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第10期研究費部会(第5回) 議事録

1.日時

令和元年10月23日(水曜日)10時30分~12時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 科学研究費助成事業に係る令和2年度概算要求について
  2. 学術変革領域研究について
  3. 第10期研究費部会における関連事業との意見交換について
  4. その他

4.出席者

委員

甲斐委員,栗原委員,白波瀬委員,西尾委員,井関委員,射場委員,大野委員,竹山委員,中村委員,鍋倉委員,竹沢委員,中野委員

文部科学省

村田研究振興局長,増子大臣官房審議官,原振興企画課長,梶山学術研究助成課長,岡本学術研究助成課企画室長,中塚学術研究助成課企画室室長補佐,他関係官

オブザーバー

岸本日本学術振興会学術システム研究センター副所長,永原日本学術振興会学術システム研究センター副所長

5.議事録

【西尾部会長】
 それでは,皆さんお揃いのようですので,ただいまより,第10期第5回の研究費部会を開催いたします。
 本日は,令和2年度概算要求の状況,新学術領域研究(研究領域提案型)の見直しにおける学術変革領域研究の創設について,そして,第10期研究費部会における関連事業との意見交換について審議をしたいと思います。時間としては1時間30分を予定しておりまして,通常より時間を短く設定しておりますので,効率のよい議論をしていきたいと思います。是非ともよろしくお願いいたします。
 事務局から,配付資料の確認をお願いいたします。
【中塚企画室長補佐】
 本部会につきましては,ペーパーレス会議として実施をさせていただきたいと思います。資料については,基本的に机上のタブレット端末で御参照いただければと思いますが,本日,議事次第のほか,画面上で少し見にくい資料をA3版で,具体的には,資料3の最後のページの主な種目の制度の変遷という資料と,科研費に関するデータ集,科研費に関する各種データ等,これは机上配付資料として,お手元にお配りしております。適宜,御参照ください。それから,そのほかの個々の資料名の読み上げはいたしませんが,資料の欠落等がある場合やタブレット端末の操作方法等について御不明な点がある場合には,事務局までお申し付けください。
 

(1)科学研究費助成事業に係る令和2年度概算要求について

【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,議事に入ります。
 令和2年度科研費の概算要求の考え方については,前回,7月31日の研究費部会においてお示ししておりますが,8月末に行われた概算要求の内容について,改めて,事務局から説明をお願いいたします。
【梶山学術研究助成課長】
 梶山でございます。御説明させていただきます。資料1を御覧ください。
 資料1のポンチ絵で御説明させていただければと思います。まず,本年度の概算要求額でございます。右上にございますが,約2,557億円となっております。前年度が2,372億円でございますので,約185億円の増となっております。この金額につきましては,基金化のときに非常に大きく要望したところがございますが,それを除けば,今までの中でも非常に大きな要望になっております。この要望に関して御説明させていただきます。
 令和2年度要求の骨子を御覧いただければと思います。先ほど部会長からもお話しいただきましたように,7月の会議におきまして,この2つの方向性ということで御承認いただいたところでございますが,それにのっとって要求しております。
まず,1ポツが振興・融合領域の開拓の強化というところで,新学術領域研究というものを発展的に見直して,学術変革領域研究というものを創出するというところ。右にございますように,(A)というもの,(B)というもの,こちらにつきまして要求をしておるところでございます。また,ピンク色の下のところでございますが,挑戦的研究の(開拓),(萌芽)につきましても,大くくり化した審査区分の下で,斬新な発想に基づく大胆な調整を促すということで,御議論の結果,若手を含む幅広い研究者層の挑戦を促進するための重複制限を緩和していただいているわけでございますので,それに見合うような形で,挑戦的研究の拡充ということについても要求をしているところでございます。
 また,2ポツでございますけれども,若手研究者への重点的支援というところで,若手研究者のキャリア形成に応じた支援を強化する科研費若手支援プランの実行によりまして,若手研究,それから,研究活動スタート支援というものに関しまして,前々から御説明申し上げていますように,若手研究については,今年40%の採択率になったわけでございます。その40%の採択率というのは維持したまま,より金額,充足率を上げていけないかというような要求をするとともに,基盤研究種目群を拡充するというところ,今回,若手研究,それから,若手研究に関しての重複制限の緩和を図っておるところでございますので,それらも勘案しまして,基盤(S),(A),(B),(C),それぞれにつきまして,その拡充というものを要求しているところでございます。
また,2つ目の丸に関しましては,重複になりますけれども,先ほど御説明申し上げました学術変革領域研究の中に,より挑戦的段階にある新興・融合領域の開拓を目指す(B)というものを創設すべく要求しておるというところ。
それから,3番目のところで,この三角形の図の左にありますが,若手の参画を必須とした国際共同研究を加速する国際共同研究強化(B)については,補正予算,それから,昨年度予算で拡充したところでございますが,そちらについても拡充を図っていくというもの。このようなことで要求をさせていただいているところでございます。現在,財務省との折衝を行っているところでございますが,科研費制度,予算の充実というものを図るべく,頑張ってまいりたいと思っております。
 以上でございます。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。
 御質問,御意見等ございますか。
 よろしいですか。
 どうもありがとうございました。毎年,事務局には,財務省と厳しい折衝を行っていただいておりますけれども,学術研究の振興には科研費の充実が間違いなく不可欠ですので,引き続き,鋭意御尽力いただきたく,何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは,次の議題に移ります。
 

(2)学術変革領域研究について

【西尾部会長】
 これまでも議論してきました新学術領域研究(研究領域提案型)の見直しについては,前回の研究費部会において,見直しの内容については決定したところですが,審査方法などにつきましては,引き続き,科学研究費補助金審査部会において議論することとなっておりました。
 本日は,審査部会における審査方式などに関する審議の結果を御報告いただき,研究費部会として全体像を決定したいと思います。
 まず,事務局より内容の説明をお願いいたします。
【辻山学術研究助成課課長補佐】
 それでは,タブレットの資料2を御覧ください。学術変革領域研究につきましては,平成29年4月に科研費改革に関する作業部会を設置し,新学術領域研究の見直しに関する検討に着手しているところです。科学研究費補助金審査部会の意見も聴取しつつ,本部会として,新学術領域研究を見直し,新たに創設する学術変革領域研究の内容をまとめたものになっております。
 4ページを御覧いただければと思います。まず,審査区分につきましては,4つの区分で実施するということです。AとBそれぞれ4つの区分で実施するということで,その内容につきましては,アスタリスクの2のところを御覧いただければと思います。現在の科研費の審査区分表をベースに,大区分を4つの区分でくくっております。学術変革領域研究の区分(1)については,大区分Aの内容,こちらは人文学・社会科学系の内容を中心とする研究課題を審査するものです。区分(2)につきましては,大区分BからEの内容,こちらは理工系の内容を中心とする大区分で審査する。区分(3)につきましては,FからIの内容,こちらは生物系の大区分の内容を中心とする研究課題,最後の区分(4)につきましては,大区分のJからK,こちらは情報・環境の内容を中心とする研究課題を中心に審査するということで,審査部会では意見としてまとまっております。本日は,2の審査時期・審査方式のところを中心に,改めて全体について御確認いただければと思います。
 事務局からは以上です。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。
 資料2に基づいた説明につきまして,御質問等ございませんか。
 この委員会としての決定をしたいと思っておりますが,よろしいですか。
 それでは,審査部会において入念な議論をしていただいた結果と伺っておりますので,新学術変革領域研究(研究領域提案型)の見直しにつきましては,今,皆様に紹介させていただいた資料2のとおり,研究費部会として決定したいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。
 引き続き,公募に向けて,事務局において鋭意準備を進めていただきたく,何とぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
 それでは,次の議題に移ります。
 

(3)第10期研究費部会における関連事業との意見交換について

【西尾部会長】
 前回の研究費部会において,第10期の研究費部会では,関連事業との意見交換を行っていくことについて決定いたしました。要は,この研究費部会では科研費を中心とした議論を行ってきましたけれども,研究費についての国の様々な関連事業がございますので,統合的に議論していくということの重要性を本部会でもご指摘いただいてきました。そこで,第10期においては,それを実践していくということで,今,鋭意準備を進めているところです。そこで,各関連事業との意見交換の方法や論点の案について,事務局より説明をお願いいたします。
【岡本企画室長】
 それでは,資料の御説明をさせていただきます。
 前回7月に開催いたしました研究費部会におきまして,今期の研究費部会の今後のスケジュールについてということで,一度,御説明をさせていただいております。今後,今期においては,科研費を中心とした学術研究を支える研究費制度を総合的観点からの検討を中心にやっていくということで,御意見なども頂いたところです。それらを踏まえまして,まずは資料3を御覧いただければと思います。資料3と机上配付しておりますデータにつきましては,先週,委員の方々には,かなり長い,ロングスパンでのデータの整理などもさせていただきましたので,今回1時間ということで時間が短いということで,事前にお配りさせていただいております。それでは,まず,資料3でございます。
 10期の研究費部会における関連事業との意見交換についてということで,目的のところにありますとおり,科研費を中心とした学術研究を支える研究費制度の総合的観点からの検討をしていくということでございます。
具体的にはということで,大学の基盤的経費,科研費以外の競争的資金の現状を聴取するとともに,それぞれの事業関係者と意見交換を行い,科研費制度の検討に生かすということを考えております。
第9期の研究費部会における審議のまとめの最後のところ,そのためというところですけれども,科研費が研究費全体の中で果たすべき役割や,それを踏まえた制度の改善点について,その他の審議会,部会等と連携して,総合的観点から検討するということで,意見交換を行うということで考えております。
 2ページ目を御覧いただければと思います。具体的な意見交換の日程,また,進行などについてまとめてみました。
まず,日程です。次回は第6回になりますけれども,第6回と第7回の本部会におきまして,2事業ずつ実施するということで考えております。前回,今後のスケジュールをお話しさせていただいたときには,戦略的創造研究推進事業,それと大学の基盤的経費の関係,若手研究者という3つの事業を示させていただきましたけれども,前回,国際共同研究などについても様々な御意見を頂きましたので,国際交流事業との意見交換というのも,今回,入れております。ということで,全体で4つの事業と考えております。第6回は11月19日の10時から予定しておりまして,戦略的創造研究推進事業の新技術シーズ創出,それと国際交流事業,この2つを考えております。第7回は,これから日程調整をさせていただきますが,1月中・下旬に開催を予定しております。大学の基盤的経費,国立大学であれば運営費交付金,また,私学の補助金,それと若手研究者の育成関連事業,このうち2事業との意見交換を予定しております。
 進行時間配分でございますが,まず初めに,事務局から科研費の現状,また,今後の科研費制度の論点等について説明をさせていただいて,その後,各事業の担当者,また,審議会の関係部会,委員会の委員等から,各事業の制度,また予算,それぞれの現状などについて説明をしていただくと,その後,事業ごとの論点について意見交換を行うということを考えております。
次は関係者の出席ですけれども,意見交換の際には,各事業を担当する審議会の関係部会,また,委員等から複数名の有識者に御参加いただくということを考えております。戦略事業につきましては基礎研究振興部会,国際交流事業については国際戦略委員会,大学の基盤的経費ということでは国立大学,また,私立大学の関係者,若手研究者の事業では人材委員会ということを予定しております。
 次は事業ごとの説明事項の論点,こちらは別紙1,次の3ページ目にまとめておりまして,今後の科研費制度の論点は,その後,別紙2ということでまとめております。3ページ目を御覧いただければと思います。事業毎の説明事項と論点ということの案を示させていただいております。第6回の研究費部会では,まず,戦略的創造研究推進事業ですが,説明事項といたしましては,戦略事業の現状,また,科研費と戦略事業の接続の現状の取組などについて,また,第6期科学技術基本計画に向けての基礎研究振興部会の審議状況等について説明をして,その後,意見交換の論点ということで,今後の科研費と戦略事業の接続のための取組,戦略事業を効果的に実施するために科研費に期待すること,また,科研費の効果をより一層高めるために戦略事業に期待することを考えております。国際交流事業につきましては,説明事項は国際交流事業の現状,また,第6期の科学技術基本計画に向けての国際戦略委員会の審議状況等を説明していただいて,その後,国際交流事業を効果的に実施するために科研費に期待すること,また,科研費の効果をより一層高めるために国際事業に期待することなどを考えております。
4ページ目が第7回の研究費部会で行う2事業についてですが,1つ目が大学における基盤的経費についてということで,国立大学運営費交付金,また,私立大学等経常費補助金ということで,この2つの交付金,また,補助金の現状についての説明,さらには各大学の戦略等を踏まえた基盤的経費の学内配分など,大学におけるデュアルサポートシステムの現状などについて御説明をしていただき,その後,論点といたしましては,大学の立場から科研費に期待すること,また,科研費の立場から大学の措置する基盤的経費に期待することということを考えております。
 若手研究者の関連事業についてですけれども,関連事業の現状を御説明していただく予定ですけれども,若手研究者事業は非常に多岐に渡っておりますので,今回取り上げますのは,主に個人を対象とする特別研究員事業,卓越研究員事業,それと機関対象の世界で活躍できる研究者戦略育成事業,この3つを取り上げまして説明していただくということを予定しております。意見交換時の論点は,こちらにありますとおり,若手研究者の事業から科研費に期待すること,また,科研費側から若手研究者の育成事業に期待することを予定しているということでございます。
 5ページ目の別紙2に今後の科研費制度の論点の例ということでお示しをさせていただいております。関係事業との意見交換,最終的には,今後,科研費制度をどうしていくかというところに資するものでございますので,科研費制度の論点について,事務局で現状をまとめているということでございます。これまでの研究費部会においても,研究費部会で議論をした方がいいだろうというようなことを幾つか御指摘いただいておりますので,それらも踏まえた形で,現状,まとめております。
一つ目が他事業との意見交換を踏まえての議論ということで,一つ目の丸が学術研究を取り巻く現状を踏まえた科研費における種目のバランスの在り方ということで,若手支援,大型種目の在り方,さらには将来的に目指す科研費予算額の規模について。
 二つ目の丸が若手研究者支援の在り方についてということで,現在,若手研究者に対する支援を重点的に行っているところですけれども,例えば若手研究における独立基盤形成支援という試行,現在3回目のところですけれども,今後どうしていくか。さらに,若手研究における応募資格の経過措置についてということで,現在の応募資格,博士課程取得後8年以下ということですけれども,経過措置として39歳までの方も応募できるということでやっておりますが,これについてどうしていくかということ。
三つ目の丸が国際共同研究支援の在り方についてということを考えております。
 二つ目がその他の論点ということで,前期研究費部会におきまして課題として挙げられたことも含まれておりますけれども,一つ目の丸が応募件数増加への対応についてということ。二つ目の丸が大型種目の公募スケジュールの前倒しについてということで,特に大型の種目,例えば特別推進研究は交付内定が4月下旬,基盤(S)が6月下旬ということで,その前に基盤研究(A)の内定が決まります。4月上旬ですので,これらについては重複して応募できますので,基盤(A)が採択になった方が後ほど基盤(S),特推など採択になると,基盤(A)を辞退するということになったりしていますので,できるだけ大型の種目から審査結果を決めていった方がいいだろうということで,大型種目の公募スケジュールの前倒しについて。
 また,三つ目の丸は特別推進研究の在り方について。
 四つ目の丸が基盤研究(B)における若手研究者の応募課題を優先的に採択できる枠組みについてということで,このようなものを例として考えているところでございます。本日,これ以外の論点などあれば,御指摘を頂ければと思っているところでございます。
 資料3の最後のページに主な種目の制度の変遷ということで,ちょっと込み行った資料で,机上にもA3の資料として配付しております。こちら,御覧いただいているものですけれども,今後,科研費の予算規模をどうしていくかなど,大きな話もありますので,昭和57年,特別推進研究ができたところから,各種目についての変遷を一覧にまとめたものでございます。年度,そして,その年度の予算額,次が大型の種目,特別推進研究,基盤S,次が新学術領域関連ということ,次が基盤研究の関連,そして,挑戦的研究関連,若手関連,その他の改善というところでは,科研費において大きな制度改善,例えば間接経費ですとか措置,また,応募資格の見直しなど,備考には,国全体としての大きな動き,科学技術基本法が成立し,基本計画というものが5年ごとに立てられている,こういう情報なども入れさせていただいて,一覧として,全体の変遷の状況が分かるものにしているということです。赤字と黒字の違いですけれども,特に種目を新しく作ったとか,そういうものについて赤字にしているものでございます。研究期間を変更したとか,応募額を変更したとか,こういうものを黒字にしているということで,いずれについても変更が行われるということにおいては同じでございます。
 次に御説明いたしますのが,机上配付資料でございます。こちらも事前にお送りさせていただいたもので,委員の方々だけにお配りさせていただいておりますけれども,全体で7ページほどになっておりまして,これまでの科研費の応募件数,採択件数,採択率,充足率,また,平均配分額などについて示しているものでございまして,こちらもかなり長いスパンで見てはどうかということで,科学技術基本法ができる前の平成6年を一番古いデータといたしまして,その後,平成7年,その後は基本計画の初年度と最終年度というようなところ,また,今,国立大学が法人化しておりますけど,その前の年度などをとって,データを整理しているということでございます。また,右側には,それぞれ伸び率なども,どれぐらい増えたかということも示しているというようなことでございます。こちらも御意見を頂く際の参考のデータにしていただければと思います。
 最後に,こちらは参考資料1でございますので,タブレットにお戻りいただきたいと思いますけれども,令和元年度の科研費の審査結果につきましては,これまで5月と7月の研究費部会において,速報値ということで応募,採択,また,採択率の状況を簡単に御報告させていただきましたけれども,この度,毎年,秋ぐらいにやっているものですけれども,主な種目につきまして,科研費の配分結果全体がまとまりましたので御報告をさせていただきたいと思っております。
2ページ目以降が目次になっておりまして,今日御説明させていただくのは非常に大部の資料ですので,配分状況の概要にあるところを御説明させていただきたいと思っております。
 4枚目に科研費事業及び配分状況の概要というところがございまして,その後,種目の状況,全体の研究種目別の状況についての資料1を御覧いただければと思います。6枚目のスライドになります。令和元年度の主な種目の新規応募件数は10万1,857件で,前年度よりも1,800件ほど減少しております。これは24年度以来の減少ですけれども,新規採択件数は2万8,892件ということで,30年度補正予算50億円が基金に創出されたということもあります。前年度よりもまた86億円予算が増えたということで,3,096件,採択件数は増えております。新規採択率が28.4%ということで,全体の採択件数が7万8,650件となっております。また,若手研究者の成長を支援する若手研究につきましては,新規採択率が40%になったということ。それと,学術研究の多様性を支え,裾野を広げていく要となる基盤Cにつきまして,こちらが応募件数が増えているところでございますが,新規採択率が28.2%となっております。また,国際競走下での研究の高度化に欠かせない基盤Bについては,新規採択率29.2%ということで,過去最高となっているということでございます。
 今,御説明した状況を図にしたものが次のページにございます。図1を御覧いただきますと,今回の28.4%というのが非常に,特に前年度が24.9ということで,3.5ポイントほど高くなっております。過去と比較いたしましても,平成23年度,基金化を一部導入したときが28.5%ですので,ほぼそれに並ぶほど全体としての採択率は高くなっているということでございます。
それと,下の配分額のところ,これも27年度からの推移を図にしているところでございますが,配分額は平均ですと210万7,000円ということで,前年度が217万円ですので,6万3,000円ほど減っている。ここは多少,減少の傾向があるということが読み取れるかと思います。
 次に御覧いただきたいのが,少し進んでいただいて,全体のページでいくと10ページ目に,研究者の属性別の状況というのがございます。女性研究者の状況でございまして,応募が2万1,038件に対して,6,250件が採択で,件数の割合が21.6%を占めているということでございます。
 下の図3-2を御覧いただくと,こちらが女性研究者の登録人数と比率の推移でございまして,27年度から右肩上がりで上がってきていて,令和元年度が23.9%の人が登録されている。その右側が採択件数・比率の推移ですけれども,21.6%,こちらも上がってきているということでございます。
次は40歳未満の研究者の状況ということでございまして,新規採択率が38%になっております。下に図がございますけれども,図4-2を御覧いただきますと,採択件数・比率の推移というところを見ていただきますと,37.9%と40歳未満の方がなっているということで,ここのところは非常に高い状況になっているということでございます。
 次に機関別の状況を御覧いただければと思いますが,スライドでいきますと,14枚目に研究機関種別に見た採択件数の比率の推移というのがございまして,国公私立の大学,その他と分けているところでございます。一番多いのが国立という傾向は変わりませんけれども,51.8%が国立の状況です。前年度が53.8%ですので,2ポイントほど減っています。一方で,次が私立ですけれども,28.8%ということで,前年度から1.5ポイントほど増えているということがございます。
 次のページには,審査区分別の状況など,大区分別の採択件数,配分額などもございまして,それ以外につきましては,かなり込み入った資料,毎年出しているものをいわゆる令和元年度版に修正したものですけれども,機関別の採択の状況などもございますので,細かい資料などについては,また後ほど御覧いただければと思います。
資料の説明は以上になります。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。
 今後開催の本部会において関連事業との議論をしていくわけですけれども,今日は,先ほど説明がありましたように議論していく内容の具体的な議論ではなくて,こういう議論の仕方でよろしいでしょうかというのが,これから審議していただきたいことです。
 先ほど説明いただきましたように,今回,関連事業とのいろいろな議論を展開していく中で,他の事業のいろいろな状況をヒアリングさせていただいた上で,最終的なシナリオとしては,それを科研費の今後の強化あるいは改善にどのように結びつけるか,ということになります。多分,全ての研究費のことを,この部会主導で全部動かしていけるという立場ではありません。例えば,ERATO,さきがけ,CREST等の戦略経費は,それらの事業の戦略目標を立てる部会が別途あり,そこでいろいろと議論されています。今後の本部会の議論の仕方としては,そのような仕組みでよいのかということも含めて,関連事業との議論をいかに有効な時間として審議を進めていったらいいのかということについて,皆様から後示唆を頂ければありがたく思っております。
 何かございませんでしょうか。どうぞ。
【中村委員】
 JSTの事業というのはミッションが決まっている事業で,そのミッションは本当に変えられないのかというのが根本的な疑問。今は変えられないという前提で話しているんですね。その前提で,平成28年のこの部会の報告を読むと,特別推進に関して,研究が発展して大型の予算が必要になった方はJSTの事業に乗り換えればいい,ということが明確に書いてある。これがこの部会の結論ですね。ここに錯誤がある。つまり,自由な発想の研究をするのは科研費であって,JSTのお金は自由な発想で行うのではないので,科研費の研究からJSTに乗り換えられるという仕組みになっていないということです。これはこの部会でも,よく議論というか,理解していただかないといけない。そういう意味で,平成28年のこの部会の結論は,私は間違っていると思います。それならばこの部会が発議して,JSTの事業を「政策課題を解くミッション」ではなくすれば良いじゃないか,となるわけですが,それもそもそんなこと自体ができるかどうか分からない,そこのところに議論は尽きると思います。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。今,中村先生からおっしゃられたことは,科研費とJSTの事業の本来の趣旨が異なっているにもかかわらず,研究が大型化した場合は科研費からJSTの事業に乗り移っていけばよいという記述がなされている,この辺りの認識の問題から,我々は再検討していく必要があるということだと思います。今後の審議の中で,特に第6回ですか,我々はそのことについて確認しながら議論する必要があると思います。
 どうぞ。
【甲斐委員】
 このような試みで,ほかの事業も含めて議論をする機会を作っていただいて,大変ありがたいと思っております。ありがとうございます。
 今,中村先生がおっしゃったこと,大変もっともですけど,同じ文科省がやる事業です。JSTが課題を政策で決めるときにも有識者という人たちに話を聞いたりしているわけですよね。そういうところに何らか連携するような,意見を出せるような仕組みというのがない。それを作れないかということも検討課題に入れていただいたらいいのかなと思います。
もう一つ,よろしいですか。今の戦略的,JSTの事業との連携も大事ですが,次の基盤的経費についても重要課題です。デュアルサポートはいつも重要だというのは,この部会でも毎回出ていることで,こういう議論の機会を頂けるのは大変ありがたいんですが,説明事項と意見交換ってあるんですが,説明するのは誰かということが気になります。どういう方を想定して現状を報告いただくのか,これは文科省の方がまとめたのを報告されるということでしょうか。
【西尾部会長】
 最初の点は,是非,文部科学省全体としての様々な事業を横串といいますか,お互い連携させるようなことをもう少しきっちり考えるような会議体を整えた,議論の場が大事ではないかということを,今後,文部科学省として,是非,考えていただきたい。
 2つ目の質問について,どうぞ。
【岡本企画室長】
 今,考えているところですけれども,予算の現状などについては,それぞれ文科省で担当がいるので,そこから説明していただければいいかなと思っています。今,国立大学と私立大学の方,数名を予定しておりますけれども,一研究者の方というよりは,どちらかというと,ある程度,大学全体を見渡しているような立場の方に来ていただいて,大学での基盤的経費の措置の状況であるとか,まさに大学の現状を説明していただくのがよいのではないかと思っているところです。
【甲斐委員】
 現場の大学の運営を担っている先生に来ていただいて言っていただくことは,大体,我々も想像できるんですね。大変窮していて,皆さん,実感として分かっていると思うんですね。
 この流れを見ると,とても苦しい。それで次の意見交換として挙げられているのは,大学の立場から科研費に期待すること。それだと,運営交付金が苦しいから科研費にカバーしてくれという期待が出てくるに決まっていると思うんですね。そうではないだろうというのがデュアルサポートを議論している我々であって,本来基盤経費で行うべきことを競争的資金に負わせてしまったら,大学の本来の形は変わるという議論をしているわけですよ。この意見交換の課題の挙げ方は余り意味がないと思うんですね。 逆に科研費の立場から大学に期待することというのも変で,科研費は競争的資金なので,科研費側から大学運営の方々に何か期待するというのは違うかなと思うんです。流れとして,今大学が窮している現状は仕方ない。では,その上で科研費は何をやりますかみたいな議論になっているんですけど,私が議論したいのはそうではなくて,仕方ないではだめなんだということを大学はどう考えているのかなと。それで,来ていただきたいのは国大協とか公私大協の本質への取組を語れる方ですね。絶対,身を切る覚悟が必要になると思うんですよ。予算を上げてくれ,上げてくれといったって,それは難しい。でも,難しいなりに,きちんと政府に要求しているのかとか,あるいは少子化の中で学生数が減っていて,大学数が常に同じというのも既におかしいと言われているわけですから,そのまま全額上げてくれって通らないと思うんですけど,すごいシビアな議論ですね。そういうのをやって,大学の在り方,どのぐらいの運営交付金が必要で,適正な大学の未来像ということを真剣に考えているかというのを聞きたいんですね。そういう議論,現状ではなくて,取組ですね。その上で,デュアルサポートがどうあるべきかというのを一緒になって議論するとなるといいなと期待いたします。すいません,難しくて。よろしくお願いいたします。
【西尾部会長】
 甲斐先生の御説明の間,委員の皆さんは,結構うなずいておられました。結局,運営交付金がどんどん厳しくなっていく中,では,科研費でそれを補って云々という議論で終わってしまったのでは今までの繰り返しになってしまう。そうではない,今,甲斐先生がおっしゃったような結論に導けるような議論ができるような仕掛けを,来年の1月下旬開催の本部会に,どういう方に来ていただき,どういう議論をしたらよいかということを鋭意考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【梶山学術研究助成課長】
 一言。
【西尾部会長】
 はい,どうぞ。
【梶山学術研究助成課長】
 おっしゃっていただいたとおりだと思っております。それぞれから言い合わないと議論というのは噛み合わないと思いますので,大学において,戦略的に,うちとしては研究費をどうしているかという議論をしていただくことによって,多分,意見が噛み合っていくのではないかなと思っております。これから,それぞれの先生方に対して,御説明等を伺う機会があると思いますので,そのようなこともお願いしたいということを申し上げることを考えております。
 また,先ほどおっしゃっていただいたJSTとかの連携の話についても,甲斐先生がおっしゃっていただいたように,どのようなところの戦略目標に対して,科研費から働きかけていけるか,若しくは,いろいろなことができるのではないかという話は極めて重要だと思っておりまして,ファンディングエージェンシー間の連携というもので,今,ファンディングエージェンシー間の会議が立ち上がっておるんですね。そういうところも含めまして,先生方から,こういうことをしたらより有効なのではないかというような御議論というのが,最終的にヒントなり何なり,御議論の話がこの1回目なりでも出てくると,事務局としては非常にありがたいかなと思っているところでございます。
 私からは以上でございます。
【西尾部会長】
 どうぞ。
【竹沢委員】
 今の御議論と関係するんですが,私自身は国際交流事業のことに少し懸念がありまして,特に人文・社会,特に人文学系の国際交流事業というものを有効的にするにはどうしたらいいかということで,次回,少し提案を言わせていただこうかなと思っていました。既にゲストの候補が挙がっているかと思うんですけど,どういうお話が期待できて,そこに人文学とか社会科学の国際交流事業というのも十分反映される内容なのかどうか知りたく思います。理科系に比べて,一般に国際化は遅れていると思うんですね。以前にも発言させていただいたんですけれども,招聘外国人制度をもう少し有効に使えないかとか,人文系での国際共同研究,国際共著論文についても,何か発展的なことが期待できないのか,プレゼンテーションしてくださる方への質問時間もあると,一体どれだけ実質的な議論ができるのかなというのが,少し心配です。
 以上です。
【西尾部会長】
 何かお答えございますか。
【梶山学術研究助成課長】
 ありがとうございます。この会議におきまして,最終的な結論まで全部議論できるかどうかというのは,時間もありまして,分からないところがあると思います。ただ,より掘り下げていきたい議論というものがありましたら,あらかじめ,私どもから,こういうところについて,是非,御意見なり,こういうところはというところは,発表していただく方若しくは事務局に申し伝えたいと思いますので,それは是非いただければと思います。今いただいたお話,2点につきましても,特に人文系のところを中心に,こういうところに問題意識があるというところをお伝えしたいとは思っております。
【西尾部会長】
 どうぞ。
【射場委員】
 最初の中村先生のお話にも関係するんですけど,別紙1の一番最初の論点に,科研費とJSTの事業の接続と書いてあります。接続というと,初めから科研費の成果をJSTにハンドオーバーするようなイメージがあって,甲斐先生がおっしゃったような連携だと,例えばJSTの事業で本当はサイエンスをもっとやった方がいいのに,すごい出口を求められてできないみたいな研究が結構あるんですね。そういうのは科研費でしっかりやれていますよみたいな話はすごいいいのかなと思うので,接続って,余り言わない方がいいのかなと思います。
 それともう一個は,中村先生がおっしゃるように,自由な発想で科研費があるんだけど,その成果を次にJSTでやるのは結果としては有りだと思うので,そこの順番をどう考えるかですよね。初めから繋ぐつもりではなくて,せっかく成果が出たんだから,では,もっと拡大して,今度は出口を求められるかもしれないけど,そういうフェーズになったんだったらJSTでやりましょうよという話はあるので,そこはJST,CRDSあたりはどう考えている,どれだけ科研費の成果を見ているかということだと思いますけどね。
【西尾部会長】
 射場委員には,JSTの事業にいろいろ関わっておられる観点から,貴重な意見ありがとうございました。ご指摘いただいたことは重要ですので,よろしくお願いいたします。
 では,竹山委員。
【竹山委員】
 若手の研究者育成関連事業として評価するべき事業があると思いますが,研究の主体を担っているポスドクと言われている若手研究者がどこにいるのかも把握して考える必要があります。様々な研究費でのポスドク雇用,必ずしも育成されるような対象として雇用されていない場合も多いかと思います。
 ポスドク人材の現状を把握したうえでの事業の効率性とか,事業の見直を考える必要があるかと思います。特別研究員事業も歴史は古いと思いますが,社会規範の変化に対応した制度設計の見直しが必要と思います。
【西尾部会長】
 第7回では,人材委員会からの情報提供をいただくことも計画しております。そこからの情報提供も含めて,竹山先生がおっしゃった問題をどう掘り下げていくかということを是非考えていければと思いますので,よろしくお願いいたします。
 では,どうぞ。
【中野委員】
 他事業との接続あるいは連携といったときに,現場に任せるということはかなりあると思うんです。科研費の審査,それから,さきがけのアドバイザーというか,そちらの方の審査とか,携わった経験があるんですけれども,やはり,科研費の取得の状況と無関係に審査することもないし,科研費の方でも,JSTでどういうことをされているかというのを見ながらやっている。ある程度,現場での調整というのは必ず行われていて,今,それにかなり頼る部分があると思うんですね。それをさらに効果的にするということを考えると,やはり,公募の時期とか審査の時期,そういうものがどれだけ自由度があるかということが結構重要になってくると思っていて,各事業がどれだけ基金化されているかとか,あるいは科研費の中でより基金化することによって効果があるものは何かとか,そういう点を話し合って,接続というのを何もかもうまくトップダウンでやるのはきっと無理だと思うので,ある程度,現場に任せる。現場に任せるときに,どういう方法があるかということも議論できたらと思います。
【西尾部会長】
 分かりました。重要な課題です。そのことも是非考えていきたく思います。
 中村先生,手を挙げておられました。
【中村委員】
 今の話題と全く違う切り口です。大学,特に国立大学法人は,昨今,国から来るお金だけを待っていてはいけないと言われています。自分で外から取ってこいということです。これは国立研究開発法人の理研や物材機構も同じです。JSTはどうでしょう。研究費配分機関として位置づけられている独立行政法人のJSPSとは違って,JSTは理研や物材機構と同じ国立研究開発法人ですね。ですから,国立大学,理研や物材機構と同じくJSTも自前のお金を取ってくる必要があると,以前から考えています。つまり,JST独自の考えで事業を行うことが求められており,そのためには,国からの委託費を再委託で研究機関に分配すればいいというところに安住しないで,自分でお金を取って来て,研究者に配って欲しいんですね。こうして,国立研究開発法人としての独立性とカラーを出して欲しいと私は昔から思っています。この問題もJSTに問いたいと思います。
【西尾部会長】
 今後,数回にわたり本部会で研究費全体を考えていくことになります,今おっしゃられた視点もその中で議論していく,むしろ,それを促していった方がいいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 どうぞ。
【白波瀬委員】
 今,竹沢委員から,人文学のという話がありましたが,専門用語も含めて, JST云々という議論が,実は文系では余り馴染みのないカテゴリーが多いのです。そういう意味では,全体の学術という観点からいうと,もちろん,そこでの現場ということになると,大学というのが1つの単位になるかもしれないんですけれども,甲斐先生から御意見が出ましたけれども,大学運営とか全体の科研費云々という俯瞰的なところで意識してご議論していただきたいと思います。例えば,分野ですね,領域とか専門分野の違いを積極的に考慮しながら,現場の声を上げていただくヒアリングを設定していただけるといいかなと感じました。
 以上です。
【西尾部会長】
 今のところ,どちらかというと,私立大学,国立大学の観点からヒアリングをお願いすることになっていますが,今おっしゃった分野ごとの特性を踏まえた議論も,一方で必要ではないかということです。よろしくお願いします。
 他にございますか。では,大野先生どうぞ。
【大野委員】
 これは直接議論することではないかもしれないんですけれども,今どういう状況になっているのかというところから議論していくと,余りいい解決策は出ないのではないかと思います。時々,大学でやるんですけれども,では,理想論は何だと,どうあるべきかというところから現状を分析するというやり方もあってもいいのではないかと。時間的には非常に難しいと思うんですけれども,いつか,理想論から現場を見るという方法をやってもいいのではないかとは思います。
【西尾部会長】
 今おっしゃられたことは非常に大事で,今後の議論の進め方として,どうあるべきかということを定めて,そこからバックキャストして,現在を見てどう改善していくのかという議論の在り方も是非考えましょうということだと思います。よろしくお願いします。
 では,鍋倉委員。
【鍋倉委員】
 多様な大学や分野の取り組み,特に研究環境整備が必ずしも十分でない地方大学からの聴取が重要と思います。
【西尾部会長】
 はい,どうぞ。
【梶山学術研究助成課長】
 おっしゃっていただいたとおりだと思っております。先ほども申し上げましたが,大学についても,少なくとも3つ若しくは4つぐらいのところから選ばせていただきたいと思っております。また,この委員会においても,西尾先生,それから,大野先生をはじめ,まさに経営者の立場の先生もいらっしゃいますので,経営者の立場の方々が五,六名集まった意見ということ。それから,例えば私立大学であれば人文・社会系のところが重視されているところもありますので,できるだけうまくいくような形で選定をお願いできればと思っております。
【西尾部会長】
 どうぞ。
【栗原委員】
 研究費に対しては接続ということが主に議論されていますけれども,それと同時に,研究が多様である以上は,ファンディングの中にも少しやり方の多様性というのがあってもいいのではないかと感じています。
【西尾部会長】
 はい,分かりました。
 例えば具体的にどうでしょう。
【栗原委員】
 例えば,私は情報関係でいろいろな研究の先駆的な例を最近少し調べましたが,ほとんどがJSTとかNEDOのいわゆるターゲットを設定されたような枠組みの中から出てきているものが多いと感じました。そういう意味で,全部がボトムアップではないのではないかと思うところもあります。ただし,研究者の自発的な創意とか創造性等を尊重するというのは大事なことだと思うので,それはどんな形であっても,できれば学術的な要素を尊重する形というのは必要だと思います。
 以上です。
【西尾部会長】
 先ほどおっしゃったこととつながるのかもしれませんね。
 はい,どうぞ。
【竹山委員】
 文科科学省管轄が対象となると思うので,JSPSの科研費やJSTの事業が主な対象となるかと思います。一方,研究費申請側からすると,研究費に色があるわけではないので,自由な発案としては科研費,重点領域に当てはまる場合はJST,本当に実用化という場合は,NEDOもしくは企業連携という簡単な頭の整理が理工系の研究者にはあるように思います。それ以外に,分野によってはAMEDもあります。今回, JSTとJSPSという話になるのは委員会の性格上仕方がないかと思いますが,他省庁の研究費とのリンケージをどのように考えるべきかを教えていただけますか。
【梶山学術研究助成課長】
 基本的には,様々なファンディングエージェンシーがあるというのはおっしゃるとおりでございます。その際に,他省庁まで広げるというところもあるんですが,まずはJSTというところで,私どもが基礎から応用までをやっている科研費との関係で,一番関係が深いところでございますので,そのところをやっていくというところで今回選ばせていただいております。議論によって,例えば応用に関しても議論していった方がいいということであれば,そういうところまで話が及んでいくかもしれませんが,まず,JSTということに関して,様々なことを考えれば,ほかのところにも応用が利くようなこともあるのではないかなとは現時点では思っております。
【竹山委員】
 CRESTなどの評価にも参加させていただく機会がありますが,CRESTの成果をもとにNEDOの研究費を獲得できるのも,一つの成功例として評価される場合があります。逆にNEDOで研究費をもらっている方からCRESTへ申請される場合もありますが,そこでは,NEDO研究では詰めることができない基礎的な部分をCRESTでということのようです。このような点も考えると,科研費対JSTというとらえ方は間違っているので,注意が必要だと思っています。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。研究のタイプを分けるときに学術と戦略と要請があって,学術研究では運営費交付金とか科研費が原資としては考えられて,戦略研究はJSTの事業として行われています。ただし,学術・戦略・要請の各々について,基礎研究,応用研究,開発研究というのは別の軸であります。そのような考慮しつつ,今,竹山先生がおっしゃられたようなことのすみ分けを含めてどう考えていくのかということは,きっちり議論する必要があるかと思います。
 井関委員,どうぞ。
【井関委員】
 若手のところなんですけれども,以前から申し上げているんですが,若手研究者と言ったときに,大学院博士課程を卒業した人間だけではなくて,やはり大学院生も研究をしているわけですので,学振のDCなどを参考にしながら,もう少し何らかできないのかなと。いわゆるカテゴリーとして,大学院生が申請する必要はないのかもしれませんけれども,結局,大学院生を研究者として扱えるような研究費というのを考えていただけるといいかなと思います。
【西尾部会長】
 日本はそこの認識はまだ後れていて,先生がおっしゃったように,大学院生ももう1人の研究者なんだという意識を持ちながら,どう研究費等の設計をしていくのかを今後考える必要があると思いますので,その点よろしくお願いします。
 どうぞ。
【白波瀬委員】
 1点,簡単になんですけれども,今,人文学というか文系の話をしたんですけれども,理系の間では基礎・応用・戦略という形である程度カテゴリーが決まっているようです。一方,文系は理系と同様のカテゴリー,あるいは全体枠を共有しているわけではありません。社会科学的になると戦略的というと少し違った枠組みがあり,政策研究という意味で厚労省の厚労科研というのもありますけれども,文科の科研費の中で基礎と応用ということもあるのですがその関係性が異なります。つまり,連携と言ったときに想定するカテゴリー間の関係が,理系と文系の間で必ずしも同じではありません。用語について共通認識の上に立っていないあたりは多分総合的に学術を考える上には非常に重要なところだと思いますので,追加させていただきました。
【西尾部会長】
 貴重な御意見ありがとうございました。
 竹山委員,どうぞ。それから射場委員。
【竹山委員】
 さきほどの大学院生への競争的研究費についてお話しが出ておりましたが,JSTでは,ACT-Xというプロジェクトがスタートしています。大学院生も応募可能な若手対象の研究費です。募集分野によって状況が異なり,数理・情報系では,大学院生の採択も進んでいますが,生物・化学分野では,指導教員の色が濃く出た研究内容であることが多いこともあり,対象としませんでした。数理・情報系は早い時期から独立した研究が展開可能という認識だと思いますし,実際そうだと思います。一般的に広く分野を選ばす,というものであれば学振のDCもありますが,分野によっては戦略が進んでいることもあるので,是非精査をお願いいたします。
【梶山学術研究助成課長】
 ありがとうございます。分野に着目して物事を見ていくのは極めて重要だとは思っております。ただ,科研費全体として,人文社会科学から,まさに理工系,生命系,それから情報とかを含めて全体としてまとまりを作って支援しているところもあるかと思っておりますので,その両方のバランスを見ながら是非御議論いただくのが,制度としては一番いいのかなと思っております。
【西尾部会長】
 射場委員,どうぞ。
【射場委員】
 大学改革の手段の1つとして,民間からの研究資金ということでずっと考えていて,私,民間なので,JSTのCRESTとかさきがけで民間から研究資金とか研究人材の御要望を頂くことは,これは分野によって違うのかもしれないですが,私の分野では余りないです。あってもアドバイザーぐらいで,一方で,例えば卓越大学院制度とか,オープンイノベーション推進機構とか,最近の文科省の取組は民間からの資金が必須になっていて,それも大変多くの御要望を頂いている。NEDOなんかでもそうなんだけれども,ということもあるので,そういう外部資金をどう活用するかみたいなことだと,もうちょっと対象とする事業が違うのかなという気もします。
【西尾部会長】
 射場委員,そのことは,中村先生の意見も踏まえて,今後の議論の中で考えていきたいと思います。
 JSPSからどうですか。永原先生。
【永原JSPS学術システム研究センター副所長】
 発言の機会を与えていただき,ありがとうございます。
既に何人もの先生から御指摘あったとおり,総枠が一定の中で,こっちからこっちは科研費,ここからここはJSTとか,これは大学,これは何とかという議論を幾らしてみたところで本質的に何も変わらないので,やはりこの全体像を,さっき中村先生からは,JSTがよそからお金を取ってくるというなかなかおもしろい提案がありましたが,本当にそういうところから議論をしないとならないと思います。また,冒頭で甲斐先生から御指摘あったように,大学関係者であれば,とにかく窮しています,科研費を何とかしてくださいというような声しか出ないことも分かり切っているので,そのような議論はもはや無駄ですし,この10年間で嫌というほど分かっているので,今さらそのような議論をする段階ではないと思います。したがって,文科省の振興局や高等局が扱っている枠を超えたところとの関係をどうするかという観点で議論をしないと,ずっとやってきた議論の繰り返しになるであろうと思います。
 科研費の立場としては,基本的には,例えば今,JST,あるいは戦略的にやられている事業の両方が必要であり,研究のためには完全なボトムアップ型も必要だし,戦略的にやられる研究も必要で,これがあってこそ全体として,社会にも貢献できるのだという認識でおります。切り分けがどうのこうのという議論よりは,もう1段階上のレベルの議論が必要と思います。科研費は,今現在基盤Cが増え続けているからといって,では,基盤Cを尊重すべきなのかと言われたら,それはその限りではありません。それは大学が窮していることの裏返しでしかないのです。先ほどこの配付資料の経年変化に基づいて,ある種目はどこかでピークを迎えて減り続けているから減らしてもいいのではないかというような議論になってしまうと本質を見失ってしまいます。学術を多様な形で支えるには,この現状の枠を超えてどうしたらよいかということを是非御議論いただきたいかと思います。
【西尾部会長】
 どうも,ありがとうございました。
岸本先生はよろしいですか。
【岸本JSPS学術システム研究センター副所長】
 同じです。
【西尾部会長】
 栗原先生におっしゃっていただいた多様性ということも,今おっしゃられたことと関連するように思います。
 ほかにございますか。
 要は,我々の議論の結果として,基盤経費の縮小を科研費で補う云々という結論に持っていくのではなく,今,永原先生,また,先ほど甲斐先生がおっしゃったように,従来とは異なる結論を導くための議論をどう展開するかということだと思います。そこを我々は配慮していきたいと思います。
【梶山学術研究助成課長】
 ありがとうございます。おっしゃっていただいたように,全体の枠というものをどう考えていくかという非常に大きな議論が必要だと思います。
 私が個人的にちょっと考えておるのは,そういうところに最終的に持っていくんだと思いますが,では,優先順位はどこなのかというところが多分今後言われていくんではないかと思っております。今回,若手支援プランというもので,若手研究というものが40%になりました。これを40%以上にという議論は余りないんじゃないかと思っておりますし,今回重複規制というものを考えていただきましたので,大型というものに関しても,若手が競争の上勝っていければ,当然そこを支援していくという話になっていくんだと思います。
 その後,では,どこの分野において,どういうことに関して増えるのであれば科研費としてどう考えていくのか,また,全体としてどういうところを求めていくかという視点も是非御議論いただくというのも,非常に私は大きな期待といいますか,そういう御議論も頂ければと思っているところでございます。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。
【中村委員】
 先ほど研究者の問題が出ましたけれども,ちょっと違和感を覚えるんです。ファンディングは基本的にPI,つまり研究室主宰者を相手にしているというのがコンセンサスだと私は昔から思っています。これが15年ぐらい前から崩れてきています。これが基盤Cの変質とも関係あるかもしれない。
 「研究ができる人を研究者」と言うのは構わないですが,少なくともファンディングを考える場合,「息の長い研究を続けていくことを目的に研究室を主宰している人」つまりPIを相手にする,これは世界スタンダードだと思うんです。ここについて我々のコンセンサスが得たい。もしコンセンサスがないなら,まずこれを議論した方がいいと思います。
 JSTが単に研究成果が欲しいと割り切るなら,研究室主宰者だけを相手にしないで学生までも「研究者」として相手にしてもいいのかもしれない。しかし科研費には日本の研究システムを支えるというミッションがあるので,研究室主宰者,つまりPIを相手にするものだと私は思っています。学生さんがもらっている学振の特別研究員の研究資金は科研費の正式種目になっていない,その配慮が行われているものだと思っています。
【西尾部会長】
 どうも。貴重な意見,ありがとうございました。その辺りもより明確にしていく必要があるかと思います。
 ほかに御意見はよろしいですか。
 どうぞ。
【中野委員】
 若手研究者の育成という面については,やっぱり若手研究者に対する研究費だけでは全然だめというか,幾ら大きな科研費を付けたって,職が安定していなければ研究を続けられないし,時期が来ればそわそわして集中できないという状況が出てきます。所属する大学・機関による支援,あるいは他の科研費と連携する事業でも良いですけれども,然るべき大きな科研費を取ったらきちんと職も安定させることができる,あるいはその約束込みで申請できるというシステムも考えてもいいんじゃないかと。だから,取る前にちゃんと約束が取り付けられていて,きちんとした大型の時間の掛かる研究ができるだけの資金を得たら,きっちり所属機関でポジションが獲得できるとかいうことも考えないと,若手研究者の状況はなかなか改善しないんじゃないかと思います。
【西尾部会長】
 今,おっしゃっていただきましたような意見も6回,7回のところで是非展開したいと思いますので,どうかよろしくお願いいたします。
 議論の枠組みとして,まだ何か足らないところとかございませんか。議論をどう展開するかという方法ですけれども,よろしいですか。
【甲斐委員】
 議論の枠じゃないんですけれども,今,中村先生や中野先生がおっしゃったことはすごく科研費の本質に関わっていることで,科研費でいつか本気でやらなきゃいけないというふうにずっと宿題にしているテーマなんです。アメリカの科研費はPIしか申請できないですし,大きな先生にぶら下がっている人が,若手Bのような,小さなお金をもらうのは日本だけです。それだけじゃ,とてもじゃないですけれども,独立なんかできないです。年間百何十万円しかなくて,理研の場合はそのぐらいのお金だと独立はできないんです。そういう制度を変えると,もう科研費の中の枠組みや大きさが全て変わっていくんです。でも,いつかその議論を本気でやらなきゃだめだというのは,区分け,大区分なんかのときの議論に出ていて,いつか本気でやりましょうというふうになっていますので,今回入れると大変なことになるとは思いますけれども,頭に入れておいていただくのは必要なことだと私も感じております。
【西尾部会長】
 どうもありがとうございました。
 どうぞ。
【井関委員】
 先ほど私が大学院生も若手の研究者だと言ったのは,中村先生がおっしゃったこととも関係するんですけれども,いわゆるPI以外の方が研究費を取ってくる,運営費交付金はすごく少なくなる,でも大学院生はいるとなったところで,PIは厳しくなる。若手でないPIというのはどんどん厳しくなっています。厳しいから頑張れと言うのもありだと思いますけれども,一応頑張っているんだろうけどなといつも思っていながらも,苦しくなる。じゃ,一体どうやってこの大学院生を育てるんだと感じることがありまして,私は本当に中村先生がおっしゃっていただいたことに諸手を挙げて賛成するわけですけれども,そういったことも含めて何かしら考えていければいいのかなと思います。
【西尾部会長】
 先ほど竹山先生がおっしゃった意見ともまた関連しているんだと思います。
【井関委員】
 そうですね。
【西尾部会長】
 ほかにございますか。
 どうぞ。
【栗原委員】
 現状に対して,同じような観点ですが,例えばさきがけは,研究者は制度的には自分の給与も支払われることができて,ポスドクの人,あるいはドクターを終わった人が申請して,とにかく自分で研究をやりたいということが可能な制度なのですが,初期の頃に比べ,そういう人が最近は非常に少ないのではないかと思うんです。だから,人材に関しては,もう少し若手の気分が独立してやっていくんだというところに向かって,元気にやっていけるのかということも大事でしょうし,ある程度大きなプログラムの中でもしっかりと顔が見えるような形の成果を上げていくようなことを期待していくことも必要と思います。
【西尾部会長】
 分かりました。どうも貴重な御意見,ありがとうございます。
大体よろしいですか。貴重な御意見をたくさん頂きましたので,事務局の方で,今後の議論,6回,7回をいかに充実したものにして,先ほど言いましたような,従来と同じ議論の繰り返しにはならないようにどうするかの工夫をどうかよろしくお願いいたします。
また,委員の皆様方には,どういう形で開催するかということに関して,直接,問い合わせ等させていただくと思いますので,何とぞよろしくお願いいたします。
 その他に行きますけれども,まずは1件報告があるということで伺っております。どうぞ。
 

(4)その他

【梶山学術研究助成課長】
 一点だけ。まだ完全に確たる動きがあるというわけではないんですが,状況をちょっと報告させていただければと思っております。
 参考資料2をごらんください。「『研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ』(仮称)の検討について」というものがございます。こちらについては,資料の12ページ目をごらんいただければと思います。統合イノベーション戦略,国家において研究関係の基本的なことを定めたものを閣議決定されたものがございますが,これにおきまして,人材,資金,環境の三位一体改革により,研究力を総合的・抜本的に強化するために,本年内を目途に,その様々な三者に関しての総合パッケージを作るという議論が,今,内閣を中心にされているところでございます。
 具体的には,検討項目といたしまして,人材,資金,環境というところの中で,民間資金等研究資金の確保でありましたり,競争的研究経費の一体的見直しというところが御議論されているところでございます。
 こちらにつきましては,ちょっと前に戻って恐縮でございますけれども,6ページをごらんいただければと思います。こちらは日本学術振興会や,様々な方々に対してヒアリングが行われたところでございます。6ページにおきまして,下のところ,日本学術振興会のシステム研究センターにいらっしゃいます尾辻先生がシステム研究センターを代表いたしましてヒアリングを受けております。科研費というものが自由な発想に基づくボトムアップ研究だというところ,それから,科研費改革の状況などにつきまして御説明いただくとともに,科研費というものに関しての,4番目の丸のところですが,先ほども御議論ありましたが,大学の経営環境悪化における基盤的な経費の肩代わりとしての傾向が進行して,大型種目の振興が相対的に低下し続けている現状に大きな問題意識を持っているというところ,それから,業績であったり審査という個別の話に関しても御説明を申し上げたところでございます。
 先ほど競争的資金の一体的見直しというところで,次期の科学技術基本計画を見据えた議論が今後行われていくことになっていこうかと思っております。基本的に,先ほどのところのファンディングエージェンシー間の,接続,連携という言葉はちょっと置いておくにいたしましても,その辺のところをどう考えていくかという御議論が,このようなところである程度なされていくという状況がございます。私どもとしても,今までの研究費部会の御議論を踏まえた主張であったり,全体の議論に参画していきたいと思っておりますので,今このようなものが動いているということをちょっと御承知おきいただければと思っております。
 以上でございます。
【西尾部会長】
 どうも報告ありがとうございました。御質問はございますか。
 では,どうか事務局の方でも今後のフォローをよろしくお願いいたします。
 他にございますか。
【中村委員】
 これで最後ということだったら,1つ申し上げたいことがあります。今,このインタビューで宮野先生が,研究者というのは四六時中研究のことを考えているものですということを書いておられます。研究者はクリエイティブな仕事をやっている。音楽家もそうですよね,四六時中音楽のことを考えている。
 しかし,皆さんも御存じのように,京都大学では教員もタイムカードに打刻をして時間管理をすると決められたということです。これは健康管理のためなので,とにかく打刻をして時間管理しろということで,実際に実行されました。大学を仕事場をとしてそこでクリエイティブな仕事をしている研究者の立場から見ると由々しきことだと思います。
 アメリカはよくできていて,The Fair Labor Standards Act,日本の労働基準法に当たるもので,この中に,learned professionals,つまり学識専門職,のexemption,例外規定,というのがあるんです。これは会社の人も,それから大学の先生もみんな含まれている。芸術家はcreative professionalというところで例外規定に入っています.要は時間で計れない仕事をしている人は時間管理しないで成果で管理するという例外規定が昔からあるんです。
 働き方改革と言うことで,大学でも時間を管理するということになってくると,研究者は研究成果で管理された上に,時間でも管理されることになり,正に萎縮するしかない。これは日本国の方針ですから致し方ないとは言っていられない,研究立国の危機です。例えばポスドクが5時以降実験室にいたら労働基準局から指導が入るということが現実化しているわけですよね。文部科学省としてもこの問題に是非取り組んでいただきたいですし,日本の研究をいかに振興するかというテーマで議論を進めているこの研究費部会でも取り組むべき課題だと思います。実験は9時-5時に限ります,土日は大学で研究してはなりませんといいながら,一方で世界に冠たる仕事をしろという政府の方針は完全に自己矛盾しています。
 最近は「学生も研究者だ」という方向性ですから,学生も9時-5時で帰らなくちゃいけない。そうなると,教授から学生さんに,「これ明日までの宿題なので考えておいてね」と言った瞬間にパラハラのそしりを受ける,ということにもなるわけです。
 これは研究者の思考する方向とは全く逆の価値判断が,既に働き方改革で行われている。この問題は傷が広がっていない今のうちにきっちり解決していただかないと,5年たった時点で大問題になると思います。この問題は,病院の勤務医では既に出ているので,早晩大学全体でも問題になってくると思います。
 授業は大学教員にとっての業務ですが,研究は時間管理すべき部分ではないので,ここのところを研究費部会としてきっちりした意見表明をするなり,文部科学省として意見表明するなりしていただく必要があると考えます。
【西尾部会長】
どうですか。
【村田研究振興局長】
 今,御指摘いただいた問題は,我々の方も問題意識を持っています。これは大学だけではなくて,研究開発法人も正に同じ問題が,研究開発法人で研究をされる方の勤務時間の管理。これはルール上で言えば,一般の労働法制の中で対応しなければいけないということと,それから,教育の部分は,先生からお話があったように少し違う部分がありますけれども,研究に係る部分については,どういう勤務時間の管理が適正なのかと。これは裁量型の制度もありますけれども,必ずしもそれでストレートにうまく乗らない部分もあるということで,結論から言いますと,我々も各機関の実態もお聞きしながら,どういうやり方があるのか,一方では働き方改革とか,あるいは労働法制というのは政府全体の重要なテーマですので,その中でどういう解が大学とか研究機関の特別な状況を鑑みてあるのかということは,大きな問題として考えていかなければいけないと思いますし,それは各大学,研究機関の実態もよくお聞きしながら対応も考えさせていただきたいと思っております。
【中村委員】
 いいですか。
【西尾部会長】
 どうぞ。
【中村委員】
 大学教員の仕事時間に関しては既に文部科学省が10年ぐらい前に調査していますよね。各研究分野で,あなたは週に何時間働いていますかという調査。これは昔調査したからよかったので,今だと調査しづらいでしょうね。現実に,教育,研究,いわゆる雑務を含めて,皆さん週40時間の倍ぐらい働いているという認識なわけです。もう調査は既に終わって,あとは具体的な取り組みをする段階だと思いますけれども。
【西尾部会長】
 今の問題は本当に深刻な問題だと思うんですけれども,どうですか。
【村田研究振興局長】
 これも勤務時間の実態は幾つか調査がありますし,一番問題になったのは,先ほどお話があった大学の附属病院の医療従事者の方々の問題です。現実的にはいろんな指摘もされているわけでございます。ただ,研究者の勤務時間についても,これもいろんな調査がありますけれども,それでは今の労働法制の中でどういう具体的な対応策があるのか,あるいはどういう問題を今抱えているのかというのは必ずしも10年前と同じ制度ではありませんので,少し今の制度を念頭に置きながら,具体的に大学がどういう工夫をされているのか,あるいは工夫だけでは対応し切れない部分があるのか,そのあたりはよく我々としても,これは関係部局とも連携しながら考えていかなければいけないと思ってございます。
【西尾部会長】
 先般,国立大学協会からも,文部科学省の高等教育局の方には,研究力を考える上では深刻な問題だということで強く対応をお願いしております。我々は研究費ということを議論しておりますけれども,研究費と同時に研究時間の問題は非常に重要な事項だと思いますので,文部科学省で是非この件に関してはきっちりした対応をお願いしたいと思っております。
どうも貴重な御指摘ありがとうございました。
 それでは,本日は予定をしておりました事項はこれで終わりでございまして,事務局から連絡事項はございますか。
【中塚企画室長補佐】
 次回の研究費部会につきましては,先ほど説明の中にもありましたが,11月19日を予定してございます。正式な御案内は改めて出させていただきます。また,1月以降の日程調整もさせていただきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 なお,本日の配付資料につきましては,後ほどメールでお送りしますので,タブレット端末は切らずにそのままでお願いいたします。
 以上でございます。
【西尾部会長】
 本日も本当に様々な貴重な御意見をいただきまして,どうもありがとうございました。いただきました意見を踏まえて,今後の研究費部会の審議をしてまいりたいと思います。心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
 

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