学術情報委員会(第14回) 議事録

1.日時

平成26年12月5日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 今後の学術情報基盤整備の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

西尾主査、羽入主査代理、上島委員、岡部委員、加藤委員、倉田委員、竹内委員、辻委員、土方委員、美馬委員、吉田委員

文部科学省

(科学官)美濃科学官
(学術調査官)美濃科学官、市瀬学術調査官、小山学術調査官
(事務局)常盤研究振興局長、安藤大臣官房審議官、鈴木参事官(情報担当)、長澤学術基盤整備室長、松本学術基盤整備室長補佐

オブザーバー

安達国立情報学研究所副所長

5.議事録

【西尾主査】  それでは定刻になりましたので、少し遅れておられる委員の方もございますけれども、ただいまより第14回学術情報委員会を開催いたします。皆様方、お忙しいところ御参集いただきまして心よりお礼申し上げます。
 本日は前回に引き続き、第5期科学技術基本計画策定を見据えた今後の学術情報基盤の在り方について、意見交換をしてまいりたいと思います。
 それから、今期の委員会の審議活動が、来年の2月で期を終えまして、3月からは次期の学術情報委員会の審議開始ということになります。そこでどのような事項を次期において審議していったらよいのかということについても御意見を頂きたいと思います。もちろん文部科学省としても、こういうことを審議すべきだという案を持っておられますけれども、そういう内容で良いのかどうなのか、さらに、より重要なこういう事項があるのではないかというような御意見も皆様から頂ければと思っております。
 まず、事務局より人事異動についての紹介をお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  それでは、事務局に異動がございましたので紹介させていただきます。
 11月25日付けで、大臣官房審議官研究振興局担当の山脇良雄が国際統括官に異動しまして、後任に安藤慶明が着任してございます。
【安藤大臣官房審議官】  おはようございます。安藤でございます。よろしくお願いいたします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  それから、同じく11月25日付けで振興企画課長に松尾浩道が着任しておりますが、本日は所用のため遅れての出席となってございます。以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 安藤審議官、どうかよろしくお願いいたします。
 それでは次に、配付資料の確認及び傍聴者の御報告をお願いします。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  それでは、お手元の議事次第に基づきまして配付資料の確認をさせていただきます。
 まず資料1、前回の学術情報委員会での主な意見でございます。資料2、総合政策特別委員会における主な意見、情報関係の抜粋をしたものでございます。資料3、第6回総合政策特別委員会の関係資料でございます。資料4、学術情報委員会における最近の審議事項と対応状況等についてでございます。資料5、第8期学術情報委員会での検討事項の案でございます。それから参考資料としまして、参考資料1、「第5期科学技術基本計画の策定に資する総合的な政策の検討について」という資料でございます。それから参考資料2、第5回総合政策特別委員会の関係資料の抜粋でございます。参考資料3、第5回総合科学技術・イノベーション会議の配付資料、それから参考資料4、オープン化に関する資料でございます。このほか、机にこれまでの審議のまとめでございますとか、前回までの委員会の資料を用意してございます。不足等あれば、事務局まで申し出ていただければと思います。なお、本日の傍聴登録者は24名となってございます。以上でございます。
【西尾主査】  ありがとうございました。
 資料等について、何かございませんでしょうか。皆様よろしいですか。
 それでは審議事項に入る前に、この委員会の運営について、事務局より説明をお願いいたします。長澤室長、お願いいたします。
【長澤学術基盤整備室長】  今期の委員会につきましては、次回の1月30日を最終日として設定しておりましたけれども、次回予定しております次期学術情報委員会の申し送り事項の取りまとめ等につきましては、本日御議論いただいた上で、各委員の先生方に照会を行い、あとは主査一任という形で対応させていただき、次回の学術情報委員会は開催せずに、本日を最終日とさせていただきたいと思っております。そういう段取りでよろしいかということをお諮りしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【西尾主査】  今、長澤室長から御説明いただきましたけれども、委員の皆様方は御多忙でいらっしゃいますので、今回を今期最後の委員会として可能な限り審議を尽くし、本日の審議等をベースに次期の委員会への申し送り事項を皆様方から頂きたく思います。それを当方で事務局と一緒にまとめて、次期の委員会が立ち上がったときに、その申し送り事項を考慮しながら迅速に審議活動を開始するという形式で進めさせていただければと考えておりますが、そういう方針でよろしいでしょうか。
 そうしましたら、本日の委員会が、第7期の学術情報委員会としては最終ということで設定させていただきまして、今日の審議を進めさせていただきたいと思います。
 それでは議事に入りたいと思います。冒頭で申しましたとおり、再来年度から開始される第5期科学技術基本計画の策定を見据えまして、今後の学術情報基盤の整備の在り方について意見交換をしたいと思っております。
 まず、前回の委員会での皆様方からの御意見や、現在、第5期科学技術基本計画について文部科学省内で審議がなされております総合政策特別委員会における審議状況などについて、事務局の方から説明をお願いいたします。
【長澤学術基盤整備室長】  それでは、説明させていただきたいと思います。まず参考資料の方を御覧ください。参考資料1と2で、先ほど主査からお話がありました総合政策特別委員会の成り立ち、それから、関係資料の抜粋版をお配りしております。その後の参考資料3、CSTIの第5期科学技術基本計画に向けてという基礎となるペーパーが配られておりますので、それを若干御紹介させていただきたいと思っております。
 その中で、この基本計画に向けまして、情報認識として科学技術イノベーションの意義、重要性ですけれども、コンピューター性能の飛躍的な進化と、世界の隅々まで至るネットワークの形成ということで、これが加速度的に進展していくということでございまして、その結果、データ駆動型というべきイノベーションも台頭しているという状況があると。科学技術イノベーションにつながり得るオープンでダイナミックな新たなモデルが台頭しつつあるという背景が説明されておりまして、オープンサイエンスとかいった重要性が増しているという認識があるというところでございます。
 1枚めくっていただきまして、基本的な方向性というところのポツの二つ目でございますけれども、やはり科学技術イノベーションをめぐる大変革時代ということで、下線を引いてございますが、新たな可能性に挑戦するための深い知識に基づいた基礎体力を育み、個別の「知」をつなぎ、システムとして全体最適を可能にするために「融合」又は「協働」を促す土壌を創り出すことも重要という形で、こういった情報基盤の重要性が基本計画に向けてというペーパーの中でも強く意識を付けられているところであるというところを背景として御説明させていただきたいと思っております。
 その上で資料を御覧いただければと思いますが、前回も基本計画の策定に向けて、総合政策特別委員会に資するような意見を頂いたわけでございますけれども、その意見を簡単にまとめたものが資料1でございます。その際ですが、基本的な姿勢といたしまして、全ての学術のドライバーとしてのICTをしっかりと発展させることを根源的に入れることが重要だということ。それから、ビッグデータを一つのテーマとして、第5期科学技術基本計画にきちんと打って出ると。その上で、データをどう扱うかという戦略が大事と。
 オープンデータの関連につきましては、やはりオープンデータに関する方針をちゃんと考えていかないとまずい状態だと。また、そのための技術、運用の仕方、そういった共通認識の持ち方が必要ですので、そういった観点で技術開発を進めることが必要である。それから、学際的なデータを使えるような環境ということで、社会的な制度まで含めた制度作りが重要と。データシェアリングのポリシーを日本としても作るべきということでございます。次のページでございますけれども、やはりデータを公開・共有するという基盤を早期に作ることが必要ということでございます。また、産業界のデータを学術界に預けて、期待に応えられるような基盤を作ることも重要だということでございます。
 その他の技術面といたしましては、生データを直接リアルタイムに共有するというところについてどうするかということを検討していく必要があるということでございます。それから、セキュリティ技術といたしましては、国家の情報を守るということも、学術においてもしっかり考えていく必要があるのではないかと。社会の流れとしては、もうオープンソースを作るというのは当たり前でございますので、オープンなコミュニティをどうやって仕切って、その上でエコシステムをどう引き付けてくるかということが戦略的にも重要だということでございます。
 制度面といたしましては、こういった科学技術の進歩に法体系が全然付いてきていない。著作権上の問題とか、データのオーナーシップを明確にしておくということが、こういった利活用には必要だということでございます。それから、その際、併せてフェアユースというものをちゃんと考えていく必要が日本でもあるのではないかという御意見がございました。
 3ページ、その他でございますが、社会経済の変化、課題解決につながるような貢献ということで、高校教育とか、子供たちの利活用能力といいますか、そういった早い段階での対応、ICTの活用に対する対応を考える必要があるのではないか。それから、人材育成、そのためのルール作りも必要だという御意見を頂いたところでございます。このような御意見が、前回頂いた意見でございます。
 それから資料2が、これまで6回行われております総合政策特別委員会における情報関連の意見の抜粋版でございます。この部分は、大所高所からの御意見が多くなっておるところでございますけれども、1番の丸のところで、デジタル化の進展に対して、日本の取組が非常に遅れていると。特にハードウェアはいいんですけれども、ソフトウェアの研究開発や教育が実施されてきていないのが問題だということでございます。
 それから2番目のところで、データサイエンティストが日本には非常に少ない。こういった仕事が日本では評価されない。
 4番目のイノベーション基盤力の強化というところでは、ビッグデータが重要なキャッチコピーとなるべきだ。情報基盤を整理する必要がある。インフラの維持も重要だという御意見。共同利用の施設についても、しっかりと検討しながら整備を進めていく必要があるということでございます。
 次のページでございますけれども、5番目としまして、イノベーションによる社会の牽引(けんいん)というところに、知識基盤社会におきましては、ICTを重点分野に置くことが重要だと。それから、その二つ先ですけれども、やはり先ほど申し上げましたソフトウェアに対する考え方が弱かったのではないかというようなところです。最後から二つ目ですけども、スパコンやSINETなどのインフラの高度化への投資ということで、重要性が必ずしも認識されていない。それから、情報セキュリティ分野では、なかなか進めることが難しくて論文が出にくいとか、そういう背景がございますけれども重要だというところでございます。3ページですけれども、ビッグデータを扱う上で、許諾とか、そういった社会制度の問題ですけれども、そういう制度の活用方法がしっかりと整っていない。一番最後のところでは、データサイエンティストとかセキュリティ人材の育成がやはり重要だというところでございます。
 最後の4ページのところですけれども、そこでもやはりIoT、セキュリティの観点というものは重要ですけれども、ビッグデータ利活用も進めていく必要がある。それから、基盤的な研究環境の整備に対して、必要な経費は国が負担すべきだという御意見。
 最後のところで、こういったICTは、第5期基本計画ではイノベーションによる社会の牽引(けんいん)に位置付けられているというところですけれども、そういったものをしっかり強調していく必要があるという御意見があったというところが、これまでの総合政策特別委員会における主な御意見でございます。
 こういった背景を踏まえつつ、本日御議論いただきたい内容ですけれども、基礎資料は資料3でございます。これは、総合政策特別委員会におきまして、西尾先生が委員でいらっしゃるんですけれども、前回に頂いたような御意見も踏まえながら、先生が委員会で資料に対するコメントを付けたペーパーとなってございます。
 それにおきましては、超サイバー社会という用語の御説明がまず1ページでございまして、こういったサイバー社会が広がっていて、それを超えるような状態になってきて、現実とその空間を一緒に融合していくという広い概念ができつつあるんですけれども、その際、特にやはりビッグデータを活用するという観点からしますと、アンビエントなサービスというものの可能性が高まってきて、高度ICTの社会でイノベーションされる可能性が高まるということで、アンビエントサービスという定義につきましては、下の米印のところでいうような、情報・知識等を先回りして「さりげなく」提供するサービスということで、こういった基盤がやはり重要になってくるということがコメントとして加えられているところでございます。
 それから次の2ページでございますが、基本的な考え方というところで、こういったデジタルデータが多様に生み出されて、ネットワークを通じて大量に発信されるという状態を含めて、こういった状況の中でサイバー空間の発展を見据えつつ、ICT戦略を打つことが必要だということでございまして、その具体的な内容は省略させていただきますけれども、この紙の4ページのところで、具体的な取組として四つの方向性が挙げられております。その方向性といたしましては、一つ目が、サイバー空間を利用する上で新たなサービスや価値を創出する必要な技術開発をしっかり行う。それから二つ目は、実空間に及ぼす影響に関する技術開発や社会制度の構築を行うということ。三つ目としましては、サイエンスのオープン化とか科学的手法に変革を起こして、イノベーションを創出する。四つ目につきましては、関連するインフラの強化、人材育成・確保に対応するという四つの視点が具体的に述べられておりまして、その下が更にそれぞれに関する具体的な取組として、以下のような取組が例示として挙げられております。
 学術情報基盤に関連する具体的な取組の例示といたしましては、網掛けしておりますけれども、例えば資料の1番のところでは、SINETの強化と連動したクラウド環境におけるビッグデータ処理プラットフォーム技術の研究開発が挙げられてございます。それから次のページにおきまして、Cの様々な社会課題に対する解決策を提供する研究開発ということで、これはMOOC、OCWといった教育コンテンツのオープン化・相互利用の促進が必要だというところも挙げられてございます。
 2番目の社会に及ぼす影響の研究開発、社会制度の構築という観点では、Bのところですけれども、ビッグデータを処理するようなソフトウェアを含めて、ネットワーク全体の信頼性を確保するための技術開発だとか、倫理的・法的・社会的課題という関係で、著作権等の知的財産権の問題等も含まれて、こういったところも盛り込まれているというところでございます。
 それから、次の8ページのところですけれども、イノベーションを進めての科学技術の手法ということで、Aとして、データサイエンスの推進が必要だということで、その際には、フォーマットの異なるデータのデータベース化とかも進める必要がある。それから、Cとしまして、データシェアリングの推進ということで、オープンサイエンスに対応していく必要がある。革新を支える環境整備というところで、関連するネットワークだとか、クラウド、セキュリティ強化、そういったコンテンツを流通させるための取組の強化というものが様々必要になるというところが、こういったところに例示で盛り込まれております。それから、科学技術情報の発信力を高めるオープンアクセスの推進ということで、これはジャーナル検討会とかでもまとめていただいたところですけれども、こういった対応も必要だということが盛り込まれておるところでございます。
 4番目としては、人材の育成・確保ということで、データサイエンティスト、その他様々な人材育成もしっかりとしていく必要があるという形の内容がございます。
 これらが総合政策特別委員会の中間まとめにおきまして、どのようなところで項目で生かされているかというところなんですが、次の資料の目次の7ページでございますけれども、3の丸4、研究情報基盤の整備というところで、SINET等の基盤が重要だというところと、第4章の科学技術イノベーションにおける社会の牽引(けんいん)の(2)、急速に進化を続けるサイバー社会の対応、この中に先ほど御説明したような内容が盛り込まれるという形で、総合政策特別委員会では審議が進められているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、今後の学術情報基盤の整備につきまして、先ほど主査からもお話がございましたが、もっとこのような視点も入れておいた方がいいのではないかとか、具体的にはこうした方がいいのではないかとか、様々な、今後我々として考えていく上でも、幅広い御意見を頂ければ幸いだと思っておりますので、是非活発な御意見を頂ければと思っております。以上でございます。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 現在、第5期科学技術基本計画の策定に関する委員会として総合政策特別委員会が設置されていることが、先ほど来紹介されております。では、どういうメンバーでこの議論をしているのかということが、参考資料1の1ページの下の方のスライド資料で示されております。野依先生が主査であられまして、情報系からは、国立情報学研究所の新井先生、それから産業界からはKDDIの小野寺様、独立行政法人の研究所からはNICTの土井美和子先生、それと私も末席を汚しております。そこで今日頂きます御意見については総合政策特別委員会の方に反映していきたいと思っております。
 ただし、今回の科学技術基本計画の作り方は、文部科学省の案も参考にしながら内閣府の方でも相当な議論がなされることになっております。文部科学省における中間まとめに関しましては、来週の9日、次々週の19日に総合政策特別委員会が開催される予定であり、それらの委員会で大筋のものが決まり、年を明けて20日に最終の特別委員会が開催され、最終決定されることになっております。このような予定からは、今のうちに積極的に意見を出しておくことが重要であると考えます。
 貴重な時間を頂いて恐縮ですけれども、資料3に関して、誤解を招くといけませんので少し説明をさせてください。
 第5回の総合政策特別委員会の委員会資料として、情報系に関するキーワードとして超サイバー社会という言葉が出てきました。この言葉を最初に聞いたときは、私は少し違和感を持ったというのが実際のところです。それで、前回の本委員会でもキーワードとして出ておりましたビッグデータであるとか、データセントリックなアプローチを表すキーワードを前面に出した方が良いと考えました。例えば、データによるイノベーションの観点から、データイノベーションというような言葉です。超サイバー社会というキーワードに関する資料が最初に出てきましたて委員会で、私はこのキーワードに違和感をもっていることを発言いたしました。そのように物申した経緯がございますので、逆に意見を言った限りにおいては、超サイバー社会という言葉に関して、自分なりできっちり考えて、できることならば代案のキャッチコピーを出していくことの責務があると考えました。
 それで、この言葉についていろいろ考えてきたのですけれども、資料3はスライド2ページ分が1枚にプリントアウトされていますが、下の方に1というページ番号が書いてあるところに、郵政省が平成10年5月にサイバー社会に関してどのような定義をしたのかということに関する一つの文書がございます。そこで、サイバー社会をどう捉えているかと言いますと、我々が通常考える場合、現実社会があって、それに対峙(たいじ)してサイバー社会があると考えます。そして、現実社会に対しては実空間というものがあり、サイバー社会に対してはサイバー空間があると捉えています。我々は、日々、現実社会に身を置きながら、ディスプレイを見て業務を行ったり、ウェブ検索を行ったりしております。その日々の生活においてディスプレイで見ている社会は、サイバー社会であり、その空間をサイバー空間であると考えていました。ところが郵政省の定義は違うのですね。現実空間に身を置きながらサイバー空間を見ているのですが、現実社会をサイバー空間で拡張した社会をサイバー社会と言っています。ですから、両者を対峙(たいじ)するものとしては扱っていなくて、サイバー社会は現実社会を含むものとして書かれています。そうなると、物事としての究極の状態を表すことにも使われる「超」を付した超サイバー社会によって、現実空間とサイバー空間がより融合し、より一体化した究極の社会の姿を現し、それが第5期におけるキーワードですと言われますと、これは一概に間違っていますとは言えないと考えました。
 現実社会とサイバー空間が融合したサイバー社会を考えるに際して、サイバー空間ではビッグデータがあり、多様なデータの処理がされ、サイバー空間の方から現実社会にいる人間に様々なサービスがされます。従来は人間がサイバー空間に対してデータへのアクセスを行ってサービスを受けていたのに対して、サイバー空間の方からさりげなく、今、あなたがそういう状況にあるならばこういうことをした方がいいのではないですかというような情報を提供する。これは通常アンビエントサービスといいますけれども、ユビキタスサービスが「いつでも、どこでも、誰とでも」ということをキャッチコピーとするならば、アンビエントサービスは、「今だから、此処(ここ)だから、貴方(あなた)だから」をキャッチコピーとするようなサービスをサイバー空間の方から「さりげなく」行うことになります。このような社会の実現をしていくのだということであれば、超サイバー社会という言葉が一概に否定できないということで、超サイバー社会が一つのキャッチコピーとして有り得るという発言を第6回の総合政策特別委員会でしました。そのことについて記しているのが、資料の「超サイバー社会」という用語についてという部分に相当します。したがいまして、参考資料5と書いてあります資料は、第5回の特別委員会で提示された資料を大幅に書き直し、しかも1ページ目のところは新たなページとして付け加えて説明をさせていただいたというのが状況です。
 それで、次のページをめくっていただきまして、基本的な考え方、それから超サイバー社会への対応に向けた具体的取組が記述されています。私としましては、前回の本委員会で頂きました意見などをベースに、それなりの書換えをしております。下線部分が付いている場所がございますけど、それは第5回の総合政策特別委員会で提示された資料に、私の方で書き替えた部分に下線が施されています。そういう中で、例えば具体的取組というところで強調して書かせていただいたのは、一つ目が、超サイバー社会を構築する上での高度な技術の研究開発を推進すること。二つ目が、そういう社会が作られることによって生じる社会的な問題の解決、それとイノベーションを起こすことを阻害しています社会制度、法制度の改定などをしていくこと。三つ目が、サイエンスのありようとして、第4の科学の法論としてのe-サイエンスの展開とか、我が国の科学技術イノベーションの進め方の革新を図っていくこと。四つ目が、学術情報ネットワーク、また単なる演算処理だけを目標にするのではなく、ビッグデータの高次処理も考えたハイパフォーマンスコンピューティングのような情報基盤の重要性、それから関連する人材育成をすること、というような柱建てにさせていただいて大幅な書換えを行いました。
 私は、ICTについては、科学技術イノベーションを起こす上での重要事項としてメタなレベルできっちり捉えてほしいという強い気持ちを持っております。例えば交通関係を見ても、新幹線の速度は過去50年で2倍になっていませんし、エネルギーの消費量も数分の一とはなっていません。ところが、情報通信技術に関しては、過去50年で性能は100億倍、価格は10万分の1、双方合わせて1兆倍以上の技術革新が起こっていると言われています。そのような劇的な変化を遂げた技術が、サイエンスの分野、さらには社会そのものを変えていかないはずがないと考えております。その一つの表れとして、現在、ビッグデータ時代を迎えていて、第5期ではICTによる革新を起こしていかなければならないと思っています。
 それで、あと上と下で違うページ番号を打ってあるところの5というところですが、これは、4までのことをよりブレークダウンして、どんな具体的な取組があるのかが記載されています。この部分でも可能な限り本委員会で意見として出ましたようなことを取り込むということで一部の修正をしたり、また、8ページあたりのところでは、オープンアクセスの問題、データシェアリングの促進というようなことについても触れております。
 ただし、具体例というのが、12月19日開催の総合政策特別委員会で中間まとめの大体の仕上がったものが出てくると思うのですが、それにどれだけ書き込まれるかというのは、現時点では、分かりません。例えば、具体例というのは別紙になるのか、それも分かりません。
 また、中間とりまとめの目次案がございます。これについても、特別委員会で当方から意見を出させていただいたことがあります。先ほど長澤室長の方から情報通信に関しては、4章1節第2項、7ページの一番下のところに書かれるということになっていますけれど、ここは科学技術イノベーションによる社会の牽引(けんいん)に関する記述をするところです。先ほど来言っていますように、科学技術、学術におけるイノベーションということに関して、e-サイエンスを始め、ICTが大きな力を持っているということが第4章の下に書かれてしまうことは、問題があることについて意見を申し上げました。先ほどのように、情報通信技術の劇的な革新が持つ意義が、社会的なことだけではなくて、サイエンス、それから教育研究についても大きな変革を促すものなので、この位置で良いのかどうかということは、今もまだ相当問題意識を持っております。私の方からそのような補足をさせていただいた上で、皆さん方から、更にこういうことが重要なのではないかというようなことをおっしゃっていただければと思います。
 もう一つだけ付け加えさせていただきます。情報通信技術について今の時代に大事なものは三つあると思っています。ビッグデータ、Internet of Things、そしてMOOCです。科学技術基本計画なのでどれだけ書かれるかどうかは分かりませんけれども、MOOCは我々にとって非常に重要だと思っておりますので、1枚目の裏のページ、右下に書いてあるページ番号3の1行目にMOOCという言葉を「MOOCに代表される教育活動のほか」という形で入れさせていただいております。
 皆様方からいろいろ意見を言っていただければと思います。どうぞ。
【羽入副主査】  西尾先生が大変に詳細に御検討くださり、そして資料を提出していただいたことに大変感動しております。
 よく理解しないまま二つ質問させていただきたいのですが、一つは、超サイバー社会というときの「超」はどういうふうに英語で訳されているのかです。
 それからもう一つ、先ほど御説明いただきました資料2の中で、科学技術イノベーションによる社会の牽引(けんいん)というのは問題だとおっしゃっていたんでしたっけ。
【西尾主査】  先ほど申しましたように、科学イノベーションによる社会の牽引(けんいん)のところにICTのことが書かれますと、ICTが、社会の牽引(けんいん)のところだけに関わることになってしまいます。第4章より前のところに、学術研究、基礎研究等のことが書いてあります。その部分でもICTの重要さというのが書かれるべきであり、私の理想は、ICTによる科学技術イノベーションというような一つの章を設けてほしいというのが本音です。
【羽入副主査】  ありがとうございます。
【西尾主査】  ただし、新たな章を設けることはいろいろな要因があって難しいと思っております。
【羽入副主査】  ありがとうございます。今の御説明で大分理解は進んだんですけれども、西尾先生がおっしゃるのは、ICT技術というのは既にあって、それが社会を牽引(けんいん)するのではなくて、そもそもICT技術そのものを社会が構築する、つまり科学技術学術研究というものがあって、それによってICTが展開し、それによって、超サイバー社会なのか分かりませんけれども、そういう社会が進展していく、進行していくという構造が重要だというお考えをおっしゃられたのでしょうか。
【西尾主査】  二つのことを質問いただきました。まず、超サイバー社会という言葉の「超」がどう英語で訳されるかということですけれど、英語の訳は特別委員会では提示されていません。もし、英語で書くとしたら、やはり、アドバンストしかないと思っております。その英語に対して、日本語で先端的とか先進とか言いますと余りインパクトがないと判断しておられるのだと思います。基本計画としては、それなりにインパクトを与える言葉が大事なので、多分、科学技術・学術政策局としては、大きなインパクトを与える言葉を考えられたのだと思います。また、超ビッグデータと言うことも可能ですが、この言葉は米国から出た言葉として広く世界で使われてしまっています。そうなると、超を付した何らかの言葉として、そのインパクトを考えて超サイバー社会ということになったのだと思いますが、これを英語で訳せとなった場合には、スーパーとかではなく、やはり、アドバンスト、ベリー・アドバンストということになると思います。
【羽入副主査】  ありがとうございます。つまり用語を理解するに当たって、どういうことをイメージしているのか、メタな話なのかと私は思ったんですが、そうじゃないということで。スーパーだとすると、スーパーサイバーというのが何かということだと分からないので、考えるヒントにしたいと思ったものです。ありがとうございます。
【西尾主査】  私としても、何か良いキーワードがないかといろいろと考えました。例えば、サイバーソサエティーということにどうしてもこだわるのだったら、サイバーソサエティー4.0とかも考えてみました。これは、インダストリー4.0をベースにしております。サイバー空間では、最初データを扱っていました。データというのは記号列なのですね。その記号列にセマンティクスが付与されて情報となり、それが第2世代。第3世代では、情報から知識を扱うようになりました。第4世代は、知とか知恵というものを扱うようになっています。英語で表しますと、データからインフォメーション、更にナレッジとなって、更に先ほどのアンビエントサービスとかになると、ウィズダムを扱うようになるという意味で、サイバーソサエティー4.0というのも良いのではないか、と思いました。しかし、サイバー社会4.0と言っても、多くの方にはなかなか分かってもらえないのではないか、と思いました。
【羽入副主査】  でも、4.0というと、今おっしゃったように、こう進歩していくというのがすごく分かります。「超」というと急に超えてしまい、思考が付いていかないので、私は個人的には4.0は大歓迎です。
【西尾主査】  それともう一つの羽入先生から頂いた質問に関しては、まだ、私はきっちりと言い切れていないのですけれども、科学技術イノベーションによる社会の牽引(けんいん)となると、ICTが世の中、あるいは社会を変えるという面でしか生きていないと捉えられてしまうことを懸念します。再三申し上げますが、そうではなくて、科学技術、学術の進展についてもICTが非常に貢献しているということを書こうとしたら、第3章までに記述することが重要です。現状では、ICTの持つ力が、社会的な面と科学技術、学術的な面の両方貢献度があるうちの社会的な面に対してだけの貢献を記述することで終わってしまうことが気になるということなのですが。
【羽入副主査】  ありがとうございます。
【西尾主査】  多分、資料3の具体例までに行くところまでが、基本計画に関する文部科学省の中間まとめ案の中に、文章として散りばめられていくと思います。そのことを考慮して、こういうことが足らないとか言っていただけますと、それについては可能な限り盛り込むように頑張っていきます。
 美濃先生、どうぞ。
【美濃科学官】  私も1回だけこの委員会に参加させていただいたんですけど、超サイバー社会というのが文部科学省の方から出てきて、私も違和感を抱いていました。西尾先生にこれは美濃さんが書いたのと言われてびっくりしたんですけど。その後、社会学の人たちといろいろお話をしていたんですが、我々はやっぱり情報的に見るから、サイバー、サイバーと言っているんですね。彼らと話すと、今、羽入先生がおっしゃったように、情報と言っているのがツールというか、形態を言っているんですね。情報技術が発達してどんな社会になるのということが次の社会の名称としてはいいんじゃないかと言って、それじゃどんなのがあるんですかといろいろ聞くと、余りいい案はないけど、今一番重要なのはゼロカーボンでしょうというような話をされていました。だから、情報技術が浸透して、その結果、社会がどういうふうに変わって、どんな社会になるんだということを言わないと、超サイバー社会は余り意味がないですねとか言われたんですね。そうすると、サイバー社会がどんどん発展して、西尾先生がおっしゃるのは我々も全く私も共有しているんですが、その結果どうなるのという話のところが、実は次の社会の名称としては重要じゃないですかという意見を頂いて、なるほどなと思ったんですね。だからそのあたりを言わないと、なかなか一般的には理解していただけないのかなと。情報の中から言うと、そういうことをやっているというのは確かなんですけど、それをもう少しうまく説明しないといけないと思いました。余り参考になるかどうかは別にして、そんな話をしていました。
【西尾主査】  情報通信技術による大きなイノベーションということになると、社会との関わりでいくと、まずインターネットなのだと思います。今まで自分の考えていることを世界の方々に伝えようとしたら、どこかの世界的に販売ルートを持っている出版社に交渉して、自費出版物をそのルートに乗っけるようなことをして情報を発信するという方法があるかもしれません。そういうことをすることなく、自分の机の上から世界に向けて情報を発信する、あるいは世界から情報を取ることが可能なこと、これがインターネットの大きな意味で、20世紀から21世紀に向けての最大の贈物だったと思います。
 それに対して、机の上とかの場所とか時間とかから解放されたのが、いわゆるユビキタス社会であり、これが「いつでも、どこでも、誰とでも」のサービスが提供されることになります。ここで言う超サイバー社会というのはその次の形態で、自らが情報にアクセスしなくても、その人の周りの情報環境が、この人が今何をしてほしいのか、どういうサービスをしてほしいのか、どうしたらその人の居心地がよくなるのか、そのようなことを周りのセンサーがデータを収集して、集まったビッグデータを解析して、それを周りの情報環境がさりげなくその人に提供するというのが超サイバー社会です。既にヨーロッパでは、アンビエントインテリジェンスという言葉で大きなプロジェクトが多数走っています。今、美濃先生がおっしゃった意味で、情報通信技術としてこれよりも更に先にどのような環境があるのかと言ったら、ここまで行き着くと、つまり、自らアクセスしなくても周りが察知してサービスしてくれるということになっていくと、これより先は、多分、テクニカルにはもうないのだと思っています。ところが、今、美濃先生がおっしゃった意味で、そのような社会が本当に人間にとって良いのかどうか、そういう社会でどのような夢が描けるのか、さらに、そういう社会が我々人間を幸福にするのかどうかというのは、考えなければならない所だと思います。ただし、テクニカルにはそのような社会が究極だろうとは思います。
 どうぞ。
【辻委員】  アンビエントインテリジェンスのお話を伺ったときに思いましたのが、その人がいる場所とか状況に応じて、欲しい情報が降ってくるという話は、実は人そのものの観点と言いましょうか、人の能力であったり、例えば老人なのか、その人が子供なのか、大人なのか、どんな知識を元々持っている人なのかというところによって非常に変わるわけで、その人が保有している能力、それから状況というのが、実は実社会といったときに、そこまでをも考えた環境、環境のモデリングというのが必要になってくるのかなと思いまして、どうしてもこういう話の中で、IoTですとか、ビッグデータですとか、データの方に主眼を置きがちになるんですけれども、人そのものの能力というところも、一つ観点としてはあるのかなと思いました。
【西尾主査】  その対象となる方がどれだけの能力を持っているのかというのを、その人に関連する大量のデータ、つまり、ビッグデータを解析することによって、サイバー空間がそれまでも推測してしまうということは有り得ると考えますが。
【辻委員】  どうしてこんなことを申し上げたかというと、例えばITSとか、ウェアラブル関係のものがありますけれども、それも、人そのものを考えない場合ですと、誰にでも同じものをやっぱり提供していくと思いますけれども、そうではなくて、その人の持っているものがはっきりすれば、また与え方が変わってくるのではないかというところで、更に「超」というところを非常に気にして申し上げました。
【西尾主査】  分かりました。いわゆるパーソナライズをいかにするかということですね。
 倉田先生、何か、是非。
【倉田委員】  西尾先生が随分ここまでいろいろと入れていただいているんだというのがよく分かりました。西尾先生が大変気になさっている3章までのところで何とか情報技術の話を入れたいという点は、本当にそのとおりでして、研究開発活動を支える基盤技術開発のところにこそやっぱりICT及び、これは具体的にどういう展開で書かれていくのか分からないんですけれども、知的基盤のプラットフォーム化という点を入れていただきたいと思います。やはりここの委員会で議論してきたことはまさにここの部分で、特にSINETを意識していたのでネットワークということを非常に重視したわけで、ただ、今ネットワークと言っても余りにも当たり前過ぎて、なかなかそこをアピールできないというのは非常に分かるんですが、でもだからこそ基盤中の基盤で必要ではないかと思います。あとはやはりこれももはや当たり前になってしまったクラウドという、みんながソフトウェアもデータも共有して、もちろんパーソナライズも必要なのですけれども、基本は共有しちゃって、そこで無駄なことは余りしない。つまり、パソコンでみんなが毎回ソフトを入れ替えるのはやはり無駄なわけで、クラウドでの標準環境はアンビエントなサービスとして実現させてしまうということかと思います。個々の人に合ったサービス、それは多少私としては気持ち悪いというか、余りやられるとそこまで別に言ってくれなくてもいいのにとは思います。最近メールのシステムが変わったもので、メールを書くたびに、添付と書いてありますけど添付ファイルが付いていませんと言ってくれるんです。私はすごく気持ち悪くて、これは何とか外せないのかと聞いたんですけど、それは無理ですと言われちゃったんですが、そういう本当に自分の行動そのものがデータとなって、そのものが分析されて、その先に進んでいくときに、でもそれを支えているのはハードウェア、ソフトウェア、技術である。さらなる新しいコンピューターという話もあると思うんですが、ネットワーク、クラウド、ストレージという全てを支える本当の基盤は無視されては困るなという点と、プラットフォーム化というところをもうちょっと考えていただけないのかなというのは感じております。
【西尾主査】  分かりました。どうもありがとうございました。
 もし本当に新たな章立てというのが難しい場合においても、例えば第3章の第1節でイノベーションの源泉の強化というところがありまして、目次立ての7ページのところの(3)の一番下のところに、研究情報基盤の整備ということが書かれているのですけれども、このあたりの項目立てを替えていただくことを提案することも考えられます。今まで日本学術会議のマスタープランにおいても、学術機関課におけるロードマップ等の議論においても、(3)のところに書かれている研究開発機器とか、そういうもの全ての設備が学術情報基盤と密な連携のもとで稼働していて、それがないと、現在では研究活動が有効に機能しない状況であるということに関しまして、学術界全体のコミットメントをとれています。そこで、例えば(3)の書きぶりを最後の4番目に研究情報基盤をくっつけるような感じで配置するのではなくて、順番を入れ替えて、1番目に持っていっていただくとかいうようなことは何とかして実現していきたいと思っています。これに関しましては、是非事務局の方も、また局長、審議官もサポートしていただければ有り難く思います。去年から今年に掛けてのSINETの強化に関する非常に重要な委員会審議において、SINETが、全ての学術分野、全ての教育分野においての生命線だということに関しては十分なコンセンサスが得られたところですので、こういうところの書きぶりの強化については、倉田先生がおっしゃったようなことも踏まえて、少しでも実現していくということは考えたいと思っています。
 ほかにございますか。どうぞ。
【羽入副主査】  今、西尾先生がおっしゃったとおりで、(3)の丸4は、基盤を整備して強化するということがこれらの議論の大前提だと思いますので、私も是非、せめて(3)の一番最初にしていただきたいと思います。
【西尾主査】  ほかにございませんか。岡部先生、セキュリティのこととかもよろしいですか。
【岡部委員】  先生の御発言に全て含まれていたかと思います。ありがとうございます。
【西尾主査】  よろしいですか。
 美馬先生、どうぞ。
【美馬委員】  学術研究を進める基盤としてということですが、ここでいい超サイバー社会を考えていくと、究極の段階としてよく言われるのは、コンピューターは人間の機能の拡張であるのか、あるいは代替物としての方向、この二つがあると思うんですね。今、皆さん、私も含めて議論しているのは、多分人間の機能の拡張、私たちが持っている考えとか、理解するとか、そういったところをどう支援していくかということ。でも一方で代替物、要するに言ってみれば鉄腕アトムやドラえもんみたいな、それが行動して勝手に判断して進んでいく社会はどうなのかというのは、あります。私たちはどちらの社会を目指すのか。そこで、最終判断はあくまでも人間であるというようなことをどこかに書いておく必要があるかなと。それから、そういう研究を進めていくに当たっては、第5期科学技術基本計画の科学コミュニケーション、つまり今どこまでが可能で、この後これを進めていくとどういうことになるのかというのは、生命科学のところでもよく問題になりますけれども、情報技術でも同じようなことがあると思います。いろいろな機能を研究開発していくのはいいけれども、それが出来上がったときにどういう社会になるのかと。そういうことでは、一般のいろいろな人に対して説明していくことも必要ですし、それから研究を進めるに当たっては、実は人文科学とか社会科学の方たちと学際的な研究、どういう方向でこの技術を進めていけばいいのかという議論は必要だと思いました。
 あともう一点、人材育成について、こういう人材が必要だということはいいんですが、もう少し踏み込んだものが必要であると思います。つまり日本で人口の減少が著しい中で、いろんなところが人材確保に躍起になっているんだと思うんですね。どこの人たちも、これから自分たちのところに優秀な人材が欲しいと。その中に、超サイバー社会ということであれば、もう少し人材育成を戦略的に小さな頃から考えていくのが必要だと思います。人材育成を工学部、あるいは情報系に進学した人だけにやればいいものではないはずです。これから必要になってくるのは、研究開発の人材はもちろんのこと、これだけ私たちの生活の中に情報技術がいろいろな形で埋め込まれてくるとなると、今あるものを改良していったり、メンテナンスしていったりとか、本当にいろいろなところでますます必要になってくるのは明らかだと思います。特にアメリカ、シリコンバレーでは、ICT系の人材を増やそうと、中学生、高校生の頃から始めていますので、日本でももう少しここは強調した方がいいかなと思います。以上です。
【西尾主査】  どうも貴重なコメントをありがとうございました。
 今おっしゃっていただきましたところの前半部分に関しては、具体的な取組の中で2番目に大きなテーマとして社会に及ぼす影響というところがありますが、その重要項目として、是非、書いていただけることを今後考慮したいと思います。どうもありがとうございます。
【岡部委員】  すいません、よろしいですか。
【西尾主査】  どうぞ。では、岡部先生で最後ということにします。
【岡部委員】  先ほど西尾先生がセキュリティのことをおっしゃられたので、ちょっと考え直してみました。今、美馬先生が御指摘されていた3の科学技術イノベーションのところに関連して、一つは、大学のいろんな研究活動について、もっと情報発信していく、これにICTを活用すると。多分行政ではオープンデータというキーワードがありますけれども、大学でももっと積極的に研究情報も含めて情報発信していくということはここに書かれていいのではないかと。もう一つ、いわゆるセキュリティに関しては、やはり守るべき知財ということを大学は非常に緩いと言われていますので、それに対する対応をきっちりするということも、併せてこの辺に書き込めるといいかと思いました。以上です。
【西尾主査】  そうしましたら、今までの意見を事務局の方でまとめていただきまして、今後の委員会等でそれを可能な限り反映していきたいと思います。どうも貴重な審議をありがとうございました。
 次に、先ほど冒頭で申しておりましたように、第7期の委員会の活動が年明けをもって終結していきますので、第8期の学術情報委員会の検討事項について、事務局の方でどういうことを考えておられるのかということをまず御説明いただければと思います。
【長澤学術基盤整備室長】  それでは、御説明させていただきます。これまでの審議経過につきましては、資料4の方に簡単にまとめてございます。
 これまでもコンピュータ・ネットワーク、図書館、情報発信を柱にしてやってきておりますけれども、最近では、前身の作業部会のときには、学術情報の国際発信、流通力強化という基盤整備の充実について、大筋の方向性として、科研費の改善とか、オープンアクセスとか、リポジトリという形の強化をまとめておりまして、その対応状況につきましては様々な進展がございますということで、データを下に説明をさせていただいているところでございます。
 それから、その次でございますけれども、この委員会、今期におきまして、学修環境充実のための基盤整備についてという教育関係に関わるような情報基盤の重要性についておまとめいただきました。この結果、アクティブ・ラーニングとか、そういう形のための基盤整備というところをおまとめいただいて、実際にこのような状況になっているところでございます。さらには、クラウド及びSINETということでは、ネットワークの重要性につきましておまとめいただいて、この発出を行ったという経緯がございます。
 こういう状況を踏まえまして、次期学術情報委員会におきましてはどういったことを検討するかということでございますけれども、それが資料5でございます。第5期科学技術基本計画、CSTIの理念とか、これまでの総合政策特別委員会の話、様々な背景がございますけれども、やはりこれまでもオープンアクセスにつきましては御議論していただいているんですけれども、一歩進めまして、学術情報のオープン化について、もう少し深掘りして対応していく必要があるのではないか。併せてオープンデータということが、論文でも基礎となるデータのパブリケーションとかというところも進めつつあるわけですけれども、ただ、この理念自体がはっきりしておりませんで、データといってもどこまでの範囲で対応することを考えるかというところも、人によってまちまちという状況もございますので、こういった学術情報のオープン化ということに対しまして、日本としてどういうふうにして明確に臨んでいくべきか、それからそういった整理をして、ここまでならこうだけれども、こういった深いところについてはこうだという形のオープンデータということについても、しっかりと関係者の方に理解できるような形の御議論が必要になってくるのではないか。更にその上で、データを保存・共有・公開するという課題がございますので、こういったことに対して技術的な側面、社会・制度的な側面、人材育成という人材の確保とか、それから実施体制とかいったものに対してどういうふうに捉えていくべきかというところは、相当多くのまだ整理し切れていない課題があると認識しておりますので、次期の情報委員会ではこのようなことを中心に御議論していただければいいのではないかと。
 併せまして、これまで関連したおまとめいただいた審議事項のフォローアップ、それから更なる状況を踏まえた対処の方向性につきましても、適宜御審議をしていただければということで、情報ネットワークの今後の進め方とか、クラウドの導入の状況の把握、それから推進方策の対応とか、アクティブ・ラーニングの基盤整備の状況の今後の対応、特にジャーナルの対応として、日本としての戦略的な情報発信力の強化ということが考えられるのではないかと思っております。そういったものを生かして、今後の情報基盤整備につなげたいと考えているところでございます。以上でございます。
【西尾主査】  どうも御説明ありがとうございました。
 学術情報のオープン化に関しましては、欧米において、国としてオープンにすることに関するポリシーとかを結構明確に定めてきているところがあって、それが国際間でのいろいろな協議事項にもなってきております。日本として、そういうことに関しての明快なメタなレベルのポリシーが定まっていない、それがまだ体系化されていないという状況にあって、それをどこで議論するのかと言うことがしばしば問題になってきました。例えば、加藤委員がいらっしゃるJSTの方でもこれは大きな問題だと思うのですけれども、そういうことに関して、学術情報委員会できっちりと議論して、我が国としての何らかの方針を明確化していくということが重要ではないかということを考えまして、これを審議活動の一つの大きな柱として予定している次第です。
 そのような事務局の案も一つのたたき台としながら、こういうことを議論していった方がいいとか、どうぞ御自由に御意見を言っていただければと思います。今日言い足らなかった部分に関しては、また後で意見を頂いて、それを申し送り事項等の中で反映していきたいと思っています。どうでしょうか。
 どうぞ。
【倉田委員】  全体の大きなテーマといいますか、そういうものとして学術情報のオープン化ということは、私は大変賛成でして、この言葉の中でいろいろな形での展開が可能なのではないかと考えております。そのときに、この資料の下に書かれている話も含めて、今期アカデミック・クラウドという、ある意味では理想といいますか、みんながそれぞれ思いは違いながらもイメージしたアカデミック・クラウドというものがあるわけなので、できれば、これを学術情報のオープン化という話題の中の一つのレイヤーとして含めてはどうかと思います。学術情報のオープン化には幾つかのレイヤーがあるので、それぞれ対応して話を展開していくことが可能なのではないかと考えます。その意味で、オープン化という言葉自体に余りインパクトがないので面白みがないところがちょっと困るところなんですけれども。しかし、オープン化の部分を中心にしながら、これは非常に大きな展開になるはずでして、国も巻き込まないと話になりませんし、でも、個別の研究者もちゃんと考えてもらわなきゃ困るし、そういう本当に広い展開を様々なレイヤーの部分をできるだけ具体的な柱としていければ、審議としてもやっていくことは十分なのではないのかと思います。
 西尾先生がおっしゃったように、その中の基本となるのはポリシーの明確化で、ただこれは国の政策として即、国が決めますという意味ではなくて、まずデータをどうするのかという基本方針を定めた上で、それぞれの場合に応じてこうしていくんだという認識をとにかく統一して持たないと、本当に日本は遅れているというところを、そういう意味ではやはり国際的な動向に関しては、きちっと情報を収集した上で、検討していくべきことではないのかなと思っております。
【西尾主査】  本当に貴重なコメントをありがとうございました。
 いかがでしょうか。どうぞ。
【岡部委員】  まず、ここで対象とする学術情報というのを、ある程度明確にしておくことが大事ではないかと。当然、教育面と研究面と両方あるだろうと。教育に関しては、例えばMOOCであるとか、OCWであるとかいういろんなアクティビティがありますけども、教科書のオープン化も含めて、きちんとここで言う教育面のオープン化というのは何なのかということを明確にしておいた方がいいのではないでしょうか。
 もう一つは、研究データに関してもそうなんですけど、オープン化といっても、最初から何でもかんでもアクセス制限を掛けずに見せるということではないと思うんですね。やはり研究者としては、研究データは論文を書くまではきちんと手元に置いておかなければいけませんので、つまり初めは研究者の手元にあって、次は共同研究者に限定公開、そしてある時期になるとオープンになるという段階を踏むことが必要になるはずで、そういうプラットフォームが、今、研究者任せになっていると。やはり日本の施策として学術情報のオープン化というからには、そういうことを研究者が余り苦労せずにできるような基盤を、施策レベルとして用意していく必要があるのではないかと。私は、自分の分野以外余り詳しくないんですけど、今年例の小保方さんの問題で、研究ノートというのが話題になりまして、なるほど、生物の分野では、研究の記録はまだ紙のノートでやっているんだとちょっと驚いたところがあったんですが、いずれ多分それでは済まなくなると思いますので、電子技術、ICT技術を使って、研究の記録をちゃんととって、それが後からきちんと研究に不正がなかったことを示す証(あか)しになるようなことも含めて、こういうところで考えていったらどうかと思います。以上です。
【西尾主査】  岡部先生、貴重なコメントを頂き、どうもありがとうございました。
 竹内先生、どうぞ。
【竹内委員】  今回のテーマ設定として、オープン化という非常に広い言葉を使っていただいたことについて、私は非常にいいことだと思っております。従来からオープンアクセスとか、あるいはオープンデータというふうに言われておりますけれども、例えばオープンアクセスという言葉の定義そのものも、時代によって若干変わっていたりしますし、最近は捉え方が狭くなっているような印象がございます。ですから、オープン化ということで、単にアクセスだけではなく利活用を実現するための基本的な方針というものをここで議論して、きちんとそのための具体的な施策について、先ほどの倉田先生の表現を借りれば、幾つかのレイヤーごとに明確にしていくということが急務なのではないかと思っております。
 研究データのことを扱うというのはもちろん非常に重要なことで、この重要性については、以前私も委員会の中で申し上げたことがございますけれども、国際的な動向と、それから我が国の科学技術政策のすり合わせの中でも当然考えられなければならない最重要課題の一つであろうと認識しております。ただ、研究データだけを取り上げて議論することは余り意味がないと申しますか、やや狭く捉え過ぎてしまうところがあると思いますので、研究データをうまく保存・共有・公開、更に利活用につないでいくためには、既に論文とか、あるいはその他の出版物として公開されているような情報資源とのリンクとか、そういった部分を捉えた上で、総合的な学術情報基盤の一部として、どのようにこれを今後位置付けていくのかという視点が極めて重要なのではないかと考えます。以上です。
【西尾主査】  竹内先生、本当にどうも貴重な意見をありがとうございました。
 羽入先生、どうぞ。
【羽入副主査】  これまでの議論の中でも時々不安になるのですけれども、学術情報の議論を私たちはどこに持っていって、どういう社会を作ろうとしているのかというようなことの漠然とした、合意に達するのは難しいと思うのですけども、何か方向性のようなものをこの委員会の中で、ある程度、時々議論することは重要なような気がいたします。社会における学術情報の今後の在り方や、それから目指すものとか、理想的な姿とか、先ほど西尾先生が一つおっしゃっていた、ある共通の理念のようなものなのかもしれませんけれども、そういったものをある程度想定しておいた方がよいのではないかという気がします。先ほど超サイバー社会というのが出てきましたけども、そういうことがあると、超サイバー社会に対してどういうふうにものが言えるのかということも今後可能になるのではないかと思います。
 そのときに考えるべき要素は、教育の場面と、それから研究の場面と、そして先ほどの議論で非常に思いましたのは、それらを主体的に行っている人の問題も、もしかしたら出てくるのかもしれない。学術情報を使って私たちはどういう社会を目指そうとしているのかというような議論も、ある程度考える必要があるという気がしております。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 最後、人という言葉が出てきまして、やはり、この問題というのは、非常に重要な問題かと思っております。どうもありがとうございました。それと、羽入先生からの御意見は非常に大切であり、学術情報をどのような方向に持っていくのか、どのように扱っていったらいいのかというようなことの大局的な方向性を出していく必要があるのではないかということも思っております。
 どうぞ。
【上島委員】  今、学術情報ということで、研究データはもちろんでしょうということで、それから教育データというお話もありました。実際、ここに二つ目のアクティブ・ラーニングというのが出ておりますけれども、これは人材育成の観点から中央教育審議会でアクティブ・ラーニングを導入することがトピックとしてなっているわけですね。大学制度に関しましても、到達度の確認を入れるとか、あるいはクオータ制を入れて、国際的にやりとりができるようにしようというような方向で国が動いているように思います。ですから、学術情報をオープンというのは非常に重要な概念だと思います。教育面での、例えば国際的にクオータ制で学生を送って、単位をジョイントディグリー、ダブルディグリーのもとで交換するというような制度を考えているわけですから、そういった国際的な情報、それぞれの国の情報を利用しながら人を育成していくという観点に立つわけです。そういった場合は、やっぱり日本の学術情報を、世界の学術情報の中でとらえ、国際的な学術情報との連携的な観点でオープンにする、こういったことも考えていくのが大変重要なんじゃないかと思っております。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 今期最後の委員会ですので、加藤委員、吉田委員、それから土方委員にも一言どうぞ。
【吉田委員】  恐らくこれからお話しするような議論はされていくだろうし、皆様も考えておられることでしょうから私があえて申し上げる話でもないとは思うんですけども、例えば我々企業の中でオープン化、具体的には、あるインターフェースを決めてそれをオープンにする、あるいはソフトウェアを開発して、それをオープン化するときというのは、やっぱり目的を考えるわけです。我々の目的は、最終的にはビジネスで成功することですから、これをオープンにした方がビジネス的に成功する、例えばインターフェースをオープンにしたことによって、そのインターフェースでつながるものがどんどんできてエコシステムが獲得できるなどといった目的があります。そういう意味で、我々から見るとオープン化というのは目的ではなくて手段ですが、先ほどから先生方もおっしゃっているように、学術情報をオープン化して目指す姿といいますか、いろんな考え方もあるところだと思うんですけども、場合によってはオープン化しない方がいいという側面もあるわけですし、何を目指すかをこの中で是非議論していった方がいいかと考えます。もう一つは、学術研究の成果には、実験や調査データもあるでしょうし、論文もあるでしょうが、もう一つ重要なものといえば、ソフトウェアがあると思います。研究成果がソフトウェアの形になるというのは非常に多いと思うのですけども、そうするとそのソフトウェアを利用する条件など、結構現実的な話がいっぱい出てくると思います。利用権や改変の扱い、あるいはオープンソースのソフトウェアをどう維持管理していくか。踏み込み過ぎると、またそれはそれで大変な領域に行ってしまうような気もするんですけども、是非そういう側面も含めて、オープン化の対象の中にソフトウェアも入れていただければと思います。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 産業界の目からのコメントを頂きまして非常に助かります。頂きましたコメントを念頭に置いていきたいと思っております。
 土方委員、どうぞ。
【土方委員】  基本的に、私も学術情報のオープン化というのは賛成でございますが、これを実現するためにいろんな障害が出てくると思うんです。例えば著作権の問題ですとか、そういった体制的な問題もじっくり話をしていただいて、特に著作権の問題というのは、ここだけでは解決できる問題ではないので、そういうところにポイントを置いた方がいいかなということと、それからもう一つは、今までにこの学術情報委員会がやってきたことのフォローアップ、ここについては、しっかりやっていく必要がそろそろあるんじゃないかと思っております。
【西尾主査】  どうも重要な観点をありがとうございました。
 では、加藤委員、是非どうぞ。
【加藤委員】  今、JSTの方でも、研究データのシェアリングをどうするかという議論を進めているところでございますし、内閣府の方でも、オープンサイエンスということで委員会が立ち上がって、この課題についてのある程度方向性が出る中で、具体的な進め方については、やはりこの学術情報委員会の中で議論いただくのがベストじゃないかと思いますので、課題については非常に歓迎しておりますし、是非、勉強させていただきたいと思っております。
 この中で、例えば研究データの話をしますと、当該データのライフサイクルというのが当然ございまして、最初の研究開発の段階で出てくるデータをどうするか、保管するかとしていく話ですね。出てきたデータについて、どの部分で公開していくかといったときに、データのライフサイクルといったことも考慮する必要があります。研究開発段階のデータについては、競争的経費の中で保存して保管していくというようなことが必要になってまいりますし、その中で、人材の面、特にイノベーションを起こす人材という意味ではないかもしれませんが、いわゆるキュレーターと言っていますけども、データを整理して、格納して、使えるデータの形にして保存していく、そういったインフォマティクス人材というのが必ず必要になってきます。そういう人材の確保についてもやっぱり競争的経費の中できちんと考慮しておかないと人材のキャリアパスというものが次に続きません。その後、研究開発が一段落し、その中からどれだけのものをオープン化していくかという段階になって初めて、基盤経費の中でオープンな形で流通させていくことになろうかと考えています。
 それから、研究開発の中でも、流通のところでも、いわゆる第4の科学ということで、データがあってこそできる、即座にオープンにしなきゃならないデータも中には出てくるということもあります。例えばたんぱく質の構造データなどのように、論文を発表する段階でそれを登録して、バリデーションレポートを添付して論文を発表するというようなことになっていきつつありますが、ICTの分野では、先ほど西尾先生がおっしゃったようなかなり速度が速くなっております。
 例えばオープンソースのソフトウェアについては、物すごい勢いでレベルアップをしてバージョンアップしていっています。また、研究開発の分野でも、例えばICT分野の研究開発だと、量子コンピューターのお話をこの間お伺いしたのですけども、理論的な部分については、逆に言ったらネットワークの中でどんどん新しいアイデアが出てくると。それを製品化するときに初めて、製品化して論文化するときには少しクローズドされた形になりますけど、アイデアそのものについては、もうどんどん共有化されているということです。今の研究開発の成果は、論文を書いて初めてオープンにするということですが、これは数年のタイムラグの期間を持っているわけですが、一方、ICT分野の研究開発とか、そういうところは、もう日進月歩で進む可能性があると言えるのではないでしょうか。
 論文を書いてオープンにして、それからそれを使うというサイクルというのは、数年間の研究開発期間の後、1年、2年後というサイクルになるので、その部分を、逆に言ったら、将来的に、どういうふうにスピードアップするためにどうするか、そのために研究データをコミュニティで共有する必要があるというところも多分研究開発の側面から課題として出てくる可能性があるんじゃないかということで、すごくこれからの議題としては興味深いのではないかと考えております。
【西尾主査】  JSTの立場からも、今後ともどうかよろしくお願いいたします。
 安達先生、どうでしょう。
【安達副所長】  オープン化についての我が国の方針を固めていくのは、極めて時宜を得て大事なことだと思います。今まで国際的な形で具体的なオープンアクセスや学術情報の話をするときに、我が国の基本的なポリシーがないということで大変話も説明もしにくいと苦労しております。その中で、日本のビジビリティーはどんどん下がり、アジアを代表する科学技術先進国としての立場を失いかけている段階だと思います。別の国がもっと強力に進めております。
 オープンについて考えるときに最重要なのは戦略性だと思います。このことについては、既に委員の方々がいろいろな観点からおっしゃっていますが、私自身が最も印象に残っているのは、10年ほど前にOECDで科学技術の成果データをオープンにする議論をしましたが、その勧告には、まず軍事、ビジネスは除く等、大事なことはちゃんと除外するよう明記した上で、学術のような分野からやりましょうという形で記述がありまして、そのように書いた裏にそれぞれの国の戦略があるわけです。ですから、学術分野においても、分野ごとにやはり戦略が違って、例えばバイオサイエンス分野の場合と天文分野でのオープンに対するスタンスは全然違うので、それを一律に扱うことは難しいと思います。
 申し上げたい点は、オープンという話をするときには、一番オープンということに向かいやすい学術分野での議論に集中してくると思います。それ以外の、本当に国として守らなければならないところは、オープンなんていう話はまず俎上(そじょう)に載せないという形で議論が進むと思います。そういう意味で、文部科学省でのオープンという議論が、最も紛糾するように思います。その中で、先ほど加藤さんが言われたように、物理の世界で起こっている自由闊達(じゆうかったつ)なやり方と、創薬分野の活動では全く内容が違うので、それをうまく分けながら、外国との関係においてどこをどのような切り札として出していくかという視点が極めて重要だろうと思います。学術論文に関してオープンアクセスの議論が高まっているのは、そこが一番妥協しやすいからだと思います。データにいきますと、もっと冷静な考え方が必要になってくるので、相当きちんと議論しないと、単純には済まないというのが私の考えです。
【西尾主査】  先ほど吉田委員がおっしゃったようなことと相通じるものがあると思いました。非常に興味深い重要な観点のお話をありがとうございました。
 最後に科学官、どうぞ。
【美濃科学官】  やっぱり学術情報というときに、教育関係の情報も是非必ず含めていただきたいというのをお願いしたいと思います。教育系、教材、オープンコースウェアなんかをやっていますけども、これらも明らかに情報のオープン化をやっていますので、学術情報は研究の結果の情報だけじゃないということをしっかりと明記していただきたい。
 それと、研究の結果というか、研究でいいますと、やっぱり研究のプロセスというのをどうオープン化していくかというお話が今後あると思います。例えば評価基準がサイテーションになると、論文をいかにサイテーションさせるかという戦略に研究者は動いていくわけですね。データをオープンにして、そのデータを使ってもらえればサイテーションしてもらえるだとか、プログラムをオープンにして、そのプログラムを使ってもらったらサイテーションしてもらえるとかいう話になります。基本的な方向としては、評価をそういうふうに変えていけば、研究者はオープンにしようとしていくと思うんですね。だから、そのあたりで何に注意するべきかも含めて、オープン化を促進しようというような方向の議論と、やはりオープン化の危険性とか、共有だけしておく方がいいとかいうあたりの議論をしっかりやっていただければいいんじゃないかと思います。
 あと、ここで議論すべきかどうかちょっと分からないんですけど、ビッグデータ研究において、アカデミック関係のビッグデータが集まっていないので、集める仕組みをどこかで議論するべきだと思っています。ラーニングアナリティクスをする場合、大学の中だけでやっていても仕方がないので、国全体としてデータを集める必要があります。つまり研究データを作る過程に、かなりコストが掛かります。そこにコストが掛かれば、作ったデータは囲い込んで先に研究してからオープンという話になるわけで、これからデータが中心となる研究を進めようとするときに、元のデータをどうするのというのを、個々の研究者が考えていたら無駄な投資になる気がしますので、どこかで何らかの形でデータをうまく集める仕組みを考えないと、国として効率が悪いのではないかと思っていまして、今度のところでこれをやるかどうかは別にして、どこかでまた議論ができたらいいと思っています。以上です。
【西尾主査】  美馬先生、どうぞ。
【美馬委員】  すいません。どうしても今日が最後ということですので。私も教育のところ、MOOCの話はもう今すぐ取り掛からないといけない課題なんですね。どんどんいろいろ教材を作っていく中で、ここの委員会でしか議論できないかと思うのは、教育利用の中での映像や画像の著作権を結局どうするのかということ。早くポリシーを出して決めていかないとMOOC等をオープンできないという、これは喫緊の課題だと思います。
 もう一つ最後に、私は北海道に居住していますが、MOOC等が教育の地域格差を解消する一つの方法、大きなものになると思います。大学に行きたくても経済的事情で行けない高校生がいっぱいいます。北海道は特に、大学進学率が女子は30%台だったりするところもあるので、オープン化、それは社会への影響ということで、是非ともこれは期待したいところです。以上です。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 美濃先生、それから美馬先生から、教育関係のことを是非重要視してほしいという御意見を頂きました。これは美濃先生が、現場において今まで苦労なさってきたことも多々あるのだと思うのですが、そういうことを反映した議論をしてほしいということだと思います。
 どうぞ。
【鈴木参事官】  ただいまの御議論の中でも教育の問題のお話が出たところで、確かに学術情報ということの定義自体も、そういう意味では今日的に改めて考え直さなきゃならない時期なのかと思いますが、従来でいうと、確かにニアイコールで研究の情報という形で捉えられてきたということはあるかと思います。
 ここで多少ややこしいのは、審議会、あるいはいろんな事務組織内の分掌で申しますと、教育の問題となりますと、高等教育、あるいは中央教育審議会というところがございまして、MOOCやアクティブ・ラーニングの推進についても、基本的にはそちらの議論で、ある種政策的にどう望ましい方向に進めていくべきか、教育面のオープン化をどうしていくのかということも議論されてきたような経緯がございますので、それでこちらの学術情報委員会でのいろんな御議論と、うまくそういうのを私どもとしてブリッジする形でお話が進められるように、私どもとしても今後できればなとは思っています。
【西尾主査】  是非その点よろしくお願いいたします。
 それでは、よろしいでしょうか。では、最後に事務局より、連絡事項等があればお願いいたしたいと思いますがいかがでしょうか。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  先ほど申し上げたとおり、本日で第7期の学術情報委員会が最後ということになります。審議官の安藤より一言お礼を申し上げたいと思っております。
【安藤大臣官房審議官】  今日は本当に活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。今期の審議が本日で終了することになりますので、一言感謝を申し上げたいと思います。
 西尾主査、そして羽入副主査を始め、先生方には御多忙の中、2年間にわたりまして御審議を頂き、本当にありがとうございました。
 幾つかいろんな重要な報告をまとめていただいております。平成25年8月には、学修環境充実のための学術情報基盤の整備、そして、この中では学生の主体的学習を支援する観点からのコンテンツ、スペース、人的支援といったところで、学術情報基盤の整備の方向性につきまして、非常に多くの示唆を頂きました。大学ではこれを参考に、アクティブ・ラーニングスペースの設置をする図書館も着実に増えてきていると認識しております。また平成26年7月には、教育研究の革新的な機能強化とイノベーション創出のための学術情報基盤整備について大学等におけるクラウド化への対応であったり、SINETの整備の在り方、こういったことについておまとめいただきました。今後、大学などにおけるクラウド化の促進に適切に生かしていきたいと思っておりますし、今日も議論の中で出てまいりましたSINETにつきましても、来年度の概算要求に反映させていただいておるところですので、これについても、予算のまとめの中で頑張ってまいりたいと思います。そして今日も、いろいろ第5期科学技術基本計画についても、西尾主査をはじめ御議論を頂きました。これは重要な事柄も含んでおりますので、事務局の方でも、関係の方面にも伝えながらいろいろ対話、協議、こういったところを進めていきたいと思っております。
 今後とも先生方にはいろんな形で御指導、御助言を頂きたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。簡単ではございますけれども、お礼の挨拶とさせていただきます。。ありがとうございました。
【西尾主査】  どうもありがとうございました。
 私の方からも2年間、本当にすばらしい委員の方々と議論することができまして心より感謝いたしております。議論の内容としては、アクティブ・ラーニングということ、もう一方ではSINETの強化が大きなテーマだったと思います。その中で、やはり、ビッグデータというような大きな時代的な流れを考慮する必要がありました。今、安藤審議官の方から、身に余るようなお言葉を頂いたわけでございますけれども、私自身、委員の皆様方との議論の中で、本当にたくさんのことを学ばせていただきました。今後、その学んだことをいろいろなところで生かせればと思います。
 委員の皆様方には感謝の気持ちでいっぱいでございます。貴重な時間を本当にたくさん頂きまして、また、当方の司会の下手さから、いろいろなことで御迷惑を掛けたかと思いますけれども、御容赦いただければ幸甚です。是非とも日本の学術情報基盤の強化を実現すること、また、今後はオープンデータ化の流れの中で、日本がどういう形で対応していくかという議論が重要になっていくかと思いますが、そのようなことについて、皆様方から引き続き多大なる御指導を頂ければと思っております。本当にどうもありがとうございました。
【松本学術基盤整備室参事官補佐】  すいません、事務局から連絡事項でございます。次期学術情報委員会の申し送り事項につきましては、後日また改めて書面で御確認、御意見等を頂ければと思っておりますのでよろしくお願いいたします。平成27年度の予算案等の御報告につきましても、後日改めて連絡をさせていただければと思っております。本日の会議の議事録につきましては、各委員に御確認を頂いた上で公開とさせていただきます。以上でございます。
【西尾主査】  それでは、これにて閉会とさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室

屋所、窪田
電話番号:03-6734-4080
ファクシミリ番号:03-6734-4077
メールアドレス:jyogaku@mext.go.jp(コピーして利用される際は全角@マークを半角@マークに変えて御利用ください)

(研究振興局参事官(情報担当)付学術基盤整備室)

-- 登録:平成27年01月 --