資料1 「人文学・社会科学の現況と日本研究の将来」(国際日本文化研究センター所長猪木武徳先生御発表資料)

2008年6月11日
猪木 武徳

 研究者の養成なのか、学部・大学院の教育問題なのか、教育・研究の平均値を挙げるのか、最大値を見つけ育てるのか、など、区別すべき問題は多いが、ここではそうした違いに特に留意することなく、議論の素材を提供したい。

1.人文学・社会科学と「学問の自由」

1)「樽のディオゲネス」の逸話‘Stand out of my sunshine’(J.Bentham)
 Serendipityの可能性への配慮

2)学問の自由と終身在職権(テニュア)、成果主義の問題

3)一部の学問の“イベント”化と装置産業化(お金と時間のトレードオフ、自然科学・工学系との違い)

2.自然科学系との大きな違いは、素人とプロの差が、一般の目には見分けにくいこと「基礎的訓練」を受けているか否かの差

1)米国式研究者養成のポイント(文理を通した)

  1. 基礎訓練を徹底的に行う
  2. 専門への特化のタイミングが遅い
  3. 原典重視
     →問題の大小軽重の判断に優れている、研究テーマを柔軟にシフトできる

2)古典学全般、あるいは歴史や哲学を「通史」として教授できる人がいるか

3.いま日本研究は…(「研究協力」の意義を考えつつ)

1)核の部分の後継者問題と周辺部分の衰退

2)日本研究の様変わり

3)投資期間の短さ

お問合せ先

研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)