これまでの主な御意見(第4回~第6回)

1研究力強化のための研究環境の整備

○大学の役割、学術研究の在り方についての議論を踏まえた上で、科研費がどのように関わるべきかという議論をすべきである。
○基盤的経費を確保することと、科研費がどう在るべきかとは別の問題であり、関連づけるべきでない。
○研究投資が競争的資金に偏ったため学術研究の裾野を広く支えるインフラストラクチャーの整備やシステムの近代化が急速に脆弱化しており、長期的視点に立った研究のリソースの維持・充実が滞っている。学術は社会から離れて存在し得るものではなく、科学技術文明がもたらした諸課題に的確に対応し、未来を予測することによって社会が進むべき方向を示す羅針盤として社会的責任を果たすこともその本質的役割であるが、現状は学術研究を文化の基礎として捉え、有能な人材にインセンティブを与えながら国際的、学横断的な推進を図る機運が高くない。このため、科学と社会との接点である現実の地球規模、社会的養成課題からスタートして、基礎研究の必要性・重要性へ論議が波及することでイノベーションが生まれる仕組みも検討すべきであり、併せて縦型でない相互連携の学術コミュニティを構築することも重要。これにより、世界の潮流を把握し、社会の理解を得ながら共有できる新たなヴィジョンを提示することが望ましい。

2基金化の拡大

○複数年度に必要な研究費の総額を全て基金として積まなくても、研究費を複数年度にわたって使用できる、前倒しによって研究を効率的に行える等基金化のメリットを享受できるような仕組みについて検討し、他の種目の基金化を進めてもらいたい。

3新学術領域研究の見直しについて

【研究ネットワークの強化について】
○大学の機能分化により研究活動と直接関わらない教員も出てくる中で、研究コミュニティと繋がれるような研究者養成モデルがつくれないか。
○限られた予算の中でネットワークを固定化することは望ましくなく、5年程度のタイムスケールで研究組織をダイナミックに動かしていくことが適当ではないか。一方で領域運営の立場からは5年では短いという意見もあり、バランスをとることが必要である。
○ネットワークへの支援は、生命科学系3分野への重点的支援の在り方も踏まえ、よい方法を考えていく必要がある。
○息の長い研究も必要であり、5年間の研究期間終了後の評価を踏まえた継続を認めるとともに、基盤研究(C)程度の規模で長期間の研究ができる種目の創設を検討してはどうか。
○人件費への使用を可能とすることについて、特別推進研究において多数のポスドクを雇用している例などを考慮し、慎重に検討すべきである。
○科研費が人件費等研究の基本的インフラの部分を担うことが一般化することにより、基盤的な部分が一層しぼむことを危惧している。
○俯瞰的な意味で物事を考える機会として新学術領域研究は重要であり、その中で縦型でない相互連携のコミュニティをどう構築するのかを考える必要がある。
○コア形成により研究が硬直化し、発展を阻害することのないよう、バーチャルの研究グループをどうサポートしていくかを考えねばならない。
○従来の領域研究で支援してきたところも含めてサポートするという種目の趣旨を徹底し、学問の本質に重点を置いた審査体制をつくってもらいたい。

【重複応募制限について】
○重複制限を厳格化しすぎたため、研究グループの再編成に支障が出ている。また、制限が厳しすぎると自由な発想を縛りかねない。新たなアイデアの応募を最初から制限するのは機会の多様性の確保の観点からも問題ではないか。
○重点領域研究、特定領域研究において公募研究代表者の重複応募が可能であったが、応募件数がそれと同程度と考えれば、新学術領域研究において制限を緩和してもデメリットはあまりないのではないか。
○応募件数の増を懸念するよりも優れた研究が採択されるようにした方がよい。
○重複制限の最大の趣旨は限られた研究費をより多くの研究者に配分しようということであり、これによりラボの運営が厳しくなっている中堅研究者が出ていることから、緩和には賛成だが、無制限の採択を認めることはよくない。

4研究成果公開促進費の見直しについて

○日本の学術研究の国際発信力強化のために何が必要か、例えば一般のパブリッシャーとの連携等有効な利用方法を考えることが重要。
○現実性、生産性のある施策としては、ベリーベストでなく現状と比較してベターなものを創り出すための制度改革を考えていかねばならない。
○これまで日本でがんばって学術誌を刊行してきたところの新しい取組をしっかり支援することで、いい方向にいくと考える。
○日本語で発信している日本の文化等に関わる研究成果の発信について、従来行われてきた成果の蓄積・発信が抑制されないよう注意する必要がある。
○JSTやNIIの支援の仕組みも合わせ、日本の国際情報発信戦略をつくる必要がある。
○日本だけで閉じた発想では限界があるため、編集機能の核の部分が日本の学術コミュニティを基盤としていれば助成対象としてよいのではないか。

5その他

○科研費の重要性を対外的に説明していく上で、種目数や構成は現状のままでよいのか、学術研究の在り方との関連で改善すべき点がないか、議論する必要がある。

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