第10期研究費部会(第13回) 議事録

1.日時

令和3年1月21日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 科学研究費助成事業等に係る令和3年度予算案について
  2. 第10期研究費部会における議論のまとめ
  3. その他

4.出席者

委員

甲斐委員、栗原委員、西尾委員、井関委員、射場委員、大野委員、小安委員、城山委員、竹山委員、中村委員、鍋倉委員、山本委員、上田委員、竹沢委員、中野委員

文部科学省

塩崎大臣官房審議官、先﨑学術研究助成課長、岡本学術研究助成課企画室長、中塚学術研究助成課企画室室長補佐、他関係官

オブザーバー

永原独立行政法人日本学術振興会学術システム研究センター副所長、岸本独立行政法人日本学術振興会学術システム研究センター副所長

5.議事録

【西尾部会長】
 皆さん、おはようございます。時間となりましたので、ただいまより、第10期第13回の研究費部会を開催いたします。
 本日も、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、オンラインで開催いたします。その点、あらかじめ御了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 本日は、科研費及び研究大学強化促進事業などの令和3年度予算案について御報告をいただきました後、本部会の最終取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から配付資料の確認とオンライン会議の注意事項の説明をお願いいたします。
【中塚企画室長補佐】
 資料につきましては、事前にお送りいたしましたファイルを御参照いただければと思います。
 幾つか資料をお送りしておりますけれども、本日は資料1から3を用いまして、御説明、御議論をいただきますようお願いいたします。
 また、事前にオンライン会議用の注意事項を記した資料もお送りさせていただいておりますが、念のため、この場でもオンライン会議の注意事項を説明させていただきます。
 まず、通信の安定のため、発言を除き、常時ミュート、マイクをオフにしておいてください。
 発言される場合には「手を挙げる」ボタンを押して、御連絡をお願いします。
 それから議事録作成のために、前回までと同様速記者を入れてございます。
 会議中トラブル発生した場合には、電話にて事務局まで御連絡をお願いします。
 また、資料の欠落等ございます場合やオンライン会議について御不明な点がある場合等には事務局までお電話ください。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。今までの御説明で何かご不明な点等ございませんでしょうか。
 それでは、初めの議題に入ります。事務局から、科研費及び研究大学強化促進事業などに関わる令和3年度予算案について御説明をお願いいたします。

(1)科学研究費助成事業等に係る令和3年度予算案について

【先﨑学術研究助成課長】
 失礼いたします。文部科学省学術研究助成課長の先﨑でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私のほうからは予算を中心に資料1、資料2に関連してお話をさせていただきます。
 まず最初に令和3年度の科研費の予算でございます。前年度に比して3億円増の2,376億5,000万円ということになっております。科研費におきまして3億円の増というのは、微増でございまして、担当課長として責任を感じております。
 今回の予算の内容でございますけれども、久方ぶりに基盤研究(A)・(B)に対して予算がつくということになっております。御案内のように、最近政策的に若手研究の採択率を上げてきているわけでございますが、そろそろ若手の増やした方々が次のステップに進んでいく年代なってきております。そうなった場合、それぞれの平均年齢が50歳に達しているそれ以上の上位種目において、どのように若手が入っていくのか。今も非常に厳しい審査を経て、先生方、研究費を獲得しているわけですけれども、ここはやはり枠の増加というものが必要ではないかと。
 新興・融合ももちろん重要ですけれども、基盤研究において、学理の蓄積であるとか、あるいは研究マネジメントというものを育てていただいて、若手の方はですね、そして次なるステップへと進むべきではないかと私どもは従来申し上げているところなんですけど、そこはいつも財政当局とは見解が異なるところでございます。
いろいろあったんですけれども、今年におきましては、基盤研究(A)・(B)についての予算が正面から認められた。もちろん微増ではございますけれども、ということでございます。
 そのほかにも、新興・融合の強化でありますとか、あるいは基金化の計画的な振興ということも行っておりますけれども、今後も努力をしていかなければいけないということでございます。
 それに関連いたしまして、おとといから、遅れておりました科学技術・イノベーション振興基本計画のパブリックコメントが始まっております。その中で、後ほどの最終まとめにも出てまいります新規採択率30%を確保するという計画が文言として残ることになりました。
 ちょっと読み上げさせていただきますと、研究者のキャリアに応じた独創的・挑戦的な研究課題を支援する科研費について、若手研究者支援、新興・融合や国際化の一層の推進、審査区分の見直しなどの制度改善を不断に進めつつ、30%を目指し確保・充実を図るという文言でございます。
 30%という数値目標があるのは実は科研費だけでございまして、全体として30兆円ぐらいを確保するという数値目標がありますけれども、30%という数字が残っているのは科研費だけということで、私どもの考え方が一定程度認められたかなと思います。
予算についてはまだまだ頑張らなきゃいけないところたくさんありますけれども、今後も先生方の御尽力をいただきながら頑張っていきたいと思っております。
 もう一つ、研究大学強化促進事業、URAの事業でございます。これについても御紹介をしておきたいと思います。
 この事業、8年ぐらい前から始まって、当時まだURAというものが日本にアカデミアの中でも知られていなかった、定着していなかった段階から、人件費を措置して、研究大学においてURAをちゃんと措置していきましょうと。そういう形で進められてきた事業だったんですが、人件費という性格上、また大学の充足率を上げていく、実装化を上げていくというような性格上、予算がずっと減り続けていたんですが、今回初めて、補正予算を含めて、予算が昨年並みを維持したということでございます。
 この内容についてなんですけれども、次の紙に簡単に書かれておりますけれども、研究DXと絡めて、URAの方が、研究者、あるいは、最近は大学の本部にURAがいらっしゃって、大学の様々な学術研究関係の改革にURAが携わるということも増えてきているわけですけれども、そのときにURAの活動を支援するような、そういうツールとして、この研究DXといいますが、データベースといいますか、そういうものを構築していこうと。
 あわせて、民間の研究者、あるいは海外の大学、国内の大学のボスである研究者の指示に基づいてURAは動くわけですけれども、そのときに保秘の回線というものがこのコロナ禍において求められるようになってきていると。突っ込んだ話が前は対面でできていたのが今はできないので、保秘がないと信用されないというようなところも民間企業との間で出てきているようです。そういった保秘の改善というような性格も込めたこのデータベースを補正予算という形で構築するということでございます。
 この事業は2022年度で終了するわけでございますが、これが終了した後も私どもはURAに対する支援というのを考えていかなければならないと思います。その次なる手の前段階として、こういった研究DXに対する補正予算ということも企画をして、認められたということでございます。
 私からは以上でございます。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。それでは、ここまでの御説明につきまして御質問等ございませんでしょうか。
【甲斐委員】
 基盤(A)・(B)に対して力を入れてくださったというのは大変すばらしいことだと思いました。最後に御説明のあったURAも、これは実は現場で大変有効に働いてくださっていて良い制度と思っております。これに対してこれからも継続して獲得していきたいという課長のお言葉は大変ありがたいと思ったんですが、これをずっと科研費でやっていくんでしょうか。それとも、文科省としてほかのことも考えつつ、図っていくということはあるんでしょうか。
【先﨑学術研究助成課長】
 すいません、先生、私の説明が不十分でした。後半のほうでお話しした研究大学強化促進事業は科研費ではないんです。
【甲斐委員】
 よかったです。
【先﨑学術研究助成課長】
 これは別なんです。予算が一応終わるので、それ以降も次の手を考えなきゃいかんと、そういうお話でございます。
【甲斐委員】
 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】
 甲斐先生、御質問どうもありがとうございました。ほかにございますか。
【竹山委員】
 科研費、微増でも増額に成功したことには感謝しております。採択率30%目標と言われましたが、今回は基盤A,Bに力点を置いて増額したとのことだったかと思います。長く課題となっている採択率が低い基盤Sや特別推進の大型研究に関しても是非ご検討をいただけると助かります。
【先﨑学術研究助成課長】
 大変厳しい御指摘でございます。基盤A、Bに今回絞って要求したわけですけれども、じゃあ、基S、特推はいいのか。そんなわけないわけでございますが、基S、特推まで入れて要求をすると、要求の焦点がぼけてしまうので、大変申し訳ないんですけれども、今回はこういう予算要求となっております。当然、それはもっと大型の中上位種目の充実、あるいは基金化のさらなる充実を図っていかなければと思っております。
【竹山委員】
 次は、新しい戦略下で大型研究費にも努力いただけるとのこと、感謝します。今までは若手というキーワードで増額に成功してきたかと思いますが、次は大型研究のところに、若手を巻き込んだ大型化という、新しい戦略を立ててほしいと思いますので、よろしくお願いします。
【西尾部会長】
 今の点、どうかよろしくお願いいたします。ほかにございますでしょうか。
【井関委員】
 すいません、井関ですが、よろしいでしょうか。申し訳ありません。ちょっと私、最初のほうで入ってくるのに時間かかりまして、ちょっと聞き漏らしたようなところもあるかもしれないんですけれども、科研費の増額は大変すばらしいことです。
 あと、このURAの研究大学強化促進事業に関してなんですけれども、これ今、URAもやはり育成というところが必要だと思うんですが、ここは今現在どういう状況になっているかを教えていただきたいと思います。
【西尾部会長】
 先生、ちょっと声が途切れています。
【井関委員】
 申し訳ありません。勝手にミュートにしてしまったもので。
【西尾部会長】
 少し戻ってお話しいただけますか。
【井関委員】
 申し訳ございません。URAのことなんですけれども、URAが引き続き、この制度が続くというのは非常に大変すばらしいことなんですけれども、本日配付された資料にもありますとおり、今後URAの役割というのが大きくなってくるのではないかと考えますが、このURAの育成に関して、すみません、私がきちんと調べていないのがいけないんですけれども、どうなっているかということを教えていただけますでしょうか。
【先﨑学術研究助成課長】
 お答えいたします。URAについては、先生御案内のように、様々なバックボーンの方がいらっしゃるわけでございます。民間企業から来られた方、あるいは研究者でいらっしゃったんですけれども、途中からURAになった方、あるいは事務局で様々な部局を経験する中で、プレアワード、ポストアワードの実務に習熟していく方、様々いらっしゃって、それぞれ雇用スキームも違い、しかし、みんな必要だと。
 ただ、それぞれの働かれる方、働くその射程が違っていて、当然その方のライフスタイルも違っている。そういう中でどうやってURAという1つの知を大学の中につくっていくかということが重要になってくるということで、私どもは研究助成課でございますので、資金助成という観点から、URAの人件費助成ということを何とかやってきたわけですけれども、各大学におきましてもそれぞれの人材養成をどうやるのかというようなことがだんだん見えてきました。大学におきましては、既に副学長クラスにまでURAの方がおなりになっているという大学も見られるようになってきた。
 そういうことを踏まえて、それぞれのURAというものを、例えば今の文科省で言えば、これは科政局がやっているんですけれども、資格認証化を図って標準化していくべきじゃないかと。もちろんそれは各大学においてのURAの人材育成や人材集積戦略というのはあるわけですけれども、それに対して資格認証みたいなことが1つ考えられるのではないかということが、人材政策の観点から、科政局で行われています。
 私どもは、今この事業という形でやっていますけれども、私どもとしても次なる戦略を考えていかないといけないと思っております。
【井関委員】
 ありがとうございます。こちらでは資金ということですけれども、しっかりそのような育成をやっていただいているところをきちんと見ていっていただきたいなと思います。ありがとうございました。
【西尾部会長】
 今の御意見は非常に大切であり、URAの方のキャリアパスの問題とか、いろな重要なことが含まれていると思います。今、先﨑課長のおっしゃったことからすれば、各大学でのいろいろな取組みの情報共有などを行っていくことによって、全体としての人材の育成を図っていくことは大切だと思っております。どうもありがとうございました。
【先﨑学術研究助成課長】
 ありがとうございました。
【西尾部会長】
 ほかにございますでしょうか。
【中村委員】
 中村です。URAの件です。URAの制度設計のときに私が少し関わったんですが、そのときに、URAの定義とか、こうあるべきだという文章をつくったはずなんですね。まず最初に定義したURAで今でもいいのかどうかというようなところから検討を始めていただいて、、原点に戻って比較していただいて、次の施策を打っていただくのがいいかなと思っております。以上です。
【西尾部会長】
 貴重なコメントありがとうございました。中村先生から当初の制度設計に深く関わっておられた観点から貴重な御意見いただきましたので、文部科学省のほうで、今の御意見を参考にしていただきながら、URAの役割、ミッションを現代的要請の中でどう考えるかということについては御検討いただければと思います。どうもありがとうございました。
【先﨑学術研究助成課長】
 ありがとうございました。
【西尾部会長】
 ほかにございますか。
【栗原委員】
 私も同じ点で発言させていただいてもよろしいでしょうか。栗原です。URAの方々、現在では研究者に対してどんどん提案するような活動も大学内で進み、大変皆さん、支援者として活躍していただいていると思いますので、URAの方々がより高いレベルの活動ができるような基盤、西尾先生が言われたような、URAの活動や経験の共有なども含め基盤の検討が進むとよいと思いますので、今後もよろしく御支援をお願いしたいと思います。
 また、今後、キャリアについても、ぜひ考えていただきたいと思います。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございます。URAがますます重要になってきているということでお話しいただけたと思います。ほかにございますか。
 貴重なご意見の数々をいただきまして、誠にありがとうございました。私からも予算のことで御礼を申し上げます。微増とはおっしゃいましたけれども、科研費の総額を増加していただいたことに関しましては、今後にまたつながっていくと思いますので、本当にありがとうございました。
 また、第6期の科学技術・イノベーション基本計画の中に、採択率30%をということに関して、それを堅持していくということを書き込んでいただいたことに対しましても、御尽力をいただき、感謝いたします。
 特に第6期の期間中の学術研究をどう振興するかというときに、科研費はますます重要になっていくと思いますし、URAの力も重要だと思いますので、引き続き御尽力いただけますとありがたく思っています。どうもありがとうございました。
【先﨑学術研究助成課長】
 ありがとうございました。
【西尾部会長】
 それでは、次の議題に移ります。第6期科学技術・イノベーション基本計画に向けた科研費の改善・充実についての中間まとめを6月に行いました。その中間まとめにおいて、中長期的に検討すべきことについては、その留意点を最終まとめで示すことにしておりまして、本部会の前回の審議で留意点について御意見をいただき、それらを反映した資料を事務局において取りまとめていただきましたので、本日はそれらについて議論していきたいと思います。
 まず、事務局から説明をお願いします。

(2)第10期研究費部会における議論のまとめ

【岡本企画室長】
 岡本から説明をさせていただきます。資料は2つに分かれておりまして、1つが本文が書かれているもの、それと別紙と参考資料ということで2つのファイルを送らさせていただいております。説明は本文についてさせていただきます。
 資料の3でございます。まずタイトルでございますけれども、第6期は科学技術・イノベーション基本計画ということで変わりますので、それに合わせて変更させていただいております。
 次の目次をまず見ていただきますと、「はじめに」というところから1、2、3ということで、この構成につきましては中間まとめと変更はございません。
 次のページが別紙、参考資料ということで付けさせていただいております。
 御説明させていただきますのは、中間まとめが6月でしたので、それからいろいろ状況も変わったこともございますので、それらを事務局のほうで追記させていただいたこと、それと、前回の研究費部会で委員の方々から様々な御意見いただいておりますので、それについて追記したところを御説明させていただきます。
 まず1ページ目の「はじめに」のところですけれども、一番最後の丸のところから追記をさせていただいております。中間まとめ公表後には、学術分科会と情報委員会の合同提言が出されているところでございます。次のページにかかりますけれども、その中で科研費の全種目基金化の推進ということがございますので、こちらのほうの記述を加えさせていただいております。
また、次の文章ですけれども、前回の研究費部会においてDXについての記述を加えるべきではないかということを御提案いただきましたので、これについての記述を加えております。
 最後、なお書きのところですけれども、3行目からです。令和3年度から始まる第6期科学技術・イノベーション基本計画においては、これまで行ってきた抜本的な改革の進捗状況や結果等についての検証とともに、予期せぬ事態にも対応し得る柔軟さを持って、さらなる制度の改善・充実に努めることが期待されるということで、これからも様々な状況の変化、今想定していないようなこともいろいろ起こるかもしれませんけれども、それらについても適切に対応していく必要があるということで、記述を加えさせていただいております。
 3ページ目からが、第9期の研究費部会において今後の検討課題とされたことですけれども、こちらについては変更はございませんので、説明はございません。
 次に8ページ目からでございます。「短期的に取組が求められること」ということで記述がございます。これにつきましては、令和6月以降、2年度また3年度の公募において既に対応しているものが幾つもございますので、それらの対応状況について追記をしております。
 少し飛びますけれども、14ページを御覧ください。14ページは、若手研究における応募資格の経過措置についてのところでございます。今後の方向性等の2つ目のポツのところに、39歳以下の博士号未取得者について設けていた応募資格の経過措置、これを終了したということで記載を加えております。
【西尾部会長】
 岡本さん、ちょっとだけ聞いていいですか。今、そちらで資料3を画面に出しおられますか。
【岡本企画室長】
 すいません、こちらでは紙で見ていて、紙のページで説明をしておりますが、画面のページで申し上げたほうがよろしいでしょうか。
【西尾部会長】
 このままで続けてください。
【岡本企画室長】
 今の説明の仕方でよろしいでしょうか。
【西尾部会長】
 よいですので、続けてください。
【山本委員】
 ちょっとすいません。画面の資料の番号と、それから、御説明の紙の資料の番号が4つずれています。
【西尾部会長】
 御指摘もありがとうございました。
【岡本企画室長】
 次が15ページでございます。こちらは若手研究の改善ですけれども、従来、研究期間が2から4年だったところを2から5年に延ばしたということ。また、一度基盤種目の科研費を受給した者については、若手への応募を認めないということにしたことを追記しております。
 次が16ページのところです。こちらについては、基盤研求(B)における経過措置を終了したということを記載させていただいております。
 次が18ページでございます。独立基盤形成支援の対応のところですけれども、18ページ上から2つ目と3つ目を加えております。令和2年度公募から対象種目を基盤(C)にも拡大したということ。また、研究機関として積極的な活用を検討することが望まれるということで記述を加えております。
 次が20ページでございます。20ページの下のほう、国際共同研究(A)の改善のところです。下の2つのポツです。令和2年度公募から応募資格の年齢制限について45歳以下の者としたということ。それと、なお書きですけれども、こちらは所属機関の支援が非常にこの種目、重要であるということで、それに関する記述を加えさせていただいております。具体的な内容などにも触れさせていただきまして、所属研究機関の事務部門のサポートが期待されるということを書いております。
 次が21ページの帰国発展研究の改善のところです。これは、上から4つ目のポツでございます。この方向性を踏まえ、令和2年度公募からポストドクターの応募を認めることとしたという記述を加えております。
 次が、22ページを御覧いただければと思います。マル3の「国際共同研究を推進するための改善」ということで、1つ事務局のほうから加えさせていただいたものがございます。一番下の4つ目のポツでございます。「また、我が国の国際共著論文数の伸び悩みが指摘されて久しいことから、科研費においても、国際共同研究の更なる推進により、優れた国際共著論文を産出しつつ、将来、国際的なネットワークの中で研究をリードするような次世代の若手研究者を育成するための取組を検討する必要があると考える」ということを加えさせていただいておりまして、こちらについては、本年、財務省の財政審などの指摘において日本の研究力向上に向けた課題などを幾つか指摘されている中でも、研究の閉鎖性、国際性の低さ、また、国際共著論文の伸びの停滞なども指摘されているところであり、現在科研費においては、国際共同研究加速基金という種目を設けて対応しているわけでございますけれども、さらなる新たな取組を検討していく必要があるだろうということで記述を加えさせていただいております。
 次が、24ページのところ、最後のポツでございます。大型種目の公募スケジュールの前倒しについてでございます。令和2年度、大型種目の審査においては、新型コロナウイルス感染症感染拡大を受け、審査委員会もオンラインで行うなど、従来とは異なる形態での実施が求められたということで、引き続き公募スケジュールの前倒しに向けた検討を進めていただきたいということで記述を加えております。
 ここまでが短期的なところで、25ページからが「中長期的に検討すべきこと」ということで、前回部会におきましてはこの部分について特に重点的に御意見などをいただいているところでございます。
 まず1つ目が、「科研費において対象とする研究者の範囲と必要とされる金額設定」ということで、1つ目が研究者の範囲についてでございます。新たに加えた部分は、検討に当たっての留意点等ということで、ここには4つほど文章を加えております。
研究者の範囲については、応募資格に関わるものであるということで、非常に影響が大きいということがありますので、以下の点に留意する必要があると考えられると記述しております。
 1つは、各機関の現状を正確に把握する必要があるだろうということで、e-Radに登録されている研究者情報を活用するということ、また、機関を対象とした実態調査を行うことなどが必要ということを書かせていただいております。
 また、諸外国の制度におきましては、代表者として応募できる方は通常PIと称されておりますし、この研究費部会におきましても、将来的には科研費においてPIを応募資格者とすることを検討する必要があるのではないかとの意見が出されておりますので、それについても記述をさせていただいております。
 最後は、令和2年1月に「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」がまとめられて、その中で若手研究者の自発的な研究活動等に関する実施方針がまとめられたということで、科研費においても令和2年の4月からこれに基づいた対応をしていることを記述しております。
 次が26ページでございます。「必要とされる金額設定について」ということで、検討に当たっての留意点等を5つほど書かせていただいております。
 まず1つ目のところでございます。基盤研究(A・B・C)の区分ごとの応募総額、平成9年度から変更されていないということ。特にデュアルサポートの原則は維持しつつも、大学等を取り巻く環境が大きく変化する中、基盤(C)を科研費の中でどのような研究費と位置づけるかが大きな課題と考えられることを記述しております。
 また、2つ目には、基盤(C)につきましては、非常にたくさんの応募をいただいているところでございまして、本来研究者の所属機関が措置すべき基盤的経費の役割を実質的に担っている面もあると考えられることを記述しております。
 3つ目が、平成28年度に「個人研究費等の実態に関するアンケート」というものを実施しておりまして、その状況を把握しているところです。これを、また5年後になるわけですけれども、同様の調査を実施して、最新の個人研究費の実態を踏まえて検討することが必要であるということ。また、基盤的経費の状況や必要とされる経費は何かなど、より具体的な調査をしていくことが望ましいと記載しております。
 なお、検討に当たっては、現在の科研費を取り巻く様々な状況の変化を踏まえつつ、分野や研究方法によっても必要となる研究費の額が異なることに十分留意する必要があるということ。また、あわせて、応募者自身が真に必要な額を申請するよう引き続き求めていくことも重要であるということを記述しております。
 最後には、基金化を引き続き推進すべきということを記載しております。
 次の27ページが「若手研究者が失敗を恐れずチャレンジできる機会の充実」ということでございます。ここ数年、若手については、様々な施策を充実してきているところです。現状、令和2年度公募から若手研究2回目応募者が基盤(S・A・B)との重複応募制限を緩和しているということがあります。
 検討に当たっての留意点等といたしましては、この応募制限を緩和したことにつきましては、数回の結果を検証した上で、さらなる改善方策を検討するということ。また、令和2年度に学術変革領域研究を創設しておりますけれども、非常に多くの応募がございました。この種目への応募状況、また若手研究者のニーズを確認した上で、若手研究者の支援の在り方を検討することも有効であると考えられるということを記述しております。
 最後の「その際」のところですけれども、他事業においても若手研究者への重点支援を行っていること、実力ある中堅シニア研究者が安定かつ十分な研究費を確保できるようにすることが、我が国の研究力の向上に加え、若手研究者の育成や多様性の確保といった観点からも必要であることにも留意する必要があると記述しております。
 なお、若手研究者が減少しつつある現状を若手研究者への研究費支援の強化だけで変えることは困難であるため、博士課程学生支援の在り方については、引き続き様々な施策を俯瞰して検討する必要があると考えられるということも加えさせていただいております。
 3つ目が、「新興・融合研究を推進するための制度の改善・充実」についてでございます。平成29年度の挑戦的研究の創設、また、令和2年度の学術変革領域研究の創設などを行ってきておりますが、検討に当たっての留意点につきましては3つに分けて記述を加えております。
 マル1が挑戦的研究の審査に関すること。こちらについては、今後も引き続き必要な改善を行っていくということ。
28ページに移ります。挑戦的研究の審査委員としてよりふさわしい者を選考できるような方法なども検討していく必要があると考えられるということを記述しております。
 2つ目が、挑戦的研究の開拓と基盤研究(B)との重複応募、受給制限の緩和についてです。これはまだ行ったばかりですので、数回の結果を検証して、さらなる改善方策を検討する必要があると考えられるとしております。
 3つ目が学術変革領域研究(A・B)に関することでございます。こちらも創設したばかりの種目でございます。令和2年度には予想を上回る大変多くの応募をいただいているところですが、今後数回の応募動向や研究者のニーズも確認した上で、改善・充実を検討していく必要があるだろうということを記述しております。
 また、本種目につきましては、将来的に日本学術振興会に移管するということを予定しております。移管までに必要な改善については文科省において行い、制度全体の改善・充実については、振興会の意見等も十分に踏まえて行っていく必要があるということでございます。
 4つ目が、「科研費における個人研究とグループ研究の在り方」についてです。検討に当たっての留意点の1つ目は、既に上の3つ目の学術変革領域研究に関することで記述していることに加えて、29ページですけれども、個人研究とグループ研究の在り方については、学術変革領域研究の改善・充実に合わせて検討することが適当であると考えるとしております。
 5番目、最後が「戦略的創造研究推進事業等との連携」についてです。検討に当たっての留意点ということで、科研費と戦略事業がそれぞれの制度の目的・対象の違いを明確にしつつ、十分に意思疎通を図ることが必要であると考えられるとしております。
 また、さらに連携を進める方策としては、例えば資金配分機関同士の相互交流などを通じて、現在特別推進研究においては情報の提供をしておりますが、それ以外の種目においても情報の提供を行うこと、また、両事業等を熟知した審査委員の拡充などを検討する必要があると考えられるということを加えております。
 資料の説明は以上でございます。審議のほう、よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。今回、特に25ページからの中長期的に検討すべきところということに関して、様々な観点からきっちりとした追記をしていただいております。ただし、24ページまでにつきましても、6月から現在に至るまでのいろいろな状況変化等がございましたので、それに応じてさらなる十分な書き込みをしていただいたり、修正をしていただいております。そこで、これから、この資料3について、最終まとめとすべく、皆さんと議論をしてまいりたいと思っております。
 それでは、まず、「はじめに」のところ、1ページ、2ページのところについて、何かお気づきの点等ございましたら、何なりと御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 特に、研究のデジタルトランスフォーメーション、DXという言葉が2ページに出ておりますけれども、DXというのはどちらかというとビジネスの分野で最初に出てきているということもございまして、学術振興の上でDXをどう捉えるかというのはなかなか難しいところです。この点に関しては、学術分科会、あるいは情報委員会等において、学術の分野でDXをどう捉えるかということについての一応のコンセンサスが得られていまして、それをベースにここでもその考え方を引用するという形にさせていただきました。御意見等ありましたらどうぞ。射場先生、どうぞおっしゃってください。
【射場委員】
 今お話のあったDXの件は、前回も、単なるOAにとどまらないようにみたいな意見を言って、ここの記述も、実際研究自身のところも反映された書き方になっているので、これはここでいいと思ったんですけど、この後、本体のほうにこのDXの話ってどこか出てきたんでしたっけ。ちょっとついていけなかったんですけど。
【西尾部会長】
 事務局、どうですか。「はじめに」ではないところでDXという言葉は出ていますか。
【岡本企画室長】
 DXについては、「はじめに」の部分だけに記述をさせていただいております。
【西尾部会長】
 射場委員、どうでしょうか、今の回答に関して。
【射場委員】
 「はじめに」に内容があるんだったら、本体にもないといかんのじゃないですかね。
【西尾部会長】
 分かりました。
【射場委員】
 どこか適当なところに。コロナ禍に対応するところは短期ですけど、これからビックデータを整理して対応するところは長期になると思うので、おのおのに対応する部分、先ほどのURAのこともそれにも関連すると思いますが。
【西尾部会長】
 今、射場委員からおっしゃっていただいたのは重要な観点だと考えます。今後、コロナ禍が一応収まったとしても、DXということに関しては、今後はずっと要求される重要な観点になる、特に、今後の第6期の科学技術・イノベーション基本計画の期間において、DXという概念は非常に重要でしょうから、本体のどこかに関連する記述を入れたらどうでしょうかという御意見でございます。そのような方針で事務局に対応していただくことはできますでしょうか。
【岡本企画室長】
 検討させていただきます。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。そしたら、小安先生、どうぞ。
【小安委員】
 ありがとうございます。今の点ですが、科研費の枠組みの中にDXをどう入れていくかというところは、イメージがあまり浮かびませんでした。DXをどういうふうに入れ込むのかというのは、大事だということは理解していまして、私たちのところで言えば、例えばSpring-8やSACLA、あるいはそれ以外にも大型の測定機器でどうやって遠隔で皆さんの資料を測定して、そのデータをお返しするかとか、計算機にどうやってアクセスするとか、皆さんが現場に来なくてもすむようなことを一生懸命やっていますが、そういうのはちょっと科研費の世界とは違っていて、どちらかというと研究基盤の部分だと思います。今、ここでDXという場合、情報関係の研究を進めるということであれば何となく科研費ということで分かるんですけど、基盤的なことになると、これをどういうふうに入れ込むのかに関してイメージが湧かなかったので、もう少し教えていただきたいのですが。
【西尾部会長】
 射場委員、どうぞ。
【射場委員】
 ここの文章に書かれているとおりで、例えばAIと既存のほかの研究領域の融合みたいなところは、科研費の範疇に新しい領域をつくるところなので、実際そういうところが進みつつあるので、それを支援する部分が要ると思いますし、あとはビッグデータの使い方ですね。例えばシステム研究センターの先生のデータベースなんかも、それは学振の中で用いられているものなんですけど、すごい有用なビッグデータだと思うので、そういうのをどう使うかみたいな部分もあるかな。例えばそういうことがあるかと。
【西尾部会長】
 分かりました。山本先生、今の観点でしょうか。それとも別の内容のご意見でしょうか。
【山本委員】
 いえ、今の話です。
【西尾部会長】
 そうしましたら、ぜひお願いします、山本先生。
【山本委員】
 申し訳ございません。山本です。1つ、やっぱり国際共同研究という形も変わりつつあるというか、変わるであろうと思います。 行ってやることが前提の国際共同研究から、やはりこの間相当、特に我々の分野ではリモート主体になりつつあります。そういう意味で、そういうものを支援するという形というのが1つあると思います。それが1点です。
 それからもう一つは、私としては、やっぱりビックデータのことと、つまり、ビックデータによる新しい分野の創成という問題とDXというのが同じとは思えないというところがあります。DXのほうは、さっき言ったような、やはり研究力を上げていく方向ですが、ビッグデータによるサイエンスというのは、そのものが今本当の大きなサイエンスとして展開されていますので、一緒にしないほうがいいかもしれないなとおもいます。以上でございます。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。
【小安委員】
 小安です。私もちょっとそこが引っかかっています。下に注釈がついていますが、この注釈を見ると、基盤の整備・高度化とか、遠隔化・スマート化を推進することによりと書いてあって、この部分は多分科研費の部分ではないと思います。それではどういうことをやるかといったときに、今おっしゃったようなデータサイエンスの新しい潮流とか、そういうところに結びつくのであれば、やはり書き方はうまく工夫していただくことが必要ではないかと思いましたので、よろしくお願いします。
【西尾部会長】
 分かりました。小安先生、射場委員、それから山本先生には御意見をいただきましてありがとうございました。特に、山本先生からは、国際共同研究等を推進する上でのプラットフォームとして、研究におけるDXは非常に重要なってくることをおっしゃっていただきました。そのような観点で、射場委員からおっしゃっていただいた、「はじめに」にDXという言葉があることを考慮して、本文でもDXについては言及することを考えてまいります。どうもありがとうございました。
 ほかに御意見ありますでしょうか。ただし、1ページと2ページについてです。
【中村委員】
 この文章は、科研費を配るところだけに関係しているのか、それとも、実施しているところまで関係しているか少し分からないのですけれども、DXの件は、実施しているところの話でもあるなと思っています。今、現場の大学では、研究を行って、ものを買って、領収書を取ってと、いろんな事務仕事がたくさんあるわけですね。今もちょうど研究費で買った10万円以上の物品のありかを学生全員動員して、それこそ対面で一つ一つ調べるというような仕事をこの1週間やっています。さらに、判こがまだたくさんあります。科研費の枠組みの中でも、旧態依然の事務仕事が恐らく要求されているんじゃないかと思うんですね。
 ですから、DXに関連して、科研費の枠組みの中で事務を簡素化するとか、予算管理上の多少のリスクがあっても簡素化するほうに動くというような指針をどこかで出していただきたいと思うんですね。今、とにかくがんじがらめです、判こから検査から何から何まで。コロナの現実、この状況じゃこれまで通りのやり方では完璧にはできないわけです。少なくとも科研費の中では、どこまでこれまで通りがんじがらめにやるのか、DXを活用して近代化するのか検討していただきたいと思います。以上です。
【西尾部会長】
 貴重なコメントありがとうました。今、中村先生からもおっしゃっていただいたことを踏まえて、キーワード、DXの持つ意味をどう捉えるかということについて再度考えていきたいと思います。
 ほかにございますでしょうか。甲斐先生、どうぞ。
【甲斐委員】
 初めの5個目の丸ですね。1ページの一番下から2ページにかかって、一番最後に「『科研費の全研究種目の基金化』の推進が求められたことである」ってあります。この文言を入れていただいて、ありがとうございます。これは大変重要なことで、将来的にはぜひ目指していただきたいことだと思います。これがコロナのディスカッションから始まって、推進が求められたところであると、ちょっと弱い書き方になってしまったかとは思いますが、記載していただいたことで、今後、ちゃんと取り組もうという姿勢が1つ示されたことは良いと思ったんですね。
 それで、目次見まして、一番最後のところに「中長期的に検討すべきこと」ってありますよね。そこに出てくるのかなと思ったんですけど、私、追えなくて、見つかりませんでした。やっぱり本文のところに基金化の問題を1行でもいいからぜひ入れていただきたいと思います。お願いいたします。
【岡本企画室長】
 事務局からよろしいでしょうか。本文のほうに基金化に関する記述を加えている部分がございまして、26ページです。26ページの「必要とされる金額設定について」の検討に当たっての留意点の一番最後に、「科研費の『基金化』を引き続き推進すべきである」という記述を加えております。
【甲斐委員】
 基金化されている研究種目についてはと書いてあったので、それだけかなと思っってしまったんですけど、これは全体ということですね。全体に基金化を推進するというふうに明記していただけると、さらに有難いと思います。
【西尾部会長】
 甲斐先生、どうもありがとうございました。今回のコロナ禍のことで、特に基金化はより重要になってきておりますので、その点をもう少し強く出していくことを考えてまいります。どうもありがとうございました。
 ほかにございますか。1ページと2ページです。
 よろしいですか。
 そうしましたら、次はページとしては長くなりますけれども、3ページから24ページに移りたいと思います。前期の研究費部会、第9期の研究費部会において今後の検討課題とされたことへの対応、それと短期的に取組が求められていることに関しての記述がされている部分です。3ページから24ページにつきまして、お気づきの点、コメント等ありましたらよろしくお願いいたします。どうでしょうか。
【竹沢委員】
 竹沢です。22ページにあります国際共著論文のことなんですけれども、これも今まで何度か議題に上って、私も発言したことあるんですけど、私自身の考えも、自分が取り組む経験から少し今変わってきてはいるんですけれども、そういう意味で今回発言させていただきます。それで、まず国際共著論文というのは、引用されるという意味ではとても効果的だということは知っているんですけれども、やはりなかなか人文・社会科学系には難しい、簡単ではないなと。それで、いろいろとリスクがあって、文系だったら大抵は1対1、せいぜい3人ぐらいまでだと思うんですけど、相手が例えば病気になってしまったとか、大きな役職についてしまったとなると、そこで止まってしまうというのがあったり、それから、少なくとも人文社会科学系で多いのは、国際共同研究をして、それは科研BとかAのレベルでもやって、それがSになればもっと大規模なチームで出版の冊数も多くなるというのが一般的だと言っていいと思います。国際共同研究の場合、1つのパターンは、海外の編著に日本人が入るというタイプ。2つ目は、日本の編著に外国人に数人入ってもらうというタイプ。それで、1の場合は向こうに、よくあるのは学会とか会議に招かれて、そこで論文を書く。2のタイプは、日本でシンポジウムを開いて、キーノートスピーカーに二、三人入ってもらって書くというタイプなんですけれども、でも、どちらも、前者の場合はやっぱり個人プレーの色彩が強くなりますし、2番目のタイプは、海外からの知識の輸入という意味や、ネットワークづくりには役に立つんですけれども、日本からの発信としてはどちらも弱い。恐らく人文科学の国際化という意味で一番私が効果的だと思うのは、日本人の編者と海外の編者が共同で編者になって、完全に対等な形になって、日本語でも出版し、英語や他の言語でも出版する。費用は完全に半々。要するに、それはお金の問題だけではなくて、力関係とか、いろんなことで対等になる。そして人文系でやっぱり本が威力を持つのは、書評に載るということなんですね。海外の雑誌の書評に載る。
 このなかで一番日本の研究者のプレゼンスが高くなるのは、こちらがヘッド、向こうもヘッドというのが一番効果的かなと思います。
 それと、国内での評価の在り方ですけれども、やたら国際共著論文の本数を要求されるんですが、やはりこれはなかなか難しくて、実際には国際共同研究とか国際発信もやっているのに、それがなかなか評価されないという難しさもあるので、その辺も、次の期にはぜひ考えていただきたいと思いました。
【西尾部会長】
 22ページのマル3のところ、特に最後のインデントしてあるところは、今回新しく追記をしていただいている部分です。今、竹沢先生のほうから御指摘いただいたことも踏まえまして、事務局からお答えいただけませんでしょうか。
【岡本企画室長】
 今、竹沢先生からのお話を聞いて、やはり分野によって国際共同研究といってもすごく違うんだなということをつくづく感じております。ですから、ここで書かせていただいたような取組を考えるに当たっては、そういうことも念頭に置いて考えていく必要があると思っております。以上です。
【小安委員】
 西尾先生、私からもいいですか。小安です。この問題では、私、いつも発言しておりますが、今の竹沢先生に1票投じます。国際共著論文数の伸び悩みが指摘されるという表現ですが、これだけが評価の対象になることに私は非常に違和感を持っています。例えば天文や加速器のの分野のように、国際的に共同研究をすることが求められる、そういう分野はありますが、私の分野ですと、最も優れているのは単著の論文だったりします。これに関しては、以前も佐藤勝彦先生と学術分科会でさんざんやり合いました。
 大事なのは、この部分の一番下にある「国際的なネットワークの中で研究をリードするような次世代を育てる」というところであり、これを強調すべきだと思います。先ほどの竹沢先生の話でも、外国の著名な研究会に呼ばれるということが大事なことであって、若手がそういうところに呼ばれるようになるために、そういう意味ではネットワークの中に入っていくことが必要です。しかし、それは必ずしも国際共著論文を書くこととイコールではないと思いますので、そこの辺りは誤解のないように書いていただきたいと思います。
【西尾部会長】
 はい、分かりました。ここはなかなか事務局でも御苦労なさっているところかと思います。我々大学でも、大学の評価において国際共著論文数が非常に強く要請されています。
 ただし、竹沢先生、小安先生がおっしゃられていることは大変重要なことです。そこで、ここの記述をどのようにするかということについては慎重に考えてまいります。どうもありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
【井関委員】
 井関です。よろしいでしょうか。
【西尾部会長】
 そうしましたら、井関先生、それから甲斐先生。
【井関委員】
 今のところに関してなんですけれども、確かに国際共著論文数というのは1つの指標であるとは思うんですが、この伸び悩みといいますか、すなわち国際共著論文数が少ないということは国際共同研究が起きていないということなんですが、ここの原因についてって一度でも何かしらアンケートで理由に関して何か調査されたことはあるんでしょうか。すみません、いつも不勉強な質問をしまして。
【西尾部会長】
 ご質問のあったような調査がどこかなされていますか。
【岡本企画室長】
 事務局ですけれども、今、我々が把握している範囲ではそういうものについて、調査という形で具体的に何かを出しているものはないのではないかと思います。
【井関委員】
 分かりました。ありがとうございます。国際共同研究は私の分野などは非常に日本の中ですぐに共同研究できる人が少ないために、逆に何とか海外と一緒にしなきゃと思っておりますけれども、でも、なかなかできないのは、地理的な問題もあるのかもしれませんけれども、もう少しそこを洗い出せるといいのかなと。洗い出したからといって解決策が出てくるかというのは別問題だとは思うんですけれども。すみません、以上です。
【西尾部会長】
 ありがとうございました。甲斐先生、どうぞ。
【甲斐委員】
 すいません、先ほどの国際共著論文の推進なんですけれども、実は私は前々から国際共著論文を増やすことというのは目的にしてはいけないと思っております。皆さんがおっしゃるように、そんなことが何で目的だったり指標になるんだろうと、すごくおかしいと違和感を持っているんですね。それよりは、国際的な卓越した研究を推進するためにとか、国際研究をリードする研究を推進するための支援というふうにすべきと思います。その結果として国際共著論文が増えていくと思うのです。日本で全く独自に国際共同研究ではなく行ったような研究が実はノーベル賞を取っていますし、ノーベル賞を取ると、その先生の下に世界から集まって、自然に国際共著論文が増えるというのが結果です。iPSももちろんそうですし。それを推進した研究者は、国際共著論文を書こうと思ってやったわけじゃないんですね。だから、こういう書きぶり、こういうタイトルというのは私は本末転倒だと思っております。
 なので、外側からの圧力に従って、国際共著論文が少ないとか、引用数が少ないとか、そんなことを議論するんじゃなくて、せめて科研費を担っているこの現場だけは、本筋に立ち返って国際的な研究をリードする研究を推進するためにとか、そういうふうな目的を掲げて、その最後の中に、それによって国際共同研究も推進されるみたいな書き方を本気で工夫してほしいと思うんですね。現在の書きぶりだと、国際共著論文を増やすためにみんな頑張れみたいなことを研究者にメッセージとして送ってしまいます。これはミスリーディングじゃないかという気がするのです。ちょっと大変な作業になってしまって申し訳ないんですけど、考えていただけるとありがたいと思います。
【西尾部会長】
 甲斐先生、本当に貴重な御意見ありがとうございました。この部分も、内容的に本末転倒にならないようにいたします。
 中野先生、鍋倉先生の順番でお願いいたします。
【中野委員】
 同じところですが、国際共同研究を実施する上で、やはり諸外国と比べると、日本のシステムというのは、手かせ足かせを課せられているというか。例えばいろんな資金が単年度会計であったり、関連する事業がいろんなところに散らばっていたりして、海外と国際共同研究をやる上で、MOUを結ぶにしろ、いろんな交渉するにしろ、使いにくいお金が多いと思います。
そういう点、先ほど調査がないのかという御意見がありましたけれども、現場は本当にいろいろと不都合とか不便を感じていますので、ちゃんとその辺ところをサーベイしていただいて、それを解決できるような事業、それが科研費なのか、それとも外に出すか分かりませんけれど、世界と闘えるような制度というものを整備していただきたいと思います。
 また、国際共著論文数というのは目的ではなくて結果であるということについては本当に私も同意いたします。大事なのは、研究の質というか、内容であって、次に、それを継続して生み出していける人材がその中で育成されるということだと思います。以上です。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございます。今後、国際共同研究関係の科研費を増額していくことが認められる可能性は十分にあると思いますので、中野先生のご意見を踏まえて考えていきたいと思います。鍋倉先生、どうぞ。
【鍋倉委員】
 最初から国際共同研究ありきというよりも、国内の共同研究を推進するということがまず最初にあって、より適切な共同利用の相手が海外にいれば選択するというのが筋だろうと思っています。日本に設置されている大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点など共同利用・共同研究を推進する機関・組織の利用ばかりでなく、日本国内での研究者同士の共同研究が、日本の研究力や若手の育成にはもっと実効性があると思います。その上で、海外の研究者との共同研究が国内より優れているのなら推進する。国際共著数が独り歩きすると日本国内でもできるのに海外でやるという選択が優先されることになります。国内の研究基盤を充実するためには国内共同研究というものも重要と思っています。
【西尾部会長】
 どうも貴重な御意見ありがとうございました。大野先生、どうぞ。
【大野委員】
 大野です。国際共同研究が指標としてひとり歩きしてしまって、大学の評価にもなっているという西尾先生の御心配というのは、まさしく私も同じでありまして、これはやはり国を挙げて、指標のつくり方が間違っているというところを何とかしなくちゃいけないというところは、文科省の方々にもぜひもっと頑張っていただきたいなと思うところです。
 それから、国際共同研究が目的であってはいけないという点なんですけども、若手に関してはある程度目的であってもいいような気もしています。ですから、国際共同研究を進める上で、これは若手枠の中に入れるとか、ある程度考えたほうがいいのかもしれない。ある程度シニアになった先生は、共同研究は当たり前になってくるのであって、それをわざわざ指標にするというのはちょっと違うんじゃないかという気がしております。以上です。
【西尾部会長】
 大野先生、おっしゃっていただきましたこと、私も十分に理解しております。貴重な御意見ありがとうございました。
 栗原先生、どうぞ。
【栗原委員】
 私も国際共同研究について、小安先生が言われたネットワークが重要だということはそのとおりだと思います。それに対して、やはり帰国発展研究の本来の趣旨、外国で働いているPIの優秀な方々を呼び戻すということは、さらに真剣に考えられて良いのではないかと思います。
 研究者が、世界的には、出身国に限らず、良い研究ができるところに移動するのが常識的な形であるのに、日本では、行く人も来る人も少ないという状況に対して、何かもう少しやることが非常に重要だと思います。どういう立場で帰ってきて、その後本当に発展できているのか、本当に支援できているのかです。すばらしい方が戻ってきているのに、帰国発展研究を申請できるタイミングが外国にいる間の1回で、その1回を逃すと、一般の科研費に応募となるわけですが、やはり外国の異なる制度で活動していた方がPIで戻ってくる場合、ゼロからの出発になり大変だと思います。国際的な人の交流ということが、今後はますます大事だと思いますので、フォローアップとか、より良い形に支援するとかということを、引き続き検討いただければと思います。
 それからもう1点は、先ほどの科研費が本当に生かされるためにはデュアルサポートが非常に重要だということに関しては、そういう意味でこの科研費部会でも、ぜひ続けてそのことを、適正化を求めるということは大事だと思いますので、この点も落ちないようによろしくお願いしたいと思います。以上です。
【西尾部会長】
 ありがとうございました。特に、後半でおっしゃっていただきましたことは、本部会での重要な考え方として、今後もきっちりと継承していきたいと思います。
【先﨑学術研究助成課長】
 すいません、事務局でございます。よろしいでしょうか。先﨑でございます。国際共同研究、国際共著論文についての御議論、盛んにしていただいて大変ありがたく思っております。事務局としては、気をつけたつもりだったんですけれども、国際共著論文が目的化しないような文章を考えなければいけないと強く思いました。これは変えたいと思いますし、また、その国際共同研究が進まないと言われていることについて、それはなぜなのかというようなことも、何らかの形でアカデミアの方々に聞いてみる必要があるだろうと思いました。
 また、国際共同研究というものを、ありきで考えるのではなくて、もっと国内にも目を広げて考えていくべきだという、国際共同研究ありきで考えちゃいけないという御指摘も、ありがとうございます。
 またその一方で、国際共同研究をしたいと言っている先生方もいらっしゃると。ということで、そのあたり、道を踏み外さないようにしながら、国際共同研究というものについての事業化ということは考えていかなければいけないと思いました。
 若手との関係ということも御指摘としてありましたけれども、若手研究者が将来大きな研究者に成長される過程の中で国際共同研究というものに参画していく。それに対する育成的な支援も科研費らしい取組だろうと思うので、そういうことも入れ込んでおく必要があるだろうと感じました。
 それと同時に、この国際共同研究という枠組みが科研費全体においてどのような資金的な効果をもたらすのかということも私ども研究助成課としては考えなければいけない。つまり、この会の冒頭申し上げましたように、中上位種目の予算要求が非常に難しい状況の中で、国際共同研究というものを、1つの手法として、科研費全体の予算や採択がより活性化されるような、そういう仕組みというものも、額も含めて考えていかなければいけないと思っているところです。以上です。
【西尾部会長】
 先﨑課長、今までの委員からの御意見に対して、総括的にお答えいただきまして、ありがとうございました。
 時間のこともございまして、本日としては重要な観点になります、25ページから29ページの中長期的に検討すべきことについて御意見をいただくことにします。ただし、今までの部分についても何か御意見があったらいただくという方針で進めますのでよろしくお願いします。まず永原先生、どうぞ。
【永原オブザーバー】
 ありがとうございます。ただいまの議論にも関係しているし、まさに中長期に関わっていくことなので、横から発言させていただきたいと思います。
 国際共同研究が目的であってはいけないは、言うまでもないのですが、ただいまの議論は、共同研究を推進すべしというような雰囲気がやや強く、色濃く出ていまして、これは科研費の定義に関わることです。科研費は、1人または少数の研究者がおこなう研究と定義されています。学術変革はグループ研究ですけれども、そのほかの種目はすべて個人または少数の研究者による研究という定義になっております。
 したがって、共同研究という言葉が独り歩きしてしまうと定義に矛盾してきます。共同研究は研究者一人一人がニーズでやるのなら構わないんですが、科研費の仕組みとしてそれが強く出てくると、少しおかしなことになってしまいます。このことはさらに、科研費とは何なんだ、PIとは何だという、この中長期の議論に関係してきますので、この辺を混乱がないような形で取りまとめをしていただければと思います。以上です。
【西尾部会長】
 永原先生、大変重要な観点、科研費の根幹に関わることで御発言いただき、ありがとうございました。科研費は、共同研究をするため、それを主体とするものではなくて、あくまでも科研費というものは個々の研究者を支えていくものという、そこを忘れないようにしてくださいというご意見であり、本部会からの最終まとめでは崩してはならないところだと思います。そのことに気をつけてまいります。ありがとうございました。
 それでは、城山先生、それから小安先生、竹山先生という順番でお願いいたします。まずは城山先生、どうぞ。
【城山委員】
 ありがとうございます。25ページ以降のところで、若干細かいことになるのかもしれませんが、コメントと御質問をさせていただきたいと思います。3点あります。
 1つは、25ページの(1)ですね、研究者、対象範囲の話で、ここの中である1つの議論で、これまでも議論されてきたのかもしれませんが、応募資格者をPIに限定するというオプションがあるんだということが書かれているんですけども、単純な質問は、PIって結構定義するの難しいのかなという気もするんですが、そこをどう考えておられるのかという1つの質問と、あと、実質的なことでいうと、検討に当たっての留意事項の25ページの一番下の丸から次の26ページの頭あたりにかかれていることは、要は例えば科研費によって雇用されているような研究者も応募できるようにしているので、そういうこととのバランスをどう考えるべきかということを書かれていて、それもPIじゃない人の1つの例だと思うんですが、もうちょっと幅広く考えられたのかなと思います。ちょっと正確な仕組みの名前忘れましたけれども、例えば若手のスタートスタートアップ支援みたいなものがあって、それは若手が科研費の研究を実施するとともに、まさに独立した研究室を運営していくことに伴う経費は追加的に支援するという仕掛けだったと思いますけれども、例えばそれなどは、発想として、PIにお金を出すんじゃなくて、PIとして自立化するところをサポートするところも科研としてサポートするんですよという話になっていて、そもそもそのあたりをどういうふうにフォーカスするかという話と関わってくるのかなと思います。
 そういう意味でいうと、ほかでも出てくるような、ある意味では本来所属組織が行うべき基盤研究費と科研費との切り分けという、ちょっと一般論にも関わってくる論点があるかなと思いましたというのが1点目です。
それから2点目は、26ページのマル2、必要とされる金額設定で、これは前回も議論をさせていただきましたけど、基盤研究(C)の性格をどう考えるかということを考えることが必要ですよということを26ページの下の丸のところで述べていただいていて、実質基盤経費的な側面も持っているんだけど、もうちょっと実態調査しましょうよという話と、分野によって額が異なるかもしれないということが書かれています。
 ここでのコメントは、要するに、1つのオプションを具体的にもうちょっと選択肢として書き込むかどうかということで、たしか議論としてあったのは、もし基盤的経費を担うということをもうちょっと正面から考えるのであれば、額は限定しつつ、数を増やすという選択肢はあるということなのですが、そこをあえて書かずにぼかしているというのが今の表現だと思うんですが、それは書いたほうがいいのかどうか。書くと、基盤研究費はきちっと出すべきだという正論が緩んでしまうというところと、あと、最初にも御紹介ありましたように、採択率30%ということが明記されているんだとすると、額を減らしてパーセンテージを上げるというのは、30までいけばいいじゃないかと言われてしまうおそれがあるので、リスクがあるので、あえてそこはぼかしたということかなというふうにも考えるんですが、そこを明確に選択肢を書くべきかどうかというのが論点かなと思いました。
 最後ですけれども、27ページの若手が失敗を恐れずチャレンジできる機会の拡充で、重複公募制限の緩和が書かれていて、これはこれでいいのですが、多分これ前回の議論をベースに、ここの一番下の丸のところで、シニアにも適切な、ちゃんと支援、お金が行くようにして、ちゃんと働いてもらうことが大事ですよ、研究力向上のためには大事ですよということが書かれていて、これ自体はいいのですが、これが(2)「若手研究者が失敗を恐れずチャレンジできる機会の拡充」という題目の下にあるのは果たしていいのかなという気がして、別にシニアの研究者に重複制限を緩和して、いろんなものに出せるようにするというよりか、安定的にきちっとリソースが来るようにする必要があるということなので、ちょっとこの題目だと若干違和感があるかと思います。もしこのままでやるのであれば、再チャレンジではなくて、むしろ若手研究者支援ぐらいの一般的な枠にしておいて、その中でシニアも対象なんだよということを言うぐらいのほうがいいかなと思いました。
 すいません。ちょっと長くなりましたが、以上3点です。よろしくお願いします。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。一番最後から行きますと、(2)の表題の下に、最後の丸印のことが書かれるのは適切かどうかということで、これは非常に重要な御指摘かと思います。この件は、場所等も含めて、さらには(2)のところの表題の書き方も含めて、事務局と再度検討してまいります。どうも貴重な御指摘ありがとうございました。
 それから、26ページのことがなかなか難しい問題ですが、これは事務局としての何か意図等はございますか。
【岡本企画室長】
 基盤(C)のところについては、最新のデータに基づいた議論も必要かなと思っております。平成28年に行った個人研究費等のアンケート調査を改めて行った上で、今現状どうなっているのか、5年前と比較してどうなっているのかも見た上で、その金額を考えていったほうがよいのではないかということで考えております。
【西尾部会長】
 城山先生がおっしゃっていただいたことは非常に大切なことであって、科研費が基盤経費である運営費交付金の少なさを補うものになってしまうということは非常に危険だと思っております。文部科学省としても、科研費はそのようなものではなくて、あくまでも、先ほど科研費の本来の姿ということで、永原先生がおっしゃっていただいたようなことをきっちりと堅持していただきたく思います。ここでの記述は、岡本室長がおっしゃたような調査もきっちりと行った上で、今後のことを考えていきたいと思います。あえて、最終まとめの段階では書かないということにしたいと思っております。
 大野先生、どうぞ。
【大野委員】
 城山先生のお話、私も同感なんですが、失敗を恐れるなということは研究者にとって当たり前ですので、ここに書き込むべきではないような気がします。
【西尾部会長】
 分かりました。
【大野委員】
 やっぱり研究というのは失敗を恐れないでやるものですので、それをわざわざここに書くというのはやっぱりちょっと違って、研究が計画どおりに進めることがいいというような評価につながる危険性がありますので、そこはやはり控えたほうがいいと思います。以上です。
【西尾部会長】
 それと、城山先生からおっしゃっていただいたPIの定義等が明確なのかということについてはどうでしょうか。
【岡本企画室長】
 西尾部会長、事務局からその部分についてよろしいでしょうか。今回、PIについては研究者の範囲についてのところで書かせていただいております。これは今期だけではなく、それ以前の研究費部会においても、明確な議題として取り上げられたことはありませんが、いろんな話題の中でこのPIという話は出てきていたかと思います。それで、次期において研究者の範囲を考えるに当たって、PIについてもしっかりと念頭に置いて検討していく必要があるだろうということです。今現在、科研費においてPIがどうこうという具体的なことを我々が何か考えているわけではありません。
 ですから、ここについても現状をしっかりと把握する必要があるのだと思います。現状では非常に多くの方が応募できるようにしておりますので、実際どれぐらいの方が、常勤とか、非常勤とかで応募されているのか等、実態を踏まえながら、どの範囲が一番いいのかということを考えていく必要があるのではないかと考えております。以上です。
【西尾部会長】
 城山先生、ここの第3章は中長期的に検討すべきということになっておりますので、今後、第11期においてきっちり審議をして詰めていくということで捉えていただければありがたく、よろしくお願いいたします。
 では、小安先生、どうぞ。
【小安委員】
 ありがとうございます。私、まさに今の2点に関して意見を申し上げたいと思っていました。最初は26ページの検討に当たっての留意点の2つ目の丸ですが、この文章が、基盤(C)が基盤的経費になっているかのように肯定的に書かれているように読めて、これは非常に気になりました。やはり私たちとしてはデュアルサポートをきちんとするというところに焦点を置くべきなので、基盤(C)が基盤的経費になっているのであれば、ああ、もうこれでいいではないか、ということになるのではないかと非常に心配します。そこはちょっとお考えいただきたいと思いました。それが1点。
 2点目は、先ほど城山先生がおっしゃったこと、PIの定義というのことと、実力ある中堅シニア研究者の支援という、その両方が、これは実は関係していることだと私は思っています。中堅シニア研究者が安定的かつ十分な研究費できちんとした世界的な仕事をできるということとPIの定義というところが関連しているとおもいます。ですから、ここを合わせて書いていただいてはどうかと思います。もちろん、若手を育てるのは大事ですが、そういう人たちが育って中堅シニア研究者になるわけですから、きちんと継続的に研究費が取れて研究を継続できる環境という意味では、若手にも関係のあることだと思います。PIということを、定義が難しいのは最初から分かっておりますが、中堅シニア研究者の支援の議論と結びつけたような書き方をしておいたほうがいいのかなと思います。少し御検討いただければと思います。ありがとうございます。以上2点です。
【西尾部会長】
 ありがとうございました。最初のところは本当に重要な御指摘でして、26ページの検討に当たっての留意点の2つ目の丸で、そこの最後のほうで、基盤的経費の役割を実質的に担っている面もあるという記述については、本部会がそれを是として認めているような印象を与えるのは本当によくないと思いますので、今後、修正を検討します。
 それと2つ目は、本当に若手のPI、シニアのPI、こういう役割については継続的にサポートされていくことの重要性を、科研費では考えてまいりたいと思っておりますので、そこの記述についても検討してまいります。
 竹山先生、どうぞ。
【竹山委員】
 若手研究者への研究費重点支援が行われている中で、研究費だけでなく人材サポートも重要だと思います。大学では研究人材として中心的役割を果たすのが、博士課程学生かと思いますが、彼らの支援の在り方については引き続き検討が必要という話になっていたかと思います。昨年12月に大臣が1万5千人の博士課程の学生へのサポートを約束しましたが、この発言は博士課程に進学しようとする学生を勇気づけることになったと思います。ただし、開けてみるとがっかり、ということにならなければよいと思っています。補正で行われる事業や大学フェローシップ創設事業などがありますが、大学が事業後責任を持つような事業では、なかなか手を上げられる大学が限定されると考えます。もっと、研究者自身が手を上げられる制度があればと思います。例えば、申請ベースのマッチングで補てんをしてくれる制度があれば、科研費も含めた広い研究費で博士課程の学生の支援が充実するかと思います。具体的には、大学フェローシップ同様に、国が3分の2補助であれば、科研費からもサポートが可能となると考えます。もっと積極的な考え方を示すことが重要だと思っています。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。今の件もなかなか難しい問題であり、例えば、基盤的な経費ではなく、科研費の中で人件費を賄っていくというようなことをどう捉えるかということについては結構重要な観点になると思います。竹山先生からは、今おっしゃっていただいたご意見は、今までも何回かいただいておりますので、そこら辺の書きぶりをどのようにするかについては、事務局と 一緒に検討してまいります。
 中野先生、どうぞ。
【中野委員】
 2点あるのですが、まず最初、竹山先生が御指摘のところと同じところなんですけれども、若手のところの最後の丸のところですが、最後の丸のところに2つ重要なことが書いてあって、御指摘のあった博士課程の学生ですね。それともう一つ、その前段に書いてあるところは、若手の支援だけではなくて、若手が将来自分がなりたいと思うような中堅シニア、そういう人たちに対する支援があってはじめて、若手がちゃんと戦略を立てることができるという、そういうことが書いてあると思います。それが、2つの内容をひとつの文章にしてしまったので、訴える力が弱くなっている感じがするので、2つの文章に分けたほうがいいんじゃないかと思います。
 もう1点は、ちょっと探したけど、似たようなところ、あまりないんですけど、審査委員の質と量を上げるというのは極めて重要だと思います。科研費というのは、やっぱり予算規模だけではなくて、質の高い審査というのが非常に大事で、そこにかけるエフォートで質が決まってくる。なかなか審査員数を増やすというのは難しいんですけど、科研費の審査委員になった時の不必要な労力を減らすということは可能なように思います。今日、オンラインで会議をやっていますけども、いろいろな審査もがオンラインになって、移動がなくなり楽になっております。今年、COVIDなので、こういうことが普通なのですが、この状況が終わっても、審査の一部をオンラインにするとか、そういうことにすることによって、大阪から一々東京に出張しなくてもいいとか、そういう工夫があれば、審査にかける時間が増えますので、審査というのもより丁寧になるんじゃないかなと思います。以上です。
【西尾部会長】
 ありがとうございました。最初のほうは、記述の仕方について事務局で御検討いただければと思います。
 2つ目は、むしろ、今日の最初にありました科研費の審査等に関してのDXということにもなるかと思いますので、私も中野先生のご意見のように、科研費の審査に関してのオンライン化については今後も継続していただけたらありがたいと思います。
 竹山先生、挙手のマークついていますが。
【竹山委員】
 すいません。今の先生のお言葉なんですけど、JSPSの方々も入っていらっしゃるので、まさにDX化をするのに四苦八苦しながら、結構大変な思いをして、私も主任研究員やっているんですけれども、楽になった部分とすごいやりにくくなった部分といろいろとありまして、その内情をぜひここで一言おっしゃっていただいたほうがいいじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
【西尾部会長】
 どうぞ、大野先生。
【大野委員】
 大野です。お話聞いていて、遠隔でできるというのはいいことだということなんですけども、事務局側からしますと、ネットワークをトラブルなく維持するということは結構大変だと思います。それを例えば、具体的な数字は出せないんですけれども、対面でやっていた数と同じだけこなすというのは、現状では無理です。
【西尾部会長】
 そうですか。
【大野委員】
 ええ。ですから、この辺の予算的な措置、人員措置というのをなしで無理やりやれと言われても、それはできないというのが現状なので、その辺も考えて、全体的にリモートワークがうまく進むような制度を考えるということが必要じゃないかとは思っています。
【西尾部会長】
 竹山先生、実情についての御報告ありがとうございました。大野先生、現実的なコストの面も含めて、ご意見をいただきましてありがとうございます。全体最適化をどうするかというところを今後考えていかなければならないと思います。
ほかに。井関先生、どうぞ。
【井関委員】
 すみません、ちょっと気づいたことなんですが、私、前回、お休み、欠席しておりまして、そのときに出たかもしれないんですが、27ページの若手研究者が失敗を恐れずチャレンジできる機会というのが、令和5年度公募以降を目途に行うことが適当であるというふうに書いてあるんですが、もうこれは具体化されていると、令和5年度という具体的な数字が出ているという理解でよろしいですか。
【西尾部会長】
 この点についてどうでしょうか。
【岡本企画室長】
 事務局からお答えいたします。ここの令和5年度公募以降を目途というのは、若手研究2回目の応募者の基盤研究(S・A・B)との重複応募制限の緩和については令和2年度から始めたところですので、その結果を見た上で、充実を考える必要があるということです。以上です。
【井関委員】
 ありがとうございました。了解いたしました。
【西尾部会長】
 ほかにございますでしょうか。
【竹沢委員】
 竹沢ですけれども、28ページの下のほうの(4)の科研費における個人研究とグループ研究の在り方なんですけれども、先ほど出た話とも関係するんですけれども、ここでの個人研究とかグループ研究の定義とか解釈が、あまりに狭くなってしまうと、実態として、人文系なり社会科学系の科研費の大型科研は、ほとんど、実際には1人とか2人ではなくて、大勢の人数でやって共同研究を発信しています。でも、どういうふうにそれを個人と解釈するかですけれども、それをリーダーシップを取って国際共同研究なり国内共同研究なりするのは、あくまでもPIの力量によると思うんですね。それは5人で一緒にやりましょうと、手をつないでやりましょうという性格のものではなくて、PIがその実績を持っているかという、そこの審査に関わると思うんですけれども、ここで、これ、定義を変えるか、解釈を変えるか、どっちかにしないと、人文・社会系の科研費の大型科研は成り立たなくなってしまうので、実際にはそういうことによっていろいろと国際発信も国内発信も研究の推進自体も進んでいるので、そこのところはもう少し、そういう解釈というか、実態に合わせた書き方をしていただければと思います。
 それから、今日何度もお話が出ている若手ですけれども、これも例えばですけど、さっき私が提案したような50・50の関係と50・50のお金の出費の仕方で海外と研究をする場合に、次世代のことを考えて若手を入れるという。今回の学術変革領域研究のときに若手を必ず入れるようにと提案し、そういう形になってよかったと思うんですけれども、少なくともまずはジェンダー、年代に考慮したという文言を入れ、国内、国外のネットワークづくり、あるいは経験づくりということで若手に育ってもらう、そういう方法もあるかなと思いました。
【西尾部会長】
 個人研究とグループ研究の在り方のところに関しまして、今御指摘いただいた点を踏まえて、もう少し記述を考えるということについて、事務局、どうでしょうか。
【岡本企画室長】
 この個人研究とグループ研究の在り方は、今期の研究費部会において、様々な事業の実施者の方や学長をされている方と意見交換をさせていただいた中から上がってきたもので、中長期的な課題として取り上げさせていただいております。個人研究とグループ研究というものをこの段階で明確に定義して記述するのは、なかなか難しいかなと考えております。ピラミッドの科研費の研究種目の体系イメージでいうと、一般的に個人研究というのは、特別推進研究を頂点とし、基盤研究、若手研究の部分が中心になると思います。ピラミッドの左側です。また、右側にある新興・融合、挑戦的なものを支援する種目の中の学術変革領域研究がグループ研究ということで、多くの方が意識されているかと思いますが、そこを具体的にに文章化するのは、なかなか難しいかなというのが第一感です。
【西尾部会長】
 そうしましたら、例の科研費の構成に関してのピラミッド図があって、その中で、個人研究に該当するもの、グループ研究に該当するものと、いろいろとあるのですけれども、ここの記述について具体的な御提案とかございますか。
【西尾部会長】
 分かりました。栗原先生、どうぞ。
【栗原委員】
 今の点ですが、もしお書きいただくのでしたら、科研費の一般的な個人研究の意義と、それに対して、一方、新しい領域とか、それから、急速に研究が展開している、あるいは分野融合等が進んでいる現代において、より学術変革領域などのグループ研究の必要性や重要度が増しているという。従って、それぞれの在り方や充実度についてより検討を進める必要があるというような書き方で、前向きに書かれたらいかがかと思いますが。
【西尾部会長】
 栗原先生、どうもありがとうございます。今の御意見と先ほどいただきました、どういうところを明確にすべきかというところを踏まえて、該当部分をよりポジティブな記述にしてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
ほかによろしいですか。上田委員、ご意見はよろしいですか。
【上田委員】
 すいません。ちょっと名前の変更ができなくて、手を挙げられないので。皆さんの意見、非常に参考になると思いますけど、今のグループか、個人かというところに関しては、ちょっとJSTとの関連もいろいろあるので、グループ研究というものの在り方を科研であまり議論すると、CRESTとかとの関係も出てきますね。基本的に、学術変革研究というのは、何かあるテーマを決めて、これはボトムアップに決めるのですが、国が定めるのではなくて。ただ、それをある1つの領域だけでやるにはやはり十分でなくて、いろんなものが連携してやっていくというのが科研におけるグループ研究ではないのかなと。単に1つのテーマを1人でできないからたくさんでやるというようなものをグループ研究と定義するのはあまりよくなくて、ただし、異分野連携で何かやるといったときも、やはりJSTとのCREST等の兼ね合いもあるので、あくまでもJSPSはボトムアップに、個人というか、個人が集まってグループになるのですけども、そういうものでやるというような明確な指針を出していかないと、CRESTとの関係性が非常に曖昧になってくるので、その点だけは注意したほうがいいと思います。以上です。
【西尾部会長】
 ありがとうございました。科研費の本来の趣旨に沿って、ということの重要性をご指摘いただきました。そうしましたら、栗原先生、大野先生。
【栗原委員】
 すいません、今の上田先生の御意見、ちょっと誤解を招くかもしれないと心配します。新学術とか学術変革領域の研究の進め方はCREST等とは全く違うものだと思いますので。
【西尾部会長】
 大野先生、どうぞ。
【大野委員】
 大野です。我々、科研費をよく知っているので、これは当たり前だという認識なんですけれども、この書類が外に出たときに、意外と科研費の本質を知らない人たちが多いので、やはり科研費というのはどういうものかというのを、提言の初めでも、まえがきでも、どこでもいいんですけれども、「全領域をカバーする研究者自らが発案する基礎研究を支援する我が国唯一の制度である」というところは強調しておくべきじゃないかと思います。
【西尾部会長】
 大賛成でございます。
 ほかに御意見ございますか。中村先生、どうぞ。
【中村委員】
 私も今の御意見と同じなんですけども、これ、頭に科研費とは何かというのが必要だと思います。少なくとも昔の科研費の定義で言えば、世界をリードするような研究をやると書いてあったんじゃないかなと思うんですけども、今でもそうなんでしょうかね。今の国際共同研究にしろ、何にしろ、科研費によって世界をリードする研究をやるというふうに定義すると、少額の科学研究費で基盤的校費を補うというような発想とは相入れないことは最初からはっきりしているんですよね。
ですから、科研費の基本理念を冒頭に書いていただいたほうがいいかなと思いました。
【西尾部会長】
 大野先生、また中村先生からおっしゃっていただいたように、この最終まとめが社会に出ていくということを考えたときに、多くの方々に科研費を御理解いただき、科研費がどういう改革をしてきていて、今後さらにどう発展していくのかということについての大きな流れをまずは押さえる必要がありますので、今、中村先生がおっしゃった点も含めて、原点に戻って記述を試みたいと思います。どうもありがとうございました。中野先生、どうぞ。
【中野委員】
 すいません。科研費の目的と同時にピアレビューということの重要性というのもぜひアピールしていただきたい。我々が時間を使って審査しているというのは、いかに大事なことで、それが科学の発展に対して重要かということも書いていただきたいと思います。
【西尾部会長】
 学術のコミュニティが総体として支えおり、支えていかなければならないということで、重要な観点だと思います。ありがとうございました。
 そうしましたら、皆さん、御意見はこれまででよろしいでしょうか。
 それでは、本日、皆様からいただきました貴重な御意見、コメント等につきましては、それらを踏まえてどのような修正・加筆等をしていくかということにつきましては、部会長をしております当方に御一任いただき、私と事務局のほうで、今後、最終版に向けてのプロセスを踏んでまいりたいと思います。そういうことで御了解いただけますでしょうか。
 ご異存がないようですので、そういうことで進めさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議事はこれで終了になりますけども、研究振興局からお言葉をいただけるということですので、よろしくお願いいたします。

(3)その他

【塩崎大臣官房審議官】
 研究振興局担当審議官の塩崎と申します。本日は第10期の研究費部会の最終回ということになりますので、一言御挨拶申し上げます。
 まず初めに、2年間、大変活発な部会運営に御尽力をいただきました西尾部会長に本当に厚く御礼を申し上げます。
 また、毎回大変御熱心な御議論をしていただきました委員の皆様方に深く感謝申し上げます。
 とりわけ、今期の後半の審議というのは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点で、ウェブ会議の開催ということになりまして、大変御不便をおかけする中での御審議になったということですけれども、諸先生方の御協力をいただきまして、ほとんど対面会議と変わらぬような部会進行ができたということで、それにつきましても御礼申し上げたいと思います。
 今期の部会におきましては、科研費を中心としました学術研究を支える研究費制度につきまして、部会の枠を超えて、関連事業の有識者との意見交換を行って取りまとめをいただくなど、これまでの枠にとらわれない取組も行われたということに感謝を申し上げたいと思います。
 また、本日の議題でもありました第6期の科学技術基本計画に向けました科研費の改善・充実についての取りまとめに関しましては、先ほど、DXとか、国際共同研究、若手の研究者支援とか、大変貴重な御意見をいただきました。本取りまとめにつきましては、科研費事業を今後進めていく上での検討の方向性を示す大変重要なものであると受け止めているところでございます。今後、御指摘いただいた点も含めまして、速やかに具体化に向けての検討を進めてまいりたいと思います。
 文科省としましては、引き続き、国と学術界が一体となって学術研究を推進していくことが大変重要であると考えているところでございます。今回で第10期の検討は終わりますけれども、今後とも、いろいろな形で御指導、御助言を賜れば大変ありがたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 2年間、本当にどうもありがとうございました。事務局を代表して御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
【西尾部会長】
 どうも塩崎審議官、ありがとうございました。
 私としましても、10期の2年間にわたりまして、皆様方から本当に貴重な御意見、コメント等をたくさんいただきましたことに対しまして心よりお礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
 特に今期は、甲斐先生から以前から御提案いただいておりました、科研費以外の研究を支える様々な経費についてのヒアリングを総合的に行うことができまして、その過程で、科研費の持つ重要性というのを改めて認識することができ、私としましても貴重な機会でした。
 現在の科研費を取り巻く研究費の状況につきましては、例えば、今年度から「創発」というような研究支援プログラムも始まっておりまして、今後、科研費そのものをどう強化するかということに関しては、より競争的な環境になってきております。その中で、国力の源である学術研究を支える科研費をどう維持、発展させていくかということが今後ますます重要な課題になってくると思います。今後とも、そういう観点から、委員の皆様方におかれましては、さらなる御尽力、御協力をいただきますと幸いでございます。本当にどうもありがとうございました。
 それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。
【中塚企画室長補佐】
 本日の議事録につきましては、各委員に御確認をいただいた上で公開をさせていただきます。
 また、研究費部会の最終まとめにつきましては、本日御議論いただいた御意見を基に確定させた後、各委員に共有させていただくとともに、文部科学省のホームページにアップさせていただきます。
 以上でございます。
【西尾部会長】
 それでは、第10期の研究費部会はこれにて終了いたします。
 改めて、皆様方に感謝申し上げます。ありがとうございました。閉会いたします。

―― 了 ――

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