資料1-1 我が国の学術研究の振興と科研費改革について(第7期研究費部会における審議のまとめ)(中間報告)(案)【別添1】

科研費の成果例

科研費は、我が国の科研費の応募資格を有する研究者約27万人中のトップ層6~7万人を支援し、学術研究活動の根幹を支えるとともに、日本の論文算出活動の量及び質の面(※19)、図書刊行や特許出願(※20)、ノーベル賞受賞(※21)及び科学上のブレークスルーをもたらした研究(※22)や地域社会・地域経済に貢献する研究(※23)の萌芽期において大きな役割を果たしている。



※19 1990年代後半から2000年代後半にかけて、科研費が関与した論文数及び被引用度トップ10%論文数は増加傾向。また、科研費関与論文に含まれる被引用度トップ10%論文の割合は10%を超えるのに対し、科研費が関与していない論文における被引用度トップ10%論文の割合は5%台。
※20 科研費による図書の生産数:2万件、産業財産権出願数:2千件(平成23年度実績)
※21 ノーベル賞受賞に発展した科研費支援研究の例
 ・白川英樹 筑波大学名誉教授
  「ポリアセチレンフィルムの半導体としての研究」(1969年度~)を基盤として、ポリアセチレンの薄膜化で導電性ポリマーを開発し、化学賞(2000年)受賞
 ・山中伸弥 京都大学iPS研究所長
  「全能性細胞で特異的に発現する遺伝子群の機能解析」(2001年度~)を基盤として、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)を樹立し、生理学・医学賞(2012年)受賞
※22 我が国社会や人類にブレークスルーをもたらした科研費支援研究の例
 ・有機EL素子の研究(城戸淳二 山形大学教授)
 白色発光素子の開発に実用化レベルで成功。将来的な市場規模は約5 兆円、白色有機ELがディスプレイにも応用された場合14~15 兆円が見込まれている。
 ・レーザー光の導波伝送に関する基礎研究(末松安晴 東京工業大学栄誉教授)
 超高速・長距離光ファイバー通信の端緒を開拓。世界的規模の大容量長距離光ファイバー通信技術の発展に寄与。
※23 地域社会や地域経済に地道な貢献をした科研費支援研究の例
 ・食品の機能に関する系統的研究(藤巻正生 東京大学・お茶の水女子大学名誉教授)
 「機能性食品」という新しい概念を学術的に確立。「特定保健用食品」の制度化に貢献。関連商品の市場規模は平成23 年には5,175 億円に成長。
 ・「信頼」に関する研究(山岸俊男 一橋大学特任教授)
 信頼される側からの研究と信頼する側からの研究を統合し、社会心理学のみならず、経済学、政治学、社会学、人類学などの関連分野に共通の理論的・実証的基盤を提供。

お問合せ先

研究振興局学術研究助成課企画室企画係