科学技術・学術審議会学術分科会
研究環境基盤部会(第39回)
・ 日本の学術の発展における大学共同利用機関の役割を明確にすべき。
・ 施設設備の共同利用だけに着目すると大学共同利用機関の役割を見誤る。コミュニティ全体の要望が体現されて大学共同利用機関ができた経緯がある。単なる施設設備の提供だけでなく、コミュニティの中心的位置付けとの認識が必要。
・ 短期的な研究成果が重視される中で、大学セクター全体として新たな研究の芽を作って伸ばす配慮が必要。大学共同利用機関がそのために一定の機能を担う必要がある。
・ 大学の研究基盤の強化に寄与する観点から、例えば、大学共同利用機関が強みを有する実験技術(例:計算機ネットワーク技術や低温技術等)を大学に移転するような「分散型の大学共同利用」を行うことが考えられるのではないか。
・ 大学との連携プロジェクトを実施する際に、これまでは国から機構、機構から大学に経費が流れていたが、各大学のアイデンティティを尊重する観点から、各大学に関連のセンターを設置し、国から大学に、大学から機構に経費が流れるような仕組みも検討すべき。
・ 優秀な研究者が大規模大学に行くと、経費や時間的な面で、研究者としての能力が発揮できなくなる。大学共同利用機関が、金銭的な支援も含めて、若手の優秀な頭脳を活用できるようなシステムを強化すべき。
・ 大学の教員に半年~1年間、大学共同利用機関に来てもらい、その間の費用を負担するような国内サバティカルの制度化が必要。
・ 機構内の機関のデータベースをつないだ統合検索システムの構築・共用や、大学等も含めた研究会の設置による学会全体を挙げた連携体制の構築等を通じて、大学全体に対して大学共同利用機関としての使命を果たすべく活動を進めている。
〈1〉「大学における学術研究の発展等に資するために設置される大学の共同利用の研究所」という法的位置付けを踏まえ、大学共同利用機関は大学との関係で、どのような役割を果たしていくべきか。
〈2〉大学セクター全体における大学共同利用機関の存在意義を高めるには、どのような方策が考えられるか。
〈3〉大学の研究を支援する機能を強化するためにどのような方策が考えられるか。
・ 学術研究機関と独立行政法人との違いをキーワードで表現すると、前者は「知の創造」と「自由な発想」、後者は「目標の達成」と「計画と効率化」である。
・ 現在、独立行政法人においてもビッグプロジェクトが進められているが、大学共同利用機関におけるボトムアップの学術研究と、独立行政法人におけるトップダウンの開発研究という両者の役割分担を明確にする必要がある。
・ 学術と研究開発は明確に分けられない。独立行政法人でも学術は行われている。日本の学術全体を考えるとき、他省庁所管の研究開発機関と大学・大学共同利用機関との連携も重要。例えば、加速器や放射光施設を用いた研究の課題申請の際に、大学以外の機関も含めて、国内全体の観点から割り振りができる集約的システムがあれば望ましい。
〈1〉一部の分野では独立行政法人との類似性が指摘される中で、大学共同利用機関の独自の存在意義や中心的な役割についてどう考えるか。
〈2〉我が国全体の研究資源の有効活用を図る等の観点から、大学共同利用機関と独立行政法人等との連携・協力を進めていく必要があるか。その場合、両者の独自性を生かしつつ、どのような取組を進めていくことが考えられるか。
・ 共同利用・共同研究拠点が制度化され、拠点となる研究所が増える中で、大学共同利用機関はどのような役割を果たすのか。当該分野の中心的な役割が期待されている点を明確にする必要がある。
・ 大学の附置研究所等との関係では、一段上の幅の広い分野を対象にした共同研究の展開が大学共同利用機関法人に求められる役割である。
・ 共同利用・共同研究拠点との効果的な連携が必要。
・ 共同利用・共同研究拠点から大学共同利用機関を目指す施設が出てくれば、機構がその受け皿となる。
〈1〉多くの大学の附置研究所等が共同利用・共同研究拠点に認定されたが、共同利用・共同研究拠点との関係で、今後、大学共同利用機関にはどのような役割を果たすことが求められるか。
〈2〉共同利用・共同研究拠点との効果的な連携を促進するためにどのような方策が考えられるか。
〈1〉大学共同利用機関という我が国独自の制度を、学術研究の発展に果たしてきた役割等との関係で、どう評価するか。
〈2〉学術研究の推進や我が国の研究体制の整備状況、機構化・法人化の進捗状況等を踏まえ、今後、大学共同利用機関法人及び大学共同利用機関という制度をどう考えていくか。
・ 平成16年の機構化は、学問的理念の共有を基本として、世界的なCOEであった各機関を更に束ねるという取組であったが、機構としてのPRが十分でなく、全体の姿が国民に十分理解されていない面がある。
・ この4年間の間に、機構長のリーダーシップが発揮されつつあり、新領域融合センター(情報・システム研究機構)の設置や、遠隔実験システムの整備(自然科学研究機構)による研究資源の共有化など、機構内の連携融合が少しずつ出てきている。
・ 機構が全体の事務機能を束ね、業務運営の一本化による効率化が進んできている。特に広報については、機構全体の広報システムの整備と情報発信が進んできている。
〈1〉 4機構化の現状をどう評価するか。
〈2〉 機構としての一体的な運営に関してどのような課題があり、その解決のために、どのような方策が考えられるか。
〈3〉 国立大学との比較において、機構の運営や機構長のリーダーシップの発揮の状況についてどう考えるか。
〈4〉 業務運営の効率化について、更に進めていく余地があるか。
・ 国立大学運営費交付金の削減により、共同利用・共同研究の運営が窮屈になっている。研究活動の源泉は人であるにも拘わらず、人件費の削減が続いている現状は憂慮すべき問題。結果的に、大量の研究者を任期付きで雇用しており、持続的な研究の実施が困難。
大学共同利用機関法人への財政措置の在り方についてどう考えるか。
・ 研究者の要求や期待を受け止め、共同研究の幅を一層広げていく必要があるが、コミュニティの固定化は新分野を生み出す上で障害になる。コミュニティの意見を踏まえるだけではなく、新たな研究分野やコミュニティを育成することが今後の大学共同利用機関に求められる役割ではないか。
・ 機構内部の様々な研究分野の連携を図るとともに、広く大学の研究者との連携を進めることで、新しい研究領域の育成を担っていく必要がある。
・ 法人化の際、今後は大学共同利用機関全体で学術の発展を考えていくという発想があったが、機関間の連携に比べて、機構間の連携はあまり進んでいない。4機構の連携を強化することにより、学術の更なる広がりが可能になるのではないか。
・ 高エネルギー加速器研究機構のように根源的な科学を対象とする機関においては、活動の過程で、物質・生命・宇宙等の研究に関して様々な可能性が出てくることを念頭に置いて活動を進める必要がある。
・ 自然科学研究機構の新分野創成センターのような機関横断的な取組は、トップダウン的に目的を定めるのではなく、各機関の研究者の深い討論のもとに、共通項を探し出すところから始めるべき。
・ スモールサイエンスの大学共同利用機関においては、装置の共同利用のみならずソフト面の役割が重要。ある成果を出した研究者を大学共同利用機関に招いて講習会を行うことで、新たなコミュニティが生まれ、学問分野の創出につながる可能性がある。
〈1〉 新たな学問分野の創成に向けた取組状況をどう評価するか。
〈2〉 新たな学問領域の創成に向けて、大学共同利用機関はどのような役割を果たし、どのような取組を進めていくべきか。
〈3〉 新たな学問領域の創成に向けて、大学共同利用機関の組織の見直しについてどう考えるか。
・ 外から見て、機構としてのミッションが明確になるような仕組みや研究所の構成を考えるべき。
・ 今後、各機構がカバーする領域の再検討を行い、足りない部分を補うことが必要。例えば自然科学研究機構は、現在の5機関で十分なのかという疑問が残る。
・ 将来的には、現在の4法人の在り方を再考する時期が来るのではないか。
・ 大学共同利用機関であった宇宙科学研究所が宇宙航空研究開発機構に統合された結果、宇宙科学分野が手薄になっている。大学のための大学共同利用機関を考えれば、宇宙科学を担う大学共同利用機関が必要ではないか。
今後、大学共同利用機関法人を構成する機関の見直しや新たな大学共同利用機関法人や大学共同利用機関の設置等について、どう考えるか。また、それらの検討・取組はどのように行われるべきか。
・ 学術研究の大型プロジェクトは、成果の創出が10年、20年後になる可能性もあるため、長期的な視野で戦略的に進めていく必要がある。
・ 大型装置を用いた研究の推進については、規模にもよるが、ある程度の競争も必要。
・ 素粒子関係の大型プロジェクトについては、各国政府が資金を出し合って、インターナショナルボードを組織して全体の研究や運営方針を検討する仕組みが考えられており、他分野においても参考になるのではないか。
・ 全体の予算枠との関係で、学術研究の大型プロジェクトが他の学術研究に対して「しわ寄せ」とならないよう留意が必要。
※ 当面、学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会において議論
・ 学生が研究のプロセスに直接参加する形で研究者養成を図っていく大学院教育のスタイルは有効。
・ 総合研究大学院大学と協力した大学院教育は、世界的にも例がない特徴的なシステムであり、マックス・プランクの研究者からも高く評価されている。
・ 国立大学の法人化後、大学院生の囲い込みが問題となっており、学部を持たない総合研究大学院大学にとって優秀な学生を確保する機会に恵まれない事態が生じている。各機関がPR活動に取り組んでいるが、効果は不十分である。
・ 大学共同利用機関は、世界トップレベルの研究者を有しており、総合研究大学院大学に優秀な学生を確保できないことは大きな問題。
・ 総合研究大学院大学の基盤機関としての取組は、当初は博士課程の各専攻を対象に始まったが、最近は修士課程まで広げて人材を求めるスタイルに変わってきている。
・ 学部・学科と直結した研究科・専攻を持たない私学の学生も視野に入れつつ、他の大学・大学院との教育上の連携も検討していくべき。
・ 大学共同利用機関には、他の大学院から学生を受け入れ、学位は当該大学から付与する特別研究員制度があり、有効に機能している。
・ 大学共同利用機関の教育機能を高めることは非常に重要であり、例えば加速器を作る際に、テストビームラインを設置することにより、学部学生や大学院生に効果的なトレーニングを行っている。
・ 学部生を対象としたサマースクールを実施している機関もあり、効果的なトレーニングになることから、今後も積極的に推進すべき。
・ 大学における「技の創造」が空洞化し、産業界においても長期的なプロジェクトを実施する余裕がない中で、大学共同利用機関にワークショップを設けて産業界から人材を受け入れ、協同で技術開発を実施し、その成果を産業界に持ち帰ることができる仕組みを検討している。
〈1〉大学共同利用機関の機能を研究者養成に最大限活用するため、一般の大学等との教育上の連携強化を含め、今後、大学共同利用機関は教育・研究者養成にどのように関わっていくべきか。
〈2〉総合研究大学院大学の基盤機関としての役割を果たすために、上記のような課題をどのように解決していくか。
高橋、中村、谷村
電話番号:03-52534111(内線4295)、03-6734-4169(直通)
-- 登録:平成21年以前 --