資料3 研究環境基盤部会におけるこれまでの御意見

はじめに ~なぜ今、「共同利用・共同研究体制」の改革なのか~

・大学単体、法人単体で開拓できないような新領域、新分野がある場合、それをオールジャパンとして開拓していく際には、共同利用以外のシステムはないのではないか。

・既に新たな研究領域に対して、共同利用・共同研究体制が必要であるという状態は生じている。

・今回の報告書が、様々な立場の研究者に受け止めてもらえるよう、配慮を行うべき。

・今の国立大学の運営の仕方の中では、共同利用のような横串のシステム消えていく可能性が高いのではないか。

・国立大学、学術が細る中、共同利用のようなシステムがあるからこそ、個人の研究が成果を生み出せるのではないか。

・共同利用・共同研究は、研究者の個々の発想を非常に大切にするという、研究の本来あるべき姿を担保している意味で重要な役割を果たしてきたのではないか。

・世界レベルの研究をするためには、意欲ある研究者が、共同利用の中でコミュニティとつながって研究を行わないと、日本の研究者の研究レベルは下がってしまうのではないか。

・大学共同利用機関と拠点の共通性を強調するあまり、違いを捨象することになってしまい、一大学ではできないことを実現する共同利関の良さが見えなくなる。

・大学共同利用機関はもともと共同利用をミッションとしており、共同利用の理念を先取りしたものである。

・共同利用機関と拠点は性格が異なり、同じように論じることは無理である。組織的に違うものである。

・共同利用・共同研究体制で重要なのは、インテグレーション能力、統合化であり、大学共同利用機関は組織として非常に高いということである。

・共同利用・共同研究のミッションは、ある分野の研究をオールジャパンで推進することであり、共同利用は大学を集めて行い、拠点はもう少し広い規模で特殊なものを一緒に行うということではないか。

・全国的な視野で推進する共同利用・共同研究が大事であるということを強調していくべきではないか。

1.共同利用・共同研究体制によるこれまでの成果

(我が国における学術研究のナショナルセンター・ハブ的機能)
・大学の共同利用・共同研究拠点は全国に存在しており、各分野や地方の共同研究のハブとしての役割もある。

・あるべき連携体制とは、基本的には双方のミッションを踏まえ、共同研究の推進や人材の交流を通じ、共同利用・共同研究体制を一層強化して、我が国の全体の研究水準の向上を図るとともに、我が国の学術研究の発展のために分野連系を強めるということが原則ではないか。

・拠点が先導する分野において、産業界との連携をしつつ、イノベーション創出に貢献することにより、学長から、拠点は学内においても重要な役割を果たす存在であると認識してもらえるのではないか。

(学術研究水準の維持・向上)
・世界レベルの研究をするために、意欲ある研究者が、共同利用の中でコミュニティとつながって研究することがないと、日本の研究者の研究レベルはドンと下がってしまうのではないか。

(学術のボトムアップ型研究体制の構築への貢献)
・新しい分野の創成は、機構内にある研究所の間の分野間連携にとどまらず、研究所の枠を超えて広い分野での異分野の連携を図り、研究者コミュニティも新たに形成するようなつもりで行うことが必要であると考えている。

(学術研究の大型プロジェクト推進)
・通常の共同研究ではなく、共同利用・共同研究だからこそできる研究や成果について、わかりやすく示すことができたらよい。それができると国民にも共同利用・共同研究の意義や役割についてよりわかってもらえると思う。

2.共同利用・共同研究体制の意義・ミッション、役割について

(1)現代の学術研究とこれからの共同利用・共同研究体制

・共同利用・共同研究体制が、日本全体として研究競争力をどう高めるかということに対し大きな役割を果たしていることは非常に重要なことである。

・小規模の大学でも、良いアイデアさえあれば最先端の仕事ができるという環境を作っていくことが共同利用の非常に重要な役割。供用では課金をするという考え方が中心になっているが、大学共同利用機関は基本的にそういう考え方をとらないことが長年の考え方である。

(2)共同利用・共同研究体制の意義・ミッションについて

1)研究者コミュニティへの貢献

・新しい分野の創成は、機構内にある研究所の間の分野間連携にとどまらず、研究所の枠を超えて広い分野での異分野の連携を図り、研究者コミュニティも新たに形成するつもりで行うことが必要である。

・総合的な視野を持つ科学の経験者の育成が、日本の社会にとっても極めて重要であると。そういう素養を持った人材が十分に育成されていないという面と、それを社会がきっちり受け入れて活用していないという両面があるのではないか。

2)大学の機能強化への貢献

・機構は機構内での共同利用・共同研究を推進するのみならず、大学における人的、技術的支援を拡大して、大学の研究・教育基盤(特に技術基盤)の強化を図る必要がある。

・横断型研究機関と大学ということについて、単に1機構だけではなく、総研大ということも含めると、4機構全体が一緒になって日本の国公私立大学のそれぞれの分野の横断型のボディを作ることを検討することが必要なのではないかと考えている。

・大学共同利用機関は、総研大の基盤機関にならなければいけないということは、創立のときに明記されており、協力しているしその義務もある。しかし、大学共同利用機関を考えると、大学院教育というものを総研大にのみ集中させるのではなく、各大学に広げても良いのではないか。総研大を中心に大学院教育を行うが、総研大ではできないようなことについては、他の研究所等と連携とすることが大学共同利用機関の本来のミッションではないかと思っている。

・大学共同利用機関の機能強化を考えた際、総研大との問題が非常に問題になったが、その時は従来のやり方が不十分であったということを反省した。現在は、法人としては違うが、連携ではなく一体とならなければならないといった、より連携を強化する形で進めているところである。例えば、総研大の各種の会議には機構長や所長が必ず入り、逆に機構の会議にもなるべく総研大の理事が入るようにして、教育を総研大に任せきりにするのではなく、機構の意思もある程度反映した教育を実現できるようにする、あるいは研究に当たっても総研大側の意向を反映させるといったシステムを始めているところ。

3)社会への貢献

・科学というものが国民の理解の上に立ってやらなければならないといった広報の大切さを、トップが認識する必要がある。また、研究者がどのように広報活動に自分の研究時間を割いてある一定の協力をするというところにつけても、組織全体としての広報の重要性を十分に認識することが大事ではないか。

・研究の段階では技術の中身や特許等のオープンに出来ない情報がある中で、研究の透明性や振興という観点をどう考えていくかが組織として大変重要。

・国際的なレベルアップが課題となる中、各共同利用機関が各分野の中核として本当に役割を果たしているか、きちんと見直すべきである。

・大学における共共拠点がどういう役割を果たしているかを見直すことが必要ではないか。

(2)共同利用・共同研究体制における各機関等の役割について

(大学共同利用機関の役割)
・大学共同利用機関はもともと共同利用をミッションとしており、共同利用の理念を先取りしたものである。

・大学共同利用機関法人・機関の特徴は世界的な大型装置だが、これと各分野の基盤を支える設備を整備して、全国の大学の研究者の共同利用・共同研究を推進することが重要。最新の最先端研究のみならず、大学等における基盤となる研究を支える共同利用の中核となる必要があると考えている。

・大学共同利用機関は、総研大の基盤機関にならなければいけないということは、創立のときに明記されており、協力しているしその義務もある。しかし、大学共同利用機関を考えると、大学院教育というものを総研大にのみ集中させるのではなく、各大学に広げても良いのではないか。総研大を中心に大学院教育を行うが、総研大ではできないようなことについては、他の研究所等と連携とすることが大学共同利用機関の本来のミッションではないかと思っている。

・大学共同利用機関は、大学ができないことや、超えるものを研究していくことをミッションとして出来た機関だということをしっかりと押さえておかなければいけない。

(共同利用・共同研究拠点の役割)
・地方大学の研究者や学生にとっては、遠方の大学共同利用機関より身近な共同利用・共同研究拠点の方がアクセスしやすい。大学の共同利用・共同研究拠点は全国に存在しており、各分野や地方の共同研究のハブとしての役割もある。研究費の獲得に至っていないような萌芽的な研究や研究設備や技術へのアクセスが困難な大学の研究者との共同研究も、拠点のミッションとしてあるのではないか。

・共同利用・共同研究拠点は、共同研究と同時に、国立大学の改革やミッションの再定義の流れの中で各大学に求められるようなグローバル化や研究力強化等の実現に向けて、附置研究所や研究センター等の研究機能が十分な役割を果たすことが求められており、共同利用は目的を達するために直結していると認識している。

・拠点は規模が小さく、高度な専門的技術者集団を持つことは困難であるので、高度な専門的技術を持つ共同利用機関との連携が必要であり、共同利用機関が持つ高度な技術の利用を分野に限らず積極的にアピールすることが重要。

(大学共同利用機関法人と大学共同利用機関の役割分担)
・共同利用機関と拠点は性格が異なり、同じように論じることは無理である。組織的に違うものである。

・共同利用・共同研究のミッションは、ある分野の研究をオールジャパンで推進することであり、共同利用は大学を集めて行い、拠点はもう少し広い規模で特殊なものを一緒に行うということではないか。

・大学共同利用機関は基本的に共同利用・共同研究がミッションの第一であり、拠点のミッションは研究である。

3.共同利用・共同研究体制の現況と直面する課題

(強み・特色を打ち出せていない「共同利用・共同研究体制」)
・共同利用・共同研究体制においては、IR機能を強化することで強みを強化し、その強みを活かして連携することが必要で、共同利用・共同研究体制の挑戦性・融合性をどうシステマティックに実現するのか、今までにないシステムを考えるべき。

・大学改革に埋没しているとの指摘だが、むしろ、だからこそ、全国的な視野で推進する共同利用・共同研究が大事であるということを強調していくべきではないか。

(大学改革の流れの中で意義が十分評価されていない「共同利用・共同研究体制」)
・共同利用という視点を法人評価に入れなければならない。法人をただ競争させるというような評価ではなく、連携の中で成果を上げていく、貢献していくというシステムが評価される大学に高い評価が与えられるという視点を評価の中に入れるべきではないか。

・大学共同利用機関の新設がしばらくない。それは、国が新しい機関の設置ということについて非常に消極的になったためであり、また、法人化により、法人ごとに評価されてしまうこととなったため、せっかく活動が活発な研究所を外に出すということを大学が嫌がるようになったからではないか。

・大学改革でイノベーションが重要だと言うが、本当に広い視野を持った学生をどう教育していくのかについては、大学による大学院生の囲い込みを根本的に打破しなければあり得ないのではないか。

・大学の囲い込みについては、大都市圏での下宿代が高いという問題もある。そのため、自宅から通っている学生も多く、流動性が上がらない原因になっていると理解している。学生にとって本当に必要なのは、宿舎や奨学金ではないか。

(専門分野に閉じていて他分野との連携が十分でない「共同利用・共同研究体制」)
・拠点の場合、大学の中では一つの部局・研究所という立場でしかない。やはり研究者コミュニティの言葉が大学の本部に届くような仕組みがあると、共同利用・共同研究を行いやすいと考える。

・クロスアポイントメントでメンバーを入れ替えておけば、非常に急展開し始めているような分野は改変もできるし、スクラップ・アンド・ビルドも簡単だと思う。一度固めたらそのままという柔軟性のない今のスタイルはできなくなってくるのではないか。世の中の流れがスピーディーになっていると、マネジメントの意識も変えていかなければいけないが、それがまだ見えていない。

・共同研究拠点が学長・執行部に重視されているグローバルCOE等と異なる点は、間接経費が入るかどうかではないか。間接経費が入ることは大学本体にとってもプラスであり、獲得するインセンティブが非常に強い。共同研究拠点に指定されたからといって大学本部に入ってくるお金はないため、仕組みとして、大学で共同研究拠点に指定されたことをもっと強く認識してアピールしていくことに欠けるのではないか。

4.具体的な取組の方向性

(1)共同利用・共同研究体制を構成する各機関等における自己改革・機能強化の推進

1 トップマネジメント・リスクマネジメントの強化(公正な研究活動の推進)

・自己改革を図る際、トップマネジメントと共に、職員の力も重要である。

・研究所のアクテイビテイを保つには、所長がトップマネジメントを発揮して、スクラップアンドビルドも行いながら、新しい分野を推進していくことが重要。

・国全体の財政が厳しく、人口も減ってきている中、聖域なく見直しを図り、一度シャッフルする時期に来ているのではないか。

2 IR(インスティトゥーショナル・リサーチ)機能の強化

・IRを精密に行い、バックキャスト的に、10年後、20年後に日本の研究者コミュニティはどこに投資をすべきかというところをエビデンスベースで分析する必要があるのではないか。

・共同利用・共同研究体制においては、IR機能を強化し、強みを強化し、強みの中で連携すること、共同利用・共同研究体制の挑戦性・融合性をどうシステマテイックに実現するか、今までにないシステムを考えるべき。

3 産業界との連携を含む知財管理の強化など各機関等が保有する資源の積極的活用

・科学は基本的にはその成果をすぐに公開し、世界の科学がそれを共有していくことが理想であるが、大型科学の場合はどうしても様々な技術開発が伴うため、参加した企業がそれによって取得する特許等々のことは当然あるが、企業によっては他社に知られると困る等の理由があり、中々難しい。企業の利益という面と科学を進める上で、障害とならないような共同研究の方法が必要。

・加速器の分野について言えば、これまでは、共同開発したのだから知的財産があるはずだという主張を余りしないという文化があったが、段々と知的財産をどう考えるのかを考えていかなければならない段階に入っている。

4 共同利用・共同研究体制の情報発信力の強化

・共同利用拠点の評価をしていく上で、各拠点等のウエブページを見ると、10年前のホームページがそのまま載せているなど、今何をやっているかが分からないようなところがある。どの拠点も財政的に非常に厳しい状況にあるかと思うが、情報発信に関しては、ウエブページをまずスタート地点として国内外への発信を整備することが必要ではないか。

・国際化をする上で、日本の研究機関の国際発信力が非常に大きな障害になっている。英語の発信力が日本は中国、韓国、台湾等に比べても非常に貧弱である。

・特定の分野の話ではあるが、とても役立つ研究であるといったことや、非常に夢を誘う内容で明るいところばかりを広報している場合がある。明と暗でバランスよく周知していくことが重要。

・法人評価が研究機関の広報対応を進めた側面がある。

・予算確保という動機があったにせよ、広報が重要であるという認識は広がってきている。

・科学コミュニケーターの増加が研究機関の広報の在り方を良い方向に変えつつあるが、彼らが研究機関に根付き、確固たる役割を確立するかについては、若干の懸念がある。

(2)各機関等の自己改革・機能強化を促進するための基盤整備

・自己改革の取組の中でも、与えられたミッションだけでなく、面的展開や抜本的改革の視野も含めて、検討が行われることが必要。

1 学術研究上の現代的意義を踏まえた機能強化の促進

1)各機関等の基盤を強化するための機能(マネジメント、広報、知財管理、IR機能)に係る機関を越えた一元的組織の構築
・あるべき連携体制とは、基本的には双方のミッションを踏まえ、共同研究の推進や人材の交流を通じ、共同利用・共同研究体制を一層強化して、我が国の全体の研究水準の向上を図るとともに、我が国の学術研究の発展のために分野連系を強めるということが原則ではないか。

・URAだけは是非とも機関等の中で成功例にして欲しい。日本の宝になると思う。URAが失敗したらもったいない。

2)各機関等の枠を越えた連携による異分野融合・新分野創成のための組織の設置
・新しい分野の創成は、機構内にある研究所の間の分野間連携にとどまらず、研究所の枠を超えて広い分野での異分野の連携を図り、研究者コミュニティも新たに形成するようなつもりで行うことが必要であると考えている。

・大学共同利用機関法人が提案したものについて、単に1年や2年で新しい分野を作れというのではなく、十分に検討を重ねた上で、広い枠の中で自然科学の新しい分野を作るといったミッションを支援いただきたい。特に第3期に向けてはその点を考慮して欲しい。

・新分野とは、ぱっと思い付いてできるものではない。物質の起源、宇宙の起源のように、10年たったら古ぼけるという話ではないものもある。10年、20年たってもやらなければいけない。それを引っ張っていくうちに裾野が広がってくるのではないか。また、生命の起源など、他の分野についても裾野が広がってくる。それらが重なったところをいかに多く増やしていくかというのが、新分野を作る方向ではないかと思う。

3)大学共同利用機関(法人)と共同利用・共同研究拠点の連携促進
・拠点の増加に当たり、複数拠点化などを制度化したが、これは、国立大学だけでなく、公私を含めて競争を促進する観点で行ったものであり、総花的というのは適切ではない。むしろ、各拠点のネットワーク化を通じて、異分野融合など連携を促進していくことが重要。

・大学共同利用機関と拠点のネットワーキングをもっと強力に進める必要があるのではないか。

・機構は機構内での共同利用・共同研究を推進するのみならず、大学における人的、技術的支援を拡大して、大学の研究・教育基盤(特に技術基盤)の強化を図る必要がある。

・大学共同利用機関と共同利用・共同研究拠点の役割分担を考えるより、どう相乗効果を出していくのかという視点の方が重要だと考える。

4)国際的頭脳循環ハブとしての機能強化
・国際広報については、大規模公開オンライン講義というものを活用する方法もある。例えば東京大学IPMUのオンライン講義には、登録者が5万人おり、5万人の海外の学生に対して波及力を持つ講義を発信できる。単に情報を海外に発信すればいいというのではなく、目的に特化したような広報、国際広報というのを念頭に置く必要がある。

・国際広報体制がまだまだ十分ではない。今後国際広報のノウハウを持った人材の確保や国外の科学館との連携についても重要となる。

・女性や外国人研究者の比率を見ると、大学共同利用機関ではほとんど10%以下となっている。このように外国人研究者数が少なくて国際化ができるのか。

・国際化の対応については、外国から優れた研究者がある程度長期に滞在していただくためには、家族サポートや子弟教育をサポートしないと、実際的に来てくれないこともあり、これらをサポートすることによって、本当に優れた方に滞在してもらおうという努力をしている。

2 優れた研究者人材のハブ機能向上のための人事制度改革の促進

・縦割りは非常に大きな日本の科学の弊害だと思う。特に流動性がないという状況をどう打破するかというのは、日本の科学、社会の将来の死活的な問題だと考える。

・クロス・アポイントメントが出来る教員というのは年俸制でないといけないということで、年俸制が全体に行き渡るようになると、クロス・アポイントメントももっと進むのかもしれないと感じている。

・クロスアポイントメント制度の導入については、国全体で制度が整備されるのがいつになるか分からない。共同利用機関・拠点間で議論して収束させたあとに文科省の制度設計と組み合わせた方が早いのではないか。

・クロスアポイントメントでメンバーを入れ替えておけば、非常に急展開し始めているような分野は改変もできるし、スクラップ・アンド・ビルドも簡単だと思う。一度固めたらそのままという柔軟性のない今のスタイルは、これからはできなくなってくるのではないか。世の中の流れがスピーディーになっていると、マネジメントの意識も変えていかなければいけないが、それがまだ見えていない。

・共同利用を推進していくに当たって、人事面でやれるとしたら、ダブルアポイントメントをどこまで本気でやるかだと思う。

・今の財政状態の中で、インセンティブという意味で予算を新たに獲得することは期待できない。そのため、システム改編で対応するとしたら、ダブルアポイントメントだと思う。例えば共通の研究者なりセンターなりがお互いにダブルアポイントメントを行うことで、研究者の行き来がもっとストレートに、根拠を明確にして行うことが出来る。

・人材の流動化を促す基本は人事制度改革であり、もっとオープンな人事を行うべき。

・内部昇格禁止について、一律ルール化すると、大型設備を持っている機関において、それを支える人材のキャリアパスを壊すことにもなりかねないのではないか。

・ネットワーク化でオールジャパン的な組織が作れるようになってきたことは前進だと思うが、その次をどういう設計でやるのか、法人単独の利益と合致するような設計ができるかどうかが見えない。

・小規模な大学等で新しいことをしようとする際、大学共同利用機関の教員が貢献できるということが考えられるが、既に総研大で専任教員となっていることから、十分な貢献がしにくい状況になっている。

・小さい研究所やセンターほど同じメンバーで動いていく。そのメンバーが高齢化していき、大学院生の供給もほとんどない状態になってくるため、これを止める一つの方法として、代がわりのときに一気に変えてしまうというものがあると思う。

3 共同利用・共同研究体制の特質を踏まえた評価軸の確立

・色々と検討する際は、時間的なスパンで考える必要がある。学術というのは少し長いスパンのものだと思うので、その辺りの評価をうまくインセンティブを付けられるようなことができるかどうか、検討することを考えていく必要がある。

・共同利用・共同研究拠点の評価のありようをもう少し考える必要がある。例えば、論文の数だけではなく、他のセンター、研究所からどれだけ使われているのかや、ある期間でどれだけ新たな萌芽的な研究領域を立ち上げたのかというようなことを評価していくことが大事だと思う。

・共同利用・共同研究拠点には、6年ごとに審査があるが、これは結構な労力である。このような負担を軽くしていくことが日本全体にとって非常に大事だと思う。その仕掛けというのを今後きっちり考えないと、せっかくのものがうまく発展していかないのではないか。

・評価を通じ自己点検が可能となり、また法人として各機関の特色と共通性、研究の動向や法人化の影響、メリットを把握出来る。

・研究そのものの数値化、達成度の把握は難しい面があるので、研究の中に踏み込む形での評価もお願いしたい。

・共同利用・共同研究の成果を客観的資料により発信することが必要。

・大学共同利用機関法人が現在4機構あるが、その独自性や、その中における新しいことに踏み出すような力をやはりもっと強めるべきだなと思う。そのためには、もっと自由にやらせるべきであるということを文科省にもお願いしたい。

・評価の方法については、現状では論文数を重視した評価の仕組みが重要となっている。論文数は外形的に出てきやすいものではあると思うが、大学共同利用機関、共同利用・共同研究拠点の今後の重要なミッションとして、新たな領域の開拓や融合領域をいかに立ち上げていくのかを考えていることから、単なる論文数だけではなく、新たな領域を立ち上げるということに関しても、どれだけ貢献したのかといことを評価する指標を考えた方が良い。

・共同利用という視点を法人評価に入れなければならない。法人をただ競争させるというような評価ではなく、連携の中で成果を上げていく、貢献していくというシステムが評価される大学に高い評価が与えられるという視点を評価の中に入れるべきではないか

・大学に共同利用・共同研究を重視させるためには、それが重要だと認識させるような評価システムへの反映が重要。

4 評価軸を踏まえた重点的な財政支援の実施・財政基盤の多様化

・予算が減る中で、最終的にどこを強化するか、明確に分析しないといけないのではないか。このままではバジェットクリフに至るのではないか。

・大型設備を使用させるのであれば課金してはどうかという議論がある。企業が使う場合はその企業の利益に直接つながるため、課金を行うことはあっても良いと思うが、研究者や大学の先生が使う場合に課金をすることは、共同利用という考え方に反する。それで得られるわずかなお金よりも、そのことがもたらすネガティブな要素の方がずっと大きい。

・共同利用という観点を本当に考えていく上で、運転経費やそれに付随する経費を運営交付金から分離するというようなことを真剣に考えていかなければならないのではないか。大学共同利用機関が全国の大学にサービスするために自らの機関の運営経費を持ち出してでもサービスをするということになっていくのではないかと懸念している。

・競争的資金を増やすようにしているが、同時に運転経費も含めてインフラの整備を行わないといけない。せっかく競争的資金が増えて研究室はチャンスが増えたといっても、運転経費が減ったら意味がない。そのため、競争的資金と基盤を支えるということを同時に行っていただきたい。デュアルサポートは学術審議会でも昔から言われている話であり、何とかお願いしたい。

・小規模の大学でも、良いアイデアさえあれば最先端の仕事ができるという環境を作っていくことが共同利用の非常に重要な役割。供用では課金をするという考え方が中心になっているが、大学共同利用機関は基本的にそういう考え方をとらないことが長年の考え方である。

・大学と研究所のファンドの問題だが、日本は根本的に自主財源が少ない。そのファンドをどう集めるのか、どう管理するのか等の財務的な問題を議論することが必要。

・大型計画は共同利用という面と新しい人材の育成という両面がある。研究がすぐお金に結び付く・付かないというように考えるのではなく、日本の人材を育てる場になっている。

・国家財政が非常に緊縮している中で、どういうふうな研究をしていくかという際に、やはり大学共同利用機関は予算削減のターゲットになりやすい。その研究をしっかりと守るという明確な理由があれば良いが、なかなかそれを示せない。守ってほしいと言えば、守らなければならない理由を挙げなければいけないものの、それを示すことが難しいということでジレンマに陥っている。ファンディングが非常にいろいろなところで響いており、これをいかに乗り越えるかの検討が必要。

・今の大学で共同利用・共同研究を行うことは大変だと実感している。運営費交付金が減らされており、政策的経費を獲得するためいろいろなプログラムが走っている。それで、研究室がそれぞれの役割を持つのだが、それが二重、三重、四重と掛かってくると、どっちを向いて何をやればよいのかが分からなくなる。

・基本的には最先端の研究推進や最先端の研究施設・設備の整備と運用に必要となる経費の安定的な確保ができるかどうかが大きな課題ではないかと思う。

(共同利用・共同研究体制に対するメリハリのある財政支援)
・予算が減る中で、最終的にどこを強化するか、明確に分析しないといけないのではないか。このままではバジェットクリフに至るのではないか。

・共同利用という観点を本当に考えていく上で、運転経費やそれに付随する経費を運営交付金から分離するというようなことを真剣に考えていかなければならないのではないか。大学共同利用機関が全国の大学にサービスするために自らの機関の運営経費を持ち出してでもサービスをするということになっていくのではないかと懸念している。

・競争的資金を増やすようにしているが、同時に運転経費も含めてインフラの整備を行わなければならない。競争的資金が増えたといっても、運転経費が減ったら意味がない。そのため、競争的資金と基盤を支えることを同時に行っていただきたい。デュアルサポートは学術審議会でも昔から言われている話である。

・大学と研究所のファンドの問題だが、日本は根本的に自主財源が少ない。そのファンドをどう集めるのか、どう管理するのか等の財務的な問題を議論することが必要。

・国家財政が非常に緊縮している中で、どういうふうな研究をしていくかという際に、やはり大学共同利用機関は予算削減のターゲットになりやすい。その研究をしっかりと守るという明確な理由があれば良いが、なかなかそれを示せない。守ってほしいと言えば、守らなければならない理由を挙げなければいけないものの、それを示すことが難しいということでジレンマに陥っている。ファンディングが非常にいろいろなところで響いており、これをいかに乗り越えるかの検討が必要。

・今の大学で共同利用・共同研究を行うことは大変だと実感している。運営費交付金が減らされており、政策的経費を獲得するためいろいろなプログラムが走っている。研究室がそれぞれの役割を持つが、それが二重、三重、四重と掛かってくると、どこを向いて何をすればよいのか分からなくなる。

・基本的には最先端の研究推進や最先端の研究施設・設備の整備と運用に必要となる経費の安定的な確保ができるかどうかが大きな課題ではないかと思う。

(個人的研究から拠点形成へ発展する可能性のある取組促進に向けた方策の検討)
・小規模の大学でも、良いアイデアさえあれば最先端の仕事ができるという環境を作っていくことが共同利用の非常に重要な役割。供用では課金をするという考え方が中心になっているが、大学共同利用機関は基本的にそういう考え方をとらないことが長年の考え方である。

(公私立大学の拠点整備に向けた財政支援の在り方の検討)
・横断型研究機関と大学ということについて、単に1機構だけではなく、総研大ということも含めると、4機構全体が一緒になって日本の国公私立大学のそれぞれの分野の横断型のボディを作ることを検討することが必要なのではないかと考えている。

・拠点の増加に当たり、複数拠点化などを制度化したが、これは、国立大学だけでなく、公私を含めて競争を促進する観点で行ったものであり、総花的というのは適切ではない。むしろ、各拠点のネットワーク化を通じて、異分野融合など連携を促進していくことが重要。

(大型プロジェクトの推進に当たっての安定的な財源の確保に向けた検討)
・大型設備を使用させるのであれば課金してはどうかという議論がある。企業が使う場合はその企業の利益に直接つながるため、課金を行うことはあっても良いと思うが、研究者や大学の先生が使う場合に課金をすることは、共同利用という考え方に反する。それで得られるわずかなお金よりも、そのことがもたらすネガティブな要素の方がずっと大きい。

・大型計画は共同利用という面と新しい人材の育成という両面がある。研究がすぐお金に結び付く・付かないというように考えるのではなく、日本の人材を育てる場になっている。

(地域・産業界との連携を通じた研究資金の多様化の推進)
・拠点が先導する分野において、産業界との連携をしつつ、イノベーション創出に貢献することにより、学長から、拠点は学内においても重要な役割を果たす存在であると認識してもらえるのではないか。

・拠点は産業界に対しても、製品開発等の貢献をしているという事例を列挙した上で、今後とも引き続き行うということを示した方がよい。 

・産業界との連携は非常に大事であり、連携を誘導するための予算措置が必要ではないか。

・産業界との連携を狭い分野で捉えず、人文・社会科学系を含む様々な分野においても、新しい連携があると思う。その点をプロモートするべきではないか。

・産業界との連携について、企業は短期的な成果をどうしても求めることになるので、リスクがあってもいいから長期的な視野で、大きな変革をもたらすようなものをプロモートするべきではないか。

(3)共同利用・共同研究体制の構造的課題を解決するための抜本的改革

1 共同利用・共同研究体制における組織的流動性確保に向けた改革

・我が国は先進国で優れた研究成果を出せるすべての分野を網羅できている数少ない国であるが、それもかなり厳しくなっている。今後は、新しい学問を古い学問とちゃんと融合して運営するためにも、スクラップアンドビルドを現段階でできるようにする必要がある。

・共同利用・共同研究機関は、いかに時代に即した共同研究体制に動いていけるかが今後必要となると思う。そのため、共同研究体制を固めないで、いかにフレキシブルに進化できる体制に持ち込めるか、そういうふうな仕組みを何か考えられれば、もっと良くなるのではないかと思う。

・共同利用・共同研究拠点というものはその性質上、元来、時限的なものであるはずである。

・共同利用を推奨するには具体性がないといけない。主張することはできるが、どのような方向でやるかというところで問題があると思う。そこを超えていくだけのメリットと方法が見えない。

・研究所のアクテイビテイを保つには、所長がトップマネジメントを発揮して、スクラップアンドビルドも行いながら、新しい分野を推進していくことが重要。

・我が国は先進国で優れた研究成果を出せるすべての分野を網羅できている数少ない国であるが、それもかなり厳しくなっている。今後は、新しい学問を古い学問とちゃんと融合して運営するためにも、スクラップアンドビルドを現段階でできるようにする必要がある。

・選択と集中という観点から、全部見直す必要があるのではないか。

・大切なのは将来に向けて何をやるかであるが、現在の強みを伸ばすこともさることながら、将来に向かって成長が見込まれる部分に投資するなど、将来を見越した対応が重要。

2 学術研究の大型プロジェクト改革

(マスタープランとロードマップの連携の担保)
・マスタープランが3年に1回改定されて、そこで新たな領域も含めた大型の研究計画というのが出てくる。その計画をロードマップとしてどう扱うかを審議する。その審議過程の中で、新たに日本としてやっておかなければならない領域というものを見きわめ、共同利用・共同研究のネットワークの拠点をきっちり作っていくと、戦略的にうまくいく可能性はあるのではないか。

(プロジェクトの支援年限の確定及び進捗管理の厳格化)
・年限の問題は、予算的な制約から、次の事業を実施したいなら前の事業をやめろという話になる。これは決して日本だけの話ではないため、いつまでも同じプロジェクトが動き続けることは、科学者としてもあり得ないと思っているが、そのためには様々な工夫が必要である。しっかりした評価に基づいてある程度の判断をずばりと下すことも必要。

・事前評価、中間評価といった進捗評価は現状でも行っているが、決して十分ではない。もっとしっかりした評価をすることが重要。日本全体あるいは世界的にも責任を持つ計画を進める以上、特に中間評価が重要だと思っているし、できた後の運営もしっかり見なければいけない。

3 各機関等と大学・研究者コミュニティ外の連携促進に向けた改革

(各機関等と大学、共同利用・共同研究体制内の連携組織の設置)
・法人独自の利益を超えて、共同利用機関を設置するという決断ができるようなメリットを提示できるかどうかが非常に漠然としている状態では、恐らく法人ごとに固まっている状態になると思う。それが、結果として学問領域の開拓等に関して日本のアカデミアが弾力を失いがちになっている要因になっている。

・共同利用化を進めようとすると、大学側は予算や責任を持たなくなってくるのではないか。また、人事の硬直や、若い大学院生からポスドクレベルの人材の還流が細くなってくるリスクもある。それらを超えて、組織体として強くできる戦略を作らないと危ないのではないか。

・大学と共同利用機関の連携に際しては、機構法人の枠を越え、分野を越えた連携を推進すべきである。

・附置研が大学共同利用機関法人になることによって、国際的な裾野の獲得や内部組織を柔軟に変えることができるなど、メリットは非常に大きい。分野が大きく育ってくると、どうしても日本の中核的な研究所が必要となってくる。

(大学共同利用機関法人の経営協議会・教育研究評議会の構成見直し)
・総研大の各種の会議には、機構長あるいは所長が必ず入る。逆に機構の会議にもなるべく総研大の理事が何らかの形で入るようにして、教育を総研大に任せきりにするのではなく、機構の意思もある程度反映した教育を実現できるようにする、あるいは研究に当たっても総研大側の意向を反映させるといったシステムを始めているところ。

(共同利用・共同研究で得られた成果の可視化と成果の発信のルール化)
・研究成果を国民・社会に対して積極的かつ戦略的に発信していく機能を更に強化することが必要。この活動は、理解を得るとともに、新たな異分野融合・新分野創成の萌芽にもつながる。

・通常の共同研究ではなく、共同利用・共同研究だからこそできる研究や成果について、わかりやすく示すことができたらよい。それができると国民にも共同利用・共同研究の意義や役割についてよりわかってもらえると思う。

4 共同利用・共同研究体制の教育への貢献促進に向けた改革

(連携大学院制度活用に向けた改革)
・連携大学院の教授というのは一つしかなれないという規則があり、既に総研大の教授になっている場合、連携大学院に入れない。その辺りも一つの改革を目指すところなのかと思う。

・新しい領域の研究をどう進めるかに当たっては、若い人を連携して育てることが必要。分野が固まった人を呼び込むのは難しいことなので、むしろ連携大学院などを活用して、若い頃からの分野の流動性を確保すべき。

(総合研究大学院大学との連携促進に向けた改革)
・横断型研究機関と大学ということについて、単に1機構だけではなく、総研大ということも含めると、4機構全体が一緒になって日本の国公私立大学のそれぞれの分野の横断型のボディを作ることを検討することが必要なのではないかと考えている。

・大学共同利用機関は、総研大の基盤機関にならなければいけないということは、創立のときに明記されており、協力しているしその義務もある。しかし、大学共同利用機関を考えると、大学院教育というものを総研大にのみ集中させるのではなく、各大学に広げても良いのではないかとも思う。総研大を中心に大学院教育を行うが、総研大ではできないようなことについては、ほかの研究所等と連携とすることが大学共同利用機関の本来のミッションではないかと思っている。

・総研大との関係は、法人としては異なるが、連携ではなく一体とならなければならないというように、より連携を強化する形で進めているところ。総研大の各種の会議には、機構長あるいは所長が必ず入るようにし、機構の会議にも総研大の理事が何らかの形で入るようにして、教育を総研大に任せきりにするのではなく、機構の意思もある程度反映した教育を実現できるようにする、あるいは研究に当たっても総研大側の意向を反映させるといったシステムを始めている。

・総研大との問題としては、はっきり言えば各研究機関とのコミュニケーション不足の問題だと思う。率直な議論ができていない。各研究機関の意見が伝わっていないところが大きいのではないか。

・総研大は素晴らしい教育機関であるということを知って貰えるような活動を増やすとともに、カリキュラムの改善や情報発信体制の強化、講義等の教育の中身をオンラインで発信し、地方にいる若い人たちに届けるなど、質の良い教育のコンテンツを作り上げていくべき。

・総研大の学生の就職先が総研大内部の助教であることが多く、他の大学からは総研大の助 教になり難い。流動性が必要だが、それを阻害する形になっている可能性があるため、大学にも総研大にもメリットのある流動性向上策を考えて欲しい。

・総研大における教育の質をどう担保するかについては、普通の大学で行っているような学生からの評価などの学生を巻き込んだ評価の仕組みが必要ではないか。

・総研大の大学院教育は、科学をもって社会のために貢献できる人を作るという広い視野を持った教育を行うべきである。

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-- 登録:平成27年03月 --