研究環境基盤部会 大学共同利用機関改革に関する作業部会(第8回) 議事録

1.日時

令和元年11月25日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

三田共用会議所 講堂

3.議題

  1. 「大学共同利用機関の検証ガイドライン」骨子案及び「大学共同利用機関の検証」における主な観点と指標例(案)について
  2. 「連合体」の検討状況について
  3. その他

4.出席者

委員

観山正見主査、小林良彰委員、小森彰夫委員、橘・フクシマ・咲江委員、長谷川眞理子委員、平川南委員、藤井良一委員、森初果委員

文部科学省

西井学術機関課長、降籏学術機関課学術研究調整官、吉居学術機関課課長補佐、小林学術機関課課長補佐、二瓶学術機関課連携推進専門官、その他関係者

5.議事録

【観山主査】 ただいまより科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会大学共同利用機関改革に関する作業部会(第8回)を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、本日も御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
まず事務局より、本日の委員の出欠、配付資料の確認をお願いいたします。
【降籏学術研究調整官】 おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。
本日は、佐藤委員、永田委員、山内委員が御欠席でございます。
また、本日の会議では、「連合体」の検討状況について取り上げる予定としております。そのため、本日は大学共同利用機関法人と総合研究大学院大学から、委員のほか関係の方々に御列席を頂いております。お忙しいところをありがとうございます。
本日の配付資料の確認をさせていただきます。お手元の資料の議事次第にあります「配布資料」のところを御覧いただければと思いますが、資料1から資料の4-1、4-2までと、参考資料1から参考資料3までの各資料を配付しております。
また机上には、今回も机上配布資料といたしまして、第9期にとりまとめた審議のまとめの本文と大学共同利用機関関係の参考資料を置かせていただいておりますので、適宜御参照いただければと思います。
配付資料の不足等ございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
配付資料の御説明は以上でございます。
【観山主査】 ありがとうございました。
それでは、議題1「大学共同利用機関の検証ガイドライン」骨子案、及び「大学共同利用機関の検証」における主な観点と指標例(案)について取り扱いたいと思います。
本日は、前回まで数回にわたって行いました各大学共同利用機関と有識者からのヒアリングにおける主な御意見について、まず事務局から整理したものを説明していただきたいと思います。そして、事務局からヒアリング等での御意見をもとにした「ガイドラインの骨子案」と「主な観点・指標例(案)」の修正案について説明を頂き、その後委員からの御意見を伺いたいと思います。
それでは事務局より資料について説明していただけますか。
【降籏学術研究調整官】 それでは、資料1をお手元にお願いいたします。
本作業部会におけるヒアリングについてでございますが、1のこれまでの主な経緯とありますが、9月27日の第4回の作業部会から前回11月7日までの第7回の作業部会まで4回にかけて実施をさせていただきました。この資料1の3枚目にヒアリングの実施状況ということで、実施しました大学共同利用機関と有識者の方々の一覧をお付けしております。短期間の間にそれぞれ準備を頂き、御協力を頂きましてありがとうございます。
1枚目に戻っていただきますが、非常に多くの意見を頂戴しました。その中から主な御意見をかいつまんで御紹介させていただきたいと思います。
主な意見の概要の2ポツのところでございますが、この検証の進め方を含めたガイドラインの骨子案にかかる御意見と、主な観点と指標例についての御意見ということで大きく2つに分けて整理をしております。重複するところもありますが、御説明をさせていただきます。
最初の丸でございますが、この大学共同利用機関が行う自己検証においては、各機関が実施をしている多様な取組や特性を適切に、また的確に検証できるよう、指標については各機関の特性に合わせて設定したり、選択制にしたりするようにしてほしいという御意見を多くの機関から頂きました。
また、この自己検証の実施に当たりましては、国立大学法人評価の実施の時期や項目などが重複しないよう配慮してほしいという御意見をそれぞれの機関とフクシマ委員からも頂戴したところでございます。
また、この検証結果につきましては、各機関間の相互の優劣を相対的に比較するものではなくて絶対評価としてするべきである。絶対評価としているのは重要との御意見を各機関から頂いております。
また、人文・社会科学系の研究機関における研究の在り方については、自然科学系の研究機関の在り方と大きく異なることに留意が必要であるということを、人文・社会科学関係機関、小林委員ほか多くの委員から御指摘を頂きました。
また、今回の検証の考え方について、大学の研究所を評価する指標が多く、こういった大学向けの指標を用いて我が国保有の共同利用機関を評価することは適さないのではないか、共同利用機関を評価する際には留意が必要との趣旨の意見を有識者の長谷山先生から頂きました。また今回の検証は、大学における学術発展に資するための大学の共同利用の研究所であることを際立たせるような指標であるべきである。そのためには各機関が目指すべき世界の研究機関を意識したようなベンチマークの設定などを含め、適切な指標を考えるべきではないかという御意見を永田委員やほかの委員の方々から頂いております。
また、外部検証につきまして、科学技術・学術審議会が実施する外部検証においては専門性や分野の特性等に配慮して適切に評価できるよう、多様な研究分野から有識者を選定するといった外部評価の体制を強化すべきだという御意見を各機関、また有識者の皆様から頂いております。
そして、この検証を行うに当たりましては、決められた指標を滞りなく達成することが重視されるのではなく、各機関が実施している取組のプラス面を評価するべきである。積極的にそういったプラス評価を取り入れることが重要だという御意見を頂いております。
2枚目に参りますが、検証を行うに当たっては、過去の取組内容を現状把握として評価するだけではなくて、今後の共同利用機関のよりよい発展を導くため、未来へ向かった長期的な視点による検証であってほしいという御意見を頂きました。
また、各機関の特性に応じて提案する、設定した観点や指標に基づいて説明をすることで、各機関の強みや弱みの明確化といった新たな気付きが生まれるという考えが検証の実施の際には重要であるという御意見を頂いております。以上、主な骨子案に係る意見です。
続きまして、主な観点と指標例についての御意見でございます。
最初の丸3つが一般的な御意見でございますが、最初の丸でございますけれども、各分野により求められるものは多様であるため、評価の観点は各機関に共通するものや機関独自のものを設定することが必要であるという御意見。また主な観点の優先順位や具体的な指標につきまして、各大学共同利用機関の固有性に鑑みて各機関が設定できるようにすべきという御意見を頂いております。また各機関の特性によって主な観点や指標の重みはそれぞれ異なることに留意すべきという御意見を頂いております。
4つ目の丸は、中核拠点性に係る御意見になりますが、既存の明確な研究者コミュニティに必要とされていることも重要だが、多様な学術動向を踏まえて、新たなコミュニティを生み出している点も評価していくべきである。また、研究者コミュニティの意向を踏まえる体制があるかどうかに加えて、適宜コミュニティの意見を適切に反映できているか確認できるようになっているかといった視点も重要だという御意見を頂いております。
また同じく中核拠点性に関係する論点といたしまして、人文・社会科学分野の場合は、自然科学系とは活動内容が大きく異なり、日本を主な研究分野とする場合は日本語での執筆や、必ずしも論文という形では出さないため、そういった点の考慮が必要であるという御意見を 頂いております。ほか、10%論文などに係る多様な御意見を頂戴しております。
次は新分野の創出に係る御意見でございます。学際的・融合的領域は、社会から見た新たな価値創出という側面を含んでいるため、指標に反映されるまでには時間が掛かる、また分野によって時間が異なるという点に留意が必要との御意見を頂いております。
社会との関わりについてでございますが、必要な情報を発信するだけではなくて、社会との協働や共創を通じて新たな研究の展開につなげていくことも重要であるという御意見でございます。
最後の2つは一般的な御意見になりますが、各指標例は例示であり、各機関の特性に応じて、各機関において指標等を設定して、各機関がどれだけ学術に貢献してきているのか、また今後どのような学術への貢献をしていこうとしているのかを説明するような、将来に向けた前向きな評価もすべきであるという御意見を頂戴しております。
また、各機関の取組の結果だけを検証するのみならず、その結果に至ったプロセスについても検証すべきという御意見も頂戴したところでございます。
そのほか運営面について、機関と外部の構成についての御意見や、国際性に関して、女性の研究者や若手研究者の位置付けについての御意見、また研究資源に係る多様性を考慮すべきといった趣旨の御意見等々、多くの御意見を頂いたところでございます。
これらの今後のスケジュールということで3ポツ目に書いてございますけれども、2020年、令和2年4月以降から大学共同利用機関において自己検証が実施されることができるように、年度内にガイドライン等を整備していく予定ということを付しているところでございます。
作業部会におけるヒアリングの意見の概要につきましては以上でございます。
続きまして、頂きました様々な意見を踏まえまして、ガイドライン骨子案の修正案と主な観点と指標例の修正案を御用意しておりますので、こちらの説明をさせていただきたいと思います。資料2をお手元にお願いをいたします。
赤での見え消しになっておりますが、参考資料1、また参考資料2でこの作業部会で御提示をいたしました当初の原案もお付けしておりますので、適宜御覧いただければと思います。
主に修正点のところについて御紹介をさせていただければと思います。資料2でございますけれども、検証ガイドラインの骨子案でございます。
まず検証の趣旨でございますが、上から4行目以下、「学術研究の動向に対応して、大学における学術研究の発展に寄与しているか、また大学共同利用機関制度が我が国の研究力向上に資するものになっているか等を定期的に検証して、その結果に基づき、再編・統合等を含め今後の体制強化の在り方を検討するもの」と修正をしております。
この検証ガイドラインでは、各機関が学術研究全体にどう寄与しているのかという視点、また、その検証を通して我が国の研究力向上に大学共同利用機関制度が資するものになっているかといったことも定期的に検証すべきという御意見を踏まえて修正をしております。
また、最後の行の「再編・統合等を含め、今後の体制強化の在り方を検討する」というところについては、再編・統合という文言が受け取り方によってはマイナスのイメージが強いのではないかと、プラスのイメージもあるのではないのかという御指摘を踏まえ、「今後の体制を強化するための在り方」と表しているものでございます。
3ポツ目の、検証の主体別構成の丸1にございます自己検証のところですが、はじめに「各大学共同利用機関は、各大学共同利用機関法人の支援のもと、本ガイドラインに基づき、自己検証を実施する。その際、必要に応じて委員会など独自に体制を構築するなど、海外の研究機関に属する研究者等の意見を聴取する」としております。最初の1行目については、この検証における大学共同利用機関と大学共同利用機関法人の役割が分かりづらいという御指摘を受けまして修正をしたものでございます。
また、3行目の「その際、必要に応じ、委員会など独自に体制を構築したりする」については、自己検証を行う際に、各機関の特性や独自性を示しやすくするという観点から修正をしたものでございます。
丸2の外部検証についてですが、「科学技術・学術審議会は、検証結果報告書に基づき、各大学共同利用機関がどのような「強み」や「弱み」を認識しているのか等、その自己検証の妥当性について外部検証を実施する」ということで、各大学共同利用機関がどのような強み、弱みを持っているのかといった辺りを検証したところを外部からも検証すると。また、自己検証の妥当性を確認するために外部検証を実施するということを明確化しました。また、後半の赤字のところですが、「専門性や分野融合等に配慮して、所要の専門員を加える体制とする」という修正を加えたところです。
また、検証の基準でございます。4ポツ目ですけれども、「文部科学省が定める備えるべき要件について、改革作業部会が策定する」のところの最後について、「基準とする」を「基本とする」という文言に修正したところであります。
4ポツ目の2つ目の丸でございますけれども、最後に「観点ごとの重み付けや優先順位については、機関ごとに判断することとする」というヒアリングでの御意見を踏まえた修正を加えたところでございます。
その次の提示の指標例についての取扱いについてですが、提示の指標例については、各大学共同利用機関の特性に応じつつ、客観的に検証できるよう大学共同利用機関の目的とする研究分野の違いに配慮するが、各機関の判断で独自の指標・ベンチマークによることも可能とするとしたところでございます。
また、新しく最後に4つ目の丸を追加しておりまして、各大学共同利用機関が検証を実施する際には、これまでの業績に対する検証、この検証は業績の結果のみならず、それらに向けたプロセスを含む、に加えて、今後の目指すべき方向性についても分析をするということを入れたところでございます。
5ポツの検証の時期等についてですが、2つ目の丸のところに、「大学共同利用機関法人の4年目の中期目標、中期計画評価の時期を避けるといった負担の軽減に配慮する」ことを盛り込んだところでございます。
次のページをおめくりいただきまして、6ポツ目の検証結果報告書でございますが、2つ目の丸で、負担軽減の観点から、既にある法人の終了時評価のときに実施するデータや、各大学共同利用機関法人の共同利用・共同研究等の実績を示す既存のデータを可能な限り活用するということで、修正を加えたところでございます。
7ポツ目、検証の実施ということで、言葉を換えておりますが、最初の丸のところにつきまして、1ポツで示したとおり、「本検証は、各大学共同利用機関が今後中長期的に」と、過去だけでないことを強くして修正を入れるとともに、2行目でございますが、「大学における学術研究の発展や我が国の研究力向上に貢献していけるかなどについて、再編・統合等を含めた今後の体制強化の在り方等を明らかにするものである」ということで、「各大学共同利用機関間の相互の優劣を相対的に比較するものではない」ということを加えております。
こうした趣旨を踏まえて、「検証の実施に当たっては、備えるべき要件の各項目」、7つの項目を入れておりますが、「過去及び将来の観点や取組のプロセスの観点から分析した上で、当該大学共同利用機関の今後期待する事項や解決すべき課題等の提示をしていく」、「その上で必要があれば、再編・統合等を含む今後の体制強化の在り方等についても総括をする」としたところでございます。
8ポツ目の大学の共同利用・共同研究拠点との関係でございますが、この審議のまとめにおきまして、大学共同利用機関と共同利用・共同研究拠点との関係についての記述があり、それを受けたものでございますが、審議のまとめをもとにして修正を入れております。4行目でございますが、「具体的な移行については、本検証とは別に審議のまとめに基づいて、実際に国立大学法人から移行に係る要望が示された後に、科学技術・学術審議会において、コミュニティの意向の有無等も踏まえつつ」としており、ここは、コミュニティの意向も合わせながらという御意見を踏まえて修正をしております。
4ページ目でございますが、同じく移行について「コミュニティからの意向があるか」といったところを追加したところでございます。
そして、最後の丸については、大学共同利用機関と大学共同利用拠点の関係につきまして、「組織の意向だけではなくて、関係する研究分野の研究機関がネットワークを形成して、相互補完的に、フレキシブルに協力をして研究を推進する連携可能性があるといったことにも留意する」としたところでございます。
以上がガイドラインの骨子案となりまして、これに続く「主な観点と指標例」が資料3になります。資料3をお手元にお願いいたします。
資料3につきましては、ヒアリング等で頂きました御意見をもとに修正を加えているものでございます。
運営面の最初の主な観点でございますが、もともとの案では、共同利用・共同研究を実施する重要事項を諮問に応じる会議体の組織の立て付けにつきまして、機関の職員とこの外部の委員の構成につきまして、外部の委員が過半数を占めるという、内部の委員が2分の1以下であるという案であったのですが、それでは実態に合っていないのではないかという御意見を踏まえて、もう少し柔軟に見られるような形の修正案にしたところです。「当該機関の長の諮問に応じる会議体として、当該機関の職員や、関連研究者等の委員で組織する運営委員会等を置いていること」という形にして、その指標例のところで、この外部構成員の数や割合や開催実績といったところを指標例に置くという修正を加えたところであります。
3つ目の丸の、新しく丸が入っている部分については、こちらは中核拠点性にあったものをこちらの運営面に置くべきではないかという御意見を受けて修正しているものでございます。
あと指標例のところについて、御覧の修正をかけているところでございます。
1枚めくっていただきまして、中核拠点性のところでございますが、「認められること」という文言を、言い切りの形での表現に変えているところでございます。また、最後のところについては、先ほど御覧いただきました運営面に移動したことによる修正でございます。
2つ目の丸のところは、「対象となる当該研究分野において先導的な学術研究の基盤として、国内外の研究者コミュニティに必要不可欠であり、学術コミュニティ全体への総合的な発展に寄与していること」と文言を直しているところでございます。
この中核拠点性の指標例のところでございますが、人文・社会科学分野の場合の考慮するべき点につきまして、ヒアリングで頂いた意見をもとに、最初の黒ポツのところで「日本語の文献による研究活動が国際的にも確立している場合は、日本語で書かれた単著・共編著書を含む等」としております。
また下から3つ目につきまして、「資料集・調査報告書や展示物等、その他研究に係る資料」を考慮するという点を加えたところでございます。
次の国際性について、4ページになりますけれども、国際性につきましては、女性研究者と若手研究者に関することを国際性のところに置くことについての御意見を多く頂きまして、ここは、外国人の共同研究者や割合ということによる修正をかけています。下から2つ目の丸については、英語だけではなくて、英語以外の外国語についても加えたところでございます。
5ページ目の指標例についてでありますが、頂いた御意見をもとに、「国際的な調査・研究活動の状況」と「調査」という言葉を加える等、括弧で開いている具体例に「国際共同展示、海外活動拠点の整備・維持・利用状況」を例示として追加しているところでございます。
上から4つ目の「人材の多様性・流動性の状況」については、「外国人研究者数」の次に「所属教員の当該機関における平均所属年数」を入れたところであります。
下から2つ目については、「クロスアポイントメントや年俸制の活用による外国人研究者の数・割合」を指標例として追加して、先ほどの「英語のみならず、英語以外の外国語」に関する修正をかけたところでございます。
続きまして研究資源でございますが、ここについては、「資料」と書かれているところは、「学術資料」という言葉にし、また「データベース等の研究資源」と、「研究資源」という言葉に変えたところでございます。
また2つ目の丸におきましては、同じく「学術資料」という言葉の修正と、「データベース等の研究資源を保有し、学術研究基盤としての外国人を含めた、共同利用・共同研究に活発に利用されていること」としております。
以下同様の点について、指標例についての修正を加えたところでございます。
新分野の創出についてでありますが、指標例について、具体の説明を括弧で開いたところについて、「共同研究の内容と実施件数、関連する学術分野間のネットワークの構築状況」といった言葉に修正したり、「共著論文の数・割合」と文言修正をしたりしております。なお、この新分野の創出に関しては、一番下に米印で補足説明を入れてございます。これは、多くの機関や有識者の方々から、学際的・融合的領域における成果は非常に時間が掛かり、またそれぞれの分野においてそれが見えてくる時間も各特性に応じてまちまちであることに留意すべきという御意見を踏まえまして、この米印を1つ追加しているところでございます。「学際的・融合的領域における成果というのは、当該領域が独立した領域として確立するまで長期的な取組が必要なので、論文数などの定量的な評価に反映されにくいことなどについて留意」すべきということを入れたところでございます。
次のページの人材育成について、こちらに、「女性研究者を含めた人材の多様性」と、「先端的・国際的な共同研究等への大学院生の参画を通じた人材育成に取り組んでいること」の修正を入れております。
また指標例のところについて、最初の1つ目の黒ポツと、2つ目の黒ポツを統合する形で、「総合研究大学院大学の基盤機関としての取組状況(学生数、学位授与数等)又は、連携大学院としての取組状況」と、ここを1つにつなげる修正をかけたところでございます。
最後の社会との関わりでございますけれども、発信だけではなくて、協働や共創ができるといった視点も入れるべきという御意見を踏まえまして、最初の丸から4つ目の丸についての修正を入れたところでございます。それに関係する指標例についても入れているところでございます。
そして最後に、この1から7までの主な観点の指標例の、最後に全体的に係るような形で記しているものでございますが、1つ米印を追加してございます。「各大学共同利用機関が実施する検証に当たっては、1から7における主な観点に基づく検証に加えて、今後の目指すべき方向性についても分析することとする」ことを主な観点と指標例に入れたところでございます。
以上、ヒアリングの主な御意見、またそれを踏まえました骨子案と観点・指標例の修正案の御説明でございます。よろしくお願いいたします。
【観山主査】 どうもありがとうございました。それではただいまの説明について御意見を伺っていきたいと思いますけれども、まずは資料2の「大学共同利用機関の検証ガイドライン」骨子案につきまして、御意見をお願いしたいと思います。どの部分からでも結構でございますが、いかがでしょうか。随分よくまとめていただいていると思うんですけれども、いかがでしょう。
【小林委員】 常に議論していることと思いますが、基本的なことを確認させていただきたいんですが。この検証を行う頻度、中期計画の期間中にどの頻度で行うことを念頭に置かれているのか。それからそのことと関連して、学位授与機構の現況評価とどういう関係性を持つのか。あるいは、これは多分頻度は違うのかもしれませんが、国立大学法人評価委員会の大学共同利用機関法人分科会の評価とどういう関係性を持つのか。この点を確認させていただければと思います。
【降籏学術研究調整官】 まず、この検証を行う頻度についてでございます。本日の修正案でもお示しをしておりますが、検証の周期につきましては、大学共同利用機関法人の中期目標期間に合わせた6年間ごとに実施をすることを考えてございます。検証の時期については、修正骨子案の5ポツの2つ目の丸でございますが、次の中期目標期間の開始に向けまして、現在、国立大学法人等の組織及び業務の全般にわたる検討や、中期目標の策定に向けた動きなどが同時に動いているところでございますが、今回策定するガイドラインにより各機関が自己点検をし、それが今後の中期目標に生かされるようにスケジュールを進めていくよう考えているところでございます。
このスケジュールについては、国立大学法人評価の動きとできるだけ重複をしないようにしたいと思っております。各大学共同利用機関法人は学位授与機構が実施する教育研究の4年目終了時評価をしていただきますが、その現況調査表等の提出が終わる頃辺りにかけてこの自己検証が行われていく。そしてその後に、この科学技術・学術審議会における外部検証の後、中期目標に向けて設定という流れで位置付けることをイメージしているところでございます。
【小林委員】 ありがとうございます。国立大学法人評価は毎年ですけれども、こちらは基本的な業務運営と財務ですので、研究教育については順調とかというものは付けてはいませんので、問題は学位授与機構の現況評価の後に行うということで、これは4機構の負担を考えて、できるだけそこと重複しないところで行って、現況評価も踏まえてこちらが総合的なものになるという位置付けで、かつこちらは研究教育が主になるという理解でよろしいですか。
【降籏学術研究調整官】 はい。基本的に御指摘のとおりと考えておりまして、資料2の2ページ目に、今回の直近の中期目標期間の場合のところということでイメージを置いてございますが、第3期中期目標期間の4年目の終了後となる2020年4月から8月頃にかけてこの自己検証を実施することを示しておりまして、その際には、教育研究面については今、小林委員の御指摘されました現況調査で得られたデータも活用していただきながら、この自己検証をしていただくことをイメージしておりまして、極力、各機関の御負担が軽減できるよう工夫していきたいと考えております。
【観山主査】 ほかにいかがでしょうか。
よくヒアリングの際にも聞かれましたけれども、1つは学位授与機構並びに法人評価委員会が行う評価との関係ですが、1つは単位が違いますよね。大学共同利用機関単位で行うということ。それから、趣旨のところにも書かれていますけれども、我が国の大学並びに研究所の学術の発展にいかに寄与してきているのか言う点が重要です。それから共同利用機関という特別な我が国の制度がいかに生かされているのかということを、各機関それぞれの特色があると思いますけれども、それに配慮しながら検証を行っていくということです。
それからもう一つ、特に前回、議論になったところでありますけれども、そういう過去の業績の検証を踏まえて、今後6年間、12年間という見通しで我々は考えておりますので、各機関がどういう方向性に向かっていくのかという部分も具体的なフォーマットが固まってくると思いますけれども、是非それは訴えていただきたいと思います。中期目標とか、中期計画というような形ではなくて、どういう方向に進んでいって我が国の学術を更に高めていくのかという、過去の実績を踏まえた将来性みたいなものについても各項目を用意できればと思っております。
いかがでしょう。森委員。
【森委員】 今のご発言に関係してですが、この2ページ目の、「今後の目指すべき方向についても分析する」というところで、今、観山主査がおっしゃったようなことを踏まえて説明しないと、質問の意図が伝わり辛いと思います。「各大学共同利用機関がこれまで、学術の発展のためにどのような役割を果たしてきて、それを踏まえて今後、どのように発展させるのか、目指すべき方向についても分析する」と詳しい説明をよろしくお願いします。
【観山主査】 ありがとうございます。藤井委員。
【藤井委員】 今の点に関係することですが、今回の評価は機関ごとの絶対評価ということなので、そうしますとどのように評価するのかと言ったときに、前回の会でベンチマークを用意するというご発言があったと思います。これは恐らく必須で、国際的に通用するベンチマークを設定することになりますが、現状からどのようによくなっていったのかという比較だと思います。ですから絶対評価といっても自己の期間ごとの相対評価と言いますか、時系列の評価というのは前回そういう話が出たと思います。そうしますとこの第1回目の位置付けがどうするかが問題となります。1回目がリファレンスになり2回目にそれがどう改善されたのか、どう努力したかということが分かるわけですが。いずれにせよ、そういう時系列で自分たちの中での相対評価をして、どのように努力して発展してきたかという形にしていただけると分かりやすい評価になるのではないかと思っています。
【観山主査】 まず2点言われたこと。1つ、ベンチマークは各機関が十分お考えになって、特に理系の場合には、世界的な拠点として成り立っていきたい、それから成り立っているんだという認識を随分ヒアリングの際も言われましたので、そうであるならば、各自の判断で、世界の割と近い研究所とのベンチマークみたいなものも自らの状況を示す上では適切な指標になるのかもしれないということでありますよね。ただ文系の場合はいろいろな特殊性がありますので、それは適切な形でしていただくということが有効かと思います。
それから、絶対評価というとなかなか難しいわけですが、1つの在り方としては、どれぐらい過去まで遡るかというのは、今度は受ける側に労力がかかる仕事になりますので、それはお任せしたいと思いますけれども、先ほどから何度も言っているように、この機関の存在が我が国の学術の進展にどう関わって、どういうふうに存在意義が認められているかというのは、年次的な変化を示すことが非常に重要だと思います。それはまたその先としてある種停滞している分野であれば、どう展開していくという未来の姿にもなります。それは余り詳しくフォーマットを決めると非常に労働がかかりますので、各自の機関の判断でお願いしたいです。それぞれ歴史があって、どういう、例えば共同利用の数だとか、論文の数だとかいろいろな指標があると思いますけれども、年次変化を提示されることは絶対評価の1つの大きな助けになると思いますね。
小林委員。
【小林委員】 先ほど、言わずもがなのことをお尋ねしたことも関係するんですが、国立大学法人評価は業務と財務ですから、クロスセクショナルな評価をするわけですね。要するに一般管理費率がどうだとか、外部資金獲得がどうだとかという、これはある種クロスセクショナルな比較になります。それと違うということを明確にしておきたいのは、こちらはそうではなくて、競争ではなくて自己達成。ですから自らベンチマークを立てていただく。だから開始は、当該中期計画の開始時点、つまり前期の中期計画の終了時点から、多分これが5年目ぐらいになるんでしょうか。その間にどう変わったのかというタイムシリーズで時系列な比較をしていただくのが1点あると思います。もう一つは、海外の目指すところ、ベル研になるかどこかそれは分野によって違うと思いますが、そこがそのベンチマークで見たときにどうであるのか。そこと自分のところの比較をしていただくと。これはある種、主観的な相対比較になりますけれども。そういうところが従来の法人評価とは全く異なる視点であるということです。学位授与機構は、若干近いところがあるかもしれません。でもあれはある種、横串で見ているところもありますが、これは全くそういうこととは違うという意味では、ある意味では、指定国立大学法人評価に近いのかという気がします。従来の国立大学評価と、指定国立大学の法人評価、大分観点が変わっていますのでそちらに近い見方ではないかという気はいたします。
【観山主査】 フクシマ委員。
【フクシマ委員】 今の一連の話ですが、伺っていて、このガイドラインの位置付けをどうするかという件について、質問があります。先ほど森委員がミッションに触れられましたが、普通、企業ですと、ビジョンがあってミッションがあり、それを達成するための戦略があって、その中に中期計画があるのが普通です。ですから長期計画を、ブレイクダウンをして、中期計画と作成し、3年後にはここまでやります、その後はここまでやりますという整理の仕方をします。先ほどのお話の中で、森委員がミッションとおっしゃったんですけれども、そのミッションをこのガイドラインの一番上位概念として置き、それを達成するためにこういう方向性でやっていますということを整理した中での中期という位置付けにすると、もう少し明確にその達成度の測り方があるのかと思います。その場合に、今おっしゃっていたようにどこまでどう達成したかという項目の数量的な基準と、質的な基準とあると思いますが、その両方で評価していくのが一番測りやすいやり方ではないかと思いました。
【観山主査】 ありがとうございます。法人評価の建て付けは、実にそういうふうになっておりまして、各法人がどういう長期ビジョンの中にあって、6年間をどう切り出すのかであります。各機関についても同じようなことです。それはもちろん大きく言えば設置目的が法律に書かれていますので、それが大前提でしょうけれども、その中で長期にどういうことを考えていて、それがこの6年間とか、12年間でどういうふうにするかというのが表現されるのではないかと思います。ありがとうございます。
次に実際の指標について聞いていきますが、後で述べますけれども、基本的にこれは、大学共同利用機関法人を通して各機関に1回やり取りすることをしますので、細かいことについてはそういうやり取りの中でできると思いますから、きょうはそのガイドラインとか指標例について大きく御意見を頂ければと思います。
【小森機構長】 今のガイドラインの3ページ、8ポツ、赤文字の次ですけれども、「具体的な移行については、本検証とは別に」で、その後に「審議のまとめに基づき」と書いてありますけれども、その後いろいろ書いてあって……。
【観山主査】 聞こえないのですけれども。
【小森機構長】 聞こえない? ガイドラインの3ページですね。8ポツのところです。赤文字の後ですけれども、赤文字のところに、「具体的な移行については、本検証とは別に」とあります。その後に、「審議のまとめに基づき」と書いてあります。これはどこに係るんでしょうかという質問です、最後の「その是非を検討する」と読んでよろしいんでしょうか。
【降籏学術研究調整官】 そのような御理解でよろしいかと考えておりますが。
【小森機構長】 というのは、「審議のまとめ」に書いてあることと「基づき」の後「その是非を」までに書いてあることに違いがありますので、どちらに基づくかをお聞きしたかったということです。
【降籏学術研究調整官】 小森先生が今、おっしゃられる審議のまとめに書いてあることと違うことが書いてあるというのは、どの部分が気になられているのでしょうか。
【小森機構長】 「審議のまとめ」には、機構法人の意向を聞くことが書いてありますが、ここには全く書いてありません。
【降籏学術研究調整官】 ありがとうございます。この部分は、基本的に審議のまとめに基づきながら検討すると考えておりまして、審議のまとめに書かれていることから変更を加えたとは考えていません。
【小森機構長】 分かりました。ありがとうございます。
【観山主査】 この部分は前期の研究環境部会でのまとめを引用している部分ですけれども、だんだんそのコミュニティの意向を踏まえつつとかって引用が原文に近くなっていますけれども、正確に同じになっていないので。そこのところは適切な形で対処したいと思います。別に何か意味が変わっているわけではありませんので。御注意ありがとうございました。
【小森機構長】 ただ、どちらをとるかによって結果が変わってしまいます。
【観山主査】 そうですね。
それでは時間もありますので、資料3について、主な観点・指標例。まずは1ページから5ページぐらいまで、随分いろいろ御意見いただいて修正されていると思いますが、5ページぐらいまででいかがでしょうか。
【フクシマ委員】 3点質問があります。これはどうして修正されたかですが、もしかすると私が欠席をしているときにされたのかもしれませんが、一応全部議事録は読んでいるんですが。一点目は、3ページ目の外部構成員の割合をマジョリティにしないという点です。何ページでしたか。
【観山主査】 1ページ目ですか。
【フクシマ委員】 1ページ目ですね。外部構成員の数・割合を5割以上にしないということは、どういう理由でしょうか。なぜかというと、ガバナンスを考えたときに、「利害関係がない人が5割以上」というのが通常ガバナンスでの透明性を確保するための構成の常識になっていますので、何か理由があってそれを5割にしないとされたのかというのが1つ質問です。
2点目は、これは5ページだったと思いますけれども、「女性」を入れずに、「外国人」だけを入れられたかと思いますが、優秀な人材を確保するために外国人研究者をと。実は私、「外国人」という言葉を使いません。これは個人的な好みですが、その理由は、性別とか国籍は1人の人の多様な個性の一部にしか過ぎませんので、「外国籍人財」を使っています。外国人と言った途端にそのカテゴリーで、全員纏めて考えることになるからです。ここでの、外国人はどう定義するのかが課題となります。国籍なのか。例えば日本でもう国籍は取得しているけれども、出身は海外の研究者の方とか、あるいは日本に長期滞在をして研究をされている方、どこでその「外国人」という定義をするかというのを伺わせていただきたいのが、2点目です。
なぜそのお話をするかというと、「多様な」と言ったときには、「多様性の定義」、例えば性別、国籍等々を入れて定義された方が、後で適応の自由度が出るのではないかと思います。そうすると、ジェンダーという点でも今は2つではありませんので。LGBTも入れば、性別というのも入るので。ここの研究者のところに、「多様な」の定義として、括弧書きにして、国籍、性別、云々というのを例として入れる方が、今後多様な人財に適応できるのではないかと思います。その点、なぜここで外国人だけを取り出してしまったのかという理由を教えていただければと、その3点お願いします。
【降籏学術研究調整官】 ありがとうございます。
運営面に関する修正でございますが、こちらはヒアリングの際に、幾つかの機関から、最初の丸に関する実態として、重要事項を扱う委員会について、その機関の内部職員と外部の組織による運営委員会の構成について、ほぼ半々であったり、数名内部の人間が多かったりしているとのことでした。多様な意見を頂くために外部の委員を多く入れているものの、現時点での案では実態にそぐわないため、この点について修正を頂きたいという御意見を複数から頂きました。それを受けて事務局において検討し、主な観点において2分の1以下と指標的にしていることは、やや細か過ぎではないかということで、この部分を指標例のところに示す修正をかけたのが1点目の修正の趣旨でございます。
2つ目の外国人に関するお尋ねですが、このところは、いろいろな科学技術分野の指標などを提出いただく中で、外国人研究者という言葉を使っている部分があるところを参考にして、外国人研究者という言葉を今回の指標例では使わせていただいているというのが検討の流れでございます。
【フクシマ委員】 その場合の「外国人の定義」は何でしょうか?例えば日本で長年研究をされていて国籍はまだ海外だとか。
【降籏学術研究調整官】 それは、主に国籍が外国籍の研究者が日本で研究をしている場合を主に念頭においております。
【観山主査】 2番目の点は、全くフクシマ委員のおっしゃるとおりでありまして、多様性という中に、性別とか国籍とかという観点で捉えるべきではないかと思います。別に事務局も外国人にこだわっているわけではないと思いますので、それは適切に修正したいと思います。
それから最初の点は、経緯を、私も機関の長をしておりましたので。これは今後よく考えなければいけないことですけれども、2分の1以下であるとか以上であるとかという部分ですが、それぞれの機関は歴史によりますが、いずれも大学共同利用機関ということで、その際は運営協議会、それから評議委員会という2つの会議体がありました。評議委員会は主に所長を決める会議、それから運営協議会はコミュニティが入って運営そのものを実際に決めるもので、運営協議会の人数は21名、内部委員が11名、外部委員が10名となっていたんですよ。それが法人化されて、運営協議員会は運営委員会になって、評議委員会は機構のそのものの教育研究評議会に変わったのです。その運営委員会は運営協議会の慣例をそのまま続けていたので、11名と10名、若干今は変わっているところもあるかもしれませんけれども、そういう構成になっているところが多いので、これは、大学に附置されている共・共拠点では、2分の1以上という形になっているのでその文言がそのままになっていたんですが、実際に今、事務局から言われたように実態11名、10名が多いので修正しました。今後確かに言われるとおり、ユーザーの方がたくさん参加して、最終的、微妙なときには外部の委員が通るような形にした方がいいと思いますが、当面すぐになかなかそれが変わらないという状況もあって、こういう文言の修正があったんですね。
【フクシマ委員】 分かりました。
【観山主査】 今後よく考えなければいけないことだとは思いますけれども。多分各機構で規定をしっかりと、どうなっているのかというのは後で教えていただければと思いますが。小林委員。
【小林委員】 まず今の点から言うと、なかなか国籍では考えにくいところがありまして、在日の方を含めて日本で生まれ育って日本で学位をとった方はここでいう外国人の定義にあてはまるかどうかということになってきます。JSPSの国際共著論文の定義がありまして、これは国籍ではなくて、国籍が海外の人と書いても国際共著にならなくて、その方の主たる所属研究機関が海外であるかないか。ですから、例えば私が日本に来ている中国の留学生と論文を書いても国際共著論文にはもちろんならなくて、海外で研究をしている人と書けば国際共著になると。ですからJSPSの定義とそこのところが、齟齬がない方がいいのではないかというのが1点です。
それから、それとは別に4ページ目の国際性のところですが、「国際共同研究を先導するなど」と、「など」で含まれるかもしれませんが、厳しい財政環境の中で日本が全て国際共同研究のホストになることだけでは多分済まないところも出てきます。海外がホストであるところに日本が参画することも出てきます。実際、HL-LHCなどを見ると、それでうまく行っているようなところもあると思うんですが、そうなったときに重要なのは、その国際研究プロジェクトにおいてどういう役割を果たしているかということですね。ですから、国際研究プロジェクトで非常にガバナンスが難しいところがありますので、そこで日本がホストになるか、あるいは主導的なのか、そうではなくても、何らかの共同研究の機関の中で一定の役割を果たしているかどうか、このところはきちんと見ていた方がいいのではないかという気がいたします。
もう1点最後、細かなところですが、3ページの指標例の真ん中ぐらいに、「研究成果がデータベース等の学術資源」となっておりますが、後の方の6ページの主な観点の1点目に「学術資料、データベース等の研究資源」という言葉が使われていますので、これは統一する意味で、3ページの方を「研究成果や学術資料、データベース等の研究資源」としたらどうでしょうか。同じことを学術資源と研究資源という違う用語を使うよりも、研究資源で統一しておいた方がいいような気がいたします。以上です。
【観山主査】 ありがとうございます。事務局の方で適切に対応させていただきたいと思います。
それでは、5ページ以後6ページ、9ページの間でどうでしょうか。
【平川機構長】 先ほどの運営面ですけれども、戻るようで申し訳ないですけれども、ここの「開かれた運営体制のもとに各研究分野における国内外の研究者コミュニティの意見を踏まえて運営されていること」という意味では、フクシマ委員も指摘されたように、これから特に研究者コミュニティ、国内外を意識するという意味から言えば、大学共同利用機関の場合はそのことを非常に重く受け止めなければいけないと。現行で我々の人文機構の各機関ともこれを踏まえてコミュニティ、外部がどんな形でも内部を上回るという基本で進めております。これは法人も同じことで、経営協議会の場合はそういう原則をきちっと踏まえてやっております。そのことが幅広い外からの意見をきちっと受けとめて、運営面について協議するのがこの運営委員会という位置付けですので、これはきちっと最初のところにむしろうたうべきだと私は考えています。
【観山主査】 その趣旨は私も賛成ですけれども、これは検証ですので、だからすぐ21名のうちの11名と10名を変えるのもありかとは思いますが、趣旨は非常に参考になりますので。これは各機関または各法人ごとに法人の規則を検討されて、各機関の運営委員会規則は多分あると思いますので、それは検討していただければと思います。その方向性みたいなものを見るとかいう形でよろしいかと思います。
6ページから9ページ、いかがでしょうか。
【平川機構長】 また今度3ページの方でよろしいでしょうか。
【観山主査】 3ページ、いいですよ。
【平川機構長】 意見が続いたものですから発言する機会がなかったので。
この中核拠点性については、私たちは法人になったときからそれぞれの分野で中核拠点を目指す。そこが一番重要な点でありましたから、特に日本研究の場合ですと、日本語、日本文学、日本の歴史文化等、これらは国内にもう既にたくさんのコミュニティと研究機関等があって、その中で中核拠点というのはまずは圧倒的な学術資源等を持つことも義務付けられたものです。したがってレベルの高い最先端研究を展開するという、まずは国内において中核拠点を目指すのが第一番です。その上で、例えば文学にしても、歴史にしても海外に優れた研究者がおられ、それから日本の歴史の場合においても国際交流ということが非常に重要な点でありますので、まず国内での拠点性を確立した上で、国際的な展開を問うことを段階的にやっていかないと達成できない。例えば人文系の国内の大学等で、日本文化研究というのが今、国際日本文化研究という形で、国公私立で次々に学部学科等が、あるいは専攻が設けられているんですけれども、必ずしもその教育プログラムがきちっと充実しているわけではないということになると、日文研はまさにそれの核になるべきだということで、「国際日本研究」コンソーシアム研究を立ち上げたのです。それで中核拠点の役割をきちっと果たす。その次に今、国際日本研究を主とする諸外国の大学等と今度は連携して、この国際コンソーシアムを更に広げていく。今回この評価においては、そういう意味で各機関も強調しましたように、まずは日本の日本語できちっと高いレベルの研究を確立し、その次にそれを積極的に国際発信なり、国際共同研究をやっていくという形で、世界での中核拠点を目指すという。この段階的なことを今回はこういった形で、指標例にも人文・社会について配慮していただいたんですけれども、その際も必ずしも国際的な共同研究とか、そういったものが最初に来るのではなくて段階的に。我々もそれを注意して記述しますし、評価もそのような観点できちっと評価していただければということで、今回ここの中では特にその点を是非配慮していただきたい。これは人文系のヒアリングの際の外部委員、阪大の栗本さん、法政大の山本さんからも、かなり厳しい、国際が余りにも人文系に出過ぎてそれに対応する視点をもっと明確に、現状をきちっと踏まえた形でしてほしいと。段階的なことを強調されましたね。それを合わせて発言させていただきました。
【観山主査】 どうもありがとうございました。その点については随分考慮していると思いますけれども。ですからその時にも私からも言ったと思いますが、段階的に日本という中での拠点を確立して、その先に国際的に展開すると言うことが期待されます。そのスケジュールはそれでもっともなことだと思います。ただ最初の段階としては、私が言ったのは、各研究機関が日本語でいろいろ記述されたものについての適切な評価の指標を是非作っていただきたい。いつまでもエグゼビアとか、ウエブ・オブ・サイエンスはだめだと言うだけでは話にならないので、どういうものが価値があるのか、どういうものが非常にすばらしい研究なのかということを是非、それはその学術の分野によっては随分変わると思いますが、それはつくって頂きたいと思います。その上でこういう価値の判断から各機関は成長していっているんだということを示していただかないと、単にすごい研究成果だと言われても分からないことがあります。
それからもう一つは、世界の中で日本の研究者は限られていますので、たくさんの方に参加していただいて、日本研究をもっともっと活発にしていくことは非常に重要なので、その方向性については、是非将来的にどのような、ステージ1がどのような年限が経って、ステージ2にはどれぐらいの年限とか、何が確立されたら次の段階に行くかというのは是非表現していただければと思います。
以前小林委員が、別の会議だったと思いますけれども、今中国がすごく自分たちの資産を英語化したりして世界的に展開して、たくさんの外の研究者が参加してきている状況を生み出しているそうです。東洋の中で、日本研究、中国研究とはどのような形かは私は知りませんけれども、是非そういう外に向けた部分、それから非常に多数の研究者に参加してもらうという活動は、機関として中心となって働いていかないと、なかなか世界の中で埋没してしまうかもしれませんので、是非頑張っていただければと思います。
【平川機構長】 前回も観山主査からもそのことを強調されたので、十分我々共有している。先々週ベトナムの国家大学のハノイ校との包括協定の際も、5機関が参加して研究を共に発表し討論しました。こういった形で中核拠点を目指して国内で日本研究をレベルアップし、優れた日本研究が今、世界各地で行われていますので、今度はそういった方々と共同研究をするのが我々の大きな方針になっております。是非ご指摘のような期待に応えていきたいと思います。ありがとうございます。
【観山主査】 小林委員。
【小林委員】 6ページに進めさせていただきたいと思いますが、6ページを拝見すると、今、既にある研究資源がどう生かされているのかという観点になると思います。
これだけですと、どうしても守りに入ってしまう。むしろその次に向けて、将来に向けて、どういうふうに今、研究資源を整えているのかというのも是非観点に加えていただきたいと思います。それを評価しないと今あるものだけで、将来の整備のことを考えなくなってしまうと思います。それはもちろん理系でもたくさん将来に向けたいろいろなものを今、整備していて、またそれが建設中であるとかというものも重要な評価にしていただかないと、将来先細りになってしまうと。これは人間文化でも同じで、例えば日本語典籍で一生懸命データベースを作っていても、それはまだ利用されるのはこの先の話ですけれども、その部分は評価されないということでは多分人間文化としてもそれでは御不満が出ると思いますから、将来の整備状況も踏まえてお願いができればと思います。
【観山主査】 ありがとうございます。森委員。
【森委員】 今の内容に関係してですが、最後の9の米印のところに1から7以外に関して「今後の目指すべき方向性についても分析することとする」というのがとても書きにくいと感じました。目指すべき方向性とは、各大学共同利用機関が日本の学術の発展のためにこれまでこういう貢献をし、それを踏まえて今後の方向性というのをそれぞれ書くということなのか、それとも他に視点があったら書きなさいということなのかが分かりにくいような表現になっていると感じます。ですので、方向性というのはコンセプトとして一番先に書き、それぞれに関して、検証、さらに目指すべき具体的な取組を書くというのでしたら、非常に書きやすいと感じました。以上です。
【降籏学術研究調整官】 事務局から失礼します。今、森委員から御指摘いただいた9ページ目のポツについては、当初この1から7までの主な観点に全部これを入れるかどうかも事務局で検討したところですが、かなり細かな形になることが想定され、これまでのヒアリングの御意見や頂いた今後の目指すべき方向としては、恐らく1から7までを組み合わせたりするところもあるかと思いまして、そこについては各機関が自己検証する際に検証作業がしやすいようにするにはどうしたらいいかという観点から、案として全体に係る形で、今後の目指すべき方向のところで補足すべきところがあれば追加するとしてはどうかということで表現したところでございます。分かりづらい表現になっているかもしれませんが、ここの記載の趣旨は、今申し上げたようなことで置いているというのが今の案の状況でございます。
【森委員】 御説明どうもありがとうございます。一番分かりやすいのは、まずビジョンの記述があり、それに対する検証があり、それを踏まえて目指すべき方向性が書かれてされていれば、分かりやすいと思います。
【西井学術機関課長】 今のお話を伺っておりますと、例えば、この書き方が、検証というのがこの委員会のプロセスの中で、もともとは検証というと、過去において行われた事柄の確認みたいですけれども、この委員会の中で今後の具体的な取組戦略みたいなことを基本的に打ち出していく必要があるのではないかというご意見をいただいたので、過去の事後的な検証に加えて、今後の共同利用機関が、過去の検証結果を踏まえてどのような方向に進んでいくのかということであろうと思います。そういう意味では、この「検証にあたっては」というところは、事後検証、更に将来の検証、両方を含む概念ですけれども、更にこの1から7における検証というところは、「観点に基づく検証に加えて」というのは過去の検証に加えてそれを踏まえて、森委員がおっしゃられたように、今後それぞれの過去の検証結果に基づいてどのような方向、あるいは取組を進めていくのか、あるいは戦略を持っていくのか、そういうこともそれぞれの項目の中で明らかにするということにしてはいかがかと思います。そういう形で記述内容を修正させていただくことでよろしゅうございますか。
【観山主査】 森委員の質問はもっともなところで、何をどういうふうに書くのかということになると、書かされる方としては大変だとは思うんですが。今、課長が言われたとおり、点検というか検証すると各機関でのいろいろな課題とかが出てきますよね。非常によくやっているということもあるけれども、それはそれで終わるわけではなくて、それを更に世界的に展開していきたいとか、いろいろな目標なり課題が出てきますので、その課題をどのように今後克服していくというか、取組を挙げてもらう。それは取組についてはいろいろな形があって、余り細かくこちらがまた言うと大変になりますので。そういう課題を摘出していただいて、強み弱みを摘出していただいて、その弱みに対してどういうふうに克服する取組を今後展開しようとしているかという方向性として、もう少し割と具体的に差し上げた方が書きやすいかと思っております。どうも御指摘ありがとうございました。
藤井委員。
【藤井委員】 7ページの新分野の創出ですが、これは基盤部会で機構法人等の議論の中で中心的な課題であったと思うのですが、ここで新たな分野の創出と展開に戦略的に取り組むということですが、ある程度できたものに関する展開に関してはここの観点でいいと思うのですが、創出に関するところは、最後の米印にあるように時間が掛かることとともに歩留りが悪いことに留意する必要があります。全部がうまく行くわけではなくて一部がうまくいくということは、草野委員から御指摘があったと思います。この観点での創出に関する評価・検証についての項目が必ずしも入っていないように思われます。これはそういう意欲があるプログラムが出てきた時に、それを支援できる枠組み、プラットフォームやプログラムの支援があることが重要かと思うので、何かそれらをエンカレッジするようなシステムを持っていることの評価もどこかに入れていただけると良いと思います。以上です。
【観山主査】 もちろんだと思います。ですから、学際的な領域の創出と書いたって、検証のとき、こんなものが出てきましたというのは、もちろん書ける部分もあるかもしれませんが、機構や各機関はどういう仕組みを持っているんだということを是非提出していただければと思いますけれどもね。
時間のこともありますので、それでは、ガイドラインに関する本日の審議はこの辺りにしたいと思います。
今後、先ほども申しましたけれども、「大学共同利用機関の検証ガイドライン」骨子案、及び「大学共同利用機関の検証」における主な観点・指標例につきましては、本日様々に貴重な意見を頂きましたので、それを踏まえて、事務局と主査である私の方で必要な修正を行いまして、一度、大学共同利用機関法人を通じまして、各機関に確認いただくようにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
その確認を行いながら、この骨子と主な観点・指標例をもとにして、次回作業部会におきまして、具体的なガイドラインの案を事務局から提示することにしてはどうかと思っております。委員の皆様、それから骨子案と主な観点・指標例の案の今後の作業につきましては、基本的には御意見を頂けると思いますけれども、さっき言いましたフィードバックをかけること、一応、主査である私に御一任いただいて、次回の案を提示させていただくということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
それでは一連の作業につきましてそのように進めさせていただきますので、事務局においては作業を進めていただきますようにお願いいたします。
それでは、きょうの議題、2番目として「連合体の検討状況」について諮りたいと思います。連合体につきましては、9月の第3回の作業部会におきまして高エネルギー加速器研究機構の山内委員から状況について説明いただきまして、いろいろな意見が出たところでありますが、本日は、その検討状況について更に進めたところについてお聞きしたいと思いますけれども、きょうは山内委員が欠席でありますので、代わりに藤井委員から10分程度で説明いただき、その後、意見交換させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
【藤井委員】 どうもありがとうございます。
それでは資料4-1を御覧ください。この資料につきましては、今、委員長がおっしゃいましたように、前々回、前の委員会でこの委員会でもお示ししたところでございます。その後に作業部会でも御意見を頂きましたし、作業部会以後にも御意見を頂きまして、それについて、4機構と総研大の検討のグループで検討させていただきました。実際に反映させていただいて作ったものをきょう御提示させていただいております。ただ、内容的には同じでございますし、時間も限られておりますので、きょうはこの部分についての御説明は省略させていただきたいと思いますが、例えば「検討に当たっての考え方」のところで、「連合体においては、総研大が主導して」というこの部分は永田委員から総研大の意志の決定とこの連合体に関する御質問があったわけですけれども、あくまで総研大が主導してという形で、そのヒエラルキーと言いますか、決定の仕組みをはっきりさせるようなこともしております。それから、現在ここで考えられている各機関、それから法人、連合体の役割に関しまして、特に連合体の検討の中で、予算や人事等、それから組織制度の設計を詳細に検討しておりますが、それについては今後、またお示しして御議論いただきたいと思っております。
連合体に関する役割、内容につきましては、基本的に前回と同じでございますので、ここでは省略させていただきまして、本日は、資料4-2を御覧いただきたいと思いますが、実際の連合体の検討の中で、例をお示ししながらどのようなことを行っているのかをお示ししたいと思っております。
私たちは4つのワーキンググループを持っておりまして、きょうはワーキンググループの主査にも来ていただいております。この連合体の大きな役割として、研究の促進、特に異分野融合、新領域の創設でございますが、それと総研大と機構との連携による総研大の教育の促進と、それを支えるための事務の運営の効率化という3つがあるわけですが、それに加えまして、組織がどういう形であるべきかという組織のワーキンググループ、この4つで成り立っております。
最初はこの組織に関するモデルをここで示させていただいております。名称としましては、これは長すぎるのですが、大学共同利用機関・SOKENDAI連携推進協会という仮称を一応つけております。今後は皆様の御意見を聞きながら、これを改定する必要があるかもしれません。これは組織の例でございますが、今考えているのはこういうものでございます。
現在、構成員としましては、4機関法人と総合研究大学院大学がございますが、この5社で、一般社団法人を組むということでございます。組織の形態としましては、社員総会が一番上位の決定機関でございますが、これはエポックごとに開催して重要事項の審議決定を行いそれから経営、業務、評価に関わることを行います。実際にはエポックごとに決めてまいりますので、実際の運営に常置して当たるものに関しましては、その下に理事会を置くことを考えております。社員総会に関しまして、社員はこの5つの組織から、社員になるということでございます。それから理事会の中では5法人の長が基本的に兼務をすることと、常勤理事を置くことを現在考えております。その下に事務局、それからこれからお示しします幾つかの試み、事業があるわけですが、それを実施する企画会議をここに置くことにしたいと思っております。それは、異分野融合・新分野創成等々でございます。それから外部からの御意見は非常に重要でございますので、この右側に書いてございます。仮称ですが、連携推進評議会とし、外部有識者等で構成させていただきたいと思っております。国大協、私大協に加えまして、産業界等々から入っていただくことを考えております。
予算の仕組みでございますが、基本的な運営費は会費で補うことになります。会費はこの社員の構成しているところの組織からの支出でございます。ただし、事業の経費は各法人が分担して要求する仕組みを想定しておりますが、真に必要な経費、例えば常勤の理事等を新たに入れる可能性もございますので、そういうものに関しては国に、文科省に概算要求をさせていただきたいと、そういう仕組みを是非作らせていただきたいと思っております。
次のページを御覧ください。次のページは業務運営に関するワーキンググループで検討を進めている業務運営の効率化に資する取組でございます。事業内容の例としてここでお示ししましたのは、共通する研修の一部を統合し連合体で企画・実施することでございます。検討状況の全体のところをご覧ください。この点線で囲っておりますが、すぐに共通化できるもの、課題を解決すれば可能なもの、かなりハードルが高いものと分けて、かなりたくさんの課題について精査してきております。
例えば、これはすぐに実行可能な第1グループでございますが、事業共通化検討対象リストの例をここで示しております。例えば研修は一番下のラインにございますように、様々な研修、個人情報保護や、セキュリティー、安全保障等々や、男女共同参画等、そういうものを連合体で行っていくということです。これは現在、各法人で行われておりますが、このようなものを順次、連合体に移管していき、この矢印に書いてありますように、試行しながら、一部試行して実際に全体をマージしていくという形を考えております。具体的には2020年度、21年度に業務試行を拡大して、少なくとも2022年の第4期にはスタートできるような形にしたいと思っております。
次のページを御覧ください。研究力強化でございますが、研究力強化の部分は、本来の研究は機関で行っておりますので、ここで特に取り扱うのは、新分野創成と融合分野の創出でございます。事業内容としましては、ここに書きましたように異分野融合の交流の場の構築もございますし、実際に異分野融合の支援を行っていくこともあります。それから新分野創成や異分野融合の提案、公募を行うこともございます。そして良い案が出てきたときにはオープンラボを設置し、これは研究所、機関に設置いたしますが、バーチャルではなくて物理的な場所を提供してその融合ができるような形にするということでございます。その相手方としましては機関同士もございますし、大学も入ってくることが可能という形で範囲を広げていきたいと思っております。
検討状況としましては、既に現在、異分野融合・新分野創成委員会が設置されておりまして、財源を持ち寄り、融合研究、新分野の創成に努めてきております。実際には、例えば縄文人の研究のように幾つかの法人や機関が連携して実施し、新学術領域に発展したという成功例もございますので、そういうものを拡大していきたいと考えております。現在は、このような形で行っておりますが、毎年1,000万円程度の複数年支援を行い、スタートアップも支援することを考えております。これは今後拡大して、更に促進していき、有望な課題については先ほど申し上げましたが、オープンラボ等を設置して支援していくということを、機関、法人をもとに連合体が主体となってコーディネートしていきたいと考えております。
次のページを御覧ください。次のページは「大学法人との幅広い連携構築とIRによる研究機能の強化」でございます。これは、共同利用・共同研究の推進と関連する課題解決を図るために、大学執行部の意向を反映させる全国的な大学連携プラットフォームを立ち上げて運営することと、それから大学執行部との組織的な対話を行い、大学共同利用機関の更なる活用を促進させることでございます。
検討状況としましては、4機構、例えば現在も自然科学研究機構のNICAのように、13大学を連携させているようなものがあるわけですが、今後はこのような事業を見直して、連合体スタートと同時にその機能を強化して実施することを考えております。これらにつきましては現在、概算要求対象の予算枠でまかなっていますが、第4期においては新たに項目立てが必要であると考えております。
それから、研究力強化の3番目としまして、「分野を横断する共通知であるデータサイエンスの推進」でございます。これは、現在、情報・システム研究機構にデータサイエンス共同利用基盤施設がございますが、それをコアとして、各機構法人、それから研究機関で大量に出てくるデータの共有と解析を推進するデータセンターを組織整備して、分野横断的な共通知としてデータサイエンスを推進するということでございます。具体的には各機関でデータ集約センターのような組織を作り、ROISのDS組織と連携をさせることが1点。それから、全ての研究の基礎が、現在データサイエンスが重要になってきておりますので、総研大の共通科目として、情報に明るい研究者の育成を図ることも項目として挙げております。
検討状況におきましては、上に書いたことをワーキンググループで検討してきておりまして、現在は、人間文化研究機構と情報・システム研究機構が共同で文理融合に取り組んでおります。更に本年度からROISと自然科学研究機構の天文台とも連携しておりますので、そういうものを拡大していくことを計画しています。21年度に見直した上で、連合体スタートと同時にその機能に関して実施していく予定でございます。なお、DS組織の予算ですが、これはあくまでも情報・システム研究機構で予算要求をさせていただき、支援をしていきたいと思っております。
それから、長くなって恐縮ですが、大学院教育、総合研究大学院大学でございます。これについても学位授与に関する様々な新たな試み等を考えておられますけれども、ここでは特別研究員の制度についてお示ししたいと思います。
これは5年一貫制博士課程の後期3年間と学位取得後の2年間を合わせて5年間、大学院生をサポートするシステムを新設したいということでございます。採用された方は社会人学生として総研大に在籍していくということでございます。実際に学位取得後も共同利用機関研究員として残りの任期を務めて、その後の安定的な職をとるための努力ができるという制度の導入でございます。
これにつきましては、学術振興会の特別研究員、PDと似ておりますが、実際には、このシステムでは両者を併用することはできず、PDを取った方は応募できません。実際の採択社数の規模感ですが、毎年20名程度採用しようとしておりますので、大体3分の1から4分の1の学生がこの制度を受けることになります。一方でPDの採択率は非常に低いので、この両者を併せて運用することができますと、総研大の学生はより多く安定した環境で教育研究を受けることができることになると思います。これに関しましては、毎年1億円程度の予算が必要で、学年進行いたしますので、5年目には約5億円になるということで、この予算的な裏付けをどう作っていくかということが今後の課題だと思っております。
以上、簡単でございますが、例示としてこのようなものをお示しさせていただきました。
【観山主査】 どうもありがとうございました。随分、検討は進んでいるのではないかと思いましたけれども。
主査から感じた点を述べさせていただくと、1つは、私ども連合体は、前期の研究環境部会で「もう一緒になるのがいいのではないか」とかいろんな議論があった末にこういう方向性を考えたわけです。それで、いつの頃から一般社団法人という形になっていますが、ただ、我々は認識がある程度あるかと思いますが、社会的には、何で一般社団法人かということは基本的疑問として出てくると思うんですよね。法人の在り方としてはいろいろな形態があろうかと思いますので、今の状況、それから前期のまとめの方向性として、適切な形は、いろいろな種類がありますので、法人間の比較検討はしていただいた結果、こういうことが一番適切だとまず述べないと、何か一般社団法人とそんな流れになっていますけれども、それは是非よく検討していただくところではないかと思います。
それからもう一つは、先ほどもリーダー的に総研大がとおっしゃったんですかね。こういうことはなかなか誰がしっかりとリーダーをとってやっていくのかとか、それからスケジュール感に関しても一応持っておいていただかないと。前の期にいろいろ議論があったけれども、連合体で一応収まったんだという形で、喉元過ぎて安心してもらっても困るのではないかと思います。どの時期にどういうふうにまとめていくかということを、もちろん考えておられるんだと思いますし、機構長会議で議論されているんだと思いますけれどもよろしくお願いします。また、以前の例ですと機構長会議で決まったのは何が決まったのかよく分からないという事がありましたか、議事録が残っているのかどうか知りませんけれども、各分担の委員会にそれがどういうふうに機構長会議の結論が落ちていっているのかというのはなかなか見えないところもあります。機構長会議でよく議論されることは非常に重要でありますけれども、そのメモなり、議事をしっかりと。決まっている方針をとか、スケジュール感ということを下の委員会とか、具体的に検討する委員会に下ろさないといつまでたってもなかなか誰がリーダーシップとってやっているのかということは分かりません。是非そこら辺のシステムを明確にしていただいて、こういうのが、今後どう進めるのかということが非常に重要じゃないかと思いますのでよろしくお願いします。
【藤井委員】 どうもありがとうございます。今おっしゃったとおりかと思います。実際には機構長のミーティングがございますが、それとこの連合体設立準備委員会がございまして、それには機構長、総研大学長、それから事務の方も入っております。そして先ほど申し上げましたがワーキンググループは、4つございまして、具体に関して精力的に進めてくださっており、現在、予算やスケール感も含めて検討しているところです。
それで、今おっしゃったように、ワーキンググループと機構長ミーティングと連合体設立準備委員会の関係ですが、現在のところほとんど同時に一緒に入り、毎回ワーキンググループの御報告も聞きながら設立準備委員会および機構長ミーティングで大きな決断をして進めているという段階です。今回、予算等はディテールがまだ決まっていない部分もあります。先ほど事務の方がおっしゃいましたが、2020年、又は前倒しでできるものはやっていくということで進めているというのが、後半の方の御質問に対するお答えです。ですから体制的にはかなりしっかりと進められているというのが実感です。
それから一般社団法人にするかどうかというのは、ある時期から、例えば一般社団法人というような形で例示が出たということもございますが、1つは国大協の体制が一般社団法人であり、法人間を結び付ける中で連携をするのでも比較的進めやすいということがございました。その他のいろいろな方式に関しても、ワーキンググループで議論しておりまして、必ずしもこれだけで決め打ちしているわけではなく、例えばどういう形がいいのかということを検討しております。坂口さんがそれを担当されていますのでご説明をお願いいたします。
【坂口理事・事務局長】 組織ワーキングの座長をやっております坂口といいます。よろしくお願いします。
組織ワーキングの中では、先ほど一般社団法人というのを決めておりますけれども、それ以外に任意団体とか、特定非営利活動法人、NPO法人とか、そのほかの形態も比較させていただいていまして、それぞれにメリット・デメリットを検討した上で、こちらの方がより我々の今考えているものに近いのではないかということで整理させていただいているところでございますので、今後またこれが本当にいいのかどうかも含めて、引き続き検討していきたいとは考えているところでございます。以上でございます。
【藤井委員】 今、先生がおっしゃったみたいにメリットとデメリットみたいなものをどこかで根拠として出すことはさせていただきたいと思っております。
【観山主査】 委員からいかがでしょうか。
この最初にある組織立てが、いろいろな意見があって、大学共同利用機関法人ですので、大学の意見も取り入れてということで、国大協とか私大協とか考えられて。産業界との、基礎学術分野ですので、なかなか目に見えた方向は難しいことは分かりますが、今ステークホルダーという形で言うと、様々なステークホルダーがあって、その中には産業界も非常に重要な視点ですので、それは考えられているということは適切な方向性ではないかと思います。いい連合体というか、共同でやるということはありましたら、かつ検討が随分早めに進んでいるのでしたら、藤井先生がおっしゃるとおり、先取りしてそれをある種テストするというか、具体的に動かすことが非常に重要なことだと思いますので、何も2022年までずっと待っておく必要もないですので、できることは早めに進めていただければと思いますし、そういうことが新たな組織に対するいろいろな外部からの理解にも続くと思いますし。
それからオープンラボと言われまして、これはどこでも言われていますので、最近よく言われているのは「アンダーワンルーフ」というか、単純に会議体を作るのではなくて、別に建物立てろというわけではないけれども、実際にどこかあけて場を作って連携を図っていくことをしないと、実際にはなかなか動かないよということもありますので、細かい話を今してしまいましたけれども、そういう方向性もあるのではないかと思います。よろしいですかね。
それから、私ばかりあれですけれども、今回連合体になるところで、総研大が関わることが非常に重要なファクターで、今いろいろなことを言われましたけれども、学生に対するサポートですけれどもね。総研大、こういう連合体の中にあって大学共同利用機関法人と一緒にいろいろ汗をかいていくところで言うと、総研大としての特色はもうちょっと出るような仕組みだと分かりやすいかという気がします。なかなか難しい、予算的な問題もあるかとは思いますが、そんなに学生数が多いわけではないので、できることは限られていると思いますけれども。この連合体の中にある、大学法人と一緒にある総研大の特色をもっと出していただければ、みんなの理解は進むのではないかと思います。藤井先生。
【藤井委員】 ありがとうございます。きょうは例ということで、特別研究員だけを出しましたが、総研大のガバナンスをどのように通していくのかとか等、組織とも非常に強く関係しておりますので、もし長谷川先生から何かございましたら是非お願いしたいと思います。
【観山主査】 どうぞ、長谷川先生。
【長谷川学長】 総研大は本当に非常に特殊な組織なので、特殊である状況をいかにうまく利用して、学生にいい研究環境と生活のためのいろいろな条件を与えられるかということを考えました。その結果として、総研大は学生で学籍を持ち、博士号をとるんだけれども、同時に彼らは専攻があるので各研究所にいるわけですので、そこで、研究所としては特別研究員という身分を持ち、でもそれが社会人学生として、うちの学生として、博士号の研究もできるということを後期、3年の後ろから持って、そこにある程度のまとまった生活を支える奨学金を投入し、そして普通今のところ、学位をとってすぐに就職するのは非常に難しいですけれども、学位をとって一、二年以内には、大抵優秀な子はどこかアカデミックポジションに就くわけですね。ですので、その間をある程度保証できるようなそういう博士後期3年プラス2年という特別研究員を作れば、かなり総研大でしかできない、二重身分を持った上での、ある程度の給与保障もあるみたいなことができるのではないかと考えました。
総研大の学生はほかの大学を卒業して、自分の大学ではないところに来るので、DC1、DC2をとるのが物すごく不利ですね。それを含めて、今までのところで非常に博士取得後のキャリアパスがよく見えないとか、そういういろいろな不安定な理由で、どんどん日本の博士課程進学者が減っている状況を何とか改善したいと。そのためにもちろん研究者がどのくらい魅力的な仕事であるかということは、研究者の皆さんが自分の態度を持って示していただけるでしょうけれども、具体に学生が本当に今、不安を感じずに、のびのび研究をできることをどうやって今の大学院制度の中で出していけるかと。それは総研大の研究所と、総研大という専攻を持っている大学院との関係をうまく使うと、こういうような、今、藤井先生が今お話ししてくださったような制度ができるのではないかと思いました。それをいろいろ教育研究評議会などで説明したら、もっとそれを拡大して、ほかの大学に行ってもいいとか、いろいろなもっと大きな意味でのサポート体制にならないかという御意見も頂いて、本当に共同利用機関の中に閉じずに何かできないかみたいな御意見があるので、この発想をもとにもう少し大きな枠組みが作れるのか作れないのか、それと予算のサポートですけれども、それをどのように工面したらいいかということ、もう少し、あと一、二年のうちにはちゃんと決めたいと思っています。これは1つの試みです。
【観山主査】 是非頑張っていただければと思います。小林委員。
【小林委員】 この連合体が、常勤理事の経費を除いては、各法人から経費を払うと。それから各法人から社員を出して一般社団にすると。各利用機関、総研大から連合体に対する方向性は分かるんですが、この連合体は、各共同利用機関法人並びに総研大に対して、そういう権限を持つんでしょうか。
【藤井委員】 私からまず。ここの4-1で、様々な役割分担を書かせていただきました。ということで、機構法人で行った方がいいこと、それから最も基本の研究は機関で行っているので、そこの役割と、それをまとめることによってメリットがあるものを連合体に持たせているということです。これに関しては連合体が力を持ち、コントロールすることになります。実際には業務でもそうですが、法人の資源を使いますので、そこでの命令系統等を連合体が持つ形で実際の業務を行ってまいります。それから融合的な研究等におきましても、実際に働く人たちは多様な機関の方々が集まり連携して進めるわけですが、それに対し我々が場を提供して、良い提案が出てきた時に進められるようにするわけです。その進め方に関しては連合体がイニシアチブを、リーダーシップを取る形になります。そのためにはお金が必要ですので、そのお金も連合体に持たせることになるということでございます。
【小林委員】 そのイニシアチブを発揮できる手段はあるんでしょうか。
【藤井委員】 手段と言いますか、例えば企画会議というのを今、作ろうとしているわけですけれども、企画会議の中には、法人及び機関の方々が入って、実際に連合体のミッションをやることになりますので、そういう意味からすると、理事になる人たちが機構法人の長及び総研大の学長という権限を持っておりますので、そこで決めたことは必ず従ってやってもらうことになるので、そういう形ではちゃんと動くのではないかと考えています。
【小林委員】 逆の言い方をすると、各共同利用機関法人並びに総研大が合意できないことはここでは決まらないことになるわけですか。
【藤井委員】 恐らく合意は必要だと考えておりますが、理事の構成をどうするかにもよりますが、各々理事は所掌を持つことになるのではないかと思っております。ですから例えば総研大に関しては、最初に記したように、連合体でもちろん扱っていくわけですが、そこの長となる方たち、例えば総研大学長が総研大に関してはコントロールを持つ形になりますので、各々が了承することは必要ですが、専門的な財務や研究などで、そのような責任を持ち全体で少々する形になると私は考えております。
【観山主査】 今のやり取りは非常に重要な点で、つまり前期の研究環境基盤部会でいろいろな議論があって、時期としては一挙に一機関になるのではなくて、連合体になることを一応了承して、今、検討を進められているわけなので。ただ、その際のいろいろな期待だとかもあって、だからどの部分はこの連合体を作ったことによって各法人はその意向によって進むのか。それとも各法人は各法人として存在するので、各法人の存在の意義みたいなものがこの中でどう確保されるのかということをしっかりとまとめておかないと、こういう形では前期の議論の方向性に合う合わないということが出てくると思うんですよね。ただ、いろいろな前期のまとめをよくもう1回検討していただいて、今回は連合体という形で、法人を残す形で、なおかつしかし一応1つの大きな括りの法人ですので、それには定款も作り、規則も作り、なおかつ今提案されたように外部の意見も聞くということなので、5法人の意見がまとまらなければ全然何も進めませんというシステムだったら、何も変わらない状況になろうかと思いますので、そこらへんはうまく作っていただかないと、今までの議論をとった形での連合体とは言えないという意見も出ようかと思います。
【藤井委員】 おっしゃるとおりで、例えば研究の促進といった場合、それでは連合体は全てを行うのかというとそうではなくて、私たちが4機構法人と総研大が集まることによって最も効率的に、かつ非常に進むもの、具体的には新分野創成と異分野融合に力を入れるということです。その辺り実際どこまでを扱うかというディフィニションをはっきりさせていきたいと思っております。その中ではみんな共通して了解し合って進めますけれど、それは研究全部をラッピングするものではないということははっきりさせたいと思います。
【観山主査】 時間も来てしまいましたので、きょうはここまでにしたいと思います。
本日のやり取りを踏まえまして、各大学共同利用機関法人においては、引き続きどうぞ検討を進めていただければと思いますし、今後も本作業部会において適宜ヒアリングを行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題は以上となりますが、最後に事務局から何かありますでしょうか。
【降籏学術研究調整官】 本日もありがとうございました。次回の本作業部会のスケジュールの日時、場所などにつきましては、また別途御連絡させていただきたいと思います。
本日の配布資料につきましては、机上にそのまま残していただければ事務局より後日郵送させていただきます。
机上資料につきましては、そのままお残しくださいますようお願いします。以上でございます。
【観山主査】 では本日の会議はこれで終了といたします。委員の皆様、どうも御協力ありがとうございました。

―― 了 ――
 

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