資料2 大学共同利用機関設立に関する要望書

国語に関する学術研究の推進に関する委員会
主査 飯野 正子殿

平成20年3月14日
日本語学会 会長 野村 雅昭

 国際化時代・情報化社会のもとで日本語に関する新しい認識が求められる状況に鑑み、私たちは日本語研究者の立場から、日本語の科学的研究を基礎として、これまでの水準を超える研究を可能にする研究機関の実現のために、以下のことを要望します。

  1. 日本語研究全般を対象とする総合的な研究機関の必要性はこれまでも認められていたが、実現には至らなかった。大学共同利用機関として、大学等の研究者に広く開かれた組織として新たに日本語研究機関が設立されることは、日本語研究の進展にとり望ましいことである。
  2. 国内外の日本語学習者の増大に伴い、海外の日本語研究者も増加している。それらの外国人研究者の求心的な研究機関が存在することは、世界規模の日本語研究を推進する核心となるべきものとして必要なことである。
  3. 現代日本語を主たる研究対象とすることは当然であるが、その背景となる歴史的な研究にも力が注がれてよい。併せて、認知科学、情報科学など隣接する分野との境界領域的研究にも取り組んでほしい。
  4. 外国人の研究者を含む本格的なプロジェクト研究の実施が望まれる分野としては、対照言語学的研究、国際的な広域文化史的研究などが挙げられる。招聘研究員制度の充実にも留意することを要望したい。
  5. 独立行政法人国立国語研究所の研究成果には、言語地理学に立脚した言語地図の作成、計量言語学的手法による大規模用字用語調査の開発、日本語の多様性についての社会言語学的調査の実施など、言語研究史の観点から、世界的にも誇るべきものが存する。このような先駆的研究に取り組む姿勢は、新日本語研究機関にも受け継がれることが望まれる。
  6. 共同利用機関としては、国立国語研究所がこれまでに蓄積した現代語・方言および作成中の言語コーパスを含む大規模データベースを提供するほか、国内および海外の日本語研究に関する情報の収集および図書を含む情報の提供を継続的に行う体制の整備にも意を用いてほしい。

以上

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