研究環境基盤部会 共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点に関する作業部会(第10期)(第4回) 議事録

1.日時

令和2年2月12日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省15F1会議室(東館15階)

3.議題

  1. 第四期中期目標期間開始に向けた国立大学の共同利用・共同研究拠点制度の充実に向けて
  2. その他

4.出席者

委員

八田主査、安達委員、井上委員、加藤委員、小長谷委員、小林委員、田島委員、松沢委員、観山委員、村上委員、龍委員

文部科学省

西井学術機関課長、降旗学術研究調整官、小林学術機関課課長補佐、二瓶学術機関課連携推進専門官、吉居学術機関課課長補佐 他関係者

5.議事録

【八田主査】 おはようございます。ただいまより科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会の共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点に関する作業部会を開催させていただきます。

 まずは事務局から、配付資料の確認と委員の出欠の御報告をお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 配付資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第に記載のとおり、資料1、2、3、 4、それから、参考資料1、2となってございます。不足がございましたら事務局までお申し付けください。

 委員の出欠でございますが、本日は竹山委員、鍋倉委員、竹田委員が御欠席でございます。

 以上です。

【八田主査】 ありがとうございました。配付資料は大丈夫でしょうか。

 それでは、議事に入ります。

 議題の1番目、第四期中期目標期間開始に向けた国立大学の共同利用・共同研究拠点制度の充実に向けて、でございます。本日は、今後の本作業部会における期末評価や新規認定に向けた議論の参考とするために、共同利用・共同研究に係る評価指標等に関して、有識者の先生から話題提供を頂き、意見交換をまずはしたいと思います。

 事務局から、出席者の御紹介をお願いいたします。

【吉居学術機関課課長補佐】 御紹介させていただきます。文部科学省では、エビデンスに基づく科学技術イノベーション政策の推進を目的としまして、政策形成に寄与する研究プロジェクトを支援する事業を実施しております。本日は、その研究プロジェクトの一つで、研究力向上に向けた新たな測定指標の開発や共同利用・共同研究拠点といった研究組織の研究者コミュニティへの寄与などを研究しておられます政策研究大学院大学教授、林隆之先生に御発表いただきまして、今後の議論の参考とさせていただきたいと思います。

【八田主査】 ありがとうございました。

 それでは、林先生から、御発表をよろしくお願いします。

【林教授】 林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。お時間を頂きましてありがとうございます。

 今、御紹介いただきましたように、表紙1枚おめくりいただきますと、今、文科省の方で、「科学技術イノベーション政策における『政策のための科学』推進事業」というものをやっております。これは平たく言えば、エビデンスに基づいて科学技術イノベーション政策を作っていくことを目指そうという事業なんですけれども、その中で、先ほど御紹介いただきましたように、文科省と大学の研究者が共同して研究プロジェクトを行うという取組を幾つかやってございまして、その一つとして、下に書いてあります、「研究力向上に向けた新たな測定指標の開発」というプロジェクトを、私と学術機関課さん、それから、科政局の企画評価課さんとのチームで行っております。

 タイトルを見ていただきますと、「各研究文化に適合した分野別指標と組織・ネットワークの機能指標」という表現になっているんですが、前半の方は、例えば人文社会系などの指標としてどういうものがあるかということを議論しているんですが、後半の組織・ネットワークの機能指標というところが、きょう御紹介いたします、共共拠点に関連するようなところとなりますので、それについて御報告をさせていただきたいと思います。

 次の3ページ目でございますが、そもそも何を目的としてやっているかということでございますが、先生方御承知のように近年、論文数であるとか被引用数という指標に基づいて、大学であるとか研究組織の研究力を測定し、それを比較するということが増えているわけなんですが、ただ、改めて国の研究力の向上を図ることを考えると、大学・部局が独立して競争しているという前提の下で指標を測定するということではなくて、国の研究システムの全体の中で、各組織がいかなる機能を果たしているかという指標も必要なのではないかと本プロジェクトでは考えています。

 その下ですが、研究組織は競争するだけじゃなくて、互いに共同して、あるいは研究分野や課題を分担して、そして研究人材の育成の一端を各拠点が担う。このようなものをしっかりと測定しなければ、国の研究力全体の向上につながらないのではないかという問題意識を持っています。

 その中で、この部会が御担当されています共共拠点を事例として分析をするということでございます。その中で、大学や研究拠点等の研究組織が、各分野の研究者コミュニティの中で果たしている機能を示す指標はどういうものであるのか、あるいは、国レベルでの有効な研究実施体制はどういうものであるのかを検討しようというのが本プロジェクトの目的になってございます。

 次、おめくりいただいて、御留意いただきたい点でございますが、本部会は、評価をなされているということなんですが、ただ、我々のプロジェクトの方は、個々の拠点を評価するということを意図はしておりません。それよりは、どちらかというと政策評価的な発想で、共同利用・共同拠点制度というものが有効なのかどうかということをどうやって確認したらいいだろうかと、そこに主眼を置いています。

 例えば、国の中に中核拠点を形成するということが、国全体の研究活動を活性化するという方策が本当に有効であるのか、あるいは、共同利用・共同拠点制度というものが、例えば、WPIのような拠点型のプログラムはほかにもありますし、あるいは、通常の拠点ではなくて、通常の学部・研究科で行うような研究実施と比べて有効であるということをどうやって示せばいいのか、そういうところから制度の評価、制度の有効性を確認するということを目的としております。

 その次でございますが、では共同利用・共同研究拠点の機能をどうやって測定したらいいのかということでございますが、正直申しまして、プロジェクトを始めたときに、これが非常に悩ましくて、先生方御承知のように、共共拠点は、昔の附置研究所もあれば全国共同利用施設もあって、歴史が異なるということで、それぞれの拠点ごとに特徴も大分異なるところもあると見ています。

 ただそうはいっても、全体としてどういうふうに考えていくかということがないと困りますので、研究環境基盤部会の方で、「共同利用・共同研究体制の強化に向けて(審議のまとめ)」というのを出されておりますが、その中で、「2.共同利用・共同研究体制の意義・ミッション、役割について」という節がございました。そこで整理されているのが、この表の左側になりますけれども、マル1からマル3まで、研究者コミュニティへの貢献から大学の機能強化への貢献、社会への貢献、その大きな3つの中で、研究資源の共用であるとか中核性、新分野の創出、人材育成、コミュニティ活性化等々の役割を整理しておられました。

 それを参考にさせていただいて、それを踏まえて、右側に、「分析しうる指標の案」と書いてありますが、研究資源の共用ですと、例えば共著であるとか、あるいは謝辞ですね。論文の中で、どういう施設・資源を使っているかという謝辞がございますし、あるいは、施設・設備の利用状況そのものもあります。あるいは、中核性のところ、きょうはここをメーンで御紹介しますが、国内での論文の占有率、その拠点がどのぐらい国内の中で論文を占有しているのか、あるいは、ネットワーク中心性指標と書いていますが、様々な共同関係の中でどのぐらい真ん中にいるのか、ほかの拠点と結び付いているのか、あるいは、学際性の指標であるとか、あるいは、人材育成もきょう御紹介いたしますが、当該分野における拠点在籍経験者、特にその分野での研究者がどのぐらいその拠点で育成されてきたのかというような指標が見られるのではないかということで、幾つか指標の案を上げています。

 ただ、はてなが付いているところもあって、コミュニティ活性化というのは一体どうやって測定したらいいのか、よく分からないとか、科学関心もなかなか測定が難しいというところはあるんですが、一応、現在のところ、こういう形で指標を整理させていただいております。

 6ページ目でございますが、幾つか指標は先ほどあったんですが、全てを一遍にというわけにいきませんので、まずは以下の3点について、焦点を絞って試行しています。

 1つ目が共同研究の実施ということで、特に、先ほどありました中核性ということで、それについてはWPIとも比較しながら、共共拠点というのが中核的な役割を持っているのかを比較するということです。WPIは共同利用拠点でありませんので、例えば仮説としては、個々の拠点で研究成果をWPIは出しているだけなのではないか。それに対して共同利用拠点というのは、ちゃんと共同するという別の役割を担っているのではないかということをしっかりとデータで確認しようということです。

 2ポツ目、人の育成・移動についても、まずは焦点を置いてやっていこうということで、ここも先ほど申し上げましたように、その分野の人材が拠点から育成されているのかを見ようということです。

 3ポツに括弧が付いていますが、施設利用による成果ということで、このデータも今、分析しているんですが、いろいろな施設・設備があって種類が異なるということで、なかなか分析を悩んでいるところでございますので、括弧が付いているのは、今回はそこを省略させていただくということでございます。

 次からデータになりますけれども、7ページ目、まず、共共拠点の日本国内における分野内論文占有率とタイトルを書いております。

 まず、マップされている丸がそれぞれの共共拠点になります。ただ、共共拠点もいろいろな分野の研究をその中でしていますので、アットマークの後ろに、小さい文字で恐縮ですが、分野名が付いています。この分野は、各拠点において2009年から18年の論文数が多い分野3つの中から、最も国内の占有率が高いものを1つ選んだということになっています。円の大きさは拠点の論文数に比例するものです。

 縦軸でございますが、今申し上げたような、その分野の中でその拠点がどのぐらい、日本の中で論文の占有率があるかというのを示しています。ですので、一番高いところを見ると、帯広の原虫病研究センターが、寄生虫学になりますけれども、寄生虫学については日本の中で14%の論文をこちらが出しているという物の見方をします。

 横軸は、各拠点の中で当該分野の論文の割合と書いていますが、先ほど申し上げましたように、1つとか少数の分野に集中してやっている拠点もあれば、数十の分野について、分散して研究を実施している拠点もありますので、それによって特徴も違うだろうということで、横軸はそういうものになっています。

 そうすると、先ほど申し上げた原虫病研究センターは、50%が寄生虫学ですので、原虫病研究センターから出ている50%の論文は寄生虫学で、それがやはり14%、国内の寄生虫学の論文を占めている。その下の地震研究所も、ゲオケミストリー、あるいはゲオフィジックスですけれども、40%はそういうものが出ていて、十数%、その拠点が占有率を占めている。ですので正直言うと、上の方にあるというのは、かなり中核性というか、その拠点がなければ日本のこの分野は成り立たないというのが、非常に分かりやすく示されている形になります。

 ただ一方で、なかなか難しいのが、下の方にある、特に左の方になるものについては、各拠点の中で様々な分野があって、上位のものを持ってきても十数%にしかならない、残りの七、八十%はほかの分野であるというふうに分野が多様であって、それゆえに、その分野の中での占有率もそんなに高くないという形になっていますので、そういう拠点についてはまた違うような説明をして、その拠点の有効性を示していかなければいけないんだろうと考えています。

 次をおめくりいただいて、今、占有率という形で示したんですが、8ページ以降は、それぞれの分野の中で、共同研究によって論文が共著で生まれますが、その共著関係を示しています。それを地図化しているわけなんですが、8ページ目が、先ほどから出てきました帯広の原虫病研究センターさんを対象にさせていただいていますが、日本の寄生虫学全体を、研究大学とか研究している部局をマップするとこういう形になるんですが、その中で、帯広の原虫病研究センターがどう位置付いているかというのを見る形になるんですが、そうすると、ぱっと見ていただいて分かるのは、まず大きいのが帯広の原虫病研究センター、それから、左側に厚労省の国立感染症研究所、上の方に、これも共共拠点ですが、長崎の熱帯医学研究所がある。恐らくぱっと見、右側は農学、獣医学の中での寄生虫学の話であって、左側は、医学関係の寄生虫学の話であろうと思われます。

 原虫病研究センターから幾つか線が出ていますが、それが共著関係になりまして、太字であれば共著関係が強い。たくさん共著論文を書いているという形になりますが、そうすると、原虫病研究センターは、右側の農学分野の中では様々なところとの共著関係を持っていて、右側の中では中心的なところに位置している。こういう形で寄生虫学について、帯広大学は、その大学が、さっき申し上げたように占有率が高いというだけではなくて、ほかの拠点とも結び付いて研究をしているという形での中核性を持っているということが説明できるのではないかと考えています。

 9ページ、次の図ですが、拠点によって作ると、やはり図の状況がそれぞれ大分違って、これは東北大の金属材料研究所ですが、というか、これは日本の金属学のマップを作って、その中での金材研がどこにあるかという形を示していますが、そうすると、金属学では同じぐらいの大きさの拠点が幾つかある。金材研に加えて物材機構もあれば、東北大の工学部ももちろんありますが、上の方に新日鐵もあれば大阪大学もある。このように複数の拠点がある中で、金材研はその一つとして位置している。また、線がいっぱい出ていますので、ほかとの連携も多いということが、まず図からは見てとれるところでございます。

 さらに、それだと分かりにくいので、次のページを見ていただきたいんですが、今のが地図化していたんですが、それを指標化したのがこのグラフになります。縦軸が何かというと、先ほどのマップの中で、論文数が50本以上の大学とか部局というものの中で、各拠点が共著しているほかの組織との割合と、ちょっと分かりにくいんですが、例えば、赤い太くなっているのは東北大の金属材料研究所なんですが、0.4とか0.5のあたりを上下しているということなんですが、これは先ほどのマップの中で、40%、50%の研究組織と連携をしていると。共著の割合、どのぐらいの組織と共著しているかという割合を示しています。横軸が2000年から2018年までですので、金材研は、上下はありますが、基本的には、四、五十%の金属学の分野のほかの組織と連携をずっとし続けているということで、継続して拠点として存在しているというのが見てとれるかと思います。

 一方で、例えばですけれども、2000年のところですと一番下の方に青い線があって、それが九州大学工学部なんですけれども、九州大学工学部は2000年から2018年に掛けて、共著の今の中心性という指標なんですが、その割合が0.1以下から0.3のところに上ってきていますので、この間、20年弱で一気にほかの研究グループと共同研究をするような、一つの拠点として成長してきているというのが分かるかと思います。

 ですので、金材研それ自体は、ほかの組織とかなり連携をしているんですが、ただ、金属学という全体で見たときには、ほかのプレーヤーというか、ほかの拠点も出てきているという状態ですので、その中で金材研の役割をどう考えていくかということなども、この図からは論点として上がってくるのではないかと思います。

 次、11ページがまた同じような図なんですが、今度はライフ分野、大阪大学の蛋白質研究所の生物物理学における位置付けです。蛋白質研究所に関しては、真ん中にあるというよりは左上のあたりで存在していて、ただ、そこでも、大阪大学以外とも様々な連携の線が出ているということで、先ほどの、真ん中にあって中心であるという説明にはそんなに簡単にはならないんですが、それでも、様々なところと連携しているというような形になっています。

 こういうふうに共共拠点は幾つかマップができるんですが、その次以降が、WPIと比べてみるとどうなのかということなんですが、まず1つ目が、大阪大学の免疫学フロンティア研究センターの当然、免疫学での位置付けになるんですが、そうすると、丸の大きさが論文数ですので、大阪大学のセンターは主要な研究拠点であるというのは分かるんですが、ただ、配置としては一番左に位置していて、様々なところとの共著が多ければ多いほど真ん中のところに来ますので、端の方にあるということは、必ずしも免疫学の分野全体の中で中心的なところというよりは、免疫学フロンティア研究センターがそれ独自としての研究力を強化しているような状況ではないかと思います。

 さらに特徴的なのが13ページで、東大のカブリです。この天文学の図なんですけれども、拠点としては東大のカブリ、自然科学研究機構の天文台、東大の理学部なんですが、カブリは左の端にあって、赤いところが連携をしているところが、丸が多いんですけれども、ほとんどが海外の研究大学ということで、日本の研究拠点と連携するというよりは、海外とこの分野で連携をするような拠点として成立しているというように、先ほどの共共拠点とはちょっと位置付けが違うような形になっているのではないかと思われます。

 次、14ページなんですが、先ほどとはまた話が違うんですが、共共拠点の一つの特徴として、「ネットワーク型拠点」を作られたというのがございます。文科省の方ともお話ししても、「ネットワーク型拠点」という方式が有効なのかどうかというのをどうやってデータから見られるだろうかということを議論しています。

 一つの参考になるかと思って持ってきている図なんですが、これはネットワーク拠点の中で、物質・デバイス領域の共同研究拠点になります。それの共著論文の割合というのを縦軸に持ってきています。オレンジと青い線がありますが、オレンジの方は、物質・デバイス領域共同研究拠点、4つでしたか、5つでしたか、ネットワークの中に拠点がありますが、その4つか5つの拠点の全論文の中で、どこでもいいので共著をしている論文がどのぐらいあるかというのがオレンジの線で、オレンジは軸は右側でして、2018年は90%の論文が、どこかの組織とは連携をして共著しているというような形になっています。

 こういう形で緩やかに上がってきているんですが、下の青いところが、ネットワーク型拠点の間で共著をしている論文の割合になります。これは左側の軸ですので、大分スケールは違うんですが、ただ、ネットワーク型拠点が認定されたのは2009年ですので、そのちょっと前あたりからですけれども、ネットワーク型拠点の中での共著を大分増やした。大分増やしたといっても数%なので、まだまだというところはあるんですけれども、ただ、それまでとは少しビヘービアを変えてきているという形が見えるのではないかと思っています。これが1つ、ネットワーク型拠点を作ったということで、実際に拠点間での連携というのがデータからも見えるのではないかということでお示しをしているところでございます。

 もう少しになりますが、15ページですが、これは先ほどの共著とはまた違って、人材育成の方の指標化になります。今、まだ試行している段階ですので、こちらについても東北大の金属材料研究所を事例として使わせていただいていますが、例えば金材研から、科研費に申請が多い細目が「構造・機能材料」なわけなんですが、そこで採択されたことがある研究者のうち、過去に東北大の金属材料研究所に在籍していた者がどのぐらいいるかということを示しています。

 下に、赤いバーが付いているような表がありますが、金材研以外も幾つかのところを持ってきて、例えば、「助教・助手」と書いてあるのは、構造・機能材料分野の研究者が助教・助手時代にどこにいたことがあるかということを示しています。見ていただくと分かるとおり、助教・助手時代に金材研にいたのは7.7%ということで、ほかに比べて大分多い。教授になりますと2%前後ですので、変わらないということになっていますので、そうすると、少なくとも金属材料研究所という拠点については、若手時代にここに在籍した人が多いということで、この分野の若手研究者を育成するという意味での拠点の機能を果たしているのではないかと、このデータからは見ております。

 最後、まとめというか、示唆になりますが、まだ現段階では、先ほどからお示ししているような幾つかの事例について、様々な分析、あるいは指標を試しているという段階でございますが、きょうお示ししたような分析を試行した拠点については、その分野で中核にいるというのが、幾つかのマップとか指標から見えるのではないか。

 WPIとは違って、連携関係の中心部分に位置しているという拠点が、今回お示ししたものについてはあるのではないか。

 特に、先ほどから出てきます帯広の寄生虫学みたいに、専門的領域に特化している拠点はかなり中核性が明示されやすい形になります。

 ただ一方で、拠点自体が多様な分野を抱えている場合は、占有率が低くなりますし、共著率も当然ながら低くなりますので、そういう場合にいかに拠点の効果を説明できるか。例えば学際性であるとか、あるいは研究の質が高いであるとか、そういう別の説明を持ってこないと、なかなか拠点の効果というのを明確には示しにくいのかなと思っています。

 さらなる論点ということで、きょうは、どういうふうに共同しているかという状況をお示ししたんですが、ただ、当初の目的から言えば、拠点がほかの研究者、ほかの研究組織と連携することによって、その拠点以外のところについても論文の質・量が上がるということで、国全体の研究が活性化しているという状況を示せればいいというのが最終的な目的でございますので、そういうところを今後、見ていくつもりでございます。

 また、人材育成についても、若手研究者レベルの育成への寄与がある可能性は、先ほどの一つの事例からは見えたんですが、そういうものを幾つかの拠点について分析をしていくことで、全体としてどうかということを見ていきたいと思っています。

 きょうは、まだ途中段階ということで御報告させていただきましたけれども、何か御助言等ございましたら頂ければと思います。

【八田主査】 私ども評価していく上において、非常に示唆に富む、参考になる研究発表でございました。本当にありがとうございました。

 それでは、ただいまの林先生からの発表について、意見交換をさせていただきたいと思います。どうぞ各委員から御自由に、御意見あるいは御質問がありましたら、御発言をお願いします。いかがでしょうか。

 それでは、観山委員、どうぞ。

【観山委員】 どうもありがとうございました。非常に示唆に富んだ分析で、できればもうちょっと早く、中間評価の前にこれを聞いておけばよかったかと思いますが、1つ、まず最初、簡単な質問ですが、言われたのかもしれませんけれども、マップの中の位置はどのように決めているのでしょうか。

【林教授】 位置は、基本的には、共著関係が多いと引き合うという形になりますので、そうすると真ん中のあたりに来る傾向が強いわけなんですけど、要は、共著関係でばねのように引き合っているというような形でマップされています。ですので、分析をするごとに多少、マップの位置は微妙にずれるというか、結果は変わってくるような形になりますので、統計学の多変量解析みたいな形で、必ず同じ位置に来るというよりは、その時々によって変わるわけなんですが、ただ、共著関係が近ければ近いほど、近くに来ますし、また、いろいろなものとの共著が多ければ図の中心に来るという、一般的にはそういう傾向があるような形になっています。

【観山委員】 例えば、11ページの蛋白研の分析のところで、1つは、線に色分けがしてありますよね。この色分けは何か、分野ですか。

【林教授】 色分けはある種、クラスターでして、連携関係が近いものがクラスターになっているということで、拠点、マップされているのは、ポイントの色がそういう形になっていまして、線の色もそれに応じて、同じような色が付いている形になっています。

【観山委員】 なるほど。あと2点ほど指摘をしたいところは、確かに共共拠点は、この例で見ると、基本的に国の中の拠点になっているということが明示されて、ある意味では、政策的にも非常にいい形の共共拠点の採択であったと思いますが、一方で、今後に期待するところでいいんですけれども、国際的な競争力の中で、この共共拠点がどのような立ち位置にあるかということを考えると、各国の追い上げは非常に激しくて、全体で見ると下がってきているわけですね、ボリュームに関しても、競争力に関しても。

 私が知っているところで見ると、国内的には非常に拠点になっているんだけれども、国際的な研究者との交流という点で言うと、まだまだであって、それが国際的なシェアとか、あるいはサイテーションなんかにも関係しますけれども、そういう点がまだまだ足りなくて、国内の拠点になっているんだけど、それだけではなかなか。

 だから、一方でWPIというのは、作るときから40%ぐらいの外国人も入れて、国際性をとにかく強調しなさいというので、競争力の面から見ると非常に高い。共同利用という形で作られていませんので、そういう性格の違いはありますが、今後の共共拠点の在り方としては、やっぱり今後もっともっと国際性というか、国際的な連携を強めないと、国内で非常に拠点になっているけれどもという感じがあります。

 もう一つは、特に装置を持って維持されている共共拠点の問題としては、中の研究者が結構疲弊しているというか、共同利用のためにあなたたちはいるんですよという、外部から、ユーザーからの期待もあるし、そういう自覚で採用されたことがあるので、サポートスタッフが少ないという点で、もっともっと共共拠点の中で研究者が研究をして、論文というか成果を出していくという方にもうちょっと時間を集中できるようなシステムができないかなと思っています。それは基本的にはサポートスタッフの減少というか、少なさという面で。

 一例で言うと、私、天文台におりましたけれども、天文台からWPIに移った人間がおりまして、研究に専念できるので、物すごく伸びた人というのは数例、事例がありまして、ポテンシャルは持っているんだけれども、そういうものに大分時間を使われているという人は結構多いなということがあって、最後に述べられました、今後の方向性の観点では、国全体の共共拠点としては、コミュニティをしっかりつかまえて一緒に研究してというのは、拠点としてはしっかりできていると思いますが、それをさらに国際的な中で、競争力を試すためにはどういうふうにしたらいいのかということも含めて、分析を続けていただければと思います。本当にありがとうございました。

【林教授】 ありがとうございます。図の中で幾つか、外国の大学の名前がところどころあって、それは日本の研究組織と共著をしているところだけは書いてありまして、日本と連携して共著がないものは全く入っていませんが、日本と連携しているところについてはあります。そうすると、まさに御指摘のように、カブリとかは赤い形で、海外の拠点等の連携が多くて、そもそもこの図の中に海外拠点の名前がたくさん見られるんですが、確かにおっしゃるように、ほかの分野だと海外拠点の名前が余りないところがあって、分野によって海外との連携関係も大分違うというのは、確かにあるかなと思います。

 あと、きょうは、余りどぎついので持ってきていませんが、各拠点についても、トップ1%、10%みたいな論文数の割合は、こちらでは一応分析していて、全体で言えば、共共拠点は、例えばトップ10%論文が10%以上あれば高いという形になるんですけれども、総じて高い状況にはありますが、WPIと比べれば、そういう意味では、そこの指標は落ちるぐらいの感じになるんですけれどもという状況かなと思います。

 ですので、先生がおっしゃったように国際競争力という点は、共著であるとか、あるいは成果そのもののインパクトであるとか、その辺はもう少し分析をしていきたいと思います。

【八田主査】 ほかの委員の方。小林委員、どうぞ。

【小林委員】 2点ございます。まず、ありがとうございます。

 今の日本の問題は、日本人が書く論文の数は横ばい、減っているわけではなくて、問題なのはトップ1%、トップ10%、いわゆる質が、割合が落ちているということだと思いますが、そうしますと、きょう頂いたスライドの8ページ目以降は、共著論文の量は分かるんですけれども、いわゆる質ですね。例えば、どことどこの共著がクオリティーが高いのか、低いのか、そのようなマッピングというのは作れるのか、あるいは今、もうやっていらっしゃるのかどうかというのが、まずお尋ねしたい1点目です。

 2点目ですが、スライドの7ページ、縦軸の方で、各拠点による論文というのが、その拠点のメンバーが入っている共著だけの話なのか、それとも、拠点のメンバーが入っていない共同利用による、ほかの研究機関の論文が入っているのか、いないのかということになります。もし入っていれば問題はないんですが、入っていないとしたら、共共のうちの共同研究は評価されているけど、共同利用の方は評価に入っていないのかどうかということになります。そうしますと、ほかの研究機関に施設を使わせないで自分たちだけで使っていた方が、むしろ評価は高くなるということになりかねないので、共同利用の部分がこの縦軸に入っているかどうか、それをお尋ねしたいと思います。

 その2点です。

【林教授】 まず、1点目でございますが、質も踏まえたものですが、文科省の方とは、まさに先生がおっしゃったとおり、質の高いものが出ているのかをもうちょっとクリアに示すべきだという議論をしていて、結論といえば、マップを作ることは可能ですが、まだそこまでできていないという状況であります。単純に、用いるデータが、例えばトップ10%論文だけでやれば、そういうものについての事例が出てきますので、そういうものはやっていく必要があると思います。特に、最後に申し上げましたように、共同利用拠点、共共拠点が連携をすることによって、ほかの組織もサイテーションの高いような論文が出るとか、国全体の研究力底上げにつながっているというのであれば、共共拠点の意味付けがしやすいと思いますので、そういうところは今後、分析をしていきたいと思います。

 それから、共同利用のところなんですが、まず事実としては、これは、その拠点の人が入った論文だけを分析しています。その拠点の人が入っていなくて施設共同利用をしている論文についてなんですが、まず、こちらでトライしたのは、謝辞の中でその拠点の名前があるものをピックアップするということはしてみたんですが、全体ではなくて事例的に幾つかしたんですが、謝辞に入っていて、その拠点の人が著者にいない論文は余りなかった、かなり少なかったという状態になっています。ただ、それは幾つかの事例を見ただけで、全体を見ていませんので、まだ断言はできないんですが、論文データだけから、著者に入っていなくて共同利用しているという論文を引っ張り出すというのはなかなか厳しいなと思っていますので、もし文科省等でデータを持っておられるのであれば、つまり、著者には入っていないけれども共同利用の成果であるという論文リストをもし持っておられるのであれば、それを用いて分析をすることは可能だと思いますので、そこは文科省の方と、できれば詰めていきたいと思います。

【八田主査】 それでは、加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】 ありがとうございます。基本的なところで、1つ御質問させていただきたいんですけれども、最初の7ページのバブルチャートでもいいんですが、分野をここでは、どういうふうに定義されているのかなと思いました。お話はよく分かって、分野によって特殊性があるのでこういう特徴が出てくるというのは大変参考になるんですけれども、具体的に融合している分野とかいうときに、どういう分野を言っておられるのか、もう少し教えていただければと。例えば科研費の分野で分けているのか、どういうことをしているのでしょうか。

【林教授】 論文データの分析に関しましては、使っているデータがクラリベイトのWeb of Scienceでございますので、Web of Scienceの中で分野が250ぐらい設定されていますので、それをそのまま使ってございます。

【加藤委員】 Web of Scienceの中の分類を使っておられると。

【林教授】 はい。そうすると、今の御質問自体からはさらに膨らんでしまうかもしれませんが、いざ分析しているとなかなか難しいなと思って、先ほどの寄生虫学を見ていただくと、獣医系の話と医学の話が一緒になって出てくるとか、分野の切り方自体が結果にかなり影響するなということは何となく分かっていて、ただ、そこは痛しかゆしで、分野を細かくすればするほど、その拠点は中心にあるというのは確かに出せるんですけれども、それをしても恐らく意味はないなと思いますので。

【加藤委員】 例えばマテリアルだったりすると非常に広いわけですね。だから、多様性がある分野の研究所として理解できるというのは、それはとても分かるんですけれども、評価に関してはどういうふうに見ていったらいいんだろうという点において、もう少しサジェスチョンがあればうれしいですけど。

【林教授】 そうですね。なかなか難しくて、分野間の連携がされているかどうかというのは、きょうはお示ししていないんですが、また別に学際指標というのがあって、例えば、いろいろな分野の論文を引いている論文ほど学際性が高いとかいうような指標はありますので、前提的には分析しているんですが、そうすると、そういう意味での学際性が高い論文がどのぐらい出ているかというのは分析できるんですが、それも結局のところ、Web of Scienceのクラリベイトの分野分類がどうなっているかにかなり影響されてしまいますので、正直言って、分析するときはそこを前提にしないと難しいなという感じがあります。

【加藤委員】 ありがとうございました。

【八田主査】 ほかの委員の方、いかがでしょうか。

 それでは、村上委員、どうぞ。

【村上委員】 ありがとうございます。人材育成についてお聞きしたいんですけれども、今、助教とか助手だったときに金材研にいたかどうかという結果を示していただきましたが、例えば大学院時代であるとか、学位論文であるとか、そういうときに共共拠点を利用したかどうかというような調査の仕方というのは可能なんでしょうか。

【林教授】 まず、今回、15ページですが、人材育成機能のところで使ったデータは科研データベースですので、科研データベースから分かる範囲は、要は科研に申請をした、その申請書の情報だけですので、採択されたものだけですけれども、そうすると、代表者じゃなくても、分担者でもいいんですが、入っていたときの所属がどこだか分かる。そういう意味では、今おっしゃったように、大学院生時代のデータは、科研データベースからはなかなかとれないだろうと思っています。

 もう一つ、候補として考えていたのがリサーチマップなんですが、リサーチマップは、どこの大学院を出たかというのを、全ての人が書いているわけじゃないんですが、書いている人もいますので、そういうものと併せて分析をすれば、各分野の人がどこの大学を、あるいは大学院を卒業してきたのかというデータを作ることは可能かと思います。正直、リサーチマップも、どのぐらいのデータのカバー率があるかというのは微妙なところですので、やってみないとなかなか、使い物になるかどうか分からないというところです。

【八田主査】 どうぞ、ほかの委員の方。

 それでは、田島委員。

【田島委員】 ちょっと自分たちのところの話になってしまうので、質問することが恐縮なところはありますが、あえて質問させていただきます。私どものところは既存ではなく新たな研究分野を作ろうというモチベーションで作られた障害者スポーツ研究拠点です。これは学際的で、競技者全員が障害者なので、医療・医学と密接に関連するスポーツ分野です。スポーツ系で、どこもやっていなかったもの、ばらばらだった分野です。総合的な体裁も整って、今度のオリパラに向けて、いろいろな医学的問題、選手の健康問題解決や、成績の向上などかなり一元的に取り組めたと自負はしております。しかし、このような評価の仕方だと私どものところは全く評価されないのではないかなということを危惧します。報告書では関連論文や人材がこういうふうに活躍しているというのを自由に記載できます。どちらかというと、従来の報告書をベースに評価いただく方が重要だと考えますが、いかがでしょうか。

【林教授】 まず、きょう発表したもの自体は、文科省と一緒にやっているただの研究プロジェクトでしかないということがございますので、各拠点の評価とは全然違う話の御紹介をさせていただいたということは、前提として御理解いただければと思います。

 その上で、今おっしゃった、いわゆるトランスディシプリナリーな分野だと思いますけれども、そういうものをどうやって見ていくかというところは、確かになかなか難しくて、きょうお示ししたのは、本当に論文データベースにあるような、伝統的なというか、そういう分野の中で中核にあるかどうかという視点を、数字であるとか地図にするとどうなるかということを分析してみたという話になりますので、恐らく今、先生がおっしゃったようなものは、また違うような形の分析をしなければいけないだろうと思います。

 もし中核性みたいな話であれば、もちろん、障害者スポーツみたいなキーワードを使って同じような図を作ること自体は可能かと思うんですけれども、必ずしも共著関係がどうというよりは、障害者スポーツというある種社会的な課題に対して、いろいろな分野を多面的に取り組んでいるというのが拠点としての役割だと思いますので、そうすると、共著関係というよりは、学際的なものがどう結び合っているかとか、そのような指標を使った分析をしなければいけないんじゃないかと、今の話を聞いて思いました。

 なので、きょうお示ししたものとは大分違うような分析をしていく必要があるんだろうなと思います。

【田島委員】 そうですね。逆に、これが共共拠点のスタンダードとなると、うちは零点という評価になってしまわないかという危惧があったので、あえて質問させていただきました。申し訳ございません。

【八田主査】 それでは、小長谷委員、どうぞ。

【小長谷委員】 少し関連しているんですけれども、もちろん、きょうの御発表の分析は、それぞれの研究所の評価ではないというのは非常によく分かるんですけれども、研究力の向上に共同利用・共同研究制度のシステムというのがいかに貢献しているか、あるいはこれから貢献しようと思ったら、制度をどのように変えた方がいいかという枠組みで考えた場合、資料として、共同利用・共同研究所はもう何十年も毎年、要求された項目に物すごいコストを使って、時間コストというか、あれを掛けて報告書を出してきているので、その報告書の数値自体を使った分析というのがあって、こんな数字は要りませんよ、御面倒ですから、これは省いてくださって、これとこれだけでいいですというふうに、それも研究者の研究時間を作るという点では非常に意味がありますので、そういう流れではどうか、御意見を伺いたいです。

【林教授】 まず事実として、共同プロジェクトをやっていますので、文科省の方から、全部ではないんですが、一部ですが、非常に膨大な資料を頂きまして、まずは、先ほど言いましたが、今回お示しできなかったんですが、施設の共同利用状況とかは、そちらのデータを使って幾つか整理をしようとしているんですが、先ほども申し上げましたように、施設の種類も違うということで、一律に分析しづらいというところもあったり、それから、先ほど人材育成は見ましたが、人材移動のところについては、毎年どのぐらいの人が来たとかそういうデータは調書の方にありますので、そういうところについては調書を使って状況を分析していきたいと思います。

 ただ、ちょっと難しいなと思っているのが、まさに先生が冒頭に言われたように、目指しているのは、個別の拠点間の比較をするということではなくて、共共拠点制度自体がどうかということを見ようとすると、ほかとの比較をしないと見えないんですね。論文データですと勝手にできるので、全体がこうで共共拠点がこうですという分析はできるんですが、調書だけだと、拠点のことは分かるんだけど、それ以外のことが分からないので、拠点制度がいいのかどうかがなかなか示しづらいという制約はあって、その中で、どのぐらい調書が使えるかというのは、文科省さんとも相談をしてやっていきたいと思っています。

【小長谷委員】 誰も何も使わないデータをひたすら上げて作る御苦労がしのばれるということです。

【八田主査】 ほか、いかがでしょうか。どうぞ御自由に御発言を。

 観山委員、どうぞ。

【観山委員】 金材研の科研費の例がありましたけど、これは、一つとしてはいい指標かと思いますが、反対に言うと、金材研の若手だけ何か優遇されているのではないかととられかねないので、ほかの、例えば、先ほどちょっとあなたが言われたように、頭脳循環みたいな形で、どのように育成がされて、それがどう展開していくかというのも、ちょっと別の指標として、これが悪いというわけじゃないけれども、これだけやると、何か分野によって非常に優遇されていることを示しているのではないかととられてもしようがないので、頭脳循環という面も加味されて、人材育成に対する共共拠点の在り方みたいなもの、例えば、分子研の人がよく言うんですけれども、ある分野は95%、今の教授は分子研を経ているとかという例もありますので、そういう形も1つあるのではないかなとちょっと思いました。

【林教授】 ありがとうございます。全くそのとおりだと思っていまして、金材研の助手が優遇されているというよりは、金材研の助手を経て、この分野で、ほかのところで活躍している人が、そういうところに輩出されて、まさに、循環しているのかどうか分かりませんけれども、人材輩出の機能を担っているということが示せればいいと思いますので、これだとフローがよく分からないので、フローが分かるような形での分析も進めていきたいと思います。

【八田主査】 ほかの委員の方、いかがでしょうか。

 それでは、まず松沢委員、その後、龍委員ということで。

【松沢委員】 3点申し上げます。

 1点目は、小長谷先生に近いんですけど、共同利用研究の評価をすると、調書が出てきますよね。1つ調書の中に、詳細には書かれていないんですけど、当該の拠点が自由課題や公募課題で、どこと共同研究をしているか。ですから、要は、既にあるWeb of Scienceという巨大なデータベースの中から、論文発表数ということでやると、さっと集めやすいからこういうものができるわけですけど、そうじゃなくて、自前で共同利用・共同研究拠点で作ってきた、それぞれの研究課題の共同のネットワークですね。

 ですから、当該拠点がどこの大学と共同研究をしたのか、だから、論文数じゃなくて、いわゆる課題数で、こういう多次元尺度構成法という形でマッピングすると、確かに先生がおっしゃったように、それでは個々の拠点しか分からないということがあっても、でも、例えば動物学とか金属材料学ということでやれば、今度は拠点間の関係というのも出てきますから、やはり共同利用・共同研究拠点でやってきた自前のものをデータベース化するというか、そういった作業も必要なのかなと思いました。

 2番目が、きょうは共同利用・共同研究拠点とWPIが比較されたんですけど、共同利用・共同研究拠点、国立大学で言うと昔、43だったんですけど、今、77になっていて、それぞれの規模、小さいものから大きいものがありますけれども、数千万円で動いているんですね。数千万円なんですよ。それを、WPIという10億を超えるものと比較するというのは、ちょっと違っていて、そうじゃないだろうと。

 もちろん、ほかの委員からありましたように、共共拠点というのは、基本的には国内の他大学との連携ということで、今、6個だけ国際拠点がありますから、国際的なものも視野に入れていますけれども、そもそも予算規模が数千万円、それに対して、10億を超えるようなものとの比較は違っていて、間にあるべきは、いわゆる4機構17法人の、昔でいう直轄研ですね。基礎生物学研究所だとか、国立民族学博物館とか、情報学研究所とか、そこは一応、数億というレベルで動いていますから、数千万と数億という形で、本当は直轄研と比べるべきで、直轄研について同じデータが出てくるはずですから、そういうものと比較するといいんじゃないかなと思いました。

 最後が、論文数なんですけど、論文は書けばいいというものではなくて、口幅ったい言い方ですけど、何回引用されたかということが問題なので、タイムズサイテッドという形での指標を持ってきても、同じような図が描けるわけですよね。ですから、タイムズサイテッドというものを使うとか、あるいは、その拠点を個人に見立てて、hインデックスみたいなものを算出するとか、論文数だけに限らないデータの解析方法もあるのかなと思いました。

 以上です。

【林教授】 全てそのとおりだと思います。既存の調書をデータベース化して、できる限り、そこから何が分かるか、進めていきたいと思いますし、2つ目の直轄研と比較するというところですが、どうなんでしょうね、直轄研と共共拠点を比較、分からないですが、外から見ている立場だと、どちらも、共同利用という、ある種、近いものに思えてしまって、WPIは遠過ぎるというお話でしたけれども、また、それと違うものの規模感が同じぐらいのものとも比較して、確かに幾つか比較して見る方がいいのかなと思いました。

 あと、引用数については、先ほどほかの方の御質問もありましたので、そのとおりだと思います。

【八田主査】 龍委員、どうぞ。

【龍委員】 ネットワーク型拠点について、きょうは連携変化ということで資料を出していただきましたけれども、マッピングがどういうふうになっているのか、単独拠点と違って、今、6つネットワーク型拠点があると思うんですけれども、構成している大学、研究所がどういう配置になっているのか、それがネットワーク型拠点認定を受けた後に、どう変わっていっているのかというのは非常に興味があったんですけれども、これから国際化、あるいはネットワーク拠点化ということで、もっと力を付けていただきたいという流れがあると思うんですけれども、そういう方向に、この拠点は推奨していくといいますか、指導していくということが可能なのかというのも、マッピングを通して何か分かるのかなと思ったんですけれども。

【林教授】 ちょっと、オフレコかもしれませんが、正直に言うと、物質・デバイス領域共同研究拠点に関して、前のページにあるような地図は作ってみました。ただ、この図を見ていただくと分かるように、ネットワーク型拠点の中での拠点間の連携は2%、3%しかないので、ほとんど図上では連携がなくて、ただ一方で、ほかの組織とは90%連携していますので、ほかとの連携ばかりという図になってしまって、正直言うと、その図からは、ネットワーク型拠点の中でネットワークができているというのは、視覚的には見られる状態では、現時点ではありませんでした。

 それについてどう考えるかは、ちょっと私の範疇を超えているというか、もっとネットワーク内でがりがりと共同すべきだと考えるのか、それとも、緩やかなネットワークを図りながら、ほかのところとも連携をしていくのがいいのか、そのあたりは、その図だけからでは判断できないという状況でございます。

【八田主査】 もうお一方で、安達委員、どうぞ。

【安達委員】 それぞれ非常に興味深いグラフ、図を出していただいて、ありがとうございました。

 1つ気になった点を申し上げますと、例えば、7ページは、共共拠点の全体の中の多様性といいましょうか、医学や化学などは左下の方に来てしまうという分野ごとの特性や個々の機関ごとの特性がよく表れているというのがこの図から読み取れることで、これでもって全ての分野をカバーするような指標についてはなかなか議論しにくいのではないかと思います。

 一方、その後にある、ばねでつながった図は、各拠点が自分の立ち位置を自己評価するときに随分役立つものなので、拠点がそのような情報を得た上で自分の強みなどを主張するためにうまく使えるのではないかと思いました。

 一番気になったのは、14ページ目にあるネットワーク型拠点が、うまくいっているということの一つのエビデンスにならないかというものです。解釈の仕方によっては使えるかと思いますが、ネットワークを構成する3つないし4つの機関で、規模も考えると、限られた論文数でそのような結論が出せるのかよくわかりません。つまり、1つの傑出した拠点が頑張ると、数値が上がったりすることもありますので、そのような分析を丁寧にしないとなかなか言えないのではないかという気がいたします。このようなものは事後的にネットワーク拠点というのを作ってよかったというときには使えると思いますが、これを研究機関に対して一つの指標として今後の活動を評価すると言う場合には、いろいろな副作用が出ると思いますので、その点にご配慮いただけますようお願いいたします。

 例えば、ネットワーク拠点というのをこういうやり方で評価するとなると、頑張るところはそれに最適化して活動するようになると思いますし、そうしたときに共同利用の装置を提供することで活動している機関がうまく評価できるのかというようなところまで配慮しないと、一律にこれでやろうとすると危険なのではないかと思いました。

 以上です。

【林教授】 まず、7ページの図なんですが、まさにおっしゃるとおりでございまして、医学とか、化学とか、通常の大学の学部・研究科にも多くの研究者がいるような分野は下の方に来ますし、また、医学の中にも様々な分野がありますので、そうすると、そういうものを抱えているような東大の医科研みたいなところは左の方に来ますので、ある種、分野であるとか拠点構成の特性を示している形になっていると思います。

 この図は、もしかしたら作り方として、例えば2つの軸を入れて4象限にするとか、類型化として扱った方が、確かに先生おっしゃるとおりで、よかったのかと思っていて、ある拠点は寄生虫学という特定の領域について特化して、日本の中での本当に中核を担っている。ほかの拠点は、様々な研究者が国内にいる中で、例えば引用数の高い研究を実施するであるとか、確かに拠点の種類の違いを図から示すという使い方として用いる方がいいのかなということを、先生の今のコメントを聞いて思ったところでございます。

 それから、先ほどのネットワーク型拠点の方ですが、まず事実としては、特定の拠点が引っ張ったというよりは、データとしては、その中の拠点が同じ程度に、ほかとの共著を広げていっているという状況ではございましたが、ただ、おっしゃるとおりで、これを評価指標にしてしまうと、変な方向に引っ張るのではないかというのはそのとおりだと思うんですが、正直、一番冒頭にも申し上げたんですが、分析がなかなかやりづらいと思うのは、共共拠点の成功したという状態は一体何なのかがよく分からないというのが、分析をしようとしてもあって、例えばネットワーク型拠点というのは、一体どういう状態が成功状態であるのかという定義がないと、分析としてもしづらいなと思っていて、それは恐らく各ネットワーク型拠点の方で、どういう状態が成功状態であるかというのを定義されるんだと思うんですけれども、そういうものが明確になってくると、分析というよりは評価指標の作り方だと思いますけれども、そういうものに合わせて評価指標を作っていくという形になるのではないかと思います。

 なので、この分析は、先生おっしゃるとおり、外から分析をしたものでしかなくて、必ずしもこれが評価指標という形ではないと考えております。

【八田主査】 ありがとうございました。一応、予定された時間なんですけれども、どうしてもこの質問をという、あるいは御意見がございましたら賜りたいと思います。いかがでしょうか。

 では、最後ということで。

【小長谷委員】 きょうはお話しにならなかった文系についての見通しを、もし若干、長年、我々全員が抱えてきた課題で、それぞれ、こういう地図も作ったりしてきたんですけど、どうでしょうか。

【林教授】 人文系はちょっと苦しんでおります。まず、こういう図は論文データベースから作っているので、ほとんどこういうものは使えない形なんですが、我々の方で取り組んでいるのは、例えば北欧のノルウェーとかそういうところでは、パブリケーションのウエート付けとか、あるいはジャーナル出版社の格付ということをやっていたり、あるいは、通常の論文ではないようなデータを多様なところからいかに取ってくるかとか、本当に様々な指標を集めてくることをしないといけないと思っているんですけれども、なかなか日本の中では、データが取れるような状況でもなかったりして、正直、苦しんでおりますが、また進展すれば御説明をさせていただく機会を頂ければと思いますが、まだなかなか見通しが困難であるという状況でございます。

【小長谷委員】 人間文化研究機構では、そういう分析をするために、論文をデータベースにしたりして持っていますので、共用していただければありがたいと思います。

すみません、失礼いたしました。

【八田主査】 林先生、本当に示唆に富んだ発表をありがとうございました。本日の意見交換で頂きました様々な意見を、今後の本作業部会での検討の参考とさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

 それでは次に、国立大学の共同利用・共同研究拠点の認定等に関する検討の基本的な方向性について、まだ、たたき台として、でございますけれども、事務局から御説明をお願いします。

【細野学術機関課専門官】 それでは、資料3に基づきまして、国立大学の共同利用・共同研究拠点の認定・評価等に関する検討の基本的な方向性について(たたき台)を御説明させていただきます。

 1.「厳格な評価と手厚い支援」について、(1)認定・評価基準の明確化についてです。

 先般行われました中間評価において、拠点制度の本来の趣旨から逸脱している可能性があると認識されながら、評価の基準となる拠点の規程に具体的な定めがなく、取り扱いについて曖昧になっているものがあるため、今後行われる期末評価や認定に向けましては、規程の改正を行い、明確化を図る必要があるのではないかと考えております。

 具体的には、2点ありまして、1つ目が、研究施設を附置する大学との関係についてです。現在認定されている拠点の中には、位置付けが、大学の直下には置かれていない、研究科に附属しているものもあり、中間評価においては、研究者コミュニティの意見を適切に反映させるための組織体制について、制度上改善が必要ではないかとの御意見があったことを踏まえまして、見直しの検討を行うものです。

 資料に記載のとおり、大学の枠を超えた拠点という制度の趣旨を踏まえまして、拠点の認定要件として、学部や研究科等の学内組織とは独立して運営を行う組織であることを要件としてはどうかとしております。改正イメージとしましては、現行の規程に、下線部の「大学附置の研究所その他の研究上の重要な組織であり、」という文言を加えてはどうかと考えております。

 2つ目は、一研究施設・複数拠点の取り扱いについてです。中間評価において、1つの研究施設に複数の拠点が存在する場合に、評価調書における研究施設の情報が、当該拠点と関係しない範囲まで記載されている場合もあったことから、同一施設のほかの拠点の活動実績と明確に区別して評価できるよう、見直しの検討を行うものです。資料に記載のとおり、研究施設全体ではなく当該施設の一部に限定して認定を受けている拠点について、拠点ごとの活動状況を正確に評価できるよう、拠点運営に必要な体制等を整える必要があることを明らかにするものです。改正イメージとしましては、現行の規程に、点線枠囲みの条文を追加してはどうかと考えております。

 続きまして、2ページをごらんください。(2)中間・期末評価についてです。

 (一)基本的な考え方としましては、平成30年度に実施した中間評価との継続性を考慮する観点から、中間評価の要項を基本としつつも、中間評価で明らかとなった課題等の改善を図った上で、期末評価の要項を策定する予定になっております。

 (二)評価区分についてです。

 評価区分につきましては、本作業部会や拠点協議会からも御意見を頂いたところですが、現状のS、A、B、Cの4段階の区分について、必ずしも拠点の活動状況が丁寧に表現されているとは言えない可能性があることから、AとBの間にA-の区分を加えまして、標語は、「ほぼ順調」や「順調とは言えない」とすることを考えております。

 A-の区分につきましては、活動が順調なSとA評価の拠点と、活動が不十分なC評価の拠点を除きました、現状のB評価に相当するグループから、拠点としての活動が低調とまでは言えないものを慎重に選定するものです。

 評価区分の反映については、前期と同様に、C評価の拠点については認定更新を行わないこととし、B評価の拠点についても、作業部会での合議の上、更新の可否を判断するものとします。

 また、SとA評価の区分の割合につきましては、中間評価と同様に、目安として活用し、支援可能性も踏まえつつ調整することとします。

 (三)評価の観点については、中間評価要項で掲げた観点を基本としつつ、次の点の取り扱いを整理した上で実施することとします。

 マル1、中核拠点性の観点としましては、研究不正・研究費不正等のコンプライアンスへの対応に係る観点を加えるか。

 マル2、拠点としての活動状況の観点としては、人材育成機能の強化や多様な機関との連携の取組を積極的に評価するか。また、「共用」を含む研究設備の有効活用の取組をどのように評価するか。

 マル3、拠点における研究活動の成果の観点としては、異分野融合・新分野創出の成果や社会・地域との連携の取組への評価、人文・社会科学の特性を踏まえて、成果をどのように評価するか。

 このほか、拠点側で評価調書を作成する際に、必要に応じて、現在検討中の大学共同利用機関検証ガイドラインにおいて適用される「主な観点」や「指標例」を参考に検討することなどを記載しております。

 なお、現在検討中のガイドラインの案につきましては、参考資料2として本日お配りしておりますので、適宜御参照ください。

 次に、3ページをごらんください。(四)中間評価結果との関係についてです。

 2つ目の丸になりますが、期末評価の決定の時期につきましては、次期中期目標開始年度の前年度である令和3年度の前半までに行うことが必要であり、評価対象となる実績については、平成28年度から令和2年度までの5年分のものとしております。

 また、期末評価については、平成30年度からの3年分の実績において、中間評価結果にどのように対応したかを中心に評価することになります。

 (五)評価調書の記載方法についてです。

 先ほど御説明しました、1ページの(1)、一研究施設・複数拠点の規程改正に関連しまして、評価対象となる拠点の活動実績が、同一施設のほかの拠点の活動実績と明確に区別して評価できるよう調書の見直しを行うことや、中間評価で課題とされました解釈が曖昧な用語について、定義の明確化を図ります。

 (六)国際拠点につきましては、上記に準じて評価を行いますが、認定されてから間もなく、データの蓄積が十分ではないことや、認定された6拠点が共共拠点から移行したものであることを踏まえて、実施方法を検討することとします。

 以上が、第3期の期末評価に関する基本的方向性になります。

 続いては、第4期に向けての共共拠点の機能強化に関する方向性についてです。2.拠点の機能強化について、(1)「ネットワーク型」拠点の位置付けの明確化についてです。

 今後に向けては、拠点の機能強化を図るため、「ネットワーク型」の活用を促す必要があるのではないかと考えております。

 まず、「ネットワーク型」に関する規程上の定めについては、現状は、「ネットワーク型」について特段の規定を置いていないため、ネットワークに参加する個々の研究施設も規程上、「申請施設」に含まれ、認定対象となり、現状は単独拠点と同じ扱いになっております。そのため、認定要件について、施設ごとに要件を満たすことが必要なのか、又は、ネットワーク全体として満たしていれば、個々の施設ごとに満たす必要はないのか、明確になっていないのが現状です。

 次に、4ページをごらんください。そのため、「ネットワーク型」の位置付けや要件を明らかにする観点から、規程上、現状の「申請施設」、「連携施設」に加えて、新たに「協力施設」を追加するとともに、それらの位置付けを明確にし、認定を行うに当たっては、共同利用・共同研究を行うために十分な体制となっているか確認することを明らかにしてはどうかと考えております。

 ここでいう「協力施設」とは、点線枠囲みの下線部に記載のとおり、申請施設と連携して共同利用・共同研究を行うため、共共拠点又は国際共共拠点の運営に必要な協力を行う研究施設と、案としては整理しております。

 具体的な案としましては、案1から案3をお示ししており、これを図で示したものが、「別紙」と書いてあるポンチ絵の資料になります。こちらのポンチ絵を用いて御説明をさせていただきます。

 まず、案1は、「申請施設」は、従来の「中核施設」に特定し、ネットワークを構成するほかの施設を「協力施設」とするものです。認定は、「申請施設」を対象に行い、その際に、「協力施設」の状況を併せて確認するものです。つまりは、案1の場合は、申請施設はA大学、認定もA大学のみがされることになります。この場合の主なメリット、デメリットとしましては、申請施設の位置付けが明確化され、ネットワーク全体のマネジメント構造が明確になると考えられますが、その一方で、認定対象がA大学のみとなり、従来は認定対象であったB大学、C大学が認定対象外の扱いになることが上げられます。

 次に、案2です。この案は、1つ目の丸は案1と同様であり、「申請施設」を従来の「中核施設」とし、「協力施設」を、ネットワークを構成するほかの施設とするものですが、認定は、「申請施設」と「協力施設」の両方を対象とするものです。案2の場合は、申請施設はA大学ですが、認定はA、B、Cの全てが対象になります。メリットとしましては、申請施設の位置付けを明確化しつつ、それ以外の協力施設も認定の対象となります。また、これから御説明する案3よりも、申請作業が軽減されることが考えられます。

 次に、案3です。この案は、現状のネットワーク型拠点を表しているものでありまして、「申請施設」は、ネットワークを構成する全ての施設となり、認定も、「申請施設」全体を対象とするものです。メリットとしては、全ての施設が認定の対象となりますが、中核施設の位置付けが曖昧であり、主導性が明確にならないことや、全拠点が申請施設になるため、申請作業等の負担が大きいことがデメリットとして考えられます。

 以上が、ネットワーク型拠点の規程改正のイメージの御説明です。

 続きまして、資料に戻りまして、5ページをごらんください。

 (2)拠点に対する支援についてです。

 拠点に対する現行の支援について、今後改善の検討が必要なことや、「ネットワーク型」についても、先ほど御説明しました位置付けの明確化を図った上で、ネットワーク化の効果に見合った支援の充実について検討する必要があるのではないかと考えております。

 3.令和4年度以降の第4期における新規認定の取り扱いについてです。

 新規認定については、研究者コミュニティの新たな要請に応えていくためにも、単純に新規認定の可能性を閉ざすのではなく、現在認定されている拠点のみで十分か、熟度の高い拠点は見込まれるか等の観点から、慎重に検討する必要があるのではないかと考えております。

 また、検討に当たっては、過去の基盤部会において、拠点数はむやみに増やさない旨の方針が確認されていることや、期末評価でC評価とされた拠点は、原則として認定の更新を行わないことを踏まえる必要があると考えております。

 なお、国際拠点につきましては、制度発足間もないことから、今後行われる評価等において成果を確認の上、それらを踏まえて慎重に検討する必要があるのではないかと考えております。

 資料3の説明は以上になりますが、本日、この基本的な方向性のたたき台について御意見を頂き、次回の会議で方向性の案をお諮りしたいと考えております。また、本日の議論を踏まえまして、事務局から12月に御発表いただいた拠点の協議会にも御意見を伺いたいと考えております。

 なお、本日お配りしている資料2につきましては、説明を省略させていただきますが、前回までの本作業部会における御意見を整理したものですので、適宜御参照いただければと思います。

 説明は以上です。

【八田主査】 ありがとうございました。

 それでは、議論いただく項目が多いですので、3つぐらいに分けて、御意見をそれぞれ頂戴していきたいと思います。

 まずは、お手元の資料3の1ページ、認定・評価基準の明確化についてというところで、点線で枠に囲まれた部分がございます。これに関して御意見、御質問でも結構です。頂戴したいと思いますが、どうぞ御自由に御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。こういう形で、特にという御意見、ございませんでしょうか。

 どうぞ。

【田島委員】 これは全ての拠点に適用されるんでしょうか。例えば特色ある研究拠点とか、そういうものにも適用されるのでしょうか。

【細野学術機関課専門官】 規程につきましては、国公私立、全て共通で適用されておりますので、結果的には適用されることになると思いますが、認定の時期が、特色拠点の場合、中期目標期間というのがなくて、ずれて認定されておりますので、その辺は考慮していく必要があるのではないかと考えております。

【田島委員】 特に特色ある拠点の場合は、萌芽的な、先ほども少し申し上げたように、これから育てていこうという観点での拠点事業と考えると、学内においても小さな研究所が対象ということも、十分あり得ると考えます。もちろん従来型の国立大学における拠点が主な対象になると思うのですけど、そこを少し分ける配慮も必要ではないかという意見を私は持っております。

【吉居学術機関課課長補佐】 ありがとうございます。今回の資料にある趣旨でございますけれども、中間評価の際に、今まで想定していなかった研究所の形態がケースとして出てきたものですから、それを規程上整理しようという趣旨でございまして、今、先生がおっしゃったような萌芽的な研究ですとか、あるいは、特色事業に見合った拠点の在り方というものは最大限、もちろん考慮していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【田島委員】 ありがとうございます。

【八田主査】 ほか、資料の1ページに関して、御意見、御質問を含めて、ございませんでしょうか。

 どうぞ。

【田島委員】 もう1点ですが、今後、大学が独立行政法人化してから、寄附講座とかそういうものを、年間何千万円で、そして、かなり長期にわたって頂けるような研究所が出てきております。大学内にありますけど、ある程度独立性もあり大学規程集には明記されていないところもございます。この文言だと、そういう研究所は当てはまるのかどうかという懸念もあるんですが、いかがでしょうか。もしそのようなところが申請してきた場合は、対象になるかどうかということで。

【吉居学術機関課課長補佐】 対象になる可能性もあると思いますけど、個別具体に見てみないと何とも言えませんので、また改めて御相談させていただければと思います。

【八田主査】 よろしいでしょうか。ほか、どうぞ、御意見。

 では、小林委員、どうぞ。

【小林委員】 あくまでも個別的な対応になると思うんですけれども、要するに、学部・研究科内の組織であると、どこまで切り分けができるのかどうかですね。実際には、大学の附置ではなくて研究科の中にあると、そこの研究科の教員がずらずらっと並んでいて、その業績が全部、そこの拠点の業績としても出てくるという、ほとんど切り分けできないようなところもあると思うんです。
だから、特色ある萌芽的なところはまた別の話として、今、そういうものができているところは、ちょっと見直すということは、私はこの趣旨で必要ではないかなと思います。

【八田主査】 ほか、どうぞ御自由に御意見。

 松沢委員、どうぞ。

【松沢委員】 1ページ目の真ん中の第三条改正イメージのところで、今、問題になった、「大学附置の研究所その他の研究上の重要な組織であり、」と明確に規定する文言が挿入されたということと、右端の「規定されている」と、「規定」に下線が引かれていますけど、元に戻って、共同利用・共同研究拠点の認定等に関する規程そのものの第三条のところを読むと、「大学の学則その他これに準ずるものに記載されていること」と、「記載」が「規定」に変わっているんですけど、これの御趣旨はどういうことなのかということと、やはり明確に、上位にさかのぼっていくと、要は学校教育法施行規則で決まっていますから、もともとは附置研究所をイメージしてできていて、それを拠点にできるとしてきたものは、従来ですと、ですからはっきりと学則に記載されている、そういった組織だけが対象だった。

 ところが、大学の方の事情がいろいろ変わって、研究科等の中に取り込まれる、そういった研究センター等も出てきて、そごが生じているということが背景にあることは重々承知しているんですけれども、それでいって、「記載」を「規定」と書いたことの意味というのが私自身は理解できなかったので、教えていただきたいなと思ったんです。

【吉居学術機関課課長補佐】 それほど意味的に大きな違いはないんですけれども、規程上の位置付けを明確にするという意味で、「規定」という言葉を法令上の用語として使ったというところでございます。意味はほぼ同じです。

【松沢委員】 そうすると一番重要なこととして、大学に直接ぶら下がるんじゃなくて、研究科内の研究センターになった場合は、それは対象外だということになるんでしょうか。

【吉居学術機関課課長補佐】 はい。基本的にはそのように考えております。

【松沢委員】 私自身は附置研究所で長く研究をしていましたので、御趣旨はよく分かるんですが、現状の大学を考えると、先ほどちょっとお話もありましたように、個々の大学が国立大学法人化して、様々に運営体制を見直そうとしている。そういう中で言うと、研究科の中に位置付けた方が、実は協力していただく教員が明確に増えるので、研究センターの持っている活動とか、それから、共同利用・共同研究拠点の趣旨とかが、逆に生かされるという例もあるのではないかと愚考するのですが、いかがでしょうか。

【吉居学術機関課課長補佐】 おっしゃるとおりで、どんどん研究所の在り方も多様化してきていますので、画一的にこうだとすることが、ひょっとすると逆効果になることもあるかもしれませんけれども、これはある意味、共同利用・共同研究拠点制度という一つの制度でありますので、ある一定の枠組みの中で、拠点を認定して予算を配分するという、ルールはやっぱりどこかで作らないといけないので、今、こういう線引きをすることが、拠点制度にとっては一番ベストなのではないかと考えているところでございます。

【松沢委員】 ありがとうございました。

【八田主査】 1ページの部分、何かほかに御意見ございませんでしょうか。

 それでは、2ページと3ページの中間評価、期末評価の部分、御意見を賜りたいと思います。特に今回は、前回のところでも出ておりました、評価をS、A、B、Cの4段階ではなくて、AとBの間はかなり離れておりますから、そのところで、A-というところも新しく出ております。どうぞ、2ページ、3ページの中間評価、期末評価について、いろいろな御意見があると思います。

 それでは、観山委員からどうぞ。

【観山委員】 評価区分じゃなくて、評価の観点のところなんですけれども、研究不正・研究費不正等のコンプライアンスへの対応の観点、これは是非加えるべきだと私は思います。各大学にはもちろん、コンプライアンスのシステムを持っているわけなんですけれども、共共拠点の場合には、そのコミュニティが対象になって、あるA大学の施設であっても、違う大学の研究者が参加して、いろいろな研究論文を作る。それから、研究費の配分等にも関連しますので、結構事例は、私も近くで知っておりますけれども、なかなかその大学との連携とか、非常に難しくて、やっぱり各機関が、各拠点がこういうシステムを持っている。それから、各ホスト大学のコンプライアンスの状況とよく連携しているような形で作られているということは、今後、こういう観点からいうと非常に重要な視点ではないかと思います。

 それから、2番目ですけれども、産業界との連携というのは非常に重要なんですが、これもちょっと差し障りがあるかもしれませんけれども、ある研究所で私、見ていると、非常に高度な測定機器とか開発機器を持っていて、大した額ではないんだけれども、使わせてほしいという事例は結構あったみたいなんですが、今の共用システムの、詳細には知りませんけれども、報告とか、それから、対価を取るとかというシステムが結構面倒になっていて、そのセンターでは全部断っていたという事例を後から知りまして、いや、こんな産業との連携は非常に重要で、そこから出た成果というのも、非常にアピールするのにいいのではないかと思いましたけれども、手続が非常に難しくて、そのセンター長としては、ほかの研究とか開発に差し障りがあるので断っていたという理由を、大分後から聞いてびっくりした事例もあって、少額なものについては、割と簡単に報告だけでとか、無償でも十分使わせて、企業のことになるということも考えて、これを積極的に取り込んでいくという方向性も考えていただければ。

 今回の評価という観点とはちょっと違うんですけれども、評価の観点としては入れるべきだと思いますが、ただ、なかなか難しくしていると、簡単に使わせないという状況が生まれている事情もあるみたいなので、ちょっと申し添えました。

 以上です。

【八田主査】 ほかの委員の方、いかがでしょうか。どうぞ御自由に。

 それでは、まず田島委員、その後、加藤委員ということでお願いします。

【田島委員】 この評価区分の案はとてもいい案だと思います。ただ、質問が1つございまして、Bの中からA-を拾うというイメージでよろしいんですか。

【細野学術機関課専門官】 そのとおりです。

【八田主査】 では、加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】 ありがとうございます。今の、A-を加えるのは、私もいいと思うんですけれども、言葉のことが少し気になったので、質問します。

 Aが「概ね順調」で、A-を例えば「ほぼ順調」というと、何が違うんだろうと思ってしまいます。それから、「順調とは言えない」というと、Bの「低調である」と何が違うんだろうと。もうちょっといい表現はないかなと思います。あと、低調というのがBでいいのかどうか。表現的に、Aが順調であるんだったら、A-はやや不足する部分があるという意味ですよね。ということで、そこの表現をもうちょっと何とかならないだろうかと思った次第です。

【細野学術機関課専門官】 表現につきましては、今後、検討させていただきます。

【八田主査】 ほかの方、いかがでしょうか。

 村上委員、どうぞ。

【村上委員】 評価区分のところで、資料2にもあるんですけれども、割合ですね。例えば、A-が何%というふうに決めると、A-を新たに設けた意味が損なわれることがあるなというのがあって、Bの「低調である」ではないものを、A-としてすくうんだと思うんですけれども、そうしたときに、A-は、例えば何%にしろというふうに設けてしまうと、せっかく作ったのにという感じがしますので、中間評価のときに相当いろいろ苦労しましたけれども、そういうことがないようにできるといいなと思いますので、よろしくお願いします。

【八田主査】 その点、いかがでしょうか。

【吉居学術機関課課長補佐】 その点も、先生方にいろいろ御意見を伺いたいところでございますけれども、A-を設けた趣旨は、先ほどの説明と今、先生がおっしゃったとおりでございますので、A-は何%とか、余り決めない方がよいのかなと思っております。

【八田主査】 それでは、小林委員。

【小林委員】 前回の評価のときに、Sが20%、Aが50%、BとCで30%ということでした。それは財政的、予算的な意味でそうせざるを得ないと思うんですが、問題なのは、3割を自動的に低調と言わざるを得なかったところが問題なので、A-というのが入ったのはよかったと思うんですが、そういう意味で、確認ですが、そうすると、Sが20%、Aが50%、A-、B、Cで合わせて30%という理解でよろしいんでしょうか。

 つまり、自動的に3割が低調にはならない、表現上ですね。それは、「概ね順調」か、「順調とは言えない」か、どっちになるか分かりませんけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。

【吉居学術機関課課長補佐】 どの区分が何%かというのは、まだ記載もしていないので、置いておきまして、考え方としては、今、先生がおっしゃったとおりです。

【八田主査】 井上委員、どうぞ。

【井上委員】 ちょうど今の話ですけど、「支援可能性も踏まえつつ適宜調整する」といった場合に、全てA評価にしておいて、配分額は少ないというのを許していただけると、大型実験みたいな大規模の研究施設の場合には非常に扱いやすかったと思うんですけれども、そういうのは可能でしょうか。

【吉居学術機関課課長補佐】 可能だと思いますが、反面、前回からも申し上げているとおり、第3期の共共拠点の評価で、中間評価との一貫性ということも求められますので、そことの調整といいますか、バランスかなと思います。

 また、その点につきましても、改めて議論したいと思います。

【八田主査】 ほか、いかがでしょうか。御意見、御質問、ございませんでしょうか。

 小林委員、どうぞ。

【小林委員】 評価の観点ですが、コンプライアンスを入れるという御提案は賛成ですが、中核拠点性の中に入るということなんでしょうか。これだけ独立して、例えば運営とか、法令遵守とか、独立させるというお考えではなくて、そこに入れるということになるんでしょうか。

 入れた場合、何かぼやける気がするんですね。別の指標における中核性はすごく高いんだけど、これが悪くても、そこはもう順調でいってしまうというようなことは起こり得るので、中核拠点性というのとは少し異質な気がするんですが、観点を増やすということは難しいということなんでしょうか。

【吉居学術機関課課長補佐】 いえ、それもあり得ると思います。今、不正ですとかコンプライアンス関係の規定がほぼないので、それを明確にしたいというのが第1の意図でございますので、中核拠点性のところに入れるということはさほど、議論すればよろしいかと思います。

【八田主査】 ほかの委員の方、いかがでしょうか。御意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、もう一つは、3ページの下の方からの「ネットワーク型」の位置付けでございます。先ほど、この図でございますけど、別紙で御説明いただきました。これも含めて御意見、御質問を賜りたいと思います。いかがでしょうか。

 観山委員、どうぞ。

【観山委員】 まずは質問ですけれども、どの案でもそうなんですけれども、協力施設に関しても、先ほど1ページ目にあった、大学の学則に載っているものでなければならないということですか。それとも、協力施設の場合には、その要件は外れるんでしょうか。

【細野学術機関課専門官】 どの案を採用するかによると思いますが、例えば案2ですと、B、C大学が協力施設になっておりますが、ここも認定対象になりますので、その場合は、学則に載っている必要があると思います。

 案1の場合は、ネットワークとして一体のものではありますが、認定されるのはあくまでAだけということになりますので、その場合、B、Cにどこまで要件として求めるかというのは、御議論があるところかと思います。

【観山委員】 そういう意味では、今、案1で、割と、まだ研究科に附置されているようなものも、ネットワークとして組んでいる可能性があるという方が、私はいいと思いますし、なぜかというと、新しい分野が出てきた場合には、まだまだ各大学なりコミュニティが、大きく育っているという状況ではない分野もありますので、そういうところを、学際的な領域とか新しい分野を活発にエンカレッジするという面では、是非、ネットワークを組んで、少なくとも一つの拠点としては、要件を満たしていなければいけないと思いますけれども、そういう可能性を殺さないような形で作ることが重要かと思います。

 ただ、先ほどの林先生の話もありましたけれども、本当にネットワーク型で機能しているのかというのは、よく申請書からも、ただ単に、同じような割と近い分野が、こういう申請ができるのでというのとは本質的に違うような形で発展が見込まれるかどうかというのは、これは規程にはなかなか書けないところですけれども、よくよく見ていかなければいけないかと思います。

【八田主査】 ほか、いかがでしょうか。

 それでは、まず小長谷委員、あと、井上委員ということで。

【小長谷委員】 議論に先立って、ちょっと確認しておきたいんですけれども、認定対象と認定対象でないことの違いというのは、基本的に直接投資が、研究資金が配分されるかされないかの違いということが一番大きいことでしょうか。

 つまり、案1ですと、A大学に資金が来て、そこから、A大学研究所の差配でもって回すことはできる。あるいは、それもできないというか、その辺の研究資金の流れの区別を教えてください。

【吉居学術機関課課長補佐】 きょうの資料3の5ページにも、拠点に対する支援をどうするかという、1つ課題のテーマに上げておりますけれども、案1、2になった場合に、お金がどういうふうに流れるかというのも、議論次第で流れなくもないといいますか、流れるようなルールにすることはできると思います。

 今の論点の中で、1つ重要なのは、各大学の中期目標の共共拠点の記載に、Aの場合は、B、C大学は直接認定されないので、今の記載のルールでいけば載らなくなるということですね。それが、大学の中期目標というものに組織名が載らなくなるというのは、1つ大きいところかなと思います。

【小長谷委員】 ありがとうございました。

【八田主査】 よろしいでしょうか。

 それでは、井上委員、どうぞ。

【井上委員】 単に意見なんですけれども、案1とか案3というのは、申請して認定されるというのは分かるんですけれども、案2というのは、申請はしているのかもしれないけど、評価を正しくされないのに認定されるというのが少し気持ち悪い気がしまして、単に意見です。案1と案3なら認めやすいけれども、案2は認めにくいなと思いました。

【吉居学術機関課課長補佐】 おっしゃるところもあるかと思います。現状の案3で、1つ大きな課題になっておりますのは、案3はこの図で言えば、3つの単独型拠点と同じ作業量があるわけで、事務作業の軽減というのも大きな課題としてございますので、案2であれば、案3の形を保ちつつも、その作業が減るというのは1つメリットかなと考えております。

【井上委員】 多分、案3の形で作業量を減らすということを意識されているのだったら、それで賛成なんですけれども、それぞれの拠点の、どのような活動かという資料がないことには、認定とはやっぱり言い難いなと思いました。

【吉居学術機関課課長補佐】 そうですね。案2の場合も、BとCのことは全然見ないということではございませんので、今、どういうふうにするか、そこまでは御提示できませんけれども、何らか、B、Cも見て判断するような形になろうかと思います。

【西井学術機関課長】 補足なんですけど、ちょっとごらんいただければと思うんですが、すごく技術的な内容なんですが、案1と案2の第二条の規定ぶりが、協力施設の定義のところで、「必要な協力を行う研究施設」となっているのが案1なんですが、案2の方は、「協力を行う研究施設として認定を受けようとする施設」となっておりまして、これは、申請施設と協力施設の関係というのは、実は案1と案2ではちょっと違うんですね。

 おっしゃるような懸念、法律的な懸念がありますので、そもそも申請するのが誰であって、認定を受ける範囲が誰であってというのは、これはちょっとテクニカルな問題として整理しなければいけないと思っているんですけれども、1番目の方はどちらかというと、既存の枠組みの中で、申請施設は申請施設で、認定は申請施設を対象にする。2番目の方は、申請施設といいつつ、申請の窓口みたいなものであって、申請の代表にはなるんだけれども、あくまでも、ここで言われている申請施設は、今あるところの中核拠点にも近いようなイメージで、いわば資金交付の窓口になり、いろいろな事務の窓口になるのが申請施設なんですが、あくまでも認定をする際には、協力施設と併せて認定をする。

 そういう意味でちょっと絵が変わってきて、第二条の第四号の規定ぶりも、この場合は、協力施設ではありますけれども、認定を受けようという施設でありますので、その場合に、この案をとった場合に、本当にこれは技術的なことなんですけど、申請施設という言葉をとどめておくのかどうかという、これも併せて、協力施設も含めて申請施設であるということにもなってきますので、これはあくまでも、現行の規程の中でこういうものを入れる場合に、現行の規程を最低限変えずに、こういった形で改正しようとするところだけを部分的に切り出した関係で、整理が行き届いていないところもあるんですけれども、案1と案2の違いは、おっしゃったような意味で、2の方は、あくまでも拠点全体、拠点を構成する施設全てについて認定はするんですけれども、申請をするのはあくまでも中核となる実施拠点であるという、そこの違いであるので、若干定義のところも、非常に細かい点であるんですけれども、区別して使っているという点は、ちょっと分かりにくい説明ですけれども、お断りさせていただきたいと思います。

【井上委員】 ありがとうございます。今の場合、案3の場合には、それぞれが別個に申請せよということになるわけですか。

【西井学術機関課長】 今の拠点の評価などを見ておりますと、それぞれの3拠点の設置者である学長さんが、それぞれ申請者として出してこられていて、実際、評価をする場合に、確かに部分的に、例えば一緒にシンポジウムをやっておられたり、そういうところは見ますけれども、実際、評価をしていただく先生方には、それぞれ3拠点なり4拠点、構成している拠点の施設全てについて、それぞれ別に実績報告書が提出されて、それが甚だ、ネットワークを介してやっていることであるのか、あるいはそれぞれの各施設の活動であるのかというのは、必ずしも判然としませんので、そういう意味では、先ほど林先生からもお話がありましたように、そもそもこれがネットワークという、拠点の成果によるものであるのか、それぞれの研究所の成果によるものなのか、評価するにもよく分からないというところはありますものですから、そのあたりはある程度、ネットワークというものの特性というものを細かく、認定の際から最後、期末評価をするに至るまでのプロセスの中で、明らかにしていった方がよいのではないかという御提案で、3つの案を比べさせていただいているという。

【井上委員】 ありがとうございます。理解しました。

【八田主査】 では、小林委員。

【小林委員】 今回のネットワーク型の規程の改正の趣旨としては、ネットワーク型を増やすということがあるのではないかなと思っております。なかなか現状、増えていないかなと。そうすると、案1はないかなと思います。案1は、要するに協力施設は認定から外れますから、これはセンターを抱えている研究者から見れば、望むことは多分ないと思うので、案1では、ネットワーク型は増えないんだろうなと思います。

 案2と3を比べると、今、課長の御説明のとおり、案3は、ネットワークなのか、個々でやっているのか、分からないところがあるので、A大学がいわゆるワンストップサービスで対応していくという意味では、合理性があると思います。

 1点気になるのは、B、Cの協力施設という名前なんですが、案1の場合はいいんですが、要するに、物すごくA大学の中核性が高ければ、それで納得するところもあるでしょうけれども、比較的横並びで競っているところですと、いや、うちはA大学の下の協力なのかみたいな、ちょっとそこの問題が起きるので、たてつけとしては案2がいいように思うんですが、協力施設という名前だけ、もうちょっとやわらかい名前に御検討いただければと思います。

【八田主査】 ありがとうございました。

 それでは、加藤委員。

【加藤委員】 ありがとうございます。今の御説明とかお話を聞いていて、何となく分かってきたんですけれども、案2だと、要するにネットワークの実を上げようということで案2が出てきたと思うんですが、そうすると逆に言ったら、A大学で申請施設になったところの負担はちょっと増えますよね。具体的には、全体を取りまとめなさい、窓口になりなさいということで。そういうことでネットワークを強化しよう、実を上げようということが入っていると理解してよろしいんでしょうか。

【細野学術機関課専門官】 現状につきましても、この中核施設については、連携を組んでいるところの調書とかを取りまとめていただいておりますので……。

【加藤委員】 まとめているのは、中心のところですか。

【細野学術機関課専門官】 はい。ですので、どういう仕組みにするかによりますが、極端に負担が増えるということはないのではないかなと考えております。

【加藤委員】 そうなんですか。今の話と少しずれるかもしれませんけど、ネットワークの形というのは、共同利用・共同研究を有効にというか、効果的に進めるというのが目的であるならば、中での共同研究の数が評価になるというのは、またちょっと視点が違うのではないかと感じました。ネットワーク拠点にあっては、共同利用とかを各パートが有効に、ここはこれができる、あっちはこれができるということで、連携して進めることが重要で、中の人たちが共同研究をしなければいけないという理由は、そうすると特にないですよね。必然的に起こるということはあり得ると思いますけど。

【吉居学術機関課課長補佐】 ネットワークの評価をどうしていくかというのは、また回を改めて議論を深めたいと思いますけれども、初めの実を上げるというところについて申しますと、ネットワークが充実していくというのは、一つの拠点の方向性かなと思いますが、拠点の告示を整備したときに、余りネットワーク型拠点というものを、考えてはいたけれども、どこまで数が増えるかというのは未知数だったところで、ネットワーク型拠点についての位置付けが曖昧なまま来てしまっているので、それをこの機会にきちんと、今の案ですと、申請施設とか協力施設という言葉を使って、明確にしようというのが今回の趣旨でございます。

【八田主査】 ほか、いかがでしょうか。

 そろそろ時間が来ているんですけれども、最後、5ページを含めて全てに関して、どうぞ御意見とか御質問を賜りたいと思います。いかがでしょうか。ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、ありがとうございました。この資料に関して頂いた意見を今後の本作業部会の検討の参考とさせていただいて、基本的な方向性をさせていただきながら、今後はこの基本的な方向性を作業部会として取りまとめていきたい、そのように考えております。

 それでは、この作業部会の今後のスケジュールについて、事務局からお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 お手元の資料4をごらんください。前回もお出ししたスケジュール表でございますが、次回は3月23日、月曜日、10時からを予定してございます。本日、資料3で御議論いただきました認定、それから、評価についての在り方の基本的な方向性について、議論をしたいと思います。

 以上でございます。

【八田主査】 次に、議題(2)その他について、でございます。

 令和2年度予算案について、事務局から御報告をお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 時間も少なくなっておりますので、簡単に。お手元の参考資料1をごらんください。

 1ページおめくりいただきまして、1ページ目は、左上にありますとおり、科学技術予算(案)のポイントでございます。赤枠の中に、「人材」、「資金」、「環境」とキーワードがございますが、昨年度、文部科学省から出ました研究力向上改革2019について、「人材」、「資金」、「環境」という柱の中に、それぞれ記載のある予算が含まれてございます。

 次の2ページ目、文部科学関係予算をまとめた資料でございます。左側に赤枠で囲んだ部分がございますが、こちらが大学関係の予算をまとめたところでございまして、その下に「国立大学改革の推進等」と記載が並んでございます。額はごらんのとおりでございます。

 3ページは飛ばしまして、4ページでございます。国立大学改革関係の予算をまとめたポンチ絵でございます。真ん中に、研究力向上改革の推進ということで、共同利用・共同研究拠点の強化69億円、学術研究の大型プロジェクトの推進206億円という記載がございます。

 もう少し詳しく、5ページでございます。共同利用・共同研究体制でございますが、左側のオレンジ色の部分が84億円、先ほど69億円と申しましたものに、施設整備補助金などの補助金を足した額でございます。この84億円で国立大学の拠点を見ている。内容につきましては、中ほどに黒字がございますが、共同研究プロジェクトの推進、それから、最先端研究設備の整備ということを行ってございます。右半分の緑色のところは、大型プロジェクト321億円でございまして、特に、ハイパーカミオカンデ計画が新規で着手されたところで、予算を計上しているところでございます。

 8ページでございます。共同利用・共同研究拠点に関しまして、公私立の拠点でございますが、特色ある共同研究拠点の整備の推進事業ということで2億7300万円、計上してございます。内容につきましては、右側に小さい青いタイトルの表がございますが、一番左側のスタートアップ支援と一番右側の国際共同研究推進支援で、国際拠点の認定につきましては来年度は予定をしてございませんので、真ん中の機能強化支援を充実していくということでございます。ですので、予算額は282から273に、若干少なくなっておりますけれども、新規を2つ、スタートアップ支援と国際拠点はやらないということですので、実質は前年同額でございます。

 以上でございます。

【八田主査】 どうぞ、この資料に関して御質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。本日予定しておりました議事は以上でございます。

 事務局から、御連絡事項がありましたらお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 本日の会議資料は、机上にお残しいただければ郵送させていただきます。

 以上でございます。

【八田主査】 それでは、これで本日の会議を終了といたします。ありがとうございました。―― 了 ――

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研究振興局学術機関課大学研究所・研究予算総括係

電話番号:03-5253-4111(内線4084、4170)