資料1-1 学術振興上の重要な取組に係る検討について

1.検討の趣旨

  学術研究は、研究者の知的探究心を源泉に行われるものであり、研究者の長期の試行錯誤や多様な探求活動の積み重ねを通じて、社会・経済・文化の発展の基盤となる重厚な知の蓄積や独創的な新たな知が生み出されるものである。このため、研究者の自主性と研究の多様性の尊重は、学術振興の前提・原則である。

    その上で、我が国の学術研究が独創的・先端的な知を創出し国際的な存在感を発揮し発展していくためには、研究者の自主性を掘り起こし、我が国の知を結集して飛躍的な発展につなげていくことが必要である。第5期学術分科会の審議経過報告における「戦略的な視点」として、このような取組を推進することが求められる。

    このため、学術研究の学問的発展の観点から、領域を超えた新たな研究者ネットワークの形成をはじめとする我が国の知を結集するための取組(学術振興上の重要な取組)について、検討を行うものである。

 

2.検討の背景・必要性

(1)大学における研究開発全体の状況

  大学においては、科学研究費補助金により研究者の自由な発想に基づく学術研究が行われるとともに、政策課題に対応する分野別の研究開発も行われている。

  このような中、科学研究費補助金の分野別配分はほぼ一定で推移しているが、政策課題対応型研究開発経費による分野の重点化は大学の研究の有様にも影響を及ぼしてきたと考えられる。

   このような大学における研究開発全体の状況を俯瞰すれば、学術研究の多様性の確保や発展を図るために必要なものが抜け落ちることが懸念され、研究者の自主性を掘り起こして研究の発展を図り、また社会の要請にも応えるためには、学術研究全体を俯瞰した分野を超えた議論・検討が必要。

 

(2)我が国の学問分野の状況

  学術研究は、研究者の自主性を尊重し、研究者が自ら開拓することにより進展しているが、例えば、分野別の論文数に占めるTOP10%論文数の度合等に見られるように、中長期的な推移は分野によって異なっている。

  このような中、各分野の研究ポテンシャルを俯瞰して学術研究全体の振興を図るためには、分野の動向や我が国の状況も含めた学問的観点からの議論・検討が必要。

 

(3)諸外国における取組

  諸外国の研究支援機関(NSF等)においては、研究者の自由な提案とピアレビューによる助成を基本としつつ、特定課題や分野横断的な課題についてテーマを設定して募集する取組も行われている。

  諸外国におけるこのような取組を踏まえれば、我が国においても、研究者の自主性の尊重を基本としつつ、学術研究全体の振興を図る観点から、研究者の自主性を掘り起こして発展を図るための取組が必要。

 

(4)学術研究の役割(「社会の中の、社会のための学術」)

    大学は学術の中心機関として、教育研究を行うとともに、社会の発展に寄与することを目的としている。東日本大震災の復興に向けた取組も含め、幅広い研究者の知を結集して社会の発展に貢献するためには、社会の要請や学術研究の役割を踏まえた議論・検討が必要。

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