国立社会保障・人口問題研究所(厚生労働省)

(※以下は、国立社会保障・人口問題研究所のHPより抜粋)

研究所の概要-沿革

 少子高齢化や経済成長の鈍化により、人口と社会保障との関係は以前に比べて密接となり、両者の関係を総合的に解明することが不可欠となってきました。厚生省は時代に応じた厚生科学研究の体制を整備するため厚生省試験研究機関の再編成を検討し、平成8年12月に厚生省人口問題研究所と特殊法人社会保障研究所を統合し、国立社会保障・人口問題研究所を設立しました。平成13年1月に省庁再編により厚生省と労働省が統合し、厚生労働省が設立されました。本研究所は、これまでの研究分野に加えて労働分野をも視野に入れつつ、人口研究・社会保障研究はもとより、人口・経済・社会保障の相互関連についての調査研究を通じて、福祉国家に関する研究と行政を橋渡しし、国民の福祉の向上に寄与する事を目指しています。

研究プロジェクト-より豊かな社会に向けて-

社会保障総合モデル事業(平成16年度~18年度)

 本研究では、社会保障制度に関するさまざまな改革案について、モデルを活用してその実行可能性も含めた試算を行い、比較検討しています。

医療等の供給体制の総合化・効率化等に関する研究(平成16年度~18年度)

 高齢化の進展や経済基調が変容する中で医療制度改革が喫緊の課題となっています。これまで医療制度改革の主眼は医療保険や診療報酬の改革に置かれてきましたが、質の高い医療をより効率的に提供するためには、医療(隣接領域である介護や保険を含む)供給サイドの改革が不可欠です。本研究は、医療供給体制のあるべき姿(グランドデザイン)を明示したうえで、実態との乖離とその原因等の実証分析、グランドデザインを実現するための政策手段の検討などを行うことを目的としています。医療供給体制は沿革、人口・地理的特徴、医療資源の分布等の差違があるため、国ごとに大きく異なっているだけでなく日本国内でも一様ではありません。このため、理論的検討のみならず、包括的な医療等の提供が行われている先駆的な地域のフィールドワークや他の先進諸国との比較をも踏まえ、医療等の供給構造を実証的に分析するとともに実現可能性のある施策提言に結びつく研究を進めています。

社会保障における少子化施策の位置付けに関する研究(平成15年度~16年度)

 本研究においては、政策分析とともに、社会調査として「親子世帯間の援助の実態と意識に関する調査」を、高齢者世帯からその孫のいる成人子世帯への援助と成人子からみた老親世帯との援助的関係を双方から明らかにするために実施しました。この調査によって、経済的および世話的援助は娘と実親の間により密接にあり、息子の実親からの支援は少なく、支援のある場合は息子が家事・育児に関われない状況にあること、また、親から成人子世帯への生前贈与の影響は住宅取得時期を早めることがわかりました。子育て支援についての意識に関する調査からは、高齢者世帯はより家族の支援に重きをおいている一方、成人子世帯は社会的支援を期待していることがわかりました。このように少子化対策に、家族間の援助関係をどのように位置づけていくかについての議論の基礎資料を与えた研究です。

介護サービスと世帯・地域との関係に関する実証研究(平成14年度~16年度)

 この研究は、介護を生活実態の面から明らかにし、同居のみならず別居の親族や地域とのつながりを考察することを目的としています。研究の中心として、高齢者に対するアンケートを実施し、その結果、次のようなことがわかりました。

  • 介護保険施行後においても家族・親族は最も信頼する支援ネットワークであること。
  • 男性は配偶者によって介護が提供されることが多く、女性は配偶者のみならず子どもやきょうだいといったより広範な親族の支援ネットワークを持っていること。
  • 近所づきあいは女性の方が活発で男性は地域とのつながりを持たないままで高齢期を迎えているといったことが、高齢期における生活実態の違いに反映していること。

 このような実証研究の結果、高齢者によって高齢期における疾病、介護者への対応の状況に違いがあることを示しており、今後、行政がどの程度支えて公的保障を提供していくかを明らかにする上で基礎的資料となるものです。

少子化の新局面と家族・労働政策の対応に関する研究(平成14年度~16年度)

 本研究は、出生率低下の新たな局面について、結婚や出生動向を人口学、社会学ならびに経済学などの学問的な見地から総合的に研究し、少子化の論点(仮説)を実証的に検証することを目的とし、少子化への対応について家族・労働政策の観点から、政策的含意を導き出すものです。
 具体的には、結婚過程の把握、離婚(夫婦出生力低下要因)の影響効果の把握、人口学的行動(出産タイミング)変化の持つ効果の測定など人口学的解明を行ったうえで、妻の就業行動と出産・育児、同居選択と妻の就業、雇用機会の拡大、教育費負担との関係の把握、結婚・出産退職と逸失所得、女性の就業と育児にかかわる機会コストなどの解明と施策効果の検証、地方自治体別の特性と結婚・出生に対する意識と行動、および少子化対策ニーズに関する調査分析を行いました。

お問合せ先

研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)