アルマ計画中間評価報告書(案)-野辺山から30年 サブミリ波が拓く21世紀の天文学- おわりに

 野辺山にある世界最大のミリ波望遠鏡である45メートル鏡を中心とする大型電波望遠鏡群は、我が国の電波天文学の研究レベルを世界第一線に押し上げた。そして、可視・赤外線望遠鏡で世界最大級の口径を持つ「すばる望遠鏡」の性能と観測成果は、現在、世界的に高く評価されており、我が国だけでなく国際的な天文学の推進に大きな役割を果たしつつある。今や日本の天文学は世界でゆるぎない地位を占めるようになった。

 アルマ計画は、「すばる望遠鏡」では観測不可能な宇宙の姿を、ミリ波やサブミリ波を使って観測する前人未踏の巨大プロジェクトである。野辺山で培ったミリ波天文学の成果を引継ぎ、「すばる望遠鏡」で世界最高レベルに達した我が国の天文学研究。そこに「人類史上最強の電波の眼」が加わるのである。人類の自然観の拡大に貢献できる大きなステップとなるだろう。

 スタート時点で乗り遅れた日本がどこまで不利を克服し、プレゼンスを発揮できているのか。中間評価に臨むに当たって最も心配していた事である。しかしながら、国立天文台からの説明を受けるにつれ、それは杞憂に終わり、審議の主題は「国民の負託に応え計画を成功に導くために必要なことは何なのか」ということに移っていった。

 科学的意義を達成するためには、国立天文台を中心とした大学関係者の努力が必要であることはいうまでもない。また、技術面での下支えも当然重要であり、受信機や望遠鏡などの装置開発において、日本として最新・最高の技術をもって製造・設計にあたる必要がある。さらに、日本国民に対して成果を還元し続ける責務もある。本格観測開始まで4年弱、アルマ計画の成功に期待したい。

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研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付

(研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付)