第6期研究費部会(懇談会) 議事録

1.日時

平成24年5月23日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省16階特別会議室

3.議題

  1. 科学研究費助成事業(科研費)の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

平野部会長、深見部会長代理、佐藤委員、岡田委員、北岡委員、金田委員、小安委員、家委員

文部科学省

森本研究振興局担当審議官、渡邊学術研究助成課長、岸本学術研究助成課企画室長、他関係官

5.議事録

(1)本日の議事運営について

【平野部会長】
おはようございます。今日は朝早くからの会議にご出席いただきまして、ありがとうございます。
お断りをしなければならないのは、本来本日の会議は、第7回研究費部会としてご案内しておりましたが、残念ながら皆さん方の日程が十分合いませんで、出席人数が定数数に達しておりませんので、懇談会という形で始めさせていただきます。ただ、議事の公開、会議資料、議事録の公開については通常の部会と同様の扱いとなりますので、皆さんには最後の取りまとめに持っていけるようにご発言いただきたいと思っております。それから、あらかじめ事務局にお願いしまして、今日ご欠席の委員の方でご意見がありましたら、ぜひお寄せいただきたいというお願いをし、ご意見をいただいておりますので、それも参考にしながら今日は進めていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
それでは、議事に入りたいと思います。

(2)科学研究費助成事業(科研費)の在り方について

事務局より、資料2-1「これまでの審議を踏まえた論点整理(たたき台)」及び資料2-2「これまでの主な御意見(第4回~第6回)」に基づき説明があった後、審議が行われた。

【平野部会長】
どうもありがとうございました。これまでの委員の方々からのご発言を含めて整理をしてもらっております。特に後のほうは前回の部会で時間がなくて、十分議論を尽くしていなかったわけですが、前半部分は、科研費のあり方を定めるという点においては重要ですので、まず資料2-1の1ページ「研究力強化のための研究環境の整備」のところから議論を始めていきたいと思います。

ご自由に意見をいただきたいと思いますが、この部分は大学等における研究力強化のためにどのような支援が必要であるか、それから、基盤的な研究環境の整備をどのように図るべきかが重要なところです。その点について自由にご議論いただければと思います。よろしくお願いします。

【岡田委員】
私の理解が間違っていると困るのですが、大学の研究環境の整備に科学研究費も使うということについての是非ですが、既に今まで間接経費というのが一方ではあって、それが大学での運営に使われている。その使い方は法人化した後でもあり大学での自主性に任されていると思います。それが科学研究費の使い方という中で、研究環境の整備が本来一番大きなものであったのではないかと思うのですが、そこをきっちり指導するというのはおかしいかもしれないけれども、しかし、そういうことをちゃんと見るということもないと、間接経費は大学内でいわばどんどん幅広く活用することが可能となっている一方で、かつ、さらに別途環境基盤整備のために何か措置が必要であるという議論には行かないのではないかと思います。
どこまで言えるかというのは別として、そこをきちんと考えていくことが必要かと思います。

【平野部会長】
ありがとうございます。今、岡田委員にご指摘いただいたところは、どう書くかということはありますが、おそらく「環境整備を図るべし」と言ったときに、かなりの方に同じ気持ちが出るかもしれませんので、そこを含めてそもそもの部分、それからどのように指導するか、あるいは別のやり方をその間接経費の中で入れるのかということも含めて、ご自由にご意見をいただければと思います。

【小安委員】
今の間接経費の問題に関してはそのとおりだと思うのですけれども、このときに教育研究環境の整備といったときには確かに間接経費が充てられてしかるべきだと思うのですが、例えば今3つ目の丸のところを見ていたんのですけれども、研究の芽を育てるという意味ではそれは間接経費ではないと思います。基盤的経費によって研究の芽が育てられて、その上に科研費が来るという構造であるべきだと思いますので、ここはきちんと言葉を使い分けて、書き分けたほうがいいのではないかと思います。

【深見部会長代理】
間接経費は非常に使い方が重要ですが、間接経費というのは大体大型予算をとっているところに付随してくるものですので、次のところに書いてありますが、基金化で9割の人が基金の対象になって、でも金額的には4割になっている。つまり1割の人が6割の配分をとっているという意味になるわけです。

そうしますと、ここからも言えることは、基盤的な経費というのは、ある意味どこの大学でもある一定の質を保証するために配分されるべきものであって、間接経費もきちんとそれをサポートするものではありますけれども、間接経費は配分の仕方がかなり偏っている。だから、そういう意味では基盤的経費という考え方と間接経費ということは、ある意味同じところもあるけれども、配分の仕方が違うということから、少し分けて考えなくてはいけないと思います。

【金田委員】
今までのご意見、基本的にはみな賛成なのですが、文言だけ読ませていただくと、1ページの上から4つ目の丸はご意見がそのまま読み取れると思うのですが、下から2つ目、5つ目の丸は、こういう表現になると、何か意味がわからないし、誤解される可能性もあるのではないかと思って、このあたりの表現は少し注意していただいたほうがいいのではないかと思います。

【平野部会長】
ありがとうございます。下から2番目のところは先生がおっしゃったとおりで、このまま行くと科研費を基盤的経費の一部と位置づけているかのように読まれる可能性が十分あるので、ここは言い回しをきちんと分けていかなければいけないと思っております。

重要なご意見がそのほかに岡田委員をはじめ出ているのは、そもそも論というわけにはいきませんが、間接経費をどのように研究環境整備に使っているか、使ったらいいのかということは、これはもう大学に任され、大学が責任を持って動いているのですが、そこが十分機能しているのであろうか(自分たちの科研費をもとにした研究基盤の整備のために)というところも、たぶんここの裏にある疑問だろうと思います。

私も、間接経費がつくことを前から望んでおりましたが、大変ありがたいことでありまして、そのときに大学全体の研究環境をどうするのかということと、そこの研究費を努力してとった学部及び研究室、学科もそうですが、そこも含めて、まず地元、全体。もっと言いますと、ご存じのように技術職員の方というのは非常に重要な役割を果たしたにもかかわらず、研究装置を自作する基盤環境も非常に弱化してきた、悪くなってきたということで、全学としてはそこも支援したいというようなことで動きましたけれども、まあ、これはご存じのように大変難しい配分の割合の問題があります。

今、各大学がどのようにやっているのか全部はわかりませんけれども、環境整備という言い方には注意しないと、厳しいとはいえ本来きちんと運営費交付金の中で基盤経費として確保すべきところと、科研費を持ってくるところの位置づけを混同するおそれがあるかと思いますので、最後にまとめるときは、注意していかなければいけないと思います。

【小安委員】
もう一つ、4つ目の丸のところで若干気になったのは、基盤的経費が削減されていることによる現状のところに、「大学院生の指導等の研究人材養成に支障が生じている」と書かれていますけれども、現実そうだとは思うのですが、これをそのまま読むと、要するに大学院生の指導等の人材養成というのを科研費で行うべきものというふうに読めてしまいます。やはりこれも本来は大学として基盤的経費できちんと養成するべきものではないかと思います。ここまですべて科研費で行うように読めるのはあまりよくないのではないかと感じます。

【佐藤委員】
今のご意見に関連して、少し発展的なことですけれども、ここで我々が考えている研究経費と、教育プログラムで随分いろいろな予算がつけられていて、ときにその境目がわからないところがあります。それは文部科学省関係だけでなく、例えば厚労科研費とか、環境省の研究費とか、各省のいろいろな研究費との関係もあります。ここの研究費の存在意義は少し際立てて書いておかないと、それが混同されてしまって弱みになるのではないかと思います。

ただ、これはなかなか答えが難しくて、マルチファンディングというか、いろいろなところからリソースがあっていいじゃないかという意見もあり得るわけですけれども、我々が考えている研究費の主たる目的は何であるかということは、旗印としてはきちんと整理がされているほうがよいと思います。

【平野部会長】
ありがとうございます。特に今おっしゃったあたり、この研究費のあり方というのは重要でありまして、1ページの一番上の丸あたりでまずきちんと言いながら、その次にかみ砕くという段取りでいかなければならないと思います。

【家委員】
先ほどのポイント、4つ目の丸のところですけれども、一応ここでは基盤的経費が削減されていることによりこういう支障が生じているという書き方をされているので、そこはそれでいいです。それを科研費が肩代わりするような読まれ方をすると非常にまずいと思いますが。

それから、先ほどから出ている「研究環境の整備」という言葉ですが、人によって随分とらえ方が違うと思います。また、分野によっても随分違うと思います。例えば研究所のいろいろな事務をこなしてくれるサポート人員の人件費をイメージする方もおられるでしょうし、一方では例えば研究環境基盤部会では、大型のマスタープランという非常に大きなことをやっています。そういう意味の研究環境基盤もあるわけです。ですから、それはもう非常に小さいところから大きいところまでいろいろなことがあるので、何かうまい言葉の使い分けによってメリハリがつけられたらよいかと思うのですが。

【北岡委員】
今までのご議論を聞いていますと、予算の配分の論理を我々研究者側からいろいろ注文をつけるというか、デュアル・サポートという言葉で表されているように言われていますが、配分する側の論理からいきますと、要するに今までの科研費については全体を2,600億へ増やして、かつ間接経費もすべての科研費について措置するということを踏まえて、一方でデュアル・サポート、基盤的経費については、以前は、効率化係数とされていた運営費交付金の1パーセント縮減分は、大学改革強化推進事業経費として運用することになり、大学の工夫に基づいてそれを措置する。だから、基盤的な経費も含めてそういうお金の配分の論理、研究者側からの論理と配分する側の論理がある中でここで言うべきことは、間接経費も含めた科研費の重要性をどういう形でアピールしていくのかというのも重要なことです。

国、社会の中での学術研究という観点からいきますと、やはり国の財政状況を踏まえた上で、一体公的資金を受ける側として、もちろんそれは国の学術研究、大学というのは国の礎ですから、それは公的資金を投入することは当然だけれども、その当然の配分の論理として、本当にデュアル・サポートだけを常に研究者側の論理として要求していいのかどうかという大学側の工夫、あるいは受ける側も社会的な責任の自覚とか、最後のほうの2番目に書いていますけれども、社会の中で学術を振興していくことの意義や重要性をわかりやすく説明していく中で、いかに公的支援が重要であるかということを認知していただく努力も、各研究者レベルでもそうでしょうけれども、含めた上で、かつ科研費の重要性をアピールしていく視点も大事ではないか。今までの話は受ける側の論理であって、配分する、あるいは国の財政状況を踏まえた上でどういう形でより効率的に、大学、研究者、あるいは研究チームをサポートしていくのかという考え方もあるわけです。

そういう点を、先ほど金田先生がおっしゃったようにデュアル・サポート、特に研究面において基盤的な環境整備を支援するための経費という形で十把ひとからげにしてしまうと区分けができていないので、科研費についてはこういうことをサポートする、一方、基盤的研究については、国の施策としては運営費交付金をオーバーヘッドした上で、大学の改革に向けた、そういう方向について措置していくという明らかなメッセージが出ています。また、人材育成についても博士リーディング・プログラムなど大学院教育の改革に向けた予算措置を国側からしていて、それらに対する予算の区分けというのを行政側でもされているわけですから、受ける側もそういう意識がきちんと明確になるような書き方にしたほうがいいのではないかというのが私の意見です。

【家委員】
4つ目の丸のところは、「基盤的な研究設備の購入等」と書くと、研究現場にあまりなじみのない人には、競争もしないで設備が欲しい、買いたいと言っているのかと取られるかもしれないですが、実は購入というのは、本当に研究環境基盤として必要なのは、新規購入よりはむしろ継続的な更新とか維持、リプレースメントなのです。そういうニュアンスが少し伝わるようにしたらよいかと思います。

【平野部会長】
わかりました。この部分は、次の段階で文章として、皆さんにご発言いただいたように、そこで手当てしてあるならいいねというふうに、どちらにもとられないように、どちらからも同じように手当てしているととられたら全部ゼロになりますから、ここでの科研費が持つ位置づけをきちんと明確に言いながら、文章として提示をするように努めていきたいと思います。

【北岡委員】
最後から2番目の丸のところで、いわゆる研究者の意識の高揚ということが書かれていますが、その中で、「一方、大学等における研究支援や研究成果について、社会と十分連携できていないという指摘」というのは誰が指摘しているのでしょうか。どういう点で社会と十分な連携ができていないのかが曖昧になっています。さらにこれを踏まえて、我々研究配分予算を受ける側が社会的責任、あるいは国際的発信力を意識した活動を行うことが求められていると書いてあるのですが、研究者が十分に能力が発揮できていないというのは、論文数、あるいは被引用数がだんだん低下しているということのエビデンスがあると思いますが、社会と十分に連携できていないという指摘は、どこからのリクエストでしょうか。

【岸本企画室長】
これは何の会議でどなたがということではないのですが、様々な会議において、科研費による成果について世の中に知られていないとか、前回、谷口委員からのご意見として、課題設定のところから社会的な課題として何があって、それに対してどのような解や方向性を提示していくのかということがそもそも学術研究の本質的な責務であるが、今そこがあまりうまくいっていないという問題意識が提示されていましたので、そういったことを踏まえて、事務局として整理してこういう形で書かせていただいたということでございます。

【平野部会長】
時にこれを聞くと非常にがっかりし、反省もしなきゃということがままある、曖昧と言えば曖昧なのですが、よく言われている言葉であります。私自身の個人の考えは、社会すべての現在の動きに基礎研究というのは振られるべきではないと。何年か後にそれが社会の構築に重要な働きをするのが基礎研究であると信じてきましたけれども、そればかりをうたうわけにもいかない、ということであります。

特に東日本大震災後、このような意見が強くなっていることも事実だろうと思いますが、一般的に言われておることでもあるかと。難しいですが、自虐的にはならないような、しかし、社会に向けてきちっと説得力があるような書き回しをしていかなければいけないと思います。

そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、2番目の「基金化の拡大」について、ご意見をいただこうと思います。これまで関係者のご努力で基金化が進められてきました。これはその前に年度渡りができるという改革から始まって、科研費の使い勝手の最後、預金残高ゼロというところまでいく難しさからすると、責任を持ってきちんと次の計画を進めていくという点では非常に改善が大きいと思いますし、同時に基金化をしてくださったというのは大きなことだと思います。他方、研究費の管理が煩雑にならないように留意していただきたいという要望も、当然研究現場からは来ております。

ここまで努力してくださったところ、ぜひ科研費の不適切な使用のないように、本当は1行書き加えたいのでありますが、留意をすべきだと思いながら、ご意見を賜りたいと思います。

【家委員】
単純な質問ですけれども、下から2つ目の丸の「研究成果創出上の効果が2~3割あった」というのはどういうデータなのでしょうか。

【岸本企画室長】
昨年の秋ごろに最先端研究開発支援プログラムの中心研究者にアンケート調査をさせていただいておりまして、例えば当初予定していた時期よりも数カ月、すなわち2~3割、早く期待していた研究成果が得られたとか、あるいは研究費の節約効果という意味で2~3割効果があったとか、一義的なものではないのですが、様々な意味で数値化するとすればどうかということでアンケート調査をいたしましたところ、効果が2~3割あったというご意見が一番多かったということでございます。

【小安委員】
一番最後とその前の丸ですけれども、これは必要な金額をすべて積まなくても柔軟に基金を使用することによって、種目を広げられるのではないかというのはすごく重要なことをおっしゃっている。これが実現すると非常にすばらしいと思うのです。ただ、どのぐらいの基金があれば回るのかというのは計算してみないとわからないと思うのですが、これを進めていただくと本当に科学研究費全体が非常に有効に使えるようになるのではないかと思いますので、ぜひ実現していただきたいと思います。

【金田委員】
単純な質問で恐縮ですが、2ページの「基金化の拡大」の2つ目の丸ですが、500万円を上限として基金化の対象とされると、研究現場から性格の異なる経費が混在するようになり煩雑という部分と、2ページの一番下の丸ですが、500万円を上限とした基金では効果が不十分という部分について少し理解しにくいので、具体的に説明をしていただけたらありがたいのですが。

【岸本企画室長】
まず、1つ目のご質問ですけれども、性格の異なるというのはお金に色がついているわけではないのですが、基金分の総額が500万円ですと、各年度に必要な研究費に按分して実務的に基金分と補助金分というのを分けて使うことになっておりますので、当該年度の研究費で余った分、使った分は優先的に補助金として使ったというふうに考えて、なるべく基金分を余らせてそれを繰り越すのは自由にできるので、基金分を繰り越すという考え方になるわけです。しかしその際、今どこまで補助金分を使っていて、それは基金分を超えて残っているかどうかというような研究管理が、すべて基金として管理するよりはやはり少し煩雑になってしまう。補助金分に食い込むほど残っているとすれば、残った補助金分については繰り越し手続が必要になりますので、補助金分は使っておかなければならないとか、そういうことを意識して研究活動を進めていただくというのは、研究者側にとっては少し煩雑と言えるのではないかという研究現場からのご意見が実際にございます。

それから、2つ目の点でございますけれども、総額500万円を上限というのが、基金化をしてきたときに、最初の3種目は総額500万円の種目ということで基金化いたしまして、今年度基金化した2種目に関しましても、総額500万円までというところは外せずに基金化したことがございます。そのやり方を踏襲していくとすれば、今後残っている種目は、500万円までという上限と比べますと、研究費の総額がかなり大きいということになります。言い方は少し悪いかもしれませんが、500万円を自由に繰り越したり、前倒しできたとしても、総額に対するインパクトという意味ではあまり意味がないといいますか、柔軟に研究費を前倒し、後倒しして使っていきたいという基金化の意義を考えますと、使い勝手の向上ということがそれほど大きく期待できないのではないかということでございます。

【金田委員】
私はあまり多額の金額を使ったことがないので、少し面食らっているのですが、ということは置いておきまして、今のお話を聞いていると、何か当初計画に多少問題がありそうにも聞こえてしまう部分があると思うのですが、計画どおり使えなかったというのは、どこか計画に問題があるということにはならないのでしょうか。

【家委員】
これのメリットを非常に感じる分野から申し上げますと、例えば大型機器を購入する場合、特に海外から購入する場合なので、今までの制度ですと年度末に購入できるかどうかというのがものすごく重要で、そこにものすごく神経を使って、本当に欲しいものも年度末に入らないから泣く泣くあきらめるというようなことがあったのです。全体がちゃんと基金化されますと、そういうことを心配しなくてよくなるというのが1つ非常に大きなメリットだと思っています。私から質問ですが、この全額を積まなくてもいいというのは実現に近づくという意味でいい制度だと思うのですが、例えて言えばマンションの水道の貯水タンクをどのぐらいの大きさにしておけば何とか断水せずに済むかという話だと思うのですが、将来的にポンプが壊れて断水が起こるようなことが、そういう事態が予想されるときに、新規採択件数にものすごく影響が及ぶということはないかというのが少し心配です。また、全体を基金化する場合と、今考えていらっしゃる方式の場合と、タンクの大きさで概念的にどのぐらい、何分の1ぐらいで済むような感じ方なのでしょうか。

【平野部会長】
私自身、先ほどお話ししたように基金化は大変いい制度、努力して実現してくださったと思っておりますが、もう一つは2ページの最後にありますように、大型の種目については500万円が全体の計画にどれだけの意味があるのかというのが、事務局も含めた感覚であります。また、最後の丸のところは小安委員も言われたようにこれがうまく動くことができれば、非常にいい、現実にこれ以上の基金化の金額が積めなくても当座はやっていけるのではないかということからするといい部分でありながら、家委員が心配をされたようにどのぐらい現実として可能性があろうかというご質問ですが、事務局お答えできますか。答えられる範囲で。

【渡邊学術研究助成課長】
まず、23年度に3種目を基金化いたしまして、それは後年度分まで全額基金にするということでスタートしたわけです。その際には初年度分と後年度分というのが大体1対1の割合でした。ですから、同じように考えると、初年度分というか、ある年に必要な分とそれ以外の分が1対1ですから、今2,300億ぐらい配分しているわけですので、基金のタンクに2,300億ぐらいないとできないということでございます。今年度末に基金に残るお金は多分600億ぐらいだと思いますので、同じ考えでいくと、あと1,000何百億予算を積まないと完全な基金化はできないという形になります。

一方、24年度からは一部基金化をいたしましたが、それですともう少し安く済むわけですが、5,000万円とか5億円というような研究費に対して500万円だけ基金にするというのは効果がないので、ある程度3割ぐらいを基金にするとなれば、2,000何百億まで行かなくても、あと1,000億ぐらいあればいいとかいうような、大ざっぱに言うとそういう感じになりますが、予算がますます厳しくなっていく中で1,000億とか、何百億ふやしていくというのは非常に難しいと思います。

あとはタンクにどのぐらいあればいいかというのは、事務局の考えでは、結局前倒しでフルに対応できるということを考えた場合、先ほど言いましたように毎年2,300億ぐらい助成しているわけですから、それの研究者の方がどのぐらい前倒ししたいとおっしゃってくるか。600億ですと3割程度の前倒しに対応できるという計算です。一度前倒しすると、次は後年度に配分しなくていいということなので、一度タンクが空になっても、逆に言えばその分は翌年度埋まるので、瞬間風速的にどのぐらいあればいいかということになります。まだ基金が始まったばかりなので、前倒しというのはそれほど多くなく、しかも基盤研究Cなど配分額が小さい種目でスタートしたばかりなので、それほど多くないのですが、大ざっぱに言って、毎年助成規模の3割ぐらい確保できていれば当面大丈夫なのではないかと。

あと、断水になるのではないかということですが、基金の状況については毎年国会のほうに報告することになっていますので、そのタンクの容量が大き過ぎるのではないかとか。財政難の際は大き過ぎるから少しそこから出して、毎年の予算を節約しなさいというようなことは将来的には起こり得るかもしれません。様々なメリット、デメリットがあるわけですけれども、以上のように考えているところでございます。

【家委員】
今の試算は、例えば大型の研究種目について3割を基金化することを前提にした話ですか。

【渡邊学術研究助成課長】
2,000億と言いましたのは全額を基金化する場合です。

【家委員】
10割基金化ですね。今の受ける側からすると、全部基金化されていても現実にはうまくダイナミックに回していくと、多分2,000億は必要ないだろうと。法的に可能かどうかはわかりませんが、今の試算の多分3割ぐらい、600億ぐらいあれば回るだろうというのは私もそういう気がするのですが、その際に制度として基金の分と補助金の分が並存するのでしょうか。

【渡邊学術研究助成課長】
それは考えをうまく変えられれば、お金はすべて基金、一度基金に入ったものから助成されるという考えですので、すべて複数年度にわたって使えることとなり、単年度の補助金というのは一切なくなるということです。そういう考えができればベストではないかということで、基金創設のときの考え方とは少し違う考え方をとらなければなりませんけれども、こういった財政難というようないろいろなことを考えれば、そういう考え方が合理的なのではないかということでございます。

【平野部会長】
今もずっと説明がありましたように、特に大型の科研費の部分が残ってくるわけで、金額的には非常に大きいものですから、そこの部分の研究をより進めるという意味でも、事務局のほうで提案いただいたものを何らかの形でうまく弾力的な方法として、将来はすべて正式な基金として動くとしても、当面はそのような仕組みを構築して動かしていただけるだけでも、研究としてはかなり進むのではないかと考えます。家委員のお話にもありましたように、ある設備を一度に入れなければ初期の研究から始められないというのが多いということがありますので、その部分に対応ができるというのは非常に大きいと私は思います。1年半ぐらい待たなければいけないとなりますと、予備的な実験で1年半進んでしまいますので、そのあたりがうまく使えればよいかと期待しております。

【佐藤委員】
基金の拡大というのは大変いいことですし、そのための現実的な工夫もいいと思いますけれども、ここの文章はどちらかというとこのコミュニティの中の共通語で書かれているので、なぜいいかというのはかなり省略されています。この予算化を頑張っていくのは結構難しい勝負だと思いますから、おまとめになるときにはこのメリットについてもう一度きちんと整理して書いておかれるほうがいいと思います。

【平野部会長】
ありがとうございます。先ほど質問がありました、2割から3割ぐらいの研究成果創出上の成果というのは事実でありますけれども、政治家の人にもわかるように文章の言い回しを考える必要があるかと思います。私もあちこち政治家の方をお訪ねして説明をしました。いろいろと説明をいたしましたけれども、様々なご意見をいただきます。

ですから、最近ずっと文部科学省の担当にて、科研費がもとになってどのようにアウトプットが社会にインパクトを与えたかということをきちんとまとめてくれておりますが、そのようなデータとともに、基金化されるとこういうメリットが出つつある、だからもっとふやしたいんだというのをデータに基づいて、政治家や財務省に理解をいただけるように、財務省の担当の方は非常によくご存じですが、周りの人に理解をいただけるように記述をご検討いただければと思います。よい言い回しがあったらぜひ事務局へお寄せいただければと思います。何かほかにありますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、次に3番目、これ以下は今までもあまり十分に議論がなかったものですから、今日詰めてご議論いただければと思います。「新学術領域研究の見直しについて」ということであります。ここにありますように、4ページに表としてまとめられております。主に2つ対応、議論すべきところがあるのですが、メリット、デメリットを含めて、ここの部分を見ていただきながらご議論いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

【北岡委員】
まず、支援方法に1、2と書かれている中の2なのですが、科研費から若手研究者等の人件費支出可能としということで、これはこういう改革をしようということですけれども、現実に今年度から新学術領域研究で特任教員等を雇えるようになっています。だから、もう既に若手教員は新学術の中で人件費を措置できるというふうに今年度から変わったと思うのですがいかがでしょうか。

【小安委員】
代表者の人件費は出せないということですよね。

【岡本企画室長補佐】
代表者と分担者の給与は出せないので、それ以外の若い方々であれば出すことができます。

【北岡委員】
でも、これは結局若手研究者等の人件費ということは現実にはできているということですか。

【岡本企画室長補佐】
代表者と分担者以外の若手研究者等の人件費であれば出すことができるということです。

【北岡委員】
若手等といいますと。

【平野部会長】
そこの記述を加えておいていただければと思います。このままですともうできているのではないか、と解釈されることもありますので。

【小安委員】
この部分はどう使われるかということがわからないところがたくさんあって、ここにもデメリットのところに書いてありますけれども、これから先は原則科研費で教員を採用しなさいということになったときに、大学としては非常に困ったことになると思います。ですから、確かに若手のPIがそういう形で活動できるということで私はメリットがあると思うのですが、逆の立場から見たときに、ああ、じゃあもう教員は科研費とった人だけでやってくださいということになったときには、非常に困ったことになるのではないかと心配しています。

【平野部会長】
ご指摘のとおりで、私も心配しておりました。最近、いいことでもありますが、非常に多くの種類の教員の方が増えてまいります。その方々、今後大学が中教審で言う機能分化ということで研究への重点化、あるいは教育への重点化等々を進めていくときに、ある部分については教員をそういう形で採用するということが継続的に起こる心配もあることを危惧しております。ある割合は、私は弾力的に集中して動かすときには必要だろうと思いながら、個人的には懸念しておるところもあります。

【深見部会長代理】
同じように心配という点で、今若手だけのことを言っているのですけれども、科研費全体が、アメリカなどでやっているような形でいずれは科研費全体も、金額はそれこそ大きくなるかもしれないけれども、日本の研究環境が、実際に大学から雇われるというような形ではなく研究費をとった人が自分の給料も出すという方向に向かっていくことを文科省が考えているのか、そういうことを少し私は感じました。

【平野部会長】
文部科学省自身は、それは考えていないのですよね。

【渡邊学術研究助成課長】
なかなか表現が不十分なところもありますが、どちらかというとこれは新学術領域研究の新たな形ということで、新学術領域、グループ型研究、その中で人的集約を図るというようなイメージで、そのために人件費を措置することも考えられるのではないか。要するに、今ですといろいろな大学の先生と共同というか、グループ研究をやりますと。それはいろいろな大学で人件費が措置されている、その人たちとグループでやるということですけれども、我が大学にあと2人ぐらい集めるということによって、この新学術領域がたとえ5年で終わったとしても、我が大学に少し目に見える固まりができる。そうなれば、またそこから発展していくのではないかということです。

WPIはかなり人件費をつけて一度に人を集めるということですけれども、そういった人的集約を図ることが新学術領域のような中で重要であるということであれば、そのために今はお金が使えないのですが、そのためにお金を使えるようにする。ただし、今までいた人のお給料をそちらに変えるというのでは全然集約にならないので、そこはアドオンでやる場合に限るとか、あるいは5年終わってそれでまた給料が切れるというのでは困るので、例えば機関とのマッチングファンドのような形にして半々ずつ出す、そのぐらいの機関の意気込みがあれば5年終わってもまた出してくれるだろうとか、その辺は工夫だと思います。ねらいとしては、人的集約を図るというのはこの新学術領域の中でどうだろうかということでございます。

【平野部会長】
ありがとうございます。今のような課長からの付加的な説明は大変重要なところだと思っております。ぜひこういう形で行くとしても、大学の経営のほうからは間違いのないようにしてもらいたいと思いますが、この件、もう少しご意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【岡田委員】
質問ですが、今課長がおっしゃったのは、科研費の申請者が自分の部分を払うかどうかということは明確ではないのでしょうか。自分で何か金を持って、今はどこかに所属していないけれども、例えばポスドクであるという人が、いずれ期間が切れるというときに何かそういうことを申請して通れば、自分の分は持っているからどこに行っても、オファーがあるところに行く、いろいろな大学からですね。そこに行って、自分の金は自分で出すからやるということではないのですか。その辺が、先ほどの質問も含めてちょっと明確でないような気がします。そこのところは随分システムが変わってしまうという気がします。やり方によっては、これまでとは随分違うことになるのではないかと。

【家委員】
これは新学術の継続支援に限定した話ですよね。そう理解してよろしいですか。

【岡田委員】
でも、それだと既に所属のある人が新学術は申請しているわけですよね。

【家委員】
だから、例えばそこで育ったポスドクのような人をあるエクストラの何年間かはこれで人件費を確保する、ということでしょうか。

【渡邊学術研究助成課長】
継続支援、新学術領域の成果を継続させるということが1つの大きなテーマだったと思っていますが、そのときに例えば再申請をさせではどうかというような様々なご意見もあったと思います。下のほうの人件費のところは、継続というか、継続性を持たせるために、例えばまずある領域研究の案が通ったときに、そこにポスドクを雇いますということは今でもできますけれども、それだと人的集約にならないので、計画研究が通った後で大学と相談して、もう1人准教授とか、助教とか、そういうきちんとしたポストをつけてほしい。それは大学がつけてくれればいいわけですけれども、そう簡単にはいかないだろうということで、そこに科研費からもお金を出す。先ほどのマッチングファンドみたいな形でもいいと思いますけれども、そういうやり方であれば大学としても、新学術で採択されて非常にいいので、応援しましょうということもあるだろう。

それによって、大学としてもその分野に人的集約が図られて強みになる、そういう大学の判断もあれば少し人件費を出すということで、人的な集約が促進される。それによって、新学術領域というお金を出していたことの効果が5年後になってもなくならずに発展していくのではないか、そのようなイメージでございます。

【小安委員】
今の問題に直接関係するわけではないのですが、継続的に支援するという意味でこの丸1と丸2と2つ出されたと思うのですが、丸1のほうに関して、「領域の再申請も可能であることを明確化する」という、別にこういうことを言う必要はなくて、今、皆さんが応募されるときに新規なもの、前と違うものでなければいけないという非常に強い強迫観念を持っているようなイメージを私は持っていまして、そうでなくて重要な領域だと感じたらそれに応募するという形であれば、あとは審査する、判断する側の問題だと思うのです。審査する側に、前と同じような領域だからという理由で拒絶することをやめなさいという指示をすれば、私はそれでいいような気がします。ですから、かえってこういう書き方をするのは少し違和感を感じます。

【平野部会長】
今の小安委員のご発言については、ご存じのように前も議論がありまして、審査のところは当然ですが、同時に申請する、応募する側にもそれを理解していただくというふうに、資料のほうで事務局からも対応していただいておるところであります。そうでしたよね。

【岸本企画室長】
はい。

【平野部会長】
説明をきちっと明確に、皆さんに誤解のないようにしてもらう。そのような対応をしていただいておりますので、そのことも含めて明確化するというふうに理解をしていただければよろしいのではないかなというように私は理解していますが、それでいいですね。

【岸本企画室長】
はい。公募要領等でもう少し書き方を工夫するということは前回までのご意見にございましたので、それは今年秋の公募要領のほうから早速反映していきたいと思っていますが、その他、括弧書きのところで書かせていただいておりますが、例えば前年度応募を認めるといった新しい支援策というのがあるかと考えております。新学術領域研究の趣旨をより明確化するだけではあえて書くほどのことでもないという小安委員のご意見のとおりですので、何かほかに考えるとすれば、前年度応募を認めることで少し早目に次のステージに入っていけるような支援方法もあるかなと考えております。

【佐藤委員】
平成20年度のことをよく知らないのですが、この新学術領域研究をつくったときにどう説明をしたのか。つまり、新領域を立ち上げるための領域をつくったのか、ある程度当初からいいものは継続していくという思想が入っていたのかというのが、私には知識としてないのですが、そのときの説明との関連で注意して記述をしなければいけないだろうという気がします。

【岸本企画室長】
当時の経緯については、前々回でしたか、甲斐委員や鈴木委員からもいろいろご説明をいただきましたが、やはりそれまでの特定領域研究というグループ型研究の中で、領域の固定化などのいろいろな問題が指摘されていたこともありまして、それと切り離すという方向性が強く打ち出されていたというのは事実でございます。

ただ、既存の領域の発展性のあるものを全く採択しないということではなかったのですが、少し新しい方向性というのが強調され過ぎたことによって、現在のように、応募する研究者の側にも、審査される先生方のほうにも新規性がないとちょっと採択しずらいという意識があるというのは事実でございますので、それを微修正していくというのが必要ではないかと考えております。

【平野部会長】
この点については前もご発言、経過の説明がありましたが、おそらく今、室長が説明されたとおりで、初期にもそれは当然含んでおりましたけれども、名前が新学術なものですから、同じ仕事の分野でやられていい成果を出されておるので、もう一度いいと思っても、本人も何か新しいものを入れなければいけないのではないかと思う、審査員はよりもう少しその意識が強いということで、せっかく継続すべきところが少し無理にしてしまっているかなとも思います。これは現実の流れでありますので、そういう意味では今度対応もしてくれるように、そういうことはいいものでまた続いてというのはヘジテートしなくていいですよと、何かそれが読み取れるようなことがここに出れば、当初の考え方も理解されると思います。ただ、あまりにもそれが囲い込みになると、また昔のようなところに行きますので、ここは審査員を含めてきちっとした理解が必要である、という理解をしておりますが。

【深見部会長代理】
私は生物系ですが、どの分野においてもいろいろな科学が発展する速度というのは非常に速いですので、私は安易に継続とか再申請というようなことをするのは否定的です。再申請ですと本当に領域メンバーも固定です。(これは固定しなければいけないということもないのかもしれませんけれども)。どんな領域でも、5年たったら古くなったところは新しくするメンバーを入れたり、すごく変わってくると思うんです。継続であっても同じようにとどまっているわけはありませんので、絶対にいろいろな形で発展的な継続という形になって、どうしてもメンバーの入れかえにしろ、方向性も、同じ領域であっても取捨選択が必要だと思うんです。

そういう意味では、単に再申請を認めるというような形は、本当に新しい芽をそぐということもありますし、やはり望ましくない。ですから、新しい応募として、このようなところが発展して、こういうところの要素では非常にやってきたというところを強調していただいて、普通に審査していただく。あまり複雑なシステムをつくるよりも、そういう形できちっと、ある意味取捨選択した形で発展させていく原則というものを貫くべきなのではないかなと思います。

【小安委員】
私もそれに賛成です。その意味で言うと、前年度応募はやるべきではないと思います。前年度応募ということは、通った場合には廃止になるわけですよね。ということはそこで人を入れかえようとすると、それまでの人はみな廃止して別の人を組み入れるということになると、現実問題としてなかなか難しい問題があって、そうするとずっと固定化するおそれがあると思うのです。ですから、前年度応募はやらないほうがいいのではないかと私は思います。

【平野部会長】
重要なご指摘だと思います。特に心配をしますのは、先ほども言いましたように、この経緯は、あまりにも固定化してしまわないように、村をつくらないように、かつ研究が深化・発展するようなものを支援していきたいというのが本旨であります。そういう意味からしますと、継続に近い内容での申請をするとしても、その研究が深化、さらに新展開できることであるというのがわかるようにすることと、今の前年度の応募採択はもう少し議論をしなければいけませんが、前倒しをするかどうかということも含めてでありますけれども、特に似た代表者、あるいは代表者がかわっても、似たようなところの形態から出るにしても、研究は当然深化しなければいけませんし、新展開が期待できるものであるというようなことは、応募者及び審査者にも理解を強めておくということが必要ではないかと思います。

そうしないと、深見委員がご指摘のように、また固定化するおそれもある、新しい領域の申請をする人が圧迫されるということもあると思っておりますので、ここは説明の仕方と、前も議論がありましたように、審査者への理解度を高めるということの両面が必要かなと思います。特に今ご指摘があった、そういうことを踏まえての前年度応募についてはどうお考えか、ここでちょっと聞いておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【家委員】
私も単純に反対です。

【深見部会長代理】
私も強く反対します。

【平野部会長】
わかりました。多数決をとるわけじゃありませんけれども、多分ご心配は同じようにあるかと思います。

【深見部会長代理】
もちろん特別推進研究で前年度応募をやっていますけれども、小安先生がおっしゃいましたが、本来完結しなくてはいけないところはありますし、あまりシステムを複雑にしないことが私は一番いいと思います。特別推進研究はある意味個人のものですけれども、このような新領域の大きな領域でいろいろなことを動かすときには、システムはきちっとシンプルな形でわかりやすく、やるべきことはやるというほうが成果も出ると私は思っています。

【金田委員】
今の点で、全く文系の立場から少しだけつけ加えさせていただきますけれども、同じように反対なのですが、文系の場合には、何かちょっとだけ口をつけて、それを熟成せずにやめるという研究というのは百害あって一利なしなのです。ですから、やはりきちっと時間をかけて熟成するというところまで完結しないといけませんので、文系の立場から言ってもそうです。

【平野部会長】
ということは、前年度の前倒しはやめて、しかし深化、新展開が見込める部分についてはぜひ見ていただきたいと、そういうご意見でよろしいですか。

【金田委員】
そうです。

【平野部会長】
わかりました。

【北岡委員】
そうすると、もともとこの趣旨が5年間の研究期間でより発展したものをさらに延ばしたいということで話が始まっているはずで、確かに前年度申請というのは特別推進研究で認められていますけれども、実際運用していくと非常に複雑で大変だという実例があるでしょう。でも、新学術で育まれた研究をいかに強いところを強くしていくかということの工夫はする必要があって、そういう意味では研究進捗評価をやることによって、いわゆる計画研究の中から特出しをして、特に評価のときにA++がついたものについては、研究進捗評価でこういう評価を受けたという、次の申請にそこを特出しして、次に生かせるようなことでそこを伸ばしていく。領域丸抱えで次に再申請を認めていくという方向ではなくて、評価のときに、計画研究の中で特に優れたものについては評価点を踏まえた上で、次の時期の申請にそれを生かせるというような形の工夫が要るということではないでしょうか。

【平野部会長】
ありがとうございます。皆さん、今日ここにお見えの方のほとんどが、安易とは言いませんけれども前倒し的な部分はかなり抑えるべきではないか。しかし、その研究がさらに深化、新展開が見込めるということが明らかに申請者のほうから出て審査員が認める場合には、それは継続、継続とは言いがたいのですが、同じ組織かどうかは別にして、進展を図るという意味で続けることも可能であるというようなところではないかと思いますので、ここについてはまたその線でまとめていきたいと思います。

【岡田委員】
まさに私も今のご意見に賛成ですけれども、特に課長をはじめ心配されているようなポイントというのは、むしろこの新学術領域の選考委員会のほうに選考会といいますか、選考される委員会のメンバーのオリエンテーションというか、説明のところでこういう議論があったというのがちゃんと伝われば、かなり変わると思うのです。

実は、私も新学術が始まった初期のときに2年間委員をしたことがあって、2年目は委員長もやりました。もちろんこういう制度が新しくできたという説明は受けたのですが、制度を創設した思いというか、あるいはこういう場で議論されている内容というのが必ずしも委員の方々に伝わっていなかったと思います。委員が1年ごとに半数ずつ変わっていくような制度での中でも、毎回それをちゃんとやっていただくという仕組みをきちんとつくっていただければ随分変わるのではないかと思います。

【平野部会長】
ありがとうございます。これは事務局から、前もご理解いただいていますが、さらに審査会のほうにも、今の委員の方々のご意見をお伝えいただくというふうで、基本的な線は先ほどお話ししたとおりでまとめていきたいと思っております。あと、人件費も先ほどの議論のとおりであります。

もう一つは、重複応募についてであります。ここで資料を出していただいているのは、1、2という形で、メリット、デメリットを含めて出して整理していただいておりますが、ここで皆さんのご意見をちょっとお聞きして整理に向けたいと思います。

【深見部会長代理】
すみません。そもそも論ですが、前は課題の応募も制限なく複数で応募していたし、受給も制限がなかった。そこの反省から今回いろいろな人にあげたほうがいいという形で今のシステムになったと思います。こっち側からこっち側に大きく振り子が動いて、少し真ん中に戻そうかというようなところで、現在この見直しが始まったと思うのです。

そういうことを考えますと、丸2は前のところとどのように変わっているのか、前と全く一緒じゃないかと思いますので、もし丸2が前に戻るのではないよというところを説明していただきたいと思います。

【岸本企画室長】
前は特に制限はかけておりませんでしたので、もし戻すにしてもある程度、例えば2件とか3件とかという上限をつけることによって、前と全く同じということにはならないかと思うのですが、ただ、今までのグループの公募研究というものは複数の応募と採択ができていたということがございます。それによって、若手のいろいろな研究交流のチャンスがあって非常に伸びていたということがあって、それが新学術領域研究になったときに1つしか応募できない、そして採択されなかったとすれば、全く研究費がない状態で1年間をすごさなければならないというのは、若手の育成という面で少し厳し過ぎたのではないかという問題意識から、今回見直しをしていただきたいということでございます。全くもとに戻すというのがよろしくないということであれば、2件とか3件とか上限設定をすることで、複数受給を認めるという考え方もあるのではないかと考えております。

【小安委員】
このメリット、デメリットがいろいろ書いてありますが、私はこの理由づけが非常に問題があるような気がして、例えば「不合理な重複」と言いますけれども、例えば異なる領域に申請するときに全く同じテーマで申請することは普通あり得ないと思うんです。そういう意味で、重複というのはほとんど考えられないように感じられます。

もう一つ、「研究費の過度の集中」と言いますけれども、これは常にいろいろな審査会に行くと何が過度の集中なのかという議論がしばしば沸騰するのですが、これはもうここで何回も同じことを申し上げていますが、最先端プログラム中心研究者が何を応募してもいいとなった時点で意味がなくなっていると私は思っています。これは科研費の中だけで非常に厳しく言われているのですが、それ以外のプログラムとの間では、実際にe-Radはありますけれども、それによって審査のときに何か起こるかというとなかなか起こらないです。

今これは公募のことだけを話していますけれども、前回のこれまでの議論の中でも重複制限の厳格化ということに関して、自由なグループがつくれないでいるということが出ていまして、例えば基盤Sを持っている方は研究代表者になれない。そのときに例えば金額を減らしてでもその研究者には参加していただきたいという方がおそらくおられると思うのです。実際の審査を見ていますと、例えばCRESTをもらっている方は別に研究代表者になれるんです。ただ、皆さん配慮されていて、そのかわりこの方はほかに大型予算を持っていらっしゃるから配分する予算は計画研究代表者でもかなり抑えていますと、そういう説明をして申請されている。しかし、同じ科研費の枠組みの中の人だとそれすらできないというのが、これは逆に非常に不合理に思います。

そういう意味で言って、この公募の中に「不合理な重複」や「研究費の過度の集中」と書かれると、これでは理由にならないのではないかと私は思います。むしろたくさんとることによってほかの研究者の機会が奪われるという議論はあると思いますが、それは例えば1人の研究者が3件とったようなときには、デメリットとして他の方の採択の機会を奪うというのは事実だと思うのですが、それは不合理な研究費の集中ではないのではないかと。このあたりの書き方が私は気になります。

ですから、2つのことがあって、そういうこととCRESTとかを持っている方が応募できるのであれば、別に基盤Sを持っている方が計画研究代表者で参加していただいて、しかし、金額は抑えるというような形でアイデアをインプットしていただくような機会があってもいいのではないかなと私は思います。

【平野部会長】
ここについては非常に難しい問題があります。なるだけ多くの方にチャンスがあるようにということと、非常に活発にやれる方については、分野も広く持って自分で責任を持って動ける方についてはそのチャンスを当然与えてもいいのではないかということがあります。

もう一つ、一方ではエフォートといいますか、トップだとしたら、その研究にそれだけ本当に責任を持って見られるかということもあります。以前ある研究の問題があったときに、もう少し言うと、JSTとJSPSの統合の話がずっと前にあったときに私もいろいろ説明に回ったことがあるのですが、その中で、あれだけ似たところからいろいろな金をもらって、本当にきちっと責任を持って研究を見て動いているのですかと審議委員から指摘されました。お金が何か残ってほかに行くということはありませんかというという方もかなりおられました。ポイントは、一つはいろいろな方が入れるようにしたいということ、もう一つは、一方では非常によくできる、責任を持って仕事をやれる人にはきちっとそういう対応をすべきだということ、もう一つは、エフォートの観点から1人がどれだけ本当にやれるかということ。

その3つが、今、小安委員が言われたその書き方じゃないかと思います。ここの説明は、おそらく社会の側から見ると何となく重複に見えて、不合理に見えたり、研究費がうまく使われていないと見えるがゆえにと言われるということについては、ここはもう少し書き方を整理していかなければいけないと思います。

【家委員】
今、部会長がおっしゃったことがまさに本質で、私もどちらがいいか判断しかねるのですが、ただ、丸2のほうのテクニカルな問題として、研究課題の不合理な重複があると判断される場合と書いてありますが、これは誰が判断するんですかというと、実際にこれはできないと思うんです。

【岸本企画室長】
これは結局複数採択された場合に、研究進行を実際にしている中で、例えば中間評価とかいったところで不合理な重複があるのではないかと判断された時点で打ち切る可能性がありますよということを事前に念押しをするということでございます。ただ、実際にはあまりそういうことは想定しにくいかと思います。

【家委員】
実際のシステム、ルール論として、これは書いていても適用はほとんど無理じゃないかと思いますし、またその後に「この際、交付申請辞退」というのは、辞退することを限りなく強制に近い要請をするのかという気がして、制度設計上は中途半端な気がしていて、もし制限をするなら件数を1件、あるいは2件というのがあるかもしれませんけれども、そういう機械的なことでやらないと、なかなかシステムとしては難しいという気がいたしました。

【渡邊学術研究助成課長】
補足させていただきますと、丸2のところですけれども、以前は無制限に採択もされていたと、例えば公募研究が3件採択され、4件採択されという人がおりました。それについて全くそのまま、交付決定をするのみで、その4件がどういう関係にあるのかというチェックを全くしていなかったということでした。

1つの考えとしては、例えば3件とか4件とか無制限に採択した場合に、本当に4件できますか、どのように分けてやりますかというのを改めて交付内定の際に問いかけて、応募者が4件も走らせるつもりで出したわけではなく2件ぐらい採択されることを望んで出したとすれば、2件は辞退しますとか、あるいは3件はこのような理由でできますということを改めて事務的にもきちんと挙げていただく。その判断というのはなかなか事務的にはつきませんが、例えば3件以上公募研究で取っておられるという方は関係の委員会のほうに後日回して、これでは重複ではないかというようなことであれば途中で打ち切ることもあり得ますよというような仕組みを、複数採択するのであれば、以前は複数採択して全くチェックなしでしたが、複数採択してもそのようなチェックをすることは可能かと思います。

【家委員】
お考えはよくわかりましたけれども、今のお話はある研究者が3件、4件重複してやって全部できますかという話で、それはそれで1つの観点だと思うのですが、今のは新学術領域なので、研究者個人だけの問題ではありません。ある領域でこの人の公募研究として領域に加わってもらいたいと思って採択を決めているわけなので、それを本人がこれとこれだけにしてこれはやめますと言っていい話なのかというのはちょっと違うと思うのです。

【深見部会長代理】
小安委員が言った、「研究費の過度の集中」というところですけれども、研究者がどのくらい研究費を獲得しているかにもよって随分感覚が違うと思います。実際に新学術領域の公募の配分額というのは300万から5~600万ぐらいでしょうか。ですから計画班ですと生物系であれば2,000万、3,000万ということになると思いますけれども、そのような額から比べたら、例えば5個もらっても計画班1つ分にもならないというようなことになります。

ですから、金額面から言えば、実際に過度の集中ということにはならないと思います。1つはもらえない人がたくさん出るという、チャンスの問題です。機会をもう少し増やそう、1人が5件もらうことによってもらえない人が4人出るというところが問題ではないかと考えたということが今回の1件にするという大きな趣旨だったと思います。ですから、それが本当にいいのか悪いのか、要するにチャンスを与えるだけで実際に新学術領域にもっと必要な人をとっていないほうが害はあるという考え方もあると思います。逆に言えば、通りやすい人だけが通るのではなく、多少通りにくいというような人まで配慮する、これが現在のものだったと思います。

では、どうしたらいいのかということですが、今の1件応募、1件採択というのは、ある意味かなり厳しいので緩和する必要はあると思いますが、先ほども言いましたように、上限なく、今までのものに戻すようなことは私は非常に抵抗がありますので、やめたいと思います。案の丸1を基本に考えたいと私は思っていますけれども、ここを例えば3件程度応募可で受給1件のみ、こういうことになると、あらかじめ優先順位を申請者に記入させるということになると、申請するとしても1番、2番、3番とか書いたらちょっと申請しにくいし、採択側としても3番とつけてきた人は採りたくないなどと心情的には思いますので、こういうのは現実的には書けない、全部1番と書きたいという気分になってしまいますので、ちょっと難しい、やりにくいのではないかと思います。

そういう意味では、例えばある意味で制限をかける、2件なり3件でも、3件は多いような気もしますけれども、今、1件というのを2件にするとか。2件ぐらいの応募にして、2件なら通ってもよいとしてはどうかと。そうすればある意味実力のある人のチャンスはきちんと保障されるでしょうし、いろいろなチェックとか、手間のかかることをしなくても済むのではないかと思います。

【平野部会長】
今の深見委員のご発言は、いろいろな議論と今までの経緯を踏まえたところに基づいた発言であります。今までのお話を踏まえて、またもう少し絞って議論いただきましたので、今日はここの段階で一度重複の部分は終わらせていただいて、深見委員の最後のまとめに近い発言も含め、今日欠席の委員にもご連絡をしていただき、次回詰めていきたいと思います。ここは非常に悩ましいところです。科研費全体においても同じなのですが、特に新学術領域にとっては新学術と言う限りは、新展開をするというところで、力のある人はできるのでしょうが、ほんとうに3件、4件、5件もやれるのかということも現実にはご意見もあると思いますので、そこをまた次回詰めていきたいと思います。ありがとうございます。

では、最後の4番目、研究成果公開促進費の見直しについてですが、これはこの前、学術情報基盤作業部会の議論を踏まえながら、学振のほうからご説明いただきました。非常にきちんと対応を含めて提案いただいたと思います。新しい動きがとれるのではないかと、私は個人的にはご提言に感謝しておりますけれども、ここについてさらにご発言があったらお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

私から1点だけ確認です。もうそうなっていると思っていますが、今回ご提言いただきました国際情報発信力を強化する取組については、オープンアクセス誌等の育成を支援するというのは非常によくわかるのですが、これは事務局としてきちんと動いていると思いますけれども、特に文系や社会系の場合に、科研費で研究された仕事を非常にいい本にして出されて、社会に対して大変大きな貢献をしてくださっていると私はこれまでずっと思っておりましたが、現行の学術図書への支援はこれまでどおりということでよろしいですね。

【岸本企画室長】
学術図書は今までどおりということです。

【平野部会長】
いろいろな民間の出版社もそうですが、大学出版のほうから、売れる数はかなり限られているけれども、社会的に非常に大切であるということで、苦労されながら先生がいろいろ出版されておるのを無視されないようにしておいていただけたらありがたいなと私は思ったものですから、確認をいたしました。

そのほか、ここについていかがでしょうか。よろしいですか。それでは、基本的には4番については、ご提言いただいた内容をもとに取りまとめたいと思います。

それから、資料2-1のところで、あと「その他」ということで、科研費そのものについてのご意見がありますし、若手研究の種目の見直し、あるいは基盤研究における研究機関及び研究費、総額の設定のあり方等についても、また今後、これは次回からも議論し、取りまとめの中に何らかの形で反映をしていきたいというように考えております。

最後に、全体を通して何かご意見があったらお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

【岡田委員】
全体を通してということにもなりますが、先ほどの4ページの丸2で、説明を課長にお聞きしたところの話がちょっと中途になっていたような気がしたものですから再度お聞きします。問題は2つあると思っています。1つは、准教授や助教といった人たちをマッチングファンドでもよろしいですけれども、こういう科研費の中から出すことを考えたときに、准教授や助教というのは、大学によって違うかもしれませんが、結局は定員内の准教授、助教にとるというのは大抵無理で、特任になったりすると思うのですが、しかし、基本的に特任であっても准教授や助教という名前がついた人たちを雇用することになると、それは一方では研究ですが、一方では教育の問題にいかに関わるかというのがどうしても出てきます。

そうすると、研究としての科研費を持ってきた、その研究が優れているからというだけで、教育にも担当するのにふさわしい人であるのかというのが、組織としてはどうしても出てくるわけです。ですから、准教授や助教というのが、例えば特任准教授、特任助教で、今はそのような名前を使っているところが多いし、教育は全然除外しているところも多いのですが、しかし、そればかり増えては、やはり大学としては教育と研究というのはともに大事だということですし、それがお互いに強くインタラクションしているというのはもちろん言うまでもないことですので、そこのところは考えて、うまく合わないとこういう制度はなかなかうまく入らないのではないかなと思います。

それから、もう一つは最初に深見委員が少しおっしゃったのですが、要するに科研費をとったときにその申請者が自分自身の人件費に使えるかどうかという、アメリカには結構そういう制度がありますので、それを日本が入れるかどうかという議論はどこかで必要になってくると思います。なぜそういうことを言っているかといいますと、ポスドクが現在非常に増えてきて、そのキャリアアップをどうするかという議論もあるわけですが、そういう人たちに聞いてみたり、私どもの研究所で実際その人たちに聞いたりするとポスドクとしてずっと続けてもよい、必ずしも定員内の助教や准教授にならなくても研究が好きだから続けていたいという人も結構います。

そういう人たちも、いかに続けていくかということについては、職がいきなりなくなるという心配も常にあるわけですけれども、そういうことの1つの保障としては、今はポスドクも科研費を出せるという時代になってきているので、研究費がとれて、自分自身の給与の何割かを出せれば、そういうことは自分のキャリアアップにもつながっていくし、今後の道筋にも効くから、そういう制度をぜひとも欲しいという意見もあるわけです。それはもちろん一部の人だけですし、そういうことばかり増えていってもいいのかという、大局的な議論も必要だと思いますが、しかし、そういう意見もあって、そういうポスドクに今後どう対応するか。将来必ずしもポジションがないというのが一方ではっきりしているときに、こういう制度の上からそれなりの対応になるのではないかとか、そのような議論も必要で、科研費等で自分自身の研究費が出せるかどうかというところにも関わってくるように思います。

ですから、もちろん賛成、反対の意見がいろいろあると思いますので、今後の問題としてどこかの段階で取り上げていただければいいかと思います。

【平野部会長】
今、岡田委員がおっしゃったことは大変重いお話であると思います。それについてはまた次の機会を見て、科研費そもそものことにも関係しますし、もっと言うと、教育研究機関そのものの構成のあり方にも関わってきますので、また次回、次々回にでもお話しして、1項目必要であればまとめていきたいと思います。

【佐藤委員】
申請するときの倫理審査というのはどこで議論するのかわからないのですが、私自身必ずしも制度を正確に理解していませんが、厚労科研費は申請するときに必ず大学倫理審査委員会にかけなければいけないようになっていますね。一般的に科研費はなっていないと理解していいですか。今のシステムは、多分一般的にはその要請をしていないだろうと思うのですが。

【平野部会長】
それはバイオや何かといったところでしょうか。

【佐藤委員】
私は社会科学でもそういうことがあり得る。例えばサーベイをするときの扱いとか、そういうものは学内でチェックして、大丈夫かというのは見なければいけないような気がするのですけれども、そういう議論をする必要があるかどうかという単なる問題提起です。

【岡本企画室長補佐】
科研費に応募する際にはそういう倫理関係の内容も、ある手続をとらなければいけない場合にはどういう手続をとる必要があるかを計画調書に書いていただきます。その研究を進めていただく前にとらなければいけない場合に、応募の時点ではとっていない可能性もありますが、研究を始めていただく前に当然とっていただいてから研究を進めていただくことになります。そういう手続きをしっかりと行うことになっているか、審査の際に全部確認するようにしております。

【家委員】
今日の審議内容については関係ないのですが、先ほど岡田先生がおっしゃった点に少し関係して、これは制度的なことを教えていただいてよろしいでしょうか。いわゆる学術振興会の特別研究員のポスドクには、給与ではなくて研究奨励金が支給されており、つまり学術振興会とは雇用関係ではありません。だから、学振のポスドクというのは研究機関にも雇用されていなくて、学振にも雇用されていないということになります。学振の特別研究はいい制度なので変えてほしいという話ではないのですが、私の周囲で、学振のポスドクだった人が外国の研究機関にアプライしたときに雇用証明書を出すよう言われたがどこからも出なかったということがありました。私の想像では、特別研究員制度というのは大学院生とポスドクを同じ制度でやっているのでなかなか難しいと思うのですが、何か方法が、あるいは雇用証明書に準じたようなものを学振から出していただくことはできるのでしょうか。

【渡邊学術研究助成課長】
特別研究員にはいろいろと身分上の問題があります。例えば大学のポスドクですと、扶養手当とか通勤手当が大学から出るけれども、学振の特別研究員の場合は全く出ないといったことなどがありますので、今の問題も含めまして学振のほうにお伝えして、何らか考えていただきたいと思います。

【小安委員】
私は現在学振の中で、その特別研究員の問題を、制度に関していろいろと議論する係をやっておりまして、今おっしゃった雇用関係がなくて不利になっているというケースをいろいろと聞いております。何らかの改善は必要ではないかという問題意識は学振の中でもありますので、ぜひ取り上げていきたいと思います。ちょっと場所が違うので、申し訳ありません。

【平野部会長】
ここの部会の課題ではありませんが、重要なことですからぜひよろしくお願いします。これも実は海外の留学生が特に問題になるのですが、留学が終わって研究員になった、あるいは奨励員になったというときに、彼らがほかの国の教員になるときの問題が非常に大きいのです。日本の中で助教あるいは准教授的な職をきちっと持っていたか、特に教育機関に行く場合はこれを聞かれますので、今、家委員が言われたことがそれにかかわるかどうかは別にして、特にそういう大学にいて、教育あるいは研究にかかわったという証明がないと、彼らの次のキャリアがとれないということもありますので、これは文科省も直接の担当ではないかも知れませんが、ぜひお考えください。関係する小安委員はここにお見えですから、よろしく。

そのほか、よろしいですか。どうぞ。

【渡邊学術研究助成課長】
先ほど小安先生から新学術領域の、要するに基盤研究Sをとっていると新学術の計画研究に応募できない、それがどうだろうかというご指摘だったと思うのですが、今まで議論しておりませんでしたので、やはり認めたほうがいいのではないかというようなご意見があれば、後で事務局に言っていただければと思います。といいますのは、それだと公募要領の問題になるので、直近の公募要領となると9月ですから、方向性を出すのだったら早急に検討しなければいけないかと思いますので、ぜひご意見を伺えればと思います。

【平野部会長】
今日も大変重要なご意見をいただきました。ありがとうございます。
事務局においては審議の取りまとめを含め、さらにまた整理をお願いしたいと思います。
本日は長時間にわたりどうもありがとうございました。次回は6月14日の15時から開催いたします。少なくともここにお見えの委員の方々にはぜひご出席いただきたいですし、今日ご欠席の委員の方にも、ぜひご出席いただきたいと思います。事務局でもたくさんの方が出られる日に設定していただいていますので、よろしくお願いしたいと思います。
本日はありがとうございました。

―― 了 ――

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小久保、神田
電話番号:03-5253-4111(内線4092)
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-- 登録:平成24年06月 --