第8期研究費部会(第1回) 議事録

1.日時

平成27年4月14日(火曜日)13時~15時

2.場所

東海大学校友会館「朝日の間・東海の間・三保の間」

3.議題

  1. 部会長及び部会長代理の選任について
  2. 第8期研究費部会における検討課題について

4.出席者

委員

甲斐委員,栗原委員,佐藤委員,西尾委員,小安委員,白波瀬委員,城山委員,西川委員,羽田委員,射場委員,上田委員,橋本委員

文部科学省

常盤研究振興局長,安藤大臣官房審議官(研究振興局担当),鈴木学術研究助成課長,前澤学術研究助成課企画室長,他関係官

オブザーバー

勝木日本学術振興会学術システム研究センター副所長,山本日本学術振興会学術システム研究センター主任研究員

5.議事録

(1)部会長及び部会長代理の選任について

事務局より資料2-1から2-4に基づき説明があった後,委員の互選により,佐藤委員が部会長として選出された。その後,佐藤部会長によって,甲斐委員が部会長代理に指名された。

(2)第8期研究費部会における検討課題について

【佐藤部会長】
 検討事項の説明に先立ちまして,事務局より,本部会の当面の審議についての説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【鈴木学術研究助成課長】
 失礼いたします。資料3-1及び資料3-2を御覧いただければと存じます。
 研究費部会の所掌につきましては,研究費に係る事項ということでございますが,学術分科会の下に置かれた部会という性格もございますので,学術の振興に関する重要事項のうちの研究費を扱うということでございます。したがいまして,実質的にはこの科研費を中心に今まで御議論をいただいてきました。
 また,今期の先生方の任期は2年でございます。2年の間,様々な情勢変化もあろうかと思いますし,重要と思われる課題につきましては,その都度,取捨選択をしての御審議をいただければと思いますが,こちらの資料では,差し当たり,28年度の予算要求なども視野に入れまして,この夏ぐらいまでをめどにした当面の審議について,事務局としてお諮りをさせていただきたいと考えております。
 まず,先ほど佐藤部会長からお話がございましたとおり,既に学術分科会において科研費改革についての中間まとめを昨年8月に行っていただきました。その中では,学術をめぐる課題・要請,あるいは不易や流行で変えるべき改革というのは何か,その方向性について包括的な御提言を頂きました。現在は,それを踏まえまして,その重要施策の企画立案,いかにして具体的にこの改革を実行していくかを検討する段階に入っているものと思っております。もちろん,昨年の御議論は飽くまでも中間まとめという整理でございますので,今期の先生方の御議論によってまた様々な見直しということもあろうかと思います。そこは柔軟に御対応いただきたいと存じますが,いかに実行していくかということを中心に御議論いただければと思うところでございます。
 まず,27年度予算で新規事業を盛り込んでおり,これが科研費改革の着手点ともなります。「国際共同研究加速基金」を設けて国際化の対応を進める,さらには,分野融合の研究を進める,そういった国際化と分野融合,その二つの柱で今回,新しい予算を組んでおります。特に従来の科研費のスキームと異なる試みとしましては,この国際化に関しては若手の海外派遣というものを盛り込んでおりまして,夏の公募開始に向けて様々な制度設計をしっかりと行う必要があるという局面でございますので,この点について御審議いただければと思います。
 二つ目としましては,今後の科研費改革全体の進め方でございます。(1)にございますが,改革全体の実施方針,さらには工程表について御検討いただけたらと考えております。工程といった場合には,来年度から始まります第5期の科学技術基本計画を考慮し,28年度から32年度にかけて,この辺りのことをスコープに入れての工程作りということになろうかと存じます。ここで1から6まで,中間まとめでお示しいただいた方向性をそのまま掲げておりますが,それぞれの方向に沿って,いつまでに何をやっていくのかということについて御議論いただければと考えております。もちろん,これらの柱立てそのものを再構成する必要が生じるということはあろうかと思いますが,中間まとめで御提言いただいた事柄について,一応全体を網羅する形で取組を可視化していくということが大切かと考えております。そういった御議論と並行いたしまして,(2)でございますが,当面,速やかな対応が求められる事柄,特に28年度の予算に関してどういった対応が必要であるのか,もちろん予算に限らず,科研費の使い勝手を良くするという観点ではいろいろな制度改正もあろうかと思いますが,そういった事柄について工程表を考えていく作業とセットで御議論いただければと考えております。
 また,米印に書いておりますとおり,一方では,日本学術振興会におきまして,既に専門的な議論を進められているところでございます。特に分科・細目の見直しと,新しい審査方式の導入につきましては,平成30年度の公募を目指して,精力的に検討が進められている状況でございます。こういった作業が全体としての工程表作りのある種の基礎,前提ともなる動きでございますので,そういった日本学術振興会における御議論を参照しながら,研究費部会での御審議をいただければと考えております。
 また,先ほどお話もございましたとおり,今,一体改革ということも言われておりますけれども,科学技術基本計画の策定と並行する形で,競争的研究費改革と大学改革の政策動向もございますので,こちらにも御留意いただければと考えております。個々の大学におきましては,科研費を戦略的に獲得する,あるいは,この科研費を獲得したデータというものがIRや評価活動にも利用されるなど,組織的な動きも現場で生じておりますので,そういったことにも留意をしながら御議論いただきたく考えております。競争的研究費改革の個別の内容につきましては,また後ほどの事務局説明の中で触れさせていただきますが,全体としてはそのようなことを留意しながらの御議論になるかと考えております。
 次に,当面の夏に向けてのスケジュールの案を御用意させていただいております。おおよそ月1回程度のペースでの審議を考えており,本日はこの後,事務局から科研費改革関連の動きについての御説明を差し上げた上で,幅広く御議論をいただければと思っております。また,工程表の作成に当たりましては,これはやはり日本学術振興会における審査の実務の知見が不可欠になりますので,研究費部会から日本学術振興会への工程に関する検討作業のお願いも予定しております。そういった内容の御確認もお願いできればと思っております。
 5月以降につきましては,差し当たり重要な話題とされる論点を幾つか掲げております。5月には,一つはこの若手研究者支援を考えております。先ほどの話の中にもございましたが,やはり今,若手研究者をどのようにバックアップするか,身分の不安定性や,研究環境が劣化しているのではないかなど,改革に関する議論の中で共通の認識として持たれつつある状況でもございますので,もちろん科研費のみでこういったものに十全な対応は難しくはありますが,若手種目を中心に,何が科研費の仕組みの中でできるのか,するべきであるのか,こういった御議論いただければと思っております。
 また,6月には,やはり一つの柱でもあります国際化,これは後ほど御紹介いたします27年度予算での新たな取組の一つでありますが,夏前,7月の公募を目指して作業を進めることとなっており,6月においてはその最終的な枠組みの詰めを行う時期になってまいりますので,その辺のところをまた御審議いただければと。また,国際化をめぐっては様々な社会的要請が寄せられるところでもございますので,この回でそういったことを御議論いただければと考えております。
 その上で,7月には実施方針,あるいは,工程全体についての何らかの素案,原案をお諮りして御議論をいただけるようにできればと考えております。もちろん,ここに掲げた議事に限らず,本日の自由討議など,委員の先生方からの御意見を踏まえて,適宜,議事,議題を設定させていただければと思いますし,政府の関連会議の動向によっては,議事のみならず,会議の回数の追加ということもあろうかと思いますが,その際はまた御相談をさせていただければと思っております。
 また,日本学術振興会における,工程表,あるいは,分科・細目見直しの検討進捗状況など,これらについても適当なタイミングでの御報告をさせていただければと考えております。
 もう一点,資料3-2でございますが,科研費の改革については,研究費部会のみならず,様々な場で議論なり作業が進んでおりますので,これは簡単なイメージ図ですが,関係組織の役割分担等を記したものでございます。全体として,工程表そのものもそうですが,次期科学技術基本計画なども視野に入れて,今後,5,6年ぐらいのスパンで改革を回していき,その中でPDCAもしっかり働かせながら息長くやっていく必要がございます。研究費部会におきましては,基本的には改革の枠組み,あるいは,制度,そういったものを御審議いただき,それを踏まえて,具体的にどのように審査や評価をしていくのか,その方法については,実務的な点を含め,そこは科学研究費補助金審査部会の方に検討を付託していただくということでございます。また,一方で,科学研究費補助金審査部会において,審査の基本的な考え方を定めた上で,実際の審査の実務に当たられる日本学術振興会の方に,基本的な審査の考え方をお示しいただき,日本学術振興会の中におきましては,科学研究費委員会,あるいは,本日,オブザーバーの先生としてお越しいただいております学術システム研究センターなどの内部組織が中心になって,連携を取りながら,実際の作業に当たっていただくということでございます。当然ながら,そういった審査実務の作業の中で,新たな課題が浮かび上がってくるかと思いますので,そういった実情を踏まえた改革の御提案等につきましては,また研究費部会の方にフィードバックを頂くというサイクルになるのかなと考えております。
 もちろん,一方では,競争的研究費などについて政府関係の会議もございますので,政府の共通方針のようなものが,ある種のトップダウン的な動きで出てくるかと思いますが,そういった動きと審査実務のボトムアップの動きのバランスをしっかりと取りながら,研究費部会での御審議をいただければと考えております。
 後ほど,事務局から子細について御説明を差し上げたいと思いますが,当面の審議の進め方に関して,簡単ではございますが,以上のように考えております。よろしくお願いいたします。

【佐藤部会長】
 ありがとうございます。それでは,次に,事務局より,本部会の検討事項である科研費改革についても説明をお願いしたいと思います。その後で御質問をお願いしたいと思います。

【前澤企画室長】
 それでは,私から,この科研費改革に至るまでの御議論や,その周辺,背景の状況を御説明申し上げます。まず,資料4-1をお開きください。1ページ目は科研費の説明でございます。科研費は全ての分野にわたりまして,独創的,先駆的な学術研究を支援する,基幹的な研究費でございます。
 2ページ目は,研究の性格による分類を行った場合の学術研究の位置付けでございます。学術研究は,研究者の内在的な動機に基づいて,基礎研究から開発研究までの研究の進展の状況全てをカバーするものでございます。
 3ページ目が政府の研究政策における科研費の位置付けでございます。科研費は,その左上の赤の部分でございますけれども,学術研究を支援する競争的資金として分類されてございます。
 4ページ目は科研費のこれまでの制度の変遷でございます。大正7年に,科研費の一番大もとになる科学研究奨励金というものが設置されて以来,大きな変革といたしましては,昭和43年に二段階審査方式のピアレビュー,今に続くこの審査方式を導入したこと,それから,平成23年度に基金化を導入したことでございます。そのほかも,4ページ目の下にまとめておりますように,毎年のようにいろいろな改善方策を講じておりますが,今年からは抜本的な制度の見直しに着手いたします。
 5ページ目は科研費の予算額・助成額の推移でございます。平成27年度予算では過去最高額と同額の2,318億円を助成予定としてございます。
 6ページ目は科研費の応募・採択件数及び採択率の推移でございます。平成26年度につきましては応募がおよそ9万6,000件,それから,採択率は27%弱となっております。
 それから,7ページ目が競争的研究費改革でも議論になっております,間接経費の状況でございます。科研費につきましては,平成13年度から3割の間接経費を一部の種目に導入しまして,平成23年度には全ての種目への措置を完了しております。
 8ページをお開きください。こちらは昨年,政府の中で行われました大学政策,学術政策,科学技術政策の動向でございます。昨年前半には,科学技術・学術審議会や科学技術イノベーション総合戦略2014において,競争的資金改革の先駆けとして科研費改革について触れられておりました。さらに,昨年後半からは産業競争力会議におきまして,大学改革と研究費制度改革の一体的な改革の議論が提起されまして,現在,総合科学技術・イノベーション会議の場でも議論されております。これにつきましては,文部科学省で検討会を設けておりますので,また後ほど御説明いたします。
 9ページは,科学技術・学術審議会で昨年おまとめいただきました学術研究に対する現代的要請でございます。挑戦性,総合性,融合性,国際性の4点となっており,科研費改革もこの方向に沿って検討しております。
 それから,10ページ,11ページは昨年の学術分科会でおまとめいただきました科研費改革の方向性を示す中間まとめの概要でございます。10ページには,成熟社会における学術研究を考察しさらに,科研費の歴史も振り返って,科研費改革をするに当たっての不易たるもの,変えてはいけないものを抽出いたしました。現在の国際情勢や科研費についての指摘を踏まえまして,11ページの4にございます5つの基本的方向性をお示しいただきました。さらに,この中間まとめでは,科研費が密接に関係する大学改革や競争的資金改革に求められる方向性についても御指摘を頂いております。
 12ページは,昨年出されました科研費に関する政府方針でございますので,割愛いたします。
 それから,13ページは,学術分科会の中間まとめを踏まえた平成27年度予算の概要でございます。平成27年度予算においては,科研費の抜本改革への着手と位置付けまして,主として国際性,融合性に関する新たな取組を開始,強化することを内容といたしました。一つは,国際共同研究や海外ネットワーク形成の促進,もう一つは特設分野研究の充実でございます。14ページは,この新しい取組が今までの科研費の研究種目のどこに該当するのかを示した図でございます。
 それから,15ページは,平成27年度予算で新たに開始する「国際共同研究加速基金」の概要でございます。具体的な内容,事業内容につきましては,「若手海外挑戦支援」,新学術領域研究内の「国際活動支援班」の設置,それから,海外にいる日本人研究者の科研費「予約採択」の3つとなってございます。
 16ページがそのうちの若手海外挑戦支援,こちらはまだ仮称でございますが,その事業概要でございます。背景はそちらにお示ししているとおりですが,この事業の概要は,おおむね36歳から45歳程度の優秀な若手研究者が海外に一定期間滞在して研究を実施する場合に,渡航費,滞在費,研究費及び代替要員確保のための経費をまとめて支援するものでございます。助成対象はおおむね400名程度を予定してございます。それから,公募,審査,交付についての概要はその下の四角にまとめているとおりでございます。
 17ページはその国際共同研究加速基金による若手海外挑戦支援の交付パターンイメージでございます。もともと科研費による研究課題を持っておられる方を対象といたしますので,その課題と並行して,海外に行っていただく,あるいは,もとの課題が終わってから行っていただくなど,柔軟に考えてまいります。
 18ページは新学術領域研究内の「国際活動支援班」の設置でございます。この班を設置することによりまして,我が国が強い研究領域をベースとした国際共同研究の推進や海外ネットワークの形成,具体的にはこの新学術領域研究の活動内で海外研究者の招へいを行ったり,ポスドクなど若い方の相互派遣を行ったり,こういう事業を想定してございます。
 それから,19ページが海外の優秀な日本人研究者の予約採択でございます。こちらは海外で第一線の研究を実施しておられる日本人研究者の方が,日本に帰ってきて,また新しくこちらで研究基盤を立ち上げられる場合を想定いたしまして,採択後一定期間,例えば2年以内に国内の研究機関に所属した場合に,その直後から基金による支援開始を行うものでございます。卓越した研究者の方を想定してございますので,支援対象は20名程度かと考えております。
 それから,20ページは,平成27年度予算案のもう一つの柱でございます特設分野研究における,分野融合的研究を引き出す新しい審査方式の先導的試行でございます。
 特設分野研究と申し上げますのは,新しい審査方式を導入したもので,具体的には第1弾の書面審査と第2弾の合議審査を同一の審査員が担当して,より丁寧な審査を行い,審査委員間の活発な議論により採否を決定しております。それから,研究種目間の壁を越えるということで,基盤研究(B)と基盤研究(C)を区分せずに審査を実施しており,さらに,研究分野間の壁を越えるということで,従来の専門分野には収まらないような新しい分野を特設して,従来の専門分野,細目別の審査では困難な課題を幅広い視点から採否を決定するものでございます。こちらにつきましては,既に平成26年度に3つの課題を設定しておりましたけれども,27年度は更に3つの課題を加えております。
 それから,21ページが融合研究の推進に関係する分科細目の見直しでございます。こちらにつきましては,平成25年10月から,科学研究費補助金審査部会から日本学術振興会に,「系・分野・分科・細目表」の見直し並びに「時限付き分科細目」及び「特設分野」の設定に当たっての基本的考え方をお示しいただきまして,日本学術振興会において専門的に御議論いただいているところでございます。
 これを昨年の夏に一度,研究費部会の方で検討状況の御報告を頂いておりまして,分科細目表の大幅な見直しにつきましては,まず,10年ごとではなく5年ごとに行い,細目数の大幅な減少を検討すること,それから,審査方式の見直しをセットで検討すること,それから,スケジュールといたしましては,平成29年1月頃に,平成30年度公募から適用する分科細目表を決定することと,このような御説明を頂いているところでございます。
 以降は参考資料でございますので,新しいデータのみ,少し御参考として御紹介したいと思います。
 29ページに大学別の科研費による論文生産性の推定を掲載しております。平成26年度の科研費のデータを基にしたもので,赤と緑で示された棒線グラフが論文数でございます。それから,青の折れ線グラフがtop10%論文の大学別の割合,それから,紫の折れ線グラフがQ値,すなわち論文数に占めるtop10%補正論文の割合でございます。
 このように並べてみますと,いずれの大学等におきましても,科研費を活用したtop10%論文は14%以上生み出されておりまして,高いポテンシャル,高い投資効果を持っていると言うことができると思います。
 さらに,30ページでございますが,こちらは大学別の科研費による論文生産性の推定を金額ベース,人数ベースで試算したものでございます。左の方のグラフが科研費によるtop10%論文数の1億円当たりの推定値の分布,それから,右の方のグラフが同じtop10%論文数の1人当たりの推定値の分布でございます。まとめますと,配分額当たりの論文数は,年間配分額が高いほど少なくなる傾向があることが見てとれます。
 これはある意味,科研費などの配分も少ないような地方大学,あるいは,小規模な大学においても大変活発な研究が行われているという解釈ができるかと考えております。それから,研究者の人数当たりの論文数は年間配分額が高いほど高くなる傾向がございまして,大学間の差は約5倍ございます。それから,年間配分額400万円前後で,論文生産のポテンシャルが最大化するということが,この数値から言えるかと考えております。
 それから,33ページ,34ページは,昨年10月に科研費の採択状況の公表をしたときに,初めての試みとして,分野細目別の,大学別の採択数トップ10のランキングを公表いたしました。そのランキングの総合系,人文社会系,理工系,生物系と分けまして,大学別にどの程度,1位の細目があったかというグラフでございます。これを見ましても,必ずしも大規模な研究大学だけではなく,幅広い大学にいろいろな強みがあるということが分かるかと思います。
 それから,35ページ以下は科研費に関するアンケートの調査結果の速報でございます。文部科学省において,科研費の応募・採択に関する組織的目標,あるいは,科研費の採択結果などを機関における研究力の自己評価・分析に活用していただいているか,応募・採択に向けた組織的反応,対応をしていただいているか,教員評価と科研費,教員評価に科研費の採択状況をどのように位置付けているか科研費に関する情報の可視化への期待,あるいは,細目別の情報の有効性など,このようなものを研究機関にお聞きいたしました。
 資料4-1につきましては,時間の関係で御説明は以上にさせていただきます。
 その次に,資料4-2ですが,「科研費改革の工程に係る検討の進め方について(案)」でございます。「1.検討の基本的な方向性」,こちらは昨年の学術分科会でおまとめいただきました「我が国の学術研究の振興と科研費改革について」の内容でございますので,割愛させていただきますが,科研費改革の基本的な方向性における主な検討項目として,その5つの項目をこれから御検討いただくということでございます。
 「2.検討の進め方」でございますが,これらの改革項目の検討に当たっては,これまでと同様に,具体的な審査方式や審査体制の見直しの観点に立脚しまして,実効性と発展性の両面から工程を検討することが重要であると考えております。このため,具体的な改革工程の検討に当たりましては,日本学術振興会学術システム研究センターに対して専門的な観点からの御検討を依頼し,その検討を踏まえまして,研究費部会において,改革全体の工程及び来年度に向けた実施計画を審議・策定してまいりたいと考えております。
 3は当面のスケジュールでございます。
 それから,別紙につきましては,こちらも学術分科会の中間まとめの内容を抜粋したものでございますが,このような検討項目につきまして,これから日本学術振興会において御検討をいただきたいと考えております。
 それから,資料5-1が,先ほど,佐藤部会長からも言及いただきました,科研費を含む競争的研究費改革についての検討状況でございます。
 昨年からの産業競争力会議における大学改革と競争的研究費改革の一体改革という議論提起を受けまして,本年の2月から研究振興局に「競争的研究費改革に関する検討会」を設置して御議論をいただいております。この研究費部会からも,佐藤部会長をはじめ,甲斐委員,それから,小安委員にもこちらの検討に加わっていただいております。
 2ページ目が今までのスケジュールでございまして,3ページ目に,現在のところの御議論の方向性をまとめておりので,そちらを御説明いたします。
 競争的研究費改革の全体的な方向性は,一番上にございますが,イノベーション・ナショナルシステムの実現に向けて,研究成果の持続的最大化を目的に,競争的研究費制度の改革を断行すること,また,大学改革との一体的な改革により,我が国がイノベーションに最も適した国となるための基盤を構築することでございます。もちろん,この御議論の基盤には,今までに学術分科会などの各種の審議会,検討会で積み重ねていただいた議論がございます。
 その上で,改革の方向性の1としては,競争的研究費に措置されている間接経費のことでございますが,大学等における間接経費の使途の透明性向上を前提として,間接経費の措置対象を拡大するとしてございます。
 それから,改革の方向性の2は,先ほど,研究振興局長からも話がございましたが,若手研究者の待遇及び活躍に関するもので,若手研究者の雇用ルールを整備した上で,人事給与システム改革の実績を踏まえて,直接経費からの人件費支出を柔軟化するということでございます。
 それから,改革の方向性3は,研究費の使用ルールの統一,あるいは,プログラムごとの円滑化によるシームレスな研究支援の実現についてでございます。
 このような方向性で改革を進めることで,大学改革と相乗効果を持ち,大学改革の鍵となるガバナンスやマネジメントの強化を後押しし,結果として競争的研究費を有効活用して優れた研究成果を創出していくことを目指したいと考えております。
 4ページ以下は,この検討会でお示しいただきました委員,各委員の御意見の概要でございますので,割愛させていただきます。
 それから,最後に資料5-2でございます。先ほど,学術研究助成課長から,今後の審議の進め方について御説明を申し上げましたが,今後,平成28年度以降の新たな取組として御議論いただきたい論点を,おおむね夏頃までの御検討を想定しまして,事務局としてお示しさせていただくものでございます。
 学術研究の現代的要請の4点に合わせまして,挑戦性,総合性,融合性,国際性として仮に整理しております。挑戦性につきましては,学術の現代的要請に応える挑戦的・革新的な研究を促進する方策について,それから,若手研究者の自立と挑戦を促進する方策について,研究者のニーズに柔軟に対応する支援の方策についての論点。それから,2番目の総合性・融合性につきましては,大型科研費による新たな学術分野の形成や,我が国として促進すべき学術分野の支援の方策について,それから,特設分野研究の実施状況も踏まえた先進的な分野融合研究を促進する支援の方策についての論点。3番目の国際性につきましては,海外の優秀な研究者を我が国の研究機関に中長期に招へいするための支援の方策について,それから,国際共同研究を円滑に進めるための支援方策の更なる改善についての論点としてございます。
 もちろん,そのほかにも御議論いただくべき論点というものはあろうかと思いますし,競争的研究費改革に関する検討会の進捗によっては,この研究費部会の場で御議論いただく論点を追加する可能性もございますが,当面このような論点を御検討いただいてはいかがかと事務局として考えております。以上でございます。

【佐藤部会長】
 ありがとうございます。科研費の歴史から始まって,最近の事業について,また,今検討されているいろいろな事項,全て御説明いただきましたので,新しく委員になられた委員の方々におかれては御質問があると思いますが,いかがでございましょうか。
 この後は,基本的に自由討論の場になっており,きょうは個別の細かなことについて議論する場ではございませんので,もしそういう疑問とか質問がありましたら,お願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。

【射場委員】
 私,今日から初めてなので,こんなことは多分最初でないと聞けないと思いますので。改革ということは,何か悪いから変えないといけないということですよね。変えることについては反対ではないですし,個々の方策もいいことだと思うことばかりですが,何が悪いから変えるのかがいま一つ分かりません。最初に大学の知の創造力とか人材育成力が低下しているというお話がありましたが,それは共通認識として事実なのですか。それを明確に示すようなデータがあるとか。そこがはっきり評価できていないと,改革できた後にどれだけ良くなったかということが分からないかと思いますが,いかがでしょうか。

【佐藤部会長】
 これは事務局の方からお答えいただきましょうか。

【前澤企画室長】
 大学の知を生み出す力が低下しているかどうかが,それに明確にお答えするようなデータはないのですが,なぜ科研費改革をしなければいけないかと申し上げますと,やはり去年1年間,学術分科会で御議論いただきました学術の現代的要請というものを,先ほど4点,御説明いたしました。資料4-1の9ページでございます。学術研究を支える科研費としては,これも幾つかデータでお示ししておりますが,ある意味でほかの研究費よりも高い生産性を出してきたことは事実でございます。
 ただ,それにしても,この9ページにあるような挑戦性,総合性,融合性,国際性,こういう点についてはこれから一層,科研費による後押しをしていかなければならないのではないかと。そのために必要な制度の仕組みの改革というのは何かということをこれから御検討いただきたいと考えております。
 例えば,41ページのデータに,論文産出構造の国際比較というものを示してございます。これを見ますと,日本全体の国際共著論文比率が,イギリスやドイツの状況を大きく下回るというデータが出ていますので,国際性はやはり日本の一つの弱みになっているのではないかなと思います。このデータ自体もいろいろな解釈があろうかとは思いますけれども。
 それから,もう一つが43ページの科学技術・学術政策研究所で出しているサイエンスマップのデータでございますが,世界中で非常に進行している新しい強みのある学問分野がありまして,その参加領域数については,日本はやはりイギリスやドイツの半分程度の参画しかないというデータも出ています。
 また,特に,ここにはデータが付いておりませんけれども,日本につきましては融合分野について特に参加が弱いという,そういう結果もこの同じ調査の中で示されていたかと思います。こういうことがございますので,科研費改革を推進する必要があると考えられます。

【射場委員】
 特に国際化のところは皆さん,いろいろ同意されることも多いのかと思いますが,PDCAを回すという話がありましたよね。私も日本学術振興会の専門研究員を何年かやらせてもらって,PDはとてもよく考えられていると思います。しかし,CAのところで,その基盤の部分のチェックを何の物差しでやるかというのがなかなか難しい。それは日本学術振興会の研究が次のJSTやNEDOの研究成果に結び付いているのだけれども,それがなかなか見える形になっていないことが多いので,特にチェックや成果をどう評価していくか。それを具体的に見せることによって,今,問題と思っていることが,必ずしもそうではないとわかることもあると思います。それも改革の一つだと思うので,しっかりチェックをして,そのチェックに基づいた新しいアクションでPに戻ればいいのではないでしょうか。全体としての意見です。

【佐藤部会長】
 ありがとうございました。おっしゃるとおり,チェック,これは非常に大事だと思います。これからもいろいろ改革をしなければならないこととして課題は挙がっているわけですけれども,それについて,実際に実施すれば,それに関するチェックはもちろん必要だと思います。
 今のところ,学術分科会でも,西尾先生を中心にまとめられた文書にもありますとおり,今の日本の学術研究はやはり危機的状況にあることは事実だと思います。研究費の伸びも止まっていますし,今,前澤企画室長から説明があったように,分野融合的な研究とか,いろいろなところで綻びも見えてきていると思います。今の日本の研究が駄目になってしまっているとか,そういうことではなくて,よりこれを改革することによって,より強くしていくことができると思って,今,改革を進めているわけでございますね。ほかにはいかがでしょうか。
 私からの質問ですが,資料4‐1の16ページ辺りから,今年度から実施することになった海外への派遣などについて書いてありますが,この辺りはもう確定,細かなことまで確定しているんでしょうか。まだ日本学術振興会の方で細かなことを設計されている段階でしょうか。

【前澤企画室長】
 大枠としては,この16ページにお示ししているとおりでございますが,細かいところは,佐藤部会長の御指摘のとおり,日本学術振興会と専門的な審査や申請のやり方について調整をしているところでございます。

【佐藤部会長】
 はい。今年度から発足した新しい事業でありまして,これの次年度の予算に向けてのときには,研究費部会と関係することはあるのでしょうか。つまり,この場で少し意見を求める必要はないでしょうか。

【前澤企画室長】
 こちらも,今年度,大きなトライとして始めている事業で,まだ申請受付もこれからでございますので,今の段階でも,委員の皆様方に御意見を頂ければ有り難いと思います。それから,国際という意味におきましては,先ほど申し上げましたとおり,学術の現代的要請の一つですので,恐らく28年度以降も大きな一つの改革の柱として見ていかなければいけないことかと思います。そういう観点からも御議論いただければと思います。

【佐藤部会長】
 ありがとうございました。

【鈴木学術研究助成課長】
 補足でございますが,会議のスケジュールを御説明した中で,6月の議論のテーマとして国際化を御提案しておりますが,その趣旨は,本日,御覧いただいていますのはまだ日本学術振興会との間でも御相談,調整している段階の案でございますので,今日の御意見も踏まえて,ブラッシュアップした最終形を6月の会議でお諮りをできればと考えているということでございます。
 また,国際対応について,今回の新規事業に更にプラスするべきものがあるかどうかということについても,6月の会議で御意見いただければいかがかなと考えております。

【佐藤部会長】
 ありがとうございます。この前の期で,この国際化について出た意見を盛り込んでいただいて,国際共同研究加速の基金などが作られたと思います。で,これについてももし御意見等がありましたらお願いします。勝木先生,どうぞ。

【勝木JSPS学術システム研究センター副所長】
 先ほどの射場先生の御質問は,とても大事なポイントを突かれていると思いますので,科研費を預かっているセンターの意見として申し上げますと,学術研究の現代的要請として挙げられている挑戦性,総合性,融合性,国際性というものは,それぞれ分離して出てくるようなものではなく,既に科研費事業がずっと進んでいく中で,例えば若手の領域を作ったり,それから,いろいろな国際的な活動をするために自由に使える科研費の領域を広げてみたりということを実際にやってきているわけでございます。特段にそれが制度として何かの種目になったというようなことはございませんが,今までも着実にやってきていると思います。
 ただ,まだそれが充実していない,十分にそれが意識としても研究者に行き渡っていないということがあることも事実であろうと思います。したがって,それが明示的に何かやるための方策を検討せよということではないかというふうに私は理解しております。
 そうでないとすると,もしこういうものを科研費だけで推進しようということは無理でございます。これは実際問題,例えば若手を育てるという場合に,若手に特化して何か特別の措置をすると,それはもちろんチャンスを増やすということで大事なことではありますが,最も大事なことは,その科研費を獲得した研究者たちのその後のキャリアパスが用意されていない限り,幾らやっても,その研究者たちが学術の道に定着することにならないという事実がございます。
 例えば特別研究員というようなものも学術システム研究センターではやっておりますし,その額を増やそうと努力はしておりますが,それよりもっと大事なことは,ポスドクの行き先がきちんとしているということです。それが特別研究員の先にあって,初めて特別研究員として優秀な人たちが来るようになるだろうと思います。
 そういう意味で,科研費で全てができるわけではありません。私どもに何か,先ほどから今後の改革の実際の議論をしてくれるようにという申出があるようでございますが,科研費でできることとできないことを皆さんに御理解していただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。

【佐藤部会長】
 はい。では,甲斐先生,どうぞ。

【甲斐委員】
 勝木先生,ありがとうございます。第1回ですので,私も日頃思っているフラストレーションというか,不思議だなと思っている点を述べさせていただきます。
 何が本当の問題であり,何を改革したらいいのかという,すごく素直な意見だと思うのですが,科研費というのは日本の研究費制度の中では圧倒的な優等生だと私は思っております。すごくよくできておりますし,毎年のように小さな改革,大きな改革と一生懸命改革しています。しかも,今やもう日本学術振興会の学術システム研究センターがあって,科研費を専門的に見ながら,審査,審査員の選任から,その評価も含めて,また,その学術動向も調べて,その豊富なデータを基に更に改革を考えているというような専門機関まである。こんな研究費制度はほかにないですね。すばらしいと思います。もちろん,どんな制度にも改革しなければいけないことはたくさんあって,改革を少しずつ進めていけば,どんどん良くなりますし,まだまだ見つければ問題点はある。
 この第1回の会議の議事とか案を見ますと,やっぱりターゲットは科研費だけなのですね。すごく狭いところで一生懸命あらを探していかなければいけないということにちょっとストレスを感じます。
 日本の学術が直面している大きな問題,伸びが悪いとか,時々言われますが,それを全て科研費で解決するという考え方はおかしいのではないかと思います。科研費は大変,研究費制度の中でも優れている方ではありまして,それでも少しずつ改革しようというのはわかるのですが,では,ほかの制度の改革は一体どこで見ているのかと。資料2-3の学術分科会運営規則では,研究費部会の調査審議事項は「研究費に係る事項」と規定されていて,科研費に係る事項とは書いてありません。研究費に係る審議も,研究費部会でしてもいいということではないでしょうか。しかし,この研究費部会でいつも言われるのは科研費改革だけであって,そのほかの研究費に対してものを言う場所がないということがストレスに感じます。
 例えば科研費では全ての種目に間接経費が措置されていますが,ほかの研究費では措置されていないものもあるということを言う場もない。科研費では間接経費を措置しているのだから,ほかの研究費でも措置した方がいいと,提言の最後にちらっと加えるのが精いっぱいで,そうは言っても全く改善されないというのがずっと続いている状況で,もっと科研費を改革しましょうと毎年議論しているのが不思議です。
 だから,国はサポートしているとか,サイエンスは国力の源というのは日本が言っているだけではなくて,欧米各国で何年か前から言われています。でも,その何年か前から言われている欧米諸国の先進諸国は全てその時点で,例えばそのために科学予算をGDP比3%にすると明言していらっしゃいますね。アメリカも,ヨーロッパの各国でもそうですが,日本は今でも1%ですよね。それを上げる気はない。でも,科研費を改革して何とか追いついていけと,進みが遅いと批判されるのことに,いつもずれを感じます。
 そういう大枠から見た議論,あるいは,そのほかの研究費も含めた議論をどこでやるのかといつも思っております。今日配られた資料を見るとここでやっていいのではないかと思うのですが,この審議事項を見ると,また科研費のみの改革に没頭しろと命じられているみたいなので,どこで議論するのか教えていただきたいというのと,可能であれば,もう少し広く俯瞰(ふかん)した議論を研究費部会でも行ってもいいのではないかと思います。
 国際性にしても,若手の派遣にしても,それを全て科研費でやろうという考え方ではとても閉じられていて発展性が見えにくいと思います。予算も限られていますし,もっと全体を俯瞰(ふかん)すればできるのではないかなと。いかがでしょうか。

【佐藤部会長】
 はい。甲斐先生,大変貴重な御意見,ありがとうございます。どうぞ。

【小安委員】
 甲斐先生に触発されて,私も一言。私もこの学術分科会研究費部会の委員をこれまでもやっているのですが,前期の7期のときに随分議論してまとめた部分があって,それをどうやって生かしていくかということが,我々がやるべきことだと思います。今日机上参考資料としてお配りいただいた「学術研究の総合的な推進方策について」にしても,学術研究の振興と科研費改革の中間まとめにしても,やはり学術の推進に重要なのはデュアルサポートであるということを非常にはっきりと記載しています。そこの部分の議論がないというところが非常に欠けているのではないかなと思います。
 今日,資料4-1の29ページで御紹介いただいた新しいデータは非常に重要なデータだと思います。要するに,どこの大学であっても,科研費の成果がある一定以上の水準を保っているというのは非常に重要なデータだと思います。
 これは,どこで研究してもきちんとした成果が出るのだということを意味しており,この構造は崩すべきではないと思います。そこで,デュアルサポートという形でどのような研究システムを作っていくのが我々の国にとって必要なのかということも含めて,やはりきちんとした議論がなされるべきではないかと思います。そういう意味では,先ほど甲斐委員がおっしゃったように,本当に科研費改革だけでいいのかという問題が出てくると思います。
 それから,もう一つ。若手の問題に関してもここでも議論するのですが,日本で大きく欠けていると思うのは,欧米ではグラントのシステムとキャリアパスが表裏一体になっているのに対し,日本ではそうはなっていないという点です。要するに,あるきちんとしたグラントを取るということがそのまま,ポストにつながっているというのが欧米の多くの場合であり,日本の場合,それがありません。
 そこをきちんと考えて制度設計をしないと,若手に研究費をあげればいいということでは解決しないと思います。ですから,キャリアパスと研究費がある程度一体化したような形に持っていくということが重要なのではないかと考えていまして,そういうことも少し議論できればいいのではないかなと思っています。

【佐藤部会長】
 ありがとうございます。今日はフリーディスカッションでございますので,いろいろ日頃言いたいと思いながらも抑えていたこともおっしゃっていただいて結構です。

【西川委員】
 若手の問題が出ましたので,常日頃感じていることを一言。今,若手の問題というのはパーマネントのポジションがない,あってもその数が非常に限られて,しかもどんどん少なくなっているということだと思います。それで,ほとんどの方はドクターを出ても,あるいは,海外に行って戻ってきても,任期付きのポスドク的なポジションや,何とか研究員というのを2回,3回繰り返しています。それでもなかなかパーマネントの職がないのが現状だと思います。
 そういう人たちをどういう形で受け入れているかといいますと,これは私の近くの経験ですが,大体,大型の科研費とか,あるいは, NEDOやJSTのプロジェクトで雇っています。確かに,何年か前に科研費で人を雇用できるようになったということを我々は非常に喜びましたが,それがまた一つ,不安定な若手をたくさん作っているもろ刃の剣だなという感じがしております。
 それらのデータ,どれくらいの若い方たちがパーマネントの職を得ているのか,それから,どれくらいの方々が不安定な状況で雇われているのかと,そういったデータがまず必要ではないかと思っています。
 初めて拝見しましたが,資料4-1の44ページに東京大学の若手研究者の例がありますね。これは実際に東京大学に勤めていらっしゃる方が任期付きなのか,常勤なのか,そういうデータだと思います。それに相当するような全国レベルでの調査やデータが必要であり,これが若手の対策のスタートでないかなと思っております。そういう現状を把握するということが一つですね。
 それから,私は今まではずっと大学にいましたが,日本学術振興会に移って,いろいろな方とお話をするようになって,なるほど,そういう考え方があるのかと目からうろこを何回か経験しております。その一つをお話します。科研費は外部から非常に攻撃されています。出口の見えないボトムアップ研究に余りお金を付ける必要はないのだという攻撃が非常に強いということを聞いています。それに対して,先ほどの若手雇用の問題と絡んできますが,科研費で若手を雇用しているのがひとつの現実です。すなわち,科研費で人材を育てているわけです。実際にはこういう若い人たちを雇用しているわけですから,人件費あるいは若手育成費として科研費を見ることができるのだということを企業の方から伺いました。 そういう考え方もできるので,科研費が実際に研究に使われているということと,若手の研究者の人件費として使われ,そういった人件費との兼ね合いも科研費を守る一つの武器になるのではないかなと思っております。

【佐藤部会長】
 ありがとうございます。若手の数というのは本当にそのとおりで,競争的資金を多く与えることになったことによって,大学は若手の研究者の任期なしのポジションを減らしています。この会議でもあったかと思いますけど,たしか東京大学の常勤職員は,任期なしの職員はこの10年足らずで17%減っており,その割合はほとんど若い若手の方のポジションが占めています。
 つまり,幾らでも若い人を雇えているから,若手の研究者の数自身はものすごく増えていますが,実は若手の任期なしのポジションがそれだけ減っています。東京大学で言えば,たしかシニアの先生は年俸制の外部資金による雇用に移って,その後,助教レベルの方を二人雇うとか,そういうことをやっていますが,まだ現実にその割合を実効的に増やす役割はできてないと思います。
 西川先生の言ったことは非常に重要でありますが,この会で発信して,どの程度効力があるのかという問題もございますし,幾らでも審議する時間があれば,この辺りもすごく審議したいところではありますね。事務局どうぞ。

【前澤企画室長】
 ただいまの西川先生の御指摘につきましては,この研究費部会の中で,一度,若手研究者の支援方策について集中的に御審議いただくことも予定しておりますので,その際にいろいろなデータもお示ししたいと考えております。
 今日の資料の4-1にもございますが,最近ですと,科学技術・学術政策研究所の方で,大学教員の雇用状況に関する調査というのも出されております。こちらはいわゆるRU11の教員の方の任期の有無,それから,雇用財源などを年齢別にまとめたようなデータもございまして,これを見ますと,やはり若手教員においては,任期なし雇用が顕著に減少していて,その一方で任期付き雇用が大幅増加しているというようなことが示されております。
 それから,甲斐先生,小安先生の御指摘につきましては,この場で幅広く御議論いただくことは大変有り難いことだと思います。ただし,この研究費部会自体が学術分科会の下に設置されているという構造がございまして,例えば研究費に関することでも,それは資料2-3の第2条にございますが,学術の振興に関する重要事項というものを,学術分科会で議論することになってございますので,やはり研究費部会では,科研費を中心に御議論いただくということになろうかと思います。ただ,科研費もスタンドアローンで立っている制度ではございませんので,そのほかのことも含めて御議論いただければと思います。
 それから,資料2-2の方にも少しございますが,ほかの研究費につきましては,例えば戦略的基礎研究部会というところで,JSTの戦略基礎事業の検討をしていただいたり,あるいは,産業連携・地域支援部会というところで産学連携の研究費の御議論をいただいたり,縦割りで恐縮ではございますが,こういうほかの審議会の状況なども適宜研究費部会に御報告し,あるいは,必要があれば,関係の方に来ていただいて御説明や意見交換をする,そのような形で進めていってはいかがかと思います。

【甲斐委員】
 そうしますと,文科省が出しているほかの研究費の状況を,全体を俯瞰(ふかん)して審議する委員会はないということですね。

【前澤企画室長】
 そこは最終的には一番上の科学技術・学術審議会で科学技術政策,学術政策全体を御審議いただいております。

【佐藤部会長】
 やはり学術分科会の下でやるのだから,学術に係る研究費だったら議論していいと思います。

【甲斐委員】
 委員長がそう言っていますが,いかがでしょうか。

【佐藤部会長】
 それが実効的に文部科学省の中で採択されるかどうかは別ですが,議論することは,学術関係の研究費に関して議論していいと思います。

【甲斐委員】
 今の委員長の意見についてよろしいですか。もしそうであれば,例えば本当は省庁を全部超えてほしいのですが,例えば資料として,間接経費30%を科研費では措置しているというけれども,私が知っているほかの省庁の競争的研究費ではそんなに措置されていないものがいっぱいあります。そういうものを全部見せるとか,それから,文科省が出しているものでも,プロジェクト系のものだと30%になってないのです。それらについても,資料として我々が欲しいと言ったら,それは出してはいただけるわけですよね。

【前澤企画室長】
 はい,資料としてお示しいたします。

【甲斐委員】
 それから,今回議論しなければいけない論点として,若手研究者や国際化がありますが,それもいろいろな制度で補助をしています。そういうことについても一斉に資料として欲しいと思います。もう単に科研費だけで若手を育て,国際化をやりというのは無理です。金額も全然違うので,研究費を全部俯瞰(ふかん)して,併せて日本の学術を向上させていこうという議論ができればいいのではないかなと思います。

【佐藤部会長】
 ありがとうございます。ただし,我々はこの場で何回も,何十回も審議ができるわけではないので,やはり大きなミッションとしては科学研究の中で大きな割合を占める文部科学省の研究費の在り方を重点的に審議することはもうやむを得ない,必然的だと思います。その他のことについて議論することももちろん必要ですが,それに関して多大な時間を使って何回もこの会議をやるということはちょっと時間的に難しいと思っております。

【西尾委員】
 やはり科学研究費補助金のすばらしさというのは,国公私立大学のすべてを対象とし,若手の研究者からシニアな研究者までの全ての研究者が申請可能であり,また,全ての研究分野を対象とし,しかも,萌芽的なものから大規模研究まで全てを網羅しているという,本当にフェアネスを持っている研究費であることです。
 そのようなフェアネスを有する公的研究費に関して,最近,分野細目別の上位10大学というような情報を積極的に出しておられることは大事なことだと考えております。また,そのようなフェアネスを持っている研究費だからこそ,先ほど小安先生がおっしゃったように,日本の大学全体におけるデュアルサポートがきっちりと実現できているのかということを評価する上でも非常に大切な研究費であると考えております。
 そこで,質問があるのですが,資料4-1の20ページで,分野融合的研究ということが非常に重視されてきていまして,26年度,27年度の設定分野というのがありますが,この設定分野を決めることは,どのようなプロセスでなされるのでしょうか。
 というのは,私は科学技術振興機構において,さきがけ,ERATO,CRESTの設計をしている研究主監(PD)という立場にあります。通常,これらの戦略的創造研究推進事業の領域設定を行うときのベースとなるのは,文部科学省で策定された戦略目標です。その戦略目標策定の透明性を高めるということで,最近大きな改革がなされており,その改革のもとで非常に慎重な策定がなされています。また,御説明のありました融合分野に関しましては,先ほど出ましたように,今後,日本が世界と闘っていく上で重要な分野の融合領域を設定するということも重要だと思います。
 ただし,この分野設定ということが科研費にとってはある種の危険性を伴っていると考えます。これは,科研費というものは何らかの分野を設定するというような,いわゆる戦略研究ではありません。分野設定を過度に行いますと,戦略的創造研究推進事業などの枠組みとの区別がつかなくなってしまうことが気になります。
 したがいまして,まず,融合性に関しては,この分野の設定がどういう形で決められているのかということをお伺いしたく思います。もう一方で,統合性を重視するということは細分化し過ぎたものをメタなレベルで見て,学術研究を進めるということだと思いますが,科研費についてはどのような施策が打たれているのかということをお伺いしたく思います。以上,二つのことを質問させていただきます。

【佐藤部会長】
 どうも先生,ありがとうございます。これは前期でも随分議論されたことですが,これは勝木先生から御説明いただくのがいいかと思います。

【勝木JSPS学術システム研究センター副所長】
 よく聞いていただいたという気がいたします。特設分野については,そのことをとても考えて設計いたしましたので,御説明したいと思います。そもそも,特設分野が出てきましたのは,この融合性が目的ではありませんでした。ここに書いてありますのは,結果的にそういう説明をしてございますが,どういう経緯で出てきたかと申しますと,既に平成19年度の時点で,将来の理想的な科研費制度についての議論がございまして,現代社会において問題になっている様々なことが,ボトムアップで全て出てきているかどうかを検討すると,非常に大きな問題,例えば持続可能な社会が危機に瀕しているとか, CO2の問題,あるいは,食料,人口というような問題が,個別の研究者からの提起を待っていたのでは十分な対応ができてないのではないか。
 したがって,個人の興味だけではなくて,少し社会に開かれた観点を持つ,そういう問題について研究者は敏感であるべきである。それは個々のスケールの大きな領域を設定することによって,しかし,個々の人たちが,全体をまとめるのではなくて,個々の人たちがコンポーネントとして新しいものを出してくるようなものを作ったらどうかということが,平成19年度のセンター研究の報告書にございます。
 その後,2012年,安西理事長になられて,ビジョン検討会というのが行われまして,吉川先生が主査でございました。そのときには,やはり学術の動向が大きく変化しており,ボトムアップだけでは不十分ではないか。明らかに我々が感じている問題というのは,先ほど申しました人口問題とか食料問題とか,持続的社会の構造の問題とか暴力の問題とか,そういうものを敏感にとらえられていないのではないか。それは学術の領域では必ずやらなくてはいけないことであるという答申が出されました。
 センターはそれに対して応えるために,そういうものをどうやって作ったらいいのか,ボトムアップで作るのではまた同じことが起こる可能性があるので,それをちゃんと自覚したセンター研究員の議論を通して,そういう土俵を作るにふさわしい,現在解決されてない問題,あるいは,見えていない問題というものを設定して,そこに要はコンポーネントとして入っていただこうという議論をこの3年間続けてまいりました。
 初めからうまくいったわけではございません。最初に設定したのは,食料循環という食料の問題でございます。これは食料安全保障の問題も含めまして,海外からのエネルギー供給がなくなったとき,あるいは,温暖化が起こったときにどうなるかというようなことを,いろいろな観点から出していただくということを行いました。
 それから,平成26年度の設定分野の一つをネオ・ジェロントロジーといたしましたのは,これはいわば人口問題,高齢化社会の問題でございまして,今まで65歳という生理的な,それぞれの個人の生理現象は無視して定義していたものを,そうではなくて,もう少し個人に根ざした高齢化の尺度を実際的な問題として考えるべきであるし,日本の文化における,いわば年長者を敬うということの意味も今後の高齢化社会には非常に問題になるであろう。したがって,人文科学も,あるいは,医学,社会科学も,全部集まったものであり,これは大変面白いものに発展しつつあります。
 それから,これはメンターをつけないものでございますので,全部,年に1回集まって議論をするというだけの形にしております。それで,連携探索型数理科学は,これはもうお分かりのように,新しい数学の構造というのが今非常に重要になってきているということで設定することにいたしました。
 2回目も同じように,非常にインテンシブな議論をいたしまして,主任研究員会議で決めております。そして,更に審査部会に出して承認を得ているということになっております。
 ですから,一歩間違えますとこれはトップダウンということになりまして,先生の御心配のようなことが,むしろ科研費の根本に問題に関わる可能性がありますが,同時に,ほかのところではできないことではないかとも思います。学術の振興ということに重きを置いたときに,そういう多少の危険を冒しながらも,やるべきことであるという確信を持ってやっております。ですから,我々も心配してきたことでございますが,そういうことで,是非今後も御批判の目で見ていただきたいと思っております。
 それから,もう一つ,細目の見直しの問題でございますが,今まさにやっているところです。今度,細目を区分表に変えまして,基盤(B),(C)のように非常に多くの申請がございますので,その中できちんと相対評価によって競争的に審査できますけれど,基盤研究(A)ぐらいの大きさになりますと,現細目では,数件のものが多く存在し,相対評価ができておりません。そこで,審査で切磋琢磨(せっさたくま)できるような形のものを今考えております。そういう方向で改革を行おうとしております。

【佐藤部会長】
 御説明,ありがとうございます。正直,私も特設分野の話を聞いたとき,西尾先生が抱いたような疑問を感じました。しかし,今の勝木先生の御説明によると,学術システム研究センターの主任研究員皆様の合意により,ボトムアップの意見に基づいてこれを選んでいるんだという趣旨でございますよね。

【勝木JSPS学術システム研究センター副所長】
 全くそのとおりです。

【佐藤部会長】
 ほかにはいかがでしょうか。

【橋本委員】
 初めてなので,不勉強なところがありますが,一つお聞きしたいのは,実際に科研費に採択されると一生懸命研究をして,研究期間が終わった後に終了の報告をちゃんとするわけですが,それに対するフィードバックがない。ある意味では,採択されれば後は自由にやっていいよということなので,いいことはいいのですが,審査方式の中で後処理をどのように考えるかということがもう少しあってもいいんじゃないか。
 余り面倒なことがあっても研究者として困りますが,せっかく研究成果報告をしているわけですので,それに対して何らかのコメントがあっても,褒めてもらってもいいのではないかという,そういう気がするのです。
 また,採択された研究がその後どうなったのかということについてのフィードバックが審査した側にもきちんとあった方が,目ききとしての修行にもなるのではないかという気がします。そのような事後のフィードバックのために別に費用がかかるというよりは,むしろ褒めるためにまた費用をそれに付けてもいいのではないかと思うのです。よくできた,よくやった研究に関しては少し膨らます方向で,もう少しフォローしていくと,これは若手のキャリアパスにもつながるだろうと思うのですが。
 間接的には学会等で評価されていますから,科研費を獲得してよくやったというふうには思われるかもしれないし,また次の研究費が獲得できるというのがその証拠であるということはありますが,やはり一つ一つ,到達点に対して褒めるものを褒めるということもあっていいのではないか,採択時の審査の厳密さが向上した一方で,事後のフォローがもう少しあってもいいのではないかなという気がしております。
 それから,もう一点,先ほどの若手研究者の有期雇用,私の大学でもやはり有期の人がどんどん増えており,構造的にどうしようもなくなっています。一つの大学で行う研究が広がり,研究分野が増えてきて,全部を任期なしの常勤研究者だけでやるというのはとても難しい状況になっています。そういう意味で,競争的研究費に基づいて,有期雇用の研究者がある程度増えてくるというのは仕方ないと思っているのですが,そうなりますと,一大学で全ての研究者を無期雇用に何とか収めていくという,やがては収まるようにするという今までのやり方が,成立するのかどうかということが問題ではないかなという気がします。
 それで,例えば,一企業,あるいは,一大学,一研究所では有期雇用にせざるをえないけれども,社会全体としては無期雇用をきちっと確保しているのだというのが重要だと思うのです。有期雇用でもちゃんと成果を出せば必ず次の仕事があるという安心感が持てるような世の中に変わっていかないといけないのではないか。昔のようにしようというのはなかなか難しいので,時々思うのですが,料理人で腕がちゃんとしていれば,包丁一本持ってあっちこっち,一応それで過ごせるというのがありますが,研究者の場合もそういうふうな過ごし方が可能なのだと。
 つまり,今,非常に不安定なのは,いずれ有期雇用の道が切れて研究者としてのポストがなくなってしまうのではないかという不安があるのだろうと思うのです。そういう観点から,社会総体で無期雇用を確保できるようにして,安心感を作るというのが問題かと思います。
 そういう意味で,科研費全体でどれだけの研究者雇用のキャパシティがあるのか,また,我が国の研究費全体がどれだけの研究者雇用のキャパシティを持っているかということを計ると,どのぐらい安心感があるのかということも分かるのではないという気がしますので,そういうこともメジャーとして考えてはどうかなと今思っているところです。

【佐藤部会長】
 橋本先生,ありがとうございました。大型科研費においてはちゃんと事後の評価を行っていると思っているのですが,先生のおっしゃることは,もう基盤研究(C)レベルから評価もするべきだというお考えでしょうか。

【橋本委員】
 一言でいいと思うのですよね。何か。

【前澤企画室長】
 今,そのような個別課題での評価やフィードバックを行う仕組みになっておらず,研究が大変進んだからといって,また追加の科研費が来るわけではありません。結果としては,恐らく優秀なものは次の研究費につながっていると思うのですが。ただ,私どももすばらしい成果に関しましては,年に4回,「科研費NEWS」というのを編集しておりまして,そちらで随時集めて,PRには大いに使わせていただいております。

【栗原委員】
 今の評価の話ですけれども,私ども,科研費の応募に際して申請書を書くときには,過去のどういう科研費で,あるいは,他の研究費でどういう成果が上がったかをきちんと書くことになっているので,それをちゃんと審査員が評価いただければ,長期的にはちゃんと評価されていることになると,私は割と楽観的に思っています。

【橋本委員】
 私もそれはそのとおりだと思っているのですが,例えば,ある非常に議論の分かれるような研究計画を採択する方向に動いたというときに,それが,そのとおりでよかったのかどうかということは,むしろ選んだ者の反省材料になるというか,何かそういうPDCAの最後のところをうまく回す仕組みというのは,選ぶときに,これだけ手間暇かけているので,最後にも何かあってもいいのではないかと思います。

【栗原委員】
 大型はそうだと思いますね。

【橋本委員】
 大型はもちろんやっていますね。

【栗原委員】
 今,すごく大きな視点からお話がいろいろ出ていますが,私は今回初めてなので,今回出ている具体的な提案に対して意見を述べさせていただきたいと思います。
 国際共同研究加速基金というのを今回拝見しまして,今いろいろな方のおっしゃっている,ある意味での従来からの科研費の枠組みを広げることに対して,いろいろ可能性があるのではないかと感じます。
 一つは,学術研究の現代的要請の一つである挑戦性ですが,36歳から45歳といいますと,実際,研究者が独り立ちするのに,これから何をやっていこうかと考えている世代だと思いますので,そういう人たちが実際に自分のやっていることと,それから,これから何をやるかということを,少し世界全体を見渡しながら考えて,もう少しこういうところを勉強したいというような提案をしていただき,更に挑戦につなげるのは非常にいいことではないかと思っております。
 その中で,挑戦性や融合性という観点でも審査を少しすると,現代的要請にも応えられるのではないか思います。私も若い頃にトータルでは5年ほど外国におりましたが,その頃に一緒に働いていた人たちが,現在でも一緒に仕事をするような仲間でいます。36歳から45歳は顔も見えてくる世代なので,そういう方々に是非活躍いただきたいということと,科研費に採択されたということが若い人たちにとってインセンティブになって,また更にそこから選ばれるということで,科研費の採択者を選考するということには,御意見のあったところに少しずつ現実的に応えるような視点がいろいろ入っているのではないかと思います。
 ただ,これは運用によって,入ったり,入らなかったりということもあると思うので,こうあるべきだという意見をなるべく審査に生かしていただくと。例えば細目など,従来の科研費の仕組みをなるべく変えてほしくないというところもありますが。特に若い人に挑戦いただくのは大変いいことではないかと思って拝見いたしました。

【佐藤部会長】
 ありがとうございました。今,挑戦的萌芽研究がありますし,結構若い人がたくさん獲得していると思います。民間の財団の申請などを見ると,結構若い人が挑戦的な研究費を獲得していたということがありますし,額は小さくはありますが,まずは第一歩としてはいいのではないかと思います。
 これを増額するとか,大型の種目を作るとか,そういう話もあるのでしょうか。日本学術振興会の方は何か検討されておりますか。

【勝木JSPS学術システム研究センター副所長】
 検討しております。詳細は述べられませんが,一つの目玉として検討しております。

【佐藤部会長】
 ありがとうございます。どうぞ。

【羽田委員】
 国際性ということで,伺いたいことが一つあります。国際共同研究加速基金の国籍についてですが,資料4-1の19ページの「予約採択」を見ると,これは「海外の優秀な日本人研究者の予約採択」となっていまして,海外に行っている日本人の研究者を呼び戻すための資金であると明記されています。
 これはこれで一つの考え方だと思いますが,ここを海外の優秀な若手研究者の予約採択とはできないのかと思います。日本国籍でない方であっても,日本の大学に来てもらって,そこで研究してもらうことはとてもいいことだと思いますし,実際,別の方面では,大学にどれだけ多くの外国人研究者を雇うかという点について大きなプレッシャーがかかっているということもあります。対象をなぜ日本人に限るのかということを伺わせてください。
 それに関連して, 18ページの2)の,下の(2)の「国際的な学術ネットワーク形成」というところには,「海外の最優秀な若手の受入れの調整」と書いてありますから,そういうことも可能になるような仕組みを考えていらっしゃるのかもしれませんので,教えていただければと思います。
 もう一点は,科研費では外国の機関の研究者を研究分担者にはできません。必ず研究協力者でないと駄目なわけですが,本当に国際的に研究を行おうとすると,外国の機関の研究者を研究分担者にした方がスムーズに事が運ぶのではないでしょうか。
 これは日本のお金を使ってやるのだから,日本人の研究者を支援するのであるとはっきりと決めているのであれば,それはそれで仕方がないと思いますが,実際には,やはりただ単にこちらが旅費を渡して来てもらったり,こちらから出かけていくだけではなく,先方にも主体的に研究を行ってもらったりする方が,向こうも親近感をより強く持って一緒にやってくれると思います。
 長い目で見た場合には,それは日本の国際的な研究活動を強化する方向に行くのではないかとも思っています。そういう意味で,この研究費がどこまで国籍を持つお金なのかというのをここで議論するのも面白いのではないかなと思います。

【佐藤部会長】
 ありがとうございます。先生の質問で,外国にいる若い人で,日本の研究機関で仕事をする方と決まった方が応募できるようにしたらどうかという話ですかね。一般的に外国人が応募できるという意味ではなくて,日本の研究機関で研究することが。

【羽田委員】
 そうですね。

【佐藤部会長】
 予約されている人がもらえないかという話ですよね。はい。

【前澤企画室長】
 今の羽田先生の御提案につきましては,制度的なハードルはございませんので,もう後は政策的な必要性かと思っております。この研究費部会で今後,国際化について御議論いただくセッションで一度深めていただければと思います。要は,今でも外国人の方でも日本の研究機関に所属する方は,科研費の応募資格がありますので,それとパラレルにお考えいただけるようなことかと思います。
 ただ,一方,海外の研究機関に所属する方につきましては,去年の研究費部会の御議論で,海外の日本人,海外におられる日本人研究者への支援が可能かどうかというような御意見が出されて,そこの部分は最後の中間まとめではペンディングになっているのですが,そのときに,幾つか仕組みや制度を調べたところ,やはり研究費の管理の問題が出てまいりました。日本と海外では会計制度も違いますし,その辺りが大きなハードルかなと考えております。この辺りはまた研究してまいりたいと思います。

【佐藤部会長】
 ありがとうございます。どうぞ。

【城山委員】
 一つ,最初に何点か議論されていた,要するに俯瞰(ふかん)的にものを見た上で議論するというのはすごく大事だなと。ただ,恐らくほかの制度などにおいてどうなっているかというのを踏まえて,科研費として一体どこにターゲットを置くのかという議論をするというのが現実的なところなのかなと思います。
 そういう意味で言うと,若手研究なんていうのは典型的な例で,恐らくこれは,研究費は渡すけれども,雇用の保障をすること自体が目的ではない。ただし,ここで対象にしている若手向けの科研費ではなくて,大型の科研費で雇われている若手の人というのはいるかもしれない。そうすると,ここで言う若手向けの科研費じゃないものが,実は若手向けの機能を果たしているというものをどう整理した上で,若手向けの制度を作るかというのはここで議論できると思います。
 それから,もう一つ,先ほどの年齢の話がありましたが,これは事前にお話を伺ったときに,結局,何で36歳から45歳なのですかと聞いたら,その下が日本学術振興会の特別研究員奨励費ですというお話だったので,制度的整合性は取られていると思います。各制度においてターゲットの設定はされていると思うのですが,ただ,これは逆に言うと,パーマネントな職を持っていて,この科研費で海外にも行けて,その代わり,それは非常勤講師か何か,自分で頼まなければならなくなったら,そこの手当てをしますよという,そういうタイプの人を念頭には置いていると。
 ただし,現実的にそこがターゲットとしてどれぐらい人がいるのかとか,本当にそこで手当てすることが全体でどういう意味を持つのかというのは考えなければいけない話です。ほかの制度なり,大型の科研費が若手に対してどう影響しているかというのを調べた上で,今回の新たな若手支援は何をターゲットにするかということを議論する必要があると思います。
 これはすごく大きい話ですが,デュアルサポートのお話もありましたけれども,いろいろな競争的資金の中で,科研費というのはどこに比較優位を置いて,どういう設計をするかという大きな話はあると思います。例えば規模の点とか,大型と中規模の比率とか。総額の予算は厳しい状況ですから,その中で有効利用をしようと思うと,そういうマクロの話をどこかでする必要があると思いますが,そこは話の進め方がなかなか難しいのかなという感じがしました。
 もう一つの感想は,先ほどの西尾先生と勝木先生のやり取り,すごく面白く聞かせていただきましたが,あれはもう少し詰めるといいのかなと。つまり,ここでは審査方式の話として書かれていますが,もう少し幅広い,研究領域の設定の仕方や,ある種の研究のガバナンスに関する話で,ボトムアップとトップダウンというよりは,もう少し違うニュアンスのある議論をされているのかなという印象を持ちました。
 私自身,たまたまJSTの社会技術研究開発センターというところにおりますのと,かつて人文・社会科学振興プロジェクト研究の企画を中心でやらせていただいきました。ある意味では共通なのだけれども違う点もあって,例えば,JSTなんかで行う場合も透明性という言われ方をしましたが,いろいろな人の意見を聞いて決めていかないと,今は誰も受け入れてくれない。少なくとも,いろいろなステークホルダーの意見を聞くわけですね。恐らく研究者だけじゃない,社会の人のステークホルダーも聞きますと。
 確かに最後は,学術研究の場合には主任研究員の方々も含めて,研究者が気が付いていることというのが一つのベースになるということですが,だからといって,社会の当事者の意見を聞いてはいけないのかというと,例えば,紛争研究にしろ,新しい人口の話にしろ,そういうわけにもいかないのだと思います。
 恐らくそこのボーダーが曖昧になっていて,両方にまたがっているようなものもあるのだということも認識した上で,これはこういうふうに使い分けるのだというある種の決断をするような話ですから,その辺りのフィロソフィーは何か言葉にして書き込んでおいた方がいいのかなと思います。
 例えば,この図でいうと,資料4-1の2ページの要請研究,戦略研究,学術研究というのがきれいに分かれてしまっていますが,世の中,こんなきれいではないと思うので,その辺りも何かの機会に踏み込んで議論ができるといいのかなという感想を持ちました。以上です。

【佐藤部会長】
 ありがとうございました。今後の審議に大事な御意見が出てきました。

【勝木JSPS学術システム研究センター副所長】
 今おっしゃったことですけども,主任研究員会議で決める前に,基本的にはセンター研究員以外の方のヒアリングも行っています。ですから,紛争研究の場合にはお二方の先生方を呼びまして,言わば対照になるような先生にヒアリングを行って決めています。ですから,かなりインテンシブに,そういうボトムアップといいますか,その領域が今問題になっているかどうかということを議論して決めております。

【城山委員】
 恐らくその辺りのところを具体的にどうやられているとか, JSTでもどうやっているかとかをちゃんと議論すると,審査方式という以上の深みのある話になるかなと思います。

【佐藤部会長】
 ありがとうございました。

【白波瀬委員】
 このたびの委員会は初めてとなります。2点ほど,意見というか,感想のようなことを述べたいと思います。
 第1点につきましては,そもそも射場先生の方から出たお話ですが,科研費でもちろん全ての学術的なレベルアップはできないと思います。これについては,何を目的として何を手段とするかということだと思うのですが,ここで全てを扱うのでは,やはり議論として果てしなく大きくなってしまう。学術研究助成課長から御説明があったと思いますが,この分科会として何を目指すかというときに,要するに具体的にどう運営をしていくことができるのかというところまで議論を進めようとすると,具体的なテーマをやはり絞っていかなければいけないというか,優先順位を設定して議論することが求められるのではないかと思います。
 ただ,研究費として全体の俯瞰図の中の位置付けというところでの説明は必要になってくるとは思うのです。それでもやはり全てのことを同時に進行できませんので,そういう意味では,最初,幾つか柱がありましたように,私としての一つの解釈なのですが,やはり融合性とか国際性とか,そういう柱の中で,一つの研究費としての仕組みの改善ができる役割を明示して,その役割自体について何を具体的に進めていくかという,工程表がありますと,議論としては散らばりにくいのではないかなと思いました。
 2点目は,城山先生の方からも少し議論がありましたが,融合という分野の話です。やはりこれは幾つかのレベルがあって,ボトムアップというわけにはなかなかいかないので,指針として特設分野を設定したということですが,やはり現実問題としては,トップダウンで大型の新しい領域を作るよりも,基本的に国際水準の向上も含めて,もう少し中間的なところで力を持つ研究者が育つことがまず大切です。その結果として,異なる分野が相互融合的に関係しあって,もう少し足場のところで人材が育成されて学術全体が動いていくというようなことではないかと思います。その融合的,国際的という二つのキーワードの議論の設定のレベルについては,少し今後の議論の中で明確化できるといいなというふうに一つ思いました。
 最後に1点だけ。委員の先生方は理科系が多いのですが,分野によって,特に評価,あるいは,基準についての状況がかなり違うのではないかと思います。学術といったときに,やはり基礎的な文系,人文・社会科学という分野については,これから国力を強める上でやっぱり不可欠の分野です。そういう意味では今後の学術,あるいは,評価の問題,Top10%論文と言ったときの,皆さんが暗黙のうちに想定される分野以外についても意識的に議論していただけると大変有り難いと思います。

【佐藤部会長】
 ありがとうございます。今後の審議にまた貴重な御意見,ありがとうございます。随分時間を使ってしまいましたので,簡単にお願いできますでしょうか。

【上田委員】
 私は前期からおりましたので,多少遠慮しておりましたけれども,いろんな議論はもう皆さんがおっしゃったとおりだと思います。
 こういう議論は簡単ではなくて,いろいろな具体的な案を少しずつ出していくことでやっていけばいいと思いまして,この海外派遣というのはそういう意味では,海外との研究者のパイプが太くなって,日本の研究者がより著明になって,海外からも研究者が来るとか,そういうことが何年かたって成果に現れるので,こういうことを一つ一つやっていくのかなと。抽象的な議論を幾らしても,企業も同じで,人と金の問題については,ないものはないという大前提がありますから,具体的に一つ一つやっていかないといけない。
 ただ,この制度について一つだけ気になるのは,企業の研究でよくありますが,やはり知財の問題です。日本学術振興会の若手と違って,中堅の研究者が海外に行く場合は,それなりの大きなテーマを持っていきます。そうすると,海外に行くとアウェーですので,場合によっては知財を取られてしまいます。いい研究が日本の国力になるという前提で長期にわたって考えたときには,JSTのバイドールなどありますが,新たな知財の考え方を国際的に強調しておかないと,いろんな訴訟問題になると思います。

【佐藤部会長】
 大事な御指摘,ありがとうございます。時間がなくなってしまいましたので,申し訳ありませんけど,議論をこの場で打ち切りたいと思います。
 ただいまの意見も踏まえまして,検討事項はたくさんございますけども,学術システム研究センターにおかれましても,前期から問題になっておりました分科細目表の見直しを含め,科研費の改革の専門的な観点からの御検討を進めていただけますようにお願い申し上げます。
 最後に事務局より,連絡事項が伝えられ,会議は終了した。


―― 了 ――

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-- 登録:平成27年06月 --