資料4 産業界からの意見(概要)

 

1. 中間報告の感想等について

  • これまでこうした報告書は多々とりまとめられてきたが、抽象論で終わっていることが多いので、ここから踏み込んだ具体策も含め、今回こそ実行に繋がるよううまくやっていただきたい。
  • この報告書から、学術界の危機感を強く感じることができる。
  • 一読して、この報告書は日本の学術界のMission statementではないかという感想を持ったが、そうであれば初めての試みで大変意義深い。元々学術界は自身の世界には宣言をしっかり出す文化があると思われるが、この宣言は学術界だけに向けたものではなく、広く世の中に向けたものであると想定でき、大変画期的。
  • 学術研究の環境確保を謳っているが、なぜそれが損なわれているか報告書では原因分析が記述されていないので、何を具体的に要請されているのかが分からない。
  • 改革の方向性についての記述は分かりやすいが、今後、どういうアクションになっていくのか見えない。「国立大学改革プラン」をどう位置付けるのかが問われる。
  • 人材や産学連携の議論について、各々の委員会等でばらばらに議論せずもっと連携して検討すべき。
  • 個々の研究者が、自己の研究がいかに社会に貢献するかを説明できることが必要。また、「産業界」というと敬遠する先生がいるが、「社会に」還元すると考えてもらえば良いのではないか。
  • 今回の中間報告で訴えているような議論は何度もなされてきており、実現性の困難さは理解しているが、方向性には違和感がない。
  • 問題意識はおっしゃるとおり。融合性や総合性はできていない。ただ、研究者が融合するにはマルチなことに触れさせることが必要で、制度など外側だけ議論しても仕方がない。
  • 第3期から第4期科学技術基本計画に変わったときに、技術分野の重点化からターゲットドブリンに変えようとしたが、結果としてそれが多様性に制約を掛けてしまった。
  • 報告書にある若手育成・教養育成は大切。

2. 研究一般について

  • 自律性が重要、覚悟に基づくコミットメントが不可欠というのはその通り。
  • 第4期基本計画等で出口の明確化が言われている中、産業界の認識としても、このままで行ってよいのか異論を持っている人もいる。あまりに出口や橋渡しに拘りすぎているのではないかという認識にある。第5期基本計画に「課題解決」というキーワードを入れるかどうかは議論されるべき。
  • イノベーションの源泉としての学術の役割については産業界も期待している。大学がきちんと基礎研究をすることが、持続的なイノベーションには不可欠。
  • 基礎研究あっての応用研究であり、基礎・応用、両方の推進を政府としてすべき。また、諸外国に比して基礎研究の結果が産業とうまくつながっていないのは確かだと思うので橋渡しは必要だが、基礎は基礎でしっかりやるべき。厚みのある基礎研究から出口までの一貫した流れを大事にすべき。
  • 開発研究というと要請研究や戦略研究の意味が強く、学術研究はやはり基礎研究の意味が強いと感じる。第5期科学技術基本計画に向けては、特に何が重点なのか、どのようにバランスをとるべきか、きちんとした整理が必要。
  • 基礎研究や内在的動機に基づく学術研究がベースであり、それなしに出口はありえないというのはわかるので、根本的な議論が必要。
  • 社会で研究の歴史を振り返ることが重要。企業内で利益に大きく貢献したテーマを振り返ってみると、そうしたテーマのほとんどが、最初からすぐに結果が出るものではなかったことがわかる。その時培った技術が何十年後かに違う形で大きな結果を出すこともあり、これは大学の研究も同じ。最初から出口ばかりを考えているものなどほとんどなかったのではないか。
  • いつマーケットに出るか分からなくてもいいので、真理の探究、本質的なイノベーションを意識した研究を大学には求めている。最低でも10年、という意識を持った研究を増やすべき。今はどうなるか分からなくても良いので、新しい現象を探求する努力が必要。
  • 最近の大学の研究は、出口志向の研究が強くなりすぎており、企業の基礎研究との差がなくなってきている。最大の原因は、基盤的経費と競争的資金のバランスが悪いこと。競争的資金が多くなり、研究者側もどうしても出口や経済効果などを意識したものになってしまう。
  • 学術研究の重要性として啓蒙すべき点が「研究者の自主、自律的興味に基づく研究の意義にある」と主張しているが、真の課題は学術研究の意義と予算規模との関係付けにあるのではないか。
  • 国は競争的資金を増やしているが、論文につながる科研費以外の他の競争的資金は、論文につながる場合もあるが、分野に偏りがある。一方でイノベーションを意識すると、論文を出しにくくなるが、この矛盾をどう解消するかが課題。
  • 産業界は必ずしも出口を見ろと言っているわけではない。基礎研究であっても目標があるはずであり、その目標がうまくいかなかったときには、やめることと更に投資して改善することの2つの選択肢がある。そうしたプロセスに取り組むことが大切。
  • 学術研究の幅は広い。メーカーの中でも、大きい研究所を自分で持っているところは基礎研究から開発研究まで幅広く研究できるが、大手でないとこの幅で研究するのは難しく、基礎的な研究はできない。そのため、学術研究には期待が大きい。
  • 基礎研究は企業でも同様だが、技術は色々と変化していくので、開発を意識しすぎるとうまくいかない。逆に、製品開発の段階だと技術を絞り込む、他の技術を捨てていくものであり、マネジメントが異なる。学術研究が基礎から開発まで及ぶというのは違和感がある。
  • 研究にもビジネスにも言えることだが、科学技術はやっていくと分解してしまって、深いが面積の小さいものになってしまう。
  • 今成功しているものについて、全く違う視点で同じ事を解決するという視点が大事。いつもステレオタイプに考えている人たちをどうするのか、そうしたステレオタイプの周辺にいながら違う発想をするのがイノベーション。学術でも、理論の外側にすごい価値がある可能性がある。
  • 学術研究が重要と言い過ぎると、工学部のような応用に近い研究者まで学問の自由と言い始めることは問題。あまり拡大しないようルール化をすることが重要。
  • 社会の出口を、夢でもいいから始めに設定してもらうのが良い。果たして研究者の中で、基礎研究分野だけにとどまっていたいという人がほんとにいるのかわからない。
  • 研究者には、精神構造を変えて期待に応えていく必要があることを認識してもらいたい。
  • 研究成果を何に生かすかについて意識する人が必要。何をしているか認識しないまま研究をしている人は問題。
  • 社会から離れた方が研究をやりやすいのはわかるが、「研究者の自由な発想」というのが言い訳になっているところもあるのではないか。
  • 多様性については、企業に比べ日本の学術界は努力不足のところがある。大学の先生はみな、自分の居心地の良い場所から離れるのを拒んでいるから難しい。
  • やはり学術研究も出口を想定すべき。10~20年先の出口でかまわないが、ただ論文を書くためだけの研究というのは如何か。
  • 新しいことを進めるのはよいが、研究をやり尽くしていて社会への貢献が少ない旧来の分野で、切るべきところを切らずに残しているのはよくない。グローバル問題、環境問題などをもっと研究しないと世の中は変わらない。国としてのグランドデザインがあり、研究人材を振り分けていく事が必要。国としての大きな目標を、例えば防災や人の寿命を延ばす等、もう少し具体的にしてほしい。今は研究で大発見する時代ではなく、社会科学や情報技術を進め、大胆に変わっていくことが求められる。
  • 研究が狭く深くなることを受けて、「どうして日本からはアップルができないのか」などと言う人もいるが、これはステレオタイプ的なもの。ジョブスだからここまでアップルができたのか、それともあの環境や機会があったからできたのかを分析することが重要。学術の世界でも深くたこつぼ化している部分を分析してマネージ・合成することで、新しい価値を生み出していけると良い。
  • 日本では学会が分野毎に細分化されすぎている。分野を超えて幅広いことをやるためには、それぞれがコミュニケーションを取ることが必要。また、研究所等の運営者・責任者に自主性を与えることも異分野融合の変革の1つとなるのではないか。
  • 文科省の方向性は間違っていないと思う。要は方法論、実行するための仕組みをどう作るか。米国の有名大学をみてもみなある程度幅広く全部やっている。例えば、スタンフォードには音楽の分野もある。幅広い人がいるから融合や新しいことが生まれる。が、強いところが少しずつ違っておりそこに特徴がある。幅広くカバーしつつ特徴を出すべき。
  • これからの日本の強みは材料とライフサイエンスであり、ここをどう伸ばしていくかが大事。伸ばしていかないと諸外国と戦っていけない。日本が昔アメリカのまねをしてきたように、今は中国がアメリカのまねをし、またアメリカもより進歩しようとしている。こうした状況で日本がどの分野で戦い、どう戦っていくのか、考えていくことが必要。
  • バイオ・医薬はまだ研究をやり尽くしていないが、他の分野では分野融合を進めていかないと本当に新しい発見はなくなりつつある。境界領域の研究は昔から言われているが進んでおらず、例えば、数学から生物学まで勉強した上で、それらを結びつけるということが大切。従前の学術領域を破壊しなければならない。
  • サイエンスマップにおいてトップ10%論文でのデータで見れば、日本の参画領域の割合は他国に比べ遜色ない。問題はトップ1%が少ないということではないか。
  • 現状では、「基礎研究は大学でやるもので、企業は企業」といった考えが多く、イノベーションが伸び悩んでいる。また、企業の方から何を研究してほしいのかを言わないと、研究資金が投入されるだけで良い物ができない。大学と企業が対話をしていくことが必要。
  • 基礎研究も、単に研究者の興味関心でやれば良いのではなく、外との対話が必要。基礎研究であってもプロセスとして何を目指すか設定して行っていくことが重要。シーズの研究であっても市場からのインプットが必要。
  • 文科省で支援している基礎研究と、経産省が支援している研究との接点をどう作っていくかが課題。基礎研究で強い分野がどの産業につながるかなど関連が見えると議論しやすくなる。
  • 研究成果の例にあるように、学術研究の成果が出ていることはまちがいない。
  • 公費で研究を行う以上、成果を社会にさらすことも必要。また、学術研究、基礎研究の評価をどうするか。評価しないことも1つの決断ではないか。
  • 今は、基礎研究をやっていた人が企業に来なくなっており、橋渡しのためにベンチャー企業がより必要になってきている。ベンチャー企業は大学等での学術研究から生まれるものであり、そこに企業が投資していくのがいい形。国立大学のベンチャーキャピタルのための出資金は、重要な役割を果たすものとして期待している。
  • 研究の質を上げることは重要。日本の人口が減少する中で、よりよい研究環境を整えられるかどうか。多様性を踏まえた研究の質をどうするかが課題。現場に話を伺うと、雑用が多いという。研究にも頭を使うものと、データ整理のような作業が中心のものとに分かれるが、支援スタッフが少なく、すべて研究者がやらないといけなくなっている。予算もそこに注力すべきではないか。
  • 他国との比較を行うため、ベンチマークを取ることが必要。例えば、ジョイントディグリーの数を比較するなど。アメリカでは電子工学の学生でもバイオを必ず履修しないといけないところもあり、融合を起こす制度があり、実際にそれが生じている。

3. 研究費の配分の在り方等について

  • 学術研究、基礎研究は重要であるという認識は産業界みんな持っている。問題は、国家予算の中で何%を学術研究に回して、何%を実用化研究に振り分けるのか、ということではないか。
  • 学術研究の予算や科研費を減らすことはとんでもない。企業としても困るし、アメリカ等と比較すると元々の額も少なすぎる。
  • 基金ができたから、研究をある程度ロングタームでやることができる。たとえ細くても、長いスパンでやれるとよい。
  • 戦略的配分というが、規模が大きくチャレンジ的なものもあれば基礎的なものもあり、整理が必要。
  • 現状は競争的資金がリッチになりすぎて基盤的経費とのバランスが崩れている。こうなってしまったのも近年、経済効果のあるイノベーションが出てこなかったから。
  • 学術研究のターゲットにもよるが、ノーベル賞を狙うなら基盤的経費を増やすべき。競争的資金は有名な先生に資金が偏りがち。
  • 現在改革を進めているという科研費と戦略とのシームレス化について、シーズを生み出すことと成果を生かすことがリンクしてしまい、結果として、一緒にやらないといけないとなると難しいのではないか。第5期では社会実装と基礎研究・学術研究とを、評価を含めて区分して進めないと難しいのではないか。SIPのように、基礎段階と社会実装がともに入っているものもあるが、多様性にとってもイノベーションにとっても不幸になる。このままでは、競争的なものに流されて多様性が失われることを危惧する。
  • 国家予算が厳しく、経済成長の飛躍的伸びが期待できない中で、予算を集中投下しメリハリをつけることが必要だと思うが、問題はその集中すべき分野をどう選ぶか。学術研究もこれまで万遍なく支援してきたが、今後それでは無理。メリハリをきかせる方向に行くべきだと思うが、それを誰がどのように決めるのか方法論がない。難しいところ。
  • 競争的資金について、戦略的に集中化することはよいが、成果が得られるかわからないものについてはまずは少額で進め、それが本当に行けそうなら多額の投資を行うなどの方法で進めるべき。
  • 国立大学改革はかなり成功している印象。研究については、外部資金が獲得できる工・理・医分野は改革が進んでいい方向に行っているが、哲学などをはじめとする人文や社会科学は、競争的資金は取れないが重要な分野。この点についてどう考えているのか、人社は国としてある程度支援しないと、技術だけで文化や知的生産性の低い国になってしまう。運営費交付金1%減は、大学に危機感を持たせたということで成功だと思う。
  • 今の先生たちは研究費にクールな人が多い。やりたい研究なら必死でお金を集めてくるはず。予算の範囲内でというのではなく、死にもの狂いで目標に向かって研究することが必要。
  • 今、大学の研究者はお金を取ることに一生懸命になっており、シーズを作れておらず、イノベーションの考えとマッチしていない。国はもっと明確なビジョンを示すべき。
  • 競争的資金について、今は採ったら勝ちという世界であり、成功事例を出したところには手厚く支援するなどの仕組みが必要ではないか。事後評価が悪ければ今後支援しない、というくらいでないといけない。これは本来、大学が自ら意識してやっていかないといけない話。
  • 産学連携について、海外に比して、日本は大学の数が多すぎで、1大学の規模が小さく教員が分散してしまっている。研究環境の整備、研究者同士の刺激・競争、施設設備の共有など諸々の観点で、現在は小さく閉じていて活発でなく非効率なので、1つに集約させて規模を大きくする方がよいと思う。間接経費もスケールメリットが出やすい。
  • 基礎研究であっても施設整備は大型になってきている。超大型の設備は共同利用されているが、小規模なものを含めれば共有されていない。数億規模の設備について、あちこちで研究設備を持つのではなく、共同利用機関等に集中するなど、共有化を一層進めていくことが重要。
  • 共同利用、共同研究をもっと進めるべき。今春に独のフラウンホーファーなど視察して痛感した。共同研究拠点に施設・設備をきちんと整備して皆で使うべき、各大学にあるのはナンセンス。
  • 研究費について、1人あたりのデータがない。どのぐらい研究費があるのか、足りないのか、増えているのか、減っているのか、設備等の購入費で実の研究費が足りないのか、研究者が増えているから研究費が足りないのか、など、何が原因なのか分析してほしい。
  • 限られた財源の中で、例えば間接経費を減らすというようなことも考えられるのか。競争的資金にかかるペーパーワークが多いという問題はあるが、30%も必要なのか。
  • 審査員の目利きも重要。特に先端バイオについては、今の60代の先生には先は読めないのではないか。イノベーションに繋がる課題採択をできるかが課題。
  • 優れた研究ができる研究者、そうでない研究者、その目利きが大変重要。例えば、シンガポールでは、政府主導で海外から優秀な目利きを集め、研究投資先などをしっかり選別している。
  • 継続性も重要だが、新しい分野が興っているのに、同じ分野に留まり続ける人もいる。そういうところを揺さぶることができるような審査の仕組みを考えてほしい。

4. 人材育成について

  • (未来志向の評価について)必ずしも実績がなくてもこれから何かやれそうな人を採るのは、リスクを伴うが企業も同じこと。
  • 若手育成について、企業では、キャリアを積んだ人には大きなターゲットを狙わせ、若い人にはとにかく成功事例を得させることが大切。そうする中で目利きが育つ。未来型というが、イノベーションの趣旨にあったことをやっているかの目利きをできる人が必要。
  • 若手がもっと独立してやれる仕組みが必要。伸びるのは30代が多いと思う。開花しそうな人をどのようにサポートするか。昨今のSTAP問題により若手(育成)をシュリンクさせてはいけない。
  • 研究者について、年功序列はよくなく、力のある人が上に行けるようにならないと。そういう人へは国が支援していくことが重要。力のない人には、支援人材などへ退いてもらうことも必要。
  • 学部卒・院卒で給与が同じであるということは、企業は大学に期待していないということ。マスター、ドクターを何故採らないのかと言うが、大学に残るマスター、ドクターしか育成していない。実践で活躍できる人材を育てていない。
  • 大学における人材育成については放置状態で、大学を出た学生が基盤を身につけて出てきているとは言えない。大学の仕組みを変えるべき。
  • 工学系の大学では、学生が工学ばかり勉強して法学や社会学などを全く勉強しなくなっているが、教養は大切。
  • 専門分野を重視しすぎると、外から見たときに、中で何をやっているのか分からない。税金を使っている以上、国民にわかりやすく伝える必要もあるため、もっとわかりやすい発信をしてほしい。
  • 大学は研究を重視というが、大半の学生は社会に出て学問と関係なくなる。職業訓練的なこともしないといけない。
  • ポスドクについては、企業がもっと採用する必要がある。また、ポスドクと企業が一緒に研究をすることで、研究だけでなく企業にも興味を持って貰えるようになり、ポスドクの道が広がることもある。
  • 大学と産業界とのミスマッチは重大な問題。ライフサイエンス分野では失敗している。情報通信分野でも7,8万人不足という話もあるが、その人材は日本人が必要なのか外国人でいいのか明確でないなど、産業界も言い放しで責任をとっていない。産業構造が変わっていく中でどのような人材を育成すべきか、雇用から教育を考えることも必要。
  • ポスドクについて、ドクターは元々学者を育てるための仕組みであったが、今もそれを続けていることは問題。欧米では、基礎科学を理解できる人材としてのドクターの充実を図り、社会に送り出している。
  • 問題はイノベーションにつなげる人がいないことであり、目利きできる人を大学の中で育成しないといけない。URAなどがその役割を担うものと思うが、研究者上がりの人がURAになっているようなのでよくない。
  • JSTでプロジェクトマネージャー(PM)を設けているが、本来はPMが深くマネージしないといけない。実際に研究をする先生より深く知らないといけないこともある。NASA等ではそういう人材が集まって集団として力を発揮している。
  • 若手ですぐメンタルになってしまう人が増えている。研究力以前の問題として、ハングリー精神・人間力が弱くなっている。研究者に限らないが、研究者には多い。ハングリー精神がないとよくない。
  • 「人材」という言葉の中に、人材交流の意味も人材育成の意味も含まれており、共通の目標に向かって研究協力するのか、単に人の動きを意味するのかわからないので、きちんと整理することが必要。
  • 若手研究者の育成については、むしろ今までできていなかったことがおかしい。
  • 日本人はパーマネントポストなど安定性を志向しがちであるので、やはりそれを大事にすべき。大学発ベンチャーも始まり当初こそ盛り上がったが、今は激減している。米国はその逆。シリコンバレーのやり方を日本でやっても日本人にはやはり合わないであろう。企業帰属の意識が強い日本人には米国のような職業帰属の考え方で制度を作ってもなじまない。
  • 外国から研究者を呼ぼうにも、日本側のインフラが整備されていないのでなかなか難しい。
  • 人材の交流で、大学と国の研究機関とのクロスアポイントメントが言われているが、米国では企業と大学とで人がもっと移動している。産業界にも人はいるので人材のところも考えてほしい。
  • 昔は物理や化学など、たくさん勉強しないといけなかった。初中教育でたくさん勉強し、基礎的なことができていた。今では大学に勉強しなくても入れるようになってきており、大学でそうした基礎を教えなくてはならなくなっている。本当はそこをしっかりやらないといけない。

5. 大学の在り方等について 

  • これまで大学の法人化など改革を進めてきた部分もあるが、それがうまくいっていない理由をもっと深く議論すべき。
  • 「遠山プラン」が出てから20年は経つが、大学は何か変わったのか。今は、大学が変わらないといけないという危機感からの動きはあるが、当事者はそう思っていないのではないか。
  • 教授会の権限をはじめとして、大学そのものがこのままでいいのか。大学の総長は改革意欲のある方ばかりだが、個々の研究者はそうでない人が少なくない。学術研究支援の仕組みは組織運営の仕組みとセットでやるべき。
  • 大学は組織として成り立っていない。学長のリーダーシップ、ガバナンスというが、トレーニングを受けていない。組織を動かすのは立派な研究者ではなく立派なマネージャーである。URAもその道のプロでないといけないが、これまで育成してきたといえるのか。
  • 学長が自由になるお金を措置しないと大学の機能分化は進まない。地方大学は中央の方ばかり見ているので、大学の特色ある取組への支援を行うことが重要。
  • 大学では自分達のレゾンデートルを決める作業をやっているが、イマイチ横並びでやっているように見える。もっと自分の大学はここ、と決めて集中投下していく姿勢を見せるべき。
  • 研究の組み合わせで勝負しようとする大学もあるが、それだけでは基礎研究ができなくなってしまう。大学内での研究のバランスが大事。日本の大学も、世界のトップ10に入ってもらわなければならない。
  • 企業経営の視点で考えれば、社外取締役が良いか悪いかといった点と類似している。外から来た人に社内のことが分かるはずがない等の意見がある一方で、社外取締役による成功例もある。「業界の常識、世間の非常識」といったこともあるように、外部からの視点は非常に重要。
  • 人事の「峻烈さ」は大事。大学のマネジメントの問題だが、セーフティネットも必要。例えば、契約更新の際にボーダーラインの人について、流動先がないので更新してしまうということもある。
  • 大学の入試制度に多様性がないことが課題。欧米では学生を取るのに非常に力を入れているが、日本の大学はそうではない。また、日本の学生は専門性は強いが、一般教養が足りないように感じる。答えのある課題ばかりやっていても仕方がなく、自ら考え答えを生み出してくことをやっていかないといけない。

6. 人文学・社会科学について

  • 中間報告は自然科学の基礎研究分野のみ意識しているように思える。国際的な競争力が問われている中、経済や文学などの人文学・社会科学における日本の競争力向上も重要ではないか。
  • 人文学・社会科学については、経済界で次世代を担う若手経済学者の支援を行っているが、現在の研究は細かいテーマが多く、大局的な話をできない研究者が多い。
  • 民間はものづくりというがもうそろそろ限界ではないか。人間科学と融合したものを生み出していけるようにならないと。人文学・社会科学もグローバルに対抗できるようにならないといけない。例えば、経営学で今どういう経営が必要かリアルタイムで議論できる人が少ないなど、プラクティカルなことも学術的にも中途半端になっているのではないか。
  • 人文系の人も自然科学系の研究の場に必要。例えばライフサイエンスなど、統計学者がいないとできないといった現状もある。
  • (現在の)ニーズのひとつ先を見て対応することが必要だが、それは技術屋では無理。社会科学系の知見が必要。近年、マーケティングでも人間の感性(デザイン)が重要になっている。分析だけでなくデザインする社会科学が必要。

(以上)

 

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-- 登録:平成26年10月 --