資料2 提言・報告書等において示されたオープンサイエンス推進にかかる指摘事項

事項

我が国におけるオープンサイエンス推進のあり方について~サイエンスの新たな飛躍の時代の幕開け~
〔内閣府 国際的動向を踏まえたオープンサイエンス検討会〕(平成27年3月30日)

第5期科学技術基本計画
(平成28年1月22日 閣議決定)

学術情報のオープン化の推進について
(審議まとめ)
〔文部科学省 科学技術・学術審議会
学術分科会学術情報委員会〕
(平成28年2月26日)

オープンイノベーションに資するオープンサイエンスのあり方に関する提言
〔日本学術会議 オープンサイエンスの取組に関する検討委員会〕
(平成28年7月6日)

科学技術イノベーション総合戦略2017
(平成29年6月2日 閣議決定)

G7科学技術大臣会合コミュニケ
(平成28年5月(つくば))
(平成29年9月28日(トリノ))

オープンアクセス・
オープンデータの定義

○定義の明確化による共通認識の醸成に努める。






著作権・知的財産

○ 研究成果の利活用促進の上で避けては通れない著作権の問題について取り組む。

○ 大規模データセットの所有権の定義、とりわけ医療記録や生体記録など特定のクラスのデータに関連するプライバシー、機密性又はセキュリティの問題に対応する。

○ 学術誌出版会への対応(出版社や第三者機関に預けるのか、自前(日本)で管理するのかという公的な知的財産の保有ルール)について整理する。

○ 公開されたデータや情報の権利関係(ライセンス)を明確にし、また永続的保存や提供サービスに関しての制度づくり・責任体制の議論が必要である。※

○ 将来に向けて持続的なオープンサイエンス制度として自立できるよう、組織的なデータ利用をライセンス化するなどのビジネスモデルの創出(著作権制度などのイメージ)が必要である。※

○ 共有すべきデータは、知的財産戦略を含め、総合的に検討を行うことが必要である。※

○ 学協会等における著作権ポリシーの公開に向けた取組や運営・促進するのに必要な資金の制度化が必要である。※

○ データへのアクセスやデータの利用には、個人のプライバシー保護、財産的価値のある成果物の保護の観点から制限事項を設ける。

○ 国益等を意識したオープン・アンド・クローズ戦略及び知的財産の実施等に留意する。※

○ 研究データへのアクセスや利用には、個人のプライバシー保護、財産的価値のある成果物の保護の観点から、制限事項を設ける。

○ オープンアクセスにおいて許容される範囲を超え、別途著作権処理が必要となる利用についても、利用者が権利処理に負担を感じないで利活用できる仕組みを設ける。

○ 学協会及び大学は、その刊行する学術誌に掲載される論文について、著作権の帰属や利用条件(エンバーゴ、許諾する利用の範囲及び許諾に係る手続等)などの著作権ポリシーを明示する。

○ 論文のエビデンスデータを搭載する機能や論文とデータを関連づける機能を有し、大容量化するデータを格納できる共用プラットフォームが必要である。あわせて、この構築のためには、メタデータの標準化や格納対象とするデータを規定するデータ格納ポリシーの策定等を進める必要がある。※


○ 国益や知的財産の実施等に留意する。


研究者及び科学コミュニティに対するインセンティブ

○ これまでデータを作成し、他の研究者に提供・利用できるようにする活動は、論文投稿に比して、十分に評価されてこなかった分野も多いため、政策誘導として、研究者及び科学コミュニティに対するインセンティブを高めオープン化に対する努力について評価する。

○ 研究者に対するインセンティブ、例えば、高品質なデータを提供した研究者に適切な報酬(助成金や昇進機会)を与えるなど、成果に見合う処遇の仕組みを設ける。


○ アクセス可能となった研究データの利用者は、論文などの引用と同じく引用元を明らかにする義務がある。この引用により、データ作成者の貢献が記録され、業績として評価することを、大学等及び研究者コミュニティにおいて共通に認識し、実行していく必要がある。

○ データ生産者及びデータ流通者は、従来の業績評価方法である論文や特許などの形で研究業績を残すことができないことから、インセンティブや評価の手法を我が国でも積極的に取り入れることによって、データ生産者やデータ流通者が研究者としてのキャリアを形成できるようにすべきであり、またそのような人材を組織的に育成できるよう、文部科学省は制度的・組織的な対応を進めるべきだ。※

○ 各国と連携して研究者・専門家の評価、オープンデータを広めるためのインセンティブ及び人材育成等の国際的なルールメーキングに対応していくことが必要である。※

○ オープンサイエンスに関する作業部会を設置して、OECDやRDAといった国際機関等との連携を視野に入れたオープンサイエンスのポリシーの共有、インセンティブの仕組みの検討、公的資金による研究成果の利用促進のための優良事例の特定を行う。(つくば)

○ 研究エコシステムのオープン化に対するインセンティブ:研究者のキャリア評価には、オープンサイエンス活動に対する十分な理解と報酬があるべきだ。(トリノ)

インフラ整備

○ 研究データを記述するメタデータ、データを処理するアルゴリズム、オンラインインフラ等の整備が不可欠である。データの品質管理とともにメタデータとも関連づける必要がある。

○ オープンサイエンスの推進のルールに基づき、適切な国際連携により、研究成果・データを共有するプラットフォームを構築する。※

○ 論文のエビデンスデータを搭載する機能や論文とデータを関連づける機能を有し、大容量化するデータを格納できる共用プラットフォームが必要である。あわせて、この構築のためには、メタデータの標準化や格納対象とするデータを規定するデータ格納ポリシーの策定等を進める必要がある。※

○ 公開されたエビデンスデータの利活用を促進するため、各データと論文情報等との統合的な検索や、分野別のデータ検索が可能となるシステムを整備する必要がある。

○ 研究データ基盤の整備に当たっては、研究データが集積することの重要性に鑑み、研究データを的確に保存し活用していくためのプラットフォームの整備が重要である。

○ 基盤の整備については、国際的な協調を図っていく視点も重要である。※

○ 内閣府及び文部科学省は、これらの課題を解決する研究データ基盤を戦略的かつ早急に整備すべきである。

○ 大学等と国研が連携し、知識型社会における産業集積の中核となる最先端のインフラとして、超高速かつセキュアで高品質なデータプラットフォームとネットワークを国際的視座から整備することが重要である。※

○ 適切な国際連携の下、コスト面、研究者等の負担にも配慮し、既存の機関リポジトリを活用するなど、研究成果・データを共有するプラットフォームを構築する。※

○ オープンサイエンスが有効に活用され、全ての人がメリットを享受できるようにするために、国際的な協調や連携を推進して、デジタルネットワークの整備、人材の確保など、適切な技術やインフラを整備する。(つくば)※

○ 研究データの最適利用のためのインフラ:すべての研究者が分野横断的かつ国際的スケールでデータを保存し、アクセスし、解析可能とすべきだ。研究データの管理についてはFAIR原則を支持する。(トリノ)※

研究分野の特性に
対する配慮

○ 研究分野によって研究データの保存と共有の作法に違いがあることを認識し、特性に応じたルール作りが必要である。

○ 大学・研究機関等が新規性のある実験や装置で取得する研究開発目的のデータと行政データとして整理・公開が行われる可能性のあるデータが混在する分野もあることの認識が必要である。

○ 研究分野によって研究データの保存と共有の方法に違いがあることを認識するとともに、国益等を意識したオープン・アンド・クローズ戦略及び知的財産の実施等に留意する。※

○ オープンデータについては、研究分野により取組に違いがある。研究者コミュニティ及び関係機関においては、その意義を共有し、国際的な動向も踏まえ着実に取組を進めることが求められる。※


○ 研究分野や研究コミュニティの特性に応じた検討も必要である。


オープンサイエンスの
ためのスキル

○ 研究者が論文又はデータをオンラインでオープンに共有するために必要なスキルが偏在している。

○ オープンサイエンスを実現するために必要なスキルを開発するための訓練・教育が必要である。






データ駆動型の研究をサポートするサービスを企画、開発、運用する人材の確保・人材育成

○ 大学・研究機関等においては、技術職員、URA、大学図書館職員等を中心としたデータ管理体制を整備できるように、データサイエンティストやデータキュレーターなどを研究支援人材として位置付けられるよう包括的な人材育成システムを検討し、推進することが必要である。

○ 科学技術分野ごとに異なるデータの属性、管理手法、利用者(特定のスキルの有無)、利用局面等を理解できる人材の確保(データサイエンティスト、データキュレーター)が必要である。


○ 広く情報通信分野の人材育成に取り組むとともに、研究者の支援に係る専門人材についてもその育成が急務である。特に、研究データの公開と利活用を促進するためには、研究データを専門的に取り扱える人材の育成が必要である。

○ データ生産者及びデータ流通者は、従来の業績評価方法である論文や特許などの形で研究業績を残すことができないことから、インセンティブや評価の手法を我が国でも積極的に取り入れることによって、データ生産者やデータ流通者が研究者としてのキャリアを形成できるようにすべきであり、またそのような人材を組織的に育成できるよう、文部科学省は制度的・組織的な対応を進めるべきだ。※

○ 各国と連携して研究者・専門家の評価、オープンデータを広めるためのインセンティブ及び人材育成等の国際的なルールメーキングに対応していくことも重要である。※

○ オープンサイエンスが有効に活用され、全ての人がメリットを享受できるようにするために、国際的な協調や連携を推進して、デジタルネットワークの整備、人材の確保など、適切な技術やインフラを整備する。(つくば)※

適切かつ持続可能な
資金提供モデル

○ マネジメント及びモニタリングが行えるよう資金を確保する必要があるが、公的研究資金の中に含めるのか、オープンアクセス維持費として別途の支援スキームを用意するのか、制度設計が必要である。






保存すべきデータ及び
保存期間等

○ 研究終了後も研究データの保存・整備が必要である。

○ データ保存・整備の仕組み(データリポジトリ等)が必要である。

○ 公開されたデータや情報の権利関係(ライセンス)を明確にし、また永続的保存や提供サービスに関しての制度づくり・責任体制の議論が必要である。※

○ データを管理・維持するための人的コスト等が重要であることを考慮すべきだ。

○ 計算機資源としてはクラウドを活用するなどコストの圧縮を考えておくことが必要。

○ 将来に向けて持続的なオープンサイエンス制度として自立できるよう、組織的なデータ利用をライセンス化するなどのビジネスモデルの創出(著作権制度などのイメージ)が必要である。※

○ 「データ出版」の考え方についても配慮が必要である。


○ データが、研究者において適切に保管されることが重要である。その上で、保管されたデータについて、どのデータをどのような様式で研究データとして公開とすべきか、あるいはどのような場合に非公開とすべきかということについては、研究者コミュニティ等による検討を踏まえた対応が必要である。

○ 公的研究資金による研究の実施段階から、研究プロジェクト等の終了後に至るまで研究データが利活用可能な状態で適切に管理されるよう、プロジェクト等の規模やその目的及び分野の特性等に応じ、データ管理計画を作成し計画に従った管理を行うことが必要である。

○ 大学等においては、研究成果を知的資産と捉え、明確な方針の下で保管し、蓄積していくことが重要である。

○ 各研究コミュニティは、対象となるデータの見極め、占有期間(embargo)の設定、データのオープン範囲の決定、そしてデータ解析ツールの包含などといったオープン・クローズ戦略を検討すべきである。

○ 欧州における専門家レポートでは、オープンサイエンスを推進することが重要としながらも、研究データ問題は特に複雑であるため、理解できていない状態で拙速にルール化をすべきではない、という提言が含まれていることにも留意が必要である。

○ 研究データについては研究コミュニティが主体となって研究推進上の得失に配慮しながら議論を行い、コミュニティとしての見解を整理していくことが必要である。



論文、研究データの
公開・共有化

○ 科学技術の進展を妨げない工夫が不可欠である。

○ 企業のイノベーションを促進する観点も重要である。

○ 共有すべきデータは、知的財産戦略を含め、総合的に検討を行うことが必要である。※

○ 学協会等における著作権ポリシーの公開に向けた取組や運営・促進するのに必要な資金の制度化が必要である。※

○ 研究分野によって研究データの保存と共有の方法に違いがあることを認識するとともに、国益等を意識したオープン・アンド・クローズ戦略及び知的財産の実施等に留意する。※

○ 公的研究資金による論文については、原則公開とすることを第5期科学技術基本計画期間中に実行すべきである。

○ 公開すべき論文のエビデンスとしての研究データの範囲とその様式については、国際的な動向や原則公開とする趣旨を踏まえた上で、学協会等において、研究上の必要性等を考慮した検討を行い、さらに、日本学術会議で研究者コミュニティのコンセンサスを形成していくことが求められる。※

○ 研究データは利活用可能な様式で公開され、かつその信頼性が確保されていることが重要である。

○ 研究で使用したプログラムやソフトウェアのバージョン等についても、データ作成者が公開時に明示する必要がある
研究成果の利活用を促進する観点から、論文及び研究データに永続性のあるデジタル識別子を付与する必要がある。どの粒度の研究データに対して識別子を付与すべきかについては、研究者コミュニティにおけるコンセンサスの形成が必要である。

○ 国際的な動向やオープン化の趣旨等を踏まえ、公開すべき研究成果と非公開とすべき研究成果を適切に規定することが重要な視点となる。※




研究データの
技術的な品質の評価等

○ 研究データの技術的な品質の評価、またそれぞれの研究分野固有の基準に沿った評価について合意しておく必要がある。

○ 論文のピアレビューに相当するような評価の仕組みが必要である。






国際動向


○ オープンサイエンスの推進のルールに基づき、適切な国際連携により、研究成果・データを共有するプラットフォームを構築する。※

○ 基盤の整備については、国際的な協調を図っていく視点も重要である。※

○ 研究者コミュニティ及び関係機関においては、その意義を共有し、国際的な動向も踏まえ着実に取組を進めることが求められる。※

○ 公開すべき論文のエビデンスとしての研究データの範囲とその様式については、国際的な動向や原則公開とする趣旨を踏まえた上で、学協会等において、研究上の必要性等を考慮した検討を行い、さらに、日本学術会議で研究者コミュニティのコンセンサスを形成していくことが求められる。※

○ 国際的な動向やオープン化の趣旨等を踏まえ、公開すべき研究成果と非公開とすべき研究成果を適切に規定することが重要な視点となる。※


○ 各国と連携して研究者・専門家の評価、オープンデータを広めるためのインセンティブ及び人材育成等の国際的なルールメーキングに対応していくことも重要である。※

○ 大学等と国研が連携し、知識型社会における産業集積の中核となる最先端のインフラとして、超高速かつセキュアで高品質なデータプラットフォームとネットワークを国際的視座から整備することが重要である。※

○ 適切な国際連携の下、コスト面、研究者等の負担にも配慮し、既存の機関リポジトリを活用するなど、研究成果・データを共有するプラットフォームを構築する。※

○ オープンサイエンスWGの提言に基づいたG7各国の次回会合に向けた取組等についてWGによるフォローアップを奨励する。

○ オープンサイエンスが有効に活用され、全ての人がメリットを享受できるようにするために、国際的な協調や連携を推進して、デジタルネットワークの整備、人材の確保など、適切な技術やインフラを整備する。(つくば)※

○ 研究データの最適利用のためのインフラ:すべての研究者が分野横断的かつ国際的スケールでデータを保存し、アクセスし、解析可能とすべきだ。研究データの管理についてはFAIR原則を支持する。(トリノ)※


<関連資料を基に文部科学省作成>

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室

麻沼、齊藤
電話番号:03-6734-4080
ファクシミリ番号:03-6734-4077
メールアドレス:jyogaku@mext.go.jp(コピーして利用される際には全角@マークを半角@に変えて御利用ください)

(研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室)