平成23年2月15日
科学技術・学術審議会
研究計画・評価分科会決定
○ 研究計画・評価分科会及びその下に置かれる各委員会においては、第2期及び3期の科学技術基本計画(以下、「基本計画」)の下では、総合科学技術会議が策定する「分野別推進戦略」を踏まえ、文部科学省として取り組むべき分野別の研究開発計画を取りまとめてきた。
○ 一方で、平成23年度から実施される第4期基本計画(答申「科学技術に関する基本政策について」(平成22年12月24日総合科学技術会議)。以下同じ。)においては、これまでの重点推進4分野及び推進4分野という分野別での重点化の考え方から、環境・エネルギーや医療・介護・健康をはじめとする重要課題の達成に向けた施策の重点化へと、方針を転換することとされている。
○ このため、文部科学省として、第4期基本計画に則り、重要課題への対応に向けた「研究開発方策(仮称)」を取りまとめることが必要である。
○ このような観点から、研究計画・評価分科会の下に置かれる各委員会においては、第4期基本計画で示される重要課題のうち、それぞれの所掌に密接に関連するものに関して、その達成に向けた研究開発等の推進方策について検討を行い、検討結果を取りまとめることとする。
さらに、研究計画・評価分科会においては、各委員会での取りまとめを基に、重要課題の領域を俯瞰した上で必要な検討を加え、課題対応型の「研究開発方策(仮称)」を取りまとめることとする。
○ 第4期基本計画で示される重要課題を踏まえ、研究計画・評価分科会において取りまとめる課題対応型の「研究開発方策(仮称)」は、具体的には以下のような課題領域により構成することが考えられる。
○ 各委員会においては、これらを念頭に置きつつ、文部科学省として対応すべき課題に関する研究開発等の推進方策ついて検討する。その際、課題達成を図るためには、府省横断的な取組が不可欠であることに鑑み、他府省の事業との連携をも念頭に置いた検討を行うこととする。
世界最先端の低炭素社会の実現に向けて、環境・エネルギー技術の一層の革新を促すための研究開発を推進するとともに、成果の事業化、普及促進に向けた社会システムや規制・制度、支援の在り方等も含めた幅広い研究等を推進する。具体的には、以下のような課題、研究開発対象等が考えられる。
1)エネルギー供給の低炭素化(再生可能エネルギー、バイオマス利用、蓄電池・燃料電池、エネルギーマネジメント、原子力利用等)
2)エネルギー利用の高効率化及びスマート化(省エネルギー、次世代交通システム等)
3)社会インフラのグリーン化(地球観測・予測・統合解析、気候変動適応等)
主に、以下の委員会において、上記で掲げた課題等を念頭に置きつつ、その達成に向けた具体的な研究開発課題、推進方策等について取りまとめる。
我が国の医療水準の向上、人々の健康の維持、向上を目指すとともに、新たなサービス産業等の創成を目指し、最先端技術に関する研究開発を推進する。また、医薬品・医療機器等の迅速な実用化、普及促進に向けた規制・制度や支援の在り方に関する研究等を推進する。具体的には、以下のような課題、研究開発対象等が考えられる。
1)革新的な予防法の開発(ゲノムコホート、医療情報基盤、感染症、認知症等)
2)新しい早期診断法の開発(高精度な早期診断技術、イメージング技術等)
3)安全で有効性の高い治療の実現(創薬ターゲットの探索、iPS細胞等による再生医療の実現、生命動態システム科学等)
4)高齢者、障害者、患者の生活の質(QOL)の向上(ブレインマシンインターフェース(BMI)等)
主に、以下の委員会において、上記で掲げた課題等を念頭に置きつつ、その達成に向けた具体的な研究開発課題、推進方策等について取りまとめる。
食糧や水、資源等の安定的確保や、自然災害や重大事故、テロ等からの人々の安全確保等を目指し、先端技術に関する研究開発や調査観測等を推進するとともに、得られる成果を基にした事業化支援、普及・展開に関する研究等を促進する。具体的には、以下のような課題、研究開発対象等が考えられる。
1)食料、水、資源の安定的確保(遺伝子組換え作物(GMO)、資源探査・技術開発、廃棄物再利用等)
2)生活における安全確保(地震・火山・風水害等の調査観測、防災・減災等に関する研究開発、環境汚染物質評価・管理、犯罪対策、航空輸送システムの高度化等)
3)国民生活の豊かさの向上(生活の質と豊かさの向上、新たな文化の創造、我が国が誇るデザイン、コンテンツの潜在力向上につながる研究開発等)
主に、以下の委員会において、上記で掲げた課題等を念頭に置きつつ、その達成に向けた具体的な研究開発課題、推進方策等について取りまとめる。
産業競争力の強化、地球規模の問題解決への貢献、国際的な優位性保持や国民の安全確保に向けた研究開発、新フロンティア開拓のための科学技術基盤の構築に向けた研究開発等を推進する。また、環境・エネルギーや医療・健康・介護をはじめ、複数の領域に横断的に用いられる共通基盤の強化を目指し、ナノテクノロジーや光・量子科学技術、e-サイエンス等高度情報通信技術、数理科学、システム科学技術に関する研究開発や、その利活用に関する研究等を推進する。
主に、以下の委員会において、上記で掲げた課題等を念頭に置きつつ、その達成に向けた具体的な研究開発課題、推進方策等について取りまとめる。
2月下旬以降 各委員会で検討開始
6~7月目途 各委員会における審議結果(中間)取りまとめ
9月目途 各委員会における報告書取りまとめ
10~11月 研究計画・評価分科会において、各委員会による取りまとめをもとに「研究開発方策(仮称)」について審議・策定
○ 研究計画・評価分科会及びその下の各委員会における検討については、総合科学技術会議における課題別の推進戦略の検討状況等を勘案して進めることとする。
○ 研究計画・評価分科会における「研究開発方策(仮称)」の検討に当たっては、当分科会以外の関係する分科会や部会、委員会等とも密接に連携・協力しつつ、検討を進めることとする。
研究振興局振興企画課