資料5 「国語に関する学術研究の推進に関する委員会」等における主な意見の概要

1.国語に関する学術研究の必要性

  • 研究者が少なくなってきている。特に日本の学生が国語学研究をやりたがらない。
  • 言葉は文化そのもの。文化を作っているものを守り、新しい文化を作るために国語学研究は重要。
  • 国語は外国人に対して日本文化の特性を理解してもらうための基礎となるもの。このことを意図して研究を推進することが望まれる。
  • 人文的素養と思考力の育成のため、国語学における研究と教育の活性化が求められる。
  • 教員養成段階での国語教育の充実のためにも、研究の充実が大学教育に生かされることが必要。
  • 国語学は細分化が激しいと考える。最先端の研究を教育等に活用し、裾野を広げる視点が必要ではないか。
  • 国語は、あらゆる学問が発達するための基礎的な役割、基盤的な役割を果たしているので、国語自体が思考力、表現力、想像力を豊かにしていく上でも重要な役割を果たしており、そのような観点の学術研究を推進する必要がある。
  • 社会での受け止められ方として、日本語がクイズ番組での興味の対象でしかないように見受けられる。これでは真正面から若い世代が日本語に向き合って、日本語に自信を持つことにはならない。
  • 日本語の研究のレベルの高さを発信していくことが、日本語研究にとって重要。そのためには個別的には出来ないので、組織的に行うことが必要。
  • 日本語の理論的な面、歴史的な面、方言、社会言語学的な部分など総合的に取り上げて社会に示していく組織が必要。
  • 研究者コミュニティの研究交流の場となる組織が必要。これまで単一の学会では行えなかった日本語学の成果を関連する分野に提示することや関連する分野の研究者との研究交流が盛んに出来るような制度を持ったしっかりとしたセンターが必要。
  • お互いが関連されることなくいろいろな場所に散在しているデータベースを含む学術資料を、関連させて統一的な視点で学術資料を構築・整備していくことを考える組織が必要。

2.国語に関する学術研究の特性

(1)当面、特に重点を置いて推進する必要のある研究分野等

  • 国語学の関連分野として、対照言語学も盛んになっている。
  • 漢字を使いアナログ的に考えるところに日本人の科学における考え方の特徴があるなど、科学との接点を切り口とした研究の可能性を検討すべきである。
  • 国語に関する理論的な研究と歴史的な研究が必要。
  • 国語の歴史的な変遷や対照言語学的な研究は、さらに発展させることが必要。
  • 日本語を普及するためのセンターと学術研究を行うセンターは分けて設置するべき。
  • 方言の研究はさらに発展させることが必要。

(2)特に、新たに展開する必要のある研究形態・方法

  • 従来は、個人研究が主流だったが、国策として、実態調査など国語に関する大きな事業を行うことが必要。
  • 研究対象の言葉は、時代による違いと場所による違いがある。
  • 歴史的に見て国語がどのように変遷をしてきたかという基礎研究を推進し、確立していくべき。
  • 多くの研究者が共同で認められる内容の文法研究を全体にわたって作っていくことが必要。
  • 国語に関する学術研究を推進するために大学とネットワークを結んで共同研究を行うことが必要。
  • 研究者の研究蓄積データベースを構築し、研究者の利用に供することや他の共同利用機関とのネットワークを構築し、共同利用機関に来なくても、研究情報の交流などの交換ができるような仕組みが必要。

3.国語に関する学術研究の体制の在り方

  • 国語研究は、理工学に比べれば多くの公的投資は必要ないが、継続して研究できる「資金」と「場所」及び「人材」と「時間」が必要。
  • 学術資料、研究成果などを集積し、研究者の利用に供するような組織が必要。
  • 国語学研究を大学教育や教員養成に生かすためにも、国立国語研究所には学術研究のセンターとしての機能が期待される。
  • 研究対象の資料等を集めたセンターに、共同研究の場としての機能を付けることは考えられる。国立国語研究所にこのような機能を果たしてほしい。
  • 国語研究も対象が多様にわたっており、そういう対象についてそれぞれ研究者がいる。そういう研究を発展させるためのセンター的機能を持った大学共同利用機関が必要。
  • 国語研究所がこれまで行ってきた研究成果を評価し、従来の研究成果をさらに発展させ、大学等の研究機関との研究者との共同研究や研究交流の場としての学術研究機関が必要。
  • 日本語の研究の最先端を目指すために、総合的に学術資料等を整備し、研究者の利用に供することによって、研究者の更なる交流と成果の活用を図る役割を行う大学共同利用機関が必要、その際、基礎的な言語研究や政策的な研究を行ってきた国立国語研究所を、研究者のための学術研究機関としての組織改編を行い、大学共同利用機関となるように検討することが必要。
  • 国語研究所を大学共同利用機関に移す場合、研究開発や政策研究といった実践的側面は、研究所から切り離すべき。

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