【4】大学・大学共同利用機関における研究基盤の充実

(研究施設・設備の整備)

○ 大学・大学共同利用機関の研究施設については、「第二次国立大学等施設緊急整備5か年計画」に基づいた取組や私学助成などを通じて、耐震化等の老朽再生や狭隘化への対応等を重点的に進めている。今後も、独創的・先端的な学術研究を推進するため、その基盤となる施設について、教育研究のニーズ等を踏まえた施設の高度化・多様化といった質的向上を進めていくともに、併せて、安全・安心な環境の確保や地球環境への配慮といった基本的条件の整備を図る必要がある。このため、国立大学・大学共同利用機関について、第2次5か年計画に次ぐ新たな施設整備計画を策定するとともに、私学助成の充実を図り、大学における研究施設の計画的な整備に必要な財政措置を行うべきである。

○ 国立大学や大学共同利用機関においては、世界最先端の研究を推進するための研究設備の整備を図ってきたが、その一方で、研究開発の大規模化・複雑化に伴う設備の大型化・高度化や、運営費交付金・施設整備費補助金の減少傾向の中にあって、こうした設備の計画的な整備や維持・更新に必要な経費負担の確保が困難になりつつある。第4期科学技術基本計画においては、こうした状況を反転させ、世界最高水準の研究成果を持続的に生み出す重厚な研究基盤を整備する必要があり、このため、基盤的経費を確実に措置することが重要である。また、当面、限られた資源の有効活用の観点からは、特に大型の研究設備について、地域単位で整備を進めることも含め、その目的・用途・規模等に応じた計画的・効率的な整備・更新を進めていくことが必要である。

○ また、大学・大学共同利用機関において研究設備の一層の有効活用を進めることも重要であり、このため、大学間連携により研究設備を相互利用するための体制を構築したり、設備の保守・運用・整備を行い、共同利用のオペレーションを可能とするため技術職員を確保する等の方策を講じる必要がある。

(研究情報基盤の整備)

○ 学術情報ネットワークは、我が国の大学等における学術研究と教育活動の全般を支える情報ライフラインである。先端的学術研究の推進、連携に不可欠な最先端ネットワーク基盤として重要な役割を果たすものであり、その整備・拡充を進める必要がある。

○ 特に、高度化・多様化しながら増大していく学術情報に対するニーズへの対応を図るとともに、高度な学術連携基盤の整備を進めるなど、安定的かつ信頼性の高いネットワーク環境の更なる向上に向けた取組を着実に推進することが求められる。また、これらの取組と併せて、情報ネットワークの維持・運用などに必要な人材育成や人材の確保に向けた取組を推進することが必要である。

○ さらに、近年、大学図書館における電子ジャーナルの利用可能な数、種類、経費が大きく増加しており、図書館資料費に占める割合も年々増加している状況であるため、その効率的な整備を図るべきである。

○ また、学術研究の成果は人類にとって共通の知的資産であることから、その内容については、必要とするすべての人がアクセスできることが望ましい。オンラインにより無料で制約なく論文等にアクセスできる「オープンアクセス」を推進することが求められる。

○ このため、大学・大学共同利用機関における情報発信を積極的に進めるための取組を一層進める必要がある。また、我が国の学協会の国際的な情報発信力を強化するため、学術雑誌の電子化を一層推進するほか、学協会が刊行する学術雑誌の国際競争力の強化に向けた取組を推進することが必要である。

(文献・資料、研究用材料等の体系的な整備)

○ 学術研究の過程で収集された、図書等の文献・資料、生物遺伝資源等の研究用材料等は、知的資産として物あるいは情報の形で蓄積されることになるが、それだけでは多くの研究者に活用される研究基盤とはなりえない。多くの研究者に活用される基盤とするためには、蓄積された知的資産が体系化され、それが広く供用可能とされている必要がある。

○ このような観点から、大学図書館等の整備・充実を図るとともに、大学・大学共同利用機関と資料館や博物館等との交流関係を深め、様々な資料を有効に共同利用することについて検討すべきである。また、研究用材料やデータベースの体系的な整備を促進するべきである。

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研究振興局振興企画課学術企画室

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