資料4-3 「中間まとめ」に係る意見募集の結果(主な意見)

「中間まとめ」に係る意見募集の結果(主な意見)

実施時期:平成28年9月21日(水曜日)~10月21日(金曜日)
調査対象:科研費関係機関に所属する研究者
回答件数:98件(39歳以下:22件、40歳以上:35件、年齢不明:41件)
              (大学所属の者:79件、その他の者:19件)

※()内の数値は、類似の意見の数
※◆は若手研究者(39歳以下の者)からの意見があったもの

1.「挑戦的研究」について
○挑戦的研究の審査について
・審査委員の専門分野を広くすることで、真に挑戦的な研究を選定することをかえって阻害するのではないか。専門外の審査委員は専門的な評価ができないため、結局は無難で新規性のない課題を採択する結果となるのではないか。または、荒唐無稽で非科学的な課題を採択するするリスクが増えるのではないか。◆

・「真に価値のある挑戦的な研究を見いだす」という観点で審査する場合、審査者の負担が更に大きくなり、審査の質が担保できなくなることが危惧される。

○「挑戦的研究」の重複制限について
・「挑戦的研究(開拓)」は「基盤研究(S・A)」、「挑戦的研究(萌芽)」は「基盤研究(S・A・B)」及び「若手研究(A)」との重複応募が可能であるところ、「挑戦的研究」は研究費の大きな基盤研究を出す研究者のサブ種目になるのではないかと危惧する。(5件)◆

・現行「挑戦的萌芽研究」は「基盤研究(B)」以上の大型予算に応募する研究者の滑り止めとして活用されているのが現状。両方採択となった場合には、片方を採択取消しにするべき。

・「基盤研究(A)」等の採択者については、「挑戦的研究(開拓)」と重複受給する際に、総額の研究費の上限を設定するなどの対応が必要。

・「基盤研究」と「挑戦的研究」とを並行的に推し進めるべきと考えるならば、両者の重複応募を認めるべき。(3件)◆

・「挑戦的研究(萌芽)」と「基盤研究(C)」「若手研究(B)」との重複応募を認めるべき。「基盤研究(C)」との重複応募を認めることで、多くの教員が2つ目のアイディアを考えるようになり、大きな発展が期待できる。実際に新しいアイディアを出しているのはキャリアの浅い若手研究者である(6件)

・「挑戦的研究(開拓)」と「基盤研究(B・C)」との重複応募を認めるべき。(3件)

・現行「挑戦的萌芽研究」の採択者が「挑戦的研究」に応募できないこととされているが、重複応募を可能とし、採択された場合には前者を辞退することとするべき。

○「挑戦的研究」と「基盤研究」との区別について
・研究である以上は挑戦的であり、「基盤研究」においても新規性や独創性が問われている。「基盤研究」と「挑戦的研究」の区別には疑問。単にもう一つの応募機会となるだけである。

・「挑戦的萌芽研究」に採択され、再度「挑戦的萌芽研究」に応募している者がいたが、「挑戦的萌芽研究」で研究をした後は「基盤研究」に応募するのが妥当。

○「挑戦的研究」の量的規模について
・充足率は改善されたものの、その分採択数が大幅に減らされる見込みであり、根本的な解決にはなっていない。挑戦的種目の大型化より、「挑戦的研究(萌芽)」の採択件数を増やし、採択率の維持・向上が重要。(9件)◆

・本当の萌芽的研究に対して支援をさしのべるような、上限100万円程度の極小規模の種目を新設するのが有効。

・「挑戦的研究(萌芽)」の研究期間が最低2年となったことに反対。芽が出るかどうかわからない研究に2~3年も腰を据えて進めるのは趣旨と異なる。

○「挑戦的研究(開拓)」と「挑戦的研究(萌芽)」の区別について
・両者の区別が明瞭ではなく、応募者の混乱が生じる。◆

2.「若手研究」について
○「若手研究者」の年齢制限について
・研究機関の定年延長によって若手研究者が独立した研究を行うことが困難となっている。年齢要件の一層の引上げ、受給回数制限の見直しを要望する。【32歳】

・研究者によっては、30代を過ぎて海外でPhDを取得する者が大勢いる(特に文系)。博士号又はPhD取得後の年数によって定義してはどうか。

・40歳以上であっても、博士号取得後5年以内であれば「若手研究者」として認めるべき。

・35歳以下もしくは博士号取得後7年以内という定義としてはどうか。

・日本の教育機関にテニュア教員として所属して以降の年数で定義してはどうか。(2件)

・科研費の研究代表者としての受給金額の総額や受給回数によって定義してはどうか。

○「若手研究(A)」の新規募集停止について
・「基盤研究(B)」に応募している若手研究者は696名(全若手研究者の2.2%)であり、「基盤研究(B)」で戦えるごくわずかな者だけが応募している状況であり、採択率が高くなるのは当然。「基盤研究」へのステップアップを促進するためには、「若手研究(A)」は必要なものであり、廃止することには反対。(2件)◆

・「若手研究(A)」を廃止する場合、その採択件数・助成金額を「基盤研究(B)」に充てるのがよい。「若手研究(A)」に採択されるレベルの研究者であれば「基盤研究」も獲得できる。(4件)◆

・若手研究者はシニア研究者に比べて研究キャリアが短いため、絶対的な論文数が少ない等の不利がある。「若手研究(A)」を廃止する場合、この点を「基盤研究」の審査基準において考慮するべき。

・「若手研究(A)」の廃止に係る経過措置において、若手研究者の課題をどの程度採択するのかが不安である。◆

○独立支援について
・若手研究者がPIとして独立して研究することを希望しても認められない状況がいまだにあり、若手研究者が主体的に独創的な発想に基づく研究に取り組むことを促す仕組みが必要。

・PIの定義において独立した研究スペースの保有を要件とすれば、研究室や設備の整備が難しくなっている中で、学術研究の支援とならないのではないか。

○「若手研究」の受給回数制限について
・20代中盤でテニュア職を得て科研費を獲得した場合、30代前半で「若手研究」の応募資格を失うこととなる。30代中盤では、中堅・シニア研究者と比べ業績や知名度で劣るため、「基盤研究」での採択が困難となる。受給回数制限による弊害の解消を臨む。◆

・「若手研究」の受給回数制限を3回ないしはそれ以上としてほしい。

○女性研究者のライフイベント対応について
・女性研究者については、博士取得後に産休育休を取得する場合、あるいは育児負担が大きい乳幼児期が重なる場合、ある程度の猶予期間を設けてほしい。

3.「特別推進研究」について
○「特別推進研究」について
・ノーベル賞受賞者にあっても、准教授・助教授の次期から定年まで、20年以上最先端の研究を行う必要があることから、「特別推進研究」の複数回受給を不可とするのではなく、3回採択を受けた者については、別枠による審査制度を設けてはどうか。

・「基盤研究(S)」を「特別推進研究」に統合する。挑戦研究種目群における新学術と基盤研究種目群における特推を対で考える。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課企画室企画係

工藤、藤田
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