学術分科会(第71回)・人文学・社会科学振興の在り方に関するワーキンググループ(第3回)合同会議 議事録

1.日時

平成30年12月14日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第二講堂

3.出席者

委員

(委員、臨時委員)
西尾分科会長※、庄田分科会長代理※、安西委員、甲斐委員、勝委員、栗原委員、白波瀬委員、井関委員、井野瀬委員※、岡部委員※、亀山委員、喜連川委員※、小林良彰委員※、小安委員、里見委員、永原委員※、鍋倉委員
※人文学・社会科学振興の在り方に関するワーキンググループにも参画している委員・臨時委員
(科学官)
廣野科学官、頼住科学官、苅部科学官、鹿野田科学官、長谷部科学官、林科学官、東科学官、渡部科学官

文部科学省

磯谷研究振興局長、坪井科学技術・学術政策研究所長、千原研究振興局審議官、角田科学技術・学術政策局政策課長、渡辺振興企画課長、梶山学術研究助成課長、春山学術企画室長、岡本学術研究助成課企画室長、丸山学術基盤整備室長

4.議事録

【西尾分科会長】  皆さん、こんにちは。それでは、ただいまより、「第71回科学技術・学術審議会学術分科会及び第3回人文学・社会科学振興の在り方に関するワーキンググループ合同会議」を開催いたします。
 まず、事務局より、配付資料の確認をお願いいたします。

【春山学術企画室長】  本日もペーパーレス会議ということで、お手元のタブレットの方に基本的な資料をセットしてございます。会議の途中等で不都合がございましたら、お近くの職員にお声掛けいただければと思っております。
 それから、机上配付資料ということで三つございます。いずれも、本日欠席の鎌田委員からの資料でございます。これは、議題2の方でまた別途、御紹介させていただきます。
 資料については以上でございます。

【西尾分科会長】  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入ります。本日の議題は、次第に書いてございますけれども、まず、一番目が人文学・社会科学の振興についてです。
 学術分科会における今後の議論の進め方について、これまで学術分科会や人文学・社会科学振興の在り方に関するワーキンググループにおいて議論いただいたことなどを踏まえまして、審議のまとめ案を提示いたしますので、御出席の委員から御意見あるいは御質問を頂きたいと思います。
 それでは、まず、事務局より説明をお願いいたします。

【春山学術企画室長】  それでは、まず、資料1-1のタブを御覧いただければと思います。今、御紹介を頂きましたとおり、人文学・社会科学の振興ということで、ワーキンググループも設置いたしておりますが、その前の学術分科会本体の方でも議論をしていただいております。ここに紹介させていただいておりますのは、その関連のヒアリングで、どのテーマでどの先生から御発表いただいたかということを一覧にしておりますけれども、8月、9月の学術分科会、それから、10月に入りましてはワーキンググループということで、第1回の10月のワーキンググループでは、人文学・社会科学と自然科学の連携というテーマで、四つの発表を頂き御議論を頂いたところでございます。
 2ページ目のところで、11月の第2回ワーキンググループにおきましては、人文学・社会科学固有のテーマについてということで、ここに掲げております三つのヒアリングを行い、御議論を頂いたということでございます。
 そして、資料2は、今までのワーキンググループで出た御意見の整理ということになっておりますが、資料1-3の方が今までの御議論をまとめておりまして、事前にワーキングの先生方にはメールでの確認を頂いているものですが、本日の議題1の審議のまとめの案ということでございます。
 大きく四つ構成がございますが、PDFの3枚目を御覧いただきますと、まず、第1が検討の背景です。この検討背景ということで、大きくは二つの観点があるかと思っております。
 まず一つ目は、上の丸二つのところで書いているところですけれども、情報科学技術等々科学技術の進展に伴って、そうしたことが社会に実装されているということですけれども、そうしたことと同時に、人間社会との調和的な科学技術の実装という観点が出てきているということで、まず一つは、科学技術の成果を人間社会においていかに調和的に最大化していくかという観点で、これは日本に限りませんけれども、人文学・社会科学に対する期待が高まっているという背景でございます。
 もう一つが三つ目の丸以降ですが、我が国社会、また国際社会におきましては、人口減少・超高齢化とか、グローバル化に伴う社会経済の不安定化、さらには貧困や社会的格差の是正、持続的な経済発展や環境資源の利用といったことで、科学技術の進展ということだけには限らない幅広い時代の転換期を迎えているということで、こうした転換期であるからこそ、人文学・社会科学が一層主体的に真価を発揮していくということが切に待望されているという、大きく二つの検討の背景を設定してございます。
 次のページに、2ポツで主な課題と基本的な方向性ということですが、まず一つは、転換期における人文学・社会科学の現代的役割ということです。先ほど申し上げましたとおり、転換期を迎えている中で、国内外を問わず各方面から人文学・社会科学の重要性を強調する声が上がっているところですが、しかしながら、これは従来から言われているところでございますけれども、研究分野が過度に細分化しているといった指摘ですとか、現代社会が対峙(たいじ)している社会的課題に対して十分な応答ができていないというような指摘があるということで、こうした状況の背景として、これは第2回のヒアリングの中で出てきたお話ですけれども、そもそもこうした個々の研究課題というのが、マクロな知の体系との関連付けを得ることが難しくなっているということですけれども、ちょっと説明させていただきますと、かつては人文学・社会科学の中で、大きな物語があったのではないかということをヒアリングの中で御指摘いただいております。具体例として申し上げれば、例えば、近代に依拠した学問体系というもので、その当否は別といたしまして、歴史的必然ということですとか、経済システムということでは資本主義と社会主義というような大きな学問上の物語というものがあったのではないか。そうしたものが失われていく中で、個々の研究課題の細分化というのが進んできたのではないかというような観点です。
 そうしたことを乗り越えるために、個別に細分化された研究課題を超えた地平にある、人文学・社会科学の諸学が分野を超えて共有できる本質的・根源的な問いを再設定するということで、例えば、正義ですとか、公正ですとか、共同性、個人の尊厳というような不易の人文学・社会科学が追究すべき価値というものを、現代における人口減少社会や加速する科学技術、ICTやグローバリゼーションが起こす社会分断というような現代的なテーマの中で、そうした価値を追究するということを、プロジェクトとして異分野の研究者同士で共同して行っていくというアプローチが考えられるということを書いております。
 こうした取組というのは、必ずしも今現在の学問分野ごとの評価ということには必ずしもなじまないものであるかもしれないけれども、こうした今であるからこそ、そうしたアプローチに挑戦する意義は極めて大きいということで、また、一番下のところでは、Society5.0ということも、これも科学技術の成果活用ということ自体が目的なのではなくて、包摂的な人間社会の実現というところにあるということです。
 次のページに行って、特に科学技術と社会との調和に向けた自然科学との連携・協働ということで、こうしたことにはもう既に先行の取組がございますが、その中では課題もあるということで、これは第1回のヒアリングから出たものですけれども、その連携自体が目的化してしまうというようなことですとか、研究のスケール感が失われるということ、あるいはインセンティブがなかなか持ちにくいということですとか、人文学・社会科学のこれまで蓄積された知と自然科学側から発せられるニーズがまだ距離があるというような、こうした課題がまだ今でもあるということです。こうした困難を乗り越えるためのこととして、まず、優先的に必要とされるのは、課題解決の必要性について、各々の専門的視野からの理解と納得を深めることを通じて認識を共有することであるということ。それから、さらに、こうしたことを進めていくためには人材が必要であるということでございますが、こうした人文学・社会科学と自然科学の双方に精通した人材が、海外に比べて圧倒的に数が不足しており、また、そのキャリアパスや活躍する場が限られているという実態もあるということでございます。
 (2)といたしまして、研究データの活用に関する展望と課題ということです。当然のことですが、人文学・社会科学においても有用なデータを集めて使うということが、研究成果の質に直結する極めて重要な要素の一つになっているということです。
 他方、今、デジタル人文学ということも言われておりますけれども、多様な研究データのデジタルな形での利用環境が充実するということと、それから、そのデータをデータ駆動型の新しい手法を取り入れるということによって、これまで得られなかったような学術的・社会的な成果を生み出すということに対する期待が寄せられているということです。
 ただ、現状を見ると、研究データの利用環境の整備というのは、諸外国の後塵(こうじん)を拝している状況、特に社会科学の分野では、そうしたデータの不整備が、国際共同研究の相手としての日本の魅力の低下ということにもつながっているということで、こうしたデータをどういうふうに整備していくのかということが課題であるということです。
 (3)といたしまして、国際性向上ということですけれども、特に人文学かもしれませんが、分野ごとの特性ということはありますが、やはり、その上でも国際性を高めていくことの重要性は看過されるべきではないということで、二つ目の丸のところでは、それがなぜかということでございます。諸外国では、日本をデータサプライヤーとして見るという点がありますが、そうではなくて、母国語で高等教育、研究ができるという数少ない国の一つの日本だという価値を持ちながら、異質な背景を持つ研究者同士が関わることで、新しい概念や価値観を生み出すといったことも含めて、国際化の重要性は看過されるべきではないということでございます。
 次のページに行きまして、こうしたことを進めていくための一つとして、国際共同研究の拠点というものを国際化のノウハウを継承するといった意味でもしていくことが重要であるということです。
 それから、3ポツのところでは、それらを踏まえた研究支援の在り方ということです。一つ目、「未来社会を見据えた共創型プロジェクト」というふうに書いてございますが、まず、大前提といたしまして、多様性の確保ということは当然重要だということで、基盤的経費や科研費等々様々な方法で多様な学術研究を支援していく必要があるということです。今、日本学術振興会で、特に人文学・社会科学を対象として支援を行う事業といたしまして、課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業を実施しておりまして、これは一定の成果を上げているところです。
 他方ということですが、2の1の方で申し上げた状況を踏まえれば、人文学・社会科学に固有の本質的な根源的な問いに基づく大きなテーマを設定して、その中に自然科学を含む多様な研究者が参加して相互に議論するというようなことを、時間を掛けて作っていくという形の共創型プロジェクトを行うことが有効な手法と考えられるということでございます。
 共創型プロジェクトということになりますと、当然、テーマ設定でありますとか、マッチングというようなことは丁寧にやっていく必要があるので、そうした体制をきちんと整える必要があるということ。こうしたことができていくと、研究者間のネットワークを構築するというようなことにもなりますし、また、ある程度の期間、少なくとも5年以上の期間で実施するということになれば、そこで若手研究者が参加することによって、人材育成という課題にも応えることが期待できる。また、外国人研究者も参画ということになれば、国際ネットワークのハブとなるようなことも期待できるということで、こうした観点を課題設定型の事業の方において、文部科学省とも連携しつつ、今後検討していくことが望まれるということです。
 それから、その中の2点目といたしまして、データの関係でございますが、先ほど申し上げましたとおり、データのアーカイブ構築が喫緊の課題であるということで、人間文化研究機構では、歴史的典籍のデータベース、それから、これに基づく国際共同研究のネットワーク構築ということですとか、また、情報・システム研究機構の方では、社会調査、公的ミクロデータの収集・公開のためのプラットフォームの整備等々事業をしておりますけれども、こうしたことが情報科学の知見を活用した新たな人文学・社会科学の展開の一例として、より積極的な取組が期待されるということでございます。
 それから、日本学術振興会の方で、今年度から始めておりますデータインフラストラクチャー構築推進事業でございますが、これは、5年間の時限付き事業となっています。事業終了したときのその試みが断絶することがないよう、日本学術振興会自身はデータを専門に扱う機関ではございませんので、それ以降も必要な、恒常的な体制というものがきちんと作られるように、関係研究機関との連携・協働によって、そうした体制についての検討に着手する必要があるということを書いております。
 それから、三つ目といたしましては、データサイエンスの手法をどういうふうに活用するかということですが、まずは、フィジカルなデータをデジタル化していくということが急務だということでございます。それから、研究者から積極的に研究データの委託を受け付ける仕組みや情報科学の研究者との協力体制の構築ということについて引き続き検討する必要があるということでまとめております。
 大きな四つ目といたしまして、これ以外の中長期的な観点ということでございますが、まず、自然科学との連携という観点につきましては、今後、学術分科会の方で御議論いただきます第6期基本計画に向けた検討の中で、こうした議論が引き続きされていくということが特に必要であるということでございます。また、この中で三つでございますが、研究評価、社会一般への意義の発信、それから次代の研究者養成ということについてヒアリングや議論を行う中で出てきたので、これは、御議論を紹介するという形にさせていただいております。
 まず、評価についてですが、人文学・社会科学では論文に限らず書籍が重要な成果の発表手段になっているという前提があるために、人文学・社会科学と自然科学が評価方法が同じでよいという理由はないということで、今、日本学術会議の方でも、人文学・社会科学の評価指標の在り方について御議論を頂いておりますけれども、まずは、学術会議の検討に期待したいということでございます。
 国際的な視点からは、人文学・社会科学の中で、国際的な活動は国内で評価されず、国内の活動が海外では評価されないというようなことがあったので、こうした国際的な活動が国内のコミュニティでも評価されるというようなことも、その視点として必要があるのではないかということです。
 それから、社会に向けた意義の発信ということでは、役に立つ役に立たないという議論、これは従来からある議論でございますけれども、それを経済的価値として狭く捉える必要はないと。学術研究を支えているのは国民ですが、その国民の幸福は経済的価値だけではないということは当然ですので、そうしたことで、人文学・社会科学の研究者自らがそうした発信を継続することが重要であり、また、研究者のそうした努力が適切に評価される仕組みということも併せて重要な視点であると考えられるというような御意見が出ております。
 また、一般に対する成果の発表がなかなか読まれないというような御意見もございましたけれども、こうしたものは、デジタル技術が発展する中で、出版界やマスメディアの協力を得ながら、その方法について更に検討していくということです。
 それから、最後のページになりますが、人材の育成ということでございます。博士課程への進学ということが問題になります。人文学・社会科学の場合は学士から修士に行くところでパーセンテージが少ないという状況が固定化しているということですので、まずは学士課程、学部の学生に対して人文学・社会科学の研究や教育の魅力をちゃんと伝えていくということについて期待するということに加えまして、また、であるとすると、そもそも大学院教育について、中央教育審議会の方でも議論がされておりますけれども、普遍的な能力の育成ということや、複数の専門性を身に付ける取組や、あるいは企業との連携、こうしたことも含めて大学院教育の確立を目指すとともに、キャリアパスの拡大にも尽力するということが、裾野を広げていくということにつながるというようなことで、こうした3点について、最後、まとめをさせていただいております。
 私からは以上でございます。

【西尾分科会長】  どうもありがとうございました。ただいまの8ページにわたります審議のまとめの案につきまして、御意見や御質問などがございましたら、何なりといただければと思いますが、いかがでしょうか。

【小林(良)委員】  非常にうまくまとめていただきましてありがとうございます。西尾分科会会長の理解のもと事務局の方でうまくまとめていただいたと思います。同じような文書の5年前、10年前のものを拝見すると、やや人文・社会科学はカントやヘーゲルばかりやっているようなふうに見られていた印象があったのですが、今回まとめていただいたのは、今の人文学・社会科学が抱えている課題を非常に的確に整理していただいていると思います。
 5点ぐらいありましたけれども、まずアメリカ型のインパクトファクターを求めていくためにショートレンジの研究が多くなってきて、大きな、ヒアリングでいう、盛山先生がおっしゃるところでは、理論知というものがなくなっているということ。それから、国際的に言えば、データのサプライヤーに完全になっていて、アメリカの指導教授のために奉仕してはいるのですが、結局は自分たちの発信が少し減っているということ。それから、データの環境整備については、学術振興会の方で随分御尽力いただいていますが、時限なので、その後のこともやはり必要であるということ。それから、文系の評価の指標が、どうしても書籍が重要であるというところもあります。それから、最後は、やはり、産業界との、共同研究はよくやるのですが、共同教育はやらない。大学は産業界に対して博士号取得者を雇わないことを文句を言い、産業界は大学に対して役に立たないと文句を言います。しかし、お互いにコミュニケーションをしていない、お互いに不満をもつだけ。これは、学術振興会のリーディング博士課程教育がきっかけとなって、キャリアパスが随分と広がっています。特にオールラウンド型で採択されたところはかなり産業界に人材が出ていっていますので、そういうことも最後にまとめていただいたので、非常に的確に今の課題に応えている内容ではないかと思います。あとは、これを是非実現していただきたいと思います。

【西尾分科会長】  貴重なコメントありがとうございました。小林委員からは本当に大変多くの貴重なコメントや御意見を寄せていただきましたこと、改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

【甲斐委員】  質問ですが、JSPS事業の額が少ないという言葉が何か所が出てくるんですけど、JSPS事業というのは科研費のことではなくて、何か特殊な事業なんでしょうか。

【春山学術企画室長】  説明が不十分で恐縮です。資料の5ページに書いていますが、科研費とは別に、「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業」という人社を特に対象とした事業がございまして、そのことについて言及しております。

【甲斐委員】  どういう事業ですか。

【春山学術企画室長】  総額としては約2億弱の事業なんですけれども、諸学の連携、それから社会との連携、グローバル化という三つのテーマの中で、事業委員会の中で1年ごとにテーマを変えて募集しているという事業がございます。第2回のヒアリングで、この説明をJSPSの家理事の方からお話しいただいたところが前提にありまして、まとめの中ではちょっと説明が不十分になっておりますけれども。

【甲斐委員】  その事業の内容なんですが、それはパラダイムシフトを起こすためというか、内容をよく考えれば、それぞれのテーマは、例えば、科研費の新学術領域研究や特別推進研究などの、年間1億から2億円くらいを獲得できる競争的資金研究費などには申請できないものなんでしょうか。もしできるのであれば、人社の方もそちらにも出して研究費を獲得して一緒に反映させていくというふうにすれば、その事業だけに頼らなくても道はあるのかなと考えましたので、いかがでしょうか。

【春山学術企画室長】  もちろんというか、おっしゃっていただいた新学術領域研究であっても特別推進研究であっても、あるいは基盤であっても、いろんな形で申請していただくということは当然あり得ると思いますが、これにつきましては、ここにプロジェクト運営を丁寧に行う必要があるということが書いていますけれども、先ほど少し御説明いたしました大きなテーマというものと、それから現代的な諸課題というものをどういうふうに結び付けるのかということが今のクリアすべきものになっていると、そうしたところをうまくするために、実際に研究を行う申請する方々も、テーマの設定や課題の設定といったことに参画をしていただいて、例えば、シンポジウムとかワークショップ等々の取組を通じて研究課題を作っていくというようなことを念頭に置いた記述になっております。

【甲斐委員】  それはとてもいい話で進めていただけると良いと思うんですけど、もし人社への支援額が不足であるのであれば、なのですが。理系、特に生物系はかなり高額な研究費が必要な領域があって、研究費が不足がちですので、あらゆる方面に応募して何とか資金を獲得しようとしております。そういう研究テーマの中には事業に当てはまるような課題ってあるんですね、基盤を整備しつつ進めねばならないような。例えば、いろいろな生物種を構築するとかね。そういうテーマも学術基盤として重要であれば、新学術領域の課題としても合致するところを見いだして申請テーマとして、何とか資金を獲得しようと努力をしている様子が見られます。実際に、いろいろな研究費種目で関連するテーマを見ることがあるんですね。でも、審査員もその必要性が理解できればサポートしますので、その領域が盛り上がっていくことはあります。重要な事業であれば文系の方も、同じようにいろんなところから獲得するというふうにすれば、事業だけに頼らなくてもいろんな支援の仕方が、できるのではないかなというふうに考えました。

【里見委員】  是非、科研費には応募していただきたいと思います。課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業は、日本学術振興会の運営費交付金によって実施していますが、運営費交付金全体が減少している中で、この事業だけ規模を大きくするのは難しいので、もし、現在の規模では十分でないのであれば、是非、人文・社会科学の先生方も科研費を獲得していただきたいと思います。

【西尾分科会長】  問題としていただいたのは、この事業そのものが何らかの形で継続をしていくということが非常に大事だということで、それをどう実装していくかということは、我々は総力を挙げて考えなければならない、そういう解釈でよろしいですか。

【春山学術企画室長】  はい。会長おっしゃったとおりでございまして、そもそもの前提にある人文・社会科学に対する大きな期待を二つの観点で整理させていただきましたけれども、そうしたことを前提に、今、課題設定ということでやっている人文・社会に特化した事業をどういうふうに改善していくと、人文・社会科学の在り方として、よりよい方向に進んでいけるのかという視点で整理させていただいたものと思ってください。

【西尾分科会長】  ワーキンググループのときも永原先生から、該当の事業をJSPSに全部任されてしまうと大変だということをおっしゃいました。ただ今、里見先生もおっしゃったように、現在、JSPSの運営交付金の中で、関連事業を5年間という年限付きでの手当がなされているのだけれども、この事業がより重要であるならば、科研費ということもあるでしょうし、研究振興局が中心となってそういう枠組みを文部科学省として今後考えていく必要があるということですね。

【春山学術企画室長】  はい。

【栗原委員】  非常に幅広い報告をまとめていただいてありがとうございます。
 それで、幾つか視点が出ていて、もちろん人文学・社会科学の根源的な問いは何かというような、これは、科研費も含め、それぞれの研究者が真剣に向き合うべき課題だと思いますが、それ以外に、振興の在り方ということで言えば、今やらなければならないこと、今やれば意義があることはどういうことなのかということに、もう少し観点を絞るということもあるかなと思って伺いました。
 例えば、今おっしゃっていた中で、データベースを作るというような、学問の在り方を少し変革するような、今だったら非常に具体化がしやすいようなテーマとか、そういうものは、先行的な事例として提示していくものは何かというようなことが、振興の在り方であれば考えてもいいのではないかと思いました。
 それから、もちろん、エビデンスベースの社会科学というようなことは非常に重要なことだと思いますので、社会の在り方につながるところだと、Society5.0という枠組みから思います。
 それから、今、恒常的な体制ということをおっしゃったのですが、これは5年の事業をやっている研究者としては、みんな思っていることだと思うのですけれども、一生懸命やったその後どういう形になるかというのは、事業をやっている者は皆悩んでいるわけで、そういうものに対して、どのように多様に育てていくかという考え方は、この委員会だけではなく、どちら側ということではなくて、みんなで、良く整理して、残していくものは何かということをいろんな場で議論すべきだと思います。

【西尾分科会長】  どうもありがとうございました。
 小林先生が先ほど言ってくださったことに加えて、この中でさらに、今だからこそ特に優先度を持ってやるべきことをもう一段絞り込むことが大事になっていると考えます。つまり、現代的な要請を考えた特化を行い、それを第6期の基本計画の方にどう反映していくのかというようなプロセスが必要になってきます。
 また、現在進行中の事業が5年間であることに関しては、本当に重要な問題であり、どのように継続していくのかということをきっちり考えなければならないと思います。

【勝委員】  私、この委員会になかなか出られなかったので、コメントさせていただきたいと思います。今回のまとめ、非常にまとまっていて、当初、自然科学に付随するような形の人文科学の在り方というような形での議論だったのが、やはり、そのものを捉えて、その重要性を指摘しているということは非常によいことだと思います。ここまで世界がいろいろ変わってくる中で、やはり、価値観というのが非常に重要になってきて、価値観を醸成するために、これは課題解決にも関わるわけですが、人文科学、社会科学というのが非常に重要になっているということを正面から捉えたのは非常にすばらしいと思います。
 評価についてなのですけれども、先ほど小林先生の方からインパクトファクターの話がありましたが、自然科学はインパクト論文でかなり定量的に評価できるところがあると思うんですけれども、やはり、人文・社会科学の研究というのはなかなか論文数で計りきれないところがあるわけで、ただ、その社会的インパクトというのは非常に大きいわけですから、これそのものをどのように計っていくかということが非常に重要になっていくのではないかと思います。
 それから、もう一つは人材の育成についてですが、特にこれは、社会科学と自然科学では大学院に行くパーセンテージが全く違うわけで、この中で最後のところにそこの部分については書いてあるわけですが、特に企業との連携というのが書かれているので、先ほども申し上げたように、価値観を醸成していくということの中で、人文科学、社会科学が持っている重要性というのは非常に大きいわけですから、これは生涯教育でもいいわけで、そういったところで企業と大学が連携することが人材育成には必要だろうと思います。特に社会科学人文の分野で大学院に行く方は、イギリスなどと比べて圧倒的に低いという状況で、これをどのように変えていくかということは、非常に大事で、今のように市場メカニズムに任せるだけでは全くたちいかなくなってしまう。つまり、企業に入るには社会科学、あるいは人文科学の大学院に行くとむしろ就活で不利になるというようなこともあるので、それらも踏まえた上で企業、あるいは社会として、やはり、社会科学・人文科学は重要なのだというような形で人材育成を考えていくということが求められていくのではないかと思います。
 以上です。

【西尾分科会長】  貴重な御意見ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。今、課題解決の中で、自然科学だけではもう解決できない、人文学・社会科学系がむしろリーダーシップをとらないと、複雑な社会課題が解決できないという中で、その人材の必要性を強く打ち出して育成していくという流れを我々は作らなければならないと思っております。ありがとうございました。

【井野瀬委員】  私も余り参加できなかったのですが、見せていただき、データの問題、オープンサイエンスと絡む部分がしっかり描かれており、感謝申し上げます。私は歴史研究者ですけれども、歴史資料を探す先が随分変わってきており、オープンサイエンスの問題につながるデータの問題を入れていただいたことが今回の特徴だと思います。
 先ほどから出ている評価の問題、人材育成の問題とも関わるのですが、文部科学省の調査だったと思いますが、明らかにされているように、博士課程修了後にどこに就職しているのかという点で、自然科学系と人文学・社会科学系は大きく違います。人文学・社会科学系は圧倒的に大学。非常勤を含めて、ポスドクの割合より圧倒的に非常勤が、あるいは運良く常勤という場合を含めて、ともかく職場は大学が多い。と同時に、大学院博士課程の後の就職先が「不明」の場合、多くが無職、つまり研究活動を止めてしまっているということも明らかにされています。
そういうこと、つまり、大学院修了後、どこに就職して、どこに生きていく糧、生活の糧を求めているかを考えると、人文学・社会科学系の研究基盤を考える際には、大学という場の問題もくっついていることを、自然科学系や医学系以上に意識する必要があると改めて感じています。文部科学省内の担当部局は違うかもしれませんが、大学が抱えている問題と、人材育成のための研究基盤整備という我々が議論している問題とをつなげて考える必要があると思います。
 もう一点、この報告書の中に、「人文学・社会科学と自然科学の双方に通じた人材育成」という言葉が出てきました。人文学・社会科学のキャリアパスを広げる可能性にも、研究の問題と大学の問題はつながっていると思います。
 以上です。

【西尾分科会長】  どうもありがとうございました。いつも考えなければならない問題ですし、自然科学、人文学・社会科学というバウンダリーを考えて議論していてよいのかということにもなるのだろうと思います。今後、おっしゃったことを意識した記述を適切にしていかなければならないと思います。

【小安委員】  ちょっと違った視点になるかもしれませんが、この報告を読んでいると、例えば、Society5.0というような国の施策目標、それから、第5期の科学技術基本計画の現在、6期に向けた議論ということですね。恐らくそのうちの大きな意味で一部になっていると思いますが、第5期の科学技術基本計画にはきちんと、人文・社会科学と自然科学の知を総合的に活用して推進するというような文言が入っているのですが、実は、これの大もととなる科学技術基本法には、人文学を除くとかっちり書いてありますね。私が今仕事をしています理化学研究所も理化学研究所法という法律によって作られているのですが、そこにも人文学は除くとはっきり書かれています。ですから、我々が、例えば人工知能の問題で人文学の人とやろうとすると、結構これがハードルになったりするようなことがありまして、これをもう変えていただきたいと思います。面白いことに、調べてみると、韓国の科学技術基本法には、自然科学と人文・社会科学が相互に連携して発展していくのが望ましいとはっきり書いてあります。当然のことですね。ですから、今、こういう議論をするのであれば、やはり、そこら辺のところを考えていただきたいと思います。ほかのところでもこういう話題は出ていたと思いますが、改めて、今日この話題を伺って感じました。

【渡辺振興企画課長】  今、小安委員から御指摘がありました人文科学に関する法律の規定なんですけれども、これは、科学技術基本法であるとか、この間改正されました研究開発力強化法等で引かれているのが、人文科学のみに係るものを除くという、正確にはそういう規定です。つまり、今、委員がおっしゃったように、自然科学と人文科学、人文科学には社会科学も入るんですけれども、連携するものは当然やるんです。ですから、今の基本法の規定は、人文科学・社会科学も含む、それのみに係るものは行わないという整理になります。ただし、これについては、昨日開催されました総合科学技術・イノベーション会議の木曜会合というのが公開で開催されているんですけれども、そこで上山議員から、この時代の中でそういう規定はむしろ変更すべきであるという御指摘がありました。したがって、CSTIの方でも近い将来、その規定を改正するようなことは是非考えたいと言っていましたので、また改めて方向性等が決まってまいりましたら報告させていただきます。

【小安委員】  この「のみ」と書いてあるのが不思議ですね。
 それからもう一つ、この中で最後の人材育成のところが若干気になっています。二つ丸がありますが、どちらも、「人文学・社会科学分野の研究者の積極的な取組を期待するものである」「各大学における人文学・社会科学系大学院教育の改善・質の向上に向けた取組も期待される」となっていますが、これは何となく投げていませんか。余り具体性がないので、しかも最後に来る文なので、これで終わっていいのかなと若干気になりました。ワーキングの先生方はどう感じられるのでしょうか。

【西尾分科会長】  何か御意見ございますか。

【井野瀬委員】  おっしゃるとおりです。私も、最後のところに、学術会議に対しても「期待される」という言葉が出てきて、そこについて、「期待される」だと、今先生が言われたように、丸投げ感がないですかと指摘したのですが、メールでは「そういうことではない」とのことでした。けれども、やはりそのように読めてしまう。その部分については、先ほど言った大学との関係、大学という場を重ねる形で、少し違う書き方の方がいいと思います。ありがとうございます。

【西尾分科会長】  ここは書換えを行っていきます。それと、科学技術基本法の改定に関する意見が総合科学技術会議でも出たということで、非常によいきっかけになると思います。私としては、人文学・社会科学系に限定した議論は除く、というような記述がなされること自体が現代的要請に合っていない、と思います。韓国の例もおっしゃいましたけれども、自然科学系との区別なく審議ができるような形での改定を、近い将来というか、できるだけ早く実現していただくことが、第6期の基本計画のことを考えると、非常に重要なのではないかという気がします。またそのような観点での御尽力を局長の方でもどうかよろしくお願いいたします。

【磯谷研究振興局長】  皆さんも御案内だと思いますが、人文学というのは計画みたいなものに、必ずしもそういったものに包含されるのが適切じゃないという御意見もあって、当時いろいろ議論があった上での今そういう形になっているんですけれども、先生がおっしゃったように、いろいろな時代の流れとか、むしろコミュニティの側(がわ)からそうすべきだという御意見もあるのかもしれませんし、それは、議論はちゃんとした上で対応していく必要があるかなと思っていますし、これから検討というか議論は行われていくものと理解しています。

【西尾分科会長】  渡辺課長、貴重な情報の提供ありがとうございました。

【小林(良)委員】  最後の人材育成のところですけれども、これはやはり、学術振興会で行っているリーディング大学院博士課程教育のことを言及した方がいいのではないかと思います。それがないと具体性が見えてこないのですが、実際に今それをやっていて、その修了者は文系も理系もいますので、オールラウンド型では実際に半分以上が産業界に出ています、文系の者も含めて。だから、それを更に拡大なり、あるいは定着させるなりという表現であれば、より具体性が見えてくると思います。そういう意味で今それをやっているところがしっかりやれるというふうに読めばいいのではないかと思います。

【白波瀬委員】  日程が合わなくて一度もワーキングに出られなかったんですけれども、メーンのテーマが非常に重要であることはだれも否めません。ここまでまとめていただいたことについては感謝申し上げるとともに、人文・社会の振興といったときにどこに焦点を当てるかということもあるんですが、一般国民がこれを見たときに、あるいは現役の大学院生がこれを見たときに、まるで他人(たにん)事と思われないようなものになるとよいと思います。
 それで、お話もあったんですけれども、人文・社会系と自然科学との融合とか、両者を共によく知る者が日本において絶対的に不足しているというような記述がちょっと見受けられるんですけれども、確かに該当する人が現実にはすごく少ないと思います。科学のところでも日進月歩で物事が進んでいますので、専門分野の中での他専門との融合ということもあって、融合の中身をどういう形で出すのかということも含めて、少し議論した方がいいんじゃないかというのが私自身の感想であります。
 というのは、どういうことかというと、このたび人文・社会科学という分野での振興を謳(うた)ったそもそもの理由があるはずです。その歴史的な理由が、それが正しい認識のもと課題として設定されたのかは常に確認が必要で、総合的な日本の力を付けるためには、自然科学だけでは到底どうしようもないということだけは明らかです。具体的にそれは教養教育も含めてという足元の教育体制のところと、それぞれの分野を最先端で担うような若い人たちにどういうような場と指針を与えて、教育の出口のところでも大学という教育機関だけでなくて、もう少し広い形での就労機会が見える形で言及することができると良いと思いました。実際に若い人たちはそれを踏まえて大学院進学も考えているわけなので、そのあたりは、繰り返し何度か言っていますけれども、省庁の縦割りを超えたところでの人材育成ということが少しでも言及されると少しいいかなと感じました。

【西尾分科会長】  非常に本質的なポイントを言及いただきましてどうもありがとうございました。融合という言葉に関しては、両方溶けてなくなってしまうような感じになってはならないので、それらがうまく交差していく状況をどう作るのかということが重要だと思います。その辺りはもう一度記述を考えたいと思います。貴重な御意見どうもありがとうございます。

【庄田委員】  小安委員の最初の御指摘に関連しますが、私もワーキンググループに参加しましたので、一言コメントします。先ほどテーマになっていた「未来社会の構想において能動的に」あるいは「本質的・根源的な問い」とあるのは、例えばSociety5.0は先進的な技術あるいは自然科学が主導しているイメージがありますが、一体Society5.0とは本質的にどのような社会であるのかを人文学・社会科学の視点で、専門知を生かして能動的に考えていただきたいという趣旨のパラグラフです。

【西尾分科会長】  どうもありがとうございました。貴重な御指摘かと思います。

【井関委員】  一つ質問ですけれども、7ページの真ん中あたりの評価の二つ目の丸ですが、「海外の質の高い学術誌への投稿は掲載まで3年程度要することがあるが、それだけの時間等をかけて海外の学術誌で発表したとしても国内では評価されにくい傾向がある」というのは、具体的にはどういうことなのかが、私にはこれを読んだだけですと分からず、例えば、3年間の間、あるAという研究が全く世に出ていかないから認められないという意味であるのか、それとも、国際雑誌に論文を掲載しても評価されないということなのでしょうか。どのような想定がなされているのかが全く私には想像できないので教えていただけますでしょうか。

【西尾分科会長】  この書かれていることは確かなのですね…。事務局から補足していただけますか。

【春山学術企画室長】  ヒアリングの中で御議論がありましたのは、この3年間というのは、もちろん研究自体のことも含まれてのことなのかもしれませんが、どちらかというと、ジャーナルに出した後にウエイティングリストに載っているような状況もかなり時間かかって、それも含めて時間が相当かかるんだということで、そのこと自体というよりは、そうした時間をかけるような努力をしたとしても、それは国内で評価されないと。なので、時間がかかるから評価されないということではございませんで、時間がかかるというのは、その研究の中身というよりは、ジャーナルに投稿してそこがウエイティングリストに載る、載るまでの時間がかかるという話と、そうした努力をしても、国内ではそもそもそういった海外の努力が評価されないと、そんな議論だったかというふうに。

【西尾分科会長】  白波瀬先生、どうぞ。

【白波瀬委員】  若干誤解があるように思います。トップジャーナルに刊行されるということはかなり時間がかかりますし、ただ理系と、少なくとも私が知っているのは社会学、社会科学なんですけれども、研究自体のコンテキストのところで理系とは異なった形でのアクセプトの傾向とか材料があると思います。3年かかるというのは、投稿してから5名ほどのレビューアーを受けて修正し、採択されればそれはそれで評価されるということはあると思います。それを逆に過小評価すべきではないと思います。ただ、欧米の学術雑誌に掲載される場合が多くないのも現実です。言い換えれば、例えばアメリカのトップジャーナルに出た人が必ず旧帝大の先生になっているかというような形での議論をすると、必ずしもそうではなく、そのような形での評価には誤解がある。まあ、その議論の仕方自体もおかしいと思うんですけれども、そのような誤解もあるのかと。また、ウエイティングリストというのは誤解を招くので、ちょっとそれも違うかなと思いますけど。

【小林(良)委員】  3年というのは早い方かもしれません。分野によってはもっとかかるのですけれども、それの何が問題かというと、研究助成を受けるとします。科研費にしても、あるいは民間の財団からの助成にしても。ところが、それは一定の間に業績を出さなければいけないのです。例えば中間評価もあれば、事後評価もあります。しかし、経済学以外の文系ではその期間にパブリッシュされないわけです。そうすると、評価はゼロとなり、おまえは何をやっているんだということを民間の助成だったら当然言ってきます。今アクセプトされて全部査読も終わってウエイティングリストですと言って理解してくれるところもあれば、全然理解してくれないところもあります。だから、そういう意味で、期間の問題というのが事後評価等には当然関わってくるという問題があります。
 それから、もう一つ言えることは、インパクトファクターのピークが違うわけです。これは自然科学でも、例えば数学でしたら、かなり遅いです。だから、1年がピークの分野もあれば、3年がピークの分野もあります。経済学は出てから3年がピークですが、それ以外の社会科学だったら7年がピークで、哲学は本人が亡くなってからがピークという、そこのとり方です。3年のインパクトファクターと5年のインパクトファクターでとられると、ほとんどそれがゼロになってしまう分野もあります。だから、その辺の評価は、やはり分野によって変えて見ていく必要があるということ思います。

【井関委員】  ありがとうございます。でも、そうすると、ここの書き方は少し変えていただきたい気がいたします。

【西尾分科会長】  分かりました。

【井関委員】  自然科学系でいいますと、例えば、最初にサブミットしてから最終的なアクセプトまで3年とか5年かかってしまう論文もありますが、本当に誤解があったら大変申し訳ないのですが、その間ほかの研究をされて、それをテンポ良く、一流の雑誌ではなくてもいいから出していく、そういう戦略というのは人文・社会学にはないのでしょうか。

【白波瀬委員】  そういう戦略はあると思うんですけれども、少なくとも海外でのそれなりの業績を出すことが日本において評価されないという形で言われてしまう、それは違うと思います。今おっしゃったようにそういうふうに表現されると、非常に後ろ向きになるので、その点はちょっと誤解がないようにしていただければ。

【渡辺振興企画課長】  評価の観点、また記述ぶりについてはちょっと検討させていただきますけれども、特に人文・社会系の評価は我々が一番悩んでいるところで、これはいろいろな先生方に相談しても、自然科学の論文指標の評価自体もいかがなものかという点はあるんですけれども、それにも増して人文・社会科学の評価については我々も一体どうしたらいいか、よい知恵がなくて、そういう意味で、今、日本学術会議で議論されていることに物すごく期待しているんです。なので、是非、日本学術会議での検討が早く進むことを我々も期待しています。よろしくお願いします。

【西尾分科会長】  どうもありがとうございました。そろそろ時間が来ているのですが、どうぞ。

【鍋倉委員】  議論は大変貴重なものと思いますが、人文・社会系でよいと評価される基準は何か、生物系である我々には概念として捉えにくい。人文・社会系で評価されている具体的に分かるような例を書き入れてくれると専門外の方が理解しやすいと思いますが、いかがでしょうか。

【白波瀬委員】  とても難しいと思うんですけれども、そういう意味では、まず、人文学もサイエンスとは無関係ではありません。ただ、指標が標準化されているということは、基準値が一つのラインで決まっているとで、序列が分かりやすいということがあります。ただ、例えばどのジャーナルに刊行されているかということも、アメリカのジャーナルとイギリスのジャーナルとフランスとドイツってやっぱり違うわけで、そこの中での基準の標準化をどうするのかから始まり、おっしゃるように、人文・社会科学ということになると、指標が極めて多様です。これは言い換えれば、これから日本の教育自体がいくべき多様な基準ということにもつながると思うんですけれども、そこはバランスの問題があります。人文学は本じゃないと駄目なので、が中心になるから、ジャーナルなんて関係ないから指標が別だよと言ってしまうのも問題があって、議論が後ろ向きになるのではないかと思うんですけど。

【小林(良)委員】  社会科学は割と明確になっていまして、経済学にしても政治学にしても、日本経済学会、日本政治学会、あるいはアメリカ経済学会、アメリカ政治学会、そういうのを束ねるアンブレラの国際組織がありまして、そこで刊行する学術誌に論文が掲載されるということが一番。その次は多分アメリカの学会のジャーナルに出るのが評価されます。
 それから、書籍であればトップパブリッシャーというのがありまして、全部で十幾つかあります。日本の出版と事情は全く違いまして、物すごく競争が激しいです。原稿を送って実際に出版されるのは30件に1件ぐらいです。匿名の査読者が見てそれでチェックをしていきますから。で、そのトップパブリッシャーというのは、例えばアメリカだとユニバース・オブ・シカゴプレスが一番。米国で最初にできた大学出版会ですが、あとはケンブリッジ出版とかオックスフォード出版とか十幾つあって、そこで出版されるというとかなり権威があって、かなりいい大学に移れるということ。
 それから、セカンドのところへ出さないかというと、若い人たちはセカンドに出します。3年も自分の就職を待ちませんから、もうとにかく必要なので、どんどん出すと。しかし、もう大学の教授になっていたら、そこに出すことは逆にちょっと恥ずかしいという気持ちがあって、更に上を目指すということになっています。

【鍋倉委員】  出版社が評価指標であることは理解しました。自然科学系でも、よしあしは別として、掲載される雑誌が評価の指標になっています。人文・社会科学系として、長期スパンで考えた場合に、大きなインパクトとは何かを示していただけると専門外の方は概念として持ちやすくなると思います。

【小林(良)委員】  社会科学で大きなパラダイムチェンジを起こすというのは、例えば経済学で言えばケインズであるとか、あるいはハバーバスもそうですし、アマルティア・センもその1人かもしれません。それから、哲学で言えば、ジョン・ロールズがそうです。全員に共通していることは、ヨーロッパで教育を受けているということです。ジョン・ロールズはアメリカ人ですけれども、オックスフォードで教育を受けて正義論を出しました。ですから、やはりアメリカからは出てきていないです。どうしてもショートレンジで、とにかく手っ取り早くインパクトファクトを稼ぐとなると短いものを書いていく。大きなテーマを扱う研究はいつもヨーロッパから書籍の形で出てきて、それをフォローしているのがアメリカの社会科学というのが実情と思います。人文学はよく分かりませんが、私が知り得る範囲の世界での話になります。

【西尾分科会長】  先生の御質問から察するところ、今までの学問体系から見ると、パラダイムシフトを起こすような新たな研究領域が出てきたときに、それは非常に大きな価値あるものとして評価されるべきということだと思います。

【鍋倉委員】  だから、そういうものが今まで日本の歴史の中で、例えば例としてこういうのがありますよとか、大きなそれこそパラダイムシフトはなかなか難しいかもしれないから、もう少し細かいのでも、何かこういうことがありましたというところをやると、イメージとしてわきやすい。

【西尾分科会長】  分かりました。どうも時間が来てしまっております。第6期の基本計画のお話がございますけれども、今まで日本では、サイエンスというと発明・発見ということに特段の焦点が当てられているのですけれども、私はそれでは余りにも狭過ぎると思っています。つまり、新たな価値を創造するということもサイエンスの重要な役割だと思っていて、特に人文学・社会科学系は、その価値ということに相当深く関わっていく学問です。第5期科学技術基本計画で構築された超スマート社会における価値の創造などをどうしていくのかということを考えると、人文学・社会科学系が第6期の基本計画では大きな役割を果たすことができると考えています。そのようなことをきっちりアピールする中で、第6期の基本計画の上に明確に人文学・社会科学系の位置付けができ、先ほど来の事業を継続する上での予算を獲得しやすくなるという、良い循環をこの本分科会の議論から生み出していければと考えています。そういうことで何とか、今おっしゃったようなパラダイムシフトを起こせるようなプロジェクト、つまり、人文学・社会科学系が先導し、そこに自然科学系を巻き込むような枠組みを構築できる可能性があるのではないか、と思っております。
この中身のブラッシュアップにつきましては、当方の一任とさせていただきますので御了解いただければと思います。また、皆さんにいろいろ御相談申し上げたいと思います。
 それでは、次の議題に行かせていただきます。学術の振興に係る論点についてです。前回の学術分科会において今後の本分科会における議論の進め方について御了解いただき、それに伴い事務局において、委員の先生方から、今後、本分科会で審議していく論点等について御意見を伺い、整理をしていただきました。あわせて、平成27年の学術分科会からの報告でまとめられた主な審議事項に関する現状をまとめてもらっています。委員の皆様方には御協力いただきありがとうございました。それらの経緯又は整理いただいたものにつきまして、事務局より説明をお願いいたします。

【春山学術企画室長】  資料2-1が委員の先生方にお時間を頂きましてヒアリングという形で個別に頂いた御意見をまとめたものになっております。項目はある程度整理させていただいていますけれども、その意見のまとめ、ここでシェアしていただくための資料が2-1でございます。もう一つの資料2-2がそれに関連する現状のデータということで、ただ、どうしても27年以降ということになるとその現状がどこまで捉えているかということでは十分ではないものですけれども、一応参考にということで御用意させていただいています。
 資料2-1ですけれども、まず主な御意見ということで、非常に多岐にわたっておりますので幾つか紹介するような形で、御覧いただければと思っております。
 総論の(1)ということで、まず議論の進め方についての御意見を頂いております。一つ目といたしましては、平成27年の学術分科会報告、これはヒアリングをさせていただいたときにその内容を御紹介させていただきましたが、こちらにまとめられている視点は3年で大きく状況が変わるようなものではないということで、まずこれを基に、現状として進展のあったこと、あるいは課題としてまだ残っていることを整理して議論していくべきじゃないか、これは非常に多くの先生方から頂いたところでございます。
 二つ目ですが、こうした中、それを全てやっていくことが、なかなか今限界がある状況であるとすると、優先順位を付けるということですとか、取捨選択を行いながらどの課題に対して優先的に取り組んでいくのかという視点も必要じゃないかという御意見を頂いております。
 また、27年以降でいうと、例えばオープンサイエンスは、特に強くなっている、大きな動きとして捉えるべきじゃないかという御意見も頂いているということで、議論の進め方についてこのような御意見を頂いたところです。
 (2)は、ちょっと幅広に、学術についてということでまとめておりますけれども、27年報告では、イノベーションの源泉としての学術研究ということでまとめまして、また第5期科学技術基本計画の方にもそのような位置付けで記載されているところですけれども、そこでいうイノベーションということは分かりやすいという一方、その源泉としての学術研究という位置付けの陰に、社会における学術研究の様々な役割という視点が隠れてしまっているんじゃないかと、こういった御意見も頂きました。
 全ては御紹介いたしませんけれども、「挑戦性、総合性、融合性、国際性」という四つのキーワードを27年おまとめいただいていますが、そこに「独創性」というような、人と違うことを尊重するキーワードがあってもよかったんじゃないかということですとか、研究費に国費が入っている以上、その研究者も国や社会への貢献という視点を持つべきことは当然であるということ。
 次のページにいきまして、基礎研究は当然大事なんだけれども、その橋渡しが日本はなかなかうまくいってないんじゃないか、そのやり方はどういうふうにしていったらいいのかということでございますとか、先ほど人文・社会の方でもお話が出ましたけれども、学問分野の細分化という状況について、狭い分野だけじゃなくて学術全体を社会との関係で俯瞰(ふかん)的に見ることができる人を育てる必要があるというような御意見。
 それから、先ほど融合ということがございましたけれども、複数の領域を若い人が渡り歩いて育っていったときに初めて融合というようなことが言えるんじゃないかという御意見ですとか、日本は母国語で学問を学ぶことができる数少ない国だけれども、こうしたことのメリットをどういうふうにちゃんと可視化していくというようなことですとか、学術というと、イコール大学若しくは学会というふうに考えがちだけれども、それだけに捉える必要はないんじゃないかというようなこと、それから論文数が減っているということでは原因をしっかり探る必要があるということですとか、今、博士課程に留学生が入ってきておりますけれども、非常にこれは功を奏している部分もある一方、将来にわたる日本の学術研究の維持発展という観点では、また別のこととして考えていかなければならないというような御意見。
 それから、4ページにまいりますと、科学技術基本計画そのものについてですけれども、イノベーションを起こし続けることは大事だけれども、そのためにも学術の基礎的な研究が重要であるということや、学術がイノベーションの源泉ということのイノベーション側から見た視点じゃなくて、学術がイノベーションを引っ張っていくんだという視点も必要ではないかという御意見を頂いています。
 そして、5ページ以降が、平成27年のその報告に主に添った形でまとめ、項目の整理をさせていただいております。5ページ2ポツの1は、研究費について(デュアルサポートシステムの再生)ということです。
 ちょっと資料がかわってしまって恐縮ですが、2-2で現状のデータを整理しておりまして、資料2-2の3枚目を御覧いただきますと、基盤的経費と競争的資金の推移という3本の棒グラフがあるかと思いますが、これは下から、青色が国立大学の運営費交付金、緑色が私学助成、赤色が競争的資金で、その中の科研費ということも示しております。2004年度以降の大きな点としては減少ということになっておりますけれども、この報告が出たのが平成27年の2015年から18年ということについては、こうしたものは下げ止まっている状況になっているということでございます。
 そうしたことを前提といたしまして、資料2-1にお戻りいただきまして、この関連で頂いた御意見を紹介させていただきます。デュアルサポートシステムが十分に機能していると思わないけれども、財政状況を踏まえると、基盤的経費を増やすということはなかなか容易ではないんじゃないかというような御意見。そして、科研費の基盤Cが半分ぐらいになっているんだけれども、これが実質的には基盤的経費のかわりというような形になっていて、本来、科研費はもっと大型の区分を増やすべきだという御意見ですとか、また逆に、3割の採択率を今目標としてやっておりますけれども、そうしたことであるとおおむね一定レベル以上の研究者には途切れることなく採択される仕組みになっていて、大型の資金ということであれば科研費以外の競争的資金で頑張っていただく必要があるんじゃないかという御意見。
 それから、大隅先生の例を引いておりますけれども、大隅先生のこうした研究、最初の研究というのはトップ10%引用度のような論文には入ってないんだけれども、こうしたものは基盤的経費が支えたということで、運営費交付金の規模を戻すということが重要ということですとか、幾つか飛ばしますけれども、こうした研究費というのを、大学院生の教育効果というものも当然効果としてはあるわけですので、こうした研究費の措置に当たっては、少し教育効果というものも合わせて考えなきゃいけないというようなこと。
 それから、6ページにまいりますと、大型プロジェクトについて、これは余り大型にし過ぎてもなかなか使い切れないという問題がある一方、また、違う御意見では、その規模が大きいとゆとりが生まれて、いろんな遊びとかゆとりが出てくるので、人材育成という観点でもメリットがあるんじゃないかという御意見も一方ではありました。
 それから、デュアルサポートということで、基盤的経費、競争的資金ということで言っていますが、産業界の支援も含めてトリプルサポートというようなことで、そうした視点、その三つ目としてトリプルサポートというような全体感を持って考えていくということが必要なんじゃないかと。
 それから、地方大学の規模が縮小すると、アカデミア総体として人材育成というのが縮小していくために、そうしたバランスも考える必要があるということ。
 それから、6ページの最後では、研究者を目指して博士課程に進学することを忌避する傾向が顕在化しているということで、この背景にはデュアルサポートシステムの機能不全があることも27年以降でより明確になっているので、デュアルサポートシステムということを考えるについては、この視点も重要になってくるという御意見です。
 それから7ページにまいりますと、研究人材ということで幾つか御紹介をさせていただきます。その前に、また資料2-2を御覧いただきますと、10ページにグラフになっておりますが、博士課程の入学者数の内訳ということで、この全体の高さが博士課程入学者数の総数となっておりますけれども、上の緑色の部分が留学生、真ん中の灰色の部分が社会人、そしてそれを除いた部分が青の部分でそれ以外となっております。社会人学生が増えている、これは、1年社会人としてまた戻ってくるというパターンでもここにカウントされますため、この受ける印象とは若干厳密な意味では違う部分もございますけれども、全体数としては減っていく中で社会人が増えていて、青色のそれ以外が減っている、全体としてはそういう状況にあるということを前提とした上で、また資料2-1に戻っていただきまして御意見を御紹介させていただきます。
 従来から言われていることでございますが、研究者になろうかなるまいかといった段階にいる人たちが、先輩研究者の状況を見て、研究者になるメリットを感じることがやはりできなくなっている。その人数の減少に応じて、優秀な人が来るということが減っているということが問題であるというようなことですとか、そうしたことの一つの対応として、国際的な人材確保ということや女性の活用というようなことですけれども、そうしたことについては基盤的に、広い意味で社会というレベルで整理することもまだまだあるというようなことですとか、それから、日本の博士課程で安い賃金で博士課程学生を雇うのは、働かせるのは日本ぐらいだということで、学生時代から経済的な自立を含めて支援していくことが重要であるということで、また資料2-2を御覧いただきますと、12ページ、これはそんなに新しくないデータですけれども、博士課程学生の経済的支援の状況ということで整理してございます。科学技術基本計画の方で、2割の博士課程の学生が年間180万円以上の生活費相当の額を支給するという目標になっておりますけれども、2015年の段階では、円グラフで赤の枠で囲っている9.6%ということで、これはアンケート調査なので悉皆(しっかい)調査のような正確な数値ではありませんが、まだ十分ではないということです。
 また資料2-1にお戻りいただきまして、続きのところではキャリアパスということで、企業に博士号取得者を採用すること、これも昔から論点でございますけれども、そうしたことを実効的に促す政策というのが何か考えられないかということですとか、また、これだけ社会の変化が早い中で、基礎的なことをちゃんとしっかり学生に教えていくということが、研究者としても、それから社会に出ても、どの分野でも活躍できるような人材を育てるということにつながると、基礎的なことをちゃんとしっかり育てることの重要性というのが高まっているというような御意見です。
 それから8ページにまいりますが、こうした問題に複雑な要因が重なっているので大学だけで解決できるようなものではないということですとか、大学の学生定員との関係でいうと、学生定員が変わってないということの中で、学生も多様化していて、学生に対するケアというのもいろいろ増えているということです。
 それから、若手研究者の活躍促進ということでは、教授から離しただけで自立できるというわけではないので、ちゃんと自由に使えるような研究費を措置する。それから、研究費で雇用されている研究者についても、自主的な研究をちゃんと行う余地を残すということが重要ではないかと。他方、研究費を支援することだけが研究者養成ではないと。若手を育てるシニア層や中間層に時間や資金が不足していることの影響の方が大きいんじゃないかという御意見。
 それから、日本人が海外に出ることについては、戻ってくるというところになると、結局のところはポストの問題があるということですね。
 そして、9ページにいっていただきますと、若手研究者の支援が重要と言われていますけれども、シニアの研究者は経験もあり研究を俯瞰(ふかん)的に見ることもできるということで、そうしたシニアの研究者が活躍できるような仕組みがあってもよいのではないか。
 それから丸3の女性のところでは、女性の活躍がないと、今、いろいろな層ということでいうと、学術界は厳しくなるということですが、こうした女性研究者の支援も、研究費のサポートよりもポストやカルチャーといったいろんな幅広い意味での環境整備が大事なんじゃないかと。
 それから丸4といたしましては、研究推進に係る人材の充実・育成ということで、ちゃんと研究をサポートできる技術職員が必要。それは研究の大型化、高額化の中でそうしたことが必要だということ。橋渡しに関する人の措置や、研究者一人一人が教育、研究、情報発信を全てやるところがどこまで現実的なのかということで、そうしたことを分業する、あるいは時間の中で分けていくようなことも考えるべきじゃないか。
 それからアカデミックの、いわゆる研究者としてのキャリアとアドミニストレーターとしてのキャリアをちゃんと分けて考える等々の意見を頂いております。
 それから、5といたしまして研究時間の関係ですね。先ほどちょっと御紹介申し上げましたところと同じになりますが、教育、研究やそれ以外の社会貢献等々ございますけれども、そうしたエフォートの分担を、人の間、若しくは同じ人の中でもキャリア、時間の中でどういうふうに分けていくかということも真剣に考えなくちゃいけない。その際には教育の専門性をどういうふうに必要にするのかという問題も出てこうということですとか、それから、どこかで不正が起こると全員に厳しいルールが課されるという傾向にあるので、コンプライアンス関係の取組ですね。必要なことであるのだけれども、必要以上に大きな時間を要している面があるんじゃないかと。
 それから11ページにまいりますと、国際的なネットワーク活動の促進ということで、国内に国際的な研究拠点を形成していくことが重要であるとか、海外では留学も含めた意味での戦略的な人材育成をしているんだけれども、その戦略的な人材についても十分ではないという御意見ですとか、先ほどの人文・社会科学のところでもありましたけれども、日本は日本語で学ぶということができる数少ないうちの一つなので、こうしたメリットをどういうふうに可視化していくかということも重要な視点であると。
 丸2の共同利用・共同研究関係では、今の研究は大型化・高額化・高度化しているということですけれども、こうした中で本当に大型のものを共有できる環境基盤は日本にはまだないので、大学共同利用機関の存在が重要であるということですとか、大学共同利用機関に対して、新しい技術が出たり技術の進展が早いということに対して対応することを期待する。ただ一方、施設の老朽化が著しく進んでおり、こうしたことをどうにかすると、様々な方法をしているがなかなか限界があるために、今の枠組みを超えた統合や強い権限を持つ連携法人の必要性についても検討すべきであるということ。
 また、3の学術情報基盤の充実ということでは、Society5.0はデータが一番の中心となるが、そうしたデータ活用型が普通の社会になっていくわけですけれども、これは学術の面においてもそのデータをどういうふうに安全に使えるようにするかということ、それはオープンサイエンスを進めるということですけれども、そうした学術の諸分野のやり方というか、エビデンスなりデータなりの使い方という性格自体が変わっている中で、データをどういうふうに使えるような形にするのか、データがない分野でどうデータを作っていくのかということが重要になってくるという御意見です。
 それから最後13ページ、人文・社会科学の振興。人文・社会科学の研究者が自然科学の研究者やステークホルダーと連携して、未来の社会像を打ち出していくということですとか、ただ一方、先ほど御発言も頂きましたけれども、人社の研究者が自然科学の研究のプロジェクトに付随しているような状況になってしまっていて、人社の研究者がリーダーシップをとれるようなことが期待されるということですとか、また、人文学・社会科学においての国際化、それから評価ということについても、この中でも御意見を頂きましたところでございます。
 駆け足で御紹介させていただきましたが、ヒアリングの中で頂いた意見をまとめたつもりでございますけれども、もし拾えていないものがあればこの場で御発言いただきたいと思っておりますし、これは御意見ということで頂いたものでございますが、こうしたものを次期に向けてどういうふうに議論していくのかというところで、またここで、このシェアしていただいた意見を基に御議論いただければと思っているところでございます。以上でございます。

【西尾分科会長】  御説明ありがとうございました。頂いた御意見の各々の項目につきましては、各委員がどの項目の御意見をおっしゃったのか、という情報を私は見せていただいたのですけれども、実を言いますと、複数名の方々が同じ項目について言及なされております。ですから、ここに書かれていることは、皆さん方が共通して問題意識を持っておられる項目だということで捉えていただければと思います。
 これからの議論ですけれども、この期の学術分科会は来年の2月で一応閉じて、次の2年間の新たな期に入っていきます。ですから、ここに書かれていることが今までの問題点ですので、そのことが今どうであるべきというような議論をずっとしていくことよりも、日本の科学技術・学術政策として次の新たな期の2年間でどういうことをより掘り下げて議論して、その審議の結果をどう政策に打ち込んでいくのかという観点で御意見を頂きますと非常に有り難く思います。そのような観点でいろいろ御意見を頂ければと思います。
 何かございませんか。

【亀山委員】  文学者である私から言うべきことかどうか迷うところがあるんですけれども、素朴な疑問として世界大学ランキングがございます。1,000位以内に日本は数的に非常に多いということが明らかになって、しかし、トップレベルのところに非常に沈下しているという状況があるわけですよね。全体にこうなって厚みができたけどという。それはどの程度の信憑(しんぴょう)性があるか、とりわけ研究という側面における世界的な日本の大学の評価ってどうなっているのかということがはっきりと見えてこないので、できればこの学術分科会、次の期の人たちにおかれては、世界の大学における日本の大学という観点から、全員の委員の方々がその問題意識を共有しつつ、いかにして一つブレークスルーは可能かといった議論をしていただければなと思います。

【春山学術企画室長】  事務局から御報告漏れがございまして失礼しました。机上配付資料で、冒頭に御紹介いたしました鎌田先生から頂いた資料でございます。二つ目の議題の一つとして頂いておりますので、ここで御紹介させていただきたいと思います。
 こちらの資料1でございますけれども、関西の4大学の学長の先生方が先月におまとめをいただいた共同提案ということでございます。タイトルにございますとおり、電子ジャーナル購読の危機状況に関する共同提案ということで、これは問題としては既に先生方も御認識のところですが、電子ジャーナルの価格上昇が恒常化しており、これが様々な面で学術情報へのアクセスの限定ということで影響が非常に多いということで、4大学として大学図書館コンソーシアム連合の活動を通じてプライスキャップの設定を求めるなどの努力もしてきたということですが、こうしたことがここの大学のグループでは解決が難しい国家的規模の緊急事態であると認識するということで、文教・科学技術を所管する政策当局に対して強い危機感を表明しますという形で、この文章の紹介をしていただきたいということで言付かっておりますので紹介させていただきます。

【西尾分科会長】  どうもありがとうございました。今、亀山先生から御指摘いただいた点は非常に重要な観点かと思いますし、次の期で各委員が頂いた御意見に関して知恵を絞って考えていくという方向性は非常に貴重なものだと思いますので、今の御意見は真摯に受けとめて対応していきたいと思っております。
 それと電子ジャーナルのことで今お話がありましたが、喜連川先生が委員長を務められている学術情報委員会では関連する議論はあるのでしょうか。

【喜連川委員】  御指名ですのでお答えしますが、きょう、丸山室長もおいでになられてますのであれですが、電子ジャーナルそのものについての議論はほぼすべてなされてきたところではないかと認識しております。要するにオープンアクセスジャーナルにしようが、全体として企業の利益は変化しないだろうというところです。むしろ、情報学委員会の中でやっておりますのは、これと同じことがデータの世界で起こり始めようとしており、それをどうブロックするかということです。ジャーナルはビジネスとして、もう既にかなり出来上がってしまっており、各国この課題に対しての反発は物すごく大きいものが出てきているわけですが、小生は一旦できてしまったものを動かすのはなかなか難しいと感じております。そうならないように、じゃあデータをどうするかということです。
 ちょっと先ほど手を挙げる機会が与えられなかったのでちょっとだけ申し上げておきますと、今申し上げました学術情報委員会の中でヒアリングしております中で、一番すがすがしいなと思いましたのは、人文・社会の方からヒアリングをしたときに、人文・社会、要はデータを整備する、資料を整備することが非常に高い業績として認められるとはっきりおっしゃいました。理工系の中でそんなことをおっしゃった方は誰一人いないです。そういう意味でいうと、その評価基準というものはもっと高邁(こうまい)なところに設定されておられて、先ほどのまとめのところにそれが入ってなかったのはちょっと残念に感じました。逆にそういうものをもっと広い領域に広げながらこのジャーナルにかわるデータの問題に対処できればいいんじゃないかなと考えます。以上でございます。

【西尾分科会長】  どうもありがとうございました。今、喜連川先生が最後の方でおっしゃった人文学・社会科学系の振興に関することは重要だと思います。その記述を適切にしておくということと、次の期でも、オープンサイエンスということと絡めたデータに関する諸課題についての議論をしていくことは必須だと思っております。事務局にはそのような扱いでよろしくお願いいたします。
 ほかにございますか。

【小安委員】  今のジャーナルとデータの話題ですが、大学図書館コンソーシアムに国立研究開発法人の図書館は入れていただけません。我々にとって大問題で、ずっと昔からそれはお願いしているのですが、なかなか……。データの世界で同じようなことが起こらないように、是非きっちり考えていただきたいと申し上げておきます。

【西尾分科会長】  貴重な現況をお知らせいただきまして、感謝いたします。頂いた案件に対して、よりオープンに考えていく必要があるかと思っています。ありがとうございました。
 ほかにございますか。これまでに頂いた御意見を踏まえて、特に次期において深掘りして議論していくべきだということがございましたら、どうぞ。

【栗原委員】  今のジャーナルのことですが、今までも何回もいろんなところで出ていると思うのですけれども、その議論が進まない理由って多分あるのだと思いますが、それはもうエスタブリッシュしてるからというのが単純な理由なんでしょうか。

【西尾分科会長】  喜連川先生、どうぞ。

【喜連川委員】  こういうややこしい問題の場合だけ、私の目を見られても困るんですけれども、これちょっと議事録に残すかどうかは別として、今のビジネスの微妙に生じているシフトについて申し上げますと、他人の書いたものを、つまり他人の作ったコンテンツをディストリビュートする、これをITで非常に効率よく行うことによって新たな世界を開こうというビジネスが沸騰しています。論文の市場は大きいように見えるんですけれども、全体のコンテンツマーケットからしますとそれほど多くないわけです。グーグルがやっているビジネスもそういうふうに見えます。ほかの人の書いたホームページをアクセシブルにしています。フェイスブックもそうです。ほかの人が書いたエモーションをアクセシブルにしています。アイチューンズもそうです。これは著作権問題を管理しながら、いろいろな方がお作りになられたミュージックというものを使えるようにした。こういうのを総合して、いわゆるコンテンツプラットフォームビジネスと呼ばれているわけですね。非常に便利で一旦寡占状態になってしまうと手が打てません。もう独禁程度しか法規制を入れることができないということで、ヨーロッパはGDPRを考えています。
 そんな中で、我々、次どう動くかということを考える必要がございまして、これはまた、小安先生も甲斐先生も含めて、いろいろな先生方がサイエンスの中での固有の実験方法がおありだと思いますが、大きな流れとして、ウエットからドライにシフトしていっているということと見ています。これはもう否めない世界の変化ではないかと思います。つまり、本当にウエットに接する人間の数というのはディミニッシュしているはずですね。例えばCERNに、LHCに本当に行っている先生の数よりも、そこから出てきたデータで論文をお書きになっている先生の方がずっと多くなってきていますね。ということはどういうことかといいますと、ドライの基盤をどれだけしっかり国家として作るかということが全てになってくる。
 こういうこととオープンサイエンスという言葉がちょっとワン・トゥ・ワンに必ずしも見えないところが若干ミスリーディングなんですけれども、情報研として見ますと、人文も、あるいはライフサイエンスも、ありとあらゆるサイエンスをかなりデータドリブン、これはデータサイエンスという言葉を今言っていますけれども、西尾分科会長もご存じのように、この言葉そのものはもう10年以上前から出てきている言葉なわけで、新規性はありませんが、そういう大きな流れの中に我々がまずいるんだということをお感じいただいて、私は第6期に関しては、ジャーナルの問題は喫緊のお金の問題なので重要なんですが、もうちょっと底流を見たときにはウエットからドライというのが非常に大きな変化として意識する必要があるのではないかなと感じております。また違和感がございましたら、御批判をいただければありがたいと思います。

【栗原委員】  ウエットからドライと言われたので。でも、ウエットなサイエンスがなればデータも出ない分野も多いので、CERNは別として、余りそういう表現でないような、何かいい表現を作っていただけるといいなと思いました。

【喜連川委員】  ノーベル賞をとられる前にファーストプロジェクトで私は山中先生とパネル討論会をしましたけれども、山中先生もおっしゃったのは、自分が奈良先端にいるときはずっとネズミの世話ですということをおっしゃっておられて、その部分を全然否定しているような今発言に聞こえたとしましたらすごく失礼なことでちょっと謝罪をしないといけないかもしれないんですけれども、ただ、研究者のエフォートのポーションがどんどん動いている。例えばX10と呼ばれています次世代シーケンサにしましても、あれを一番たくさん持っているのは中国で、とても高価で、そこから出るデータが科学のドミナンスになっているということは、この近くの先生方は強くおうなずきいただいているわけですけれども、否定することは容易ではなく、ウエットからドライじゃないとして、どういう表現にすればいいのかは、知能指数が低いのでよく分かりませんので教えていただけますと幸いです。

【栗原委員】  考えてみます。でも、今聞きながら思ったのは、先ほどの四つの中に、更に独創性を入れるというのが大事ではないかという先ほど御提案がありましたけど、そういう言葉を入れていくのは必要ではないかと思いました。

【西尾分科会長】  どうもありがとうございました。今頂きましたのは本当に貴重な議論で、決して我々は喜連川先生のおっしゃったことを誤解はしておりません。科学技術・学術振興ということを考えたときに、ウエットからドライへという大きな流れが現実に起こっていることを踏まえて、日本ではむしろその変化を先取る必要があると思います。どうもありがとうございます。是非これも議論していきたいと思います。

【安西委員】  省庁再編以前から、人文・社会科学系の若い研究者と自然科学系の研究者が泊まり込みで議論するのをサポートしていただいていた時期がございましたが、そのときにも同様のことが言われておりました。もう何年も同じことがずっと言われておりまして、それを超えるには、データの問題もさることながら、人文学・社会科学もそれぞれの分野で研究の方法論が非常に違うので、研究の方法論が違う方々が集まって議論をするだけではなくて、やはり違う研究方法論を1人で身に付けている人材を育てていくということを是非本格的にやっていただけないか。文理分断からの脱却ということが本質的には必要になるのではないかと思われます。私の経験でも、方法論あるいは思考の仕方自体が文理で異なるので、それを両方身に付けている人を1人でも多く育てていっていただかないと、どうしても議論が常に繰り返しになるような気がいたしますので、非常に本質的なことで申し訳ございませんが、申し上げておきたいと思います。

【西尾分科会長】  今後の、特に高度な人材育成というところにも今の御発言が非常に関連してくるかと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。まさに長らく言われていたことながら、現実的にそういう人材が本当にいないと、世界の課題が解決していかないという状況になっているのだと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 ほかに御意見ございませんか。永原先生、いかがですか。

【永原委員】  今ここで議論されているようなことは、全て正しいことなのですが、余りに膨大ですし、今既に安西先生からも御指摘あったように、長く指摘され続けて、しかし、日本の研究者コミュニティ自身は残念ながら自らほとんど変わることができずにずっと来ているというのが現状なのではないかと思います。
 なぜそういう問題に直面しているのか、突き詰めると、私は、大学の教育システムそのものにあるのではないかと思います。もしかしたら高校や中学までさかのぼらなくてはいけないかもしれません。確かに新しいものはどんどんできていますが、基本にあるものはほんとに何十年前と全く同じ仕組みのままで、新しい融合的なものができてきても、片方で非常に古典的な部分が全く変わらないまま存在しつづけています。それは中学校、そうでないまでも、高校のときから人文・社会系と理工系は初めから受けている教育も違います。もっと先になって最先端を勉強しようにも、若いときから、特に大学において、初めから専門に特化した教育が長年積み重なっているのが今の日本の現状なのではないかと思います。
 私の個人的経験で申し訳ありませんけれども、あるとき私の研究分野でイギリス出身の研究者で非常に優れてると思う人がいたわけです。聞いてみると、彼らは大学時代に必ず二つのコースを勉強してきたというのです。日本の大学で言うと二つの学科を経験しているに近いわけです。物事を理解するに当たり、どこまで立ち戻って考えることができるかという点において、私たちと違うなと感じるものがありました。
 このようなことを考えると、今ここで議論してるようなことを、またこの繰り返しをやっても恐らく新しいものは出てこないので、もっと根本的なところに立ち返って議論する必要があるのではないでしょうか。それは例えば若手支援の問題を考えるときにここでだけ議論していても駄目で、大学や日本全体における研究費、政策とか人材育成のシステム全体を議論しなくては駄目だというような問題と通じるものがあると思っています。これだけたくさん議論すべきことが並んでいるということは、すなわちこれ以上幾ら議論しても恐らく同じような議論の繰り返しになってしまうのではないかという危惧をもたざるを得ません。感想だけで申し訳ありませんが、そろそろワンステップ上の議論をしなくてはいけないのではないかと感じているところです。

【西尾分科会長】  この委員会の議論の内容をパラダイムシフトしていかなければならないということで、おっしゃったのだと思います。委員会の期をまたぐときにも、双方の期で同じ課題が繰り返されるのですね。そうなると、今、永原先生おっしゃったことは、その繰り返しをよりメタなレベルで考える、あるいは根源的なところにもう一度戻っていくというようなことぐらいのシフトをしないと、委員会の議論としてもなかなかブレークスルーが起きないのではないかという御意見として、我々は真摯に受けとめる必要があると思います。そのようにまとめるのは易しなのですけども、実行するのは結構重いことですね。どうもありがとうございました。
 そうしましたら、事務局から説明いただきましたいろいろな課題、これはもう皆さん方が共通して感じておられる現在における様々な論点だと思っております。それに加えて、今頂いた議論を生かして、次の期にどういうことを我々は焦点を当てて議論していくのかということを考えた上で、1月18日にもう一回委員会がありますので、その方向性について提示して、それで次の期に向かっていくというマイルストーンでよろしいですか。科学官の方もせっかく御出席いただいておりますので何か御意見等ございませんか。よろしいですか。委員の方で、これだけは何としてでも伝えておきたいという御意見等ございませんか。
 それでは、本日これまで頂いた議論を踏まえまして、もう一方の人文・社会科学の振興の在り方に関しての審議まとめの内容の改定をしていくということと、それから、学術の振興に係る論点につきましても再度内容を精査するということで、今後進めてまいりたいと思っております。局長の方から何か御意見等ございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、時間となりましたので、本日の議論はこれにて終了させていただきます。
 事務局より連絡事項等ございましたらよろしくお願いいたします。

【春山学術企画室長】  資料3に記載しておりますとおり、次回は1月18日の、時間は同じ1時半から予定しております。
 本日の議事録についてはまたメールでお送りしますので御確認をお願いいたしますということと、あと最後の議題2の関係で、我々もまた考えていきますが、先生またお気付きのことございましたら、メール等でもいろいろな御意見をお寄せいただけたらと思っております。

【西尾分科会長】  それでは、今後の審議の内容、次期の期における審議の内容等につきましては、またいろいろ事務局の方からも問合せをさせていただきますので、御協力いただければ有り難く存じております。本日は、貴重な御意見また貴重なコメント等多々頂きましたこと、心よりお礼申し上げます。
 これで閉会いたします。ありがとうございました。

  ―― 了 ――


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(文部科学省研究振興局振興企画課学術企画室)