参考資料2 諮問第5号「科学技術基本計画について」に対する答申等におけるオープンサイエンス関連部分(抜粋)

1.諮問第5号「科学技術基本計画について」に対する答申
(平成27年12月18日 総合科学技術・イノベーション会議)

第4章 科学技術イノベーションの基盤的な力の強化
(2)知の基盤の強化

3.オープンサイエンスの推進

オープンサイエンスとは、オープンアクセスと研究データのオープン化(オープンデータ)を含む概念である。オープンアクセスが進むことにより、学界、産業界、市民等あらゆるユーザーが研究成果を広く利用可能となり、その結果、研究者の所属機関、専門分野、国境を超えた新たな協働による知の創出を加速し、新たな価値を生み出していくことが可能となる。また、オープンデータが進むことで、社会に対する研究プロセスの透明化や研究成果の幅広い活用が図られ、また、こうした協働に市民の参画や国際交流を促す効果も見込まれる。さらに、研究の基礎データを市民が提供する、観察者として研究プロジェクトに参画するなどの新たな研究方策としても関心が高まりつつあり、市民参画型のサイエンス(シチズンサイエンス)が拡大する兆しにある。近年、こうしたオープンサイエンスの概念が世界的に急速な広がりを見せており、オープンイノベーションの重要な基盤としても注目されている。

こうした潮流を踏まえ、国は、資金配分機関、大学等の研究機関、研究者等の関係者と連携し、オープンサイエンスの推進体制を構築する。公的資金による研究成果については、その利活用を可能な限り拡大することを、我が国のオープンサイエンス推進の基本姿勢とする。その他の研究成果としての研究二次データについても、分野により研究データの保存と共有方法が異なることを念頭に置いた上で可能な範囲で公開する。

ただし、研究成果のうち、国家安全保障等に係るデータ、商業目的で収集されたデータなどは公開適用対象外とする。また、データへのアクセスやデータの利用には、個人のプライバシー保護、財産的価値のある成果物の保護の観点から制限事項を設ける。なお、研究分野によって研究データの保存と共有の方法に違いがあることを認識するとともに、国益等を意識したオープン・アンド・クローズ戦略及び知的財産の実施等に留意することが重要である。

また、国は、科学研究活動の効率化と生産性の向上を目指し、オープンサイエンスの推進のルールに基づき、適切な国際連携により、研究成果・データを共有するプラットフォームを構築する。

2.「我が国の中長期を展望した科学技術イノベーション政策について」(最終取りまとめ)
(平成27年9月28日 科学技術・学術審議会総合政策特別委員会)

第3章 イノベーション創出基盤の強化
2.イノベーションの源泉の強化 
(2)研究開発活動を支える共通基盤技術、施設・設備、情報基盤の戦略的強化

4.情報基盤の強化

研究成果のオープンアクセス化を進めるべきという考えは世界的な流れとなっており、関係機関の連携・協力の下で積極的かつ戦略的に対応していくことが求められる。平成27年3月には、内閣府において「我が国におけるオープンサイエンス推進のあり方について」が取りまとめられ、公的研究資金による研究成果(論文、研究データ等)の利活用促進を拡大することを基本姿勢とし、公的研究資金による研究成果のうち、論文及び論文のエビデンスとしての研究データについては、原則公開とするといった方針を打ち出している。こうした動きを踏まえ、公的研究資金による論文及び論文のエビデンスデータの公開に関する推進方策の検討を進める。また、政府は、科研費等を通じて質の高いオープンアクセスジャーナルの育成等を促進するとともに、論文等の公開を促進するプラットフォームとしての機能を果たす大学等における機関リポジトリ(論文等を機関ごとに保存・公開する電子アーカイブシステム)の構築とその機能強化を推進する。また、リポジトリは研究データの流通・共有の基盤としても重要であり、政府はその整備に当たり、各大学等のリポジトリ間の連携・データの共有の促進やその効率的な整備の観点から、アカデミッククラウドの構築を推進する。

加えて、我が国においては国際的に認知された有力な学術雑誌(ジャーナル)の発行は少なく、研究者は海外のジャーナルに成果を投稿せざるを得ない状況にある。こうしたことを踏まえ、学協会の取組への支援などを通じ、日本発の有力ジャーナル創出に向けた取組の促進を図る。

これらの取組に際しては、研究データのシェアリングなど、オープンサイエンスを巡る新たな動向に留意して適切に進める。

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室

佐々木、三石
電話番号:03-6734-4080
ファクシミリ番号:03-6734-4077
メールアドレス:jyogaku@mext.go.jp(コピーして利用される際には全角@マークを半角@に変えて御利用ください)

(研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室)