「大学共同利用機関法人・大学共同利用機関の在り方」主な論点及び関連する主な意見(案)

科学技術・学術審議会学術分科会

研究環境基盤部会(第40回)

1.学術研究体制における大学共同利用機関の位置づけ・役割について

(基本的な位置付け・役割)

 

〈1〉大学共同利用機関という我が国独自の制度を、学術研究の発展に果たしてきた役割等との関係で、どのように評価するか。

〈2〉学術研究の推進や我が国の研究体制の整備状況、機構化・法人化の進捗状況等を踏まえ、今後、大学共同利用機関法人及び大学共同利用機関の発展・充実についてどのように考えるか。

 

○ 大学共同利用機関は、個々の大学では整備できない大規模な施設・設備や大量の学術情報・データ等を全国の大学等の研究者の共同利用に供し、個々の大学の枠を越えた効果的な共同研究を進めるための組織である。

○ 我が国の学術の発展において大学共同利用機関が果たすべき重要な役割の一つは、内外の学問動向を踏まえ、当該学問分野の総合的な発展をリードするとともに、新たな学問領域の創成に資することである。

○ 施設・設備の共同利用だけに着目すると大学共同利用機関の役割を見誤る。コミュニティ全体の要望により創設された大学共同利用機関の経緯を踏まえれば、単なる施設・設備の提供だけでなく、コミュニティの中心的位置付けとの認識が必要である。

○ 大学共同利用機関は世界の学術の発展に大きな役割を果たしている。世界に開かれた窓口としての大学共同利用機関の機能強化を図るとともに、こうした大学共同利用機関の特徴を対外的に明示すべき。

○ 大学共同利用機関の位置付け、果たしている具体的役割、当該分野の研究者にとっての共有財産であること等を外部に分かりやすく発信することが必要である。

 

(大学との関係における大学共同利用機関の意義・役割)

 

〈1〉「大学における学術研究の発展等に資するために設置される大学の共同利用の研究所」という法的位置付けを踏まえ、大学共同利用機関は大学との関係で、どのような役割を果たしていくべきか。

〈2〉大学セクター全体における大学共同利用機関の存在意義をどのように高めるか。また、大学の研究を支援する機能をどのように強化するか。

 

○ 大学共同利用機関は、各分野の研究者が世界最先端の研究を展開していく上で、個々の大学では対応できない部分を担うために設置された経緯がある。その意味において、大学共同利用機関は、大学を中心とする学術研究の基盤を支えるインフラストラクチャーである。

○ 短期的な研究成果が重視される中で、大学セクター全体として新たな研究の芽を作って伸ばす必要。大学共同利用機関がそのために積極的な役割を果たす必要がある。

○ 大学共同利用機関は研究者コミュニティの中心として、様々な研究者が入れ替わり立ち替わり訪れるような場所であるべき。このため、異分野の研究者による研究交流の場の提供や、サバティカル制度等の活用により大学の研究者の共同利用・共同研究への参画を促進するような仕組みが必要であり、国からも相応の支援を行うべき。

○ 機構内の機関のデータベースをつないだ統合検索システムの構築・共用や、大学等も含めた研究会の設置による学会全体を挙げた連携体制の構築等を通じて、大学全体に対して大学共同利用機関としての使命を果たすべく活動を進めている。

○ 大学の研究基盤の強化に寄与する観点から、例えば、大学共同利用機関が強みを有する実験技術(例:計算機ネットワーク技術や低温技術等)を大学に移転するような「分散型の大学共同利用」を行うことも考えられる。

○ 優秀な研究者が大規模大学に行くと、経費や時間的な面で、研究者としての能力が発揮できなくなる。大学共同利用機関が、金銭的な支援も含めて、若手の優秀な頭脳を活用できるようなシステムを強化すべき。

○ 大学の教員に半年~1年間、大学共同利用機関に来てもらい、その間の費用を負担するような国内サバティカルの制度化が必要である。

○ 一定期間、大学の研究室が丸ごと大学共同利用機関内に移って、共同利用・共同研究に専念するような仕組みも考えられる。分子科学研究所でも昔から1~2年研究室を移すような取り組みを行っていた。

○ 大学との連携プロジェクトを実施する際に、これまでは国から機構、機構から大学に経費が流れていたが、各大学のアイデンティティを尊重する観点から、各大学に関連のセンターを設置し、国から大学に、大学から機構に経費が流れるような仕組みも検討すべき。

○ 研究者コミュニティとの関係のみならず、大学セクター全体のニーズを踏まえた活動を充実させる等の観点から、国公私立大学の関係団体等と定期的に意見交換するなどの取組が求められる。

 

(独立行政法人等との関係)

 

〈1〉研究開発を行う独立行政法人(研究開発法人)との関係で、大学共同利用機関の独自の存在意義や中心的な役割についてどのように考えるか。

〈2〉我が国全体の研究資源の有効活用を図る等の観点から、大学共同利用機関と研究開発法人等との連携・協力についてどのように考えるか。

 

○ 大学共同利用機関法人、他省庁の所管も含めた研究開発法人、大学の附置研究所等の役割を仕分けして、それぞれの立ち位置を明確にした上で、相互の連携をより強化すべきである。

○ 大学共同利用機関と研究開発法人等の関係について、互いが切磋琢磨する競争的環境を醸成したり、当該分野の層を厚くする意味でも、両者の存在は重要である。国内に異なる発想をもった組織が複数存在することに意義がある。数少ない相似点を指摘し、一元化や効率化につなげる議論では、全体の研究活動がやせ細る。むしろ、相互連携の推進について議論する方が建設的である。

○ 研究開発法人においては、〈1〉公共の福祉など市場の原理になじまない分野や食料、エネルギー、資源確保等の政策遂行に必要な研究開発、〈2〉高リスク・高コストで民間では対応し難い分野の研究開発、〈3〉新たな技術の創出を目指した研究開発や技術的課題の解決のために基礎に立ち返った研究開発など、所管省庁の行政目的の下、社会経済の要請等に基づく課題の解決等を目指す研究が行われている。このような研究においては、その性格上、研究により何を達成するかについて、予め目標を明確にしておくことが重要であり、研究計画の立案に先立ち、国において目標を設定する手法が取られている。

○ 研究開発法人によっては、所属する研究者の発意に基づく研究も行われているが、あくまで大枠の目標を達成する観点から、研究者の自由な発想を許容することが効率的であるとの判断の下に行われているものと整理できる。

○ 学術研究機関である大学共同利用機関と研究開発法人との違いをキーワードで表現すると、前者は「知の創造」と「自由な発想」、後者は「目標の達成」と「計画と効率化」である。

○ 学術と研究開発は明確に分けられない。研究開発法人でも学術は行われている。日本の学術全体を考えるとき、他省庁所管の研究開発法人と大学・大学共同利用機関との連携も重要。例えば、加速器や放射光施設を用いた研究の課題申請の際に、大学以外の機関も含めて、国内全体の観点から割り振りができる集約的システムがあれば望ましい。

○ 現在、研究開発法人においてもビッグプロジェクトが進められているが、大学共同利用機関におけるボトムアップの学術研究と、研究開発法人におけるトップダウンの開発研究という両者の役割分担を明確にする必要がある。

 

(共同利用・共同研究拠点との関係)

 

〈1〉新たに認定された共同利用・共同研究拠点との関係で、大学共同利用機関の果たす役割についてどのように考えるか。

〈2〉我が国の学術研究体制の強化等の観点から、大学共同利用機関と共同利用・共同研究拠点との効果的な連携についてどのように考えるか。

 

○ 共同利用・共同研究拠点が制度化され、拠点となる附置研究所が増える中で、大学共同利用機関には当該分野の中心的な役割が期待されている点を明確にする必要がある。

○ 大学の附置研究所等との関係では、新たな学問領域の創成を目指し、一段上の幅の広い分野を対象にした共同研究を展開することが、大学共同利用機関法人に求められる役割である。

○ 共同利用・共同研究拠点については、文部科学大臣による認定制度が設けられ、研究者コミュニティが参画した運営組織とすること等が義務づけられているものの、各大学の組織の一部であることから、共同利用の推進という面では、ある程度の制約がある。

○ 大学共同利用機関には、当該分野の共同利用・共同研究の中心として、共同利用・共同研究拠点と効果的な連携を行い、隣接領域も含めて分野全体の総合的な発展を構想し、その実現に向けて努力をしていく役割が求められる。

○ 今後、ある分野の学術研究を一層発展させる観点から、共同利用・共同研究拠点から大学共同利用機関を目指す施設が出てくれば、大学共同利用機関法人がその受け皿となる。

 

2.大学共同利用機関法人の運営について

(一体的な運営)

 

〈1〉 大学共同利用機関(機構法人)の運営の現状をどう評価するか。

〈2〉 機構法人としての一体的な運営に関してどのような課題があり、その解決のために、どのような方策が考えられるか。

〈3〉 国立大学法人との比較において、機構法人の運営や機構長のリーダーシップの発揮の状況についてどう考えるか。

〈4〉 業務運営の効率化について、更に進めていく余地があるか。

 

○ 大学共同利用機関の法人化は、16の大学共同利用機関を4つの機構法人として再編し、独立した法人とすることにより、〈1〉自律的な環境の下で運営を活性化し、〈2〉共同利用・共同研究機能の向上や新たな学問領域の創成に向けた戦略的な取組を促進することで、〈3〉我が国全体の学術研究の総合的な発展に資することを目指したものであった。

○ 法人化の趣旨を踏まえ、新たな学問領域の創成や大学共同利用機関の存在意義である共同利用・共同研究機能の向上を図る観点から、各機関間の連携を取りながら、機構法人としての一体的な運営を行う体制を強化することが必要である。このため、人事面・予算面における機構長の裁量の拡大や、機構法人本部の事務局機能の抜本的強化を行うことが必要である。

○ 平成16年の機構化は、学問的理念の共有を基本として、世界的なCOEであった各機関を更に束ねるという取組であったが、機構法人としてのPRが十分でなく、全体の姿が国民に十分理解されていない面がある。

○ この4年間の間に、機構長のリーダーシップが発揮されつつあり、例えば新領域融合センター(情報・システム研究機構)の設置や、遠隔実験システムの整備(自然科学研究機構)による研究資源の共有化など、機構法人内の連携融合が少しずつ出てきている。また、機構法人が全体の事務機能を束ねることによる効率化も進んできている

○ 各大学共同利用機関レベルでのコミュニティは存在するが、今後は機構法人レベルでの研究者コミュニティを作っていくことが必要である。

○ 国立大学法人運営費交付金において、各機構法人の新たな学問領域の創成や一体的な運営の強化につながる取組を促進する財政上の仕組みを検討する必要がある。

 

(財政措置)

 

大学共同利用機関法人(機構法人)への財政措置の在り方についてどう考えるか。

 

○ 総人件費改革の下で、研究活動の源泉である人材の確保が困難になっており、大量の研究者を任期付きで雇用せざるを得ない状況が生まれている。また、日常的な研究費を含む国立大学法人運営費交付金の効率化減は限界に来ている。次期科学技術基本計画においては、こうした状況を反転させ、基盤的な経費の拡充を図っていく必要がある。特に大学共同利用機関に対する予算措置は、「国公私立大学の研究者の共同利用の研究所」として、学術研究全体を支える基盤的な役割を果たしていることを踏まえ、特段の配慮が必要である。

○ 国立大学法人運営費交付金において、各機構法人の新たな学問領域の創成や一体的な運営の強化につながる取組を促進する財政上の仕組みを検討する必要がある。(再掲)

 

3.大学共同利用機関の研究活動について

(新たな学問領域の創成)

 

〈1〉 新たな学問分野の創成に向けた取組状況をどう評価するか。

〈2〉 新たな学問領域の創成に向けて、大学共同利用機関はどのような役割を果たし、どのような取組を進めていくべきか。

〈3〉 新たな学問領域の創成に向けて、大学共同利用機関の組織の見直しについてどう考えるか。

 

○ 異なる研究者コミュニティにより支えられた機関が1つの法人を構成するメリットを活かし、新たな学問領域の創成を図ることが機構化の大きな目的の一つであった。この原点に立ち返り、機構長のリーダーシップや各機関の長の連携協力の下で、領域融合について、将来の姿や達成時期等に関する明確な目標を持って取組を進めていく必要がある。

○ 研究者の要求や期待を受け止め、共同研究の幅を一層広げていく必要があるが、コミュニティの固定化は新分野を生み出す上で障害になる。コミュニティの意見を踏まえるだけではなく、新たな研究分野やコミュニティを育成することが今後の大学共同利用機関に求められる役割である。

○ 機構内部の様々な研究分野の連携を図るとともに、広く大学の研究者との連携を進めることで、新しい研究領域の育成を担っていく必要がある。

○ 法人化の際、今後は大学共同利用機関全体で学術の発展を考えていくという発想があったが、機関間の連携に比べて、機構間の連携はあまり進んでいない。4機構の連携を強化することにより、学術の更なる広がりが可能になるのではないか。

○ 各機構においては、隣接する分野のみならず、一見異なる分野の研究者間の交流の場を設ける等の挑戦的な試みを行うことも考えられる。

○ 大学共同利用機関の重要な組織的特性として、「研究者コミュニティにとって最適な研究所」であることを常に求められる存在であるという点が挙げられる。多様な研究者コミュニティの意向を踏まえ、新たな学問領域の創成に向けて、大学共同利用機関が絶えず自発的な改革を進めている姿を社会や国民に積極的に発信していく必要がある。

○ 高エネルギー加速器研究機構のように根源的な科学を対象とする機関においては、活動の過程で、物質・生命・宇宙等の研究に関して様々な可能性が出てくることを念頭に置いて活動を進める必要がある。

○ 自然科学研究機構の新分野創成センターのような機関横断的な取組は、トップダウン的に目的を定めるのではなく、各機関の研究者の深い討論のもとに、共通項を探し出すところから始めるべき。

○ スモールサイエンスの大学共同利用機関においては、装置の共同利用のみならずソフト面の役割が重要。ある成果を出した研究者を大学共同利用機関に招いて講習会を行うことで、新たなコミュニティが生まれ、学問分野の創出につながる可能性がある。

○ 国立大学法人運営費交付金において、各大学共同利用機関法人の新たな学問領域の創成や一体的な運営の強化につながる取組を促進する財政上の仕組みを検討する必要がある(再掲)。

 

(大学共同利用機関の構成やカバーする領域)

 

今後、大学共同利用機関法人(機構法人)を構成する機関の見直しや新たな機構法人や大学共同利用機関の設置等について、どのように考えるか。また、それらの検討・取組はどのように行われるべきか。

 

○ 外から見て、機構法人としてのミッションが明確になるような仕組みや研究所の構成を考えるべき。

○ 今後、各機構法人がカバーする領域の再検討を行い、足りない部分を補うことが必要である。例えば自然科学研究機構は、現在の5機関で十分なのかという疑問が残る。

○ 将来的には、現在の4機構法人の在り方を再考する時期が来るのではないか。

○ 新たな大学共同利用機関の設置については、今後の研究者コミュニティにおける主体的な検討や日本学術会議における審議等を踏まえ、本部会において継続的に検討を行う必要があるのではないか。

 

(創造的な研究環境の整備)

 

これまで以上に活力のある創造的な研究環境を整備する観点から、どのような取組を進めていくべきか。

 

○ 多様な分野の研究者の参加による共同利用・共同研究を促進する観点から、研究者の流動性を一層高める必要がある。また、これまで以上に活力のある創造的な研究環境を整備する観点から、各法人の実情を踏まえ、研究者の年齢構成や他機関での経験を考慮した採用、女性や外国人研究者等の比率を考慮した採用、若手研究者の自立的研究環境の整備、女性研究者等の能力の活用等を一層推進する必要がある。

 

4.大学との教育上の連携の在り方等について

 

〈1〉大学共同利用機関の機能を研究者養成に最大限活用するため、一般の大学等との教育上の連携強化を含め、今後、大学共同利用機関は教育・研究者養成にどのような役割を果たしていくべきか。

〈2〉総合研究大学院大学の基盤機関としての役割を果たすために、どのような取組が求められるか。

 

(教育に果たす役割)

○ 大学共同利用機関は、「大学の共同利用の研究所」であり、その本務は研究及び研究環境を共同利用・共同研究に供することであるが、研究機関として継続的な活動を行う上で、次代を担う若手研究者の育成は重要な課題である。また、分野によっては、トップレベルの教育環境を事実上大学共同利用機関が有している場合も少なくない。

○ 大学共同利用機関は、設備の充実度や多様な研究者の集積など優れた教育環境を有しており、この特性を生かして、学生が研究のプロセスに直接参加する形で研究者養成を行っていく研究・教育一体型の大学院教育のスタイルは、極めて有意義である。

○ 今後、各大学共同利用機関においては、機構法人の考え方を踏まえて、活動全体における教育の比重も含め、教育活動の位置付けや具体的な方針をより明確にした上で取組を推進する必要がある。

○ 大学共同利用機関には、大学の学生を「特別共同利用研究員」として受け入れ、最先端の設備や貴重な資料を無償で利用する機会を与える制度がある。学位授与等は各大学において行われるものの、実質的には教育機関としての役割を果たしている。大学と大学共同利用機関とが協働して学生を育てるメカニズムが外から見えにくいのが課題であり、対外的な発信を強化していく必要がある。

○ 学部・学科と直結した研究科・専攻を持たない私学の学生も視野に入れつつ、より多くの大学・大学院との教育上の連携を検討していくべき。

○ 大学の教員は学生を連れて、関連する大学共同利用機関を積極的に活用すべきであり、大学側もこれに協力することが必要である。

 

お問合せ先

研究振興局学術機関課企画指導係

高橋、中村、谷村
電話番号:03-5253-4111(内線4295)、03-6734-4169(直通)

-- 登録:平成21年以前 --