれど、「いかんなく」という言い方が気になりました。ここで重要なのは、解決じゃなくて発見することに人文学とか社会学が役に立てるということであって、どれだけ発揮できるかということはポイントじゃないと思うんですね。むしろ「こういうところにこそ力が発揮できる」ということを言っているところで、「いかんなく発揮…」と言われるとちょっと言い過ぎかなと。
ここはたしか赤字がいっぱい入っていたところで、もとはなかった言葉だったと思います。皆さんが全然気にならないならいいんですが、私は気になりました。細かいことなんですけれども、以上です。
【城山主査】 事務局のほうから何かコメントありますか。
【助川学術企画室長】 表現についてはちょっと検討させていただければと思いますけれども、先生、ここのところ、先生の感覚からすると、具体的にこういう表現が、というのがもしあれば教えていただければと思います。
【城山主査】 この議論を伺っていると、むしろ端的に「いかんなく」と言わずに表現すればいいのかなと思います。
【山中委員】 取ってしまえばいいということですか。
【城山主査】 シンプルに発揮されるというふうにすればいいという、そういうニュアンスかなと伺いましたけど。
【山中委員】 はい。無くてもよいのではないかと思います。
【城山主査】 基本的にはその方向で事務局と修正案を考えたいと思いますので、どうもありがとうございました。
ほかいかがでしょうか。
特に皆さん、追加的にはございませんですかね。
安田先生、お願いします。
【安田委員】 ありがとうございます。これもまたコメントなんですけれども、異分野融合をやろうとするときに、それ自体が目的でなく、課題とか問題意識が出発点であるべきであるということはまさにそうなんですけれども、じゃあ、そういう場をつくるためにはどうしたらいいかというと、結構地域研究とか、共通する場に異なる研究者が集まって、それぞれの観点から問題を発見すると結構いい感じに融合研究が進むというようなイメージを私は持っております。
ですので、そういう場の研究、場を中心とした研究みたいなものとセットで例えば研究費をつけるとか、そういうのをやると、少しこうした異分野融合研究が進んでいく一助になるのではないかなと考えました。
コメントです。ありがとうございます。
【城山主査】 どうもありがとうございました。事務局のほうから何かレスポンスございますか。
【助川学術企画室長】 ありがとうございます。場のことは若干書かれていたかと思いますけれども、先生おっしゃったように、そういう場があって、それで研究が進むということもあるかと思いますので、御指摘は中間まとめというよりも、いろんな施策かと思いますけれども、それを踏まえてまいりたいと思います。ありがとうございました。
【城山主査】 ありがとうございました。恐らく例えば今日、盛山先生から御発表いただいた現在のプログラムのスキームなんか、まさに共通の課題を通していろんな分野が連携するということを期待してああいう形の仕組みをつくったということもありますし、それをある意味で補完する仕組みとして、これも盛山先生が若干御紹介いただきましたけれども、阪大を中心にそういう場づくり自身のプロジェクトみたいなのも3年はやってきたので、そういうことをきちっと多分継続することが必要なんだろうと思います。ある意味では今回新しいところに焦点を当てているので、これまでやってきたがゆえに逆にあまり強調されてないところある側面があるかもしれないので、ちょっとそういう点で多分表現、考えるべきところがあれば若干考えたほうがいいかなと思います。
それから、もう一つは、これはどこまで個別で書くかということはあるかと思うんですが、まさにおっしゃった地域というのはどういう単位で見るかというのは多分いろんなレベルがあり得て、まさにいわゆる地域研究という、国とグローバルの間ぐらいの地域研究みたいな話というのはまさにそういう場としていろんな機能してきたと思いますし、他方、よりローカルなコンテクストって多分あり得て、例えば今日のお話でも、古典と地域の観光みたいな話だとすると、もっとよりローカルな話で、多分そういった単位を、いろんな単位をどういうふうに考えていくのかというあたりを整理していくようなことも、多分今後意味のある作業かなあという感じがします。
そういう意味で、直接、コメントということでもありますので、表現に入れられるかどうか分かりませんが、ちょっとそういう観点で少し最後、事務局にもレビューしていただいて、入れるべきことがあればさせていただければと思います。
ほかいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、本日いただきました御意見も踏まえて、中間まとめの修正をしたいと思います。修正につきましては主査に一任ということでよろしいでしょうか。
それでは、そのように進めさせていただきたいと思います。
最終的な審議の取りまとめについては、秋以降また議論させていただいて、今回中間まとめですけども、最終まとめをしたいと思います。
それでは、本日予定していた議題は以上となります。次回の日程については事務局より連絡事項をお願いします。
【林学術企画室長補佐】 事務局でございます。次回の本委員会につきましては、日程調整の上、改めて御案内をさせていただきます。
また、本日の議事録についてでございますが、後日メールにて委員の先生方にお送りをいたしますので、御確認のほうをよろしくお願いしたいと思います。
事務局からの連絡事項は以上でございます。
【城山主査】 どうもありがとうございました。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。皆様、どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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