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学術情報委員会(第6回) 議事録

1.日時

平成25年10月25日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.出席者

委員

西尾主査、羽入主査代理、上島委員、岡部委員、加藤委員、喜連川委員、倉田委員、後藤委員、竹内委員、土方委員、美馬委員、山口委員、吉田委員

文部科学省

(科学官)美濃科学官
(学術調査官)市瀬学術調査官
(事務局)吉田研究振興局長、山脇大臣官房審議官、生川振興企画課長、下間参事官(情報担当)、長澤学術基盤整備室長、その他関係官

オブザーバー

安達国立情報学研究所副所長

4.議事録

【西尾主査】  おはようございます。時間になりましたので、ただいまより第6回学術情報委員会を開催いたします。
 御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、前回お話ししておりましたとおり、今後の審議に資する有識者ヒアリングを行った上で、意見の交換を行いたいと思います。
 それでは、事務局から、まず、本日、御説明いただく先生の紹介をお願いいたします。

【長澤学術基盤整備室長】  それでは、御紹介をさせていただきます。本日、有識者として御発表いただきます九州大学附属図書館付設教材開発センターの岡田義広先生でございます。

【岡田教授】  よろしくお願いいたします。

【長澤学術基盤整備室長】  岡田先生には、文部科学省の委託事業である「アカデミッククラウド環境構築に係るシステム研究」の代表者として、このアカデミッククラウド環境の具体化のための調査研究をお願いしております。本審議会の審議と併せて、適宜連携しながら実施していきたいと考えております。また、適宜情報につきましては、この委員会でも提供していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【西尾主査】  岡田先生、本日はどうかよろしくお願いいたします。
 次に、事務局より、人事異動の紹介と配付資料の確認及び傍聴登録等についての報告をお願いいたします。

【長澤学術基盤整備室長】  それでは、まず人事異動の紹介でございます。研究振興局におきまして、審議官に10月1日付けで山脇良雄が着任しておりますので、御紹介させていただきます。

【山脇大臣官房審議官】  研究振興局担当の官房審議官で着任しました山脇です。よろしくお願い申し上げます。

【長澤学術基盤整備室長】  それから、本日は、生川振興企画課長も出席をさせていただいております。

【生川振興企画課長】  生川でございます。よろしくお願いいたします。

【西尾主査】  よろしくお願いいたします。

【長澤学術基盤整備室長】  続きまして、配付資料でございますけれども、配付資料につきましては、お手元の議事次第のとおりでございます。
 それから、議事次第にはございませんが、報道発表資料といたしまして、10月11日付けで日本オープンオンライン教育推進協議会、JMOOCが設置されたということで、これは議題とは関係ございませんけれども、こういった動きがあるということでお配りをさせていただいております。漏れ等ございましたら、事務局までお願いいたします。
 それから、本日の傍聴者は26名となっております。
 以上でございます。

【西尾主査】  机上の配付資料で、MOOCに関する日本における新たな動きの資料がございます。先般、NHKの番組「クローズアップ現代」においてもMOOCのことが取り上げられておりました。我々が高等教育を考える上で、MOOCが大学における教育ということが何なのかということをもう一度問い直しているように考えられます。その観点からも非常に重要な局面に来ているのではないかと思っております。
 それでは、ヒアリングに先立ちまして、前回の学術情報委員会における審議の概要について、事務局より説明をお願いいたします。

【長澤学術基盤整備室長】  それでは、資料1をごらんください。前回、この委員会におきまして、このアカデミッククラウド環境及び次期SINETにつきまして、どのような審議をしていくかということにつきまして、御議論いただいたところでございます。それを御確認いただくという意味で、資料1のとおりにまとめておるところでございます。
 まず、ネットワークの強化に関するものでございますけれども、データの生成が爆発的に伸びているという状況の中で、これはネットワークの増強で対応しようと思っても追い付かないのではないかという御意見がございました。特にゲノム研究では、もう既に宅配便でデータをやり取りしていることや、また、SINETの現状として、半数ぐらいのトラフィックを天文学で占めているということはどうなのか、という御意見がございました。こういうことに対しましては、新たな科学に対応するためには、現在のネットワークの帯域では狭過ぎるということでございまして、例えばスパコンの京についても、出口の部分は10Gbpsしかないということで、やはり他の場所で生のデータを解析しようとしても、そういったところがボトルネックになっているという現状があるということでございます。やはり日本が世界最高レベルのIT環境を構築するということであれば、テラバイトオーダーというところまで必要になるということではないかという御意見でございます。
 それから、研究者がネットワークを利用するときに、自ら制限しているというところは問題ではないかということでございまして、特に領域融合的な研究を推進するということが重要になってくるわけですが、ネットワークの制限を極力、心配しなくても済むような環境は整備すべきではないかという御意見を頂いております。
 それから、御説明していただいたところの資料の中で、量的な視点で、トラフィックの現状に関する報告がなかったということでございまして、やはり最終的には量的な議論も重要になってくるのではないか。
 それから、内容としまして、教育関係でICTが今後活用され出すということで、それをネットワークに載せる需要というものをどう考えるかということでございます。やはり大口のサイエンスだけではなくて、アカデミックな活動が全てIT基盤に載ってくるという状況がございますので、こういった中から、質的から量的への議論に広がるということも考えておくべきではないかということでございます。
 また、国際回線につきましては、各国がネットワークを拠出するという形で構成しておりますので、そういった観点で国際共同研究の発展とか、国際的な意味でのリーダーシップという観点で、こういった回線の確保が必須だと言っていくということも重要ではないかという御意見がございました。
 それから、全体的な審議の方向性については、SINETをベースにしながら、アカデミッククラウド環境をどう構築していくかということが議論の焦点となるということでございまして、その場合には、やはり教育の視点、それからデータを扱う人材育成や、存在する制度の問題も審議していく必要があるのではないかということでございます。
 また、帯域が大きくなっていきますと、そういったことに対して効率的に利用するとか、セキュリティの確保ということが重要になってくるわけですが、それに対応する体制ができていないのではないかということでございまして、ネットワークの知識を有して、アドバイスをできるような人材の確保、育成が各大学には必要であるということで、またNIIの方にも、そういったカウンターパートとして相談できる体制構築が必要ではないかという御意見がございました。
 2枚目でございますけれども、こういったネットワークに学生のデータ、人に関するデータが使われるということになってまいりますので、個人情報とか、プライバシーの問題を最初から盛り込んだ形でネットワークに設計をしていく必要があるのではないか。また、ネットワークの問題だけではなくて、情報の処理系、格納系というものを含めてITインフラ全体を視野に入れたバランスの取れた議論を構築していくということが必要ではないかということでございます。
 大枠として考えますと、この議論の枠組みとしましては、研究・教育利用としてのアプリケーションに関するもの、それからITインフラ全体の在り方、人材育成の三つに整理できるのではないかという御意見でございまして、その基本としては、その底流に学術情報の共有・確保が目的としてあるということを認識して議論していくことが必要ではないかということでございます。
 それから、アカデミックなコミュニティにおきまして、こういった共有の情報基盤を有するという意味を強く言っていく必要があるのではないかということでございます。全ての大学が加盟、使える環境を基盤として持つことの意義とか、大学のICT能力が落ちているというように感じられる状況の中で、その底上げのための人材育成の重要性というものを盛り込んでいくことが必要ではないかということでございます。
 また、最近のクラウドの先を行くものといたしまして、こういったクラウドをネットワーク上でつなぐインタークラウドというものにつきましては、日本がリードしている状況であるということで、こういったアカデミックな世界におきましてクラウド基盤を世界的に作って、これを総合的に結ぶという中でリーダーシップを発揮していくということが、そういう国際競争的な側面として予測されているというところでございます。こうした中で、アカデミッククラウドとSINETを融合した基盤ということは、将来の情報処理基盤ということを考える上でのテストベッドとしてセキュリティ、認証技術、その運用のためのポリシー構築などで世界に貢献、リードするということが期待できるのではないかということでございます。特にセキュリティにつきましては、非常に重要だということで、SINET自体がターゲットになったり、日本の学術機関そのものがターゲットになり得るという時代の中で、こういった最先端のことを守っていくということが研究だということで取り組む必要があるということでございます。
 また、大学の事情としましては、こういった各大学で持っているサーバとか、ハードを学外に持っていくという財政的な要因もあるということでございます。ネットワークの両端を構成しているルーターやスイッチ等、それらが老朽化していく際の更新需要ということも考えますと、財政的な問題として、効率化という観点でクラウド環境の構築というものが必要になってくるのではないかということでございます。
 また、そういったクラウド環境の必要性ということで考えますと、データ処理を自ら行って、流通させるということではなくて、クラウドに存在するコンピュータを使用して分析する。そういったネットワークの基盤のインフラ整備ということを広げていって、基盤全体としてサービスをどうするか。データセンターをどうするかということを考えていけば、強固なクラウド基盤ということがネットワークを含めて対応できてくるという議論として発展するのではないかということでございます。日本全体としては、学術ネットワークをどう配置して、どういう形態で保持するのか、サービスをどう展開するか、その際に、効率だけではなくて、考えないといけない部分とか、人材育成というものをトータルで議論していくということが非常に重要ではないかということでございます。
 また、そうは言いましても、大学は一つの共同体というわけではございませんので、各大学の発想とか、そういったものを重視して、その最適な答えを見付けつつ対応していくということも必要ではないか。そのためのフレキシブルなネットワークの構築ということも考えながら提供していくことが重要な課題であるという御意見を頂いたところでございます。
 以上でございます。

【西尾主査】  どうもありがとうございました。前回は、国立情報学研究所の安達先生にSINETの現状について御説明いただきまして、欧州あるいは北米、更に中国と比べて、日本のネットワーク帯域の性能が一桁劣っていることを知りました。それに対して日本が科学技術、あるいは学術の分野において世界で存在感を示し、リーダーシップを発揮していく上では、逆に一桁高性能、つまり、毎秒テラビットオーダーの帯域性能を有するSINETを構築する必要があることの意識を皆様とともに共有できたと考えております。
 その後で、この委員会で8月に審議のまとめを出して以降、審議の焦点をどこに当てて行うかということについて、皆様方から非常に貴重な御意見を多々頂きまして、それが今、長澤室長の説明の後半で御紹介いいただいたところでございます。今後の審議のある意味の屋台骨が、御説明いただいた資料1に記されているように思いますので、本日から、この方向性に沿って一つ一つ、着実に審議をしてまいりたいと思います。
 今後の審議に関する長澤室長の報告の中で、アカデミッククラウドという言葉が何回も出てきております。今日は岡田先生から、それに関連して現在進めておられますプロジェクトの状況について30分程度で御紹介いただき、その後、質疑応答並びに今後具体的にどういう形で審議を詰めていったらよいかということに関してフリーディスカッションをしたく思っております。
 それでは、岡田先生、よろしくお願いいたします。

【岡田教授】  よろしくお願いいたします。スライドを使って御説明させていただきます。ここに書いてありますように、「アカデミッククラウド環境構築に係るシステム研究」としまして、我々のグループでは、「コミュニティで紡ぐ次世代大学ICT環境としてのアカデミッククラウド」というテーマで提案をさせていただいて、本事業を進めさせていただいております。
 先ほど御紹介いただきましたが、私は九州大学附属図書館付設教材開発センターの岡田といいます。事業代表を務めさせていただいております。
 本日の説明内容はこのようになっています。最初に、事業内容ですけれども、委託事業としまして、アカデミッククラウドを構築するためのいろいろな要求、要件等を明らかにする必要がございます。そのために、現在の全国の各大学、高等教育機関、研究機関でどういった質のICTサービスが行われて、どういったデータが利用されているのかという状況を調査する必要がございます。ですので、クラウドに関わる団体、組織に対するヒアリングであるとか、既存の調査データを調べる。あるいは今、ちょうど現在、全国の高等教育機関1,230機関に対して大規模アンケート調査を実施しているところでございますが、現在の各大学のそういった状況を調べるためのアンケート調査を実施しているところでございます。
 それらの結果を踏まえまして、本事業のアウトプットとしてアカデミッククラウドの標準仕様を策定するというのが目的になります。既に幾つかの大学ではクラウドコンピューティング、クラウドを導入し、運用しているところがございますが、アカデミッククラウドではそれを更に大学間の連携を強めることによって、データとしてはビッグデータになりますし、従来、個々の大学が運営していたのに比べて高度なレベルで、システムの集約化や共有化が図られて、結果として様々な面でのコストダウンが図れると言うことができます。
 大学のアクティビティーには様々なものがありますけれども、主に教育と研究、また、事務の支援を行う必要がございます。それ以外に、この後、図で御説明しますけれども、こういったアカデミッククラウドのシステムを考えるときに、セキュリティであるとか、プライバシーであるとか、ネットワーク帯域、あるいは認証について、考える必要がございます。
 そういう様々な分野の研究者と密に連携を取って本事業を進める必要がございますので、特に大学ICT推進協議会のコミュニティと強い連携を図って本事業を進めております。
 まず、クラウドコンピューティングにつきまして、簡単にどういったものかという概要を御説明したいと思います。クラウドというのは、我々、ネットワークの図を雲の形で描くので、それでクラウドという名前が付いていますが、そのネットワークの中に何らかの形でサービスが行われている。それをネットワークを介してエンドユーザーは享受することができるというのがクラウドコンピューティングの基本的な考え方です。
 そのサービスとしまして、その下の方に「三つのサービスモデル及び四つの配備モデル」と書いてありますけれども、三つのサービスモデルといいますのは、右側に一般のユーザーがコンピューターを使うとき、計算機を使うときの図を描いてあります。何らかのアプリケーションを実行するときには、OSといったプラットフォームが必要になります。それを実際に動かすためのハードウェアが必要になります。こういった3層が基本の構成になりますけれども、これに対応する形で、SaaS、PaaS、IaaSあるいはHaaSというふうに、SaaSはソフトウェアサービスの略で、アプリケーションをサービスの形でクラウド上にサービスを行って、ネットワーク越しにそれを享受することができるというものになります。PaaSは、Platform as a Serviceです。プラットフォーム、主にOSレベルのシステムを提供すること。IaaSは、ハードウェア、CPU、メモリ、ハードディスクといった計算機リソースを提供するというサービスになります。
 実際には、これらの物理サーバ、CPUであるとか、メモリ、ハードディスクをどこに置くかという、物理サーバをどこに置くかという問題がございます。そういうサーバのことをデータセンタと呼びます。我々の事業では少なくともこの三つについて、仕様を考えようということで進めております。
 全国中核拠点型といいますのは、全国に1か所、中核になるデータセンタを置いて、そこをネットワーク越しに他の機関が利用するというものになります。一番下の方に赤字で書いてありますけれども、効率は非常に高くなります。規模も大規模になります。代わりにネットワークであるとか、プライバシーであるとか、セキュリティであるとか、そういったところを強く考える必要があります。
 二つ目は、地域別拠点連携型で、例えば私が所属しています九州大学がある九州地域では、九州大学がデータセンタを持っていて、九州地域の各大学がそこのデータセンタを利用するというようなものです。効率としては、規模的には多少分散化されていますので、効率が中程度になります。規模も、中規模のクラウドということになります。
 一番右側が個別連携型ということで、従来の計算機がネットワークを介してそれぞれコミュニケーション、通信をしているのと同じような考え方です。特にこれが中核になるといったデータセンタを置かずに、個々にデータセンタを置いて、それぞれがお互いにそれらを利用し合うというものになります。規模としては小規模になりますし、いろいろな面での効率がありますけれども、基本的に小さな効率になると言うことができます。
 四つの配備モデルとありましたけれども、データセンタをどこに置くかということで、その機関内に置くものをプライベート、オンプレミスで置くことをプライベートクラウドと言います。機関外にあるものをパブリック。現在ですと主に商用のものがパブリックとして扱うことができます。それらを組み合わせたハイブリッド。また、ある特定のコミュニティでクラウドを構築するというコミュニティクラウドの四つに分けることができます。
 我々が考えていますアカデミッククラウドでも、各大学にプライベートクラウドを持っていて、他の大学は、そのプライベートクラウドを他の大学が提供するパブリッククラウドとして利用する以外に、商用のパブリッククラウドをどのように使うかということも含めながら検討していく予定でございます。
 アカデミッククラウド、アカデミックという名前が付いておりますので、特に多数の大学で強い連携を作ってクラウドを運用するということになりますけれども、大学でどういったアクティビティーがあるかということを網羅的に、全てのアクティビティーを支援するということをまずは考えます。主に研究と教育と、キャンパスライフと書いていますけれども、学生や教員の生活、下の方に事務がありますけれども、研究と教育と事務というものがあります。それをICTのテクニカルタームでまとめたものが真ん中のものになります。こういったものに対して、これはハードウェアの面とか、サービスの面とか、デバイスの面が全部書かれていますけれども、そういったICTに関わる全てのものを注意して、アカデミッククラウドについて考えないといけないと言うことができます。
 なぜアカデミッククラウドなのかということですけれども、先ほど御説明しましたように、幾つかの大学では既にクラウドを運用しております。例えば九州大学ですとキャンパスクラウドということで、学内の教員と学生に対してIaaS、PaaSレベルで計算機のリソースを提供しています。また、北海道大学では、前回の審議の中でインタークラウドという話が出ていましたけれども、北海道大学の情報基盤センターが運用しているアカデミッククラウドは、インタークラウドということで、ほかの大学のクラウドと連携した形のクラウドを運用するというサービスも行っております。ですので、学内に限らず、学外の研究者に対してもクラウドサービスを提供しているというものになります。
 SaaSとしましては、NIIの機関リポジトリのようなものを考えることができます。幾つかこういったサービスがありますけれども、十分な連携が図られていないと言えます。十分な連携が図られていないために、共有化、集約化が不十分で、大きなコストダウンが図られていないと考えることができます。
 一方で、パブリッククラウドを使ってそれらを連携させればいいではないかという話もございます。ただ、パブリッククラウドですと、データが各個別の商用のサービスに載りますので、それを連携するというのは非常に難しくなります。大学の方にデータセンタを持つことで、それらの連携がうまく図られると考えることができます。
 今、御説明しましたように、真ん中の方に「教育、研究、事務等のあらゆる活動の支援を視野に入れて」と書いてございますが、大学のアクティビティー、全てのアクティビティーを視野に入れて、クラウド、大学間で強い連携によるアカデミッククラウドを提案しましょう、これを作るための必要な条件、要求要件を明らかにしましょうというのが本事業の目的になります。
 先ほどから御説明していますように、データセンタの配置としまして、個別連携型、地域別拠点連携型、全国中核拠点型を考えます。サービスモデルとしましては、SaaS、PaaS、IaaS、細かくは、それ以外にDaaSとか、NaaSとかというのがございます。そういうものも全て考慮して、さらに、パブリッククラウドとアカデミッククラウドの利用、アカデミッククラウドの中にパブリッククラウドも一部利用するということも視野に入れて考える予定でございます。
 このように全ての大学のアクティビティーを考えますので、個々の大学の支援ではなくて、全国の大学の支援ということで、次期の学術情報基盤になり得るものと考えることができます。当然これを実現するためには、太い帯域のネットワークが必要になると言うこともできます。
 アカデミッククラウド検討の視点ということで、今、御説明しましたものをまとめたものがこのシートです。技術的な側面として左側に挙げたものがあります。それを支援する、サポートするための応用、目的として、右側のものがあります。データであるとか、ICTサービスを考えないといけないということになります。特にその他の考慮点として右下に書いてございますが、セキュリティ、プライバシー、認証、ディザスター・リカバリー、災害対策、事業継続計画、BCP等を検討する必要もございます。
 具体的なイメージを御理解いただきたいということで、例えばこれは京都大学の先生から頂いた資料なのですが、教育のサポートとして、教務システム、eポートフォリオシステム、コース管理システムというものが主にあります。これらをクラウド上で、クラウドサービスとして提供するということを考えます。それを描いたものがこれなのですが、ここは飽くまでも例として見ていただきたいと思います。北海道大学とNIIと京都大学と九州大学を地域別の拠点として、それぞれの大学にデータセンタを置いて、そこで下の方にサービスモデル、SaaSとしてLMS、CMS、e-Portfolioと書いています。LMSはラーニング・マネジメント・システムで、CMSはコース・マネジメント・システムの略です。それぞれ教育のコンテンツを管理するためのサービスです。そういったものをSaaSの形で、データセンタが置かれている大学で提供すると。周りの大学はそこのデータセンタにアクセスして、SaaSの形でサービスを受けるといったことが考えられます。
 問題は、そこの下に書いていますが、アプリケーション共通化、各大学で使っている、そういったシステムが同じものであるとは限りませんので、それらを共通化して提供するか、あるいは個々の大学が使っているアプリケーションをそのまま動かすために、PaaSとか、IaaSの形でサービスを提供するということも考えることができます。
 また、教育の場合には、教育コンテンツ、教材というものがデータとしてございますので、SSと書きましたのはストレージサービスの略です。ストレージサービスを使ってデータを置く、アーカイブとして置く、あるいはバックアップとして置くということが考えられます。パブリッククラウドと連携して使う、利用するということを考えますと、災害対策、ディザスター・リカバリーのために、バックアップとしてパブリッククラウド上、商用のクラウド上にストレージサービスを使ってデータを置くというようなことが考えられます。
 また、教育では、マイクロソフト社の製品の名前を出してしまっていますけれども、マイクロソフト社のOffice系のそういったツールを使うことで論文を書いたり、文章を書いたりすることが多いですので、商用のSaaSで提供されます、そういったドキュメンテーションのツールを使うということも考えることができます。
 課題としまして、今、最初、アプリケーション共通化という話をしましたけれども、例えば教務データを共有するとかといった場合には、データフォーマットの標準化であるとか、対象は学生になりますので、プライバシーとか、セキュリティ、あるいは利用者認証、地域拠点連携型の場合には、データセンタがあるところに周りの大学からアクセスが集中しますので、どの程度通信帯域が必要かというものを明らかにしていく必要があります。あと、他システムとの連携、状況等も考える必要がございます。
 今、御説明したのは教育分野についてですけれども、研究分野につきましては、主に特定のアプリケーションを使うというよりかは計算機リソース。ハイパフォーマンスの計算機リソースを提供してもらって、その上で各研究を行っている研究者が自分たちで作ったプログラム、あるいはデータを処理するためのアプリケーションを動かして研究をするという形が多いと考えることができます。その際に、各大学が持っている、既に運用しているクラウド上で研究をしている先生方がいらっしゃると思いますけれども、それらのデータを動かすことなく、連携を行いたいという要求がございます。それをする技術がインタークラウドの技術ということになります。先ほど御説明しましたけれども、北海道大学の情報基盤センターは、そういった実験ベースで実際の研究について、インタークラウドの運用、実験を行っております。
 研究分野と、先ほどの教育とか、この後説明します事務支援との違いでありますけれども、計算機、データをコンテンツサービスとして出すというよりかは、それぞれの研究者が持っているデータをいろいろな形で処理するということで計算機を使うというのが教育と事務支援等と大きく違うところになります。このときに考えなければいけないのは、データを共有化することでビッグデータの研究を促進することができると考えることができますが、全てを共有すればいいということではありませんので、一部は共有すべきですし、一部は競争的なデータとして、それぞれ個別に管理する必要があるという側面がございます。
 先ほどと構成は一緒でございますけれども、研究支援についても、こんな形でアカデミッククラウドを考えることができます。サービスモデルとしましては、今、御説明しましたように、アプリケーションを実行する環境として、プラットフォームとしてサービスを提供する、あるいはインフラとして計算機リソース、計算をするリソースとしてサービスを提供するということ、あるいはデータを蓄えておく、共有するためのストレージサービスといったものを考えることができます。
 課題としましては、ハイパフォーマンスコンピューティング、ある程度高い計算能力を持った計算機、計算リソースを提供する必要があること。共有するためには、データフォーマットを標準化するとか、個人情報が含まれているデータを匿名化するとか、当然通信帯域も考慮する必要がございます。
 そのほかのアクティビティーとしまして、事務支援というのが大きなものとしてございます。例えば九州大学ですと、30ぐらいの事務のシステムというのが動いております。それらを主にクラウドで実行する場合にSaaSの形で実行すると考えることができます。そのとき、問題になりますのは、そこの下の方に課題と書いてありますけれども、それぞれ個別に大学が導入をして運用しているアプリケーション、事務支援のためのアプリケーションというのは異なっていますので、それをクラウド上でサービスするためには、アプリケーションも共通化する必要がございます。また、データフォーマットの標準化も必要ですし、先ほどの、ほかの支援分野と同じように、プライバシー、セキュリティ、利用者認証等も考える必要がございます。研究とか教育に比べますと、ネットワーク帯域というのは余り考慮しなくてもよいのではないかなと考えております。
 アーカイブとして、ストレージサービスを利用する必要がございます。パブリッククラウドも同様に利用して、ディザスター・リカバリー、大学の事務のデータは非常に重要なデータがございますので、研究、教育のデータもそうでありますけれども、災害対策のためのバックアップとして、ストレージサービスをパブリッククラウド上で利用するとか、事務の方々が事務処理で使っているドキュメンテーションのためのツールとして、SaaS型のパブリッククラウドサービスを使うということも考えることができます。
 それ以外に、ICTサービスとしまして、九州大学ですと情報統括本部というところがございます。そこでは、学内の教員と学生に対してコンピューターリソースであるとか、メールサービス、ファイル共有システムであるとか、当然ネットワークのインフラ、またサーバのホスティングサービスなどを行っています。こういったサービスを行う部署を特に大きな大学は少なからず持っていると思いますので、こういったところのデータとサービスについても調査をして、アカデミッククラウドのサービスとして含める必要があると考えております。
 サービスモデルとしましては、SaaS、PaaS、IaaS、SS、全てについて、これはどういったサービスを行うかによってサービスモデルも変わってきますので、データというよりかは、どういったサービスをしているかによって、サービスモデルが決まってくると考えています。利用者に対するプライバシー、セキュリティ、利用者認証、通信帯域等は常に考慮する必要がございます。
 それ以外のICTを使いましたサービスとしまして、コンテンツサービスを考える必要がございます。附属図書館ですと、図書館のWebシステムであるとか、学術情報リポジトリ、学内の先生方が書いた論文等をリポジトリとして管理しております。そういったサービスがございます。総合研究博物館ですと、収蔵品のデータをデータベース化してあったり、一部はWebで公開してあったりと、それ以外に大学の広報室がございます。そこで大学のアクティビティー等を公開しているということで、そのようなところのデータもコンテンツサービスとして扱う必要があると考えております。
 構成としては同じでございますけれども、例えばサービスモデル、図書館の場合には、機関リポジトリをサービスとして使っていますので、NIIが提供しているSaaSのサービスを利用するということが考えられます。それ以外に、Webサーバを立ち上げてコンテンツサービスをする場合にはPaaSの形で環境を提供してもらったり、あるいはIaaSの形で計算機環境を提供してもらうという必要がございます。この場合もプライバシー、セキュリティ、利用者認証、通信帯域、公開ポリシー。この場合は、主にコンテンツサービスを提供するということですので、プライバシーは余り考慮する必要がないかと思いますが、逆に公開ポリシーをきちんと決める必要があると考えられます。
 最後に、大学経営に関わる部分としまして、Institutional Research Officeというのが九州大学にはございます。大学評価情報室というところです。これは、認証評価を各大学ですることになっていますけれども、そのためのデータ等を管理し、適宜必要な形態、形式で提供するというサービスでございます。
 これは九州大学の例ですけれども、大学情報データウェアハウスというデータベースを構築して、認証評価等で必要なデータを管理しております。大学経営分野につきましても、同様に、このような形でアカデミッククラウドを考えることができます。大学評価情報システム自身は、アプリケーションですのでSaaSの形で利用することになろうかと思います。各大学で使っているシステムは違いますので、事務支援の場合もそうですけれども、アプリケーションが異なっていますので、それを共通化せずに、今、使っているものをそのまま使うということである場合には、PaaSであるとか、IaaSの形でそれらのアプリケーションを動かす環境を提供してやるということになるかと思います。
 以上、10分野につきまして、主に5分野について、この真ん中の丸で囲まれている部分について御説明しました。これらの分野についての支援を行うに当たり、先ほどから御説明していますように、そのほかの技術としまして、プライバシー、セキュリティ、認証、ネットワーク等を考慮する必要があります。また、データセンタをどのように置くかというシステムアーキテクチャーも考える必要がございますので、本事業では10の分野でコミュニティを作り、実施しております。
 これが実施体制図でございます。上にありますのが事業推進グループで、中段にありますのがシステム研究グループということで、先ほど御説明しました10の分野にそれぞれの参画機関、全体で九州大学を含めて8の参画機関がございますけれども、参画をしていただいて本事業を進めております。最初に御説明しましたように、コミュニティ連携を強く図る必要があるということで、AXIES、あるいは全国共同利用の情報基盤センター長傘下のクラウドコンピューティング研究部会等と連携を行っています。外部の調査としましては、そちらにありますような団体に調査を行う予定にしてございます。
 時間が余りございませんが、事業計画としまして、最初にも御説明しましたけれども、アカデミッククラウドを構築するための仕様を明らかにするということで、そのための現況、現状のICTサービス、あるいはデータについて調査をする必要がありますので、全国の国公私立大学、公的研究機関1,230機関に対して調査依頼を行って、今、調査を行っているところでございます。
 事業全体の計画としまして、もう既に10月が終わろうとしていますけれども、ちょうど10月のところの調査実施のフェーズに入っております。少しずれ込んでいますので、11月中旬、あるいは11月末まで調査を実施し、その結果を反映して中間報告書をまとめる予定でございます。その結果は12月にございます大学ICT推進協議会の年次大会で企画セッションとして報告をします。そこでレビューを受けまして、その結果を反映して、1月から報告書の執筆を開始し、3月に最終報告書を提出する予定でございます。
 10分野の調査検討内容につきましては、このようなものになっていますが、割愛させていただきます。
 様々な分野、様々なアプリケーションサービスに対してアカデミッククラウドシステムを考える必要がございますので、そのための評価軸というものとして、これはまだ完全なものではございませんけれども、こういったものを考えて、アカデミッククラウドシステムとしてどういったものが、どういった形式が適しているのかということを考えるという評価軸になってございます。
 最後でございますが、本事業の成果物としてこういうものを提案する、こういうものを提出するという予定になっています。1と2に大きく分かれていますけれども、1は調査データの結果で、2はそれを反映してアカデミッククラウドを構築するための要求仕様、どういったクラウドがあるべき姿なのかということを提案するという内容になります。
 最後、駆け足になりますが、事業の活動の現状を御紹介いたします。キックオフシンポジウムを8月9日に早稲田大学で開催させていただきました。先ほど御説明しましたように、アンケート調査を実施しますので、各大学にそのための協力をお願いするという意味もありまして、キックオフシンポジウムを開催させていただきました。パネルディスカッションのゲストパネリストとして相原先生、北川先生、ここにいらっしゃいますけれども、喜連川先生にお越しいただいて、ディスカッションしていただきました。
 それ以外に、Cloud Week、北海道大学の情報基盤センターが毎年、主催をしているものですけれども、そこで本事業の紹介をさせていただきました。
 アンケート調査の現状としまして、割愛させていただきますけれども、今は、一番下にあります10月16日から11月15日までのアンケート回答期間というフェーズに入っております。アンケート調査内容としまして、10分野ございますので、それぞれの分野でアンケートを主に部署単位でお願いしています。個人の研究者レベルでは、研究支援について個人ベースでアンケート調査をお願いしています。
 今後の予定でございますけれども、10月、11月で関連する企業等にヒアリングを行う予定でございます。先ほど御説明しましたように、12月の大学ICT推進協議会の年次大会で本事業の中間報告をさせていただく予定です。今の予定ですと、12月18日の日に90分のセッションを二つで開催させていただく予定でございます。その結果を反映しまして、アカデミッククラウド環境構築に関わる標準仕様の検討を進めるという予定になってございます。
 以上でございます。終わらせていただきます。

【西尾主査】  岡田先生、非常に包括的で、また、分かりやすい説明をしていただきまして、どうもありがとうございました。
 平成25年度の国家課題対応型研究開発推進事業の一環として、今、進めておられます事業の内容の御説明でございました。多分皆様方からいろいろな御質問とか、あるいは御意見等があるかと思いますので、これから意見交換に入りたいと思います。羽入先生、どうぞ。

【羽入主査代理】  大変御丁寧な御説明いただきまして、ありがとうございました。非常に素人の質問で恐縮なのですが、今、五つの分野について御説明いただきましたが、特にどの分野を優先すべきというようなお考えがおありでしたら、岡田先生個人の見解で結構ですので教えていただきたいと思います。それと、どうすべきというのと、実現可能性がどこに一番あるかということを教えていただければという気がいたします。
 私の個人的な感触としては、大学においては、研究力の高度化やランキングが言われていることから、研究分野が一番現実性があって、また必要性も高いのではないかというような気もいたしますが、そういった観点から少し御見解を伺えればと思います。

【岡田教授】  大学のアクティビティー、データの量としまして、やはり教育というのと研究というのが重要な二本柱になるかと思います。ですので、本事業でも、この二つは優先されるだろうと考えております。
 教育と研究は、先ほど御説明しましたように、研究は主に計算機のリソースを使うことが多いというふうに考えることができます。教育は、教材とかのデータを共有して効率化を図ると。そのためにアプリケーションの共通化も必要になります。アカデミッククラウドとしてやりやすい、実現しやすいという意味では、研究の方が実現しやすいと考えております。それはアプリケーションにこだわる必要がないからです。ただ、研究を考えるときには、それなりの計算機の、特にハイパフォーマンスな計算機リソースを提供する必要がある場合には、大きなストレージも必要ですし、それを共有するために少なからずデータを移動したりということが発生しますので、大きなネットワーク帯域が必要になるということが考えられます。けれども、研究は比較的研究者が自由にやっていますので、言い方があれですけれども、縛られるものが余りないんですね。逆にそういった面から、実現がしやすいと考えることもできます。
 一方で、教育はCMSとか、LMS、ラーニング・マネジメント・システムとか、コンテンツ・マネジメント・システムというシステムを使って、学生の出席管理であるとか、教材の管理であるとか、登録授業の管理とかをしていますけれども、そういったものが例えば京都大学ですとフリーのものを使われていたりしますが、それを共通化しないといけないという問題がございます。共通化しないか、SaaSとして提供する場合には共通化する必要があります。さらに、共通化する場合には、それぞれが既に持っているデータを何らかの形で変換をして標準化して、使えるような形にしていくという手間が発生します。
 そうではなくて、現状使っているアプリケーションをそのまま使うということでしたら、PaaS、プラットフォームとしてOSのレベルでサービスを提供していく。あるいはIaaSとして、インフラとして提供していくという必要がございます。ただ、それをしてしまうと、管理の負担という面から言いますと、できるだけSaaSの形で使えるものは、SaaSの形で提供してもらった方が管理は楽ですので、そこはトレードオフということになるかと思います。
 ですので、我々の事業の中でも教育と研究と、事務支援というのも視野に大きなものとして入っていますけれども、事務支援は、先ほど御説明しましたように九州大学で少なくとも30の異なる事務システムが動いていて、それぞれメーカーが違ったり、管理者が違ったりしていますので、それをSaaSの形で提供するのは、非常に共通化という意味では難しいのではないかと考えております。どこか国のレベルで指導的にこうしましょうということでこのシステムを使う、フリーのMoodleとかを使うとかということになれば、それに載ってくるかと思いますけれども、ちょっと難しいかなということが言えます。ですので、PaaSとか、IaaSの形で提供することになるのですが、それだと管理、特に事務のシステム管理をしている方はシステムの専門家でない可能性がありますので、そこのギャップが発生すると言うことができます。

【西尾主査】  よろしいですか。どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。倉田委員、どうぞ。

【倉田委員】  丁寧な御説明どうもありがとうございます。ちょっと的外れなのかもしれないのですが、このアカデミッククラウドで実現なさるということと、外部にある様々なデジタル情報を利用するということの関係のところがちょっとよく分からなかったのですけれども。具体的に申しますと、図書館が電子ジャーナルなど大量のデジタルデータを契約しているわけですけれども、そこの部分というのはこのアカデミッククラウドとどういう関係になるのかというところを教えていただけないでしょうか。

【岡田教授】  我々、今、調査をしておりますけれども、基本は、大学がコンテンツを持っていて、大学で作ったコンテンツで大学が管理をしていて、それを大学のサービスとして利用者に提供するというのを主に考えております。特に図書館ですと、電子ジャーナル系でいろいろなビジネスベースで外部のコンテンツを利用しているかと思います。けれども、そこの部分は、特にアカデミッククラウドになったからといって大きく変える必要は余りないかなと現在考えております。答えになっていますでしょうか。

【倉田委員】  それはそのまま、例えば具体的な場面としては、図書館としては、外部の契約に関してのコンピュータといいますか、そっちはそっちで用意しなくてはいけないし、片方でアカデミッククラウドで機関リポジトリでデータは作らなくてはいけないという、そういう二つ、柱が流れるということになるのですか。そこのイメージがつかめないのですけれども。つまり、今は大学、特に大学図書館が一つの窓口になっているわけですけれども、外部のデータを利用するに当たって。そこはそのまま残るというイメージでよろしいのですか。

【岡田教授】  各機関が持っているデータですので、それを例えば九州大学が外部の機関が持っているデータのサービスをSaaSの形で受けているとします。それはそのままパブリックサービスの一つとして、アカデミッククラウドの中のパブリックサービスの利用という形で残るということになります。
 先ほど御説明していますように、商用のパブリックサービスを排除するということではなくて、それを適宜必要であればそちらも使って、特にディザスター・リカバリー等のためのデータバックアップのためにストレージサービスを使うとかといったときには、キャンパス、大学で分散してデータを持っているという方法もございますけれども、そういう商用のサービスを、コストとの関係にもよりますけれども、いろいろな意味でのコストとのトレードオフになるかと思いますけれども、使えるものであればパブリックサービスをそのまま使うと考えています。

【西尾主査】  多分倉田委員のおっしゃっていることは、あるサーバの置かれている大学の図書館に、電子ジャーナルをその大学の費用で導入していたとします。そのときに、アカデミッククラウドという形態でお互いに大学間が連携したときに、他の大学からのユーザーがサーバの置かれている別の大学にある電子ジャーナルへアクセスするようなことはどうなるのか、というようなことかと思いますが、違いますか。

【岡田教授】  それは外部のサービスと当該機関の契約形態によりますので、当然そういうことに。そこを守らないといけないということになるかと思います。

【倉田委員】  いや、もちろんそうなのですけれども、ということは、それは別個になるのですか。つまり、それも含めて一種の認証ではないのかと思ったものですから。アカデミッククラウドの中で、もちろん切分けですとか、ビジネスというか、契約は別でそれを公開しろと言っている話でもなければ、アカデミッククラウドで共有しろと言っている話でもありません。例えば慶應義塾大学の人間が九州大学に行って、九州大学で慶應義塾大学のリソースを使いたいと言ったときに、九州大学の方で提供されているコンピュータなり、アカデミッククラウドの環境を通して、そういう慶應大学のリソースである外部のパブリッククラウドになるのですかよく分かりませんが、それを使うというようなことは当然できるのではないのかなと思ったのですが。そういうことは、ここでは別にできないということになるのですか。それともそういうことは考えないということなのでしょうか。

【岡田教授】  私自身はそこまで考えていなかったというのが正直なところでございます。

【西尾主査】  喜連川先生、どうぞ。

【喜連川委員】  いやいや、その回答はややちょっとミスリーディングなので、今の倉田先生の感覚から言いますと、地方に行かれたときに、九州大学の環境に入って、それから認証して慶應大学の環境に入るというところがこのアカデミッククラウドを使うと、簡単にできるというふうに御理解いただければといいかと思います。例えばNIIの学認というのは、ワールドアライアンスができていますので、この間、慶應大学の徳田先生がスペインに行かれたんですけど、スペインからも簡単に入ることができます。
 したがいまして、それですごく便利だったとおっしゃっていますので、ここのアカデミッククラウドの7.認証連携と書かれているところが、クラウドが大学によって個別サービスをする部分があるわけですけれども、その個別の大学のサービスというものはきっちりと規定すると、別のジャーナルのためのサーバが何か要るとか、そんなことは一切考えなくてオーケーです。私が考えていることと岡田先生が考えていることは微妙に違うかもしれませんけれども、将来的にはこのクラウドの中で一元管理されるというふうに、御理解されるといいと思います。

【岡田教授】  我々も、全国の大学のアクティビティーを全て連携してサポートする形で、それが実現できるようなアカデミッククラウドというものを考えておりますので、認証連携、認証につきましても、それができるようにはしたいと考えております。

【西尾主査】  山口委員、どうぞ。

【山口委員】  岡田先生、詳細な御発表、どうもありがとうございました。この取組は何度かお話を伺っていますので、簡潔に質問をさせていただきたいんですけれども、事業計画のところ、31ページのところで、産業界からの意見を収集するというところを大変興味深く見せていただきました。この点に関しまして、特にどのような観点からの意見の聴取を求めているのか。将来的なユーザーとしての意見なのか、それとも構築するに当たっての専門家としての意見なのかというのが1点と、あと、評価軸の話がありましたけど、この評価軸にも産業界からの意見の聴取というのは関わってくるのかというのをお聞かせいただきたいと思います。

【岡田教授】  まず、今、アンケート調査を実施しておりますけれども、アンケートの内容につきましては、産業界からの意見を聴取しております。今、海外調査とかをしておりますけれども、幾つかのクラウドコンピューティングのサービスを提供しているところに技術的な面、あるいは事例とかの調査をしてございます。まだちょっと私の方でまとめられてございませんけれども、しております。

【西尾主査】  評価軸の方はどうですか。

【岡田教授】  評価軸についても、これについてはまだ産業界からの意見を頂いてございませんけども、標準仕様を中間発表までにある程度の仕様を決める必要がございますので、それはこういう評価軸がベースになりますので、産業界からの意見を求めたいと思っています。

【西尾主査】  産業界からの吉田委員がいらっしゃいますので、ここで是非何かコメントをお願いします。

【吉田委員】  どうもプレゼンテーション、ありがとうございました。非常に興味深いお話だと思います。急に振られてあまり無責任なことも申し上げられないんですけども、お話を伺っていて幾つか感じたことを申し上げます。まず、クラウドなので、やはりサービスを提供する側、すなわちサービスプロバイダーと、実際お使いになるユーザーの方との関係の整理が要るかなと思っております。例えば、先ほどの資料で言うと6ページに「物理サーバ(データセンター)の配置」とあります。一番左の「全国中核拠点型」、実はこの資料の中ではこの型はあまり採用すべきではないと言っているのではないかと思うんですけれども、物理的な配置として、災害対策のためにデータセンターは二つ以上必要と書いてあります。つまり、物理構成だけで見ると、実は「全国中核拠点型」と「地域別拠点連携型」は同じとなります。恐らくここでより重要となる差異は、物理配置というよりも、誰がサービスプロバイダーになるか、すなわち誰がサービスの運用要員を賄い、どこのコストでどういうサービスレベルを保証してサービスを提供するか、それを誰が受益者としてサービスを受けるかという運用管理やサービス提供責任の体制面の差異ではないかと考えます。
 先ほどの喜連川先生の認証の話なども同じ枠組みでの議論となると思うんですけれども、サービスプロバイダーが別だった場合、例えば九州大学あるいは他の大学それぞれがサービスプロバイダーになられたときに、認証に関してはそれぞれのプロバイダーの責任ですでに仕組みがあると思うんですけど、今度はプロバイダー間で連携するという体制・仕組み・責任分担が必要になります。そういうことで、サービスの提供責任というか、誰がどこまでのサービスを構築し実際に運用して提供し、それを誰がどうお使いになるのか、その関係の整理が要るのかなと考えました。
 先ほどプライベートクラウドというのもありましたが、これも、プライベートというのはどういう目的でプライベートにするのか、プライベート化によって誰が誰に何を保証するのか、サービスの提供と利用という同じ観点での検討が必要と考えます。そして、ここら辺のモデルの作り方によって、どこまで共通化して効率化できるかとか、本当に大学ごとに運用要員を置いて運用するというモデルが最適なのか、ある場合は集中させて効率化するのかといった考慮点が出てくると思います。
 そういう意味で、11ページが非常に重要と思いました。どちらかというと、我々も、お客様に対してクラウドサービス商品を出していくのに、まず図の右側にあるお客様から見てクラウドでできることを決めるんですね。お客様から見た価値は何だろう、お客様にとって何が提供できればいいんだろうという検討をまずやりまして、それから左のサービスモデル、配備モデル、物理配置のどれが最適かというふうに検討すべきだと思います。ここのような検討の場では、例えば右の項目としてどういうものが必要なのか、どういうサービスが提供されれば教育、研究、事務含めてもっとも最適な形になるのかというのを考えられた上で、では、左に持っていくときに、誰がサービスの責任者になって、誰がサービスレベルを保証して、どういう物理構成で組み立てていくかという検討の順序がよいのではないかと思いました。

【西尾主査】  貴重な御意見どうもありがとうございました。次回にユーザーサイドからの視点での有識者のヒアリングをさせていただくことになっておりまして、今おっしゃったようなことを再度、いろいろ議論したいと思っております。多くの委員から手が挙がっておりますが、では、竹内委員、どうぞ。

【竹内委員】  ありがとうございます。詳細な御説明を頂きまして、ありがとうございました。私はネットワークとか、その方面は余りよく分かりませんが、大変勉強になりました。
 それで、私はコンテンツを提供するとか、管理するという観点で少し質問させていただきたいんですけれども、先ほど研究上のデータの共有ということを割とさらっとおっしゃっていて、それが割と簡単にできるような印象を受けたのですが、私としては、研究上のデータの共有というのは非常に難しいことではないのかと思っています。このようなデータの共有を可能にするための条件はどういうものだとお考えかというのを教えていただければ幸いです。

【西尾主査】  今の御質問について、もう少し具体的に質問してもらった方がよいですか。

【岡田教授】  全てのデータをクラウドで管理できるわけではないですと、それの切分けについて考えているかということですね。

【竹内委員】  はい。そうなんですけれども、昨年「ビッグデータ時代におけるアカデミアの挑戦」という報告書が出ておりますけれども、その中で次世代の研究を考えていく上で、データの問題が非常に重要だということが指摘されていて、なおかつ、そのデータを本当に狭い、データを見ればそれが何が分かるかというレベルのコミュニティの中で共有するのではなくて、学際的にデータの共有というのが図られなければ、次の時代の、ビッグデータの時代の新しいアカデミアのためのデータという話には多分なっていかないだろうと思うのです。ですので、データの共有に関して、どのように整備していけば次世代の研究環境としての学術情報基盤になっていくのかというところが実は大きな課題なのではないかと私は思っているので、是非先生にその辺りの御意見をお聞かせいただければと思います。

【岡田教授】  はい。ありがとうございます。ビッグデータ時代のアカデミアの挑戦の中にありますように、データについて、非競争的データと競争的データ、少なくともその二つは切り分けて管理しないといけないと考えています。非競争データはいろいろな研究者が個々にアクセスして使うことで研究を促進する。非競争的データは、そのデータ自身に新規性があったりするということで、共有はできないと考えています。
 ですので、一部は各大学が個別に管理すると、一部はクラウドの形で複数の研究者がアクセスできる、共有する形で管理する必要があるかと思います。そういったことをシームレスにするためには、先ほど御説明しました研究のところにございますけれども、インタークラウドの技術が必要になると考えております。私自身は、ここのインタークラウドの研究の専門ではございませんけれども、こういった技術を更に進めて、柔軟に、データを移動せずに、お互いのクラウドからデータをシェアできるようなシステムの構築が必要だと考えています。

【西尾主査】  お答えいただき、ありがとうございました。今、竹内委員のおっしゃったことは結構重要だと思っていまして、ビッグデータということになりますと、ある一つの分野でのデータを解析して、新たな知見を得るというよりも、むしろ異分野のデータを連成させて今まで得られなかったような新たな知見を得ること、例えば、災害関係のデータがあった場合に、もう一方で、気象に関する膨大なデータがあって、その両方をうまく連成させて、何か今までに見付けられなかった新たな知見を得るというときに、分野が違うことに起因してデータフォーマットからして、全く異なる場合が想定されます。ですから、岡田先生が先ほどサイエンス分野、つまり、研究と関連する場合は計算パワーの問題だとおっしゃったところは、竹内先生も私も、そうではないのではないかと考えております。データセントリックにサイエンスを発展させていく上で、例えば両方のデータフォーマットが全然違うのであるならば、両者の中間レベルで両方のデータフォーマットを変換して同じフォーマットにしてから、ハイパフォーマンスコンピュータを使って解析するというようなことが考えられます。ビッグデータを有効に活用してサイエンスを進めるには、単に計算パワーだけではなく、データそのものをいかに処理するのかいうことも非常に大きな位置を占めているのではないか、という考えを私も竹内委員も持っていましてコメントさせていただきました。
 ほかにいかがでしょう。後藤委員、どうぞ。

【後藤委員】  どうもありがとうございます。まず、先ほど吉田委員のおっしゃったことに補足する形で、一つ申し上げます。 先ほども11ページの表がございましたけど、まず、クラウドというのは非常に幅広いサービスなので、簡単に分類できないことは確かなのですが、「教育」とか「研究」、それぞれの分野毎にクラウドを活用する狙いを、もうちょっとポジティブにまとめていただけるとうれしいなと。例えば「研究」の場合、先ほどのコメントにもありましたように、データサイエンスなのか、コンピューティングインテンシブかは別として、いわゆるビッグサイエンス分野では、「イクストリーム・エラスティシティ(超柔軟性)」という表現で、伸縮性を持ったコンピュータが必要だと言われていますので、「研究」に向けた狙いとして、そのような研究向けクラウドを促進してビッグサイエンスの分野で国際競争力を高めることを狙いとするなど。また「教育」の分野でしたら、クラウドを使った効率化による経費節減もあるでしょうが、先ほどの御意見にありましたような大学の先生の教育活動の効率化、いわゆる経費の効率化ではなく、クラウドを活用して教育者や研究者の活動の効率化を高めることを狙うなど。それぞれの分野ごとにクラウドの狙いが違うので、その狙いを達成するために求められるクラウドの要件も個別に整理すべきと思います。
 特に「事務」ですと、いわゆる企業と同じ事業継続性(BCP)が要件の一つになると思います。ディザスター・リカバリーというよりも、事業継続性、つまり教育事業の継続性に向けてクラウドをどう活用するのか。このような目的(狙い)がそれぞれ分野毎にあると思います。それをまず明確にしていただいて、それに応じて、クラウドに何が必要なのか、どんなセキュリティが必要なのか、どんな認証機能が必要なのかという分析することが大事かなと思います。各分野の1.教育から5.経営の説明で「連携=>共有化・集約化=>効率化」というシンプルな矢印で評価されていましたが、そうではないところでまとめていただければなと思います。
 そうなると、33ページの評価軸のところも、伸縮性が要るのか、BCPが要るのか、非常に厳密なセキュリティが要るのか、等の評価軸で評価がされるといいのではないかと思います。期待しております。
 それから、今回は調査研究と理解したのですが、その観点でのお願いです。
クラウドのポイントは、いわゆるCAPEXからOPEXへ(資産から運用へ)という言い方をしますけれども、構築するというよりも、どう運用するかにあると思います。さらに、今回のテーマでありますセキュリティとか、プライバシーとかは、全て運用(オペレーション)の課題だと思います。ですから、これからアカデミッククラウドをどうやってオペレーションしていくのか。オペレーションする体制はどういうものであるべきなのかという観点が非常に大事かと思います。その意味で、是非、大学全体のオペレーションの中でアカデミッククラウドをオペレーションするにはどうしたらいいか、安全に活用するにはどうしたらいいのかという方向の御提言を期待したいと思ったところでございます。
 特にセキュリティ対策では最近、コンティニュアスモニタリング(Continuous Monitoring)が鍵、つまり超連続性なんです。常にやり続けなければいけない。そういう要件をどう盛り込んでいくのか。
 それから、大学の場合、教育とか研究でそれぞれ変化のスピードが違うと思うんですね。人の入替えのスピードが違うし、テーマ変化するスピードも違う。そういう変化にどうやって合わせていくのかという観点が一番難しいところだと思いますので、そこは是非今後取り組んでいただければと思っております。
 以上です。

【西尾主査】  貴重なコメントをいただき、ありがとうございました。岡田先生から、何か今、お答えになることはございますか。今後、アンケート調査の結果、ユーザーサイドからいろいろな意見が出てくると思いますが、それらの意見をベースに、そこに投影されている図の右から左への方向が大事だということだと思います。

【岡田教授】  はい。今、アンケート調査をしている部分が実際右の部分に対応してきます。そこの結果から、その中に現在の運用についても問合せをしてございますので、先生がおっしゃいますように、きょうの発表ではなかったんですけれど、ある程度のロードマップを考えながら、ロードマップを明らかにしつつ、アカデミッククラウドのあるべき姿というのを提案する必要があると考えております。

【西尾主査】  美馬先生、どうぞ。

【美馬委員】  今のお答えにもちょっと入っていたのですけれども、こういう新しいシステムを考えるときに、今までの教育や研究や運営においての効率化ではなくて、こういうもの、新しいものが入ってきたときにどういったことが可能であるのかというようなビジョンが欲しいですね。つまり、アンケート調査でそれぞれユーザーの要望を聞くというのは大切だとは思いますけれど、一方で、ユーザーが考えられない、今までの効率化ではなくて、新しいツールが入ってきたときに可能となる、新しい教育の在り方、研究の在り方というのが提示されるとうれしいなと思います。難しいとは思いますが。
 その点で、今回、この調査研究の中に海外の事例調査というのが何か所かに入っていたのですが、例えばシステム的にどうかというより、大学をネットワークでつなげて何か国を挙げて新しい試みをやっているようなところというのは、今日の御発表にはなかったんですけど、何かあるのでしょうか。シンガポールとか、あの辺りだとありそうな気がするのですが。

【西尾主査】  岡田先生、どうでしょうか。特に海外で何かそういう動きがあるのでしょうか。

【岡田教授】  資料には付けてございませんけれども、幾つかいろいろな国、例えばオーストラリアであるとか、CERNとか、ヨーロッパですけども、主に学習を支援しましょうという団体がクラウドを積極的に活用し、ICTを積極的に活用しようということで、クラウドを使ってやりましょうという事例がございます。ただ、国レベル全体、我々が今やっています、日本全国のすべての大学のアクティビティーを網羅的にサポートするようなものまでを考えたものはございません。

【西尾主査】  ということは、日本として国レベルでそういうことを推進すると非常に先進的な試みになるということですか。

【岡田教授】  はい。

【西尾主査】  それと美馬先生がおっしゃったことで大切なこととして、今後この事業を国レベルで行っていく場合に、アカデミッククラウドを構築することによって、従来からの単に継続的なものではなく、何か大きなジャンプ、飛躍があるというようなことをアピールしていただくことだと思います。是非、今回の調査研究の中でも、何かのジャンプがあり、夢が持てるようなことを考えていただけるとありがたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

【岡田教授】  はい。ありがとうございます。

【西尾主査】  加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】  コメントになるかもしれませんけれども、今、JSTの中ではクラウドスタックという、資料の中にもありましたが、オープンスタックと同じような、オープンクラウドのソリューションを使って、プライベートクラウドを構築して、その中でJSTの中のいろいろなシステムを全部統合化していこうという計画で進めているところでございます。実際には来年以降になりますけれども、その中の検討では、クラウドの運用というのは意外と大変な話でございまして、しかも、オープンクラウドのアーキテクチャーを分かっている人も少ないという中で、実際に運用していく人材が必要となります。プライベートクラウドを導入することによって、確かに調達は簡単になり、また、一元化できますというメリットはあります。一法人の中でも、プライベートクラウドを運用するにはそれなりの体制を持つ必要があり、それから、統合化によって、セキュリティについては逆に強化をしなきゃなりませんということが一方では必要となります。
 それから、組織によって、例えばLANを分けるVLANにするとか、いろいろな仕組みが必要になってきます。一つの法人の中でもそれだけの運用体制が必要になってくるわけなんですね。要はどのくらいの体制になるかというと、現在、試算中なんですけれども、先ほどの地域別拠点型と言ったときに、そこの拠点のところについてはかなりの要員を配置しませんといけないのではないかと、大学はどの大学、いくつの大学を対応するのかちょっと分かりませんけれども、どの程度の要員なり、設備なりを置いて対応するおつもりなのかというか、イメージ、そういうものが実はすごく大事なのではないかなという印象を持ちました。
 先ほどの岡田先生のお話をお伺いすると、まだ中間報告でして、非常にクラウドに向いているところ、あるいは地域別拠点でやり得るところ、幾つか分類がされてくるとこれから思うんですけれども、地域別の拠点型にしたときにどのくらいの組織なり、要員なりが必要なのかというところはある程度見極めた方がよろしいかなというのが1点でございます。
 ちなみに、民間企業で申し上げますと、幾つかの自分のところの情報システムをどうするかということで、まず情報システム部というのを作ります。その情報システム部の中でその業務がどんどん増えてくる、あるいは子会社も対象としないといけないとなりますと、その情報システム部を本体から分離して別な会社を作ります。その会社がグループ会社も含めていろいろ面倒を見ていく中で、今度は、そのグループ会社だけではなくて、それを大手のSIベンダーが買収して、ほかも含めてやりますというような形で、IT企業は大体変遷していく傾向があります。私も今、自分がJSTの中でも同じことを考えているんですけれども、これって、企業の中のIT企業を作るようなものだなみたいなことを実は思っていまして、こういう形にしたときにどの程度の設備をどうやって維持管理していくのか。先ほどの契約の話もそうなんですけれども、その辺はちょっと検討していく必要があるのかなと感じております。
 それから、先ほどの電子ジャーナルの話につきましては、韓国とか、シンガポールにつきましては、ナショナルライセンスということで一括ライセンスを取って実施しているということでございます。ただ、日本の場合、現在、各法人が別々に契約しておりますので、先ほど言ったようなことができるかどうか、単なる認証連携でできるかどうかというと、契約の問題もあって難しいのかなと考えております。それはどうするかにつきましては、今後の課題ではないかと思います。
 それから、同じように、業務処理が共通して一括してできるということであれば、共同利用型のシステムということで構築できますけれども、現状ですとIaaSのレベルで提供するということになりますので、そうしたときにどこにメリットがあるかというところですね。ですから、岡田先生がおっしゃったように、いろいろなパターンがございますので、そのパターンごとにどこまでで何を使うか、そのための運用はどの組織があって、これは自分たちで実施した方がいいのか、外にアウトソーシングで実施した方がいいのかというような観点が必要なのかなと思いました。
 以上でございます。

【西尾主査】  加藤委員、非常に現実サイドからの貴重な意見、ありがとうございました。喜連川先生、どうぞ。

【喜連川委員】  議論が、もっと前向きなことを考えた方がいいという御意見と、今の加藤委員の御意見は、いやいや、もっと慎重にという二つの側面があります。今のITというのは一言で言いますと、よく言われますのは、バックオフィスからフロントへというのが一番キーワードになっています。これは先ほど美馬先生や、西尾先生がおっしゃったように、こういうクラウド環境をすることを効率改善ではなく、新しい何かイネーブリングするようなアプリケーションを環境として位置付けることが必要ではないか、というのがIT間の中の非常に大きなトレンドというふうには位置付けられます。
 しかしながら、一方で、吉田委員も後藤委員も元は企業御出身ですから、あえておっしゃらなかったんですが、クラウドを入れても山のように失敗しているところがたくさんあるわけで、これは今、加藤委員もおっしゃったところかと思います。つまり、身の丈に合って一歩一歩やっていく必要があります。
 今、ここで岡田先生が必ずしもはっきりおっしゃらなかったですが、最大の目標は何に設定するのかといいますと、大学というのは、基本的にIT部門、企業で言うIT部門というのが非常にフラジャイルで、それを全国の大学をある種、コンソリデートする、集約することによって、日本のこの教育環境、研究環境というものを極度に効率化する。その効率化することによって本来の研究パワー、教育パワーに振り向けるというのがまず根源的なインセンティブというか、これの動機付けになっています。そこからまず丁寧にやっていく必要があるんじゃないかなと思っておりまして、例えば岡田先生のところにHPCというのが出ているかと思うんですけれども、今、我が国では、HPCI等ですでにかなりソリッドな動きがありますから、HPCIとクラウドを最初から全部融合するというようなことは、イベンチュアルには可能かもしれないんですけれども、現状のステップとしては、離しておいた方がいいのかもしれない。つまり、この事業の中で難しいかもしれないんですけれども、お考えいただきたいことは、一体どれぐらいのタイムスケールでどういうふうに手を付けていけば、我が国にとってこういうクラウド基盤が本当に浸透するようになっていくだろうかというタイムスケールのシナリオを少し考えていくことが必要なんじゃないかなと感じました。
 それから、あとは1点、全然次元の違うコメントですけれども、この資料を見ていますと、やっぱりどなたかもおっしゃいましたように、かなり上から目線なんですね。研究、教育、事務という大学が大学のエンティティとしてやるファンクションをサービスとして規定しているんです。
 ところが、大学の主体は学生とか教員なんですね。その目線でのサービスというのは、必ずしも出ていない。例えば学生がそのクラウドをどう使うんですかというと、学生の個のプライベートクラウド空間というのが今後できてこなくてはいけないんですね。授業のいろいろな資料を自分でまとめる。でも、学生というのはいろいろなコミュニティに参加しますので、クラブ活動を代表として。学生の視点で、サービスというものを、大学の上からのものじゃなくて、エンティティとしての個がどう動くかというのもここに入れていただけると、二次元的にまとまってくるんじゃないかと思います。
 繰り返しになりますけれども、クラウドデプロメントというのはワールドワイドでも30%未満です。日本は10%未満です。ですから、非常に慎重に進めるということが大切で、余りに大きな成功感がすぐ得られるというものではないということも確認しておく必要があるのではないかと思います。
 以上でございます。

【西尾主査】  貴重なコメントをどうもありがとうございました。
 岡田先生、今のことについて、何かコメントございますか。

【岡田教授】  また引用ですけれども、ビッグデータ時代のアカデミアの挑戦の中にも喜連川先生がおっしゃったようなことが書かれていまして、最初から全体を実現しようとすると無理がありますので、最初は可能性のあるところから、最初は小規模なところから実現して、トライをしていって、成功したところから裾野を広げていくというようなアプローチが必要かと考えています。

【喜連川委員】  もう少し加えますと余りディスカレッジングのことばかりではいけないんですけど、加藤委員の発言ですが、JSTがやられていることと、ここで考えていることはもう根本的に違います。JSTがやられているのはJSTという一組織です。ここで考えていることは全大学のコンソリテーションです。ですから、ちょっとしたベネフィット、つまり、1%の効率化というものがべらぼうな大きな効率化につながるんですね。ですから、ネイションワイドで大学全体のIT環境を根本的に考えるという意味では、インパクトはべらぼうに大きい。だけれども、難しいところもあるので、ちょっと慎重にみんなで協力してやっていきましょう。例えばNIIは、クラウドはネットワークと表裏一体ですので、そこは次世代、次のSINETの場合にはデータセンターをノードとして置きますので、そういうものも柔軟に利用いただいて、大学の基盤センターとSINETのノードとの有機的な連携みたいなものも是非お考えいただければ大変ありがたいと思います。ありがとうございました。

【岡田教授】  ありがとうございます。

【西尾主査】  喜連川先生、大変貴重なコメントをいただきまして、ありがとうございました。喜連川先生がおっしゃった高等教育機関、つまり、全ての大学を対象にしているという視点を大切にしたいと思います。
 美馬先生、いかがですか。

【美馬委員】  今の喜連川先生の教員や学生の目線でのこういう環境ということに触発されてなのですが、これは文部科学省の方にお聞きするのがいいのか。例えば小学校には今、大分前からフューチャースクールプロジェクトというので、タブレット端末を入れて、あとは、電子黒板とか、電子教科書とか、新しい情報環境をどんどん進めようと思っている一方で、重要な高等教育については、ここに学生像もないですし、それから、1人1台、本当は必要、大学、学生にこそ必要だと思われる、そういったものの話が全然出てこないのですが、今日、岡田先生からお話しいただいたような環境が整っていったときに、例えば学生がそれを個人でそろえろということなんですか。フューチャースクールの話だと、ちゃんと将来像の全体の絵が出てきて、どういう環境でどういうふうに使っているか、そこには教員も生徒も含めて出てきているのですが、高等教育についてはどうなのでしょう。

【西尾主査】  では、参事官の方から。

【下間参事官】  高等教育局のことを私がここで前に出て御説明するのは十分な御説明ができないかもしれませんが、昨年8月の中教審大学分科会の方でおまとめを頂いた主体的な学びの答申と、それから、その後、教育再生実行会議の参事報告でもその報告を政府として連動しているわけですけれども、そうした大学における主体的な学びをどのように実現するかという具体的な手法については、高等教育局でも検討を今、始めておりますので、そうしたところに、私どもがここで検討していくネットワーク、あるいは学内外の行き場の整備というものがどのように結び付いていくのかということは十分連携をしながら検討を進めていきたいと考えております。

【西尾主査】  土方委員、企業のコンテンツサイドからということで、どうぞ。

【土方委員】  私は技術的なことはよく分からないのですが、次回はユーザーの方から見たいろいろな要望も出るという話があって、そうなると上から見た目線、下から見た目線、その中で我々はこういうのを作って、これから大学間連携とかがいろいろ必要ですねという話をしていきたいです。そういったものがどう実現されていくのか。こういうことが実現できる夢があるから、こういうことを標準化していくんですよ。その標準化がとりあえずされていくと最終的には効率化になっていくんですよという、そのようなストーリーみたいなものがあるとこれからの議論も少し楽しいかなと。すいません。技術論はよく分からないもので、定性的な意見なのですけれども、そんなようなことを感じました。感想です。

【西尾主査】  ありがとうございました。今、土方委員のおっしゃったことをこれからの議論を通じて十分に議論して、この委員会の成果としていけたらということを願っております。
 その他、御意見はありませんか。

【上島委員】  岡田先生、御説明ありがとうございました。確かに我が国における情報基盤ということなので、是非世界をリードするような形で最新の設備、最新の環境、あるいはこういったシステムを導入するのは大賛成ですが、同時に、狙いというか、何ができるのかというところを考えていくべきだと思います。
 私どもは私立大学ですが、同じ予算といいましても、大学の予算、国立の予算と私立大学の予算、質が違いまして、国立の予算は大体交付金ですけれども、私どもは70%が学資になります。そうすると、学資ということは、つまり、学生の視点を置かないとどうしようもないということになるわけですね。ですから、その部分でこのアカデミッククラウドにどのように私立大学として参画していけばいいだろうかということは非常に感じます。
 それから、この右側で、11ページの資料ですが、この一つ一つの実現が難しくて、どれもできたらすばらしいことだと思いますが、なかなか実際には、大学間、私立大学だけではなく国立大学まで含めて、競争社会、大学間競争になって、もちろんこれは岡田先生の責任でも何でもないと思いますが、私どもなども例えば学部間ですら情報共有が難しかったりする場合がございます。それで、是非、アカデミッククラウドの狙いというか、喜連川先生もおっしゃっていたインパクトがあって、それを前へ置いていただくと、そういった横の壁なんかもほぐれていくのではないかと思います。今後、これからそういうことを議論するのだろうと思っております。ありがとうございました。

【西尾主査】  今、上島先生の方から言っていただいたことと関連して、岡田先生が、現在、事業を進めておられる過程の議論の中で、上島先生の御意見への回答となるような事項が出てきました折には、こちらにフィードバックしていただきますとありがたく思います。我々としては岡田先生が推進なされていることも反映しながら、最終的な審議のまとめに持っていけると思いますので、是非その点をお願いしたいと思います。
 岡部先生、どうぞ。

【岡部委員】  まず、私は今回の提案に関わっている京都大学、あるいは国立情報学研究所の客員として、提案書の段階で相談も受けているというような立場でして、今回初めて聞く話じゃなくて、むしろ皆さんの厳しい御意見を重く受け止めているところなんですけど、まず、アカデミッククラウドの一つのキーワードは大学間連携でありまして、大学間連携でICTを利活用というのは実は何も新しい話ではなくて、古いところにさかのぼりますと、私もおります大学の大型計算機センターというのが1960年代、70年代にできたところからもう始まっているわけで、その後、スーパーコンピュータセンターができて、その間をつなぐN1ネットワークの時代からNIIが主導してネットワークをつないできたというのがあります。
 さらに、今から10年ほど前には、グリッドという言葉が一時、キーワードになりましたけど、実はグリッドと言われていたことと、今、クラウドと言われていることと要素技術がかなり共通である、あるいは、グリッドがより広く私たちの日常生活に使えるように発展したものがクラウドだというふうにも見ることができるわけです。その中で、では、あえて大学間連携、アカデミッククラウドを考える上で何を大事にしていかなきゃいけないか。先ほどから喜連川先生はじめ皆さんおっしゃっているように、今、余り大風呂敷を広げると収拾つかなくなるよと。どこまでが現実性があるのかというところだと思うんですけど、やはり大学間連携ということの前提には人のコミュニティがあって初めてできることで、例えば研究で言いますと、もともとグリッドの世界はあれだけ一部の分野で非常に盛り上がったのは、高エネルギー物理の人たちのコミュニティが非常にしっかりと、彼らは加速器なり、何なり実験装置でやったデータを全世界で大量のデータを共有するということが大事ですし、ですから、今のインターネットの発展を高エネルギー物理の人たちが随分支えたというのは皆さん御存じのとおりだと思いますし、更に言えば、高エネルギー物理と一言で言いましても、天文学の人たちと素粒子の人たちというのは全然ある意味方向性が違うインターディスプリンなんですけど、一方で非常に協調的にやっているというところもあります。
 そういうことを踏まえた上で、では、私たちは何をするかというところなんですが、一つは、地に足の着いたことをやるということです。研究であればちゃんとコミュニティを見据えてやると。あるいは大学間連携を昔からしっかりやっているコミュニティに、図書館の人たちというのがあるわけで、そこは、図書館の人たちがアカデミッククラウドの上でやりたいことができるような形にすべきかなと。
 事務もなかなか難しいところではあるんですけど、少なくとも昔の法人化前の国立大学では、国立大学間で事務のシステムが共通化されていて、それが法人化後にちょっとばらばらになってしまって、それが逆に非効率になったり、あるいはちょっとセキュリティレベルが下がったりしているところもありますので、少しそういうところは、このアカデミッククラウドの動きの中でできるだけ共通化していくということは必要じゃないか。
 教育も、これは本当に難しいところですけど、一方で、例えば京都なんかで大学間の単位互換の取組もありますので、そういうところにうまくいかせる可能性があるんじゃないかなと思ってます。
 ちょっと私の関係で言いますと、私、大学間連携のための全国共同電子認証基盤ということで、国立情報学研究所の立場で文部科学省から数年前に補助を頂いて、それが今、発展して、先ほど喜連川先生から御紹介いただいた学認、あるいは大学間の無線LANのローミング、eduroamということになっています。そういうことがインフラとして日本中の大学につながる。あるいはeduroamなんていうのは海外でも使えるんですけれども、そういうところまで広がっていくと、先ほどおっしゃった、よその大学に行って何かするときに、例えば自分の端末を持っていたら、それがそのまま使えるとか、あるいは端末をお借りして何かするということができるというところで、多分皆さん方がやりたいseedsというのがこのアカデミッククラウドの基盤を使ってうまくできる解があるんじゃないか。少なくともできるところからきっちりやっていくことが大事じゃないかなと思います。
 最後に、海外の事情ですが、私も認証基盤の調査の関係で海外、幾つか回りまして、いろいろな事情の違いを見てきました。ただ、アメリカですと、InCommonという形で全国の大学が緩くつながっています。ただ、アメリカの大学は本当にトップの大学と、下の方という言い方は適切ではないですけども、小さな大学とかなり差がありまして、ちょっと日本ではそのまま参考にならない。あるいはオーストラリアというのは、非常に大学の数が少ないんですね。国は大きいんですけど、全部で30ほどしか大学がなくて、しかもほとんどが公立大学ということで、日本と違うということで、ヨーロッパはまた国ごとにまとまっていて、さらに、その国の間の連携もあるということで、なかなかよその国を見て、これが日本に近い事例だというぴったりのところはありませんので、ある意味、日本でこういうことをやるのは、それなりにハードルは高いということを考えておいた方がいいと思います。その上で、我々はだからといってやらないわけにはいかないので、頑張ってやるしかないと考えております。
 以上です。

【西尾主査】  今までの経緯も含めて貴重な御意見ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。倉田委員、どうぞ。

【倉田委員】  これはもう、何もそういう技術のない研究者の独り言ということでお聞きいただきたいのですが、私のイメージとして、アカデミッククラウドができたときに、まず最初に考えるのは、簡単に言えばコンピュータと、それから常に最新のソフトが使える環境が整備されることなのではないかと思います。パソコンが使えて、普通に某社のああいうソフトが使えて、さらに、ちょっと研究や何かで使える、もう少し高度な量的、質的なデータ処理ソフトの基本的なものが使える。でも、今、外のスピードの方が速くて、例えば、学生が最新のソフトを使っているかといったら使えない状況です。一番新しいのが一番良いとは限らないということもありますけれど、慶應義塾大学でもそれを導入して、大学で使えるようにしているかというと、そうじゃないのですね。それはできていません、現実として。
 例えばアカデミッククラウドになると,そういう環境をより良い形で提供していただけているのですかというところが分からないです。もちろん効率性とか、そういうことを考えれば、そういうことはできて当たり前ではないかと考えますが、例えばそれは契約の問題とか、外の社会的な問題との関わりの中で決まることだと思います。ですから、先ほども電子ジャーナルでナショナル・サイト・ライセンスということをおっしゃいましたが、それは誰もがすぐ考える話で、それができてないの、できないのが,図書館が全部連携してコンソーシアムを一つにして、それでもできてこなかったのが現実だと思います。その辺のところはどういうふうにお考えなのかなというのは,ちょっと気になったところではあります。
 でも、これを推進していくというのは、例えばそういうことはもう基本中の基本として,もちろん考えていただいているのだろうなと、少なくとも御発表にあった図ではそういったことはもう基本と考えられているということでよろしいのですよね。というか、そんなのはもう実現できるのは当たり前だということでよろしいでしょうか。

【西尾主査】  どうでしょうか。美濃先生。

【美濃科学官】  ちょっと違うことを考えていたんですけど、大学のクラウドを考えるに当たって、大学というのは将来どうなっていくのかというのをある程度イメージしないと、現状の状態に応じてクラウドをいろいろ考えても、これはすぐ変わるんじゃないかという気がしますね。だから、先ほど美馬先生より、将来、授業はどうなるのですかというような話がありましたけれども、基本的には、大学内で学生を見ていますと、昔は端末を用意したら群がっていたんですね。この頃、群がらなくなってきている。ということは、基本的に自分たちで端末を持っているということなので、そうすると、今度は大学としては、BYODと言われている方向、基本的には自分たちが普段使っている端末を用いて教育ができなきゃいけないというのが一つの方向性かなと思うんです。
 そうすると今度、無線LANをどうするのというのが問題となりまして、無線LANをかなり充実させなければならない。そうすると、研究室は研究室で勝手にネットワークを運営しているというような状態では何か訳が分からない状況になります。その辺りも含めてもう少し根本的に考えないと、将来、大学はどうなるの、その上でのクラウドでしょう、というような気がします。
 アンケート調査をいろいろやられるようですが、このアンケートもまた大変で、すごい数の項目があるんですね。このアンケートに正しく答えようとするインセンティブはどこにあるんだというのを私は心配しています。いい加減に答えた結果がいっぱい返ってきて、それに基づいて結論というのもつらいなという気がします。私も喜連川先生から引き継いでこれを見ているのですが、ここが心配なところなんですね。だから、アンケートの質なども含めて、できるだけヒアリングをする、ただ単に書いてもらっただけじゃなくて、できる限り実情を聞いていただいて、そのときに、できれば将来はどうなると思っておられるかとか、どういうふうに進めようと思っておられるかとかいうような話を聞いていただいた上で、新たな方向性や提案を書いていただきたいなというのが基本的なところです。御注意を頂いて進めていただければありがたいと思います。

【西尾主査】  倉田委員の御質問の件に関する回答が飛んでしまっているように思います。多分、倉田委員がおっしゃっていることと関連して、例えば、アカデミッククラウドが構築されると、ある企業が出しているソフトウェアの最新版がアカデミッククラウドを通じて使えるようになるのかということではないと思います。それは各々の機関で、その新たな製品のサイトライセンス的なものを持っているかどうかということが問題であり、持っていてもその大学内の構成員しか使用できないと考えます。ですから、アカデミッククラウドを実現すれば、ある大学内でのサービスとして実現していることを、オールジャパンで享受できることではないと思います。

【倉田委員】  いえ。現状がそうだということはさすがに理解しております。でも、それでよろしいのですかというのが疑問だったということです。

【西尾主査】  安達先生がこのことについて最も詳しいと思いますので、安達先生、どうぞ。

【安達国立情報学研究所副所長】  これは少し具体的なお金の話になってしまいますが、電子ジャーナルのコンソーシアムと同じように、ソフトやライセンスについても、大学がコンソーシアムといいましょうか、まとまることによって価格競争力を持ち、大学側で有利に入手しやすくなるということが考えられますし、私どもで提供している学認でも、サービスプロバイダーの方と話すときには当然そのようなことを視野に入れ、大学がまとまって使えるようにもっていくと、メリットが出るという形で物事を進めています。現時点で個別に進んでいるこのようなアプローチはすべて、そのようなやり方を大学が選択すればよりメリットを受けられるようになるという方向で動いていると思います。
 その中で、大学間の連携とはこのクラウドにとっても大事です。私どもの運用する機関リポジトリのクラウドの経験で申し上げますと、もう1点、重要なのは大学の多様性といいましょうか、オリジナルな良さやアピール点を生かしながら連携するということです。企業ですと一元化することで、全部同じにやれば効率的になるというのが通るのですが、例えば機関リポジトリでも、大学それぞれの持ち味を生かしながらどのようにクラウドのSaaSの上に持っていくかという点で、私どもとしては知恵を絞りたいと思っています。
 そのような意味で、アカデミッククラウドというものは、普通の会社などで使うクラウドよりも工夫が必要であると思っております。その中で、私どもはネットワークがその下支えをしているので、ネットワークが利用上のストレスの原因にならないようにしたいという点が、このようなお話を伺う際のポイントです。先ほども無線LANの話が出ましたが、利用者からは、無線LANを通じてどこか外国にあるサーバを使うなどのことをするときにインフラのいろいろな問題が出てくるわけでして、私どもとしてはこのような点を一番重視して、今度の計画にうまく入れ込んでいきたいという観点でおります。
 以上です。

【西尾主査】  倉田先生、一つの答えとしては、先生が先ほど来おっしゃっているような方向に持っていく上でのベースというか、プラットフォームとしてアカデミッククラウドの構築は非常に重要である。ですけれども、ソフトウェアのライセンスとか、電子ジャーナルのアクセス権に関する経費をどこから獲得してくるのかということは、また別の次元の問題だと考えます。岡部先生、どうぞ。

【岡部委員】  倉田先生がおっしゃったことの一つは、いわゆるマイクロソフトのOffice系のソフトウェアというのがあると思うんですけれども、それに関しては、このアカデミックではなく、一般のクラウドとしてなら、Google Docsであるとか、そういうWebベースのサービスも提供されつつありますし、それから、例えばアップル系は随分マイクロソフトより安い値段で、今度はほとんど無料になったかな、そういう形で提供されています。マイクロソフト自身がそういうOfficeソフトを売ってもうけるというビジネスモデルの先行きが怪しいと思っているようで、資料に先ほど出ていたOffice365というのはまさにそれで、大学向けでありますWebベースのマイクロソフト自身が提供するOfficeのクラウドサービスがアカデミックならただで使えるというのは既に実現しています。ですから、未来予測は難しいんですけれども、このクラウドを介してそういうものが文房具のようにただで使える時代に向かいつつある。
 ただし、その前提として、今度はネットワークに非常に負担を掛けるということがありますので、SINETには引き続いて頑張っていただかなきゃいけないなというところではありますし、無線LANの整備なんかも大学でやらなきゃいけないんですけれども、そういう方向が方向性としては見えているということだけは申し上げておきます。
 以上です。

【西尾主査】  岡部先生、貴重なコメントありがとうございました。時間が来てしまっていますが、アンケートのことに関しましては、その集計結果を有効にお使いいただく観点から、美濃先生のおっしゃったようなことも御留意いただけると思います。
 前回の委員会の最後でも先ほど同様に、安達先生から大学全体を一つの企業体とみなすことはできなく、各大学の独自の発想、あるいは大学間の多様性を重視しながら最適なシステムの構築を目指すところが、企業におけるクラウド環境を構築する場合とアカデミアにおける場合とでは大きく異なるというコメントをいただきました。今後の議論における重要な観点かと思っています。
 本日は、岡田先生には貴重な御説明をいただき、その後本当に長い時間、委員の皆様からの質問にお答えいただきまして、誠にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。

【岡田教授】  どうもありがとうございました。貴重な御意見を頂きまして、今後の本事業の推進に大変役立つものと思っております。本当にありがとうございました。

【西尾主査】  それでは、次回は、ユーザーの視点からの現状認識、ニーズ等について有識者のヒアリングを行った上で審議を深めていきたいと思います。先ほど土方委員から御意見がありましたように、トップダウン的に見るのとボトムアップ的に見るのと、双方からの視点をきっちり我々は捉えて、その上での今後の方向性を考えていくために、次回のヒアリングは重要かと思っております。
 それでは、事務局の方にバトンタッチしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【長澤学術基盤整備室長】  どうもありがとうございます。本日の会合の議事録につきましては、各委員の先生方に御確認をいただいた上で公開をさせていただきたいと思っております。
 次回は12月4日の水曜日に開催をいたしますので、時間は10時から12時で、場所は3F1特別会議室でございます。今後の会議日程は資料3のとおりでございますので、日程の確保をよろしくお願いいたします。本日、台風も心配でございますので、お気を付けてお帰りいただければと思います。
 どうもありがとうございました。

【西尾主査】  それでは、よろしいでしょうか。
 本日は長い時間、ありがとうございました。これにて終わりたいと思います。どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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-- 登録:平成25年11月 --