第10期研究費部会(第12回) 議事録

1.日時

令和2年11月2日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

  1. 科学研究費助成事業等に係る令和3年度概算要求について
  2. 第10期研究費部会における議論のまとめ
  3. その他

4.出席者

委員

甲斐委員、栗原委員、白波瀬委員、西尾委員、射場委員、大野委員、小安委員、城山委員、竹山委員、中村委員、鍋倉委員、山本委員、上田委員、竹沢委員、中野委員

文部科学省

塩崎大臣官房審議官、先﨑学術研究助成課長、岡本学術研究助成課企画室長、中塚学術研究助成課企画室室長補佐、他関係官

オブザーバー

西村日本学術振興会学術システム研究センター副所長

5.議事録

【西尾部会長】
 それでは時間となりましたので、ただいまから第10期第12回の研究費部会を開催いたします。
 皆さん、音声などにつきまして、何か問題等ございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、オンラインで開催を致します。通信状況等によりまして、何か起こった場合はその都度対応しながら、皆さん方に御協力をいただくことになると思いますので、あらかじめ御了解いただきたくお願いいたします。
 それでは、事務局におきます人事異動につきまして、御紹介をお願いいたします。
【中塚企画室長補佐】
 事務局に人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 研究振興局長が7月28日付で杉野剛局長に替わってございます。本日は所用により欠席をさせていただきます。
 それから8月1日付で、塩崎正晴大臣官房審議官が、研究振興局及び高等教育政策連携担当として着任してございます。
 以上でございます。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。本日は、科研費及び研究大学強化促進事業の令和3年度の概算要求の状況などを御報告いただいた後、本部会の最終取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。何とぞよろしくお願いを致します。
 それでは、配付資料の確認、それからオンライン会議の注意事項などについて、事務局のほうから説明をお願いいたします。
【中塚企画室長補佐】
 資料については、事前にお送りいたしましたファイルを御参照いただければと思います。資料番号が付してある資料が、本日使用する資料になります。
 事前にオンライン会議用の注意事項もお送りしておりますけれども、念のためこの場でもオンライン会議の注意事項を説明させていただきます。
 まず、通信の安定のため、発言を除き常時、マイクをミュートにしてください。それから、部会長を含め、委員は常時ビデオをオンにしておいてください。また、傍聴者の方は、ビデオをオフにしていただくようお願いいたします。また、発言する際には、「手を挙げる」ボタンを押して連絡いただければと思います。部会長は参加者一覧を常に開いておいていただき、青い手のアイコンを表示している委員を御指名いただければと思いますが、それぞれ「手を挙げる」ボタンがうまく作動しない場合等があるかと思いますので、その場合は直接御発言をいただければと思います。また、発言される際には、その都度お名前を御発言いただくとともに、オンラインでも聞き取りやすいよう、はっきり御発言いただければと思います。また、資料を参照する際には、資料番号、ページ番号、ページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただければ幸いでございます。また、議事録作成のため、前回までと同様、速記者を入れてございます。トラブル発生時には電話にて事務局まで御連絡いただければと思います。それから資料の欠落等がある場合や、オンライン会議について御不明な点がある場合には、事務局までお電話を頂ければと思います。
 以上でございます。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。今の御説明につきまして、何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 1番目は、事務局から令和3年度の概算要求の内容を御説明いただきたいと思います。今回は、科研費及び研究大学強化促進事業について説明をしていただきますよう、よろしくお願いいたします。

(1)科学研究費助成事業等に係る令和3年度概算要求について

【先﨑学術研究助成課長】
 失礼いたします。学術研究助成課長の先﨑でございます。お時間をいただきまして、令和3年度概算要求について、私のほうからお話をさせていただきたいと思います。
 資料は1と2を御覧いただければと思います。
 まず科研費についてでございます。このポンチ絵の一番右下を見ていただければと思うのですが、来年度は概算要求のルールが例年と大きく異なっておりまして、まず今ついている予算、二千数百億の予算、それプラス、我々としてチャレンジをするという要望額というのを設けて、2段階で予算要求をするというのが例年の予算要求のスタイルなんですけれども、今年はこの要望額、つまりチャレンジして予算を取りにいくという枠が、実はコロナ枠というふうに衣替えをいたしまして、コロナに直接資するものについて要求をするようにという形になっています。ということで、ボトムアップ研究、オールマイティーに対応できる科研費のような予算というものは、実は非常に要求がしにくい、非常に厳しい状況であったわけですけれども、私どもとしてもそれでは仕事ができませんので、何とか予算要求をさせていただいたと、そういう状況でございます。
 この右下の、いつもおなじみの絵を御覧いただきますと、令和2年度の公募から、先生方御案内のとおり、若手研究と基盤研究(S)(A)(B)の併願が可能になったわけでございます。また、併せて基盤研究(B)と挑戦的(開拓)、これの併願と併給ができるようになったということでございます。JSPSの御尽力によってこれが達成されたということなんですけれども、それによりまして、例年見られなかった基盤(C)が減少に転じたということでございます。また、併せて基盤研究(B)の出願者、申請者が増えたということで、既に45%の申請になっている基盤研究(C)が少し減少に転じているという状況でございます。これはこれで、今までの先生方の御審議と、それらを制度化したことによって出てきた動きであろうと思うのでございますけれども、今後は若手研究が平成30年の補正予算によって大幅に件数が増えて、採択率が40%に達しているということもありまして、そろそろ若手研究の2回目が終わって、次の事業に申請を移っていくということになる。そうなりますと、より基盤(A)(B)、この辺りの予算というのが窮屈になってくるということになるわけでございます。
 そこで若手研究というもの、若手に対する支援というのは、CSTIからの科研費に対する今までの要求事項でもありましたので、それらを踏まえた上で、若手だけではなくて、中堅・シニアにとっても切れ目なく優秀な方が研究費を取れるようにということで、基盤研究(A)、基盤研究(B)の増額ということに絞って要求をさせていただいているということでございます。もちろんそれ以外にも、左側にも書いておりますけれども、特別研究促進費、これはコロナとか、台風、天災害などについて、いち早く緊急に対応しなきゃならないような予算について、これは本省でやっている事業ですけれども、対応でありますとか、あるいは国際共同研究加速基金の中で、まだ基金化を年次進行でやっております(B)につきましても、基金の充実のための概算要求ということをさせていただいておりますが、メインとしては基盤研究(A)(B)、ここの増額ということをさせていただいているということでございます。
 また、新聞等々で既に報道が出ておりますけれども、私どもとしては、補正予算についても視野に入れて予算というものを考えていきたいというふうに考えておりますが、現時点では年度の正予算としての科研費の姿というものは、今申し上げたような感じでございます。
 併せて、ついででございますけれども、研究大学強化促進事業につきましてもお話をさせていただきたいと思います。この事業は科研費とは別ですけれども、URAの配置促進を促す事業として、10年計画でやっている事業でございますが、2022年度が終期ということになっております。これは各大学にURAを配置していただこう、そのための誘導補助金という形で措置されているものでございまして、2022年を過ぎると国の補助がなくなる、段階的に内製化を図っていっていただきたいと、そういう事業でございます。ですので、令和3年度も、何もしなければ予算は減額要求という形がもう既になっているわけですけれども、今回はコロナというふうなこと、あるいはDX、研究DXということも考えていかなければいけないということで、予算を増額要求させていただいているところでございます。
 その予算要求のポイントは、このポンチ絵、資料2のポンチ絵の右上にポイントというのを書かせていただいておりますけれども、URAによる研究DXを推進するデータ基盤の整備・構築ということで、まずございます。もう1枚資料を御用意しておりますので、御覧をいただければと思いますが、URA、私どもが把握するところでは、約1,500名のURAが国立大学等々にいらっしゃると。その方々は大型研究資金をお持ちになっている先生方のところにいるということもあれば、あるいは学長・総長直下でURAがいて、大学全体のマネジメントにアカデミアを支援する形で存在するというような場合、大きくこの2つがあるわけでございますけれども、その方々のお話を聞いてみると、あるいは大学側のお話を聞いてみると、企業との受託研究でありますとか、あるいは海外と大学がやり取りをするというようなときに、コロナが1つの引き金になって、コンフィデンシャルな専用回線というのはないのかというようなことを言われることが増えてきているということでございます。
 この資料の一番下に書かせていただいておりますけれども、英国にはスノーボール・メトリクス・エクスチェンジという、URAの方々が専ら使う保秘ができる回線というのがあって、英国にもSINETに相当するものが、ジャイアントというのがありますが、それに乗っかる形でこういうのを主要大学の中で走らせている。アメリカにもコラボレートというのが存在するということもあるので、今後URAの活動の信用性・信頼性を国内企業や海外の大学との間で高めていくという意味においても、こういった回線、あるいはデータインフラの構築ができるような、そういう仕組みをこの予算がある間に構築しておく必要があるんじゃないか。半ばハードのようなものでございますので、こういうものを整備しておく必要があるのではないかと。もちろん、保秘が図れる回線でコンフィデンシャルなやり取りをするということももちろんですけれども、各URAの皆様がどのようなバックボーンを持って活動されているのかといったようなことでありますとか、あるいはどういった成功事例があるのかみたいなことも、ネットワーク下の大学が参照できるようにして、異分野融合、あるいは海外との連携を図るときの参照データとして使えるような、そういった仕組みも考えながら、こういう予算要求をしていくということを考えております。
 ただもう一つ、1枚目に戻っていただいて、マル2でございますけれども、研究のDXを推進するURAの重点化ということでございます。これはやや苦しい要求なんですけれども、何かコロナなり、DXとか、そうやって幾つかのポイントがあるんですが、それにリンクしていないと予算要求ができないということもあって、今回はDX化を推進するURAという、そういう言い方を致しました。現在各大学にお話を伺っていくと、DXの推進というのは急ピッチで進んでおりますけれども、いろいろなやり方があるわけでございます。幾つかの大学ではアカデミアと事務方をつなぐような形で、学長・総長直下にURAの方々が集まった、そういう推進エンジンのようなものがあって、で、全体共学のDX化を図っていくというようなことにお取組になっているような例もあるようです。あるいは、そこまで大風呂敷は広げないものの、URAの方々がお忙しい先生方と事務の間をつなぐような形でDX化を進めていくというようなことを行っているということも聞いております。そうなりますと、これはコロナ禍によって始まったニーズでもありますので、そこも踏まえて研究のDXを推進する人材ということで、本来であれば人員分というのは予算が減額要求をしなければならない、これ約束の事業ではありますけれども、その分増員する形で要求を今回させていただいていると、そういうことでございます。なかなか学術研究助成化関係の予算は要求しにくい来年度予算ではございますけれども、こういう状況でしっかりと私どもとしても、どこまで頑張れるか分かりませんが、全力を尽くしていきたいと思っております。
 以上でございます。
【西尾部会長】
 どうも課長、力強いお言葉と、それからポイントを押さえた御説明をいただきまして、誠にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
 それでは、今の御説明につきまして、質問等ございませんか。
 甲斐先生、どうぞ。
【甲斐委員】
 先ほど御説明の中に、そのうちこの予算は打ち切られてしまうというお話があったんですが、URAはやはり始めてみると大変有用だと実感しております。むしろ増額するとか、あるいは各大学がもっと充実化できるような、予算付けや何らかのサポートを行うなどのご計画はないんでしょうか。
【西尾部会長】
 事務局のほう、どうでしょうか。
【先﨑学術研究助成課長】
 はい、お答えいたします。
 一応今、この事業の前提を御紹介したわけでございまして、URAの重要性というのは、まさに高まる一方であるわけでございます。何とかこれしなきゃいかんということなんですけれども、一応この事業ということでは、そういう約束を10年前にしてしまっているので、そういう形で進んでいるということでございます。今後どうするかということについては、私どもはもちろんですけれども、URA自体を所管している科政局ともよく連携して考えていかなければいけないなと。その認識はちゃんと持っております。
【西尾部会長】
 甲斐先生、よろしいですか。
【甲斐委員】
 ありがとうございました。
【西尾部会長】
 どうもコメントありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 予算要求につきましては毎年財務省との厳しい折衝を行っていただいておりますけれども、やはり学術研究の振興には科研費の充実が不可欠ですので、引き続き御尽力を賜ればと思っております。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。6月に取りまとめていただきました第6期科学技術基本計画に向けた科研費の改善・充実についての中間まとめにおいて、中長期的に検討すべきことについては、その留意点を今後示すということにしておりました。本日はそれらについて、最終まとめに向けて議論していきたいと思います。
 事務局から、科研費の審査結果とともに、このことについて御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(2)第10期研究費部会における議論のまとめ

【岡本企画室長】
 それでは資料の説明をさせていただきます。まず、科研費の審査結果につきまして御報告をさせていただきますので、参考資料1を御覧いただければと思います。
 参考資料1は2枚ものになっております。令和2年10月現在の審査結果の一覧というものでございます。5月の研究費部会におきましては、4月1日に交付内定をした種目について御報告をさせていただいております。その後審査が終了したものを、10月現在ということでまとめさせていただいております。追加した部分を簡単に御説明させていただきます。
 まず一番上にあります特別推進研究でございます。こちらは昨年度と同様、12件を採択しております。
 次が学術変革領域研究(B)でございますけれども、こちら令和2年度に創設した種目になっておりまして、現在(A)のほうはまだ審査中でございますので、今回は(B)のほうだけ結果を御報告させていただきます。応募領域650件ということで、非常にたくさんの応募をいただいたところでございます。採択領域は20件ということで、この領域数については、公募要領に示した数字と同程度となっておりますが、非常に応募領域が多かったということで、採択率は3.1%になっており、非常に低い採択率となっております。採択領域の計画研究は、全体で91件を採択しております。
 次が基盤研究(S)でございます。基盤研究(S)は80件を採択しておりますので、ほぼ昨年と同レベルということになっております。
 次に2ページ目を御覧いただければと思います。
 挑戦的研究でございます。挑戦的研究につきましては、応募件数に大きな変動がございました。挑戦的研究の(開拓)につきましては、令和2年度から基盤研究(B)との重複応募、また受給ができるということで、前年度と比較いたしますと900件ほど増えて、1,607件となっております。また、採択件数は148件ということで、前年度より67件増えております。一方、挑戦的研究の(萌芽)でございますけれども、こちらは前年度と比較いたしまして1,000件ほど減っており、採択件数は1,241件となっております。
次が研究活動スタート支援でございます。こちらは3,811件の応募に対して1,455件の採択ということで、採択率は38.2%で、昨年度よりも少し採択率も上がっているところです。
 最後が国際共同研究強化(B)でございます。1,231件の応募ということで、前年度よりも360件ほど減っておりますが、採択件数255件ということで、採択率は20%を超えて20.7%になっております。
 以上が速報値の報告でございます。例年ですと、この時期に「科研費の配分について」という研究機関ごとの配分の状況、また研究分野ごとの状況などを分析した資料を公表しておりますが、本年はまだ学術変革領域研究(A)が審査中ということもあり、本資料については、年内を目途に公表できるよう進めていきたいと考えております。
 以上が参考資料1の説明でございます。
 続きまして、資料3を御覧いただければと思います。
 資料3は、6月におまとめいただきました「中間まとめ」の中に記載しております中長期的に検討すべきことの検討に当たっての留意点等を本日御議論いただくために準備した資料でございます。来年の1月を目途に、次期の研究費部会において各事項を検討するに当たっての留意点等を付記した上で、「最終まとめ」をとりまとめていただきたいと考えているところでございます。
 この中長期的に検討すべきことは、現在5項目ございまして、本日はこの5項目につきまして、事務局として委員の先生方から御意見をいただきたい点について記述をしているところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず1つ目でございます。科研費において対象とする研究者の範囲と必要とされる金額設定というところです。①が研究者の範囲についてというところでございますが、現状などを踏まえまして、こちらの留意点等につきましては、ゴシックで書いております。研究者の範囲についての検討は応募資格に関わることから、研究機関の現状を正確に把握した上で検討を進める必要がございますが、どのような方法が考えられるかということで御意見をいただきたいと思っております。最近の状況として、下に小さい字で書いてございますけれども、「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ」に基づきまして、若手研究者の自発的な研究活動を支援するための実施方針が定められております。科研費においても、令和2年4月から、科研費により雇用される若手研究者が、一定の条件の下、雇用元の科研費の業務に充てるべき勤務時間において自発的に科研費を含めた競争的資金への応募、また研究活動を行うことを可能としているということがございます。
 2つ目が必要とされる金額設定についてでございます。現状等を踏まえまして、次のページになりますが、検討に当たっての留意点を3つほど書かせていただいております。
 1つ目が、平成28年度に文部科学省が実施した「個人研究費等の実態に関するアンケート」と同様の調査を実施し、最新の個人研究費の実態等を踏まえての検討が必要ではないかということでございます。こちらは参考資料4に本文などつけさせていただいておりますけれども、簡単に申し上げますと、平成28年に科研費の採択上位200機関に所属する研究者1万人の方を対象として、アンケートを実施したものでございます。回答は3,600名ほどの方から頂いております。個人研究費といいますのは、いわゆる基盤的な経費でございます。所属機関から研究者の方に対して、自由な研究活動の実施、または研究室の運営のために支給される資金がどの程度あるかというようなことを聞いたものでございます。当時の結果によりますと、個人研究費、国公私大の別によらず、50万円未満が6割、100万円未満が8割という結果が出されております。また、10年前と比較いたしますと、個人研究費が減少したものが4割を超えているという結果などもございます。5年前にこのような調査をしておりますので、改めて同様の調査などを行って検討してはどうかということでございます。
 2つ目が、科研費の主要種目の応募件数の約半分を占める基盤研究(C)について、科研費の中でどのような研究費として位置づけるべきか。また、分野や研究方法によっても必要となる研究費の額が異なることについて、どう考えるかということでございます。
 次に、若手研究者が失敗を恐れずチャレンジできる機会の充実ということで、検討に当たっての留意点を2つほど書かせていただいております。若手研究2回目の応募者の基盤研究(S)(A)(B)との重複応募制限を緩和したところであり、少なくとも数回分の公募の結果を検証し、更なる改善方策を検討する必要があるのではないか。また、その他、若手研究者が失敗を恐れずチャレンジできる機会として、どのようなことが考えられるかということでございます。
 次に新興・融合研究を推進するための制度の改善・充実ということで、現状等を踏まえまして、1つ目が挑戦的研究の審査に関することで、挑戦的研究としてよりふさわしい課題を選考するため、また、審査委員としてより相応しい者を選考するため、どのような方法が考えられるかということでございます。
 また、次のページになりますが、挑戦的研究(開拓)と基盤研究(B)との重複応募・受給制限の緩和に関することで、この重複応募・受給制限の緩和について、少なくとも数回分の公募結果を検証した上で、更なる改善方策を検討する必要があるのではないかということでございます。3つ目が学術変革領域研究(A)(B)に関することで、令和2年度に創設した種目でございますので、この種目の改善・充実については、少なくとも(A)は事後評価の結果、(B)は3年間の研究期間が終了した課題の状況等を踏まえて行う必要がありますが、どのような観点が考えられるかということでございます。また、本種目の審査・評価業務については、将来的に日本学術振興会に移管する予定であり、移管までに必要な改善については、文部科学省において行いつつ、制度全体の見直しについては、日本学術振興会の意見等も踏まえて検討する必要があるのではないかということでございます。
 次に科研費における個人研究とグループ研究の在り方ということでございます。検討に当たっての留意点として1つ書かせていただいております。個人研究とグループ研究の在り方については、学術変革領域研究の改善・充実に合わせて検討することが適当であると思われるが、どのような観点が考えられるかということです。
 最後が、戦略的創造研究推進事業等との連携ということでございまして、こちらについての留意点等も1つ書かせていただいております。科研費と戦略事業等がそれぞれの制度の目的、対象の違いを明確にしつつ意思疎通を図るには、どのような方法が考えられるかということでございます。
 以上が事務局から先生方の御意見をいただきたい点でございますので、様々な御意見をいただければと思っております。本日いただく御意見を踏まえて、今後「最終まとめ」に向けて作業を進めていきたいと考えております。
 資料の説明は以上になります。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。岡本室長から説明いただいた点につきまして、今後議論をしていきますけれども、今期の研究費部会は、本日と年が明けてからもう1回ぐらいしか開催できないと思います。そこで、来期においてどういうことを議論していくべきか、ということについて最終まとめにはきっちりと記述しておきたいと考えております。今日のこれから議論においては、最終的にこうすべきだというところまでのまとめというよりも、各課題に対して、こういうことはきっちりと議論していくべきであるとか、こういうことに配慮した議論が必要であるとか、そういう観点から、課題そのものについて明確にして次期に申し送りをするという観点で捉えていただければと思います。
 それでは1番目で、科研費において対象とする研究者の範囲と必要とされる金額設定ということで、(1)で書かれていることについて御意見等いただければと思います。
 次期において、例えば金額設定等をしていく上では、各研究者は現状において基盤的な研究費としてどのくらいの金額が学内において配分されていて、自分の行いたい研究をするのはどのぐらいの経費がかかるのかをアンケート調査をしてデータを集め、その上で科研費としての金額設定を議論していくというのも一つの案ではないかということで、検討に当たっての留意点が書かれています。
 何か御意見等ございませんでしょうか。
 栗原先生、どうぞ。
【栗原委員】
 今の点ですけれども、こういう調査をやっていただくことは非常に重要だと思います。1つはもちろん科研費もそうですけれども、今後大学改革などについても、基盤的経費に関してもデータがきちっとあれば、大分考え方等が明確に示せる可能性もあると思いますので、ぜひお手数をおかけしますが、実施いただければと思います。
 以上です。
【西尾部会長】
 学術研究振興の観点から、ぜひそのようなアンケートは、次期においてもやるべきだという御意見でした。どうもありがとうございました。
 ほかにございませんでしょうか。
 中村先生、どうぞ。
【中村委員】
 全般的な問題です。今、米中の対立がますます深まって、技術の囲い込みが起きつつある。それから中国が最近の習近平さんの発言でも、要は科学技術で世界を席巻していくんだという明確な意志が出ています。新しい産業や新しい社会をつくるためには、科学技術の発展が必須だということは国際的な常識です。これを踏まえると、日本の大学を中心とした基礎研究、ないしは応用研究を抜本的に見直して、予算をもう大幅増額するということが必要であることは明らかです。国際情勢が変化したんです。明らかに国際情勢が、一気に変化した。この一、二年で。その事情を、国全体として考える必要がある、というようなことを冒頭に述べる必要があります。この議論というのは、もう十年一日のごとくやってきたんですけれども、世界情勢が一気に変化していて、かつ日本は過去10年全く失われた状態で来たわけですから、その問題を深刻に考える必要があるというメッセージが一番最初に必要だと思います。
【西尾部会長】
 分かりました。中村先生からおっしゃっていただいた、現在の国際的な情勢を踏まえた上での日本の科学技術、学術研究の振興をどのように推進していくのかという議論を、次期では抜本的な改革に繋がる議論として行うべきだということでございまして、これは皆さん異議のないことだと思っております。したがいまして、その議論を研究費部会で行うのか、学術分科会等で行うのか、あるいは合同の委員会で行うのかということも含めて、事務局に一つの大きな宿題を預けますのでよろしくお願いいたします。
【先﨑学術研究助成課長】
 承知いたしました。
【西尾部会長】
 はい、小安先生。
【小安委員】
 そういう意味でいったら、やはりこれは多分研究費部会のマターではないかもしれないのですけれども、若手、若手といって別に予算だけ増やしても、それを担う若手がいなくなっているという現状をどうするかということが最大の問題だと思います。結局大学院後期博士課程の学生をどうやって増やすかということもずっと議論、これも議論しているのですが、やはりきちんと支えるべき人材を育てる、そこをどうやってやっていくかということをきちんと書く、これも、課長さんに預ける形になるかもしれないのですけれども、そこはやっぱりきちんと述べていただきたいと思います。
【西尾部会長】
 そうしましたら、小安先生からおっしゃっていただいたことを最終まとめの中で明確に記述していきたいと思っております。
 竹山先生、どうぞ。
【竹山委員】
 今のお話の続きになりますが、人材に関しては人材委員会やポスドク小委員会もあり、様々討議が進められています。ポジションの問題、研究環境の整備が課題ですが、同時に研究費とも関連するところでもあります。博士課程の学生を増やすなどの文言は他の委員会とも同じになりますので、この研究費部会としての特徴を出した討議内容を強調したほうが良いかと思います。
【西尾部会長】
 貴重なコメント、どうもありがとうございました。全くおっしゃるとおりだと思います。
 いかがでしょうか。
 射場さん、どうぞ。
【射場委員】
 もう1回先ほどの個人研究費のほうに戻るんですけれども、参考資料4に書かれている個人研究費の定義って……。
【西尾部会長】
 参考資料の4ですか。
【射場委員】
 4です。ここに定義書かれているのは、実際実験するために大きい装置を買ったり、高い試料を買ったりみたいな、そういうお金じゃなくて、この運営するための経費なんですね。それは全体のその研究予算に比べると大分、そんなに大きな額じゃないと思うんだけれども、ここが少ないことで、すごいお金が足りないというか、切迫感が生じているような気がして、なので、ちょっと全体の予算がどれぐらいの中で、この部分の予算がこんなに少ないことで困っているみたいなところが分かる形に変えるといいかなと思うので。ちょっとこの50万、100万というのは、この数字だけ見たら何か衝撃的な数字なんだけれども、運営のための予算で、本来ここを、じゃあ普通に活動できる予算にするためにはどれくらいの補塡が必要なのかというふうな議論が必要なんじゃないかなと思います。
【西尾部会長】
 分かりました。次期でアンケート調査を行うことが先ほど来議論されていますので、そのときに射場委員が今おっしゃっていただいた点がより明確になるような工夫をしてデータを取るようにするということでよろしいですか。
 白波瀬先生、今の件ですか。
【白波瀬委員】
 はい、そうです。ありがとうございます。やっぱりアンケートは取っていただいて、時系列比較できるようにしていただくのがよいと思います。ただ、質問項目もなんですが、回答者が1万に対して3,646名、つまり3分の1の回答率ということですよね。ですから、このアンケート結果は使える部分と、全体をみるには偏りを注意しなくてはなりません。今射場先生おっしゃってくださったみたいに、全体の中での位置づけがわかるようにするととてもよいので、全体データとして、できれば他調査とのひもづけもできるように工夫して、全体像の把握が可能なデータの構築をお願いしたいと思います。日進月歩で社会調査のやり方にも変化があり、ビックデータで代表されるように異なるデータを積極活用しデータサイエンスの枠組みで展開していく。そういう意味でしっかり活用できるデータの構築を意識し、これだけの結果によらないというのが今後必要になってくるように思います。よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。白波瀬先生がおっしゃるように、調査の対象データのあり方、時系列で比較できるようにすること、さらには取得データのどの部分を有効に使うのかなどについて、事務局の方ではいろいろ考えていただく必要があるかと思いますので、その点は宿題としてお願いをしたいと思います。どうもありがとうございました。その中で、射場委員のおっしゃられたことも考えていただきたいと思います。ありがとうございました。
 (2)、(3)とかに分けて御意見を伺いたく思っていたのですけれども、順番に進めていきますと、おっしゃりたいことがなかなか御発言できないという可能性がありますので、もう(5)まで、どこの項目でもよいのでご発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 さらに先ほどの令和2年度の新規採択分の速報値について、先ほど岡本室長から御説明いただいた内容につきましても、御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。ございませんでしょうか。
 城山先生、どうぞ。
【城山委員】
 城山です。どうもありがとうございました。
 1つは確認なんですけれども、この(1)の中の検討に当たっての留意事項の2点目です。45%を占める基盤(C)、これどのような研究費として位置づけるべきかという、これのもうちょっと具体的な含意を教えていただきたいのですが。これは西尾先生が最初におっしゃられた、現実として、本来であればデュアルサポートで科研費部分と運営費の部分は切り分けなきゃいけないんだけれども、実態として科研費がそこの不足部分を補っているということに対して、次のステップとしてどういう態度を取るべきかというのをもうちょっと鮮明にする必要があるという、そういうニュアンスなのかなと受け取ったんですが、そういうことでよろしいのか。つまり先ほどのやり取りとも関わるんですけれども、デュアルサポートということでいえば、研究費の中で額は小さいんですが、やっぱり独立した研究費としての一定の規模なり、額なりをむしろ維持すべきであるというほうに行くんだと思うんですけれども、他方日常的な活動の部分も足りないので、そこを補うというのを、これ正面から認めるってなかなか難しいんだと思いますが、その場合にはもうちょっと、場合によってはその額はこの規模はなくてもいいのかもしれない。さっきの年間50万、60万で困っているというのと、年間マックス500万という規模をかんがえると、そういう意味では、多分金額の規模というのは1つの論点だと思うんですけれども、基本的にはデュアルサポートという原則を維持するほうに振るのか、とはいえお金がない現実でそちらに対応するのかと、そういうことをそろそろちゃんと立場決めする必要があるという、そういうニュアンスかなというふうに受け取ったんですが、そういう理解でいいのかどうかというのをちょっと確認させていただきたいということが1つです。
 あと、すみません、(5)までまとめてということなので、小さいことですが、一言コメントさせていただくと、最後の(5)ですか、戦略的創造事業との連携のところで、これ今回科研費だけではなくて、研究費部会ということで研究費を幅広く対象にしていただいたということでは、こういうことをきちっと入れる、含めておくというのはすごく重要だろうと思います。その上で、一般論としては、この科研費と戦略事業のそれぞれの目的、対象の違いを明確にしつつということでいいと思うんですが、その違いというのをどう考えるかというのも多分大事で、いろいろな現状に書かれているような戦略目標に基づき委託をするというところ、ある種の社会的な要素を入れた上で研究目標の設定をしているんですよというところも1つ大事なのですけれども、多分その研究のガバナンスというか、構造で見ると、ハンズオンで、見えないある種バーチャル研究室みたいな形で研究を進展させる方向と、もうちょっとボトムアップでやるという方向があって、それがそれぞれどういう形で使えるかというのは、狭い意味での理系ではなくて、人社的なところもあり得ると思うので、その目的、対象の違いというのをある程度、少し幅広く取って考えていただくということが大事かなという気がします。そういう意味でいうと、今書かれている文章だと、特別推進研究の研究課題に関する評価結果等をフィードバックするということを書かれているんですが、多分特別推進研究ということだけだと若干狭い、大型のものだけになるので、もうちょっと根っこの部分から、多分情報共有をしていただいて、双方にとっての課題設定に資するような仕組みを考えていただくことが大事だと思います。ちょっとそこを広めに取っていただくといいのかなという気がしています。
 以上です。
【西尾部会長】
 ありがとうございます。最初おっしゃった点のデュアルサポートのことについて、私自身としては、本来、デュアルサポートは絶対確立されるべきであるという点は譲らないようにしていきたいと思っています。その上で、現実的な観点からどう考えるのかということですけれども、この岡本さん、あるいは課長さんのほうから、ここの2つ目の留意点について、現時点でこの項目でどういう議論を想定されているか、事務局からお話しいただけますとありがたく思います。いかがでしょうか。
【岡本企画室長】
 岡本です。この基盤研究(C)のところは、先ほど城山先生のほうからもお話のあったとおりで、まず科研費は競争的資金であるということです。今西尾先生が言われたデュアルサポート、これは中間まとめにおいてもしっかり維持していくということでのまとめもいただいておりますので、その方向性で進めることになります。一方で基盤研究(C)が、現実的には基盤的経費の役割を担っている部分が結構出てきているということがあります。現状のところに書かせていただいているとおり、この金額設定、基盤研究(A)(B)(C)の金額設定については、平成9年度以降変わっていないわけで、(A)は5,000万円まで、(B)は2,000万円まで、(C)は500万円までという設定がずっと続いています。この20年間で研究を取り巻く状況が大変大きく変わってきている中において、原則は原則としてしっかり維持しつつ、今後の科研費をどのように考えていくのか、特にこの基盤研究(C)のところが重要なのではないか、大きな課題ではないかということでございます。
【西尾部会長】
 城山先生、今の岡本室長のお答えに対してどうでしょうか。
【城山委員】
 大体ニュアンスとしては分かりました。
【西尾部会長】
 あとは戦略的創造研究推進事業との連携については、私も城山先生のおっしゃるところと全く同じ意見でして、特別推進研究のところだけではなくて、もう少し双方の連携というのがいろいろとできるのではないかということを考えております。その可能性をぜひ次期においては考えていくということで進めたいと思っています。
 中村先生、戦略的創造研究推進事業については先生がリーダーシップを取っておられましたので、何か御意見ございませんか。
【中村委員】
 これは実務の問題ですよね、考え方というよりも。JSTの戦略目標を決めるタイミングというのがあって、そのタイミングと様々な調整が実際に動くかどうかに尽きちゃうと思いますけれども。
 JSTでは、方針をCRDSがある程度決めて、それを参考に文科省が最終的にに決めるわけです。ですから、予算の問題とか、誰が責任を持ってどういう段階でどう決めるのかとか、政策立案の全体像が見えないのです。将来を見据えた科学技術政策の理念としてはどなたも反対しないと思うんですけれども、具体的にどうやるかは文科省とJSTの方がよほど深刻に考えないと難しいんじゃないでしょうか。
【西尾部会長】
 分かりました。小安先生、射場委員という順番でお願いします。
【小安委員】
 今のことですけれども、実際には今、生命系ですともう一つAMEDのほうにCRESTが移っていますので、もっとややこしくなっております。調整ということでは、精神はこのとおりなのですが、中村さんおっしゃったように、どうやって実際にやるかとなったら、これは結構大変な感じが致します。あまりいいアイデアがないのですけれども、事務局のほうから少し状況を見ていただくということをしないと、難しいのではないかなと感じています。
【西尾部会長】
 分かりました。
 射場委員、御意見をどうぞ。
【射場委員】
 私はもう中村先生のおっしゃるとおりで、問題はJST側にあると思っていて、CRDSの戦略目標を決めている人たちがどれだけ科研費の成果を理解しているかだと思います。なので、学振側で何か動くというよりも、科研費の成果を理解する場みたいなのをCRDSに対して設けるみたいなことをすると、それによって学振の研究が影響を受けるとよくないんですけれども、ただ成果は成果として理解した上で戦略目標を設定するということができると思います。
【西尾部会長】
 分かりました。貴重な御意見をいただきましたが、そのような実情を何とか文部科学省の方でも生かしていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。
 甲斐先生、どうぞ。
【甲斐委員】
 小安先生のおっしゃった、AMEDの話なんですけれども、JSTにはセミトップダウン的な経費がありますよね。そういうのは考慮してほしいんですけれども、今のところAMEDに移行した研究費はボトムアップのものもあると思うんです。だから、科研費で育った研究成果を実用化で使えると考えた研究者が申請して獲得している気がするんですけれども、いかがでしょうか。だからその自由度を広げるということで構わないのかなと思うんですが。
【小安委員】
 いや、AMED-CRESTも戦略目標に従って、内容が、これはAMED向きだとなったときにAMEDに持っていくという、そういう仕組みで動いていますから。
【甲斐委員】
 CRESTをAMEDに移しているのですね。
【小安委員】
 そうです。だからAMEDそのものの予算というのではなくて、今、戦略的創造研究推進事業という名前で書かれています。私今、中村さんのずっと後輩で主幹をやっているのですが、戦略目標というのは事務局が一番よく御存じですが、文科省の各分野課のコンペになっています。各分野課のコンペのところにネタを提供しているのがCRDSというのが、多分正しい表現であって、その結果として出てきたものが、バイオメディカル寄りだとなったら、実際に執行するのはAMED、そうじゃなくてもう少し理工系のものだったらJSTが執行する、そういうことになっているので、とてもややこしくなっています。
【甲斐委員】
 では、それは調べていただくということをお願いいたします。
【西尾部会長】
 ぜひお願いします。
 栗原先生、今の件ですか。
【栗原委員】
 今のように個別の研究をつなぐというのは、それぞれの研究者も努力していますし、逆に戦略から科研費ということも、戦略は期間5年ですからあるわけで、なかなか難しいと思います。科研費の、例えば使われているキーワードによる、新しい研究の流れの把握を、今NISTEPなどで検討がされていると聞いています、むしろ科研費全体としての大きな流れとをぜひうまく学術の大きな流れとして捉えて、いろいろな戦略とかプログラムに生かしていただきたいと、そういうような提案のほうが、より広く現実的なんではないかと思います。
【西尾部会長】
 分かりました。そういうある種の相互の連携が取れる可能性が大ということですね。分かりました。先ほど射場委員から、科研費の成果とか、科研費でどういうテーマが今いろいろ行われているのかということをJSTとしてももう少しきちっと把握してほしいという、コメントがありましたことと関連して、相互の連携を実際にどのように実現していくかということは今後の検討課題だと思っています。
 ほかに御意見ございませんか。
 中野先生、どうぞ。
【中野委員】
 若手に対する重点支援について2つ伺います。1つは、聞こえますでしょうか。
【西尾部会長】
 (2)ですね。
【中野委員】
 (2)ですね。(2)と、それから学術変革についてなのですが、まず(2)については、フォローアップというか、実際このような支援がどれだけ効果を上げているかというのを長期にわたってモニターするというか、追う必要があると思うんです。すでに現時点でも主にどのような人が支援を受けているかということは非常に興味あるんですけれども、それと併せて長期にフォローアップするということはは必要かつ、こういう取組を将来拡大していくときに必須なんじゃないかと思います。
 もう1点の学術変革なんですが、(B)のほうのこの物すごい応募数と採択率の低さが、重要な事実をこの時点で示しているんではないかと思うんです。若手支援は、基盤(A)(B)を充実するということを基本としていたかもしれませんけれども、若手が何を望んでいるかというと、この学術変革(B)のようなグループづくりですよね。そういうことに対するニーズが示されたのではないかと思います。初回なので応募が多かったということかもしれませんけれども、この傾向が続くようだったら、やはり若手が実際何を望んでいるかということに対する調査というか、意見聴取というのは必要じゃないかと感じました。
【西尾部会長】
 中野先生おっしゃることは重要であり、全くそのように思います。
 事務局にお伺いしたいのですけれども、この採択率が3.1%になっていることに関して、何か現時点で分かっているようなことはございますか。
【先﨑学術研究助成課長】
 課長の先﨑です。御指摘ありがとうございます。
 先ほどの予算のときにもちらっと触れたんですけれども、令和2年度は若手研究から基盤研究(S)(A)(B)との併願ができるということになったのと併せて、基盤研究(B)から挑戦的(開拓)のほうとの併願・併給ができるようになったと申し上げましたが、これによって、実は基盤研究と新興・融合は併願・併給が全てできるようになったということになります。若手の方々、特に大型の研究費を狙っていく方々は、基盤研究による学理の蓄積ももちろんですけれども、もうその先のこともお考えになっているというような道筋なのかなと思っております。
 今回は概算要求が、冒頭申し上げましたように非常に厳しい状況だったということで、(A)(B)の要求がメインということになりましたけれども、当然この新興・融合、学術変革領域種目群につきましても、私どもこれ何とかしなきゃいけないと。もちろん先生御指摘いただいたように、初年度ということで人気が出ちゃったということももちろんですけれども、これは1つの大きなメッセージとして捉えていかなければいけないと思っております。
【西尾部会長】
 中野先生、何かございますか。
【中野委員】
 すみません。そのようにしていただけると、非常にありがたいです。いろいろ制度変わっているので、その制度が変わったせいで増減があると思いますけれども、何かアンケートよりも、やっぱり科研費という書類を書かなくちゃいけないというところでガンと人数が増えているのは本当の声だと思いますので、フォローしていただけるとありがたいです。
【西尾部会長】
 分かりました。
 それでは山本先生、鍋倉先生、白波瀬先生、竹山先生の順番で御発言をお願いいたします。山本先生、どうぞ。
【山本委員】
 山本です。今の点ですけれども、やはり3.1%というのはある面衝撃的ではあったんですが、私はやはり中身を見る必要があると思っています。というのは、もともとこの学術変革種目群というのは、ある意味新しい学理のブレークスルーをつくるということで作った種目だと理解しています。それに沿った応募だとは思いますが、どのような応募動向になっているかということは、やはり現場で審査に当たっておられる先生方、あるいは場合によっては調査官、あるいは学術システム研究センターで、やはり少し中身の調査をお願いしたいと思います。
 もう1点ですけれども、20年間やはり金額が変わっていない、基盤研究等の。その辺がやはり気になります。金魚鉢に金魚を飼うと、金魚鉢の大きさで金魚の大きさが決まりますけれども、それと同じことが起こっているような気がします。20年前と同じということはやっぱりあり得ないので、そこはやはり次の期の重要な検討課題だと思います。
 以上です。
【西尾部会長】
 非常に重みのある御発言をいただき、どうもありがとうございました。後半部分は先生のおっしゃるとおりで、20年間金額が変わっていないということについては、やはり現代的要請を踏まえた上できっちりと考え直す必要があると思います。
 それと、これはJSPSのほうにお願いできたらありがたいのですけれども、学術変革領域研究の趣旨に合った申請内容というか、この委員会でこの領域に対して期待した申請内容のものがしっかりと申請案件として出てきているのかどうか。あるいは、併願ができるからというようなことでの安易に捉えたような申請がなされているのか、そこら辺のことを審査に当たられた委員の方々等に、できたら評価していただくことは重要かと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
【岡本企画室長】
 西尾部会長、よろしいですか。
【西尾部会長】
 はい、どうぞ。
【岡本企画室長】
 学術変革領域研究において、どういうものが出てきているか調査するというお話について、今JSPSでというお話だったんですが、これは現在文科省が審査を行っておりますので、これを行うのであれば、文科省の学術調査官を使うというようなやり方ではないかと思います。JSPSでは難しいと思います。
【西尾部会長】
 分かりました。どうもコメントありがとうございました。
 鍋倉先生、どうぞ。
【鍋倉委員】
 研究の現場から、若手から中堅になろうとしている研究者が非常に不安に思っているという声が挙がっています。若手研究はいろいろな事業でサポートしているけれども、その後にどう続けるのかということです。そのために、若手から中堅に対する継続的な研究費のサポートシステムについて是非議論して頂きたい。
 次に、学術変革群について、中身をきっちりフォローアップすることです。ただ、目的が既存の学術を変革させることなのでやはり3年ぐらいしない方向性が見えてこない。その意味では継続的なフォローアップ評価が必要です。
 それからもう一つは、研究費に関してです。分野によっては必要な額の差が議論もされているところです。そのために、分野によって金額も変える議論や別の支援体制の議論を始めてよい気がします。
 最後に、JST.CRESTやAMED事業などは明確な戦略的な目標があります。同様に、科研費としての戦略目標をを最初に出した上で議論をしていくということが必要だと思います。
 以上です。
【西尾部会長】
 ありがとうございました。今日最初の先﨑課長からの基盤(A)とか基盤(B)の重要性については、若手研究者が実力ある中堅・シニア研究者にステップアップするためという説明がありました。そうなりますと、若手と中堅あたりの狭間に入っている研究者の不安感が多分増長しているのではないかと思います。そこら辺をどのようにカバーしていくかということは、今後、若手研究者の課題の次に重要になってくるのではないかと思っております。貴重な御意見、ありがとうございました。
 それと、どうでしょうか。今鍋倉先生のおっしゃられた、分野ごとで上限額が違うというようなこともあってもよいのではないかという御提案でしたが、何かそのことについては御意見等ございますか。
 白波瀬先生、いかがでしょうか。
【白波瀬委員】
 ありがとうございます。分野ごとまではいかないんですけれども、それに関連した意見を言いたいなとちょっと思っていました。
【西尾部会長】
 それでは、ご発言をどうぞ。
【白波瀬委員】
 関連しております。ここの部会に参加させていただいて、やっぱり理系分野の層の厚さというのは、その支援事業の種類も含めて極めて明らかだとは思います。でもやっぱり学術、全体の学術としての力というのが日本の国力に連動いたしますので、研究費というところでのスケールでは若干差があるかもしれないんですが、このテーマ、最初に中村先生が科学技術のというお話があったんですけれども、これを本当の意味で推進するのは学術の力というふうに考えます。この点は十分に書き込んでいただくように改めてリクエストします。
 それで分野によってということなんですけれども、分野によってやっぱり単純に削減するというのは若干問題が出てくる。例えば必要経費についても、理系で機械、機器を買うための経費がかかる分野がありますが、複数の方法論を駆使して文理融合ということになりますと、文系にあっても経費のかかる研究旻も存在しますので、文系はお金がかからなくてという考え方はちょっとお捨て願いたい。小さければいいですよねというのも、平均的にそうかもしれないけれども、私が懸念しているのは、やはり選択の問題。何というか、上限、下限ということになったら範囲も固定されてしまうので、そこのところをうまく柔軟性を持った設計にしていただくということ。そして応募するほうも、上限とかが出るとみんなそこまでやらないと損みたいに思うんですけれども、そういうことがないように応募する側へのリテラシー教育も重要だと思います。
 あと、すみません、もう1点だけ。今の鍋倉先生のお話ともちょっと関連してくるんですけれども、今若手、若手ということで、カテゴリー的に若手に集中しています。でも、こういう形で優先的にカテゴリーを決めると、やっぱり谷間に落ちる者というのが必ず出ます。特にダイバーシティーということになると、いろいろなところに行ってまた戻ってくるというのも増えてきていますし、そういうようなキャリアがやっぱり重要になっているんです。ですから、それは十分に設計するときに、優先カテゴリーをつけることは戦略的に必要だけれどもそれと同時に、いろいろな谷間に落ちないような配慮を十分していただくという設計を同時的にお考えいただきたいと思います。
 以上です。
【西尾部会長】
 分かりました。白波瀬先生、本当に貴重な御意見の数々、ありがとうございました。鍋倉先生のおっしゃられたことの、分野ごとでのいろいろ経費の額について考えるということもあるのですけれども、上限額は上限額であって、白波瀬先生がおっしゃったように、上限額までの申請を何でもかんでも書くというのではなくて、必要な額をきっちりと自らの良心に従って申請していくということが浸透していけば、分野ごとで分けるというようなこともあまり必要でないのではないかと思いました。
 それと最後におっしゃられたことが非常に大事で、科研費制度においても、ダイバーシティーであるとか、インクルージョンのことはきっちりと重視していく必要があると考えます。学術研究を進める上での根幹になると思いますので、その点は制度設計の上でも十分配慮していかなければならないと考えます。非常に貴重な意見、ありがとうございました。
 竹山先生、どうぞ。
【竹山委員】
 皆様のお話から少しずれるかもしれませんが、間接経費の考え方についてです。科研費には間接経費30%が付きますが、大学によって運用には差異はありますが、基本大学の運営に支出されているかと思います。基盤(C)に関しては、全体額が大きくないので、それについてくる間接経費の半分を先生方の研究運営費にするなど考えることは可能でしょうか。大型になると、大学としてのサポートに経費も掛かるので率は半分とはいかないかもしれませんが。
【西尾部会長】
 どうでしょうか、間接経費の問題って、これなかなか難しくて、大学のほうでいろいろこの方策を決めているんですけれども、この議論として何かございますか。
【先﨑学術研究助成課長】
 先﨑でございます。なかなか厳しいものがありますけれども、間接経費、いろいろな間接経費の取り方というのが各大学あるわけでございまして、もう本当にオールラウンドで、全ての種目からお取りになる大学もあれば、むしろ基盤(C)を中心になって取っていくような、そういう大学もある。それぞれ当然運営費交付金といいますか、財政バランス、どこがメインの財源なのかというのはいろいろと異なってくる。そういう中で、間接経費というものも、他国に比べて後ればせながら何とか導入したと。そのときの各大学との経緯なども踏まえて、これ考えていかなければいけないとは思っております。
【西尾部会長】
 小安先生、今の件で手を挙げていただいていたので、どうぞ。
【小安委員】
 いいですか。竹沢先生が先に手を挙げていたので、竹沢先生の後でいいです。
【竹沢委員】
 よろしいでしょうか。
【西尾部会長】
 はい、どうぞ。
【竹沢委員】
 すみません。今の間接経費に関係するんですけれども、定年退職をされた方の科研費に対する申請資格というものが、大学や、あるいは同じ大学の中でも部局によって違うんですけれども、それがところによっては定年退職してもどんどん申請してくださいというところもあれば、ところによっては全く駄目なところもあれば、ところによっては(S)とか(A)はいいけれども(C)は困る、その理由がこの間接経費があまりにも少ないので、メリットがない、手間だけかかるというところなんです。そういうこともこの間接経費を考えるときに配慮していただきたいと思います。それぞれの大学とか、部局によって、内規は違うと思いますが、今、定年を過ぎても、第一線で研究していらっしゃる方がこれだけ多い中で、現実と合っていないと思うんです。海外なんかは80歳ぐらいまでは第一線で活躍される方も多いです。ですから定年で科研費申請が奪われることがないように、文科省から注意を促すようにお願いしたいと思います。
 以上です。
【西尾部会長】
 今のことについては、この部会としてのメッセージとして出していければと思います。どうもありがとうございました。
 小安先生、どうでしょう。
【小安委員】
 先ほどの竹山先生のお話、すごくよく分かるのですけれども、やはり我々注意しなければいけないのは、間接経費を基盤的経費に充てると言った瞬間に、ますます基盤的経費の削減の方向に行きますので、絶対それは言わないほうがいいと思います。そこはやはり我々物すごく注意しなければいけなくて、今基盤(C)を基盤的経費かのごとく考える風潮がすごく増えているような気がしますが、そこはやはり、科研費はそうじゃないということを我々が守らないと、ますます後退することになると思います。それが1つ。
 もう一つは、最初に中村さんがおっしゃった世界情勢が変わったということ、これも文章に入れるときは非常に注意しないと、学術につけるのだったらこんなに効率が悪いことはないからといって、自分たちでお金を配るという部局が出てくるのが見えてきてしまいます。ですから、書き方はやはりすごく注意して、国際情勢が変わっているということは全くそのとおりなのですが、なぜ学術が大事なのかということをきちんと書いて、表現の仕方に関してはよくよく注意する必要があると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【西尾部会長】
 どうも貴重な御意見ありがとうございました。竹山先生の先ほどの御意見は、私も分かるのですけれども、実は小安先生がおっしゃったことを懸念しております。
【竹山委員】
 現状、間接経費から研究者に戻ってきたお金は、その研究を推進する研究室を運営するために使っています。これはたぶん基盤的経費に近い使い方かと思います。大学は当然、基盤的経費を担保する必要はありますが、頑張って取ってきた科研費からもさらに充当できるというフレキシビリティーがあれば研究室の運営もしやすくなるかと思いました。
【西尾部会長】
 分かりました。あと上田委員と大野先生、御意見ございませんか。まだいただけていないので。上田委員、いかがですか。
【上田委員】
 ちょっと私は企業の基礎研究者の立場なので、運営交付金云々の問題は以前から皆さん議論していますが、私が意見を言う立場でもないですけれども、ちょっと今の議論に関連して思うのは、コロナ禍にあってDXというのが、やはりかなりいろいろな分野に浸透しているわけです。間接経費とかいったときの使途というのは、普通ネットで見ても備品だとか何だとか、そういう事務系のサポートみたいな感じなんですが、ちょっとその辺の効率化も結構考慮しないと、無駄遣いというわけじゃないですけれども、事務員の数だとか、やり方だとか、そういうことも大学側もやはり考えていかないといけないのかなという、間接経費の使い方ですね。そういうところがうまく回っていけばいいのかなと。
 もう一つは、これ以前から申し上げていますけれども、もちろんこの研究費部会で議論する内容じゃないんですが、やはり原資がないことにはどうしようもないわけです。今、日本はこのコロナ禍でいろいろなところにお金がかかっている中ですから、ない袖は振れないと言われてしまうとそれまでなので、民間企業の寄附の法人税の問題についてのコメントです。やはり今統計で見ても、大学の企業寄附というのは数%ぐらいですか、平均を見ると。国立大学でも。欧米に比べると格段に低いですよね。それやはり法人税の問題もあって、これは何か以前にも申し上げたときに、そのとおりですよというようなコメントをいただくものの、結局縦割り行政であまり議論されていないのではないか。原資がなかったらどうしようもないというのは企業でも現実なんです。赤字になったら、それは研究費減らされるというのはもうしようがない。だけれども、アカデミアはそれが許されるのかというと、必ずしもそうではない。やはりプライオリティーがあるという意味でいくと。だから原資を増やすほうの工夫だとか、あるいは間接経費を効率よく使うための大学経営だとか、事務のDX化だとか、そういうことも並行して議論する必要があるんじゃないかなと思います。
 以上です。
【西尾部会長】
 ありがとうございます。委員の皆様もうなずいておられます。
 大野先生、どうぞ。
【大野委員】
 大野です。いろいろお話を聞いていまして、大学レベルで解決できる、あるいは対応できる問題と、国がやはり主導的にやらなくてはいけない問題があるかと思います。ここで議論しておくべきことというのは、やはり将来の日本のサイエンス、科学技術をいかに回復させるかというところに集約すべきだと思います。資料にもありますように、ここ20年間で日本の学術のレベルが下がってきていると言われてきていますけれども、それは予算の低下と同じ傾向を示しているわけです。その辺のデータと、それからこの前、今日もお話しいただいたアンケートの結果、これらをうまく使って、省庁を超えて国を回復させるための方法論というのを文科省が中心になって提案するということをやはり考えていくべきじゃないかと思います。
 次期の議論の中心も、やはり増額をやるとどこまでのことが回復できるのか。例えば科研費4,000億にして、それで基盤(C)の上限を上げる。1,000万までとか。そういうような形に変えていったときには、学術がどう変わっていくのかというシミュレーションをやってもいいんじゃないかとは思っています。
 いずれにしろ、やはり日本は金をかけなさ過ぎてこうなってしまっているということを、みんなが認識すべき項目だと思います。
 以上です。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。大野先生おっしゃられたことに尽きるんだと思いますので、次期においては、アンケート調査をはじめとして実際のデータをきっちりと集め、それを基に強力に訴えていくことを研究費部会のみならず、研究振興局関連の委員会において総力を挙げて実行していく必要があると思っております。本当に貴重な御意見ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。
 中野先生、どうぞ。
【中野委員】
 ぜひ基金化のことについても入れていただきたいと思います。科研費をできるだけ基金化して、繰越しも、それからできれば前借りもできるようにしていただくと、国際的な競争力がもっと上がるんじゃないかなと思います。
【西尾部会長】
 分かりました。先般、学術分科会と情報委員会との合同で、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて緊急的な提言を出しました。その提言において、科研費に関しては、コロナ禍の下で実験とかが何とかができなくなってしっていることで、研究期間そのものを延長可能にすること、それに伴って科研費に関しては基金化を鋭意進め、対象領域を今後さらに拡大していくべきということを記載しております。科研費を扱う本部会として、そのことについては明確に必要性を述べていきたいと思っております。どうもありがとうございました。
 ほかにございますか。よろしいですか。
 射場委員、どうぞ。
【射場委員】
 ちょっと時間あるみたいなので、先ほど上田先生が少しおっしゃられたDXの話です。最初の議題にもあったんですけれども、DXといってもいろいろあると思うので、事務的な作業の効率化みたいなことがどうしてもクローズアップされがちなんですが、もっとビッグデータを使ってほかの研究領域と融合していきましょうみたいなこともDXなので、ちょっとそれ最初の資料だとそのDXが一般論のように取り扱われていたので、もうちょっとブレークダウンをして、こういうDXはこういうふうにやっていくみたいな。で、やっぱりビッグデータを作るところが重要だと思うので、そういうところにどういう予算をかけていくかみたいな議論が必要なんじゃないかと思います。
【西尾部会長】
 分かりました。それは科研費にも関わることと考えてよろしいですか。
 もう少し大局的に研究振興の観点からですか。
【射場委員】
 その議題の最初のところでURAとDXの関係みたいなものがちょっとありましたので、そこでも言えばよかったような気がするんです。
【西尾部会長】
 分かります。今おっしゃった研究の進め方について、コロナ禍の下で研究室、実験室に多くのメンバーが入室できないような状況の下でも、ロボット技術を有用して研究を推進するようなチャレンジが国内でもいろいろなされています。そういう意味でのDXをはじめ、いろいろな意味でDXという言葉が使われており、DXという言葉をどのように定義して、どう使っていったらいいのかというのは、結構注意を要するところです。上田委員、また射場委員からおっしゃっていただきましたDXの重要さというのは、今後研究の現場、あるいは研究の環境を大きく変えていくことは確かだと思いますので、御発言と関連したことを今回の最終取りまとめの中でも何らかの形で取り込んで、記述してまいりたいと思っております。どうもありがとうございます。
 ほかにございますか。
 そうしましたら、以上で5番目までの課題についての御意見をいただきました。本当に貴重な御意見の数々を頂戴しましたので、それらを最終まとめに何とかうまく盛り込んでいただけますように事務局にはどうかよろしくお願いを致します。
また、委員の皆様には、その事務局で作成いただく最終取りまとめの案をもとに、次回の本部会で審議を行いたいと思いますので、何卒よろしくお願いします。
 それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

(3)その他

【中塚企画室長補佐】
 本日の議事録については、各委員に御確認をいただいた上で公開させていただきます。
 また、次回研究費部会につきましては、年明けを予定しておりますが、改めて日程調整の上で御連絡をさせていただきます。
 以上でございます。
【西尾部会長】
 御連絡ありがとうございました。
 それでは改めまして、委員の皆様には、今日も多くの貴重な御意見をいただいたことに対しまして心からお礼を申し上げます。     本日の研究費部会はこれで終了いたします。
 どうもありがとうございました。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課企画室

電話番号:03-5253-4111(内線4092)
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