研究環境基盤部会 共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点に関する作業部会(第10期)(第7回) 議事録

1.日時

令和2年7月22日(水曜日)15時~17時

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. ネットワーク型共同利用・共同研究拠点の在り方について
  2. 人文・社会科学の特性を踏まえた期末評価等の在り方について
  3. その他

4.出席者

委員

八田主査、安達委員、井上委員、小長谷委員、加藤委員、小林委員、竹山委員、田島委員、観山委員、村上委員、龍委員

文部科学省

塩原学術機関課長、小久保学術研究調整官、吉居学術機関課課長補佐、山本学術機関課連携推進専門官 他関係者

5.議事録

【八田主査】それでは、前回に引き続きまして、こういう形で会議を開催させていただきます。ただいまより、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会共同利用・共同研究拠点及び国際共同利用・共同研究拠点に関する作業部会(第10期-第7回)を開催させていただきます。

 本日は、先ほど申しましたように、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、WEB会議による開催とさせていただきます。音声などに不都合はございませんでしょうか。皆様、いかがでしょうか。大丈夫でしょうか。

 ありがとうございます。それでは、委員の皆様におかれましては、円滑な会議運営に御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。

 まずは、事務局から配付資料の確認と委員の出欠の御報告をお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 事務局、学術機関課の吉居です。今日もよろしくお願いいたします。

 まず、配付資料の確認をさせていただきます。右下の通し番号のページで1ページ、議事次第でございますが、そちらにございますとおり、今日は資料1-1から参考資料2までをお送りしてございます。

 委員の出欠につきましては、本日は竹田委員が御欠席、鍋倉委員は、ほかの用務で少し遅れて来られるということでございます。

 また、事務局の異動につきまして、4月1日付で学術機関課長に塩原が着任してございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、本日のWEB会議を円滑に行う観点からのお願いでございます。まず、御発言に当たりましては、カメラに映りやすいように、こういう形で手を挙げていただきまして、御発言の都度、まず御自身のお名前をお願いいたします。御発言は、聞き取りやすいように、はっきりとお願いいたします。それから、御発言なさらないときは、マイクをミュートにお願いいたします。資料を参照する際は、ページ番号などお示しください。

 それから、傍聴につきましては、事前申込みのありました約100名の方が現在傍聴されておられます。それから、資料や議事録につきましては、通常の公開会議と同様に、後日ホームページで公開されることとなります。

 事務局からは、以上でございます。

【八田主査】 ここまでのところ、よろしいでしょうか、先生方。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 議題の1番目は、「ネットワーク型共同利用・共同研究拠点の在り方について」でございます。

 本日は、これまで議論してまいりました「拠点の機能強化」の一つでございますネットワーク型拠点について、さらに議論を進めるため、ネットワーク型拠点の「生体医歯工学共同研究拠点」に御出席いただき、意見交換を行いたいと思います。

 事務局から、出席者の御紹介をお願いいたします。

【吉居学術機関課課長補佐】 本日は、生体医歯工学共同研究拠点から先生に御出席いただいております。御紹介させていただきます。

 東京医科歯科大学生体材料工学研究所所長の影近弘之先生でございます。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

【生体医歯工学共同研究拠点】 よろしくお願いいたします。

【八田主査】 ありがとうございました。

 それでは、生体医歯工学共同研究拠点から、拠点の取組等について、20分程度御説明いただいて、意見交換を行いたいと思います。それでは、御説明をお願いします。

【生体医歯工学共同研究拠点】 ただいま紹介にあずかりました東京医科歯科大学生体材料工学研究所、4月から所長を拝命しております影近です。よろしくお願いいたします。

 本日は、本拠点のネットワーク型共同利用・共同研究拠点に関しまして発表する場を与えていただきまして、どうもありがとうございます。

 お手元の資料の資料1-1に従いまして説明させていただきます。

 一番最初のページにありますように、本拠点は、東京医科歯科大学生体材料工学研究所、東京工業大学未来産業技術研究所、広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所、静岡大学電子工学研究所の4大学4研究所からなる共同利用・共同研究拠点でございます。

 いくつも書いてありますけれども、ちょっと小さいですので、タイトル、青いところで示した左側に書いてあります大きな番号のところで、これから説明の資料のページ数を言っていきたいと思います。

 初めの2枚程度で、本拠点の背景と全体像について、簡単にお話しさせていただきます。

 まず2枚目、生体医歯工学共同研究拠点の背景でございますけれども、こちら、拠点の申請のときにありましたように、医療を取り巻く環境において様々な課題があるということで、高齢化社会、国民医療費の適正化、医療技術・機器の国際競争力を向上させないといけない、医薬品輸入の超過の是正などといったもの、このような課題を解決するためには、いろいろな問題を解決していかなければいけないということで、早期診断、低侵襲治療、在宅医療等、ここに記しましたようなものに対して研究開発することで、健康で活力ある長寿社会を構築するというものでございます。

 このライフイノベーションの中で、我が国が将来にわたって成長と社会発展を実現するための主要な柱としての位置付けとして、今、様々な分野、医療産業に加えて、いろんな分野で医療とか生命科学に関する高い関心と技術革新が行われているということで、これらの様々な分野における研究者コミュニティからの要望に応え、それを支援するような拠点が必要であるということになります。

 そこで、これらの研究者コミュニティに対する要望に対する支援の体制、そして、材料とか生体システムにおける生体機能化の応用、それを行うということ、そして、そのために、参加機関が保有する知識、技術、装置を提供し、医科歯科大学が特に保有している附属病院、医・歯の附属病院ですけれども、それらにおける支援を行うことで、融合分野における若手研究者の育成や新学術領域を創成していこうというものでございます。

 次のページ、上の3枚目を御覧ください。こちらが全体像、概要になっておりますけれども、今申しましたように、研究者コミュニティとしては、材料分野、機械分野、電気分野、光学分野、化学分野といったものを想定しておりますけれども、それらからの幅広い要望に対応するために、生体医歯工学研究拠点として、そこにありますような4研究所がチームを組んで対応するということで、特に生体医歯工学という新しい異分野融合型の新学術領域を構築して、そこにおける学理を構築する。そして、若手人材を育成する。そして、革新的な医療技術を創出するといったものを目的としているということでございます。

 以上、簡単でございますけれども、拠点の説明になります。

 続きまして、その下、4枚目になりますけれども、これまで4年間行ってきまして、我々が感じてきましたネットワーク型拠点のメリットにつきまして、ここに箇条書きをさせていただいております。

 1つは、ネットワーク化により大型研究環境を実現することができるということ。

 そして、独創的・先端的な学術研究の推進施策として、国際化、異分野融合といったものへの施策が非常に容易になっているということ。

 それから、ネットワーク型拠点によって、臨床試験を含む医歯工融合研究が可能になっていること。

 また、ネットワーク内の研究資産の相互利用によって、特色ある人材育成を行っているということがあります。

 さらに、全体を通してでございますけれども、ネットワーク化によって、スケールメリットが出ていることで、いろんな特徴が出せるということがあります。

 以上のメリットを基に様々な研究実績が上げられたということで、この後、スライドにおいて、幾つかの例をお示ししたいと思います。

 続きまして、次のページ、5枚目に移ります。まず、一つ一つ説明させていただきますと、大型研究環境の実現ということでございますが、4研究所、そこにありますように、ネットワークの中の教員、職員というのは、このような人数になっておりますが、実際、教員の中の内訳を見てみますと、特に研究所専任の教員というものは、4大学合わせてもたかだか100ちょっとということでございます。いずれも小規模から中規模の研究所でございますけれども、そういうところがチームになることによって、環境が非常に大型化するということができております。

 人材もそうですし、施設に関しましても、特に医科歯科大学はあまり大きな施設を保有していないんですけれども、病院を2つ持っているということ。それ以外には、チームの中の静岡大学、広島大学、東工大が、そこに保有しているような例を示していますけれども、様々な大型施設を相互に利用できるというところがあるかと思います。

 続きまして、6枚目になりますけれども、独創的・先端的な学術研究の推進になりますけれども、ここには、まず国際シンポジウムの開催を取り上げております。これまで拠点では、毎年、国際シンポジウムを開催してきました。4つの研究所で回り持ちで主催するという形ですので、小さな規模の研究所にとっては、毎年国際シンポジウムを開催するというのは非常に負担でございますけれども、ネットワーク型の拠点にすることで、その負担を軽減するということができております。また、このような立場から、幅広い研究分野の人々を集めることができるということで、人的なネットワークの広がりを見せているということ。そういうことで、なかなかふだん自分たちの学会活動では関わらないような分野の研究者たちとの交流ができているということでございます。

 続きまして、7番になりますけれども、同じく、こちらは毎年行っております成果報告会ということで、こちらは毎年募集しています共同研究、大体二百数十件ありますけれども、その二百数十件の研究者を一堂に会しまして口頭発表、ポスター発表するということで、クローズドではありますけれども、ネットワークの中に組み込まれている共同研究者が集まってやるということで、こちらも人的なネットワークを幅広くするものでございます。残念ながら、この間の3月に関しましては、コロナの影響で対面式の会だけは開催できませんでしたけれども、報告書という形でこれを行っております。

 続きまして、8枚目になりますけれども、こちらはネットワーク型拠点ならではの特徴的な事業創生の例でございます。先ほども申しましたように、医科歯科大学には医学部、歯学部、そして、それぞれが附属病院を有しております。ですので、今までなかなか医学との共同研究ができなかった研究所との医療応用に向けた研究が幾つも進んでおりまして、例えば、ここにありますように、左側は医科歯科大学と東京工業大学との連携例で、内視鏡操作システムの開発の例でございます。また、右側は、広島大学を中心に行ってきまして、東京工業大学、医科歯科大学の附属病院との連携例でございますけれども、携帯型乳がん位置検出システムの開発なども、現在、臨床試験が進んでいるという状況で、このような事例が少しずつ増えてきているということになっているかと思います。

 それから、9番目が、人材育成に関わる取組でございます。私ども、若手道場という言葉で表しておりますけれども、ネットワークの4つの研究所の設備や人的な資産、そういうものを相互に活用することによって、ネットワーク内、もしくはネットワーク外の若手研究者に様々な分野の実習の機会を提供できるということになっています。例えば、この左側では、広島大学で行っていますトランジスタ・IC作製実習でございますし、右側は、本学、医科歯科大学で行っていますイオンセンサーの作製実習ということで、これを数日間行っておりますけれども、毎年十数名の若手研究者が参画しております。ちなみに、今年度も一応コロナの影響下ではありますけれども、可能な限りこれを実施していきたいと考えております。

 続きまして、10枚目、ネットワーク化によるスケールメリットということですけれども、やはり先ほどから何度も申しますように、4つの規模の小さい研究所が集まることによって、研究者への負担を少し軽減しながら、様々な企画が可能となっているということでございます。

 さらに、組織を強化するということで、そこにありますように、クロスアポイントメント制で教員を採用して研究を強化するということも行ってきましたし、また、やはり異分野の4つの研究所を取りまとめるということですので、コーディネーター役の人物が要るということで、特任教授を採用することで、拠点の様々な企画、そして運営を向上させてきたという取組がございます。

 社会実装へのアクションでございますけれども、今までは集客型の展示会での成果展示を中心的に行ってきました。それ以外には、こちらは東京都の医工連携ハブ機構というところとの連携で行っているものですけれども、特に東京都を中心とした中小企業などに集まっていただいて、研究所の研究成果や研究状況などを紹介する講演会でございますけれども、こちらは本年度、コロナの影響もありまして、昨年度は対面式でやったんですけれども、WEBによるオンライン講演会を実施しました。これにつきましては、東京医科歯科大学が行ってきましたが、今年からは拠点の各研究所から数名の講師を選出するということで、秋以降にあと3回、開催することが予定されていまして、これまでの4研究所での研究成果を東京都から全国に向けて、医療機器メーカー等へ宣伝していく機会を設けたりするという状況です。

 もしくは、この拠点で行ってきました様々な研究成果をまとめて、生体医歯工学というものの学理とか研究成果をまとめました英文書籍を出版することにいたしておりますけれども、こちらも現在進行中ですが、それに併せて、やはり電子書籍というものでの展開も今見据えて行っております。

 11番目、組織展開の取組ですけれども、これはネットワーク拠点間の連携でございます。私たちの拠点に加えまして、さらにネットワーク型拠点間の連携を進めることで、さらにスケールメリットを大きくしていこうということでございまして、物質・デバイス領域共同研究拠点、放射線・医科学研究というものとの全国規模によるネットワーク化をさらに展開するということを行ってきています。これまでにも、相互でのシンポジウムでの講演に加えまして、昨年度からは拠点間の共同研究テーマが1件、今年も2件というふうに実際に実施され始めているという状況でございます。それによって、さらに幅広い分野への展開が可能であると考えております。

 12枚目からは、以上のメリットを基に、これまでの実績を簡単に御紹介したいと思います。

 こちらは、本拠点が募集しています共同研究の応募件数と実際の共同研究の実施件数を表しておりますけれども、初年度から比べていきますと、一応右肩上がりでどんどん増えているという状況でございます。

 右下には、共同研究実施の内訳が、令和2年度だけですが、ありますけれども、実際、海外研究拠点の募集も増えているという状況で、国際的にもこれが認知されてきているのではないかと考えております。

 13枚目になります。こちらは医歯工融合研究の国際化ということで、これまでの研究成果の発表数、論文数などを取りまとめておりますけれども、中ほどにありますように、国際誌への論文数も増えていますし、さらに国際共著論文というものも下にありますが、増えてきているという状況になっています。このようなところからも、国際化が少しずつ進展しているというふうに私たちは解釈しております。

 また14枚目は、量だけではなくて、質の高い研究も行われているということで、平成28年度からの4年間分ではございますけれども、比較的インパクトファクターの高い論文を例示させていただきましたが、このような国際的にも認められるような研究成果を幾つもこの拠点から輩出しているという状況をお見せしております。

 以上がメリットということになりますが、15枚目にデメリット、感想、課題というものをまとめてみました。

 デメリットは、やはり各研究所から上がってきておりますけれども、様々な共同研究をしていこうということで、共同研究テーマを増やしていくということを行ってまいりましたけれども、そうすると、なかなか予算の都合上、1研究テーマ当たりの予算がどうしてもせいぜい10万円ぐらいという規模になってしまって、それ以上の支援ができないというところがデメリットになっているということでございます。

 それ以外に、感想というところに幾つか、各研究所から上がってきたものを列記させていただきますけれども、やはり異分野での交流ということで、当初はいろんな言葉とか文化がなかなかお互いに理解できなかったんですけれども、そのためには、それらを取りまとめるような立場の人が大事であるということで、そういうような感想を受けました。

 また、生体医歯工学分野という新しい学術領域を立ち上げましたけれども、それが認知されるにはまだもう少し時間が必要かなというような感想を持っています。

 いずれにしましても、中小規模の研究所にとって、ネットワーク型で異分野融合というものは、これまでできなかった研究が非常に円滑にできるということで、大きな助けになっているということ。

 予算不足を人的なネットワークの形成で補償しているというような状況で運用しているというのが現状かと思います。

 課題ですけれども、これまで共同研究のテーマ数を増やしていくということを着目して行ってきたんですけれども、そういう意味では、ネットワーク外との様々な連携は非常に深くなってきます。ただ、拠点の中での連携となりますと、いろいろあるんですけれども、何か柱になるようなテーマを持ってやるほうが、もう少し有意義な研究成果が出てくるのではないかというような意見も出ていまして、こちらに関しましては、将来の課題として、何かテーマを、今コロナもありますけれども、そういうところも考えながら構築していこうというところでございます。

 以上、簡単ではございますけれども、本共同研究拠点を実施してきましたメリット、デメリット、感想についてでございます。

 以上でございます。

【八田主査】 ありがとうございました。

 私ども、これまでネットワーク型ということを非常に注目しておりまして、また関心を持っておりました。あるいは、意見交換も、このネットワーク型に関してはしておりました。

 それでは、ただいまの発表に関して、委員の方々、御質問あるいは御意見賜りたいと思います。どうぞ、自由に、画面のほうに向かって手を挙げていただきましたら、私のほうから指名をさせていただきます。

 それでは、まず小林委員、どうぞ。

【小林委員】 発表、御苦労様です。大変異分野の意欲的なネットワークで、着実な成果も上がっていらっしゃると思います。

 お尋ねしたいのは、最後の15ページのところなのですが、ネットワーク型共共拠点に対する基盤的経費の支援について、何か、もっとこういうところが問題であるとお感じになっているところがあれば伺いたいのは、なかなかネットワーク型共共拠点が増えないのです。どこかにやはりボトルネックがあるのだと思います。それを実際にやっていらっしゃる立場で、どの辺がネックになっているとお感じか、教えていただければと思います。

【生体医歯工学共同研究拠点】 私は4月から担当していますので、3月まで本学所長としてこの取組を取り組んでいました宮原所長のほうから、少し感想を述べさせていただきますので、交代します。

【生体医歯工学共同研究拠点】 宮原でございます。

 もともと4つの研究所とも、異分野とはいえ、全く別の分野の研究をやっていたわけではなくて、それぞれ工学系の研究所でありながら、医学系、あるいは生命科学系の研究も行っておりまして、そういう研究者たちを集めたいという異分野融合型の拠点を立ち上げたので、それほど異分野に対する大きなバリアがあったわけではありません。そういう意味では、研究テーマ、あるいは、拠点を進める上での大きなボトルネックというのは、我々はあまり感じてはおりませんでした。

 組織を立ち上げるとか、あるいは、その仕組みをつくるというのは、こういう拠点を形成する上で、どこでも大変なことは大変なので、それが異分野という特殊性から大変だというふうに感じたことはあまりなかったと思います。

【小林委員】 お尋ねしているのは、分野の問題ではなくて、ネットワーク型共共拠点に対する基盤的経費の支援の在り方について、どうお考えなのかということなのですが。

【生体医歯工学共同研究拠点】 それは、先ほどから出ておりますように、やはり1テーマ当たりの研究費が十分ではないということは感じておりまして、2回、国際会議と成果報告会をやっておりますけれども、それの旅費・宿泊費、あるいは準備のための費用とちょっとした消耗品ぐらいしか、こちらからは提供できないという。メリットとは言いませんけれども、それにも増して、多分、ここに参加することのメリットのほうが大きいから、皆さん参加していただいているんだと思いますけれども、そういう共同研究費の額に対しては、やはりもう少しいただけたらと思いました。

【八田主査】 小林委員、よろしいでしょうか。

 どうぞ、ほかの委員の方。それでは、観山委員、どうぞ。

【観山委員】 今日は、どうも、発表ありがとうございました。

 私、採択のときに委員ではなかったので、ネットワーク、この4つの拠点を組まれた必然性というのがよく分からなかったんですが、さっきのお話で少し理解できました。というのは、私、広島大学にいますけど、広島大学には医学部もあるので、中ではどういうふうにされているのかなというのはちょっと思いましたけれども。それまでに非常に緊密な連携があったということで、よく分かりました。

 こういうネットワーク、今回の場合には医工連携みたいな形が1つの特色ではないかと思いますが、具体的に、外から共同研究という申請がある場合に、どのように、つまり、窓口は1つなんでしょうか。一つ一つの研究者への共同研究の提案もあるでしょうし、例えば、先ほどあった2か所とか3か所に共同研究したいとかいう形。そうすると、簡単に思うと、例えば、広島大学と静岡大学でいろいろな工学系の機器があると、その間をいろいろ連携するのもなかなか物理的に大変なのではないかなと思ってお尋ねします。共同研究の実態みたいなものをちょっと教えていただければ、もう少しよく分かるかなと思ったのです。

【生体医歯工学共同研究拠点】 宮原でございます。

 共同研究の多くは、やはり研究者同士の実績に基づいて共同研究は進められるんですけれども、ネットワーク型拠点を形成していますと、例えば、これは実際にあった例ですけれども、静岡大学さんと一緒に共同研究をやっていて、ある程度研究が進んで、次に医療応用するといった場合、医科歯科大学のほうにお話がありまして、医科歯科大学のほうで臨床の先生に御相談して、臨床の先生を含めて、その技術についてディスカッションして、そして実際に臨床研究に入っていくと、そういう例もありますので、ネットワークを組んでいるメリットというのはそういうところに出ていると考えております。

【観山委員】 もう一つ、国際性という観点から、海外から見たときに、この4つの連携ネットワーク拠点というのは、どのように見えるんでしょうか。トータルの名前があって、窓口的には、ホームページかなんかで海外の今まで知らない研究者がどこかにアクセスすると、何かコーディネーターがいて、どういう形でやると共同研究がうまく進むかとかいう仕組みがあるのでしょうか。要するに、外に対して、それぞれの医科歯科とか静岡大学とかいう形ではなくて、このネットワークとしてトランスペアレントな形になっているんでしょうか。

【生体医歯工学共同研究拠点】 そこはなかなか難しいところでして、やはり基本的には海外の研究者と拠点の中の研究者の共同研究になりますけれども、この拠点の中で開催している国際シンポジウムなどでは、それぞれの研究所から招待した海外の研究者が、その拠点で講演していただいて、拠点の存在を知っていただいて、こういう共同作業が行われているというのを理解していただく。そういう地道な努力を行っているところではございますけれども、なかなか世界に向けて、まだ認知度が十分でないというのが現状でございます。

【観山委員】 分かりました。どうもありがとうございました。

【八田主査】 それでは、ほかの委員の方、どうぞ。それでは、竹山委員、どうぞ。

【竹山委員】 どうもありがとうございます。

 ネットワーク型としての特徴があおりになるのかと思います。今までいろいろと質問がありましたが、やはり体制が見えにくいと感じます。もう少し具体性を入れていただく、例えば、この拠点への外からのアクセスに対して、ワンストップ窓口があるとか、どのようなマネジメントが行われているのか、拠点全体の運営事務と各拠点の連携等がわかるとよいかと思います。

 個々の拠点の寄せ集めではなくネットワーク化したことによる効果、さらにはそれらを支える仕組みに対して施設を共有できるというメリットだけでなくお示しいただけると、今後に続くネットワーク型拠点のよい手本になるかと思います。

 以上です。

【生体医歯工学共同研究拠点】 運用に関しましては、確かに、中核機関になっています東京医科歯科大学が中心となって進めておりますけれども、拠点のホームページを開催しまして、そこを窓口にして、例えば、共同研究の募集、どのような分野で募集をしているかとか、そういうところを一括して取りまとめております。

 特に、先ほども申しましたように、4大学、異分野での融合ですので、その間をコーディネートするということで、本拠点で特任の教授を1人雇用することができまして、その方が、運用に関しましても、4大学を取りまとめる形で進めています。

 そういうわけで、個々の活動もありますけれども、その拠点のホームページ、拠点の特任教授を中心としたマネジメントによって、円滑に異分野融合ということが今できていると考えております。

 以上です。今日は資料をお持ちしなかったので、どうもすみません。

【八田主査】 それでは、加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】 ありがとうございます。加藤です。

 13番のところで、融合研究が進んで実績も上がっていますというのは、大変ネットワーク型拠点としていいことだろうなと思います。そこで、先ほどの竹山先生の質問とも似てくるのですが、そうすると、ネットワーク化して、それによって出てきた共同研究の成果みたいなところを見える化していただけると、より分かりやすいかなと思ったんですね。

 14ページで、業績、論文も出ていますというご説明がありましたが、見てみますと、結構、化学・材料系の論文が多くて、私は化学系なので大変うれしいんですけれども、そういうのがうまく生かされた実績が出てくるということが分かるように示していただけると大変うれしいところですが、いかがでしょうか。

【生体医歯工学共同研究拠点】 論文化などのような形では、まだこれからいろいろ増えてくるかと思いますけれども、一応共同研究二百数十件に関しましては、毎年報告書のような形で、どのような研究成果を上げているかということは冊子で取りまとめていて、それをまた今後、そういうところから13枚目、14枚目のようなところも、ネットワークならではのものというのを見せられるようにしていきたいと。どうもありがとうございます。

【加藤委員】 ありがとうございます。

【八田主査】 ほかの委員の方、どうぞ、御自由に。それでは、龍委員、どうぞ。

【龍委員】 ありがとうございます。龍です。

 ただいまの加藤委員の質問と同じような質問かもしれませんけれども。この共同研究というのはどんどん増えているわけですけれども、その中身について、例えば、12ページ目ですか、実績というところで、採択数が200を超していますけれども、この中で、代表者がこの4つの研究機関以外の方がどのくらいなのか。やはり広がりというか、この4つの機関をコアとして、それからどのくらい外に今広がっているのかというのを知りたいと思ったんですけれども。

 それと、もう一つ、募集して、それを採択するときに、異分野の融合という研究なのか、従来型の研究なのかで、採択状況というのが、審査の状況というのが変わるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。

【生体医歯工学共同研究拠点】 今、12枚目にあります採択された数ですけれども、一応これは外からが代表者であるものというのは、80%という数字が出ておりますので、こちらのほうもだんだん増えてきている状況かと我々は思って。

 それから、採択に関しましては、やはり生体工学というキーワードになっていますので、基本的には異分野の融合型というものを中心に進めておりますので、必ずしも既存のものの範疇に入ってしまうものというのもあるかと思うんですけれども、そのような異分野融合型の取組というものに着眼して採択を決定しているという状況ではございます。

【龍委員】 ありがとうございます。

【八田主査】 それでは、小長谷委員、どうぞ。

【小長谷委員】 小長谷です。

 もともと交通費を除くと10万円ぐらいになってしまうという、非常に少ない額に驚き、それなのに頑張ってやっていらっしゃるんだなと敬意を表しますとともに、やはりそうなると、科研のような別途資金を自分たちの努力で持ってこなくてはいけないと思うんですね。その際、こうしたネットワークがあって、それぞれの機関にとっても、共同研究がきっかけになって成功しているというような実感はおありかどうかお尋ねしたいと思います。

【生体医歯工学共同研究拠点】 これが正しい回答になるか分かりませんけれども、拠点の共同研究に関するようないろんな研究テーマ、それを基にした科研費というのは、具体的に数字では出ていないんですけれども、科研費申請、もしくは採択に展開されというのは幾つもあると聞いております。

 できれば、それも数値化して、データの一つとしてお見せするようにしたいと思います。ありがとうございます。

【八田主査】 どうぞ、ほかの委員の方、御質問、御意見ございましたらお願いします。

 それでは、小林委員、どうぞ。

【小林委員】 ネットワーク型共共拠点、これは東京医科歯科が完全にハブになって、他がスポークなのか、それとも4大学が対等に、何か運営委員会みたいなのをつくっていらっしゃるのか。そこは今日の発表で見えてこなかったのですが。どういう組織運営にされているのか。運営とか、予算配分とか、あるいは採択とか、あるいは自己点検とか、どうやっているのか。

 もう1点お伺いしたいのは、知財が発生したときに、知財の帰属はどういうふうに処理していらっしゃるのか。例えば、広島大の方が東京医科歯科の施設を使って何かを生み出したときに、どこの知財になるのか。あるいは、それは第三者としてのベンチャーをつくって、そこに預けるのか。その辺を教えていただけるでしょうか。

【生体医歯工学共同研究拠点】 まず運営ですけれども、毎年、本拠点の4つの研究所の所長による所長会議、もしくは、運営を実際に行っている運営委員と外部の委員を交えるような運営委員会というものを行っております。

 特に、共同研究は、年度末に募集して、年度初めに採択を決めるんですけれども、その際に必ず所長会議と運営委員会を開催しまして、両方でその中身を審議するということで、4つの研究所で一緒に運営管理を行っていると言えるかと思います。

 4研究所、離れていますので、初めは非常に大変だったんですけれども、このコロナをきっかけにオンラインでのいろんな委員会なども開催するようになりまして、それがある程度オンラインでも十分に活動できるということが、この二、三か月で分かってきまして、これからも運営に関しましては、そのようなところを中心に、4研究所で一緒に進めていこうと考えております。

 それから、もう一つ、知財は元宮原所長からお願いします。

【生体医歯工学共同研究拠点】 知財に関しては、通常の共同研究と同じように、コントリビューション、貢献度によって、単独で出願するか、あるいは共同で出願するかというふうに分けられて、拠点だからという違いはなくて、通常の共同研究どおり行っておりました。

【小林委員】 人的なコントリビューションと設備のコントリビューションは、どういうふうに切り分けていらっしゃるのですか。

【生体医歯工学共同研究拠点】 基本的には、当事者同士の話し合いで決めておりまして、拠点全体で統一的に進めているということはやってはいないです。

【八田主査】 ほかの方、いかがでしょうか。

 それでは、時間ですから、観山委員、そして井上委員ということで、お二人からの御発言をお願いしたいと思います。観山委員、どうぞ。

【観山委員】 観山です。

 このネットワーク型ということで、それぞれの大学のポストがあるわけなんですが、例えば、1つは、ちょっと発言にあったと思いますけれども、コーディネーターというのを1人つくられているということでありますが、その方はどこに所属して、どれぐらいの身分の方なのかということをお聞きしたいです。それから、このネットワーク型共同研究のための人事みたいなものはあるんでしょうか。なかなか難しいところだと思うんですけれども、この辺をお聞かせいただければと思います。

【生体医歯工学共同研究拠点】 資料の10枚目に記載しております組織強化ということに書いてありますように、コーディネーターとしては、東京医科歯科大学に所属しておりますけれども、特任教授という立場で雇用しておりまして、本学に所属しておりますけれども、拠点全体を特化して企画・運営している方を雇用しております。

 あとは、そこにもありますように、人事としましては、クロスアポイント制度を活用することによって、今まではまだ2名ですけれども、そういう助教を採用して、その拠点での研究強化を行ってきたという実績になるかと思います。

 以上です。よろしいでしょうか。

【観山委員】 よく分かりました。

 ただ言いたかったのは、1つは、大学というか、ホストは違うわけですよね。4つ組んでいるというところの難しさみたいなものはあまり感じられなかったのでしょうか。

 つまりは、法人化しまして、各大学は、各大学で様々に結果を出してほしいというところと、4つの大学が組んで高い成果を出していくという、要するに、評価、成果というのはどういう。先ほど知財の件もありましたけれども、どのように各大学には判断されているのでしょうか。

【生体医歯工学共同研究拠点】 例えば、クロスアポイントの先生ですと、所属の割合が何%と決まっておりまして、それぞれの大学でその先生の実績を評価するというような形で人材の評価を行っております。

 最初は、御指摘のように、各大学で制度が違っていたので、同じクロスアポイントでも、身分の違いによって、同じ身分で雇用できるかどうかという、そういうところから議論しないといけなかったんですけれども、そこをうまく調整して、2大学だけですけれども、雇用する機会になったという経緯があります。確かに、難しい点はございました。

【八田主査】 それでは、最後に、井上委員、どうぞ。

【井上委員】 井上です。

 ちょっと話題が変わってきているかもしれませんけれども、機器開発から臨床までつながっているということで、非常に効果的な拠点になっているかと思うんですけれども。臨床を提供できるキャパというのは十分なのかということと、こういったたぐいのネットワーク型というのは、もう新たに認められにくくなっているかと思うんですけれども、臨床研究をやっているような拠点というのは、ほかにもたくさん多分あると思う中で、そこへの窓口になるとか、そういうところを巻き込むような展開というのは可能なのかというのは、いかがお考えでしょうか。

【生体医歯工学共同研究拠点】 臨床研究というと、医科歯科大学が中心になって行うんですけれども、臨床の先生方も新しい技術、あるいは本当に役立つ技術に興味を持っておりますので、もちろん事前の議論は必要ですけれども、先生方、その環境が認められれば、臨床研究は行うことができます。

 そして、ほかの拠点、あるいは、ほかの大学のそういう医療機器の開発の研究者も、もちろん参画することは可能でして、拠点の公募のときに応募していただければ、本拠点の制度を使って臨床評価に持っていくということは可能でございます。

【井上委員】 臨床を提供したいという外部の病院とかがあった場合に、それは共同利用に応募しにくいのではないかと思うんですけれども、そういうところの窓口になることで、今だと医科歯科大学だけが臨床を提供しているんでしょうけれども、全国に展開することは可能かというところをお聞きしたかったんですけれど。

【生体医歯工学共同研究拠点】 そうですね。なかなかすぐに制度的には難しいかと思うんですけれども、将来的には、そういうことも拠点として考えていくべきかなとは思います。現状では、やはり医科歯科の附属病院、我々も医歯工連携を強く本学ではうたっていますけれども、なかなか生材研ではカバーしきれない工学分野は一杯ありますので、それを拠点を活用して医歯工連携、臨床応用ということを実施しているという状況ですので、先生のおっしゃる方向への展開もちょっと見据えていきたいと。どうもありがとうございます。

【八田主査】 ありがとうございました。

 時間になりましたので、今回の意見交換はここまでということで終了させていただきます。本当に御説明ありがとうございました。

【生体医歯工学共同研究拠点】 どうもありがとうございます。よろしく。

【八田主査】 いただいた今までの御意見は事務局にて整理いただきまして、次回以降の議論の参考にさせていただきたいと思います。

 それでは、次は、資料2「ネットワーク型共同利用・共同研究拠点の在り方について」でございます。これまでの議論を踏まえて、本部会としてネットワーク型拠点に関する考え方を今後まとめてまいりたいと思いますが、まず、そのたたき台を事項案として事務局が用意しておりますので、事務局から説明をお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 事務局でございます。御説明いたします。

 通し番号の19ページ、資料2でございます。前回まで御議論いただきましたネットワーク型拠点に関する御議論ですとか、あるいは、前回資料でお示しいたしました過去の参考書にございますネットワーク型拠点などの記述を、このような形でまとめまして事項案ということで、このような要素を盛り込んだものを何らかこの作業部会として今後取りまとめていってはどうかというような案でございます。

 それでは、読みながら御説明をさせていただきます。

 1つ目の丸でございますが、まず、そもそもの共同利用・共同研究推進の意義としまして、学術研究の重要性、共同利用・共同研究の効果、この拠点制度の意義、それから、研究者コミュニティにおける役割。それから、政策的に推進する必要性などから述べてはどうかと思っております。

 それから、2つ目の丸、この拠点制度が果たしてきた役割でございますが、平成20年度に制度を創設したこと、大臣が認定する制度を施行したこと、大学の枠を越えた共同利用・共同研究の実施ということに取り組んできたこと。2つ目のポツですが、国公私立大学を通じ幅広い関連研究者が利用できる制度として運用してきたことなどを述べてはどうかと考えております。

 3つ目の丸、共同利用・共同研究拠点制度におけるネットワーク型拠点の重要性としまして、2つ目のポツでございますが、本制度における単独型拠点とネットワーク型拠点を併存させるということ。それから、3つ目のポツ、この制度改正によりまして、連携ネットワーク型拠点の実施をこれまで行ってきたということ。

 続いて、4つ目の丸でございますが、ネットワーク型拠点の有効性といたしまして、1つ目のポツ、学術の発展、研究の多様化に応じた柔軟な組織編成、研究の深まりに伴う新たな研究課題の設定が可能であること。2つ目のポツ、異分野融合や新たな学問領域の創成に向けた取組の促進。3つ目、単独の研究施設の規模を超えた研究基盤構築、共同利用・共同研究への対応ができるということ。4つ目、拠点としての活動や研究者交流の活性化、学生・若手研究者の人材育成機能強化、構成機関間における技術職員の連携などが促進されるということ。それから、5つ目、ネットワーク型拠点の各構成機関における施設・設備の効率的な整備や運用、資源配分ができるということ。

 それから、一番下の丸でございますが、今後の展開と課題といたしまして、1つ目のポツ、ネットワーク型拠点の有効性を踏まえた推進の重要性、2つ目のポツ、ネットワーク型拠点に関する制度的な位置付けの明確化の必要性。3つ目のポツ、ネットワーク型拠点の構成機関数と中核拠点の役割、それから、外部利用者に開かれた運営の必要性。4つ目のポツ、このネットワーク型拠点の評価の在り方、それから、認定と取り消しに係る検討の必要性などを挙げてございます。

 それから、次の20ページに参りまして、1つ目の丸、大学共同利用機関との連携といたしまして、前回も述べましたが、平成30年12月に研究環境基盤部会でまとめられました報告書に指摘されております、大学共同利用機関との共同利用・共同研究拠点の連携の重要性。

 それから、ネットワーク型拠点への支援の検討ということで、1つ目のポツ、既存拠点への基盤的経費の支援の在り方を含め、ネットワーク型拠点の支援方策の充実の必要性。前回から先生方にもたくさん指摘いただいております、ネットワーク型拠点への支援をもう少し充実させるべきではないか、インセンティブをもっと付与するべきではないかという点でございます。それから、点の2つ目、共同利用・共同研究拠点制度における評価結果の尊重及び全体の拠点数。ここで全体の拠点数といいますのは、はっきりここには書いておりませんけれども、以前お示ししましたように、前期の委員会でも、拠点の数があまり増え過ぎないようにという全体の数に対する御意見もございましたので、そういったバランスを見ながら、第4期に向けた拠点の認定を考えていくべきではないかという意味でございます。

 それから、最後の丸、ネットワーク型拠点の制度上の位置付けの明確化ということで、先ほども制度上の位置付けの明確化は出てまいりましたが、ここに書いてございます「共同利用・共同研究拠点、国際共同利用・共同研究拠点の認定に関する規程」という文部科学省告示がございますので、この告示の中にしっかりネットワーク型拠点を位置付けるということの必要性についても触れてはどうかと考えてございます。

 以上が、事務局で今のところ考えておりますネットワーク型拠点の在り方についての事項案でございます。先生方、御意見ございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

【八田主査】 ありがとうございました。

 このような事項案という形でまとめていただきました。これをまた今後使っていきたいと思い、たたき台として今日は示していただきました。どうぞ、御質問、御意見、あるいは、ここはこのように変えればということがあったら、手を挙げていただいたらと思います。

 小林委員、どうぞ。

【小林委員】 小林です。

 一番議論しなければいけないのは、なぜネットワーク型共共拠点が増えないのかということです。参考資料2を見ていただくと、通し番号で言うと42ページになりますが、これだけということになるわけです。本当にネットワーク型共共拠点は、事項案にあるとおり、非常に意義も高い。では、なぜ増えないのかということです。

 先ほど質問させていただきましたが、質問の意図を御理解いただけなかったようですが、私は、やはり今の事項案で言うと、2枚目、20ページ、上から2番目の丸、支援の問題があるのではないかと思います。

 参考資料2の、通し番号で言うと45枚目のところですが、このネットワーク型拠点(制度概要)の予算のところを見ますと、「認定に伴う経費」と「プロジェクト経費」は、「単独拠点」と同様に出す。それから、中間評価で加算をすると。これであれば、増えていいはずです。

 なぜ増えないのかというと、私の何か誤解があるかもしれませんが、4つの大学がそれぞれが一つずつ共共拠点で申請したときの基盤的経費の支援よりも、教員の単価計算が下がるのではないかということです。つまり、4拠点の100人ずつが1か所に集まれば、事務はその4倍は要らないです。でも、実際には100人ずつが4か所別々にいるわけです。先ほどのヒアリングでも回答はなかったのですが、アンブレラな委員会とかというのはどうなっているのかということが十分に御説明いただけなかったのですが、毎年所長が集まっている。それだけだと変わらないかもしれませんが、実際には、そこのコミュニケーションコストというのはかかるはずです。そうすると、4つの拠点が集まったときに、4ではなくて、5コストがかかっているかもしれない。しかし、その一方で、スケールメリットで教員の単価計算が減らされる。そうしたら、ネットワークを組まなくて、別々に共共拠点でいたほうがいいのではないのか。実際には、申請しなくても、お互いに研究は相互に自由にできますから。多分、その辺がボトルネックの一つではないかと思います。

  ほかにもボトルネックは多分あるだろうと思います。それが何なのかということを、今日、もうちょっとヒアリングを通して知りたかったのですが、どうも当該拠点の評価をしているというふうな捉え方があったのかどうか、いい面だけを言われたので、それではピンとこないなという気がしました。

以上です。

【八田主査】 ありがとうございました。

 事務局からは、何かこれに関してございますか。

【吉居学術機関課課長補佐】 ありがとうございます。事務局でございます。

 今ほど小林先生から御指摘のございました、教員の単価計算が下がるのではないかというところは、計算の方法については、以前にお示ししたこともございますが、教員の数に応じて基本的には算定されるんですけれども、ネットワーク型拠点になりますと、4研究所、5研究所というような大きな数になってまいります。そうしたときに、非常に教員の数が増える。増えた場合に、対応する係数というのが現在設定されておりませんで、その分を中間評価の評価に応じて調整員の人件費を配分するというようなことになっておりますので、今ほど先生がおっしゃいましたコミュニケーションコストという点では、その調整員の人件費を措置するというのは、それは理にかなっているのかなと思いますけれども、その単価計算の部分は、ネットワークの実情に応じた形に、もう少し制度を設計し直す必要があろうかなと考えております。

 以上でございます。

【八田主査】 どうぞ、ほかの方。それでは、観山委員、どうぞ。

【観山委員】 ありがとうございます。

 この在り方について、よくまとめられていると思いました。一方で、重要度のレベルが違うものが、並列的に書かれているなと思いました。

 やはり私、1つ思うのは、これ、国公私立大学を通じた幅広い研究者連携が構築できるというところは、1つの大きなメリットだと思います。特長だと思います。今、リストを見ると、県立大学との連携はあるようで、私立大学が入っているというのはまだないようです。やっぱり大学という観点から見ると、国立、公立、私立と、それぞれの特色を持ったセンター、研究機関をお持ちですので、それがうまく連携することによって新たなものを生み出すという仕組みというものはなかなかありませんので、ぜひ、うまく働ければいいなと思っております。

 それから、もう一つは、評価の在り方ですよね。これはやっぱりよくよく注意しないと、4つ組むとどういう効果が出たんですかというところを聞いて、1つの研究拠点とは評価の在り方がどうしても違ってくるのではないかと思いまして。評価のありように関しては、ちょっと注意深く見ないといけないかなと思います。

 それから、もう一つは、これがどんどん発展した場合に、その行く先みたいなものはどんなことが考えられるのかなと思った次第です。

 最後は感想みたいなものですけど、以上です。ありがとうございます。

【八田主査】 ありがとうございました。

 これ、事務局はいかがですか。何かコメントとかございますでしょうか。

【吉居学術機関課課長補佐】 ありがとうございました。

 特に評価の在り方については、ネットワークがどういうふうな効果をもたらして、いかに有益だったかというところが、まだちょっとくみ取れていないところがあると思いますので、そこは今後よく検討してまいりたいと思います。

【八田主査】 ありがとうございました。

 ほかの方、どうぞ、御意見、御質問賜りたいと思います。それでは、井上委員、どうぞ。

【井上委員】 どうも、井上です。

 評価というのかどうか分からないんですけれども、どの規模のコミュニティにサービスを提供できているかということも重要かと思うんですが。今日ちょうど紹介いただいたようなものというのは、コミュニティの中核としての役割というのがどうなっているかというところがちょっと分かりにくくて、機器開発から臨床まで実際につながっているのはごく一部で、同じように医工連携というのはそこら中でやっているんだけれども、そのコミュニティの中核としてのサービスはできていないという、そういうところも、評価といいますか、新たな拠点を認めるときも、コミュニティの本当の中核たり得るのかというところも考えないといけないのではないかなと感じました。

 以上です。

【八田主査】 ありがとうございました。

 事務局、この点はよろしいでしょうか。

【吉居学術機関課課長補佐】 ありがとうございました。特にございません。

【八田主査】 それでは、小長谷委員、どうぞ。

【小長谷委員】 今のことなんですけれども、やはり単独の拠点がコミュニティに対してサービスするというのと、かなり異質なのではないでしょうか。このネットワークを組んだ人たちにおけるサービスというか、そこで成果を上げること自体が、広く見えないコミュニティをつくっていったり、より広いコミュニティにサービスするのであって、A、B、C、Dが持っているそれぞれのコミュニティに対して、A、B、C、Dコミュニティに対してサービスしている場合ではないというか、A、B、Cで組んだことによる新たなサービスの創造みたいな、そういうネットワーク型拠点の共同利用・共同研究拠点の在り方そのものというのは、今までのものとそんな連続的に考えられない、新しいものが生み出されているのではないかと思います。

 例えば、今日の御発表でも、素材開発から臨床までの開発のスピーディさみたいな、一気通貫してやれるとか、そういうものを見させていただいたような気がしております。

【八田主査】 ありがとうございました。

 どうぞ、ほかの方、御意見、御質問、御自由に賜りたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 それでは、井上委員、どうぞ。

【井上委員】 小長谷委員のおっしゃること、非常によく分かりまして、今日の拠点というのは、うまくいっている拠点だと思うんですが、例えば、別の強磁場の拠点とかだと、いろんな種類の強磁場が組んで、強磁場コミュニティ全体にサービスをするようなネットワーク型となる組み方もあると思うんですけれども。今回は、また新しい組み方というのを提案して、それがいつかは全コミュニティに展開されてほしいと思うんだけれども、その道筋というのをちゃんと、担保と言うとおかしいんですけど、見通してほしいなという気がしました。1つのプロジェクトだけだと、やはり全国共同利用としてちょっと不十分かなという気がしました。

【八田主査】 どうぞ、ほかの方、何か御意見、御質問ございましたら、挙手をお願いします。

 それでは、安達委員、どうぞ。

【安達委員】 先ほどの生体医歯工学の拠点の15枚目のスライドには、課題として、ネットワーク外の機関との連携は深まったが、拠点内の柱となるテーマの創生があまりはっきりしなかったとお書きになっていました。

 逆に言いますと、ネットワーク型というのは、異分野の連携でも、同じ分野の連携でも、そこで何をするのかという、はっきりとした具体的な共通の意識を持って動いてきたかどうか、それで成果が上がったかどうかを見ていく視点を、まとめていただいた資料2の丸の項目の中に含めて考える必要があるのではないかと思いました。

 以上です。

【八田主査】 ありがとうございました。

 いかがでしょうか。どうぞ、どなたか、この件に関してございませんでしょうか。御質問、あるいはコメントでも結構ですけれども。

 いかがでしょうか。

 それでは、龍委員、どうぞ。

【龍委員】 龍です。

 感想なんですけれども、ネットワーク型の、特に異分野融合、先ほどのような、そういう拠点の場合には、新しい学術領域をつくるというよりも、どちらかというと社会の課題解決といいますか、社会の要請に応えてというような、そういう意味合いがかなり強いような気がしました。

 ですから、このネットワークというのは、ずっと続くのではなくて、どこかでやはり終わるといいますか、6年ですとか、12年ですとかというような、そういったものなのかなという気がしました。コメントです。

【八田主査】 ありがとうございました。

 ほか、いかがでしょうか。どうぞ、御自由に御発言をお願いしたいと思います。

【吉居学術機関課課長補佐】 すみません、先生、事務局でございます。

 今の龍先生の意見に関係して、先生方に少し御意見をお伺いしたいんですが、今のところ、年限ですとか、そういったことについては、単独拠点とネットワーク型拠点に差はなくて、同様に扱っているわけですけれども、今先生がおっしゃったような、ある程度年限を決めてネットワークを組むですとか、あるいは、ネットワークの構成機関数についても、特に今のところ定めがないんですけれども、何機関以上がやっぱり望ましいのではないかですとか、そういった視点で何か御意見がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

【八田主査】 いかがでしょうか。今ございましたように、年限、そして構成機関数に関して、何かお考えをお持ちの先生ございましたら。

 それでは、竹山先生、どうぞ。

【竹山委員】 ありがとうございます。

 全般的に言えることかと思いますし、先生方も日ごろお感じになっていることかと思いますが、サイエンスの進歩・発展というのは非常に速いことから当初の計画は随時見直しをしながら進める必要があると思います。

 今回、ネットワーク型としての目指すものがあるかと思います。解析技術などの発展に伴って1期、2期、3期という拠点の見直しを考慮したロードマップが本来あるべきだと思います。本日も、新任のセンター長からのご説明でしたが、なかなか説明できない状況もおありになったように、拠点が継続されていくにしたがってメンバーの変化や環境の変化も起こり、ミッションも、モチベーションも、変化することが予想されます。そういうことを考えると、外部評価だけでなく拠点内部からの判断で継続縮小等の選択をしやすくするのも必要かと思っています。

 機関の数に関しては、その機関の規模も考慮する必要があると思いますが、機関数だけではなく、ネットワーク形成とは何か、という点から最低ラインが決まってくるかと思います。

 以上です。

【八田主査】 ありがとうございました。

 それでは、観山委員、どうぞ。

【観山委員】 45ページに拠点の構成のイメージというのがあって、これを見ると、割としっかりした拠点が結びつくというような形態と、あと、中心的なものがあって、それに連携したみたいな組み方があるということがあって。先ほどの年限と、私も質問した、先のことをちょっと考えると、やっぱり性格によって、私はフレキシブルであるほうがいいのではないかなと思うんですよね。
やっぱり新しい学術の創生とかいう形で言うと、ある程度頑張ってみたんだけれども、なかなかうまくいかないねというのは、学術ですから当然あって、そういう場合には、そのネットワークを解消するということもあろうかと思いますが。それはやっぱり学術の進展に依存しますし、それから、この形で言うと、上のネットワーク型拠点という面で言うと、分かれてもそれぞれのものはしっかり生き残るという形になろうかと思いますが。

 例えば、2番目の連携ネットワーク型だと、この先、非常にうまくいけば、ある種の割と新しい集中的な拠点を作ってみるほうがいいとかいうような行く先も見えてくるかもしれませんし、やっぱりそれぞれのネットワーク型拠点に依存して、年限とか、数とか、特に連携ネットワーク型の場合には、もしかすると数は結構大きくなるような可能性もあるのかなという感じもします。はっきり明確に言えませんけれども、その性格によってそれぞれ考えるべきで、初めから、例えばこれは6年ですよとか、数は何件以下ですよというふうな、ちょっと固定したような形にしないほうが私はいいと思いました。

 以上です。

【八田主査】 ありがとうございました。

 それでは、小長谷委員、どうぞ。

【小長谷委員】 共同利用・共同研究拠点制度のなかでも、ネットワーク型拠点というタイプを突破口にして、この共共拠点制度自体の価値も高めていこうとするときに、やっぱり今までの考え方と同じ中に1つつけましたと言っても、なかなかインパクトがないので、たとえば、これは、限りなく時限付きのソフトプログラムに近い形で、可塑性のある制度として一推ししていくというのも、1つの大きな共共拠点制度全体の戦略ではないかと思います。

 本当に基礎中の基礎が集まって幾つかすることによって、1つの基礎になるということもあるかもしれませんけれども、もうそれぞれがある基礎ですから、それらの組合せというのは、時限付きソフトプログラム的な要素を持ってネットワーク制度を運営していくという方法は、あり得る戦略だと思います。

【八田主査】 ありがとうございました。

 ほかの委員、何か御発言ございませんでしょうか。それでは、小林委員、どうぞ。

【小林委員】 とにかく今は少ないネットワーク型を増やすには、今のところ、単独の共共拠点かネットワーク型の共共拠点か二者択一のようになっていますが、そうではなくて、単独の共共拠点が従来どおりある。時限的に、期ごとにさらに加えてネットワークを認定してはどうかと。ネットワークを認定したときには、ネットワーク加算をするという形であれば、もう少し増えるのではないかと思います。

 ただ、それは固定しない。毎回、期ごとに認定をもう一回し直してもいいと思いました。

 いずれにせよ、今の形ですと、必ずしも係数がないということでしたが、3つの拠点が集まって、経費はコミュニケーションコストを考えれば、4になる。だけども、支援のほうは、3ではなくて、2.5になると。そうすると、やはりどうしてもインセンティブはないと思うのです。ですから、単独の拠点の支援をベースにして、ネットワークを組んだところは、その実績に応じて加算する。でも、それはあくまでもその期だけというふうにすれば、もう少しインセンティブは出てくるのではないかなという気がします。

 以上です。

【八田主査】 ありがとうございました。

 ほかの委員の方々、いかがでしょうか。それでは、村上委員、どうぞ。

【村上委員】 ありがとうございます。村上です。

 私も小林先生の意見に非常に賛成で、現在ある拠点がネットワークを組んだときに、それに対して加算して、新たな研究分野を創成していく。それも時限措置であるというのは、非常にやりやすいのではないかと思いますし、拠点にとっても、ネットワークを組みやすいのではないかと思います。

 以上です。

【八田主査】 ありがとうございました。

 ほかの委員の方、いかがでしょうか。時間が大分過ぎておりましたので、もうあとお一方、何かございましたら御発言を受けたいと思いますけれども。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、ありがとうございました。いろいろな御意見賜りました。ただいまいただいた御意見、あるいは御提案もございました。事務局で整理をしていただきまして、適宜本資料に反映して、また次回議論をしたいと、そのように思います。ありがとうございました。

 それでは、次の議題に参ります。議題(2)は、人文・社会科学の特性を踏まえた期末評価等の在り方についてでございます。
前回6月の本会議では、「国立大学の共同利用・共同研究拠点等の認定・評価に関する基本的な方向性について」に基づいて、評価調書の改善事項について見直しを図りました。

 本日は、改めて議論することにしておりました人文・社会科学系の評価について、国立大学附置研究所・センター会議から御出席いただき、人文・社会科学系の第三部会からの要望について御説明いただいて、意見交換をしたいと思います。

 事務局から、参加者の御紹介をお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 御紹介いたします。国立大学附置研究所・センター会議から2名の先生に御出席いただいております。

 国立大学附置研究所・センター会議会長、東京大学大気海洋研究所所長、河村知彦先生でいらっしゃいます。

【国立大学附置研究所・センター会議】 河村です。よろしくお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 よろしくお願いします。

 それから、同じく国立大学附置研究所・センター会議人文・社会科学系の第三部会部会長、京都大学こころの未来研究センター、センター長、河合俊雄先生でいらっしゃいます。

【国立大学附置研究所・センター会議第三部会】 河合です。よろしくお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 以上でございます。

【八田主査】 それでは、国立大学附置研究所・センター会議第三部会から、大体15分程度御説明いただいて、意見交換を行います。それでは、御説明をお願いします。

【国立大学附置研究所・センター会議第三部会】 御紹介いただきました、京都大学の河合です。よろしくお願いします。

 資料3-1を御覧ください。通し番号の21ページだと思います。人文・社会科学研究の評価基準について、国立大学附置研究所・センター会議第三部会から御提案したいと思っています。

 それで、昨年度行われました共同利用・共同研究拠点事業の中間評価につきましては、人文・社会科学系研究拠点の多くがそれまでの評価と異なってかなり低い評価を受け、大きな衝撃を受けました。評価基準が人文・社会科学系の研究に必ずしも即していない点があったことがこのような低評価と混乱をもたらしたのではないかと、こちらのほうでは考えております。

 そこで、人文・社会科学系の国立大学附置研究所・センター全てが所属する第三部会で、共同利用・共同研究拠点事業の評価基準に関する意見を以下のとおり集約しましたので、ここで御紹介したいと思っています。別紙のほうに具体的に書いてありますので、そちらに従って御説明したいと思います。別紙のほうは、通し番号では25ページになると思います。よろしいでしょうか。

 全般的事項なんですけれども、人文・社会科学系で評価する項目で、該当しない場合というのが非常に多く出てくるので、該当する項目のみ、つまり、必須の項目と選択項目について分けていただくとありがたいというのが全般的なことです。

 それが一番全般的なことで、次の2-1のところに移りますけれども、拠点が非常に多様なので、一律の基準ではなくて、拠点の目的とかミッションに応じての達成度を記述できるようにしていただければと考えています。

 そして、2-2のほうですけれども、成果として論文数ということが非常に強調されているんですが、もちろん理系基準の場合、それは非常に大事なことだと思うんですけれども、人文・社会科学系からすると、雑誌掲載論文だけではなくて、国際論文集などに掲載された論文の数も含めるようにしていただきたいということが大きなことです。

 そして、もうちょっと下に行きまして、特に理系の場合だと、国内・国際共著論文というのが非常に重要になるんですけれども、多くの人文・社会科学系拠点ではそういう共著論文というのはあまり見られないので、任意にしていただきたいというのが主張です。もちろん、人文・社会科学系でも、心理学などは共著論文は非常に多いんですけれども、それがそぐわないところがあるということです。

 次に行きまして、インパクトファクターを用いることが適当でない分野というのが存在いたします。人文科学系では、特にインパクトファクターを持つ雑誌への論文掲載を記載することが難しいので、インパクトファクターとして測ることができなくても、分野での質の高い論文について記述する場合に、雑誌論文のみでなくて、書籍及び、先ほども出ました論文集掲載論文の記載も認めていただきたいということです。そして、その質を評価する根拠データとして、いろいろ挙げたんですけれども、学術誌や専門書での書評とか、海外における翻訳があるとか、その論文・書籍の社会的文化的なインパクト、5番目にあります発行部数やダウンロード数、さらには、受賞などの個々の論文で異なる、多様な評価指標が考えられるということです。

 そして、さらに、共同利用・共同研究による成果として発行した研究書なんですけれども、それには、人文・社会科学系の場合、多様な業績が考えられる。つまり、昔の文献を翻訳したとか、注釈したとか、あるいは、それを校訂したとか、そういうことも学術的成果として重要である。あるいは、各種の目録とか資料集、辞典とか辞書、文法書とか語彙集などの基礎資料も業績として重要として考えられるのではないか。あるいは、さらには、考古学・人類学などのフィールド調査報告なども、学術書の数に含まれるように明示していただきたいということです。

 それから、次の項目なんですけれども、先ほど国際共著論文とか共著論文の話をしたと思うんですけれども、編著者名というのが研究業績において、人文・社会科学系の場合に重要な情報であるために、書名のみでなく編著者名も記入すべきである。これは、共同研究というのがされる仕方が違うというか、こういう論文集の編集をするという形での共同研究というのが割と多いためであると思われます。

 そして、長期スパンの研究ということがどうしても多くなるので、その研究成果の掲載・刊行には多くの時間を要することが多くなってしまいます。そこで、自由記述欄に「刊行計画」なども記入するようにしていただきたいという希望です。
それから、共同利用・共同研究の活動状況なんですけれども、「民間機関」だけではなくて、「NPOとか地域等」記入、公共団体などもそうなんですけれども、記入欄を設けていただきたいということです。

 そして、次の共同利用・共同研究を通じた国内外の現地社会への成果還元活動ということですけれども、「NPOとか地域等」の区分を加えることによって、地域社会への成果還元に特化した記述を行うことができる欄があることが望ましいのではないかと考えています。

 それから、共同利用・共同研究に関するシンポジウム等の実施状況なんですけれども、件数と参加人数のみでなくて、開催日数も入れられればと考えております。

 データベース、デジタル・アーカイブの構築・公開状況なんですけれども、社会科学系のデータは既存の「データの作成・公開状況」に記入できるものもあるんですけれども、データベースとかデジタル・アーカイブは、社会科学系の調査データとか自然科学系の観測・実験データとは性格が異なるために、人文科学系の場合ですけれども、現行のフォーマットを利用するとすれば該当しない欄というのが出てまいります。例えば、「性能」とかいうのは、もちろん自然科学系では大事なことなんですけれども、人文科学系にはなじまない。あるいは、数として、「共同利用・共同研究者利用件数」というのがあるんですけれども、そのようなものを項目の読み替えとか数字のカウント等について説明が必要な場合があります。例えば「蓄積量」という項目を収録データ数と読み替えて、「総利用件数」をアクセス数と読み替えることは可能なんですけれども、人文科学系の場合ですが、多くが一般公開であるため、共同利用・共同研究者のアクセスを特定することができないということがあります。だから、無理に読み替えて記入するよりも、選択項目として新たなフォーマットを作ったほうが分かりやすいと考えられると思います。

 非常に多様なので、人文科学系、社会科学系の中でも、それぞれの基準が異なっているために、かなりいろんな項目をここで羅列したような印象もあるかもしれませんけれども、その多様なことを評価する方法を考慮していただければと、第三部会のほうでは考えています。よろしく御審議のほうをお願いします。

【八田主査】 ありがとうございました。

 第三部会からの御要望、あるいは御提言でございましょうか、賜りました。

 私ども、専門がこういう理科系ではなくて、例えば、小林委員も、あるいは小長谷委員もそうなんですけれども、こういう人文・社会科学のところの評価とか審査をどうするのか、本当にいつも頭を悩ませている問題でございます。

 ただいまの御説明内容について、評価調書の該当箇所とそれに対する対応の方向性について、事務局で案を作成しておりますので、その案の説明をまず聞いてから、御意見を賜りたいと思います。それでは、事務局の吉居補佐のほうからお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 事務局でございます。御説明いたします。

 27ページ、資料3-2をご覧ください。今ほど河合先生から御説明いただきました内容につきまして、先生にも御了解いただきまして、このような形でまとめさせていただいております。

 資料の構成でございますが、左上に要望1とありまして、丸、拠点の目的・ミッションとありますが、ここに先生から先ほど御発表いただいた内容を、論点ごとに抽出させていただきまして、それに該当する評価調書の該当箇所を、下半分の大きな四角でくくっておりますが、こういう表として今まとめられている点について、先生から御発表いただいたということを分かるようにしてございます。

 その御要望に対する検討をどういうふうにするかということで、青字を方向性(案)ということで、あくまで事務局の案でございますが、その一つ一つの要望に対して、こういうふうに対応してはどうかという案を具体的に示してございますので、これらの点について御説明をさせていただきたいと思います。

 左上の折れ括弧に要望マル1とございますが、この要望マル1、要望マル2という、この番号で進めさせていただきたいと思います。

 まず要望マル1でございますが、拠点の目的・ミッションと達成度について、自由記述を大きめの欄で説明できるようにしていただきたいということで、下の箱にありますような欄に今なってございますが、青字の方向性でございますけれども、現在も自由記述としておりまして、記入要領において、これにつきましては、「拠点の目的・ミッションとその達成度」も記載できるように例示するということで、記載いただくという対応でどうかと考えております。

 次の要望2でございます。「国際学術誌掲載論文数」でございますが、雑誌掲載論文だけではなくて、国際論文集等に掲載された論文の数も含めるようにしていただきたい。それから、国際的な学術言語が日本語である日本研究を行う拠点については、この項目を非該当とした上で、数字の読み取りに不利にならないよう、日本語論文を適切に評価していただきたいということで、下の枠の中にある赤枠でくくった箇所が御指摘の箇所でございますが、この箇所につきましては、まず1つ目の国際論文集につきましては、次の29ページに赤枠で示された部分がございまして、少し先生方の御意見を伺いたいところでございますが、赤枠に、従来から米印、「学内の紀要等に発表されたものは対象外とします」としておりまして、この共同利用・共同研究による成果として発表された論文のカウントに学内紀要は含めないという扱いとしております。こういう規定がある中で、ここに国際論文集を含めるかという論点につきましては、ぜひ御議論をいただきたいと考えております。

 また、1ページ戻りまして28ページですが、もしその国際論文集を対象に含めるという場合ですが、青字の方向性(案)の1つ目のポツ、米印にもありますように、記入要領に、”「うち国際学術誌掲載論文数」の計上に当たっては、国際論文集に掲載された論文数についても計上して差し支えありません”といたしまして、集計対象の変更に伴う各拠点の作業負荷も考慮しまして、計上に含めたい場合は含めても支障はないという表現としてはどうかと考えてございます。

 それから、2つ目の論点につきましては、必要に応じて備考欄に記載いただいてはどうかと考えてございます。

 特に1つ目の国際論文集の部分につきましては、京大の河合先生、補足の御説明等、何かございますでしょうか。国際論文集に掲載された論文の数も含めるという点につきましては。

【八田主査】 河合先生、いかがでしょうか。どうぞ。

【国立大学附置研究所・センター会議第三部会】 特に人文科学の場合、はっきりとした国際誌というのが理系のようにしていない場合があるので、国際論文集に含まれていると、それも査読付きの場合が多いので、評価していただくというのは非常に大事なことかなと考えています。よろしくお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 ありがとうございます。

 それでは、まず説明を最後まで通してさせていただきたいと思います。

 次、30ページの要望3でございます。国内・国際共著論文につきまして、人文科学系拠点ではあまり見られない論文発表形態なので、記入を任意としていただきたいということでございますが、方向性(案)にありますとおり、研究分野の特性を踏まえた著者の構成の事情等は、必要に応じて備考欄に記載いただくということにしてはどうかと考えてございます。

 それから、要望4でございます。32ページでございますが、インパクトファクターを用いることが適当でない分野の場合ということで、インパクトファクターを用いることが適当でない分野での質の高い論文について記述する場合、雑誌論文のみならず、書籍及び論文集掲載論文の記載も認めていただきたい。それから、2つ目としまして、社会的・文化的なインパクトですとか、発行部数、ダウンロード数、受賞等々、多様な評価指標が考えられるので、1つの理由説明欄だけでは足りない、1行ごとに備考欄が必要だという御指摘でございますが、下の枠内の欄を見ていただきますとお分かりいただけますが、赤枠で囲った「インパクトファクター以外の指標とその理由」という欄がまとめて書くような記載になっていまして、下の「雑誌名」、「掲載論文数」という欄に1行ずつ対応してございませんので、まず「インパクトファクター以外の指標とその理由」につきましては、記載する雑誌ごとに記入できるように、右側に備考欄のようなものを追加するという形ではどうかと考えております。

 それから、「雑誌名」、「掲載論文数」だけではなくて、書籍等も記載できる項目として修正するとともに、その他の参考情報については、上記の「インパクトファクター以外の指標とその理由」欄に必要に応じて記載いただくという対応でどうかと考えております。

 要望5でございますが、多様な研究業績、文献の翻訳・注釈・校訂等々、そういったものも学術書の数に含まれるように明示していただきたい。それから、編著者名については、書名のみでなく編著者名も記入すべきであるという御指摘をいただいております。

 方向性といたしましては、共同利用・共同研究の成果によるものでございましたら、そういったものも記載できる旨を記入要領のほうに追記してはどうかと考えております。

 それから、研究書につきましては、「編著者名」を記載する欄を追加してはどうかと考えております。

 次、要望6でございます。長期スパンということで、「刊行計画」も記載できるようにしていただきたいということでございますが、「刊行計画」につきましては、現在の評価調書におきましても、必要に応じてアピールポイントを自由記述として記載できますため、現行どおりのままでよろしいのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

 それから、要望の7番目、共同利用・共同研究の参加状況につきまして、「NPOや地域等」の記入欄を設ける。それから、受入人数と延べ人数の間に開催日数の項目を入れてほしいということでございます。

 方向性(案)としましては、「NPOや地域等」からの参加状況につきましては、現状、「その他」の区分において計上できることとなっておりますが、多様な区分をより明確にするため、この表とは別に、「その他」の内訳を書いていただくような欄を設けまして、「その他」の区分に計上がある場合は、その具体的な所属・内容等を記載できる欄を追加してはどうかと考えております。
それから、開催日数につきましては、「延べ人数」をここに記載することとなってございますので、延べ人数を計算する上で、その開催日数というのは計算式に入ってきますので、現行どおりのままでよいのではないかと考えてございます。

 要望の8番目、共同利用・共同研究を通じた国内外の現地社会への成果還元活動ということで、地域社会への成果還元に特価した記述を行うことができる欄が直近にあることが望ましいということでございますが、前回の会議でも御議論いただきましたが、ここの部分は少し変えておりまして、評価調書にそういった「多様な機関等との連携の取組、産学連携や社会・地域との連携の取組」について、前回変更案をお示しして賛同いただいておりますので、その方向で記載いただくということでどうかと考えております。

 要望の9番目でございますが、件数と参加人数のみでなく、開催日数を入れるべきということで、シンポジウムについての開催日数を入れるべきという御指摘をいただいておりますが、下段の枠を見ていただきますと、水色に塗ってある枠がございますが、この枠のところでシンポジウムの総数を足していただきまして、その内訳で主立ったものを下段の「主なシンポジウム、研究会等の開催状況」ということで、主なものだけ内訳を示していただくというような構成になっておりますので、この開催日数につきましても、この「主なシンポジウム、研究会等の開催状況」について記載いただくということにいたしまして、現行のフォーマットで対応するということでどうかとは考えております。

 それから、最後、要望の10番目でございますが、データベース、デジタル・アーカイブの構築・公開情況につきまして、ここの表にある項目がちょっと合わないのではないかという御指摘でございますが、方向性(案)では、それぞれの欄が合致する名称とは必ずしもなっていないが、記入要領におきまして、「利用件数」についてはデータへのアクセス件数を記入し、利用件数をカウントできないものについては欄外にその理由を記入するなどと示しておりますので、現行の欄で御対応いただくということではどうかと考えております。

 それから、「性能」の表記については、「価値」等の適切な表記を検討するというのは、これは事務的な修正漏れでございまして、下のグレーの欄の中に「データ名」、「性能」、「蓄積情報の概要」というふうに、「性能」という小さい欄がございますが、データベースに性能というのはちょっと合いませんので、これは事務的に「価値」と置き換えさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

【八田主査】 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの第三部会からの御要望及び事務局の方向性(案)について、皆様方から御意見、御質問賜りたいと思います。

 それでは、まず小林委員、どうぞ。

【小林委員】 第三部会からの御要望、大変ありがとうございます。

 実は、書籍もやっと入ったということで、小長谷先生と私で苦節10年、書籍も業績だと言い続けて、やっと入ったというところなのですが、さらにもう一歩進めていただいて、大変心強く思っています。

 ただ、前回に比べて今回低い評価というお話ですが、これは、実は、項目というよりも、絶対評価が相対評価に変わったということが一番大きな原因だと思います。それは理系を含めて相対評価したのではなくて、理系は理系の各分野で相対評価して、人社は人社で相対評価しています。ですから、人社の中で前回よりも下がったところもあれば、上がっているところもあります。その割合はもう一定に決められていて、一定の割合でBまたはCをつけなければいけないという縛りがありました。ただ、この問題については、既に議論をして、次からは、そういう評価はもう少し細かくして、A、Aマイナスというか、そういうのを作ったので、少しそれは解決していると思います。

 ただし、この第三部会の御指摘が該当しているのは、実は、人文・社会の中でも、経済学とそれ以外の大きな違いです。経済学の業績というのは、やはり論文になります。つまり、理系に近い形になります。そうすると、相対評価をしたときに、経済学の拠点の評価は当然高くなります。それに比べて、それ以外のもの、例えば、著書数が中心になるものは相対的にどうしても低くなる。そういう人社の中の、より理系に近い分野とそうでない分野の間の問題が起きているということになります。

 御指摘の点は、すべからくもっともだと思います。今、事務局の方向性(案)も、大体納得できるものだと思います。

 何点か申し上げますと、29ページになるでしょうか、学内紀要に発表されたものは対象外とするということですが、これ、実は、ほとんど有名無実になっているのではないかと思います。実際には、その発行の費用をその拠点が出していても、編集の組織自体はバーチャルに学外の人を入れて、切り分けた形で発行主体を設けています。それは学内ではないということになる。だから、これは実際には、抜け道とまでは言いませんが、学内・学外の区分けというのは非常にファジーになっているので、あまりこれは意味を持ってはいないのではないかと思います。

 要望3のところですが、ここは方向性(案)について1つ申し上げると、これも備考欄に書けばいいではないかということですが、そうではなくて、経済学以外の人社になりますが、国際共著論文ではなくて、国際共著書が重要になります。ですから、むしろこれは国際共著論文を国際共著書と読み替えれば問題が解決するわけで、備考というと、いつまでも非常に何かよそ者扱いされているような気がするので、ここはやはりそういうふうにしていただいたほうがありがたいと。また、もし統一したフォーマットであれば、国際共著論文または国際共著書というようなくくりでいいのではないかと思います。

 要望4については、方向性(案)で私はいいと思います。要望のところで、新聞の書評と発行部数は、少し私はどうかと思います。私は読売と朝日の書評委員というのを何年かづつやりましたけど、専門書は扱わないです。一般の読者向けのものを扱いますので、少し取り上げる観点は違うかもしれません。

 それから、著書の発行部数となると、当然、これは専門書ではなくて、教科書が多くなります。ですから、やはり著書が重要ですけれども、中には教科書もありますので、教科書のほうが専門書よりも価値が高いのかというと、それは少し違うという気がしますので、私は、これは方向性(案)の形でいいのではないかと思います。

 ただ、全体としては、いつも小長谷先生と孤軍奮闘していたのが、自分たちだけではないんだということで、大変心強く思いました。ありがとうございました。

【八田主査】 ありがとうございました。

 それでは、小長谷委員、どうぞ。

【小長谷委員】 どうもありがとうございます。

 共通のフォーマットであるために、どうしても理系ベースになって、人文系の先生方にとっては、書く側だけではなく、見る側にとっても非常に違和感のあるフォーマットでした。だから、いつも、自由記述欄をつけてくださいというお願いをしてきたわけですね。その結果、今の学術機関課からの説明でもありましたように、対応する項目があることはあるんです。アピールポイントを書いてくださいと。さらに、インパクトファクターと言われたら困るので、インパクトファクターでないものも書かせてくださいということで、欄を作ってきてもらっているんです。それが不十分だというのは分かりましたので、このように変えてもらったら書きやすくなるのはいいことだと思います。

 ただ、1つ、事実として知っておいてもらいたいのは、これまでのところ自由記述欄をちゃんと利用していないんです。

 ですから、フォーマットが変わっても、違和感が残るかもしれないとしても、自由に書けるところをうまく利用して書いていただきたいと思います。

 以上です。

【八田主査】 ありがとうございました。

 ほかの委員の方。それでは、加藤委員、どうぞ。その後、観山委員ということでお願いします。

【加藤委員】 ありがとうございます。加藤です。

 著書が業績として評価されるというのは、当然のことだと思います。それで、今まで曖昧だったというのが、逆に私も不勉強で申し訳ありません。

 それで、ちょっとお尋ねしたいのは、国際論文集というのが、いわゆる論文を、定期的な雑誌がないので、それを集めて単行本的な本にすると、そういうものであるということと認識してよろしいんでしょうかという質問と、それで、そうすると、査読もありますということが御説明の中であったんですけれども、やはり査読付きのもの、あるいは、そうではないものというのが区別されてもいいのかなとちょっと思ったんですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。

【八田主査】 それでは、河合先生、どうぞ。

【国立大学附置研究所・センター会議第三部会】 御質問ありがとうございます。

 これもかなり分野によって違うんですよね。だから、私が知っている範囲のことで申し上げて、それが全てに該当しているかどうか、ちょっと分からないところもあるんですけれども。多くの場合においては、査読はあります。

 それから、さっき、ちょっと戻りますけれども、小林先生の御指摘された、文系というか、人文・社会学の場合に、国際共著論文ではなくて、国際共著書として共同研究というのが発表されることが多いというのは、まさにそのとおりだと思いました。

 ただ、国際共著論文で、国際共著書であれば何でもいいのかと言われると、その評価基準は非常に難しいということはちょっと痛いところでもあると思いますね。だから、その中にやっぱりどうしても差があるので、その差をいろいろと我々も考えようとしたんですけれども。例えば、出ている出版社によってとかね。でも、やっぱりそれも難しいとか、いろんなことがあって、ちょっとその差をつけるのは難しいなと。ただ、傾向としては、国際共著書も国際共著論文も査読がつくというのは強いと思います。

 以上です。

【八田主査】 ありがとうございます。

 それでは、観山委員、どうぞ。

【観山委員】 人文・社会の分野の特性を尊重して評価を多様にするということは、結構なことだと思います。

 我々も、インパクトファクターという問題に悩まされていて、それを使うのはあんまりよろしくないということは十分分かっていて、それだけでは評価しないということが重要です。

 しかし、やっぱり事実として言わなければいけないのは、客観的な指標であるということですよね。いいか悪いかは別として、インパクトファクターを用いることが適当でない分野というのはもちろんあると思います。一方で、その提案されたものが、それがその分野で客観的に重要な指標となるのかどうかということが、示していただきたいと思いますね。だから、例えば、海外における翻訳だとか、発行部数、ダウンロード数とかというのは、書かれることは結構だと思うんですが、それがその分野で客観的に高い評価を受ける指標なのかどうかということを示されないと、単純にたくさん書かれていても、それを評価するときに、数だけで評価するときにはやはり難しいかなと思います。

 それから、同じようなことは、例えば、紀要にも当てはまるのではないかと思いますが、紀要によっては、非常にすばらしいものもありますけれども、それがどういう形で出版されているようなものなのかということが分からないと、やっぱり単純に数だけではなかなか分からないところがあると思うんです。

 特性を踏まえて、いろんな指標を提示いただくこと、これはもう非常に結構なことだと思いますが、やっぱりその中には、それぞれの分野での客観性を示すようなことを備考欄に書いていただくとか、そういうことが必要ではないかなと思いました。

 以上です。

【八田主査】 ありがとうございました。

 ほかの委員の方、どうぞ。それでは、小林委員、どうぞ。

【小林委員】 私、インパクトファクターに意味がないというのではなくて、インパクトファクターの計算が問題だと思っています。つまり、論文の引用のピークが、分野でかなり違います。エルゼビアで一度計算してもらったときは、理系は1年とか1年半ですが、経済学は論文の引用ピークは3年です。経済学以外の社会科学のところは、大体5~7年です。人文学は7~10年ぐらいです。ですから、3年で全部計算してしまうと、分野の不公平というのが発生するということです。

 それから、出版というのは、私はアメリカ、イギリスで随分出版していますが、そんな簡単なことではないです。日本の出版とは全然意味が違います。エディターがいて、匿名の専門家何人もが評価をして、そこで、要するに査読があるわけです。それを通らなければ出版というのはできません。

 一番重要な、観山先生がおっしゃるような客観的なスコアで言うならば、出したものがどれくらい引用されているかです。それはスコアで見ることができます。だから、それは全然評判がないものなのか、それとも研究者コミュニティで幅広く引用されているかということは、スコアで出せます。

 ですから、理系の計算のインパクトファクターの計算を文系、人社に当てはめることが問題だと申し上げているわけで、インパクトファクターの計算のタイムラグを変えたり、あるいは、著書であれば、その引用の頻度をスコア化するとか、そういう形で客観的に指標を出すということは可能だと思います。

【八田主査】 それでは、観山委員、どうぞ。

【観山委員】 全く同感です。ただ、言いたかったのは、要するに、これ、やっぱり評価ですので、公平性というものを担保しなければいけませんので、それぞれの分野の特性があろうかとは思いますが、客観性をその中に入れていただくということが非常に重要なことだと思います。それぞれの分野、それぞれの研究者、それぞれの機関が、これはすごいと言われても、それは、その人たちがすごいと思っているだけではなくて、客観的にそういうふうな評価があるというものを出していただくことが必要です。

 小林先生が言われるような、分野によってインパクトファクターのものというのは大分違うと思いますので、それは、そういう分野の特性を示しながら紹介していただければと思います。

 以上です。

【八田主査】 ほかの委員の方、いかがでしょうか。この方向性に関する案、あるいは、先ほどの御提言、御要望もございました。何かございませんでしょうか。

 それでは、田島委員、どうぞ。

【田島委員】 今の御議論を拝聴していて、もう皆様のおっしゃることはもっともだと思いました。

 人文科学系に関しましては、要望は全部、事務局が今おまとめいただいた案の中でほとんど取り入れられていると考えます。したがいまして、今回の改定案で十分だと思います。

 そして、人文科学系の先生方にお願いしたいのは、自由記述欄に、ぜひ表現力豊かな、そして内容のある記述をしていただければ、評価する先生方が、その文章で心を打たれて高い点になっていくのではないかとか、評価する側の先生方にもこういう議論をしっかり伝えて、そういう観点での公平性を持った客観的な評価を努めるように、評価者側にもこういう議論を伝えることが重要ではないかと考えました。

【八田主査】 ありがとうございました。

 ほかの委員の方々、いかがでしょうか。こういう方向性でよろしいでしょうか。

 ありがとうございました。それでは、この方向性のとおり修正をしたいと思います。また追加で何かございましたら、その部分は主査一任ということでお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 本日御意見いただきました人文・社会科学系の評価及び前回御審議いただきました評価調書の見直しについては、評価調書に反映させまして、前回の議論分と併せて、全体を次回の作業部会においてお示ししたいと思います。

 次に、議題(3)その他についてでございます。

 今後のスケジュールについて、事務局から確認をお願いします。

【吉居学術機関課課長補佐】 事務局でございます。

 39ページ、資料4でございますが、次回は、8月24日月曜日16時から18時としております。開催形態が本日のようにWEB開催になるかは、そのときの状況で、また御相談をさせていただきたいと思います。

 8月24日の内容でございますが、ネットワーク型拠点の在り方についてということで、本日のように2つの拠点からヒアリングを行いたいと思います。学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点、それから、放射線災害・医科学研究拠点からヒアリングを予定しております。

 それから、かねてから論点として上がっておりました国際共同利用・共同研究拠点の評価の実施方法について、それから、新規認定の考え方について、また、今ほど八田先生からもお話のありました拠点の評価調書の見直しについての全体について御審議をいただきたいと思います。

 以上でございます。

【八田主査】 ありがとうございました。

 本日予定しておりました議事は以上でございます。事務局から何か連絡事項はあるでしょうか。

【吉居学術機関課課長補佐】 冒頭申し上げましたとおり、本日の会議につきましては、通常の公開会議と同様に資料と議事録をホームページに掲載いたします。後日、議事録の確認をお送りさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

【八田主査】 ありがとうございました。

 これで終了ということになりますけれども、委員の先生方から何か御発言ございませんでしょうか。

 それでは、長時間御審議ありがとうございました。これで終了させていただきます。ありがとうございました。 ―― 了 ――

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