資料5 学術研究の大型プロジェクトの在り方について -これまでの意見の整理-

【(第50回)平成28年1月19日(資料2-2)に(第56回)平成28年9月21日の主な意見を●として追加】
(第57回)平成28年11月17日での主な意見を◆として追加


標題について、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会において行われた議論における主な意見は以下の通り。

1  評価の見直しについて

【評価目的・意義について】
○ 本当の意味での評価というのは、評価される側に役に立つのが評価。
○ 本当に学術的な観点からして、この計画は十分、国際競争に、早く完成すればできる、ただし、諸般の事情で予算不足が生じているときに、本当にそれをポジティブにサポートするようなことも今後可能なのかどうか。
○ 大型設備のロードマップを作ると、永遠に続いてしまうのではないか、予算の側から見ると、そういうのが出て、永遠に続いてしまったら、新しいのは原理的には絶対に入れないことになってしまう。したがって、終了するということを念頭に置いて計画を作って、評価もそうやっていかなければいけないのではないか。少なくとも、大型研究の支援としては、終了計画というのはすごく重要なのではないか。
○ どこかでプロジェクトもフロンティア事業としての支援を減らしたり、切ったりしていかなくてはならないが、そういうことは今、(評価の)スコープとしては入っていない。
○ これまでは、物を造るということが中心で、運営費について深くは考えられていない、そのあたりをどう考えるのか。


【評価の流れについて】
○ 実際の研究の現場を見ないと分からないことというのはある。
○ 中間評価とか進捗評価ではどんな体制でやっているのかということ確認するために、現地評価が非常に重要。
○ 学術の評価の場合、基本的に現地でやる。大体、丸2日、丸3日とって、若い人に話を聞いたり、それから実際の現場を見たりという、それがその評価者に与える影響というのは絶大なものがあるから、そのことは是非やらなければいけない。
○ 現場としてプランが遅れているという場合がある。本当に学問を進めるんだったら、修正を掛けられるような評価ステップというのがあるべき。


【評価の観点について】
● 事前評価は、準備研究がどれくらいされているかという評価を入れたほうがよい。
● 事前評価をやる時期について、学術会議のタイミングとずれると、影響がでることもあるのでは。
● 進捗評価や中間評価は、進捗の成果を明示したほうがよい。
● 進捗評価は4段階(4計画を上回る、3計画通り、2計画を一部下回る、1計画を大幅に下回る)で評価し、2又は1と評価された場合には、計画縮小を求める場合があることにしてはどうか。
◆ 計画は事業毎に異なるため、事業毎の特性や研究成果が出るまでの一定の期間を加味して、評価時期を定める必要が有る。
◆ 今実施中の計画の扱いについては、新たな計画期間の概念及びそれに応じた評価の割り振りが定まれば、できる限り実情に合わせたものになるよう配慮する。
◆ 施設計画は、作ることが評価の対象になるイメージ。その後の期間で大規模研究計画の評価の仕方をとるという整理はどうか。
◆ 10年又は5年毎ぐらいに、ピアレビュアーの意見を聞いた方が判断しやすい。
◆ 施設の利用される年度というのもきちんと考慮に入れないといけない。


【事前評価について】
◆ 各大学からの予算提出時期に重ならないように、7月中に実施することが良いのではないか。


【進捗評価・中間評価について】
● 事業が始まる以前の大型計画は支援を頂いた後は定常運転フェーズがあったと思う。この大型の支援がなくなると定常運転の支援が非常に厳しくなる。
● 建設フェーズの終了時に進捗評価、研究成果が出始めた時に中間評価があるとよい。
● 進捗・中間は場合によっては一緒になるし、フレキシブルだということだと思う。
● 進捗評価は、フレキシブルに考えて、プロジェクトを助けたり、問題点を解決するような評価であってほしい。
● 進捗と中間は分ける必要性は余りないと思う。
◆ 進捗評価の基本的スタンスは、その計画を応援するというもの。
◆ 大規模研究計画の研究期間を、建設期間プラス第1期運用期間という考え方ができないか。第1期運用期間とは施設の運用によって初期の学術的成果を得られる最短の期間で、15年程度。
◆ 大規模研究計画の場合の研究期間は、10年以内とするのがよい。


【期末評価の考え方について】
● 継続の事前評価というのは、期末評価の前の1年ないし2年前に継続を希望するところは出してもらう必要がある。
● 期末評価は、計画全体の評価とするか、期末評価では何を評価するのかを明確にしなければ
● プロジェクトについて10年の年限をつけることに関して、一般的観点からの方向性としては良いと思うが「仕組み」を慎重につくりあげる必要があると思われる。
● 年次計画は10年間を原則とするが、研究の性格に応じて、適切な年限を別途定めることも可能としておいた方がよいのではないか。
◆ 最低限の期間の運用によって科学成果を出すところまで考える必要がある。
◆ 継続の事前評価というのは、期末評価の前の1年ないし2年前に継続を希望するところは出してもらう必要がある。


【評価体制について】
○ (計画どおり進んでいるだけではない、)それで済まない事態が実際はあるので、それにも対応できるような評価・審査の体制が必要。
○ 専門分野のアドバイザーについて、人数を増やし、場合によっては異分野の方に入っていただくことが必要な大型計画も出てきている。(4回の評価以外の、もう少し日常的な評価、ガイドしていただけるような意味も含めた評価)
○ 評価の際の専門分野のアドバイザーについて、一部を外部に推薦してもらうという考え方を導入していった方がいいのではないか。学術会議や学会に客観的に大所高所から議論できる方を送り込んでいただく。
○ 海外の専門家の方々を呼んで、世界的な視点でもって意見を頂くということも重要ではないか。

【評価で重点的に確認すべき事項について】
○ 今の計画の審査の中で足りないなと思っているのは、明確な年次計画。それから、もう一つは明確な予算計画。3つ目が人員計画と運用組織。
○ 人の評価というのを同時にやる。例えば、ポスドクに会って話して聞くとか、現地で、プロジェクトが動いているのか、人がどのように組織化されて動いているのか、じかで働いている人に会うと、すごくよく分かる。

2 次期ロードマップの策定について

【評価対象について】
○ (ロードマップを策定する際、)本質的には、学術会議のマスタープランを利用はしているが、それしかやらない、若しくはそれとだけがっちりということでもない、もうちょっと広さを持った議論だった。
○ 各分野で、国際的にヨーロッパ、アメリカ、日本を含めてプロジェクトのプライオリタイゼーションを話し始めているところもある。学術会議のプライオリティーと国際的な動きというものが二つあって、必ずしも一致するものではない。だから、文科省としては、学術会議だけではなくて、国際的な動向も見て、ロードマップ作成を図った方がいいのではないか。
○ 学術会議側は、アカデミーとしてやるべき大型計画を選定する。それを広く社会にも、世界にも広めていって、それを実現できるようにしたいという立場。文科省としては、いわば学術という立場からその中で重要なものを実施していくという立場。当然立場は少し違うので、学術会議側の方が広い面と、文科省の側が考えなければいけない面と両方ある。余り一致させてしまうと身動きがとれない。
○ ロードマップの方は、マスタープランとぴったり合う必要はなく、文部科学省の学術政策として最も適した案を選んで、順次ファンディングしていく。学術会議だけからしか提案がないというところが非常に気になっていて、マスタープランだけと1対1に行くのがいいのか。
○ マスタープラン以外もロードマップは受け付ける必要がある。
○ 入り口からそこだけを絞ってしまうということは、機会の平等性ということを考えたときに、国民に必ずしも支持されることではないのではないか。
○ ロードマップが学術会議を通さないような提案も受け付けるというふうにすると、かなり危惧を持つ。
○ 分野全体をカバーするような、あるいは日本として重要なナショナルプロジェクトと呼べるような重要な計画と、コミュニティが推進を望むようなものという基本的な性格は譲れない。
○ 大型であるということと、コミュニティのコンセンサスの熟成度合いというのが一致しない場合もあるのではないか。大型であっても独創的であって、時代を一気に回転させるようなもので、少数の人にしか同意を得られないようなものもあるかもしれない。そういったものをうまく拾い上げるものがこの大型プロジェクトではないか。
○ 大型計画というのは、世界的な成果が得られなきゃいけない。世界を見渡して、いろいろ競合するところがあれば同じレベルかそれ以上のレベルで競争に勝てるものを中心に考えるべき。日本が遅れている分野だとそういうことはできないので、日本が世界のトップレベルになるためのプロジェクトというのも考慮した方がいい。
○ (大型計画の)定義をどうするかはロードマップとしても大事なところ。
○ ロードマップの方では、もう本当に完成されたものしか受け付けないよという話にしてしまうと、マスタープランの方で、そういったことをやるモチベーションが下がってしまう。
● 大型研究計画が必要な分野と、そうでない分野があるが、マスタープランのヒアリング数はほぼ同じ。
● 選考対象をマスタープラン2017の「区分1」の内のヒアリング対象計画65件及び「区分2」を選考対象としてはどうか(ただし、「区分2」のうち、計画全体が予算化されたプロジェクトは除く)。
● ロードマップ2014に採択されているプロジェクトについてはマスタープランに関わらず、選考対象としてはどうか。
◆ マスタープランの「区分2」に載っているものは、こちら側の審査対象になると思う。
◆ ロードマップは、「区分1」と「区分2」というのがあるのか。従来のロードマップの改訂をするのか、全く新しいロードマップを選び直すのか。


【書面審査の方法について】
● 年次計画・予算計画・人員計画の進捗状況と今後の計画、購入済み及び購入予定の設備の仕様を評価のための情報として提供してもらう。
● 申請の書類が非常に簡単であることは問題ではないか。
● マスタープランは、仕様・設置場所・実施主体が明確でない構想も出てくる場合がある。
● 科研費の特別推進の申請書くらいのものを出してもらっては。
● ヒアリングの物理的な数があるので、書類選考で20ぐらいに絞って、ヒアリングを行うのが良いのではないか。
● 学術会議側でヒアリングに持っていくのを絞った時点で、こちら側で引き取ったほうがいいのではないか。
● 準備研究がどれくらいされているかということが分からないと、なかなか判断できない。
● 65計画に具体的なプロポーザルを出してもらい、それを読むだけで半分以上落ちる。
● 書類で2段階ぐらいしてからヒアリングを受けるほうにしたほうが現実的ではないか。
● プロセスが変わることについての懸念というのはどの程度のものかを考えておくことも。
◆ 研究者コミュニティの合意だけではなく、合意状況、その波及効果までを求めたい。
◆ マスタープランの中から最優秀賞を決めるというよりも、ロードマップとして適切なものを決めるということなので、そういう書類審査は必要だろうと思う。
◆ 書面審査では、具体的な指示を行い、十分な資料を作成してもらった方が良いのでは。
◆ 提案書及び重点計画ヒアリング時の資料に予算計画・人員計画を追加する。
◆ 実施主体の責任(承諾)があれば良いのでは。


【評価項目について】
○ ESFRIは6点ほど挙げている。1点は組織がどうなっているか。2点目はサイエンスがどうなっているか。それから、3点目はヨーロッパの全体への影響、コミュニティに対する影響、4点目は経済的効果がどうなのか、5番目は技術的な側面はどうなのか、6番目に総論という形でやっている。ほとんどは学術会議が背負うものだが、その中で文科省が背負うものもあるのではないか。
○ 諸外国に比べて、お金の金額に対するプロポーザル、提案書の努力が日本の場合には緩い。
○ アカデミックなテーマの新規性を重点的に見る仕組みというものは必要。
○ (日本学術会議側はマスタープラン策定の際、学術の観点に付加するものとして)社会のための科学を意識している点を、こちら側がどう受け取るかという観点も今後は必要。
○ 社会にどう役立つかということも評価した上で、この大型プロジェクトは大変いいものということを見せていく努力をロードマップ側もした方が、よりそのお金が付きやすい方に持っていけるのではないか。
○ ロードマップ上に載っていてもなかなか予算が付かなくて、ウエーティングリストにどんどん積み重なっているような状況で、あるときに限られた金額の予算が下りるというようなときに、上位の方は例えば大きな規模の計画があって、下の方にもう少し小さなものがあった場合はどうするかとか、何を採用するかというような基準みたいなものを公開しておく必要があるのではないか。
○ ロードマップというのは、研究者コミュニティにとって本当に必要なものに対して予算を付けていくもの。従って、予算が付かなかったらやらないというものと、予算は付かないけど、何とかいろんなところで工面して動かしてスタートしているものと、きちんと評価すべきではないか。
◆ 大規模な研究計画では、主体以外の共同して連携しなければいけない機関が、うまくマネジメントできていないこともある。
◆ 主たる研究機関から概算要求が出ていないようなものの扱いを慎重にしないといけない。
◆ ロードマップの方は、緊急性が明確になっていなければ、予算は付けられない。
◆ マスタープランとしてはすばらしい計画、アイデアであっても、ロードマップとしては実現性が低いと見なさざるを得ない計画もある。
◆ 予算計画・人員計画がはっきりしていないといけない。
◆ 緊急性や、戦略性や、社会や国民の理解は、一年二年で変わることがある。
◆ 大型施設計画と大規模研究計画で評価の観点は異なってくるのでは。大規模研究計画は、組織を作りながら研究を進めていくので、全て一体として考えることができるが、大型施設計画の場合は、施設・技術的な達成し、施設ができた後の運用計画というように違う評価項目が出てくる。


【策定のサイクルについて】
○ ロードマップは6年に一度ぐらいが適当ではないか。
○ 改訂サイクルについては基本的に3年小改訂、6年大改訂程度のことではあろうと思う。マスタープランのサイクルにはそれを受ける必要がある。
◆ 必ずしも緊急性、戦略性、社会の理解ということに限らず、全体として、ロードマップを3年に1回、6年に1回選ぶ。


【アフターケアについて】
○ (アフターケアについて)現実を見たときに、ロードマップって何だろうと考える人たちが出てくるのではないか。
○ 大きなものがずっと占めてしまってはもうどうしようもない。

○ ロードマップというのはこういうものだという、その事後処理の仕方が分かるようになっていた方がいい。


【掲載数について】
○ 数はある程度ないと分野がカバーしきれない。何かあったときに、この分野にこういうお金が投じられるというときに用意がないということになる。これだけの計画を準備するというのは、やはり何かいざやれそうなときにぱっとやれるという準備があるというイメージもあるので、そこのところをどう考えるか。
○ 余り厳選して、本当に学術機関課としてできるものしか採らないというのも厳選し過ぎである。厳選も大事だけど、余り狭めてしまうのもどうか。
○ これを順番にやっていきますよというものではなくて、これは非常にいい計画だから是非進めたいというもののリスト。
○ これ以上絞るべきものではない。


お問合せ先

研究振興局学術機関課

機構調整・共同利用係

-- 登録:平成29年03月 --