資料8‐1 学術研究推進部会における主な意見

(1)人文学及び社会科学の意義・役割について

  • 人文学及び社会科学は人類全体の根源的な問題を扱っており、その振興は極めて重要。
  • 学問の分野を問わず、研究ないし研究者育成といった発展のベースには、人文学的な素養や思考力をきちんと置いておくことが重要。この観点からも、人文学及び社会科学の研究を盛り上げていくことが必要。
  • 特に、我が国の社会科学研究は、「我が国が果たすべき役割」の根源に存すべき研究活動であり、もっと重視されるべきものである。
  • 日本人のアイデンティティの骨格を知るためのかぎは、感性の科学であり、その底には人文学及び社会科学の研究がある。人文学及び社会科学は国の基盤を取り扱っている。
  • 人文学及び社会科学の意義は、リベラル・アーツの観点から100年先、200年先の日本を視野に入れて人間を教育することにある。
  • 心の豊かさ、安心・安全をどのように得るかというのは、人文学及び社会科学が一番得意とする分野。

(2)人文学及び社会科学の現状と課題について

  • 人文学及び社会科学の必要性、現状、何をやろうとしているのか、どういう方向でやるのか、国がやれる部分はどこなのかというところを、分析的・構造的に示すべき。国として支援する際の課題を明確にすることが必要。
  • 日本の学問を支えていく上では、学問の継承性と、新しい社会に対応した研究をしていくという2つの観点が必要。
  • 今はやりの「競争」の原理の外にあるのが人文学及び社会科学。そもそも金のかからないタイプの研究が多く、(結果的に間接経費も少額であることもあり)、大学経営の観点からは優先順位が低くなっている。人文学及び社会科学の研究環境には閉塞感がただよっている。
  • 人文学及び社会科学の研究者に対する社会の需要が低い。若手研究者のポストがない。
  • 大学や社会のニーズや構造に対応した研究者の育成やテーマ設定が必要。システムをつくることが必要。
  • 海外との提携、研究者交流、あるいは共同研究等の機会を得て、研究を底上げしていくことが必要。

(3)人文学及び社会科学の振興方策について

  • インフラ整備に対する支援と、研究そのものに対する支援とは区別して論ずべき。
  • 成果の還元という観点からは、世の中に貢献するテーマを示して、人文学及び社会科学をガイドすることも必要。
  • 人文学及び社会科学と自然科学が協働して取り組むべき分野に対する、意図的な政策や資源の投入が必要。
  • 人文学及び社会科学には、大型の研究資金はなじまない。また、人材育成の観点からは、プロジェクト型の大型研究資金も望ましくない。
  • IT技術を活用した人文学及び社会科学の研究を、どのようにシステマティックに支援していくかが重要。

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