資料1-2 学術振興上の重要な取組について(これまでの意見のまとめ(案))(反映版)(3)

「学術研究の推進について(審議経過報告)」(平成23年1月17日 学術分科会)-抜粋-

第1章 学術研究の現状・課題等と目指すべき方向

3.今後の学術研究の振興の方向性

○ 我が国は文化国家として独創性や創造性により世界を先導してきたところであり、今後とも持続的に発展し、国際社会から信頼と尊敬を得られる国であるためには、独創的・先端的な知を創出し、人類共通の知的資産の蓄積において先導的な役割を果たしていかなければならない。

 そのためには、研究者の自主性と研究の多様性を尊重しつつ、多様な研究分野を幅広く支援することが欠かせない。研究者の自主性と研究の多様性の尊重は、国家の知的基盤の形成の基盤として、社会や時代の変化に関わらず学術研究の振興にあたって不可欠の前提・原則である。 

○ その上で、我が国の学術研究が国際的な存在感を発揮し発展していくためには、我が国の知を結集して飛躍的な発展につなげていくことが必要であり、戦略的な視点をもって学術研究の振興を図ることも重要な課題となっている。このことは、大型プロジェクトの推進等をはじめとした学術研究自体の発展のみならず、学術研究の推進・貢献による社会の発展のためにも必要である。このため、国内外の動向も踏まえつつ、学術研究に係る方向性を示すような機能を充実するための学術研究体制の在り方についても検討を行うことが求められている。

○ また、知の国際競争が激化する中、学術研究に係る国際的な競争・協調についても戦略的な取組が必要である。特に、研究者自らが、若い時期に、狭い殻に閉じこもることなく、様々な研究環境に身を置き、世界中の研究機関・組織の研究者と積極的に交流しながら自己開発・自己改革に努め、独創性を磨く機会を充実することが重要である。また、各国は優秀な人材の獲得をめぐって国際的な競争を繰り広げており、国外から優秀な研究者、学生を獲得することも必要である。

○ なお、学術研究の振興に取り組むためには、我が国全体の資源が限られる中で、学術研究の現状や課題を踏まえた取組の改善や改革を図り、その必要性について社会の理解を得ていくことも求められる。

第2章 学術研究の振興方策

1.学術研究体制の整備

(1)我が国の学術研究体制の目指すべき方向

○ まず、学術研究体制の中心たる大学等においては、我が国全体として学術研究の多様性を確保していくために、各大学等の学術研究へのスタンスの明確化や個性・特色の発揮等が求められる。教育面においては各大学等の個性・特色に応じた機能別分化の取組が進む中で、教育と研究の一体的推進という大学等の特性を活かし、研究面においても機能別分化の取組を学術研究の振興に活かしていくことが必要である。

○ さらに、多様な研究活動は研究者間の交流を通じて生まれるものであることから、新たな研究者コミュニティの育成も含め、研究のネットワークの形成を推進することも必要である。

○ その上で、戦略的な視点をもって学術研究の振興を図るためには、個々の研究者が行う研究や組織的に行われている研究を結集して我が国の知の発展を図ることも必要である。このため、国内外の学術研究の動向を踏まえつつ、重点的に推進すべき研究分野・領域を設定するとともに、大学等や学問分野の枠を超えて研究を推進できるような体制を、関係機関の機能及び連携の強化により構築することが求められる。

(4)学術関係機関の在り方

(日本学術振興会)

○ 特に、我が国全体として学術研究の戦略的取組を推進するためには、我が国の各学問分野の国際的な状況把握も含めた、国内外の学術研究動向の調査分析機能を強化することが不可欠である。現在でも、日本学術振興会の学術システム研究センターにおいて学術研究動向の調査等を行い、科研費等に係る事業の改善に活かしているところであるが、さらに、ファンディング機能の充実や、国や大学等における学術研究の方向性や重点分野の設定等の検討・取組への活用を目指し、一層の充実を図ることが求められる。

 そのためには、PD(プログラム・ディレクター)・PO(プログラム・オフィサー)の職務に対する適切な評価やキャリアパスの確立、大学等の研究現場との連携協力も含めた、PD・PO制度の機能強化をはじめ、学術システム研究センターの体制の充実について検討することが必要である。その際、諸外国の制度も参考にしつつ、我が国の実情や特性に即した検討が行われることが望まれる。

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研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)