資料2 第10回 学術の基本問題に関する特別委員会 概要(ポイント)

 

【私立大学から見た学術研究における課題について】
○ 政府による科学技術、学術研究活動への投資は、科学技術創造立国実現のための非常に重要な柱であり、イノベーションの創出を通じて国力増進の源泉であるということも、紛れもない事実。また、日本がアジアをはじめ世界を牽引するリーダーとして国際的に重要な役割を果たすためには、人財の育成と科学技術の振興こそが国家戦略として最重要課題である。

○ 国家の枠組みを超えた人類が直面する諸課題の解決に対しても、科学技術政策の関与は不可避となっているのが実情。こうした諸課題について、特に日本が世界をリードして解決していくためには、やはり活力にあふれた新しい多様な価値を創造できる自立した人財が多く必要。また、社会基盤全体のレベルアップを図る人財育成と、我が国の産業競争力強化のためには、科学技術の研究開発を進める研究人財の育成と両輪で学術研究の推進を図るべき。

○ 持続可能なイノベーションの創出のためには、基礎研究における科学的発見や発明と、その成果を具体的にイノベーションへとつなげていく実用化のための環境整備が必要。
 また、現状直面する課題として、高等教育に対する公財政支出のOECD加盟国の平均が対GDP比1.1%であるのに対して我が国は0.5%であり、加盟国中の最下位。少なくともOECD加盟国平均までに達するように、早期に科学技術関係経費を含めた高等教育関係経費の量的拡充が達成されたうえで、質的拡充へ踏み出すべき。

○ 私立大学は学部学生の約8割と大学教員の約6割を占めており、私立大学の学術研究を活発に勧めていただきたい。幅広い人財を量的、質的の両方で拡充していかないと、学術研究を推進する源泉にならない。特に私立大学と国立大学との間には、研究費や教育研究環境の格差が厳然とあり、この格差が競争的資金の獲得実績に直接的な影響をもたらしていることは強く認識されるべき。私立大学としては、国の財政的支援をできれば全額補助で早期に実現したい。
 また、我が国では、研究費配分上位10番目の大学の研究費がトップ大学の10%の研究費まで減少してしまうのに対して、アメリカではおおむね100大学でやっと同様の額まで減少する。我が国の研究費配分には非常に偏った傾向があるのではないか。一部の頂上を引き上げるだけではなく、視野の広い研究開発投資を行い、視野の多くを担っている私立大学の潜在的研究力を活用し多様性の確保に努めることが、21世紀における科学技術振興のために極めて重要。収入の多くを学生の授業料に依拠せざるを得ない私立大学の研究活動に対しては、国による積極的な投資がさらに拡充されるべき。

○ 基礎研究の段階からイノベーション創出までの研究活動における公共投資の役割は非常に大きく、これらの研究活動を中核的に担う大学に対して公共投資の拡充が幅広く図られるべき。学術研究が社会における役割を十分発揮し、我が国の科学技術が一層飛躍するためには、理系とともに、人文・社会科学を含めた諸科学の調和ある発展が重要。この点でも、私立大学の役割は非常に大きい。

○ 研究者の自由な発想に基づく研究活動がなければ真のイノベーション創出は継続し得ない。幅広い支援と重点的投資とのバランスの取れた政策が必要であり、科学研究費補助金をはじめ、広範な基礎研究への果敢で継続性のある公共投資が不可欠。そういう面でも、多くの学術研究分野で活躍する私立大学の意見をより有効に反映し、学術界の総力を結集する体制で取り組んでいく必要がある。サポート体制の充実を図り、私立大学研究者が利用しやすいシステムの確立が不可欠。

○ 大学教育に対する積極的な投資がなければ、我が国の未来を支える質・量ともに豊かな科学技術人財層の形成は不可能であり、人財育成を国の主要な政策の根幹に据えるべき。
 特に今の課題としては、博士課程の充実策をしっかりとやっていく必要があるのではないか。日本人の学生はなかなか博士課程に進まず、特に社会科学系の博士課程では留学生が主で、日本人学生は余り進んでいないという現状がある。研究は、大学院の修士ではなく博士課程が中心であり、国公私立問わず大きな課題だと思うが、日本には特に博士課程の人財の有効活用策が欠けている。そういう面でも、博士課程の充実をお願いしたい。

○ 今の政権が地方創生と言っているが、地方には私立大学が結構多い。地域創生に係るところは地方の大学が核となり、そこでの学術研究に対して研究費を支援するような制度創出が望まれるのではないか。私立大学は、地域貢献の潜在力を有するところが多々あるということも留意すべき。

○ 全国の大規模利用研究施設への私立大学の利用促進策も必要。現状、国立大学と大きく違うのは、私立大学が継続すると半額のみが補助され、残りの半額は大学が持つような体制になっている。全国共同利用であれば、やはり国立大学と同じような形にしていただきたい。
 また、国公私立関係なしにオールジャパン体制、研究・学術人財のスマートグリッド化の実現を目指していくことを是非提案したいが、財政基盤の問題から私立大学の体力は国公立に比べて著しく劣るため、この現状を改善することが急務。

○ 私立大学の特有の問題だが、教員組合との関係がある。優秀な研究者や教員を見分け、若手研究者の発展可能性を評価し処遇するためには、その役割を明確にするとともに、大学教員に対して企業労働者とは異なる位置付けが必要。

○ 教員組合があると、どうしても組合との折衝があり、企業の労働者と同じような立場になる可能性があるため、大学教員に対しては企業労働者と異なる位置付けが必要。また、アメリカでは自由に教員が異動することがあるが、私学には教員組合があるために自由な異動が少し制限されているのではないか。

○ 私立大学の科学技術創造立国・日本への貢献を考えるときには、2つの視点が要ると思う。1つは、全国700校近くある私立大学の役割として、理系、文系を含めたリベラルアーツを育てる使命・役割をどう強くするかという視点。2つ目は理工系の視点で、特にアメリカの理工系はほとんど私学が引っ張っている。その中で、現在のアメリカの私学における大学教員や研究者と、アメリカを支えているイノベーター等の労働者とを対比し、日本の現状はどうあるべきかを考えるべき。

○ 大学共同利用機関法人としては私学にも施設を利用していただきたいが、ある部分では競争のところもあり、申請された研究施設によって選ぶこともある。また、実際に博士取得者数の割合などを考えると、少なくとも理工系では私学で学位を取れる人数は大分低く、研究者を出す度合いは低い。

○ 結果として、国立大学の研究者を少し優遇している面があるのでは。また、交通費等の補助を私立大学研究者に対しても配慮できないか。実際に応募したいが制度面でためらうところがあるため、ここも補助していただけると、私立大学研究者が応募しやすくなってくるのではないか。大型共同利用施設の研究者と連携を結び、私立大学の大学院の教育研究にも携わっていただく、あるいは私立大学研究者が施設へ行って互いに連携するような方策をもっと活発にできるような制度がきちんとできれば、互いにメリットが出てきて共同利用しやすいのでは。

○ 日本学術振興会のDCとかPDの審査は公平・公正に行われており、国立の研究者を優遇して私立を落とすことは全くない。申請数は私立の方が少ないように感じる。現実には審査でボーダーに並ぶと、私学の方が珍しいのでむしろ有利であり、もっと申請したらいい。私立大学への援助については、何を援助すればいいかというのが具体的に見えない。

○ 私立大学の現状として、学生が博士課程に進まないのはやはり学費が問題。国立に比べて私学は、人文学・社会科学系での差はそれほどでもないが、特に理工系において差が大きい。例えば、私学は1年間で120万円から150万円、国立の場合は50万円少しとなっており、加えて奨学金も私学は若干少ない。この部分の差が一番苦しく、私学が国立と闘えない理由。何とかもう少しうまくしていただけると、私立大学の博士課程にも学生が進むような状況が出てくるのではないか。

○ 人材育成が最重要課題であり科学技術立国を支えるものだということは、全くその通り。この中で特に、人文学・社会科学系の博士課程の人材の活用・進学がなされていないことは、国立大学でも同じ状況にある。

○ 日本社会の構造そのものだとも思うが、人文学・社会科学系の大学院に進学するとほとんど研究者にしかなれない。企業がそうした人財を幅広く活用できるようなシステムが日本にはまだないのではないか。企業の方から聞くと、学部と大学院の学生を採っても余り変わらず、極端に言えば大学院の学生を採る方が少しマイナスのような感じだという意見もある。大学院は高度人財と研究者養成を行うと思うが、ここが外国と異なり進んでいない。今、社会科学系には留学生が多いが、それは国に帰ったらそれなりの処遇があるから。日本の場合はそれができていないのが一番大きな問題。

○ 私立大学でいわゆるテニュアポジションに入れる人と、国立大学でテニュアポジションに入れる人の間に年齢差があると聞いたことがある。もしテニュアポジションに入るのが遅いならば、そちらの方に学生・若い高等人材が行かなくなる可能性がある。

○ 私立大学と国立大学では、公財政の部分の差が大き過ぎる。国立は86校で運営費交付金が1兆2,000億円、私立大学の補助金は500校以上あって3,300億円であり、私立大学に通わせている親は税金で二重に投資しなくてはいけない。私立大学も公共財として認められており、早期に半額まで補助するべきだという提言もされているが、いまだにそれができていない。まずできるだけ早くこれを解消していただきたい。

○ 私立大学の教員が国立大学と比して魅力としてまず第1に言うのは、給料が上がったこと。しかし、その分処遇がいいというわけではなく、国立に比べ1人の先生がたくさんの学生を見なければならず、大規模な授業をやる必要も出てくる。
 また、私立大学は経営をやらなければいけないので研究に特化した教員ポストというのがなかなかない。何らかの公的支援があれば、私立大学でも十分研究ができるポストが作れるようになり、非常に有り難い。

○ 大学あるいは全体で、准教授、教授と待てばポジションが上がるという旧態依然としたものがどれだけ残っているのか。科研費の申請がほとんどないような私立大学の話も耳にするが、それではよくない。エネルギッシュな人が競争的資金を取ってくれば、間接経費も上がる。人材交流はキーポイント。

○ 日本学術振興会の特別研究員の審査は、公平・公正にやっている。国立大学と比べて私立大学のサポート体制が非常に薄くなっているのは、学費の問題と、競争的資金への応募等についての支援職員の問題などがあるのではないか。また人材交流については、国立大学と私立大学で年金体制が違うこともあり、異動すると損するということが随分あり、現実には大きな課題。他に、私立大学にあって国立大学にないものとしては、プラスアルファを付けて早くリタイアしていただく選択定年制などのシステムがある。
 
○ 私立大学、国立大学それぞれに苦労しているところは多々あるが、互いに、あっちはいいなというように見ている面が強い。学術研究、人材育成、教育を本当に大学が一緒になって進めるためには、私立大学の方はそこを乗り越えないといけないので、これからの大学が具体的にどうしたらいいのかを国立大学と私立大学が一緒に語り合うようになっていただきたい。

○ 自然科学系と人文学・社会科学系の両方を持っている大学において、そのバランスをどのように取っていくかについて、国立大学協会で議論し始めているので、私立大学とも是非一緒に議論させていただきたい。

○ 私学にとって大学院は非常にお荷物であり、資力はできるだけ学部教育に投入する傾向にあるため、特に人文系の大学院が添え物のような形をとるのは必然。研究を志向する私学は、本当に一部の限られた大学。
 また、グローバル人材育成といった中で英語人材が極めて重要になっており、一方で、学問全体を底上げするような専門性を持った教員の採用は不可能に近くなってきている。英語教育学などは引く手あまただが、英語以外のディシプリンでは若い人の研究者のポストがなくなっている。

○ 研究は博士課程が世界標準であり、国公私立関係なく博士課程の充実や人財を生かすことが日本にとっては一番重要。博士課程の充実を、場合によっては文科省だけでなくほかの省庁も一緒に考えてやらないと、日本の科学技術立国はできないのではないか。

 

【最終報告に向けた審議について】
○ 大学と産業界の対話について、あちらこちらで似たような話が多く動いており、どこでどのように機能してくるのかが全く見えないのが大変心配。この委員会が1番と言うつもりはないが、産業界の方からの意見が強いとしたら、当然対話はしなければいけない。先日のヒアリングにおいても、一部の内容については個人的に大変危惧する内容も含まれており、相互が腹を割って、中の実情を理解し合わないと、互いが批判したまま終わるのではないか。現場で理解をしないで、改革につなげて動かない限りは実を結ばない。そういうことも含めて調整をし、あるいは議論をしていく場が必要。
 大企業は社会に非常に大きく貢献をしているが、学術そのものを大変大事にし、そして産業まで結び付けてくれている、昔ベンチャー的な部分から出て成功している企業もたくさんあり、そうした方々が日本の中枢の有識者会議等々に余り出ていないというのは大変残念。そうした方の話も是非聞いていただきたい。
 豊田合成について知る限りは、全く基盤がないところで、赤﨑先生の仕事の一番基礎の段階のところであそこまで立ち上げている。こういう、何を基にして企業が動いているのかもやはり知っておきたいし、そういう企業がさらに多く、増えていただきたい。
 ワシントン大学に行った際に、大学教授たちが起業化をするための支援者との議論の場にも出させてもらったが、基礎の段階から、改めて彼らが学術の基盤を大事にしながら、草の根から参画してくることについて、日本と大きく差があると感じた。

○ 科学技術・学術審議会の領域を少し超えた高等教育の部分について、特に博士課程教育の抜本的改革まで踏み込んだ画期的な報告になることを期待。

○ 大学と産業界の対話の非常に悪い例について。日経新聞の10月4日に、文部科学省は50億円を計画して、理工系の博士課程人材の即戦力を育成するということが報道されている。産業人のOBとして、産業界は即戦力を育成してくださいと期待、要求しているとは思えない。長期的に、特に博士課程には、やがてイノベーティブな素質やリーダーになってくれる素養を持って社会に出てくれる人を期待している。即戦力を持って出してくださいと誰が言っているのか。まさに大学と産業界の対話の不徹底の事例。

○ 企業の人材開発課長などは、本音は即戦力の人材が欲しいと言うこともあるが、それに流されることなく、企業トップの意見を優先するようにして、政策をきちんと誘導していただきたい。メディアにも、政策はきちんと長期的視線でやっているということを流していただきたい。

○ 人材というのも結果としての人材を見ている。あるいは研究の成果の部分についても、レビューを受けた論文という指標で結果を見たときのことが書かれているが、実際には、学術研究を進める上での質の問題やその質全体を高めるという観点を置くべき。現時点では、大学教育、あるいは研究の状況として本当に質が確保できているのか。人文学・社会科学の振興の中にあるものも含めて、現時点ですぐに結果が見えるようなものでなくても、学術としての研究を維持していく必要性があることを何らかの形で強く訴えることが、今、我々に求められているのではないか。

○ 例えば、研究の質をどう測るかということは非常にいろいろな側面があるが、それを単にビブリオメトリックスでやればいいという話ではなくて、各大学人あるいは科学者のコミュニティが、自分たちの研究の質をどう担保するかということだと思う。それによって、きちんとした人材を育成できるという根幹的なものを大事にする位置付けが必要。

○ 結果としてのアウトプットもさりながら、研究指導のプロセスそのものの重要性はやはり強調しておかないといけない。また、研究の視野を短期的な成果に絞られると、とりあえずファーストステップを超えてポジションを得ると、すぐ息切れしてしまう。やはり研究者は、持続する志を持って、自分の研究プログラムにとことんこだわっていくことが非常に重要な側面を持つ。そういう意味での、研究を自ら成熟させていける研究者をトレーニングしていくことに重きを置かないと、研究者養成の話は片手落ちになる。

○ ノーベル賞が出るたびに、自由な環境で、のびのびと考えているからできたというコメントが出るが、それが施策に反映されないのは一体どういうことか。日本が育んだ非常にすばらしい研究環境が失われてしまった。それを是非とも回復すると言うと守りと思われるかもしれないが、いけいけどんどんのままで、研究がうまくいくはずがない。もう少し真摯に捉えて、そのことを全面的に主張するということを取り入れるべき。具体的には、大学、研究者、教員の徹底的な研究環境の整備がないと、学生の教育もできないし、幾らプロジェクトをいただいても、うまく回らない。確かにお金はたくさん来ていると思われるかもしれないが、現状は、あれもやれ、これもやれ、それで学部教育はあり、実習もやるなど、一生懸命、24時間へとへとになって働いており、我々教員は研究ができない環境になっている。
 また、いけいけどんどんで、質より量みたいな議論は非常に危ない。私たち研究者は、絶対的に量より質を取らなければいけない。たとえお金が来なくても質を確保しなければいけない。これが随所に表れていないと本末転倒。我々研究者が研究できない状況を作っていては日本に未来はないのではないか。

○ 人文系の場合、現在の博士課程前期・後期というシステムでの5年で学位を書かせることはできるが、その学位に関わる論点以外のところでも役に立つ人材を育てる期間としては極めて短い。極端に言うと現実には役に立たない研究者を再生産しているという状態ではないか。イギリスやアメリカの場合だけでいうと、人文系で、3年間で学位をとっている人というのは極めて少なく、3年間ほどで学位の提出資格を得て、後はフィールド調査などいろいろなところで研究し、5年から7、8年の間くらいに学位を出すというのが一般的。あまりに性急に形としての学位論文の作成を求め過ぎているのではないか。特に人文系の場合にはそう思う。

○ 今回の赤﨑先生のノーベル賞に至る経緯について、赤﨑先生が始められた当時は非常に難問であり、かつ、ほかの人とは違う道をいっていた。こういう独自性、独創性を発揮されたものについて、当時の国立学校の当たり校費というのが、とても機能したということはあると思う。その次のステップとして、科学研究費補助金で支援し、そして、本当に実用化に近い段階で、豊田合成との共同研究へ資金を投入したという経緯がある。赤﨑先生のそういう基盤的な経費からスタートして、そこが非常に重要だということも含めて、しっかりと説明していくことが重要。

○ ノーベル賞が出るとその年はすごく盛り上がるが、2年ほどするとまた同じ議論を始めざるをえないので、それを続けていただくことが必要。

○ 天野先生も、自由に、とてもいい環境の中で仕事をさせていただいたということをおっしゃっていたが、出口志向の、成果を求める環境の中で、自由な環境というものをどうやって確保していくのかは非常に大きなテーマ。
 国際化や地域貢献、産業界との連携など、大学の外的なものとの対応関係がどうしても議論になってしまうが、本当はそれだけではなく、科学自体に内在する部分について、自由な環境の中で、先生方が日々苦闘していることの中に、科学の新しい芽が出てきているといったところの説明が必ずしも十分できてないのではないか。特に今、科学自体が随分変化しており、従来専門分化してきたものが、ライフにしてもナノにしても、非常に融合的な領域にどんどん展開しており、そこに貢献していくためには自由な環境が必要という説明が、これまで弱かったのではないか。

○ 日本学術振興会は、世界の学術振興機関の長との会合が頻繁にあり、その中で見ると、日本とアメリカとイギリスとドイツの4か国が世界の学術や、イノベーション、科学技術もリードしていく状況にあるが、日本は国際共同研究等々の素地が相対的に非常に弱ってきている状況。研究者にとっての非常に自由闊達な環境が維持されて、それをよしとする素地があるのが、これらの4か国。日本がその4か国の中に入ったままでいかないと、科学技術の技術開発の方までが弱っていくことは目に見えている。中国、韓国がノーベル賞になかなか手が届かないのは、研究の自由な環境ということが非常に大きな素地になっていると思うので、学術研究が国力の源であるということについて、是非うたっていただきたい。

○ 大学の研究者、教員に事務作業ばかりやらせることこそが税金の無駄遣いではないか。餅は餅屋であって、研究者には頭を使わせることが必要。本当に頭をぎりぎり使っている人たちとそうでない人とは分けて、学術論を展開すべき。本当の基礎研究にいかに税金を集中投資するかという論理はあってもいいのでは。それはイノベーションで、経済がどう、というのとは全く違う次元の議論。

(以上)

お問合せ先

研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)