参考資料1 学術の基本問題に関する特別委員会(第6期第2回)における主な意見

【学術振興上の戦略的な視点について】

○ これまでの学術研究では壮大な無駄の中で無から有が生まれているが、この点について社会を説得するのは難しい。社会全般の支援を得やすい、夢のある学術研究の在り方を示すのも一つの方法。科学者コミュニティや文部科学省が信念をもって学問の自主性や多様性を保証する仕組みを戦略として作ってはどうか。

○ 戦略性は、研究者を育てるかという手法、現在の研究現場の問題点を解決できるような研究者の育成や支援等の研究の支援方法として捉えてはどうか。 

○ 研究者の自主性、多様性を原則としながら学術を振興するためには、個別に自主性、多様性を確保するだけでなく、自主性、多様性を発展させるための戦略的な取組が必要と理解している。

○ 日本には研究者たちで学術研究をどう進めていくか決めていくシステムがないので、これを機会に作ってはどうか。

○ 社会的課題を独創的・先端的研究の中でどう受け取るかというのは責任を持って考える必要があり、考える母体として学術コミュニティがある。

○ 計画的に話し合う成熟したコミュニティもあれば、そうでないコミュニティもある。コミュニティに任せていいのか、誘導的なことが必要かも検討すべき。 

○ 学術研究の自主性と多様性が学術振興の前提・原則であることについて、社会や一般の人に理解してもらえるような説明が必要。

○ 学術研究は研究者の自由な発想に基づく研究と言うが、自由な発想と言うと好き勝手していると誤解される可能性があるが、社会的、時代的な要請に応えることは必要。

○ 領域を超えた新たな研究者ネットワークの形成に役立つよう、科学研究費補助金の新学術領域のように、研究費において研究者が集まる場を提供できるようにすることも重要。

○ これまで出口に近い研究にトップダウン的に資金がつけられてきたが、競争的資金制度を続けていると、研究者は疲弊してしまい、日本の学術研究の水準が保てるか懸念される。運営費交付金を元の状態に戻すことが重要。

 

【社会とのつながりについて】

○ 学問のたこつぼ化が指摘され、周囲とのつながり、社会とのつながりが希薄化しており、どこかが社会とのつながりをチェックすることが必要。 

○ 学術の基本問題に関する特別委員会の委員は基礎研究に携わっている方々であり、温度差がないことをかえって懸念している。自主性、多様性という前提・原則が広く社会に理解されるか、支援を得られるか。社会の理解や支援なくして大学はあり得ないという認識がないとたちゆかなくなる。この問題を放置して、大学がどうあるべきかという理念、ビジョンなしに学術研究の在り方は議論できない。 

○ 東日本大震災後、震災と重要な課題を切り離して考えることはできない。中学生、高校生など若い人は、科学技術・学術研究は役に立たないと思っているかもしれない。社会、特に中学生、高校生に研究がどう役立つのか説明していくことが必要。 

○ 大学はこれまで研究人材の育成ばかりしてきたのではないか。社会の層の厚みが重要で、それが産業を支えているのであり、中堅層を育てる意識も必要。 

○ 人を教育することは、研究の成果の1つであり、社会の役に立っている。 

○ これまで研究というと教育の観点が抜けていた。次の世代を育てるという視点が必要。学会、コミュニティを超えた何かが必要。

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