経済社会総合研究所(内閣府)

(※以下は、経済社会総合研究所のHPより抜粋)

経済社会総合研究所とは

 経済社会総合研究所(Economic and Social Research Institute:以下ESRIという)は、中央省庁再編の一環として従来の経済企画庁経済研究所の機能、規模を拡充して2001年1月に発足した内閣府の機関です。
 内閣府は重要課題を担当する「知恵の場」ですが、ESRIは内閣府のシンクタンクとして理論と政策の橋渡しを担う、いわば「知恵の場」の中の「知恵の場」といえます。
 ESRIの主要な任務として、経済活動、経済政策、社会活動等に関わる理論及び実証研究を行い、政策研究機関としての機能強化を図るとともに、内部部局と連携し、経済財政諮問会議の審議に資する研究や、政策研究を担う人材育成・研修等に取り組んでいます。また同時に、GDP(国内総生産)統計に代表される国民経済計算体系(SNA:System of National Accounts)の推計作業を行い、四半期毎のGDP速報(QE:Quarterly Estimates)及び年度毎の確報を公表、さらには、DI(景気動向指数)等の景気動向統計の作成を行い、公表しています。

関連法令

中央省庁等改革基本法(平成十年六月十二日 法律第百三号)(抄)

第12条
 6 経済企画庁に置かれている試験研究機関は、内閣府に移管し、内閣府の内部部局と連携して機能するようにするものとする。

内閣府本府組織令(平成十二年六月七日 政令第二百四十五号)(抄)

第43条 経済社会総合研究所(以下この条において「研究所」という。)は、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 経済活動及び社会活動についての経済理論その他これに類する理論を用いた研究(大学及び大学共同利用機関におけるものを除く。)を行うこと。
 二 国民経済計算の体系の整備及び改善を行うこと。
 三 国民経済計算を作成すること。
 四 本府の所掌事務に関する研修を行うこと。

現在の研究テーマ

(平成19年3月現在)※HPより抜粋

時々の政策課題への対応・長期的視点に立った基礎的研究

 経済社会総合研究所では、各研究プロジェクトを7つのコア・プロジェクトの中に位置づけ、内閣府内関係部局及び府外の関係機関と連携をとりつつ実施しています。

コア・プロジェクト名 研究テーマ 研究概要
1.国民経済計算の改善・拡充・活用 資本ストック統計 資本ストック統計のフレームのあり方の研究、ストック統計データ試算を作成・検証する。
労働生産性推計手法 SNAと整合的な労働生産性の推計方法を、マクロ及び産業別の年次系列、マクロの四半期系列について検討する。
2.財政金融政策の効果 短期日本経済マクロ計量モデル 短期日本経済マクロ計量モデルの改訂を行う。
貯蓄率 貯蓄率低下に影響を及ぼす要因について、高齢化と社会保障制度の観点から分析する。
多数の予測機関、エコノミスト等の経済に関する予想を用いた期待形成の研究 インフレを含む将来展望について、期待形成の理論的研究で示されてきた幾つかの理論仮説を実証的に検証することで、過去の専門家の期待が合理的かどうか、専門家間の形成形態が「シグナル抽出型(signal extracting)」と呼ばれる形態をとっているかどうか等を分析する。
国際共同研究(マクロ経済) 少子高齢化の下で持続的成長と財政再建をいかに達成するかについて研究する。
90年代デフレ研究 90年代以降のデフレと歴史的デフレの比較による財政金融政策の効果の研究を行う。
財政再建が所得格差に与える影響に関する研究 高齢化の進行下において、財政再建・公的年金改革といった政策変更が、世代間所得格差や世代内所得格差にいかなる影響を与えるのか、マクロ経済への影響という視点も踏まえ、定量的に把握する。
地方財政 地方財政規律と地方債の課題を検討する。
財政政策 持続可能な財政の確立に向けた我が国税制のあり方、歳出歳入一体改革に関する研究を行う。
FTAの経済効果分析 FTAの経済効果について、応用一般均衡モデルを用いて分析する。
金融分析研究 90年代における銀行危機と企業パフォーマンスの関係に関する研究を行う。
家計の消費・貯蓄行動研究 家計調査の個票データを用いて、世帯の消費行\動を記述する方程式群の推定、各種の情勢変更に対する世帯消費行動の反応のあり方を分析する。
公共部門の効率性 諸外国の改革の事例を踏まえた効率的な経営管理手法に関する研究を行う。
量的緩和政策の効果 金融政策のフレームワークの整理・検討を踏まえた上で、量的緩和政策の効果を、理論的・実証的に検討する。
景気指数採用系列に対する各種季節調整法研究 各種季節調整法の導入・運用に際しての各種課題に対応するための研究を行う。
3.科学技術と経済政策
科学技術と経済(国際共同研究を含む) 官民の科学技術研究が経済成長や豊かな国民生活にどのように寄与しているか定量的に把握する。
・産業連関/技術分析
・将来技術に関する経済社会的条件の調査研究
・イノベーション測定方法の開発
・イノベーション事例等調査研究
・科学技術イノベーションの経済的分析
科学技術と社会(国際共同研究を含む) 科学技術と社会の関係について研究を行う。特に、将来ビジョン、社会システムに注目した調査分析を行う。
・知識社会研究
・社会イノベーション研究
ポスト京都議定書における経済・環境政策のための調査研究 エネルギー・バランス表等のエネルギー統計をSNAと整合的に利用する手法を確立し、政策研究、シナリオ分析への実際のインプットのための技術情報の収集を行うとともに、データベースの整備・改良、経済・環境政策のための経済・環境の総合的なモデル分析を行い、ポスト京都議定書の経済・環境政策のあり方を探る。
4.不確実性・リスク・資本市場 防災と経済 地震等の災害リスクを経済的に評価するとともに、災害発生時における緊急的な経済・金融政策を研究する。
M&A 持続的経済成長に向けてのM&A機能の円滑な展開のための諸課題、即ち地域活性化・クロスボーダー投資・企業価値・ガバナンス・雇用・経営を含めた人材育成・敵対的TOB等の検討を行う。
企業犯罪 業法における罰則・行政処分法規数の推移や、企業犯罪に関する報道数の変化についてデータ収集し、実際の企業犯罪(不祥事)の動向について検証する。
個人破産・多重債務研究 消費者金融問題について、破産や多重債務化に影響を与える要因について分析する。
パブリック・コミュニケーション 政策情報についての双方向性のコミュニケーション(パブリック・コミュニケーション)の確保について検証する。
5.少子高齢化と経済政策 少子化問題 諸外国におけるアンケート調査等を活用し、少子化の要因や政策の効果に関する研究を行う。
幸福感と少子化研究 人々の幸福感の内訳やそれらが幸福感に与える影響の程度、家族形成がなされることによる幸福感の変化といった点を分析する。
人事・労務戦略と組織の効率性に関する実証分析に関する研究 ニーズが多様化する労働力と組織を前提に、雇用・人事戦略の視点から、どのような環境条件が企業内労働市場の効率性および組織効率を高めることに寄与するのかについて分析・検討する。
90年代以降の日本の労働市場に関する研究 90年代の労働投入量の減少が制度変更によるものであったのか検証するとともに、労働投入量の調整 が雇用調整を通じて行われてきたのか、労働時間調整を通じて行われてきたのかを検証する。さらに、こうした変化を受けて企業にとっての賃金の下方硬直性が 緩和されてきたのかどうか併せて検証する。
所得分配問題 少子高齢化問題と所得分配問題について、計量的な分析等を行う。
6.経済の国際化と日本の対応 BRICs経済 BRICsを中心とするエマージングエコノミーの安定成長のあり方と日本経済へのインプリケーションについて研究を行う。
英独仏における外国人問題への取り組み及びその課題 英独仏における外国人問題に関する法的枠組み、その実施の態様、経済・社会に対する影響等を把握する。
中国の5ヵ年計画 中国の第11次5ヵ年計画と第10次5ヶ年計画とを対比して分析する。
人口大国のグローバル化とその影響 「人口大国」、中国・インドのグローバル化のインパクトを理論的にサーベイし、数量的に影響度を把握する。
援助政策の途上国の経済成長促進効果と貧困削減効果の計測、新たな開発成果指標の構築 OECDのDAC加盟国の援助政策が途上国の経済成長にどの程度貢献するかを定量的に分析し、それ を基に、各地域毎に所得に対する貧困削減の弾性値を求め、その係数を用いて援助が途上国の貧困削減というアウトカムにどの程度寄与したかを計測し、指標化し、ランキングを作成する。
7.Health of Nations・地域再生 地域の人材形成と地域再生に関する調査研究 地域活性化のための指針づくりに向け、地域活性化に取り組む各地域の中心人物及び人的ネットワークに着目した調査を行う。
新しいライフスタイルの創出と地域再生に関する調査研究 新たなライフスタイルが地域社会に与える経済社会的インパクトの把握、その中で主体的な役割を果たす人材の育成、地域社会の活性化のための新たな政策手法などを検討する。
ニュー・パブリック・マネジメント(NPM) 持続的改革モデルである「学習する組織」「行政経営品質」の適用方法について実践的研究を行う。
健康と経済社会的要因との関わりに関する調査研究 経済・社会的状態がどのような経路で健康意識に影響しているのかについて検討する。併せて、経済的格差と健康格差等との相関関係についても整理する。
幸福度の研究(Happiness 生活をポジティブに捉えるための新しい指標や、政策の評価・方向の妥当性を判断するための総合指標としての「幸福度」について構造分析を行う。
特別プロジェクト バブルの発生・崩壊からデフレ克服までの日本経済とマクロ経済政策に関する研究 バブル発生、崩壊、その後のデフレ発生、克服のメカニズムを解析し、日本経済が長期にわたって低迷した要因を分析するとともに、その過程で実施された財政、金融政策、不慮債権処理策、金融システム安定化策を総括し、反省・教訓を含めて後世に伝えるための研究を行う。

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研究振興局振興企画課学術企画室

(研究振興局振興企画課学術企画室)