資料1 第5回学術情報委員会における審議の概要について

第5回学術情報委員会における審議の概要について

(ネットワークの強化について)

・データ生成の爆発的な伸びに対して、その流通をネットワークの増強で対応しようとしても追いつかないのではないか。ゲノム研究では、ネットワークを利用せず、宅配便でデータをやりとりしている。また、現在のSINETでは、天文学分野の利用がトラフィック量の半数を占めているという状況もある。
  
・新たな科学に対応するには、ネットワークの帯域が狭すぎるということと理解する。京では出口の部分は10Gbpsしかないため、他の場所でデータを解析しようとしても、そこがボトルネックになっている。日本が世界最高レベルのIT環境を構築するのであれば、テラバイトオーダーまで必要といえるのではないか。

・研究者がネットワークを利用する場合に、自ら制限しているところが見え隠れしているのは問題であり、次期SINETでは、できるだけ大きな帯域のネットワークを整備すべき。
 特に、今後の方向性として、領域融合的な研究への対応が重要になってくるが、その際に、ネットワークの制限を極力心配しなくても済む環境を整備すべき。

・量的な視点から、トラフィックの現状に関する情報がない。ネットワークの回線を太くしようとする場合、最終的に量的な議論が重要になる。
 今後、教育関係でICTが活用されだすと、教材の共有など、電子書籍を含めてネットワークに載せる需要をどうするか。個々の利用量は大きくないが、数が多くなるという視点も出てくるのではないか。サイエンスによるのではなく、アカデミックな活動が全てIT基盤に載ってくることで、質的な議論から量的な議論に拡がることが考えられる。
 
・国際回線については、各国がネットワークを拠出する形で構成している。国際共同研究を実施したり、国際的な意味でリーダーシップを発揮する上で、回線の確保は必須の課題と強く言っていくことが重要。 

(審議の方向性について)

・SINETをベースにアカデミッククラウド環境をどう構築していくかが議論の焦点。その際、教育の視点も含むこととし、データを扱う人材や制度の問題も審議する。

・帯域を効率的に利用することやセキュリティの確保に対応できる体制ができていない。ネットワークの知識を有し、アドバイスできる人材の確保・育成が各大学に必要であり、NIIにもカウンターパートとして相談できる体制構築が必要。
 
・学生のデータも含めて人に関するデータも扱われるようになるため、個人情報やプライバシーの問題を最初から盛り込んだネットワーク設計が必要。

・ネットワークの問題だけでなく、情報の処理系も格納系も含めて、ITインフラ全体を視野に入れたバランスのとれた議論が必要。

・議論の枠組みとして、研究・教育利用としてのアプリケーション、ITインフラ全体の在り方、人材育成に整理できる。その際、学術情報の共有・確保が目的としてあることを認識。

・アカデミックなコミュニティでこのような情報基盤を形成する意味を強く言う必要がある。全ての大学が加盟、使える環境を基盤として持つことの意義、大学のICT能力が落ちていると感じられるので、その底上げとして、そこに人材育成の重要性を盛り込むことが重要。

・クラウドの先として、クラウドをネットワーク上でつなぐインタークラウドについては日本がリードしている。アカデミックな世界では、クラウド基盤を世界的に作って、それを相互に結ぶ中で、国際的なリーダーシップを取り合う状況が予測されている。
 アカデミッククラウドとSINETを融合した基盤は将来の情報処理基盤を考える上でのテストベッドであり、セキュリティや認証の技術、その運用のためのポリシーの構築など、世界に貢献、リードすることが期待できる。特にセキュリティに関しては、将来SINETがターゲットになるのは明らかであり、日本の学術機関がターゲットになり得る時代に、最先端のものを常に導入して守ることを研究として取り組む必要がある。

・大学内の情報基盤として、サーバーを学外に持って行く財政的な要因がある。ネットワークの両端のルーターやスイッチは4,5年で老朽化するが、その都度、各大学に数億円の投資が必要になり、大きな問題になっている。

・データ処理を自ら行って流通させるというのではなく、クラウドに存在するコンピューターを使用して分析する。ネットワークのインフラ整備を拡げて、基盤全体としてサービスをどこで行うか、データセンターをどのように配置するかを議論できると全体として非常に強固なクラウド基盤がネットワークを含めてできてくる。
  日本全体として、学術ネットワークの設置、形態としてどうあるべきか、サービスをどこで展開するか、効率だけで考えられない部分や人材育成をどうするかを併せてトータルに議論すべき。

・大学は一つの企業体ではないので、各大学の独自の発想を踏まえつつ、最適解を見つけることも必要。そのため、フレキシブルなネットワークを提供することも重要な課題。
 

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