資料4 大規模学術フロンティア促進事業の年次計画に係る各種評価方法の見直しについて-論点と検討課題-

標題について、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会において行われた議論における主な意見は以下の通り。

1.評価の見直しについて


【評価目的・意義について】
○本当の意味での評価というのは、評価される側に役に立つのが評価。
○本当に学術的な観点からして、この計画は十分、国際競争に、早く完成すればできる、ただし、諸般の事情で予算不足が生じているときに、本当にそれをポジティブにサポートするようなことも今後可能なのかどうか。
○大型設備のロードマップを作ると、永遠に続いてしまうのではないか、予算の側から見ると、そういうのが出て、永遠に続いてしまったら、新しいのは原理的には絶対に入れないことになってしまう。したがって、終了するということを念頭に置いて計画を作って、評価もそうやっていかなければいけないのではないか。少なくとも、大型研究の支援としては、終了計画というのはすごく重要なのではないか。


【評価の流れについて】
実際の研究の現場を見ないと分からないことというのはある。
○中間評価とか進捗評価ではどんな体制でやっているのかということ確認するために、現地評価が非常に重要
○学術の評価の場合、基本的に現地でやる。大体、丸2日、丸3日とって、若い人に話を聞いたり、それから実際の現場を見たりという、それがその評価者に与える影響というのは絶大なものがあるから、そのことは是非やらなければいけない。
○現場としてプランが遅れているという場合がある。本当に学問を進めるんだったら、修正を掛けられるような評価ステップというのがあるべき。


【評価体制について】
○(計画どおり進んでいるだけではない、)それで済まない事態が実際はあるので、それにも対応できるような評価・審査の体制が必要
○専門分野のアドバイザーについて、人数を増やし、場合によっては異分野の方に入っていただくことが必要な大型計画も出てきている。(4回の評価以外の、もう少し日常的な評価、ガイドしていただけるような意味も含めた評価)
○評価の際の専門分野のアドバイザーについて、一部を外部に推薦してもらうという考え方を導入していった方がいいのではないか。学術会議や学会に客観的に大所高所から議論できる方を送り込んでいただく。
海外の専門家の方々を呼んで、世界的な視点でもって意見を頂くということも重要ではないか。


【評価で重点的に確認すべき事項について】
○今の計画の審査の中で足りないなと思っているのは、明確な年次計画。それから、もう一つは明確な予算計画。3つ目が人員計画と運用組織
人の評価というのを同時にやる。例えば、ポスドクに会って話して聞くとか、現地で、プロジェクトが動いているのか、人がどのように組織化されて動いているのか、じかで働いている人に会うと、すごくよく分かる。


2.次期ロードマップの策定について


【評価対象について】
○(ロードマップを策定する際、)本質的には、学術会議のマスタープランを利用はしているが、それしかやらない、若しくはそれとだけがっちりということでもない、もうちょっと広さを持った議論だった。
○各分野で、国際的にヨーロッパ、アメリカ、日本を含めてプロジェクトのプライオリタイゼーションを話し始めているところもある。学術会議のプライオリティーと国際的な動きというものが二つあって、必ずしも一致するものではない。だから、文科省としては、学術会議だけではなくて、国際的な動向も見て、ロードマップ作成を図った方がいいのではないか。
○学術会議側は、アカデミーとしてやるべき大型計画を選定する。それを広く社会にも、世界にも広めていって、それを実現できるようにしたいという立場。文科省としては、いわば学術という立場からその中で重要なものを実施していくという立場。当然立場は少し違うので、学術会議側の方が広い面と、文科省の側が考えなければいけない面と両方ある。余り一致させてしまうと身動きがとれない
○ロードマップの方は、マスタープランとぴったり合う必要はなく、文部科学省の学術政策として最も適した案を選んで、順次ファンディングしていく。学術会議だけからしか提案がないというところが非常に気になっていて、マスタープランだけと1対1に行くのがいいのか
マスタープラン以外もロードマップは受け付ける必要がある。
○入り口からそこだけを絞ってしまうということは、機会の平等性ということを考えたときに、国民に必ずしも支持されることではないのではないか。
○ロードマップが学術会議を通さないような提案も受け付けるというふうにすると、かなり危惧を持つ。
○分野全体をカバーするような、あるいは日本として重要なナショナルプロジェクトと呼べるような重要な計画と、コミュニティが推進を望むようなものという基本的な性格は譲れない。
大型であるということと、コミュニティのコンセンサスの熟成度合いというのが一致しない場合もあるのではないか。大型であっても独創的であって、時代を一気に回転させるようなもので、少数の人にしか同意を得られないようなものもあるかもしれない。そういったものをうまく拾い上げるものがこの大型プロジェクトではないか。
○大型計画というのは、世界的な成果が得られなきゃいけない。世界を見渡して、いろいろ競合するところがあれば同じレベルかそれ以上のレベルで競争に勝てるものを中心に考えるべき。日本が遅れている分野だとそういうことはできないので、日本が世界のトップレベルになるためのプロジェクトというのも考慮した方がいい。
○(大型計画の)定義をどうするかはロードマップとしても大事なところ。
○ロードマップの方では、もう本当に完成されたものしか受け付けないよという話にしてしまうと、マスタープランの方で、そういったことをやるモチベーションが下がってしまう。


【評価項目について】
○ESFRIは6点ほど挙げている。1点は組織がどうなっているか。2点目はサイエンスがどうなっているか。それから、3点目はヨーロッパの全体への影響、コミュニティに対する影響、4点目は経済的効果がどうなのか、5番目は技術的な側面はどうなのか、6番目に総論という形でやっている。ほとんどは学術会議が背負うものだが、その中で文科省が背負うものもあるのではないか。
○諸外国に比べて、お金の金額に対するプロポーザル、提案書の努力が日本の場合には緩い
アカデミックなテーマの新規性を重点的に見る仕組みというものは必要。
○(日本学術会議側はマスタープラン策定の際、)社会のための科学を意識している点を、こちら側がどう受け取るかという観点も今後は必要。
社会にどう役立つかということも評価した上で、この大型プロジェクトは大変いいものということを見せていく努力をロードマップ側もした方が、よりそのお金が付きやすい方に持っていけるのではないか。
○ロードマップ上に載っていてもなかなか予算が付かなくて、ウエーティングリストにどんどん積み重なっているような状況で、あるときに限られた金額の予算が下りるというようなときに、上位の方は例えば大きな規模の計画があって、下の方にもう少し小さなものがあった場合はどうするかとか、何を採用するかというような基準みたいなものを公開しておく必要があるのではないか。


【策定のサイクルについて】
○ロードマップは6年に一度ぐらいが適当ではないか。
○改訂サイクルについては基本的に3年小改訂、6年大改訂程度のことではあろうと思う。マスタープランのサイクルにはそれを受ける必要がある。


【アフターケアについて】
○(アフターケアについて)現実を見たときに、ロードマップって何だろうと考える人たちが出てくるのではないか。
大きなものがずっと占めてしまってはもうどうしようもない
○ロードマップというのはこういうものだという、その事後処理の仕方が分かるようになっていた方がいい


【掲載数について】
数はある程度ないと分野がカバーしきれない。何かあったときに、この分野にこういうお金が投じられるというときに用意がないということになる。これだけの計画を準備するというのは、やはり何かいざやれそうなときにぱっとやれるという準備があるというイメージもあるので、そこのところをどう考えるか。
○余り厳選して、本当に学術機関課としてできるものしか採らないというのも厳選し過ぎである。厳選も大事だけど、余り狭めてしまうのもどうか
○これを順番にやっていきますよというものではなくて、これは非常にいい計画だから是非進めたいというもののリスト
○これ以上絞るべきものではない。

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-- 登録:平成28年07月 --