第5期研究費部会(第17回) 議事録

1.日時

平成22年6月25日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

KKRホテル東京「瑞宝」

3.出席者

委員

有川部会長、小林委員、佐藤委員、田代委員、深見委員、三宅委員、家委員、
岡田委員、金田委員、谷口委員、水野委員

文部科学省

磯田研究振興局長、山口学術研究助成課長ほか関係官

オブザーバー

独立行政法人日本学術振興会 学術システム研究センター村上主任研究員、
渡邊研究事業部長

4.報告概要

 事務局より、参考資料1「「国民との科学・技術対話」の推進について(基本的取組方針)」、参考資料2「科学研究費補助事業における研究成果報告書等の提出について」、参考資料3「研究開発システムワーキング・グループ中間まとめ」について報告を行った。

5.審議概要

(1)事務局より、資料4「「基盤研究」の研究期間等について」について説明を行った後、審議を行った。

【有川部会長】
 基盤研究の研究期間や評価について、これまでの経緯、基本的な考え方について事務局より説明いただいた。また、資料4の12ページ以降では、基盤研究の研究期間の見直しを検討する場合の論点例が幾つか示されている。これらの資料を参考にしながら、基盤研究については、どの程度の研究期間が適当なのか、2年間が適当なのか、5年間は長過ぎることはないのか、また基盤研究(A・B・C)のそれぞれの研究種目ごとに見た場合にはどうかといったことについて、改めてご検討いただければと思う。その上で、これまで検討してきた基盤研究(C)だけに2年間という期間を認めていくことについてご意見をいただきたいと思う。30分程度の時間をこのために割きたいと思う。

【金田委員】
 先ほど2年間から4年間という研究期間を3年間から5年間に延長したときの議論の方向性やそのときに行われた議論を紹介いただいたと思うが、制度変更したときに、実際上の応募はどのように比率が変わったのかということについてのデータはあるか。5年間の研究課題がどっと増えたということはあるのか。

【山下企画室長】
 先ほどの資料4の10ページに、基盤研究の研究期間別の応募状況のデータがあるが、そのうち平成19年度のデータは従来の2年間から4年間の研究期間のときの応募動向となっており、平成20年度に3年間から5年間を入れたので、平成19年度と平成20年度の比較をごらんいただければと思う。例えば、基盤研究(A)について見ると、平成19年度は2年間が7.8%、3年間が47.8%、4年間が44.4%だったが、平成20年度に3年間から5年間になり、2年間はなくなり、3年間が49.2%となり、4年間が35.0%、5年間が15.8%となっている。基盤研究(C)については、平成19年度は2年間が約60%あったのが、平成20年度は2年間の応募がおそらく3年間に移行した関係もあり、3年間が90%になっている。

【有川部会長】
 この10ページのグラフでかなりのことがわかるような気がする。2年間が3年間のところに加わったという見方もできると思う。

【深見委員】
 11ページの充足率になるが、基盤研究(A・B・C)ともに、応募額と実際の配分額を見ると、75%ぐらいになる感じがする。例えば特別推進研究とか新学術領域研究はもう少し充足率が高かったような気がするが、それに比べてこの充足率がどのぐらいなのかをお聞きしたいことが、まず1点。
 それから、先ほどの10ページのグラフ等を見ると、研究者が動くファクターとして一番大きいのは、やはり単年度当たりの研究費の額なのかなと思う。基盤研究(A)ならば総額が高いので、ある程度研究期間が長くてもいいが、基盤研究(C)で見ると、これではやっていけないから研究期間が一番短いところに動く、そういう傾向が読み取れると思うので、トータルの金額というよりは単年度当たりの額を考えて研究期間を決めていくことが重要であると感じる。

【有川部会長】
 まず、最初の充足率のことであるが、特別推進研究などの充足率はこれに比べるともう少し高いのではないかということであるがどうか。

【山下企画室長】
 充足率ということで申し上げると、手元のデータでは基盤研究(A・B・C)ともに毎年75%程度となっている。
 他方で、特別推進研究については、80数%から90%ぐらいという状況になっている。

【有川部会長】
 もう一つは、単年度当たりの経費を考慮して制度設計するかということだが、このグラフの見方として、2つの解釈の仕方があると思う。例えば基盤研究(C)は平成19、20年度が一番変化した年であるが、平成19年度は2年間という短いところが一番多い。平成20年度からは3年間が一番短くなったが、そこが一番多くなっており、なるべく早く短期間で終わりたいといった研究課題も相当あるという考え方もできると思う。もう一つはやはりトータルの応募額が決まっているので、単年度当たりの研究経費が多くなるように短い研究期間で応募したといった見方ができる。深見委員は後者について発言されたが、この辺について何か意見はあるか。

【家委員】
 応募する側の研究者の物の考え方というか発想の原点はそういうことだろうと思うが、制度として、単年度の金額ベースで少ないからといって研究期間を短くしようというのは、本末転倒ではないかという気がする。そもそも基盤研究(C)の2年間を入れるかどうかという話の一つの背景は、若手研究(B)と単年度当たりの研究費の上限が逆転しているということがある。それはそれで一つ問題ではあるが、だからといって基盤研究(C)の研究期間を2年間からにするのは疑問があって、一つは平成19年度にかなりの議論をした上で延ばしたという背景、それから、10ページのこの資料を見ればわかるが、これで2年間を許すとなると、おそらく、応募状況は平成19年度のパターンに戻ると思う。今、科研費の全体予算が伸びにくい状況で2年間を許せば、採択された人の単年度の取り分は増えるが、当然その分、採択率は落ちることになって、それが今の状況でよろしいのかどうかだと思う。もちろん、予算が伸びれば総額も伸び、単年度も伸び、研究期間もできるだけ長くするのが方向性としてはいいのではないかと思うが、今この状況でいじることについて少し疑問がある。

【有川部会長】
 これまでシステムを改革してきたときには、ほとんどの場合は、トータルの経費、予算も増えている中でやってきたと思うが、現在は、財政的にかなり厳しい状況であるということを考えておかなければならないと思う。その辺についての見通しと関係なく理想的なところで議論すべきだということももちろん承知しているが、特にこの時期、財政的なことで、科研費全体の伸びなどの見通しについて何か言えることがあれば、コメントをいただきたい。

【山口学術研究助成課長】
 今年の予算についてはまだはっきりしていないが、一言で申し上げれば、家委員からご発言があったように、厳しいのは間違いないだろうと思う。昔は単年度で百数十億円伸びていた時期もあるが、ここ2年は38億円、30億円という伸びであった。その前3年間は十数億円の伸びなので、かなり厳しい状況にあると思う。
 今、3年間で500万円とすると単年度当たり170万円ぐらいだが、それが2年間500万円とすると単年度で250万円ぐらいで要求が来ることになると思われる。単価でいうと約1.5倍になるので、予算が伸びないと採択率は厳しくなると考えられる。どれぐらい厳しくなるかは現時点では申し上げにくいところである。

【田代委員】
 基盤研究(C)は、かなり前から、2年間がなくなって3年間になったということで、特に人文社会科学系のほうで相当に混乱があり、やはり2年間というものが何とかならないかという話をいろんな研究者から聞く。というのは、もうほとんど研究ができ上がっていて、この2年間で十分達成できるという研究もある。もう一つは、基盤研究(A)と基盤研究(B)あたりはかなりの複数で研究組織を構成しているのに対して、基盤研究(C)は1人ないしは2人などかなり少ない人数でやっていると言えると思う。そして、全体的に基盤研究(C)だけが異常に応募者の数が増えている。これは今日の表には出てきていないが、今まで私たちが示された表の中で、基盤研究(C)だけの応募研究が相当な右肩上がりで上がっているということは、国立大学の予算減により、応募者が基盤研究(C)に流れ込んできているのがわかるのではないかと思う。そして、これが今度、若手研究からの移行ということになると、バランスが、今まで若手研究が2年間から4年間でやっていたのが基盤研究では3年間から5年間となっていくと、最初の研究期間のとり方が何か合わない。つまり、細かいところにもう少し手当てをしていただきたいと思うところがある。基盤研究(A)、(B)、(C)全部一律で3年間からというのではなく、基盤研究(C)だけは非常に特殊な状況にあることが、図やいろんな応募状況からうかがえる。3年間やっていて、90%が3年間に集中しているというのは、かなり異常な状態であると考えたほうがいいのではないかと思う。私は、やはり2年間をここでもう一度復活していただけたらと思う。あるいは、もしかしたら基盤研究(B)の下限を逆に上げていただいて、基盤研究(C)はそのまま、500万円ということであれば250万円ずつとれるという計算になるかもしれないが、基盤研究(B)を少し上げることでバランスをとってみることも考えられると思っている。

【有川部会長】
 人社系では2年間というのが非常に意味がある、2年間で十分といった研究者がたくさんいるということは、ある意味では資料4の10ページの平成19年度のブルーのところに示されていることにもなろうかと思う。それから、「2年間」での応募件数の割合を基盤研究(A)、(B)、(C)で比較した場合については、基盤研究(C)が圧倒的に多いわけである。一方で、我々はこれまで、こういった基礎研究あるいは基盤研究は、やはり時間をかけてやらなければいけないという言い方を折に触れてしてきていたのではないのかと思う。そうしたことから、ある程度の期間はないといけないという気もする。
 もう一つは、例えば上限が5年間になっているが、それが一方では長いのではないかと言われたりすることもある。そうしたところにも関係することであって、科研費全体、特に基盤研究の制度設計をどうしていくかを考える上でも大事なことになるのではないかという気がする。

【家委員】
 意外な話を伺ったと思ったが、以前、平成19年度に制度変更したときには、人社系の先生方からは、年間にそんなにお金は要らないけれども、細く長くやりたいという希望が多かったように認識していたので、人社系にもいろいろな研究があると思った。
 もう一つ、2年間を認めた場合に、応募数のかなりの部分が2年間になると思う。その場合の懸念は、科研費に採択された研究者は、研究が終わって次に応募したときにかなりの確率で採択されるが、2年間で研究期間を回していると、新規に採択される人の採択率がその分悪くなってくるのではないか。これは一つの私の懸念である。

【有川部会長】
 短いほうを2年間にするか3年間にするかというのは前から議論になっているところであるが、この辺でもう少しこのことを議論しておけたらと思う。今、家委員から、2年間を3年間にしたときのいきさつの説明があった。田代委員からは、そうではなくて、2年間というのが非常にふさわしい研究分野があるということである。私からは、基盤研究の研究期間はある程度の長さを確保しておく必要がある。5年間くらいやらないと成果が出せない部分が相当あるので、5年間という研究期間があるが、一方では5年間は少し長いのではないかと言われたりする。そういったところにも影響が出てくることがあると申し上げた。もう一つは、当然のことであるが、そういう手間のことはあまり考えるべきではないという言い方もあるかもしれないが、審査にかかる負荷がものすごく増え、非常に多くの人が毎年審査にかかわらなければならない。それはそれでピア・レビューの当然の義務であると思うが、一方で、いろいろなことをやらなければならない状況の中で毎年、審査に時間を割くことも、国全体から見たときの生産性からすると問題になるかもしれない。その辺もあわせて考えていく必要があるのではないかと思う。

【小林委員】
 もちろん、2年間で研究期間のサイクルが回るということになれば、それは各年度の応募数が多くなる方向に働くので、審査の負担が今以上に厳しくなることはあると思う。ただ、どの程度になるかというと、採択率がそもそも低いので、それほど大きな影響はでないのではないかという気がする。
 それはそれとして、私も家委員のご意見に賛成であるが、どうしても人社系などで研究期間の短いものがあったほうがいいという場合に、先ほどの年単価が上がってしまって採択数が減るという問題を避ける唯一の方法は、2年間で応募する場合には応募額の上限を500万円よりも下げる。平均に合わせるなら340万円ぐらいの数字になるかもしれないが、適当な数字に下げるという方法をとれば、一応、年単価が上がって採択数が下がることを避ける方法はあるかと思う。
 それと関係して、研究期間に合わせて総額を変えるという案を以前から日本学術振興会からは案の一つとして提示しているが、そういうことも考えてみようということであれば、それをもう少し時間をかけてご検討いただくほうがいいと思う。

【有川部会長】
 田代委員の、研究がかなり具体化してきているところで応募するから2年間でいいということであるが、その前の段階から計画してしまうことが当然あっていいと思う。それが入れられない理由というのは何か分野固有のものがあるのか。

【田代委員】
 基盤研究(A)と基盤研究(B)のどちらかで採択されていて、その一部の方たちは非常に研究が進んでいく場合がある。それが単独であと2年間研究費をとりたいというときに、基盤研究(C)に移ってとっていくケースがよくあるが、その場合、研究費は正直そんなにたくさん必要ない。今、小林委員が発言されたように、単価を下げても構わないと思う。2年間の場合は総額にして三百何万円とするという案も非常に結構だと思う。

【有川部会長】
 その際に、2年間でないといけないのか。3年間あると長すぎるのか。

【田代委員】
 科研費が採択されるまでに時間がかかるので、実質上半年かかるので、1年半だと思う。1年半でできる研究が、今までやっていればある。非常に計画が立てやすいことがあって、平成19年度には69.4%の人が2年間でやっているというのは、基盤研究(C)は具体的に研究ができ上がったものの取りまとめという形で応募しており、私も何回か基盤研究(C)をとらせていただいた覚えがあるが、とてもとりやすい、いいものだったが、3年間というのはちょっと長いというか、研究費はそんなに必要ないというのがあり、バラエティーが欲しい。

【有川部会長】
 平成19年度のブルーのところの分野別の内訳データはあるか。平成20年度以降、2年間のところがどうだったかということであるが、田代委員が発言されたことであるが、研究の仕方は非常にいろいろなやり方があるので、それが比率としてどのくらい入っているのかを見なければならないと思う。ケースがあまり多くないようであれば、どこかにまとめておく必要はあろうと思う。

【山下企画室長】
 基盤研究(C)の分野別の応募の割合であるが、最新の平成21年度のデータで、応募数が一番多いのが医歯薬学系で全体の約36%である。ちなみに、人文学が約8%、社会科学は約10%という割合になっている。
 なお、研究期間別でさらに分析したものは、手元にデータはない。

【有川部会長】
 ほかに意見はあるか。人社系のことが話題になっており、2年間があったほうがいいという意見があるがどうか。

【水野委員】
 大きな科研費も人社系もそれなりの配分をいただいている。研究によっては、人社系でも、大きな科研費が必要ないことはないとは思うが、今年度の新学術領域研究の審査結果などを見ていても説得力のある研究は典型的な人社系ではない場合が多くならざるを得ないように思った。本当は、人社系全体の科研費の使い方としては、大きな研究種目に与えるものをもっとそのまま低額の研究種目のほうに割り振って合格率を高くしていただければ非常にありがたいのではないか。大型のものも小型のものもみんな理科系と同じ枠組みであるので、そのことが人社系全体の研究資金の制度設計をいろいろおかしくしているような気がする。
 大型の研究科研費を人社系でとっても、効率的な使い方がされていなかった例が、かなりあるように思う。もちろん、例えば考古学のように、本当にお金がかかる研究もあるが、かつての大型科研を見ると、相当無理に企画を上げてきたという感じがする例もある。それより、本当は、一人当たりは少額でも合格率がすごく上がるほうが人社系の支援方法としてはいいと思っているが、今ここでの議論は、そういう大きな次元の話ではない。基盤研究(C)で理科系と人社系が同じ枠で、2年間がいいか、3年間がいいかという次元の議論なので、決心がつかないで発言を控えていたが、より根本的には、そういう大きな構造的な矛盾を感じている。

【有川部会長】
 基盤研究には、(C)、(B)、(A)といったものがあるので、既にそういったことに対する制度設計はできているという見方もできると思う。今日は、特に研究期間について集中的に議論していただいている。

【谷口委員】
 審査をする側の負担とか、事務的な処理とか、いろいろな負担があることは前提のもとに申し上げると、科研費の本来の趣旨というのは、研究者の自由な発想に基づく研究を支援するという制度であるので、研究者がどれくらいの期間で研究を達成できるか、達成したいかというのも自由な発想に基づいて行われるということであれば、1年間で終わる研究もあれば、どうしても5年間かかる研究もあるし、特に生物系は1年間で研究をまとめろと言っても大変難しいところもあるが、別の分野では必ずしもそうでないことが想像できるので、総合科学技術会議の取りまとめなどは十把一からげに「3年間から5年間とすべき」ということが書かれているが、文部科学省がこだわっているわけではないと思っているので、その辺はもしフレキシブルに考えることができるのであれば、研究者の自由な発想に基づく研究期間の設定ということにするのが一番いいのではないかと思う。その分野分野、研究内容によって研究期間も違うという視点は重要だと思う。しかし、だからといって、それをまたいじってしまうとおそらく負担がどこかに押し寄せるだろうと思うので、少し発言を差し控えていた。

【有川部会長】
 今のところある種の弊害というのは、研究期間内のトータルの額が一定で、研究期間のほうがフレキシブルであるので、単年度当たりの研究費をなるべくたくさんとろうとすると、一番短いところに殺到してしまうということがあると思う。先ほど小林委員から発言があったように、研究期間が短いものに関しては、研究期間にある程度依存するようなトータルの研究費といったことなどをうまく組み込むことができれば、今言ったことはかなり是正されると思う。ただ、いずれにしても、一般的にはなかなか理解してもらえないかもしれないが、公正な審査をきちんとやっていくということからすると、丁寧な審査をしなければいけないので手間がかかる。そうすると、国全体としてのパフォーマンスが落ちるということになっていくので、これについては実際に我々のこういった場でしっかり考えておかないといけないことだと思う。

【村上主任研究員】
 最後に発言された審査にかかわるルーティンのことであるが、日本学術振興会で審査員を選んで審査をやっており、研究種目にもよるが、大体1人当たり50件から100件ぐらいの負担をお願いしているというのが1つと、もう1つ、我々が審査員を選んでいて感じるのは、適切な審査員が不足してきている。選ぶのはものすごく大変であるので、もし3年間から2年間というサイクルをやるとすると、1人当たりの審査件数を増やすか、審査員に若い方も含めてやっていただくか、そういう負担は出てくると思う。

【佐藤委員】
 2年間がなくなったというのが具合が悪いという話が以前はドミナントだったが、今日伺うと、慎重論が随分増えているので、全体として2年間に戻そうということが少なくとも結論として出せないし、今のところ結論を出すのは難しいように思うので、今日出た利害得失をもう一遍整理して、次回はもう少し予算の様子もわかると思うので、そういうことも勘案して、あまり無理して決めないほうがいいような気がする。

【有川部会長】
 今日は議論していただくということで、結論をどこかに持っていこうというつもりはない。
 この問題については、とりあえず終わりということにさせていただきたいと思う。
 続いて、「科研費を巡る最近の動きと今後の対応」について、事務局において資料5をまとめていただいているので、それについてご説明いただいた上で、ご審議いただきたいと思う。

(2)事務局より、資料5「6.科研費を巡る最近の動きと今後の対応(検討メモ)」について説明を行った後、審議を行った。

【有川部会長】
 ただいまの件についてご意見をいただきたいと思うが、特に2ページから3ページにある研究成果を広く国民に伝えるための取組について、これは先ほどの参考資料の1「「国民との科学・技術対話」の推進について」に国や資源配分機関・大学等に求められる取組が列挙されている。科研費についても、こうした取組についてどこまで対応すべきかご議論いただきたいと思う。
 そして、科研費の研究種目の移管についてであるが、3ページの表にあるように、合計3種類のやり方が混在しているが、それをどうするかということについて1つの方向が示されているが、それについてご議論いただきたい。
 それから、7ページは参考資料2で指摘されたことであるが、研究成果報告書の提出について、それをやっていない人に対してどういう措置をとるべきかこれもある方向を1つ示していただいている。
 この主に3つの点についてご議論いただければと思う。

 最初の科研費の重要性を国民に伝えるための取組について、何か意見はあるか。これは先ほどの参考資料1の4ページに「想定する「国民との科学・技術対話」の例」ということで、1から5まで示してあり、3,000万円以上の公的研究費を受けている場合はやるということであるが、本来、これまでも特に国立大学であれば法人化後は社会とのことをかなり意識して、実にさまざまな段階でアウトリーチ活動、小・中・高等学校に行って授業をしてみたり、公開講座みたいなものを行ったり、サイエンスカフェをやったり、実にさまざまなことをやっているし、非常にアクティブな研究者のホームページを見ると、そこではアウトリーチ活動を明らかに意識したような活動も既に行われている面もあろうかと思う。ここでは、そういったことをもう少し組織立ててやるべきだということだろうと思う。
 同時に、5番目のところに書いてあるが、今はまさにネットワーク社会であり、かなり効率的に、関心のある若者たちはほとんどインターネット経由でいろいろなものを見るので、例えば5番などはなお書きであるが、むしろこういったものを積極的に活用するということが、特に国民とか若手も含めて考えると大事なことではないかという気がする。

【家委員】
 しばらく前に報道でこの話を聞いたときに、何とも割り切れない、寂しい感じがした。つまり、こういうことが必要だとか、国民の科学リテラシーの向上とか、成果のアウトリーチとか、大事なことはわかるが、公的研究費を何千万円以上もらったらこれを義務づけるという発想とはなじまないものではないかと思う。
 特にこれだけの大きな研究費を獲得しておられる方というのは、今、非常に旬でアクティブに研究活動をやっておられる方々で、その研究を深くやってもらうために大きな研究費を配分しているので、もちろんそういう人たちも意識を持ってアウトリーチ活動をやることは大事であるが、それを義務づけることがいいことなのかどうかというのは、大いに疑問で、非常に暗たんたる気持ちになった。
 それは科学者コミュニティー、あるいは学術コミュニティー全体として考えればいい話であって、たくさん研究費をもらったから義務づけるという発想は非常に寂しいということと、もう1つは、アウトリーチ活動を非常に簡単な片手間仕事のように思っているのではないかということがあって、本当にやろうと思うと相当準備が大変なので、決して片手間でできる話ではないと思う。

【水野委員】
 今、家委員が発言されたことと同じことを感じたのだが、研究成果報告書が出ないと責められているが、不正使用ではないのにという気がしてならない。研究者は研究費も必要であるが、一番貴重なのは時間である。もちろん税金で研究をさせていただくわけであるので、それなりのきちんとした手続はしなくてはならないという大前提には同意するが、それが結局研究の足を引っ張ってしまってはいけないと思う。私も国立大学法人に帰属しているが、法人化して以来、行政仕事や会議の山で、研究時間が失われている。運営経費削減の中で競争的資金を獲得することが必須となったものの、応募のために膨大な時間がかかるし、ヒアリング審査まで行くと、さらにそのための準備はものすごく手間暇がかかるが、競争率の高い科研費では、それが採択されないということになると、その応募のために費やした時間はすべて失われたことになってしまう。それぐらいなら、応募するよりも研究時間を貴重にしたいと、むしろ優秀な学者が判断する場合もある。
 それから、応募のみならず審査にも人手とお金がかかる。大きな運営負担を伴う研究資金、グローバルCOE系のものに採択されると、その運営のために多大なエネルギーを使ってしまって、結局研究資金を得たがゆえに研究ができないというカフカ的不条理に陥ってしまったりもする。国費に余裕がなくなり、広く研究支援ができなくなったために、アメリカ型の競争的資金の仕組みを輸入してきたといえるだろうが、彼我の違いを考える必要があったのではないか。アメリカは研究以外のもろもろの行政仕事をサポートする体制が非常にしっかりしていて、本当に最先端の研究をしている方は24時間朝から晩までそれに没頭することが可能で、それをサポートする体制が周りにあるわけであるが、日本の場合はそれがないので、まさに家委員が発言されたように、最先端の方がそういうことで時間を失って、研究ができなくなってしまう。
 大学のコミュニティーの中では、例えば行政仕事はしたくないというわがままな方でも、ものすごく優秀な方であれば、みんなで彼の性格に耐えようと言い合って周囲がサポートするというケースはあるが、国全体で工夫の余地のない強制的で義務的な枠組みをつくられてしまうと、そういう周囲の努力では追いつかなくなってしまう。国民の理解を得なくてはならないということはあるが、やはり研究というものがどういうものであるのかについても、我々は発信していかなくてはならないのではないかという気がする。

【有川部会長】
 基本的に同じような意見であるが、もう1つ、3,000万円以上という大きな研究や目立った仕事をされた場合には、一般の新聞が関心を持って、記事になったりするということがある。そうすると、そういったことを通じて国民が広く知ることにもなるわけであるが、そのようなことも含め、基本的にはかなりの部分やられているのではないかと思う。
 それから、例えば参考資料の1に小・中・高での特別授業とあるが、これは相当準備したものを持っていかないと、先方もかなり迷惑だと思う。先ほど家委員が発言されたように、きちんと内容がわかるようなものを準備するのは非常に大変なことだと思う。一方で、税金を使ってやっていることだから、どんな視点からの意見に対しても耐えなければいけないが、そういったことに対応していたために、本来の研究の進展に支障が生じるということではどうしようもないと思う。

【三宅委員】
 研究をしている本人が、内容を知らない人たちに説明をするのにベストな人かどうかということがあると思う。いわゆるサイエンスインタープリターとか編集の力のある人がものをまとめて表現してくれると、アウトリーチもできると同時に、こういうふうに説明されるのかというフィードバックが研究をやっている人のほうにも返ってくるので、そういうシステムが回るようなことを本来は考えるべきなのではないかという気がする。
 研究成果報告書の提出を義務づけるというところも見ながら思ったが、「締め切りまでに出せばいい」、「こういう形のフォーマットで書けばいい」ということになると、それを見て他の方がどのぐらいわかるかという、要するに何人の方がこれを読むのかということとは別に作文をするということが起きてしまう。もしそうなれば、その時間は明らかにもったいないということになると思う。

【岡田委員】
 研究者は時間が大事だと発言されたのは、確かにそのとおりだと思う。そこは反対ではないが、今回のこれはわからないが、前々回の最初の事業仕分けのときに研究者が何をやっているか見えてこないということがあまりにも強く言われて、それに対する1つの対策というか、自衛手段としてそういうことを少し言われ始めているのではないかという気がする。そういう精神そのものは悪いことではないと思う。
 実際に研究者がこういう研究をやっているというのは、いろいろな方に知ってもらいたいという意欲はみんな持っていると思うが、そこで2点意見があり、1つは研究費をもらったということを宣伝しても仕方がなくて、どういう成果があったかという、成果に関して発信するのはいいと思う。例えば、その成果が出る前に私は何千万円の研究費をもらっているという発表の仕方をしたところで、それは別に何の意味もないと思うので、成果が出たときにやるということになればいろいろなやり方もあるし、既に有川部会長が発言されたような新聞報道など、いろいろなことがあるので、かなりやっているという気がする。

 それから、もう1つはやはり水野委員が発言されたような、研究者個人がいろいろなことをやるというのは非常に難しいし、慣れていない場合には大変だろうし、それは研究機関のほうでそういうサポートをきちんとつくっておくということが重要だと思う。そこに対して何らかのサポートをきちんと行うとか、研究機関に対してそういうことをやるように間接経費の一部を回すとか、そういうことをやって、その中で研究者は成果が出たときに、最小限度でこのことだけ伝えたいということをきちんと言うと。それはある種のトランスレーターが言う場合も大事だと思う。
 私たちの研究所でも、論文が出たときに成果報告書を出してもらうが、研究者が書いたそのものを新聞記者に渡しても全然理解されない。一種のトランスレーターが必要だというのがよくわかって、実際にはそういう例もたくさんあるので、そういう人を育てていくことと、そういう仕組みをつくっていく。それはやはり研究機関ベースでやるべきだと思う。

【有川部会長】
 すべてではないが、広く国民に知らせたら非常に意味があるというものがあると思うので、そういったものを幾つか適当な方法で選んで、活動するといったことなのではないか。

【佐藤委員】
 今までのご発言はよくわかるが、そのまま世の中に返したら、多分通用しないだろうという気がする。全体としての研究費などのトランスペアレンシーが求められているという傾向は社会的にも随分高いし、もともと我が国は研究費について交付金のような形で天から降ってくるような感じがあるが、これはコントラクトで、自分はこれだけのことをやりますという申し出をしてお金をもらっているわけであるので、それにこたえる義務はあると思う。
 それが前提であるが、世間の相場というものもあるので、世界の中で大体どういうプラクティスなのかというのがわかればもう少し考えやすいような気がするが、これはわかる範囲で教えていただければありがたいと思う。

【田代委員】
 日本学術振興会から送っていただく資料の中に、科学研究費をとった方ですばらしい研究をしている方の顔写真が入っているものがあると思う。本当に誇らしげに皆さん報告なさっていて、そういうものをもっと拡大できないのかと思う。非常にすばらしい研究が行われているということを認められ、そこに掲載されている。分野は全然違っているが読ませていただき、素人にもわかる形で書いていただいている。もし何か成果を求められて、時間が惜しいということはあると思うので、あの辺をもう1つ拡大してやってみるといいのかもしれない。

【有川部会長】
 さっき私のほうで言ったこともあるが、幾つかのものについて新たに何かを始めてもいいと思うし、ネットワーク時代であるので、自分たちのホームページに一般の小・中学校、高校生向けのページを入れておくというぐらいのことをやれば、かなり見えてくると思う。そういう活動は、実は多くの方はもう既になさっていると思う。

【谷口委員】
 こういう場所でこういう議論をされるというのは非常に重要なことだと思うし、文部科学省の研究費部会で意見交換はよろしいと思うが、ここで受けとめなければいけないことなのかどうかよくわからないことがある。やはり1つの責任というのは科学者コミュニティーにあるのではないかという気がする。私も家委員と同様で、こういう文章を読まされると暗たんたる気持ちになる。

 ただ、暗たんたる気持ちとはいえ、一方では先ほど佐藤委員の意見にもあったように、世の中の流れが大きく変わっているというのもおそらく確かだと思う。大学が国にしっかり守られていて、大学で研究をすれば世の中の役に立つという認識から大きく考え方の転換というか、事業仕分け等にも象徴されるのかもしれないが、やはり社会の負託にこたえるためのサイエンスという流れというのは、大きく潮流が変わりつつあるということを実感する。
 そういう中でこういうことが求められているので、その中には我々に答えやすい問題と、それから学術研究、基礎研究のように、なかなか簡単には答えにくい問題もあると思う。特に科研費の問題というのは、非常に評価が難しく、ノーベル賞受賞者が出たとか、そういうことで入れても、実際の別の数値で何ができるかというのは大変難しいところもあるが、こういう問題こそ、やはり大学人も少しプロテクトされ過ぎてきたというか、もっとサイエンスコミュニティーがしっかりしてこういうものに対して対応し、国に対しても、社会に対しても対応していかないと簡単に解決できない問題ではないかと思う。下手に迎合すると、やはり特定のサイエンスだけがドミナントされることにもなりかねないし、かといって何もしないと立ち往生になってしまうという、大変厳しい状況にあると思う。
 我々研究者はそこをしっかり認識して、コミュニティーとしてしっかりとした発言をしていかないと、こういう問題はなかなか解決しないのかなと思う。

【有川部会長】
 かなり議論していただいたと思うので、この部分についてはこのくらいにしたいと思う。科研費関係であるが、文部科学省から日本学術振興会のほうへの研究種目の移管についてということであるが、この辺についてはどうか。

【家委員】
 前の件の参考資料1であるが、これは総合科学技術会議で決定されたということでよいか。これは行政的に拘束力のある話になるのか。つまり研究費部会では、科研費制度で義務化しなければいけないのかどうかを議論しなければならないのではないのか。

【山口学術研究助成課長】
 参考資料1であるが、「基本的取組方針」という表題がついており、右下のほうに日付と科学技術政策担当大臣と総合科学技術会議有識者議員という名前になっていて、科学技術政策担当大臣と有識者議員の方々がこういうものを取りまとめられたという資料になっている。
 政府として閣議決定をして政府全体で守っていかねばならないという拘束力があるわけではないが、総合科学技術会議の有識者議員と科学技術担当大臣の考えをまとめられて、関係機関に対してこういうことを求めたいと言われているので、義務ではないが、考慮した上で、しかるべく対応する必要があると思う。

【家委員】
 もちろん基本的考え方として別に反対するものではないので、いかに要領よく取り込むかの問題だと思う。

【有川部会長】
 これは当然何らかの形で反応しなければいけないことだと思う。

【三宅委員】
 もしそういうことであるならば、参考資料1に載っている例が一番適切な事例なのかどうかということは、少し考えたほうがいいのではないかという気がする。日本で必要であるが、案外行われていないのが、研究をやっているプロの人たちが、自分たちの持っているデータと自分たちのロジックでどういう結論が出るのかということを、知りたい人がいたらわかるところに置いていくということが、日本の中で非常にないと思う。そこを飛び越して、小学生にわかるように説明するという随分何段階も飛び越してしまった話ばかりが例に出てくるという印象を持ったということだけ発言しておきたいと思う。

【谷口委員】
 参考資料1であるが、これは公表資料と考えてよろしいか。

【山口学術研究助成課長】
 公表資料である。

【谷口委員】
 さっき私はコミュニティーと申したが、いろいろなところでこういうことに関する議論があり、かつしかるべき提言があるということが望ましいので、大変いい参考資料であるとポジティブにとらえて、日本学術会議等々でしっかりと議論をしていただきたいと思う。それに対する提言とか、しっかりしたものを出していただきたいと期待する。

【有川部会長】
 今日出していただいたご意見であるが、これはすべてそれほど矛盾したものではないと思う。その中で、どこかできちんとした方向を出していくということをするのだろうと思う。今発言があったように、日本学術会議やそれぞれのコミュニティー、学会等でも議論していただければと思う。いきなり小学校ではなくて、興味のある人にはわかるようなところに置くとか、ある程度もう既になされているそのような活動をきちんと位置づけるとか、あるいは既に日本学術振興会で出されている冊子などを拡充するという方法もあるし、かなり伝統があるが、研究成果公開発表のシンポジウムなどかなり伝統的があるものもある。これは国際会議であったり、あるいは小・中・高校生に対してアウトリーチ活動をやったりということは既にやっているので、そういったものを使うなど、手段はいろいろあると思う。

 しかし、こういったやり方というのは、事業仕分けの結果からもわかるように、今の政治のやり方と合うので、我々としても何らかの形で反応しておかなければいけないと思う。
 それから、科研費の応募・審査、あるいは交付の事務が3ページにあるような状況になっているが、なるべく早い時期に日本学術振興会のほうに移管して一本化すべきではないかということいった方向性についてまとめられているが、これについて意見はあるか。
 文部科学省で絶対やらなければいけない理由があるのか。第1種科研費とか第2種科研費の交付が文部科学省でなされているが、これを日本学術振興会に移管するとして、何か問題があるか。

【山口学術研究助成課長】
 この点については、この前のページにも(2)「事業仕分けへの対応」というタイトルで書いているが、やはり事業仕分けの中で、なぜ日本学術振興会と文部科学省に分かれているのかという議論があり、特に日本学術振興会で審査をし、文部科学省で交付事務を行うというのは非常にわかりづらいと。日本学術振興会はもっと独立性を高めるべきであるというご指摘が事業仕分けの中であった。
 その中で、私どもとしては、基本的には移管を進めており、これについては順次移管を進めていきたいと事業仕分けの中で既に申し上げている。方向性としては既に申し上げているところである。

 その意味で、4ページの一番上の1の部分については、方向性として移管していくということ。それから2の部分、特にわかりづらいところについては早急に対応していくという部分については、既にある程度事業仕分けのところで言っているので、それへの対応を進めていくということを申し上げている。
 したがって、私どもとして、ここは絶対に譲れないとか、ここは絶対困りますということは今のところない。むしろ方向性として出させていただきたいということである。

【有川部会長】
 これは特に問題はないと思うが、少し問題があるとすると、独立性とか、あるいは文部科学省がその際にどうかかわっていくのかということである。基本的な政策に関しては文部科学省のほうでやらなければいけないという部分は当然残るだろうと思う。
 それではもう1つ、7ページの研究成果報告書のことであるが、これは報告書を出すということが義務になっている。数日前に新聞で発表されていたが、出さなかった人がこれだけたくさんいたのかと思った。これは当然やらなければいけないことであって、そういうものを出していない人には交付しないというぐらいのことは言っておかないと社会的にも説明がつかないということで、これはこれでいいのではないかと思うが、どうか。

【家委員】
 1つお聞きしたいが、今、事情があって少し報告書の提出が先になるという場合に延期願というのがあるが、利用者はどのぐらいいるかご存じか。
 そういう事情がある場合には、そういう制度が整備されているにもかかわらず、未提出者がこれだけいたというのは、全体的には1%ぐらいか。

【渡邉研究事業部長】
 会計検査院が指摘した当時は、研究成果報告書を国立国会図書館に献本するという形であり、研究期間終了の翌年度の6月末までに出しなさいと定められていた。それに間に合わない方は1,000人強いて、そういった方からは、経過報告書で理由が出てくるということである。
 それで、研究成果報告書の様式を平成20年度から簡易な形に変更しており、国立国会図書館に献本するのではなく、3枚、4枚の形で概要を作成いただき、それを国立情報学研究所の科研費データベースに全部載せるという形にしたところ、出てこなかったというのが半分ぐらいに減って500ぐらいになった。それも基本的には提出できない理由をいただくという形になっている。
 この会計検査で指摘されたものは、理由があるにしても、2年も3年もずっと延ばしているというのは理由にならないだろうということを指摘されたということである。

【有川部会長】
 もう1つの資料3であるが、当面講ずべき措置についての報告、見え消し版があるので、これについて簡単に説明していただき、少し議論していただきたいと思う。

(3).事務局より、資料3、「科学研究費補助金に関し当面講ずべき措置について(報告)(案)【見え消し版】」について説明を行った後、審議を行った。

【有川部会長】
 前回議論したものを反映させる格好で見え消し版を用意していただいた。

【山下企画室長】
 あと1点だけ補足があり、24ページの最後であるが、先ほどご議論いただいた基盤研究の研究期間については、今日の議論を踏まえて、さらに追加でここに記載させていただく。
 それから、「科研費を巡る最近の動きと今後の対応」についても、今日のご議論を踏まえて資料を修正して、さらに6.として追加していくという形でまとめていきたいと考えている。

【有川部会長】
 時間はあと5分程度あるのが、何か意見はあるか。
 これは前回までの議論を反映させたということで、この後に、今説明いただいたように、4.や5.として議論していただいたものが追加されるということである。それも入った段階で、またもう一度検討していただく機会を設けたい。
 特に発言なさった方で、ここはこういう趣旨ではないというご意見があれば、ご指摘をいただければと思う。
 後で4や5というところに加わるべきものが追加されると思うので、次回にもう一度全体を見ることにしたい。

 時間になってしまったので、本日の審議はこれで終わりたいと思う。本日は、基盤研究の研究期間のあり方について、資料4に基づき審議をいただくとともに、研究成果の社会への公開や研究種目の移管等の問題についてご議論をいただいた。これらを盛り込んだ形の報告書案を用意させていただき、委員の皆様にその案をお送りして、ご意見をお伺いするということになると思う。そして、次回の会議で審議していただきたいと思う。

(4)その他

 事務局から、次回の研究費部会は7月27日(火曜日)10時30分から開催予定である旨、連絡があった。

(以上)

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