資料3 学術情報のオープン化に係る研究データの公開等について(案)

1 趣旨

審議まとめにおいて、「論文と論文のエビデンスとしての研究データは原則公開とすべき」とし、基本方針を示した。一方、研究データについては、全ての公開を意味するものではなく、データの内容によっては非公開とするなどその取扱いを定める必要がある。このため、研究データの公開・共有(以下、「公開等」)に係る取扱方針等を明確にする。

2 研究データの公開等に係る基本事項

(1)公開及び非公開の考え方
公的研究資金による研究データの中には、公開等になじまない性格のものも含まれている。このようなデータについては、非公開とするかまたは公開等を制限する。また、特別な配慮(例えば、個人情報を含むデータについては、前提としてデータ提供者の同意が必要であることに加え、個人の特定につながる情報の排除等データ加工の必要がある)を行った上で公開する。

○非公開とするデータの例
・機密保持、企業秘密、国益及び国家安全保障に関わるデータ
・研究成果の商用化・産業化を目的として収集されたデータ
・民間企業が保有するデータ
・共同研究契約等で研究成果の公開に制限があるデータ

○公開を制限すべきデータの例
・個人のプライバシーの観点から保護が必要なデータ
・財産的価値の観点から保護が必要なデータ

(2)取扱いの具体化
1  基本的事項
研究データの公開等に関しては、一般に以下の段階や取扱いが考えられる。このため、各分野における研究の特性や状況、研究の発展、社会・経済への貢献等を踏まえ、適切な段階を選択し対応していくことが必要となる。
ア 個人での保管
イ 研究グループ等の構成員限りでの共有
ウ 限定された者への公開
エ 一般公開

2  公開及び非公開の区分
データの公開及び非公開の区分については、現状において先行する多くの機関や研究プロジェクトにおいて、一般公開(オープン)と非公開(クローズ)の間に、制限共有(セミクローズ)及び制限公開(セミオープン)のいずれかあるいは両方を設けている。
このような実績も踏まえ、データの公開等に当たっては、オープンとクローズの間の中間的な取扱いを可能とする。具体的にどのような取扱いとするかについては、データの特性や内容、研究機関の方針等を踏まえ、大学・研究機関におけるデータ管理規則(下記3(1))において定める方法や、研究プロジェクトにおけるデータ管理計画(下記3(2))で規定する方法などにより、予めルールを明確化する。

3  データの公開等までの猶予期間について
研究データの公開等を行うまでには、データ取得者が論文等自身の成果物を作成(知的財産化を含む)するとともに、データを公開するために必要な処理(データの補正や品質管理等)を行う必要があることから、データを取得した時点から公開等を行うまでに一定の猶予期間を設けるべきである。分野やプロジェクトごとに準備等に要する期間が異なると考えられることから、具体的な期間については、データ管理規則やデータ管理計画において個別に定める。

4  民間企業との共同研究における取扱い
公的資金と民間資金との共同研究により得られた研究データや、民間企業も参画する公的研究拠点における研究において取得された研究データの扱いについては、関係者の合意(ライセンスの締結等)によるべきである。また、このようなデータは、将来の日本の産業競争力の源泉となることも考えられるため、大学、研究機関においては関係者との合意を十分尊重した取扱いを徹底する必要がある。

3 データ管理規則等について

(1)データ管理規則
研究データの保存、公開等は、データの取扱いについて規定したデータ管理規則に沿って行われるべきである。このため、大学の組織や研究分野の中核的研究機関として研究データの収集、公開等に取り組む国立研究開発法人等においても、それぞれの機関の目的やデータ公開等の必要性を踏まえ策定する必要がある。また、研究資金配分機関においては、データ公開等に係る方針(データポリシー)を示し、研究者に対する啓発やデータ公開等の促進を図る。規則等を策定する際に参考となる事項については参考資料に示す。

(2)データ管理計画
研究データの公開等を進めるため、研究資金配分機関において、研究プロジェクト等の必要性に応じてデータ管理計画を導入することを検討する。また、この取扱いについては、公募要領やデータポリシー等に記載する。


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