参考資料1 学術の基本問題に関する特別委員会(第6期第4回)における主な意見

1.検討の経緯について

○ 「関係部会とも連携」の部分は強い表現にできないか。基本問題に関する特別委員会での議論を関係部会での審議の参考としてもらえるような文言にすべき。

2.検討の観点について

○ (2)「分散型」は情報分野ではポジティブな意味で用いられるが、資料ではネガティブな意味で用いていると思うので、表現を工夫してほしい。

○ (2)第1段落は、会議で議論していない一般の人から見ると、どういうことをイメージして何を意図しているのか、分かりにくい。

○ (2)第3段落は表現が分かりにくいと危惧される。

○ (2)について、研究者の自由な発想に基づく研究と社会的要請に基づく研究は対峙関係にあるわけではないのではないか。社会の要請を受けて、研究者が自由に発想してする研究もあるのではないか。

○ 本来の議論の目的を委員のみなさんで共有できているか。ここで書かれている学術はほぼ科研費だけに思えるが、科研費だけでよいのか。学術はいろいろな捉え方があって、科研費に象徴されるだけではないはずだが、科研費の議論に終始しているのではないか。

○ (2)について、科研費に全く違う方針が入ってくるという誤解を招くのではないかと心配している。誤解を招かない表現にした方がいいのではないか。

○ 出口の施策が分かりにくくなっていると思うが、科研費の本質を変える、科研費とは別に施策を立てる、科研費の本質は変えずにより効果的な施策とする、の3つの手段があると思うが、基本問題の議論は3番目の考え方だと思う。

○ 昔は国策特定や特定Cなど、科研費の中でもトップダウン的に決めた課題について競争的に公募し、機能してきた。ここで議論されていることが、先取り的に実施されていたと理解している。

○ (3)マル2諸外国の動向を踏まえた取組について、1段落目は国家戦略、2段落目はNSFなどでテーマ設定型の研究がなされていることが書かれている。1段落目と2段落目の間にはギャップがある。3段落目は1段落と整合性があるが、2段落目が浮いているように思える。

また、NSFについては、実際どういうデータに基づいているか確認する必要がある。例えばアメリカの国家研究予算のうち、NSFがどれだけのパーセントを占めているのか。国家戦略としてなされているのか。おそらくそうではないと思う。アメリカの研究者の中には、NSFをペットファンディングなどと呼んで、POが特定の分野を選んで自分になつく研究者をかわいがることを揶揄する人もいる。それが正しいかどうかは別として、国家戦略の代表としてNSFのファンディングを出すことについては、誤解を招く可能性がある。この意見のまとめをどういう人が見るか分からないので注意深くしていただきたい。データがあるならデータを出す、他の国の状況を補足するなどお考えいただきたい。「このような中」という接続詞は修正した方がよいし、「例えば」でつないだり、イギリスの例を出したりするとよいのでは。

○ 全体的に「自由な発想に基づく研究は大事」だと留保しながら「社会貢献、新たな取組が必要」という構造になっていて、社会貢献などに関心の薄い大学の研究者が読むとどちらに重点があるのか分かりにくい。おそらく重点は、知的探究心に基づく研究費の配分とは違うところにあるとなんとなく読めるが、読み手にとまどいがある。留保表現について工夫が必要ではないか。

○ 重点がどちらかにあるのではなく、自由な発想に基づく研究も新たな取組も両方とも大事だと言いたいので、歯切れの悪い表現になっているのではないか。

3.当面の検討課題について 

○ 人文社会科学の部分については、これだけでいいか、この表現でいいか、関係者の間でのコンセンサスが得られていない状況であり、「例えば」を入れるなど、結論的な確定的な表現にしないようご配慮いただきたい。歴史的な記録の発掘も含めた震災の記録保存については、貞観地震などの震災の記録のほか、そこから復興に向けてどのような人間活動(施策も含めて)があったか、救援救済活動があったか、住まいを高台に移すなども含めて、人文社会科学者の間で可能な限り掘り起こしたいと考えておりますので、広めに書いていただきたい。修正については預からせていただきたい。

○ 今回の東日本大震災では、日本人の倫理・社会システムは十全に機能したと言えると思うが、それがどのように培われてきたのか、重要なテーマであるし、記録と同時に学問として掘り下げていただきたい。

○ 倫理などの点は細かく書く必要はないのでは。人文社会科学の融合についてはしっかり書き込んでいただきたい。

○ マル1はタイムスケール的には長いものを想定されていると思うが、機動的に対応する必要があるものもあるであろう。もう少し早く動くことが分かるような記載があってもいいのではないか。世界中の災害に対して機動的に対応できる体制の例を作るべきではないか。

○ 震災の記録保存についてはスピード感が大事。YouTubeなど多様なメディアがデータのアップを始めており、スピード感を持って対応することが大事。

○ いかにして新しい学術研究を生み出すかが問題。政策としてこれから新しい分野を作るために誘導することは悪いことではない。昔、科研費の中に「総合研究A」として、学術においてどういうものが必要かを研究する数百万規模のものがあったが、むしろそういう取組が重要。

○ 「総合研究A」の果たした役割は極めて大きいと思っている。そこで議論して出てきた方向性を受けて国策として対応できるとよい。その頃と違うのは、今は日本学術会議が機動性とスピード感をもって対応しているのではないかと思うが、「総合研究A」のような枠組みを作っておくことが大事。

○ 今、「総合研究A」のような取組をどうやって実現しているかというと、最先端研究プログラムや特定研究などの予算の中で取り組んでいる。そこで取り組むインセンティブは非常に大きく、学問にとって新領域の融合が一番おもしろいということであるが、異なる分野の先生を呼べるような予算がなかなかないため、取り組めていないのが現状である。

○ 新しいネットワークの形成や分野の創出については、どう評価するかが問題。現在の評価は、論文数や大学運営への協力度合いなどによって行われているが、研究者のインセンティブになるような、モチベーションが上がるものについて考えておくことも必要。

○ 新しいものを作る際に、評価のことまで考えておく必要があるかは疑問。

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