資料4 意見聴取の際に出された主な意見

<■:関係団体・有識者等、○:委員意見>

1. 大学共同利用機関の位置付け・役割・機能について

■ 大学共同利用機関の役割・機能は、大学、附置研究所、研究開発法人という研究体制との関連で検討されるべきであるが、いずれの場合にも、「知」の基盤としての大学との密接な連携が不可欠。【研究開発法人】

■ NIHのように、研究者が主体となって運営し、研究費の配分を行うようなコーディネート機能を担う大学共同利用機関の設置も方向性の一つである。【附置研究所関係団体】

■ 大学が生み出す個別分散した学術的知の創造成果を社会的価値、経済的価値に具現化するための統合と、それに学術的価値を与えるイノベーションエンジンを大学共同利用機関に期待する。【産業界】

■ 大学共同利用機関にあまりに広範な役割や機能を期待すると、本来の使命の遂行がおろそかになることが懸念されるため、研究設備の整備や貴重な学術資料の蓄積といった所期の使命に注力すべき。【大学関係団体】

■ 個々の大学共同利用機関の「出自」「歴史的経緯」、研究者コミュニティの状況、研究の特性に留意することが必要。【研究開発法人】

○ 大学共同利用機関の優れたシステムに着目し、今後「こうなってほしい」という理想系を意識しながら議論することが大切。

2. 大学との連携の在り方について

■ 大学あっての大学共同利用機関であるという基本姿勢が根本に必要。【研究開発法人】

■ 活動が特定のコミュニティ内に閉じるのではなく、大学共同利用機関と大学とがお互いにもっと分かり合えるような取組が必要。【大学関係団体】

■ 大学との教授職の兼任や、大学の研究室を一定期間ブランチとして設置することができるようにするなど、より自由に研究者が大学共同利用機関を研究のインフラストラクチャーとして活用できるような仕組・環境を整備することが期待される。【附置研究所関係団体】

■ 各大学単独では実施が困難な研究ドメインの明確化と「見える化」が必要。【産業界】

■ 大学との関係を明確化するとともに、個々の大学や大学共同利用機関の枠を超えた工夫・取り組み(例:流動性促進、支援体制充実、協働関係の構築)への国の支援策が重要。【研究開発法人】

■ 私学の研究者は「使い勝手が悪い」というイメージを持っているため、今後の解決に向けた取組が必要。【大学関係団体】

■ 地方をはじめ、全国に散らばる私立大学と密接に連携できる方策を考えてほしい。【大学関係団体】

○ 法人化に伴って大学とは別個の組織という印象が強くなっているが、もともとは大学のリソース(人や金)を持ち出して設置されたという経緯を認識することが必要。

○ 「お客様」としての大学を意識したサービスが必要であり、より密接な連携を図ることが必要。

○ 大学との密接なコミュニケーションを図る観点から、例えば機関の代表者と各大学の研究担当理事クラスとの意見交換の場を設けるような取組が必要。

○ 大学との共同研究成果をそれぞれ別個にPRしている点が問題であり、研究成果の見せ方を工夫すべき。

3. 大学の研究組織との関係について

■ 共同利用・共同研究拠点との連携システムを構築し、両者のシナジー効果によって世界トップレベルの研究を牽引できるような体制整備を図るべき。【大学関係団体】

■ 両者の特性を生かし、対等な関係で互いに補い合うことによって緊密かつ効率的な共同研究システムを構築し、我が国の学術研究の飛躍的な発展につなげるべき。【附置研究所関係団体】

■ データベース構築や研究リソースの整備など、個々の附置研究所が取組を進めている分野についても、大学共同利用機関が多岐に渡って大規模な展開を行い、まとめ役としての役割を果たすべき。【附置研究所関係団体】

■ 附置研究所・研究センター全体と大学共同利用機関との協議の場を設け、お互いの役割を明確にしつつ密接な関係を構築することが必要。【附置研究所関係団体】

○ 例えばデータベースの統合等の個々の大学ではできない活動について、大学共同利用機関が主導していくことが求められる。

○ ネットワーク型の連携が重要になってくるが、完全に対等なネットワークと、ハブ型のものがあり、後者の場合は大学共同利用機関が中心的な役割を担うことが効率的。

○ 附置研究所との関係を明確にするには、学術研究のドライビングフォースとして、守備範囲をより基礎的な部分に特化していくという方向性も考えられる。

○ 「議論の整理」における「拠点の牽引役」という記述は、共同利用・共同研究拠点側から見ると必ずしも適切ではなく、再度記述をブラッシュアップすることが必要。

4. 大学共同利用機関の組織・運営について

■ 装置型ではない大学共同利用機関については、例えば所内公用語は全て英語にし、教授を含む研究者はすべて全世界に向けて公募するなど、世界各国の優秀な頭脳が結集するような戦略を持ってほしい。【附置研究所関係団体】

■ 若手研究者の自立的研究環境の整備や優れた高齢研究者の能力の活用を積極的に進めてほしい。【大学関係団体】

■ 大学共同利用機関は、基礎研究とイノベーション創出目的研究の両輪的振興の推進に向けたポートフォーリオ的な推進方策を「見える化」し、それぞれの研究資金枠と審査・評価基準を明確化すべき。【産業界】

○ 例えば、現在の4機構を再編して1機構にするということも考えられるが、機構の構成を論点とするのであれば、再度、各機構・機関のトップで議論する必要がある。

5. 大学共同利用機関の研究活動について

■ 「思い切った異分野融合を可能とする枠組みの構築」という機構法人化の意義を活かし、離れた分野との融合を行い、思い切った学際的研究を推進することを期待する。【附置研究所関係団体】

■ 大学共同利用機関は、まだ分野として成熟しておらず、学生に教育するような段階に至っていない学問についても推進できる強みを有する。【附置研究所関係団体】

■ 人文科学や社会科学、芸術など、多様な学問分野との総合的な刺激の重要性に留意すべき。【大学関係団体】

■ 人的資源を膨大に必要とし、研究と作業の中間に位置するような研究プロジェクトの推進も大学共同利用機関の役割として期待する。【附置研究所関係団体】

■ 研究内容に類似点があるプロジェクト等については、関係機関同士で話し合う機会を設けることが必要であり、大学共同利用機関も含めてオールジャパンで協力することが必要。【研究開発法人】

■ 基礎科学分野における国家的規模の巨大装置の整備・提供については、特定のプロジェクトに役立つものだけでなく、より汎用性の高い装置としてほしい。【附置研究所関係団体】

■ 研究支援者など、専門性の高いスタッフの充実と、彼らのキャリアパスの明確化や育成に計画的に取り組むべき。【大学関係団体】

○ 人文社会科学の分野を積極的に取り入れ、例えば時限的に新しい領域を構築するなどの取組の強化が望まれる。

6. 大学共同利用機関の教育活動について

■ 機能を多様化したうえで、高等教育に対する取組を本来業務として明確化してほしい。【総合研究大学院大学】

■ 研究所全体が今後の我が国の高等教育を担っていく一つの基盤であるという点を教職員に認識してほしい。【総合研究大学院大学】

■ 大学院教育については、大学及び総合研究大学院大学との関係を明確に整理した上で、連携の在り方を検討していくべき。【研究開発法人】

■ 例えば大学共同利用機関と大学とのコラボレーションで特区をつくり、米国のように大学院生に対して活きた教育研究資金を投入して、国際レベルの教育研究を行うような方策も考えられる。【研究開発法人】

○ 個々の大学共同利用機関で行っている高度な教育プログラムと総合研究大学院大学で行っている教育プログラムとの連携を図り、他の大学も含めた大きな広がりの中で、総研大が教育の観点からコミュニティを束ねるような役割を担うことが望ましい。

○ 総合研究大学院大学の研究科と機構法人の関係について様々な括り方を模索するべきであり、教育の側から新しい領域を提案するような可能性を活かしてほしい。

○ 機構法人を跨いだ総合研究大学院大学の研究科の構成は、例えばデータセントリックな研究を進めるにあたっては可能性を秘めている。

○ 大学共同利用機関と総合研究大学院大学が共に活性化していくことが重要であり、機構には、総合研究大学院大学を育てていこうという意識が期待される。

○ 優れた研究者は優れた教育者でもあり、優れた研究者が集まる中に教育プロセスがないのは国家的な損失である。また、研究所にはライフサイクルがあり、その波に柔軟に対応するためにも、自前の人材を育てていくことが必要であり、そのことが総合研究大学院大学の存在意義である。

○ 総合研究大学院大学に学生を集めるという観点から、今後は学生の入学動機の分析に努めるべき。

○ 総合研究大学院大学には、「狭き門」という魅力と制限がある中で、他大学との学生交換等を実施しているユニークな大学であることを積極的にアピールしてほしい。

○ 総合研究大学院大学の各専攻の学生数が、教員数に対して少ない印象があり、定員増についても検討すべき。

7. 他の機関等との関係について

■ 国のミッションを達成する研究開発法人と、その基盤となる学術研究を支える大学・大学共同利用機関はそれぞれの観点から重要な役割を担っており、両者が密接に連携するようなメカニズムが必要。【研究開発法人】

■ 独立行政法人が行う政策課題に対応した事業においても、学術研究として行う部分、あるいはベースに学術的な考え方を必要とするものが存在する。【研究開発法人】

■ 国策を受け入れる独立行政法人にもボトムアップ型の研究機能を有する機関があり、学術政策と科学技術政策を分けるような日本独自の考えは検討すべき課題。【研究開発法人】

 研究環境基盤部会におけるこれまでの意見聴取実績【参考】

○総合研究大学院大学

日時:平成21年10月29日

発表者:高畑 尚之 学長

○大学関係団体

国立大学協会

日時:平成22年1月21日

発表者:野上 智行 専務理事

公立大学協会

日時:平成22年1月21日

※ 書面にて意見陳述

日本私立大学団体連合会

 日時:平成22年1月21日

 発表者:黒田 壽二 高等教育改革委員会委員長(金沢工業大学学園長・総長)、 中島 啓幾 早稲田大学研究戦略センター所長

○日本学術会議

日時:平成22年1月21日

発表者:海部 宣男 日本の展望委員会幹事

○国立大学附置研究所・研究センター長会議

日時:平成22年2月26日

発表者:山口 明人 会長(大阪大学産業科学研究所長)

○研究開発法人

独立行政法人海洋研究開発機構

日時:平成22年2月26日

発表者:平 朝彦 理事

独立行政法人宇宙航空研究開発機構

日時:平成22年3月11日

発表者:小野田 淳次郎 宇宙科学研究本部長

○産業界

柘植 綾夫 芝浦工業大学長(前・三菱重工業(株)代表取締役技術本部長)

日時:平成22年3月11日

お問合せ先

研究振興局学術機関課企画指導係

高橋、村上、堀之内
電話番号:03-6734-4169
ファクシミリ番号:03-6734-4086

-- 登録:平成22年08月 --