研究環境基盤部会 共同利用・共同研究拠点に関する作業部会(第7期)(第4回) 議事録

1.日時

平成26年3月20日 木曜日 15時~17時

2.場所

文部科学省東館6F3会議室

3.議題

  1. 平成26年度からの共同利用・共同研究拠点の認定に関する報告について
  2. 平成26年度予算及び国立大学改革の状況について
  3. 今後の共同利用・共同研究拠点に関する作業部会の予定について
  4. 共同利用・共同研究拠点に関する今後の課題

4.出席者

委員

稲永主査、金田委員、横山委員、青木委員、井本委員、永宮委員、中村委員、松沢委員、龍委員

文部科学省

木村学術機関課長、瀬戸学術機関課学術研究調整官、坂場学術機関課連携推進専門官、山本学術機関課専門官 他関係者

5.議事録

【稲永主査】  時刻になりました。ただいまより共同利用・共同研究拠点に関する作業部会第7期第4回を開催いたします。
 本日の議題としまして、まず第一に、平成26年度からの共同利用・共同研究拠点の認定に関する報告をいただきます。26年度は、公立大学と私立大学の拠点のみです。国立大学法人については、該当はありません。
 2番目の議題としては、平成26年度予算及び国立大学改革の状況についての説明を受けます。
 3番として、今後の共同利用・共同研究拠点に関する本作業部会の予定についてお諮りしたいと思います。
 4番目、これは今日の一番の目玉ですが、共同利用・共同研究拠点に関する今後の課題について、御議論をいただきたいと思っております。
 以上の4点について、予定の時間以内で御審議いただきたいと思っております。
 まず、最初に非公開手続についてお諮りしたいと思います。
 本日の会議の議題の1番目、先ほどお受けしました平成26年度からの共同利用・共同研究拠点の認定に関する報告については、認定に関わる報告であるため、共同利用・共同研究拠点に関する作業部会運営規則第3条及び第4条に基づき、議事及び議事録を非公開とさせていただきます。御了承いただけますでしょうか。

    (「異議なし」の声あり)

【稲永主査】  ありがとうございます。
 それでは、事務局より配付資料の確認をお願いします。
【山本専門官】  議事次第のとおり資料等を配付しております。万が一欠落等がございましたら、事務局までお知らせください。机上の方に水色の紙ファイルで、御協力をいただきました中間評価等の基礎的な資料を置いておりますので、適宜参考いただければと思います。
 以上です。


※議題1については非公開


【稲永主査】  4つの議題の2番目の議題2、「平成26年度予算及び国立大学の改革状況について」に進みたいと思いますが、ここからは、議事及び議事録は公開とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 では、事務局から平成26年度予算のうち、学術研究関係の予算の主な状況や、国立大学の改革の状況について御説明をお願いします。
【山本専門官】  それでは、お手元に参考資料1と参考資料2を御用意いただければと思います。参考資料1の方が、26年度の政府予算案ということで、学術研究関係予算の資料。参考資料2が、国立大学改革プランとなってございます。まず、参考資料1から御説明をさせていただければと思います。
 平成26年度の予算案につきまして御報告ということで御説明をさせていただきます。時間の関係から全て説明はできませんので、割愛をさせて説明をさせていただきます。
 まず、1ページになりますが、学術関係予算といたしまして、世界水準の優れた研究大学群の増強ということで、研究大学強化促進事業であったり、科学研究費補助金につきましては、前年度と同レベルで予算を措置している予定でございます。
 2ページにまいりまして、国際的に卓越した研究教育拠点の形成ということで、御案内のとおりWPIであるとか、2つ目のポツでございますが世界の学術フロンティアを促進する国立大学等における国際研究力の強化、こちらは後ほど説明をさせていただきますが、大型プロジェクト等を計上してございます。また、下の方になりますが、(4)で学術国際交流事業ということで、頭脳循環に資するような事業を計上しているところでございます。
 3ページ、中段の(5)につきましては、優れた研究人材の養成ということで、新規事業で科学技術人材養成のコンソーシアムの構築等、いろいろな事業が計上されているところでございます。
 5ページをごらんください。国立大学関係の予算ということで関係しているところでございますけれども、まず、上段の国立大学法人運営費交付金等というところをごらんください。平成26年度につきましては、1兆1,309億円ということで、対前年度332億円の増となっております。内容につきましては、括弧書きのところに黒いポツが2つございますけれども、上段の国立大学法人運営費交付金につきましては、対前年度331億円増の1兆1,123億円となってございます。その中に白い四角のポツの1段目に、こちらが昨今言われております国立大学の機能強化ということで、大学が全学的に教育研究組織等を再編するような取組につきまして、新規ということで、53億円プラス、あと年俸制の取組に対して24億円ということで、計77億円を新規に計上しているということで、各大学の方が非常に関心の高まっている事項でございます。
 また、その四角の2つ目でございますが、こちらは先ほど言いました学術機関課関係の予算ということで、大規模フロンティア促進事業等が含まれている状況でございます。
 また、黒い四角の下の方ですけれども、国立大学改革強化促進事業といたしまして、こちらも大学改革の中で「ミッションの再定義」等を踏まえて、各大学が教育研究組織の再編等に資する意欲的な取組に対して支援をするということで、186億円という補助金を計上しているところでございます。国立大学の関係予算につきましては、総じて国立大学改革に資する取組に重点がおかれているという状況でございます。
 続きまして、7ページ、学術機関課の担当している予算の全体像になってございます。大学・大学共同利関における独創的・先端的基礎研究の推進といたしまして、先ほど御説明をさせていただきました国立大学全体、1兆ほど予算がございますが、そのうち、大体約1,000億程度機関課関係の予算として計上をしてございます。
 また、25年度補正予算というのが、黒いポツで下段の方に書いてございますが、それを合わせますと、約1,116億円ということで、実質的には75億円の増額という形になってございます。
 その予算の内訳といたしましては、白いポツが3つございますけれども、その中段と下段を足しますとこの予算になります。中段の方につきましては、主に国立大学関係の予算、一番下の丸が大学共同利用機関法人の予算ということになってございます。中段の国立大学関係につきましては、こちらの作業部会でもお世話になっております共同利用・共同研究拠点に対する経費を、前年度と同レベルの48億円を計上するなど、国立大学関係の研究に対しての支援を行っている予算になってございます。
 また、下段の方につきましては、大学共同利関を中心といたしまして、大型のプロジェクト等の推進に係る予算を計上しているところでございます。
 上段の「世界の学術フロンティアを先導する国立大学等における国際研究力の強化」というところにつきましては、今し方説明をさせていただきました予算のうち、内数としまして、国際研究力強化ということをキーワードにいたしまして、重点的に要求する予算の枠組みになっておりまして、その中で1つ目でございますが、大規模学術フロンティア促進事業、もう一つは、国立大学法人における研究力強化ということで、全体的な予算を計上しているところでございます。
 その内訳といたしましては、8ページをごらんください。国際研究力の強化ということで、その内訳になってございます。大きく大規模学術フロンティア促進事業、国立大学等における研究力強化ということで、それぞれ計上しているところでございます。
 内容につきましては、9ページに概要が書いてございます。
 大規模学術フロンティア促進事業の概要になりますが、26年度につきましては、右下の方に赤字で書いておりますが、人文社会科学分野として初めてとなります大型プロジェクトといたしまして、歴史的典籍を活用した異分野融合研究の醸成ということで、日本語の歴史典籍の国際共同研究ネットワーク構築を新規といたしまして計上したところでございます。
 続きまして、10ページ、国立大学等における研究力強化ということで計上している予算でございます。大学の機能強化が問われる中、各大学の特色、強みを活かした研究力強化に資する取組として、補正予算を含めまして、右上にありますが、約37億円を計上しているところでございます。右上にございますとおり、研究力強化の観点ということで、研究組織の再編成であったり、拠点間の連携であったり、そういった様々な大学の取組に対して、特に重点的に支援をしているところでございます。特に拠点につきましては、拠点間の連携であったり、拠点の統合を見据えた取組につきまして、重点的に今回、支援をさせていただいておりまして、今後とも拠点における機能強化に期待したいと考えてございます。
 予算につきましては、以上になります。
 続きまして、参考資料2、国立大学改革プランについて、簡単に御説明をさせていただければと思います。
 昨年の11月にこのプランは、国立大学の機能強化に関しまして発表されたところでございますが、めくっていただきまして中ほどに参考資料という白いこういったページが出てきまして、そこからまたページが始まっておりまして、そこをめくっていただきますと、改革フォーラムの概要というのが出てまいります。その下にページ数を振ってございますので、こちらのページに沿って説明をさせていただきます。その中で4ページをごらんください。この国立大学改革プランの基となる基本方針ということで、まず、今、第二期国立大学は中期計画中でございますが、27年度までの後半3年間を、中ほどにあります「改革加速期間」と位置づけておりまして、「ミッションの再定義」で明らかにされました国立大学の有する強み、特色を更に伸ばしていくことが現在、求められております。
 「ミッションの再定義」ということにつきましては、5ページ以降に、専攻の3分野といたしまして、医学、工学、教員養成という形で、それぞれの大学の強みとなるものが定義をされておりまして、当該共同利用・共同研究拠点につきましても、こういった各大学の強みとして、それぞれの分野において位置づけられているところでございます。
 現在、これらの分野以外の後発分野という形で、理学とか農学、人文社会科学等の分野においても取りまとめ中でございまして、この専攻3分野と同様に、拠点につきましても、きちんと定義がされているところでございます。
 今後、各大学における学長のリーダーシップに基づく機能強化に向けた取組が進められている中、拠点につきましても、それぞれの大学自身の強み、特色として積極的に参画していくことが必要と考えておりまして、また、拠点自身の機能強化も必要と考えておりますので、本日議論いただきます機能強化に向けてと考えております。
 改革プランにつきましては、以上になります。
 説明は以上になります。
【稲永主査】  どうもありがとうございました。
 参考資料1、参考資料2で予算と国立大学改革について御説明いただきました。御意見いかがでしょうか。質問や御意見はありますか。
【中村委員】  よろしいですか。
【稲永主査】  どうぞ。
【中村委員】  参考にお伺いしたいんですけれども、参考資料1の平成26年度政府予算案についてのことですけれども、この中でTMT計画が出ています。これをハワイに作られるんですけれども、土地代とかは既に確保しているんですか。
【山本専門官】  土地代は、こちらの予算には入っておりません。
【坂場連携推進専門官】  TMTの建設予定地でございますが、こちらハワイ州政府というのでしょうか、そちらから提供していただくことになっておりまして、ハワイ大学の方がその土地を借りるということになってございます。
【中村委員】  そこに建てるということですね。
【坂場連携推進専門官】  そうです。ですので、日本政府、あるいは他の参加国機関、国がございますが、そちらの国が土地代ということで何かを負担する計画にはなってございません。
【稲永主査】  よろしいですか。
【中村委員】  はい。
【稲永主査】  ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
 それでは、また後の議論の中で関係するところがあれば、お触れいただくということで、先へ進みたいと思います。
 次は第3番目の議題で、今後の共同利用・共同研究拠点に関する本作業部会の予定について、事務局から御説明をお願いします。
【山本専門官】  それでは、資料2をごらんください。A4横の資料になります。
 スケジュールということで今、お示ししているところでございます。左側が、研究環境基盤部会の予定で、右側が当該作業部会におけるスケジュール案としてお示しをさせていただいているところでございます。
 現在、国立大学改革が言われる中、平成28年度から第3期中期目標期間に入りまして、拠点につきましても、第3期の新たな認定を控えております。拠点制度の創設以降、その制度の検証であるとか、課題、そういったところにつきまして、今後の在り方ということで検討が必要になってございます。そういったことから、基盤部会におきまして、3月14日から現在、拠点の在り方についての議論が始まっているところでございます。
 そういった中、当該作業部会におきましては、拠点の在り方の検討を踏まえまして、今後、現拠点の期末評価であるとか、第3期の新規認定に向けました検討が必要と考えてございます。そのため、資料にお示しをさせていただきましたとおり、基盤部会と連携いたしまして、拠点の在り方や、第3期に向けた拠点の認定、評価の審議を予定しているところでございます。
 基盤部会の方につきましては、平成26年の6月に中間まとめ、12月に審議のまとめを行う予定としております。本作業部会におきましては、26年度中に期末評価や次期認定について検討をいたしまして、平成27年度に期末評価、次期認定の審議を進めてまいりたいと考えております。基盤部会及び本作業部会の審議事項については、資料中の下段にお示ししているとおりでございますが、今後連携して進めていくべきかと考えてございます。
 本日、本作業部会においては、こういった基盤部会の動きを踏まえまして、拠点制度に深く関わってきていただいております先生方から、中間評価等を踏まえて浮き彫りになりました拠点の課題であるとか、在り方について重点的に御議論をいただくという整理をさせていただいております。そういった議論を踏まえまして、基盤部会の検討に次回以降反映していきたいと考えてございます。
 そのため本日は、当該作業部会で今後検討すべき新規認定や期末評価の在り方につきましては、6月以降になりますが、次回以降御議論いただくことにいたしまして、主として拠点制度そのものの在り方について御意見を賜りたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上になります。
【稲永主査】  ありがとうございました。
 今の予定に関して、御質問、御意見ございますでしょうか。基盤部会と本作業会部会との関係について、予定の観点から御説明をいただきました。よろしいでしょうか。
 それでは、今日の一番のトピックの共同利用・共同研究拠点に関する今後の課題ということについて審議したいと思います。事務局からまず、この点について御説明いただいて、その後、自由討議をしたいと思います。
 先ほど御案内ありました14日の研究環境基盤部会において、共同利用・共同研究拠点の今後の在り方について、第1回目の検討を行っております。先ほどの予定にも書いてあります3月14日のことです。そこでの審議状況について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。また、本作業部会においては、8月の中間評価の取りまとめの際に、今後の課題や次期認定、期末評価について御意見を頂いています。そこで上げられた具体的な検討課題について、事務局の方でまとめていただいていますので、それも併せて御説明願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
【山本専門官】  それでは、資料の3-1から3-3を御用意ください。先ほど御説明をさせていただきましたとおり、現在、基盤部会について在り方の検討が開始されておりますが、先日基盤部会で御説明をさせていただいた資料が資料の3-1、3-2になります。また、本作業部会で昨年8月に中間評価を踏まえまして、先生方から御意見を頂き、事務局でまとめた資料が3-3になります。まず、基盤部会の御意見を含めまして、3-1、3-2を御説明させていただきたいと思います。
 資料3-1をごらんください。ページにつきましては、左下の方に記載をさせていただいております。まず、共同利用・共同研究拠点の現状になります。
 本資料は、拠点制度の創設以後、拠点活動がどのように推進されているか、更には国立大学の機能強化の中で、研究力強化、人材養成、グローバル化など、拠点がどのように貢献しているのかをまとめた資料になります。
 1ページは平成20年度に新たに設けられました拠点の制度の概要になりますので、割愛をさせていただきます。
 また、2ページから4ページは、現在の拠点の一覧になりますので、こちらの方も割愛をさせていただきます。
 5ページをごらんください。拠点の多様化という観点で、拠点制度の創設に際しまして、一分野一拠点の原則の見直しと柔軟な形態の拠点整備といたしまして、例えば左側に事例1がございますけれども、数学関係の拠点につきましては、京都大学、九州大学という形で、多様な観点から整備をしているという状況でございます。また、右側には、今回の制度ができたときに、新たな認定の在り方として整理いたしましたネットワーク型の拠点ということで、物質・デバイス領域など、有機的な拠点活動が行われてございます。
 6ページ、こちらはいろいろ当作業部会でも御議論をいただいているところでございますが、開かれた運営体制といたしまして、ネットワーク拠点において、例えば拠点間をつなぐ拠点本部会議、運営委員会ほかが設置されておりまして、こちらは物質・デバイス拠点の事例を示しておりますけれども、共同研究課題の採択など、各拠点に閉じない開かれた運営が行われている状況でございます。
 また、左下になりますけれども、円グラフがございます。25年度の状況として、拠点全体を取りまとめた状況でございます。例えば緑と黒いところが外部の研究者ということで、そこが約半数以上を占める状況になっておりまして、非常に外部に開かれた状況になってございます。
 また、右側の方をごらんください。運営委員会の状況推移ということでございまして、運営委員会につきましても、非常に右肩上がりで、更に中段の方にございます外部研究者、海外研究者ということにつきましても、構成要員といたしまして、22年度に比して24年度につきましては、49%ということで、若干ではありますが、より開かれた運営が進んでいるというようなデータになってございます。
 続きまして、7ページ、こちらはまさしく共同利用・共同研究の活動の状況としてのデータになりますけれども、まず、左側のグラフをごらんください。共同利用・共同研究の採択件数の推移ということでお示ししたデータになります。当然、拠点数も伸びておりますが、着実に採択件数は伸びております。また、下の方にございますが、1拠点当たりの平均件数ということに関しましても、平成15年度75件に対しまして、24年度は89件ということで、着実に1拠点当たりの活動につきましても伸びているという形になってございます。
 また、右側の方でございますけれども、共同研究に参加する研究者支援においてということで右上に書いてございますけれども、1拠点につきまして、いろいろな有機的な、一元的な担当を例えば北大では作っているとか、そういった形で事務組織の方もかなり工夫がなされている状況でございます。
 また、技術職員の推移ということで、1拠点当たりの平均推移ということで見ておりましても、平成20年度に比して24年度は増えているという状況からも、やはりかなり大学の中でもいろいろなサポートが行われている、また拠点の方もいろいろそこに支援をしているという状況が見てとれると思っております。
 8ページをごらんください。こちらから研究活動の状況の中で、研究力を示すデータとしてまとめたものでございます。今回、論文数の分析といたしまして、左下をごらんください。1拠点当たりの論文数も創設当初よりも着実に推移している状況でございます。
 また、右側でございますが、実際の国立大学全体からどうかという形で整理したものでございまして、国立大学全体において、約拠点で18%の論文を創出している状況でございます。右下にありますとおり、研究者の数からしますと、拠点の先生方は約3%になりますが、それに比べましても、かなり拠点で研究力というか、研究活動が盛んに行われているというデータがとれている状況でございます。
 9ページ、人材養成の観点からのデータになります。任期制の導入につきましては、左側の方でございますが、着実に増えている状況でございます。また、右下になりますけれども、拠点だけではなくて、学内の状況といたしまして、学部・研究科等との教育研究上の特徴的な連携・協力の取組も進められておりまして、拠点が大学の中にかなり影響を与えているということで、非常に人材育成の観点でも貢献しているのではないかと考えております。
 10ページをごらんください。成果の発信という観点で左側にデータをお示ししておりますが、国際シンポジウムを含めまして、1拠点当たりの件数につきましても、着実に伸びておりまして、また、グローバル化の観点ということで右側でございますけれども、下の黄色いところでございますが、全体の拠点の受け入れ人数に対して外国人のものをお示ししておりますが、平成22年度は8%に当たりまして、平成24年度は13%ということで、海外にもより開かれた状況になっているというデータでございます。ですので、かなりグローバル化の方もこういった観点で進んでいるのではないかと考えております。
 現状につきましては、以上になります。
 続きまして、資料の3-2をごらんください。本資料は、平成20年度の拠点制度創設の基となる、机上にも机上配付ということで紙ファイルにも入っておりますが、黄色い冊子でございます。平成20年度の研究環境基盤部会の学術研究の推進体制に関する審議のまとめに示されております拠点の例えば意義や役割、今後の方向性を検証する必要性から、また、国立大学改革における各大学の機能強化の中で、拠点をどう機能評価していくかという観点を加えまして、第3期に向けて拠点制度をどのように考えていくかということで論点として整理したものでございます。先ほどから申しておりますけれども、去る3月14日の基盤部会で検討された資料になります。ですので、基盤部会当日出た御意見も踏まえまして、御説明をさせていただければと思っております。1ページ目の、2、審議事項というところは、(1)から順番に段落ごとに御説明をさせていただければと思います。
 まず、(1)の1でございます。関連分野の中核的な研究機関としての意義・役割については、拠点機能の必要性、有効性が一層大きくなっているのではないか、また、拠点が有する強み、特色を捉え、どう強化していくべきかということを論点として上げております。
 当日、基盤部会では、例えば共同利用・共同研究の意義を検討するに当たっては、一般的な共同利用・研究の相違を整理すべきではないかとか、また、拠点に対するリソース、国からの予算であったりとか、人材の状況の分析は必要ではないかといった御意見を頂いているところでございます。
 下になりますが、(2)共同利用・共同研究拠点の整備に関する論点ということで、1、整備状況につきましては、規模等、十分かどうか。2、一分野多拠点とネットワーク型拠点の形成において、学術研究の活性化やネットワークを形成することで、相乗効果が発揮できているかどうか。また、3になりますが、新たな拠点形成についても支援を強化すべきではないかといったことが論点になっております。
 基盤部会においては、例えば法人の利益重視になる中、共同利用・共同研究のシステムを有効活用すべきであって、拠点間の連携を強めて視野を広げていくべきではないか。ネットワーク型拠点は重要であり、そのスタートアップ的な支援を含め促進していくことが必要ではないか。学術研究分野の振興の観点から、分野をどう網羅していくかを踏まえていくべきであり、拠点と大学共同利関との連携を促進すべきではないか。拠点を再編成するなど、拠点の機能強化をしていくことも重要ではないかといった御意見を頂いているところでございます。
 (3)に移ります。共同利用・共同研究拠点の機能強化に関する観点でございます。
 1でございます。拠点の運営体制において、開かれた運営体制の整備、国際的な拠点における海外研究者の意見の反映、拠点の長のリーダーシップについて論点となってございます。
 基盤部会においては、例えば運営面において、開かれた人事体制であるとか、人事委員会へ外部者を入れるといった、人事面での運営上の改善が必要ではないかといった御意見を頂いているところでございます。
 2、拠点の公募と参加する研究者の支援についてでございますけれども、外部研究者の意見を反映した公正な採択、共同利用・共同研究に参加する研究者への適切な支援について論点となってございます。
 3でございます。人材の流動性、人材育成について流動性の高まりや人材育成の積極的な参画が論点となってございます。基盤部会におきましては、拠点において、人材がどれだけ流動性を持って、どういったポジションについているかというのは、評価においても非常に重要ではないか。また、人材育成や流動性への取組について、マネージメントの観点から、認定の要件として整理すべきところでもあるのではないか。また、若手を含めた優秀な人材の獲得、流動性の促進に向けて、それに特化した経費を国が支援すべきではないかといった御意見を頂いております。
 4でございます。拠点の情報提供、研究成果の発信を十分に行っているかという観点でございます。
 5、2ページの下になりますけれども、国際的な視点ということでございます。3ページに移りまして、例えば国際的な視点において、国際的な連携・協力の窓口、内外の研究者の交流の場の提供、外国の研究者の受け入れのために必要な環境等の整備、卓越した外国人の研究者の招聘、海外への情報発信の強化、国際共同研究の環境整備の加速といったことが論点として上げられてございます。基盤部会におきましては、グローバル化のデータとして、例えばインパクトファクター、二国間の共同研究、共著論文数なども重要ではないか。また、国際的な対応を専門とする事務職員の配置については、国としての支援が重要ではないか。
 また、拠点の国際化への取組に対して、ファンドなどをつくって、対外折衝や交渉する経費を国として支援してはどうかといった御意見を頂いているところでございます。
 6に移ります。拠点間の連携による拠点の活性化ということで、拠点間の連携、拠点運営の活性化、効率化、新たな学術領域の創世、学術研究の大型プロジェクトの推進といったところが論点として上がってございます。
 こちらにつきましても、基盤部会においては、例えばネットワーク型拠点は重要であって、そのスタートアップ的な支援を含め促進していくことが必要。例えば学術会議におけるマスタープランにおいても、ネットワーク型の拠点形成が多いことから、大型プロジェクトとのリンクも必要ではないか。また、部局間、部局横断、また拠点間のつながり等を通じて、新しい分野の開拓に向けたリソースを獲得するための明確な戦略が必要ではないか、といった御意見を頂いているところでございます。
 7、産業界との連携の強化。共同利用・共同研究拠点は、最先端の研究成果の実用化におけるイノベーション創出を図ることが必要ではないかといった論点がございます。
 3.今後の審議の進め方につきましては、先ほどスケジュールのところで御案内をさせていただきましたけれども、4月、5月にヒアリングを行い、6月に中間まとめ、7月、11月に更に審議を深めまして、12月に審議のまとめを行うという予定をしております。
 資料の3-2につきましては、以上でございます。
 資料の3-3をごらんください。
 本作業部会で昨年8月に御案内をしておりますけれども、中間評価を踏まえて先生方から御意見を頂きまして、事務局でまとめた資料が3-3になります。資料といたしましては、主に基盤部会における議論に関わる1ページ目の黒いところです。共同利用・共同研究拠点の在り方。また、2ページ以降につきましては、本日、議論はいたしませんけれども、次期認定・期末評価に関わる検討課題という形で整理をさせていただいております。
 本日の議題となる拠点の在り方につきましては、大きく1ページ目でございますが拠点全般といたしまして、国の拠点への財政支援の在り方、改善、新たな拠点の認定、拠点の適正規模の検討、拠点間の連携、あるいは個々の拠点の課題といたしまして、各大学への機能強化の貢献、外部に開かれた拠点運営、グローバル化への対応、大型プロジェクトの企画・立案などの御意見を頂いているところでございます。
 本日の御議論においては、先ほど資料3-2において整理いたしました拠点の在り方の論点がございますし、資料3でまとめております先生方からいただいた意見についてもそれを踏襲するという形で整理をいたしまして、主に本日は資料の3-2につきまして、先生方からいただいた御意見を参考にしながら御意見を賜れれば幸いでございます。
 説明は以上でございます。
【稲永主査】  ありがとうございました。
 それでは、今後の共同利用・共同研究拠点強化にどういう課題があるかというようなことで、自由に御発言を募りたいと思います。いかがでしょうか。やっていくときにどうでしょうか。せっかく資料3-2で、3月14日の基盤部会で紹介されたものですが、ここで審議事項にあります論点例に沿って(1)、(2)、(3)とありますので、これに従って御意見を頂いていくというのはいかがでしょうか。どうでしょうか、よろしいですか。別にその枠の中に押し込めるというわけではなくて、主にそこで。
 そうすると、まず最初に、共同利用・共同研究拠点の意義、役割に関して御意見を頂ければと思います。
 どうぞ。
【青木委員】  資料3-1のこのデータは、これは各研究所が年次報告で出したものを機関課でまとめられたデータですか。
【山本専門官】  さようでございます。
【稲永主査】  今、青木委員の方からあったもので、事務局でまとめていただいたものをみますと、共同利用・共同研究拠点というのが、大学の研究力のアップに非常に大きく貢献しているということを数値で示されているのではないかと思います。それが論文の方です。
 それから、例えば資料3-1の7ページで技術職員の人数の推移というのを見ても、技術職員が大学全体で、文部省全体で増えているとは聞いておりませんので、やはりそれぞれの大学が個性化を図るというところで、共同利用・共同研究拠点に非常に限られた技術職員をそこに重点配置しているとも読み取れるのではないかと。これは大学改革のこれまでの各学部の壁で、なかなか手をつけられなかったところが、共同利用・共同研究拠点という制度で強化するということで、こういうことになってきているのかもしれないと。
 皆さん御意見はどうですか。どうぞ。
【永宮委員】  意見ではなくもう一つ質問なんですけれども、最初の方で御説明されたと思うんですけれども、予算が最近というか、これは増えていっているんでしょうか、同じぐらいなんでしょうか、それとも減ってきているんでしょうか。その辺をちょっと。多分おっしゃられたんだと思うけれども、ぱぱっと言われたので、よく分からなかった。
【稲永主査】  ありました。26年度予算のところでしたか。
【永宮委員】  はい。
【稲永主査】  共同利用・共同研究拠点への予算ですね。参考資料1の7ページになりますか。
【永宮委員】  そうすると、7ページのあれですと、減っているのに違うんでしょうか。括弧よりも少ないですね。
【稲永主査】  ちょっとその辺のところで。
【永宮委員】  ちょっと全体的に予算というのはどういうふうに推移しているのか、その辺いつもよく分からなかったので。ただ、何か補正を入れたら増えるとかいろいろ言われて……。
【稲永主査】  予算はいかがでしょうか。
【山本専門官】  予算につきましては、7ページ全体といたしましては、当初予算ベースですとやはり減っている状況になります。ただ、設備の経費とか、そういったところの経費につきましては、当初ということより、昨今は補正予算で整備するという状況が多いので、そこを含めますと、先ほど申したとおり、大体補正を入れますと1,115億円ということで、対前年度75億円ぐらいの増になるという状況です。
 拠点の経費につきましては、こちらの資料では明確に数字が出てきませんけれども、限定していいますと、中段の「国立大学における共同利用・共同研究、多様な学術研究の推進」というところで、拠点の経費を運営費交付金で措置している経費が入ってございまして、こちらにつきましては、26年度当初ベースでいいますと48億円、拠点の活動経費である例えば運営委員会の経費であるとか、拠点の旅費、共同利用の旅費といったところを整備をしております。
 こちらにつきましては、こういった全体の予算が圧縮される中、我々といたしましては、拠点活動というのはやはり維持していかないといけないですし、新規の認定もしているということもございますので、大体前年度同額レベルを確保しているという状況でございます。
 以上でございます。
【木村学術機関課長】  少し補足いたしますと、先ほど共同利用・共同研究拠点の運営費という形で、確かに48億円弱でありますけれども、措置をしておるんですが、それ以外にも例えば研究プロジェクトの金というようなことも含めて、共同利用・共同研究の実施分として62億円ほどを全体としては、26年度としては措置をしているということでございます。これについて、やはり全体の運営費交付金が減少傾向にあるということから、こちらについても従前に比べるとやや緩やかではあるのですが、減少傾向にあるという状況になってございます。
【稲永主査】  よろしいですか。御自由にどうぞ。今のような前に戻って御質問も含めて結構ですから、まず、共同利用・共同研究拠点の意義役割について、御意見を頂ければ。
 どうぞ。
【青木委員】  事務局に努力していただき、まとめていただいてありがたいんですが、共同利用・共同研究拠点の評価をするのですから、このデータ以外に、共同利用だったからこそできた研究。例えば通常の研究とは別にこんなのができたというのが出てくれば、一般の人たちはもっともっと非常に分かりやすいので、そのような整理の仕方をされた方がいいでなかろうかと思います。例えば48億円で出たものと、一般的な研究所の経費やほかの科学研究費とか、普通の研究費より出てくるのもあるでしょうから、その辺の仕分けをきれいにした方が、国民は非常に分かりやすいし、大学に対しても、機関課が、こういう共同利用をなぜ推進するかという理由は、通常の共同研究ではできない、通常の科学研究費ではできないことが、出てきているということを示すことでしょうから、そのような報告書ができないものか、まとめができないものかなということを考える。それが出てくれば、ここの最初の審議事項の一番目の中核的な共同研究の意識と役割というのは、もっと明らかになってくる。
 多分、霊長研などは、明確に区別されているんでしょう。全ての研究所がちゃんと明確に分け切るかというのは非常に難しいんだと思うけれども、代表的な研究所があると思うんです。それを使ってこういうのがありますからこうやったらどうですかといったら、皆さん分かるし、大学もよく分かるのかなという感じがするんです。松沢先生のところ、一番分かりやすいじゃないですか。よそから、霊長研に行って、お猿さんを使わしてもらって、初めて立派な成果がでたなど。あるいは例えばどこかの海外拠点を使うなど特殊な研究とか。それから、特殊な共同研究。中核となる先生がいらっしゃって、いっぱいテーマが出るから自分もアイデアを一緒にやることによって、新しいものができた。私はそういうのが本当の意味での共同利用・共同研究拠点だと思うのです、それを国が率先して支援する。そんな皆さんに分かりやすいイメージができるような整理の仕方ができたらいいかなと。私も昔から共同利用研にいてできなかったのでそう思います。難しいと思いますが、もうそろそろそういうのができたらいいなと思います。
【松沢委員】  青木先生がおっしゃったことを我々の記憶の新しいところで言えば、中間評価をしましたよね。そのときに、例えばホームページに共同利用・共同研究拠点とうたっていない拠点があったりして、あまりの落差に驚いたというか、例にとっていただいた霊長類研究所の場合には、1967年に全国共同利用の知見として出発したから、大学院教育さえなく、全国共同利用の推進をすることが研究所のミッションだということでやってきたんで、多分今日お話があった国立29大学、77拠点、80研究機関がやっぱりまだ大きく二色に分かれていて、全国共同利用由来の四十数件と、残り半分の、大きな附置研たくさんあるんですけれども、共同利用・共同研究拠点としての役割というものをあまり明確に意識していなかったり、そもそも外へ向かって打ち出すときに、これは共同利用の成果ですということをやっていらっしゃらないところがあって、そこはヒアリングに呼んでお考えを尋ねた、そんな経緯があったように記憶しています。
 もちろんヒアリングに呼んだときには、真っ当なお答えをなさるんですけれども、大きな研究所の方々をはたから見ていると、そもそも全国共同利用として始まったわけではないし、附置研究所としての予算規模で言うと、当然、数億以上のものがあって、そのときに、今の48億を89研究機関で割れば分かりますけれども、平均すると5,000万円ですね。実際、小さいところを見ると、例外的ですけれども、たしか100万円というところがありましたけれども、数千万円という程度の中で、それを永宮先生はお尋ねになったと思うんだけれども、全体が増えていかないときに、頑張れといっても、おのずから限度があるんじゃないか。
 発言のついでに申し上げますけれども、この採択件数の推移で増えていると。そうだとしたら、1件当たりの補助金額は減っていますよね。そうじゃないと話が合わないですから。ある意味で、青木先生がおっしゃったとおり、これは我々、ある意味で同じ側にいて、いかに共同利用・共同研究拠点という制度を守り立てていくか。もちろん、公平、公正に審議した上でですけれども、そのときの資料としてはこうですけれども、実態から考えると、単純に採択件数が増えたということを研究所に身を置く側から言うと喜べない。
 それから、更に、先ほど山本さんがいみじくもおっしゃいました。ずっと一貫して変わっていないんですけれども、このお金は運営委員会や旅費を手当てするためのものだと言っているんですね。ところが、今後の在り方の審議云々で言うと、国際的な共同研究とか、それは全然お金として手当てされていないのに、その成果を求めるというのは、拠点の制度としては無理なんじゃないかと。
 雑漠な意見になってしまいましたけれども、やはり問題点を整理するというのが、今期のこれからの課題だと思いますけれども、また、ヒアリングをするというふうにもお聞きしましたので、是非問題点を洗い出して、御検討いただくのがよろしいかと思いました。
【稲永主査】  2つあったかと思うんです。共同利用・共同研究拠点、昔の全国共同利用時代から、こういう仕組みがあったからこそできたという研究というのを、具体的に例示をしていく必要があると思うんです。
【松沢委員】  例えばチンパンジーのiPS細胞なんて、絶対そうですよね。霊長類研究所だけでは、チンパンジーのiPS化なんかできなかったです。iPSの方からの技術というものがあり、それは京大であり、慶應大学であるんですけれども。それから、全ゲノム解析なんかもそうですよね。そういう意味では、人間以外の霊長類をたくさん保有しているということ、あるいは海外研究拠点を持っているということとその成果との間は、やはり青木先生がおっしゃったように、様々な形での全国レベルでの共同利用が成果を上げていると思います。
【稲永主査】  そうですね。お金の増えていない中でも、共同利用・共同研究拠点に対する予算というのは増えていないけれども、そういうふうに、いろいろなところで連携して、共同利用で成果を上げている。それを分かりやすく、具体的な例をきちっと、こういう仕組みというものがいいんだと。
 今度、もう一つのあれというのは、その仕組みを更に機能させるためには、予算というものが必要である。そのときに、共同利用・共同研究拠点向けの予算の増額というのがあるし、先ほど御紹介があった大学の……。
【山本専門官】  機能強化になります。
【稲永主査】  機能強化、こういうところとは、どういう関係になってくるのか。というのは、例えば共同利用・共同研究拠点というのが、国立大学が法人化するときに、各大学が、もう自分のところだけよければいいんだというふうに陥るのではないかという危惧から、いや、全国、オールジャパンで、それぞれの分野をやるためには、かつての全国共同利用の考えを入れた共同利用・共同研究拠点があって、日本の学術、ボトムアップ型のをきちっと支えていかなきゃいけないということで、機関課とか、いろいろなコミュニティーがその辺を強く訴えてきたわけですね。
 じゃ、埋没するかというと、国立大学が法人化しても、共同利用拠点というのは、数字でも増えているわけですね。国立大学法人に限っても増えている。例えば私の記憶では、非常に増やしているなというのは、京都大学は法人化になってから、かなり増えましたよね。「かなり」という言葉が適切かどうかは……。
【松沢委員】  かなりではないですけれども、増えました。
【稲永主査】  増えましたね。増えたんですね。ほかも増えている。ということは、それぞれの国立大学が、その個性化を図る、特色化を図るという機能強化ですね。他との違いを図るときに、この仕組みは非常にいいというふうに評価しているのではないかと思います。
 それで、学部教育とか大学院教育などに、結構、共同利用・共同研究拠点でやってきた部分を、ある程度、基本的な研究の成果は出たと。じゃ、そういう、例えばフィールドを使ってグローバル人材の教育をしようとかいうのに、大学が特徴を出すために使っているのではないかと思うんですが。例えば私が昔いた鳥取大学なんかは、完全に大学本体の方が取り込んで、それを売りに教育をやると、これはいいことなんですね。共同利用・共同研究拠点、乾燥地研究センターというところがやってきたものは、これは非常に教育にも使えるものだということでやってきたということがあるので、やっぱり共同利用・共同研究拠点が、それぞれの大学の個性化とか機能強化、改革に、この制度が結構牽引役になっているというふうにすると、先ほどの大学の機能強化に関して予算措置されるわけですね。そういうところに、当然――当然かどうか知りませんが、絡んでいくということも一つの道だと思いますけれども、なかなか学内では厳しいと。
【永宮委員】  ちょっと僕、若干ジレンマに陥るんですけれども、全国共同利用というのは、物理で最初始まったのは、基礎物理学研究所というのがあって、原子核研究所というのができたんですけれども、基礎物理学研究所というのは、人的資源を皆さんと共有しようというのが、もともとの出発で、全国から人を集めて、今でもやっていますけれども。
 それから、原子核研究所というのは、物的資源を1か所でやろうというのでやって、ここに書いてあるように、人的、物的資源をきちっとするというのはあるんですけれども、個々の大学がそれを売りにし始めると、いろいろな大学が持ちたくなるので、全国のそういうファンクションというのが逆に薄まってしまう。予算がコンスタントだとしますと、そういうことが若干僕は心配があるところなんです。もちろん大学がユーティライズするのも、僕は非常に重要だと思うんですけれども、どの辺に焦点を置いてやるかというのを、やっぱりきちっとやっていかないと、全てが平均化されていって、あまり世の中の役に立つようになっていかないということもないわけではないので、その辺は。
【稲永主査】  どうでしょうか。
 ただ、予算ということで見ると、そこはあまり。お金は大事なんですけれども、じゃ、今後どうやって予算を機関課で、課長さんを筆頭に増やしていただくかというときに、こういうような成果が上がってきているというのを、非常に分かりやすい形で出していけば、大学改革にも、例えばこうでしょうと。こういう部分は拠点でやってきたものが飛び出たと。そういうことも含むと、数を増やすとかいうと、必ずしもネガティブに考えなくてもいいんじゃないか。
 それから、拠点も、かつてのところにあぐらをかいて、大学本体の方に教育のあれで使われると。そこを、いいところだけ見ていると、せっかく自分たちの成果を広く利用してもらう。それで、自分たちは、もっと先を行くというふうになればよろしいんじゃないかと。あまり私がしゃべり過ぎてもよくないので、もうやめておきますが。ほかの方、どうぞ。
【龍委員】  広く利用してもらうということで、国立29大学77拠点、いずれも比較的大きな、しっかりとした拠点といいますか、研究所だと思います。公立、私立の審査をしますと、やはり大きく差があるなという感じがいたしました。
 やはり国立のこういった拠点というのは、いかに私立、公立、そういうところに利用範囲を広げるかという、そこにも力を入れてほしいなと。私、公立大学に所属しておりますので、特にそういうふうに思います。
 なかなか今、公立大学、私立大学、運営費交付金の話も、先ほど国の場合、全体で幾らというのはありましたけれども、公立大学は非常に厳しい状況です。その中で、研究をしっかり進めていくというのは、こういった拠点と共同してやっていくというのが、使わせてもらう側としまして、非常にこれから重要かなと。
 昨年の、今年度になるんでしょうか、中間評価のときにも、公立大学、私立大学等への広報をどうするかとか、そういうのも入っていたような気がしますので、そういうところも、この共同研究拠点の大きな意義なんじゃないかと思っております。
【稲永主査】  御意見、どうぞ。
【青木委員】  今、永宮先生の話を聞いて、ああ、なるほどと思ったことがあります。僕は古い話は知りませんが、多分昔は、拠点はもっと大きな分野、領域を、まとめていたのが、近年は、霊長類研は大きいかもしれないけれども、僕が昔所属していた熱帯医学研究所などは、医学の中でほんの一分野にすぎません。千葉大の真菌研、広大の原研もそうかもしれない。共同利用・共同研究拠点は、細かい分野に、広がっていったのではないでしょうか。流れとしては、そんなに危惧せんでもいいのかもしれないけれども、予算は問題ですね。これがスタートして、もう何年になるか知りませんが、確かにこれは外国からも評価できる、日本の独特なシステムだと僕は思います。研究を推進するための一つのいいアイデアだったと思いますが、この見直しの時期にきているのかもしれないですね。永宮先生がおっしゃいましたように、スタートのときの狙いと現状と、将来、これをどうもっていくか。多分、共同利用研の中では、霊長研が成功例として一番、すごく分かりやすいという感じが僕はするので、いつも例に挙げるんですが、そういう例を挙げながら。
 だから、共同利用になって、さっきもおっしゃいましたが、幾つかの大学は、共同利用になった方が大学からお墨付きをもらえるからとか、そういうようなニュアンスでなったところがいっぱいあるかもしれないので、もう一遍、ちゃんとしっかり見直しして、考え直す時期かもしれないなということを僕はちょっと感じましたね。
【稲永主査】  じゃ、松沢さん。
【松沢委員】  そこに身を置いてきた人間であり、かつ全国共同利用制度のときの最後の会長で、共同利用・共同研究拠点へ移ったときの人間なんですけれども、すなわち、国立大学が法人化した平成16年からの第1期が21年まであって、22年の第2期のところから、この拠点制度が始まったわけですけれども、今日お話になった、この資料の中の黄色いものが、これがいわばそのときの英知を集めて、先生方も真剣に議論なさったし、事務方も御努力して、このものができたと思うんですね。
 そこから考えると、まだ、実は浅いんです。共同利用・共同研究拠点は、まさに永宮先生がおっしゃったように、前身である全国共同利用から考えると、湯川先生のノーベル賞のときからですから、ちょうど50年、60年ぐらい、ずっと全国共同利用で来ていた。だけど、やっぱりそろそろ考えた方がいいんじゃないかということで、この平成20年にできたわけですから、私の率直な希望は、いや、あまりいじらないでほしい。
 それが今までとどこが大きく違うかというと、2点違っていて、1点は、6年ごとに見直されるから、拠点として認定されなくなることもあり得るんですね。そういう制度になったんです。そこまでの50年というのは、ずっと続いていたのに、6年ごとの見直しが掛かりますというのが1つ。
 ただし、そのかわりに、何度も何度も議論したところなんですけれども、大学の中期目標、中期計画の付表に組織として書くと。大学の一存で勝手に改編はできませんよと。できるという解釈もあるんですけれども、基本的にはできませんと。だって、そうやるって書いたわけですから、しっかり大学が支援してくださいねというプラス、何がしかの運営費交付金、今日のお金で出ている48億弱が分けられていると。だから、付表に載るとお金が来る。ただし、それは6年ごとに見直すんですよと。右肩上がりの60年代、70年代のとき、そのままずっと続いたのとは違いますと。
 だから、僕は、やっぱりこの黄色い冊子を作った方々は、随分努力して、考えられたと思うんですね。ですから、今日示されたような案で、第3期に向けて粛々と最終評価をして、新たに選んでいくというのがいいんじゃないかなと思います。
 本当はそこで終わるべきなんですけれども、蛇足で言うと、もし見直すとしたら、一時期、それがあったんですけれども、金田先生がいらっしゃって、その前で言うのも気が引けるんですけれども、4共同利用機関法人、17研究所、直轄研の方です。なぜなら、それをしっかりと検討して、どのようにするかということは存じ上げていない。それは理化学研究所のような形の独法もありますけれども、一体どうやって。ちょうどまた井本先生がいらっしゃいますけれども、大学共同利用の機関法人等は、どういう守備範囲で、そこはどのように見直されて。逆に、この拠点はいいんですよ、物すごく、ある意味で科研費に近いような形の、すごく透明な制度が出来つつあると僕は思っています。拠点の側からの人間の話ですので、割り引いて考えていただいて結構ですけれども。
【稲永主査】  今、この黄色い冊子ですね。もう一度、新しく共同利用・共同研究拠点というのをやるんだと。今御指摘いただいたとおりで、認定を取り消すこともあるということですね。それから、大学の中期目標をきちっと、その組織が記載されることが大事であると。
 大学共同利用機関との関係、すみ分けというか、役割、機能分担というのは、かつてもヒアリングで、意見交換会に、私もその席いまして、大学共同利用機関なんか要らないという共同利用拠点の所長さんも、たしかおられたような、あったと思いますが、その辺は、後で金田先生にちょっとフォローして。いいですか。共同利用機関は……。
【金田委員】  どうあるべきか。はい。そんな……。
【稲永主査】  いや、どう違うかということです。
【金田委員】  今の御指摘の点は、常に我々の検討事項にあるわけですけれども、我々自身が何でもできるというわけでは、もちろんないわけですので、大学共同利用機関というのは、使命は、要するに、研究者コミュニティーの要望を受けとめて、それを推進する方向を検討するということが1つですね。
 それから、もう一つは、やっぱりその分野の世界的な動向を見ながら、何かプロジェクトを打つかどうかということを考えるというわけで、そういうことをスタートしたとしても、我々は共同利用・共同研究拠点とも連携しないとできないわけです。
 例えば具体的には、在外日本関係資料の調査研究というプロジェクトを始めましたけれども、これは外国にいろいろな形で存在する日本関係の資料が、個別に個人的に研究者が知っているところを、皆さん、研究しておられて、知ってはいるんですけれども、ただ、それは資料のごく一部を自分の関係するところだけ引っ張り出して調査されるという形が基本的ですので、それでは共有財産にもならないし、研究者の全体にとって、なかなか、所在とかアクセスが非常に難しいわけです。ですから、そういうところを、我々がオーガナイズしてやり始めているわけですが、しかし、それには、我々の方だけで、いくらあれでも、プロの専門家が全部いるわけではないですから、結局のところ、私のところの研究機関が6つありますけれども、それと、東大の史料編纂所と、東文研と、京大の人文研と、それから更に今始めているものもの1つでは、大分県の県立の先哲史料館というのがあるんですけれども、要するに、大分県の旧キリスト教関係の方々の資料の研究が中心で、それだけじゃないと思いますけれども。そういうところと連携して、例えばそこと更に、今度はバチカンとも連携して始めたんですけれども、そういうような形で、我々は非常にやりにくいところをオーガナイズするというのが非常に大きな使命だと思っています。
 個々の研究者が研究するのは、どういう条件であれ、頑張ってやっていただくしかしようがないわけで、個別の研究を一つ一つ、我々が全部フォローするということはなかなかできないわけですけれども、個人でできない、あるいは1つの小さなユニットでは、なかなかできない。研究所に、例えば30人、50人いらっしゃったとしても、全員が同じ専門ということはありませんから、我々はやっぱり、そういう形で、なかなかアプローチできにくいところを研究者の共有資産にしていく努力を続けるというのが、大学共同利用機関法人の基本的な一つの役割だと思っていますので、そういうところでは、違いは当然あるのかなとは思っています。
【稲永主査】  ありがとうございました。
【井本委員】  続けていいですか。
【稲永主査】  どうぞ。
【井本委員】  大学共同利用機関法人、大学の共同利用・共同研究拠点と同じで、やはり研究所で、それぞれの研究をするというのは当然のことなわけですけれども、特に自然科学研究機構の場合は、国立天文台、核融合科学研究所といういわゆるビックプロジェクト、高エネ研もそうですけれども、それはやはり大学の枠を超えて、そういう大きい設備を持つというのが、1つの大きい使命だと思います。とすれば、生理研のような小さい研究所はなくてもいいかという、そういう話になるわけですけれども、それは一概に、なかなか否定することは難しいんですけれども、先ほど金田先生が言われたように、コミュニティーの動向を先取りして、日本の学術レベルを高く保っていくというのが、やはり一番大きい使命であろうと思っております。
 生理研の場合、例えば言いますと、最近では脳機能イメージングというのが、割に普通になっていますけれども、それを20年ぐらい前に導入して、日本での研究者育成とかをやってきたというのは、大学でできないかと言われると、できないことはないだろうけれども、やはり大学共同利用機関の方がやりやすいんじゃないかと考えております。
【稲永主査】  ありがとうございます。
 今お二人の先生が言われたように、それから、説明があったのをもう一回整理すると、この拠点になってからは、同一分野であっても複数の拠点を認定しましょうと。それから、ネットワーク型の拠点というのも作りましょうと。それで、大学共同利用機関も、いろいろなものがありますけれども、4つに大ぐくりして、それでお互いに協力し合って、新たな新領域をそこでやっていこうと、連携ですね。
 ですから、そういう流れからいくと、仕組みができてきて、共同利用・共同研究拠点、量的拡大を確かにしています。だけど、これを質へ転化する仕組みというのは、私はあると思う。ネットワークですね。ネットワーク拠点だけはなくて、先ほど金田先生から御紹介あったように、大学の研究所と大学共同利用機関、井本先生からも、そういうような示唆がありましたけれども、そういう動きがあるので、あまり数にはこだわらないで。それで、予算もあると思いますけれども、否定しているわけではなくて、やっぱり量から質への転換期じゃないかなというふうに位置付けて、松沢先生がさっき言われたみたいに、その仕組みを作ったのが、この黄色い、平成20年なんですね。これをやはり、この方針を皆さんで考え方を共有して、きちっと実現に向けていくというところだと思います。
 ですから、なかなか日本人はできないですけれども、これのとおりにやっていない拠点は、認定を外すというようなことも、なかなかできないですけど、きちっと説明責任を果たしてやっていくというふうにしたり、それからあと連携を進めると。今、デジタル・アーカイブとか、クラウドコンピューティングとか、いろいろありますね。まさしく、ツールとかはいろいろなものが出てきているわけですね。みんなでそれを利用しないと、新たな質的な転換は起こりにくくなっているので、そういうところも、共同利用拠点を視野に入れると、かなりいろいろ存在意義を、あまり言葉を弄さなくても言えるのではないかなという気がするので。すいません、勝手なことを言って。お願いします。
【横山委員】  生まれる前からの脈々とした歴史をいろいろ感じまして、30代としては、なかなか発言がしにくい点がございますけれども。
【稲永主査】  いやいや。
【横山委員】  本当にすばらしいシステムだなと拝見して、先ほど龍先生がおっしゃったように、私大への影響力とか、全国的な牽引の拠点として、ますますの発展を願うところでございますが、ちょっと違う角度からの質問といいますか、最近気になっていることでございますが、私たちが評価をして選ばなかった附置研へ、我々のこの評価というのがどういう影響を与えているのか。あるいは、大学へ、こちらの附置研というのは、共同利用・共同研究拠点としては認められないということは、全国を牽引できる力はないという宣言をしているようなものであって、それへのフォローをする必要はないのかもしれませんが、大学側への影響というのがどのように広がっているのかなというのを少し懸念しております。
 懸念というのは、心配しているというよりは、それを受けとめて、よりよい改革の一歩にしていただきたいという印象があるんですが、もう若手という年でもございませんけれども、これぐらいの年代でよく聞くのは、やはり日本は研究所など、歴史のある場所の改革というのが非常に下手である、組み換えが下手である。新しい研究をキャッチしていくとき、新しいものは新しくて大事、古いものは古くて大事ですよねと、両方でやっていくという傾向があって、それは私はすごくいいことだと思うんですけれども、それにしても、いろいろ時代の潮流に合わせて、改革すべき大学附置研というのが、多分、数多くあるというのが審査のときに見えていて、それに対して、ここの議論の場ではないかと思うんですが、この審査がどういう影響力を与えているのかというのが、最近気になっているところでございます。すいません、ちょっと余談のような話でございます。
【稲永主査】  いえいえ。どうぞ。
【永宮委員】  ちょっと僕、まだちゃんとはまとまっていないんですけれども、先ほど、僕が言い始めた全国共同利用研というのは、大学というよりは、むしろ全国の研究者が集まって作って、それをどこかの大学に置いたというケースが多いんですね。それの残りというのが、例えば京大の基研でもありますし、それから、宇宙線研でもありますし、そういうのが、まだかなり大きな規模のお金をハンドルしながら、100億とか200。それが大学共同利研に本来移行すべきだったのかもしれないけれども、移行しなかったので、残っているものも今たくさんあるわけですね。物性研でもそうですし、我々の分野では、化研もそうかもしれませんが、そういう研究所と、新たに認める研究所って、おのずとちょっと違った性格なんですね。
 だから、今、大学になって、大学がかなり独自性を発揮するというので、彼らの一部の人にとっては、非常にそれとの間で相剋で悩んでいる人もたくさんいるわけです。今まではコミュニティーの声を聞けばよかったのが、今は大学の声を聞かないかんということになって。だから、その辺、もちろん潤沢なあれをサポートする。だから、両面があるから、僕は新しいのを認めるのを反対とも何とも言っていないんですけれども、それは大いにエンカレッジして、新しい体制のものも作ってもいいんですけれども、そういう古いのもあるから、そういうことをきちっとエグジットするような格好のやり方というのを考えていかないといけないというのが僕の。
【稲永主査】  ほかに、どうぞ。
【中村委員】  規模ですけれども、共同利用・共同研究拠点の各研究拠点の規模。今、永宮委員がおっしゃったように、古いところはかなり規模が大きいところが多いですね。例えば京大の化研とか、防災研とかということで言えば、かなり規模が大きい。逆に言えば、センター的なものは、平成20年以降にできたものは、非常に規模が小さい。だから、規模を書いていただかないと、なかなか分かりにくい、議論がしにくいところもあるんですね。
 恐らく、大学で言えば学部に相当するような、かなり広い分野、領域をカバーしている分野もありますし、研究所コミュニティーの要請によってできたセンターというものもあるんですね。そうしますと、かなり大規模のものは、共同利用・共同研究機関を、大学の管轄から外して、金田先生じゃないけれども、共同利用研究機構の方に移した方がいいようなものもあるんですね。だから、むしろ規模を書いていただいた方がいいのかなと思いましたけれども。
【稲永主査】  今の点に関してですけれども、私も古くから関係している人間として、規模は、全国共同利用施設という仕組みのときから話題にはされていないです。
【中村委員】  されていないんですか。
【稲永主査】  はい。今後、大事になる分野があって、もうある程度、実績があるというところがまず対象になる。そして、独立部局であるということで、例えば私がいた鳥取大学の乾燥地研究センターのセンター長が大学の評議委員会をされていると。それから、事務組織がきちっとした、独立したものがあるということが幾つか条件があったと。それを踏襲しているのが共同利用研究所の所長会議ですね。そこのメンバーになるときも、その辺がチェックされたと思いますけれども。それは文部省が、その当時、基本的な条件として考えているのと、共同利用研の所長会議のあそこで決まっていることと理解しています。ですから、規模については全くなかったです。
【中村委員】  いや、恐らく永宮先生もおっしゃったように、大学共同利用機関の時代からあるようなものは、かなり規模が大きくなっているんですね。例えば今日はいらっしゃらないですが、東北大学の電気通信研究所というのは、名前からいけば、ミッションというのがすごく分かりやすいんですけれども、実際問題、何をやっているか分からないという、何でもできるんですね。規模も大きい。だから、それは一応、東北大学にあることが必要なのかどうかということから議論を始めなきゃだめだと思うんですね。
【永宮委員】  しかし、そこまでさかのぼると、ちょっと大変だから。
【中村委員】  さかのぼると大変ですけどね。
【永宮委員】  僕は、そういう両方が存在するということは、やっぱり一応、理解しながら、両方を高めていく方法を考えた方がいいと思っているんですけれども。そうしないと、お互いにつぶし合うことになったら、ちょっとあれですからね。
【松沢委員】  よろしいでしょうか。今期の議論を通じて、そして、中間評価の場などで、私自身の意見としては、永宮先生が今まとめてくださったように、大きいところもある、歴史の長いところもある、小さいところもある、歴史の浅いところもある。全教だったところもある、全教じゃなかったところもある。そういう多様なものが、学問で言うと100に近い。それは4研究機構17直轄研ではカバーできない、新しい学問の芽を育てる、そういう場に実際なっていて、だから、どちらかというと、やや小さいものであっても、そこに目配りをして応援していくということの方が正しくて、規模が大きくてしっかりしているから、これはいいと。これは規模が小さいからだめだというのは、ちょっと逆転しているんじゃないかなと。
 それは物すごく目立った例ですけれども、iPS研究というものが、非常に小さなところから始まって、今、研究所になっている。そういうのを考えると、私は小さいところをしっかり手当てすべきだと。
 それから、4研究機構17研究所との大きな違いは、そういう大規模なものではなくて、学問のニーズに合わせた小さなニッチというものが学問にはあって、様々なニッチを育てないと、なかなか次のときに、どこが伸びるかって学問は分からないんですね。そういう意味で、この共同利用・共同研究拠点制度というのは、先ほど申し上げたように、僕はよくできている。いい方向へ改革されていて、それを更に前へ進めていく。もし一緒にやるとしたら、48億、49億という数字はずっと変わっていないんですけれども、それをどうやったら目に見える形で大きくできるかを考えるのがいいのかなというふうに思いました。
【横山委員】  よろしいですか。今の規模のお話に続いてなんですが、本当にそのとおりだなと拝見しているんですが、これはちょっと次回以降のお話になるかもしれませんけれども、実際に、例えば30拠点一緒くたに審査を担当させていただきますというときに、資料をバーッと拝見していくと、どうしても大きな拠点に高い点数を付けてしまうんですね。でも、それは組織としての運営が圧倒的に、マンパワーも、いろいろな力もあって、例えば若手に表彰制度を出しているとか、女子学生のために何かしているとか、いろいろな取組が、組織の母体が大きければ当然大きくて、点数を高く付けざるを得ないような状況にあると思うんですね。
 だから、評価としては、やはり小さいところは不利になりがちであって、もちろん松沢先生が今おっしゃったような視点が非常に重要だと思うんですけれども、実際、評価になってしまうと、どうしても規模に影響されてしまうという感覚が随分あって、させていただく側としては心苦しいような感じもございます。すいません、感想みたいなもので。
【稲永主査】  それは評価する側が考えなきゃいけない。
【永宮委員】  ちょっといいですか。ちょっと僕、これはよく分からないんですけれども、論文数とかを見てみますと、全然違う観点ですけれども、理工系が圧倒的に多いですね。それから、その次が医学、生物系になって、人文科学になっている。ただ、ポピュレーションから言うと、医学、生物の人の方が、まあ、理工系の方が多いかもしれないけれども、最近はそんなに差はなくなってきていますね。人文系の人も随分いるわけなんですけれども、こういうところは、もう少し、僕は医学、生物系も頑張って拠点を作るような格好にしていった方がいいんじゃないかなと思っているんですけれども。別に、人の分野を一生懸命、擁護することもないんですけれども、何となく、ちょっとアンバランスだなと思って見ていました。
【稲永主査】  おっしゃることはよく分かるんですけれども、やっぱり研究者のアクティビティーとなったら、規模が違うので、1人当たりというあれでも見て、それでどうかなということも、今のに加えてしなきゃいけないと思います。
 ただ、先ほどもありましたが、事務局でまとめた国立大学全体との比較では、やはり共同利用・共同研究の論文が、研究者数の比較からいくと、1人当たりのアクティビティーが高いということですよね。
【永宮委員】  そうですね。それでも、やっぱり合計の方が多いですね。
【松沢委員】  それは永宮先生御自身がおっしゃったように、先ほどの規模の問題があって、数で言うと、36対30対11ぐらいのはずなんですけれども、ですから、大分、昔の3対2対1とは違って、医学、生物学系が増えているんですけれども、それは時代が最近ですから、小さいのが増えていて、ずっと昔に作った、まさに純粋理工のでっかいところがあるので、拠点の数じゃなくて、これは人数割りすると、結構、それなりになっていると思います。
【永宮委員】  分かりました。どうも理解していなくて。
【稲永主査】  まだまだ尽きないと思いますけれども、どうでしょうか。青木先生、どうぞ。
【青木委員】  僕はやっぱり評価をするときに、もうちょっと見直した方がいいかなという感じがします。さっき松沢先生がおっしゃいましたが、共同利用にはミッションがあるわけだから、ミッションに本当にちゃんと到達しているというのは、これは大きいだろうが、ちっちゃいだろうが、新しい分野を作る、あるいはニッチを作る、何かいい芽が出てきたら、それはいくらちいさくても、あれば、高く評価すべきでしょう。いくら教育していなくてもね。やっぱり、ミッションに重点を置いて、それに対応するような観点を、もう一遍、整理し直してやれば。本当の共同利用の成果が見れるし、文科省だって、それを使えば今度は宣伝しやすいのではないですか。あまり論文の数とか何とかじゃなくて、その辺を、もうちょっとちゃんと明確に出してくださいと。
【松沢委員】  そういう意味で、中間評価がとてもよくて、あのときのことが皆さんの記憶に新しいから、あれで言うと、すごく教員数とかでも大きいんだけれども、実はその大学の方しか使っていなくて、あまり外への広がりがないとか、すごく大きくて古い研究所で、附置研なんですけれども、全国共同利用じゃなかったからか、ホームページが全然更新されていなかったり、拠点というものが出ていなかったり、拠点ということを、どうお考えなんでしょうかというので、お招きして聞きましたよね。また、その評価で、S、A、B、Cと付いたところで、僕は本当に初めてだと思うんですけれども、その評価によって交付されるお金にめり張りが付いた、あれはすごく大きいと思います。
 ですから、国立大学の79拠点の共同利用・共同研究拠点の拠点協議会と言っているんですけれども、各所長さんは、あの中間評価ですごくシャキッとしたと思いますよ。
【中村委員】  シャキッとした。
【松沢委員】  シャキッとした。あのときに、S、A、B、C、私、記憶でしか申し上げていないですけれども、たしかCが付いたのが1件だけありましね。やはり、それはよほどのことがないと、次、更新しませんよという警告でもあるわけだから、当該の大学も、当該の研究所も、きっと一生懸命になっていると思うんです。そういう意味でのフィードバック・ループが、ようやくこの1期6年を通じて出来上がってきたのかなと。そういう意味で、私は高い信頼感をこの作業部会と事務局に持っています。
【稲永主査】  ですから、まだまだあると思いますけれども、基本的には、幾つかの本質的ではないけれども、改善しなければいけない問題点は、今の共同利用・共同研究拠点の制度にあると。ただ、平成20年度に作って、きちっとした仕組みというのは、本来の目的に向かって機能しつつあると。これをきちっと徹底して、国立大学、次の期末の評価とか、その次の第3期に生かしていくというような、漠とした今日の御議論のまとめ方で。もちろん、個々の頂いた御意見は、全部参考とさせていただくということで、事務局に、その辺でまとめていただくということで、まとめていただいたものは、私でよければ御一任いただくということで、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【稲永主査】  それでは、時間がちょっと足らないんですが、それでまとめていただいて、研究基盤部会の方に報告をさせていただくということで。
 全員がいろいろ。もっとしゃべりたいこともあったんじゃないですか。大丈夫ですか。
【横山委員】  いえいえ、とんでもないです。
【稲永主査】  ごめんなさい、時間配分が。本日予定した議事は以上ですが、何かほかに事務局の方からございますか。
【山本専門官】  それでは、本日の配布資料につきましては、冒頭御案内したとおり、資料1のみ会議後回収ということで、非公開の部分がありますので、机上にお残しいただければと思います。それ以外の資料につきましては、机上にお残しいただければ、事務局より、後日郵送させていただきます。
 以下、お知らせといいますか、先ほど中間評価のお話がありましたけれども、中間評価のフォローアップという観点で、今後、現地調査とか、出張を含めて、今検討しておりまして、どこまで出張に行くか、対象も含めまして、また御案内をさせていただければと思いますので、4月以降、また御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 事務局よりは、以上でございます。
【稲永主査】  ありがとうございます。忘れていただいていないんですね。ちゃんと現地を見ないと分からない部分が結構あるということで。
【稲永主査】  機関課の方々と一緒に現場を見るということで。
 本日は長時間にわたって、どうもありがとうございました。これで会議を終了したいと思います。
【山本専門官】  ありがとうございました。



        ―― 了 ――

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