国立大学及び大学共同利用機関における学術研究設備及び学術情報基盤の整備について

『国公私立大学及び大学共同利用機関における学術研究設備について-今後の新たな整備の在り方-』(平成17年6月30日学術研究設備作業部会報告)及び『学術情報基盤の今後の在り方について』(平成18年3月23日学術情報基盤作業部会報告)』〔以下:報告書〕に基づき、学術研究の推進の上での研究環境基盤としての重要性に鑑み、国立大学法人及び大学共同利用機関法人(以下:国立大学法人等)における学術研究設備及び学術情報基盤の整備に向けての取組みを以下のとおり実施した。

国における取組状況

【国立大学法人等への周知の取組み】

 学術研究における研究環境基盤としての学術研究設備及び学術情報基盤の重要性・大学等における学術研究設備及び学術情報基盤の整備への取組みの必要性等について、会議等を通じて、国立大学法人等に対して周知を図り、今後の整備に対する自主的・自律的な取組みを促進した。

【平成19年度概算要求における取組み】

 平成19年度概算要求においては、平成18年度予算に引き続き、本報告書においての指摘等を踏まえ、「法人の研究設備の計画的な整備の考え方(設備マスタープラン)」に基づく各国立大学法人等の特色ある取組みに対して、国立大学法人運営費交付金(特別教育研究経費)、国立大学法人施設整備費補助金等により、学術研究設備及び学術情報基盤の充実に向けて積極的に概算要求を行った。

【具体的な内容】

◇国立大学法人等における学術研究設備の整備充実に対する支援

 国立大学法人等のさまざまな特色ある学術研究を研究環境基盤として支える研究設備に対して、学内共同利用等の運用体制、更新時期等の緊急性や必要性、整備後の維持・管理の考え方に基づき、整備を図る。

1.国立大学法人等における研究環境基盤の整備充実に対する支援

 国立大学法人等等における研究活動に必要不可欠な研究環境基盤に資する設備の整備を図る。

■研究基盤センター、機器分析センター等への設備整備

 学内共同利用体制に資する大学等の研究環境基盤としての設備の充実を図る。

(例)

  • 『生体高分子立体構造機能解析システム』〔徳島大学〕
  • 『ヘリウム液化装置』〔岡山大学〕
2.学術研究の推進の観点から設備整備の新たな特色ある取組みに対する支援

 我が国の学術研究の推進の観点から、新たな設備整備の在り方を示す特色ある取組みに対して支援を図る。

■連携共同利用設備群の形成

 大学間連携等による研究設備群の形成を支援する。

(例)

  • 『超高圧電子顕微鏡連携ステーションの設立』〔北海道大学・名古屋大学・大阪大学・九州大学・自然科学研究機構生理学研究所〕
■分野融合型設備群の形成

 分野融合など新たな研究領域に対応する基盤となる研究設備群の形成を支援する。

(例)

  • 『生体ナノ材料構造解析観察システム』〔岐阜大学〕
■再利用(リユース)の推進

 既存設備の学術上の有効活用を促すための経費を支援する。

(例)

  • 『FFAG加速器を中心とした量子ビーム科学の教育研究推進事業』〔九州大学〕
■学術研究の推進のための我が国の共同利用体制の充実

 国立大学法人の全国共同利用の附置研究所・研究施設等及び大学共同利用機関法人における共同利用機能を有する研究設備への整備を支援する。

(例)

  • 『アルマ計画の推進』〔自然科学研究機構国立天文台〕

◇国立大学法人等における学術情報基盤の整備充実に対する支援

 国立大学法人等の学術研究活動に不可欠なライフラインである学術情報基盤に対して、各法人の学術情報基盤に関する総合的な基本戦略に基づく必要性・緊急性や、持続可能な整備・運用計画の考え方に基づき、整備を図る。

■学術情報ネットワーク

 最先端学術情報基盤(サイバー・サイエンス・インフラストラクチャ)の早期実現に向けた整備を図る。

(例)

  • 『学術情報流通基盤の整備』〔情報・システム研究機構国立情報学研究所〕
■認証基盤の構築

 教育研究用計算機、電子コンテンツ、ネットワークなどの安全、安心かつ有効な活用を図る。

(例)

  • 『大学間連携のための全国共同電子認証基盤構築事業』〔情報・システム研究機構国立情報学研究所〕
■学内LANの整備

 教育研究活動に不可欠な、持続可能な学内LANの整備に対して支援する。

(例)

  • 『大阪外国語大学統合による高速・高セキュリティ‐基幹ネットワークの構築』〔大阪大学〕
  • 『先端融合領域研究推進設備』〔広島大学〕
  • 『複数分野の科学マインドと課題解決のための能力基盤を持つ人材を養成する教育プログラムの創出』〔信州大学〕
  • 『教員養成支援情報ネットワークの強化』〔福岡教育大学〕
■学術資料等の保存設備の整備

 貴重資料の保存環境の改善に対して支援する。

(例)

  • 『国文学情報資料保存設備』〔人間文化研究機構国文学研究資料館〕
■貴重資料等の保存・収集

 学術研究上、貴重な価値を有する資料等の保存・収集を支援する。

(例)

  • 『浄瑠璃寺吉祥天厨子絵」保存修復事業』〔東京芸術大学〕
  • 『幕末・明治期日本古写真の教育・生涯学習への創造的活用と国際的日本教育・研究支援事業』〔長崎大学〕
  • 『沖縄関係貴重資料の保存修復』〔琉球大学〕

国立大学法人等における取組状況

 本報告書を踏まえ、国立大学法人等においては、個々の特色ある研究活動の推進に向けて、設備マスタープランの策定、研究支援組織の整備、設備・情報基盤の有効活用等、自主的・自律的な学術研究設備及び学術情報基盤整備の取組みを実施している。

 国立大学法人評価委員会による「平成17年度に係る業務の実績に関する評価」においても、国立大学法人等の学術研究設備及び学術情報基盤整備の特色ある取組が多数評価されており、今後も更なる取組みが期待される。

(以下、『国立大学法人・大学共同利用機関法人の改革推進状況(平成17年度)』より学術研究設備及び学術情報基盤関連の評価内容を抜粋)

「○」は平成17年度の評価において取り上げられた内容
(注)は『国立大学法人及び大学共同利用機関法人の各年度終了時の評価に係る実施要領』に基づく評価項目名

学術研究設備

○ 技術職員を配置している学部等において、技術職員の一元化を進めている。専門集団毎に部・系・班を置き、班の下に複数の技術職員を配置することで、技術職員の業務に係る命令系統を明確化し、業務を効率化している。【鹿児島大学】
(注)2.法人としての経営の活性化 業務運営の効率化及び合理化

○ 自然科学教棟改修工事において、既存施設の利用状況調査を基に、実験室の集約化及び実験研究機器等の共有化により共同利用スペースを創出し、既存施設の有効活用を図っている。【福岡教育大学】
(注)2.法人としての経営の活性化  施設・設備のマネジメントの推進

○ 高度な研究機器・装置について、創成科学研究棟オープンファシリティとして学内外の教員が利用できるシステムを整備するとともに、ウェブサイトから利用予約ができるようにし、有効活用を図っている。【北海道大学】
(注)2.法人としての経営の活性化 施設・設備のマネジメントの推進

○ 技術開発センター、分析計測センター、工作センターについて、分析計測機器及び工作機器を集中的に管理、提供して教育研究の向上に資するとともに、産学交流をさらに推進するために研究基盤センターに統合している。【豊橋技術科学大学】
(注)2.法人としての経営の活性化 施設・設備のマネジメントの推進

○ 学内共同利用機器の効率的稼動・管理のため、設備維持費を廃止して共通機器センターに予算配分し、集中管理体制の下に機器の保守・点検を行っている。【お茶の水女子大学】
(注)4.教育・研究の活性化に向けた取組 研究活動の推進
 1.資源の重点配分による研究活動の活性化に向けた取組

学術情報基盤

○ 総合情報処理センター、附属図書館及び総合情報システム室を発展的に改組・再編し「総合情報メディアセンター」を設置し、全学の情報を一元化して学術情報から事務情報までの総合的な管理並びにIT教育・サービスの充実を行っている。【群馬大学】
(注)4.教育・研究の活性化に向けた取組 研究活動の推進
 3.柔軟な研究実施体制の整備

○ 情報基盤センターにおいて、研究者や研究者コミュニティの意見の把握・反映のため、利用者からの問い合わせ内容をデータベース化し、その内容を閲覧可能としている。【北海道大学】
(注)4.教育・研究の活性化に向けた取組 全国共同利用の推進
 4.研究者等に対する情報提供

○ 研究活動の成果を一元的かつ恒久的に収集、蓄積、保存し、広く国内外で無償提供し、理工学分野の研究教育活動を支援するため、学術機関リポジトリの構築を進めている。【東京工業大学】
(注)4.教育・研究の活性化に向けた取組 全国共同利用の推進
 4.研究者等に対する情報提供

お問合せ先

研究振興局学術機関課

-- 登録:平成21年以前 --