令和7年10月2日(木曜日)10時00分~12時00分
オンライン会議にて開催
梶田隆章部会長、大竹尚登委員、木部暢子委員、原田尚美委員、飯田順子委員、市川温子委員、河原林健一委員、小関忠委員、関沢まゆみ委員、永田敬委員、長谷部光泰委員、荒砂茜委員、柳川範之委員、山田弘司委員、渡辺美代子委員
俵大学研究基盤整備課長、山村大学研究基盤整備課学術研究調整官、熊谷大学研究基盤整備課課長補佐、高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官、その他関係者
【梶田部会長】 ただいまより、科学技術・学術審議会 学術分科会 研究環境基盤部会(第125回)を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただきましてありがとうございます。
まず事務局より、本日の委員の出欠、配布資料の確認をお願いします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 大学研究基盤整備課の山村でございます。
本日はリモートで開催させていただきます。
まず委員の先生方の御出欠状況ですが、本日は、中野委員が御欠席となっております。また、飯田委員が11時頃に御退席されると伺っております。
本日の資料は、議事次第に記載のとおり、資料1から資料3、参考資料1から参考資料3です。事前に各委員にお送りしておりますが、不備等ありましたら、チャット機能等で随時事務局までお知らせください。また、音声に不都合がある場合も、随時事務局まで御連絡いただくようお願いいたします。
併せまして、事務局に異動がありましたので、御紹介いたします。
7月15日付で、研究振興局長に淵上孝、大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当)に坂下鈴鹿が着任しております。
【梶田部会長】 ありがとうございます。議事に先立ち、淵上研究振興局長より一言御挨拶をいただければと思います。
【淵上研究振興局長】 研究振興局長の淵上でございます。第125回研究環境基盤部会の開催にあたり、一言御挨拶申し上げます。
我が国が、世界の知を先導し、人類社会の持続的発展に貢献し続けていくためには、研究力の向上が急務となっておりますが、しかしながら、我が国の研究力は相対的な低下が指摘されております。
我が国の大学には、広く意欲・能力がある研究者が所属していますが、大学共同利用機関や共同利用・共同研究拠点は、全国の意欲・能力ある研究者が最先端の研究を行うことができる場として、また、組織の枠を超えて国内外の研究者をつなぎ「新しい知」を創出する場として重要な役割を担っています。今後も、多様で質の高い研究成果を創出する「知」の基盤として、機能強化を図りながら、安定的・継続的に推進していくことが重要であると考えております。
加えて、研究力の向上にあたっては、AI for Scienceによる科学研究の革新を図っていくことが不可欠です。AIを搭載した研究設備の自動化・自律化・遠隔化による大規模なオートメーション・クラウドラボの重要性については委員の皆様方に精力的な御審議をいただき、「意見のまとめ」を取りまとめていただきました。これらを踏まえて、今般、概算要求もしているところです。
10月以降は、令和8年度に実施する各大学共同利用機関の検証に向けた議論及びその結果を踏まえた共同利用・共同研究体制の機能強化について、御審議をいただきたいと考えています。
文部科学省といたしましては、現場からの御意見も伺いながら、研究力の向上に向けた取組を総合的に展開していく所存です。本部会におかれましても、中長期的な観点から多角的に御議論いただきたいと思います。御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。
まず議題1「令和8年度概算要求の状況」について、事務局より説明をお願いいたします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 それでは事務局より、資料に基づき御説明いたします。本部会に関する令和8年度の概算要求の状況について御報告をさせていただきます。まず、文部科学省におきましては、資料の11ページに記載のとおり教育関係予算といたしまして4兆5038億円と事項要求、13ページに記載のとおり科学技術関係予算といたしまして1兆1850億円に事項要求という形で、8月の末に財務省に対し概算要求を行っております。
そのうち本部会に関連する要求内容といたしまして、御戻り頂き、資料1の2ページをご覧ください。
大学共同利用機関法人を含めました国立大学法人等に関する基盤的経費である国立大学法人運営費交付金の令和8年度概算要求でございます。これは、右上にございますけれども、対前年度予算633億円増の1兆1,416億円を計上してございます。
内容といたしまして、左側でございますが、安定的・継続的な教育研究活動の支援というところでございます。近年の物価・人件費の上昇等によりまして、国立大学法人運営費交付金が実質的に減少しているということも踏まえまして、右側にございますけれども、骨太の方針2025におきましては、物価上昇等も踏まえつつ運営費交付金や私学助成等の基盤的経費を確保するという内容の閣議決定がなされてございます。こうした状況を踏まえまして、国立大学法人運営費交付金の令和8年度概算要求におきましては、物価・人件費上昇が継続する中でも教育研究基盤を維持するために必要となる基幹経費の増額ですとか、老朽化が深刻な教育研究基盤設備の整備を支援することとしてございます。
また、国立大学法人の教育研究活動の基盤となる教育研究基盤設備の整備につきましては、本年度予算に引き続き、DX化を通じた業務効率化に資する設備や、老朽化が深刻な教育研究基盤設備の整備等に対する支援分を計上してございます。DX化を通じた業務効率化に資する設備につきましては、事項ごとに要求をしてございますけれども、その他の設備については、今後、経済対策に向けた動きも報道されておりますところ、そういった一連の動きの中で各大学等において必要な設備の確保に向けて取り組んでまいります。
資料中ほどでございます。ミッション実現に向けた改革等の推進についてです。
教育研究組織改革の取り組みに対する支援、こちらの令和8年度概算要求につきましては、新規分および継続・拡充分といたしまして71億円を要求してございます。世界の学術フロンティアを先導する大規模プロジェクトの推進、共同利用・共同研究拠点の強化に対する支援に関しまして、国立大学運営費交付金については対前年度予算額と同額を要求してございます。
続きまして、3ページ目をお開きください。
3ページ目でございます。国立大学の共同利用・共同研究拠点、こちらに対しましては、資料右下に記載のとおり、基盤的な活動経費や、国際協力、国策等に対応する経費といたしまして、本年度予算額と同額の58億円を要求してございます。大学の枠を超えて知を集結し、各研究所の研究ポテンシャルを最大限活用する共同利用・共同研究が着実に実施できるよう必要な予算の確保に努めてまいります。
4ページ目に行かせていただきます。世界の学術フロンティアを先導する大規模プロジェクトの推進についてでございます。
先ほど御紹介をいたしました国立大学運営費交付金で要求を行っている分も含めまして、学術研究の大型プロジェクトを着実に推進していくための経費といたしまして、右上でございますけれども、423億円を要求しております。
続きまして、1ページ飛びまして6ページ目を御覧ください。共同利用・共同研究システム形成事業でございます。
わが国の研究力の底上げを図るため、共同研究・共同システムが大きく貢献してございますけれども、各研究分野単位で形成された共同利用・共同研究体制、これを基盤といたしまして一層わが国の研究の厚みを大きくするということとともに、意欲・能力ある研究者を支援することを目的といたしまして、この事業を行っております。内容は、記載の4つの事項から成り立っております。
1点目が学際領域展開ハブ形成プログラムです。大学共同利用機関や国公私立大学の共同利用・共同研究拠点がハブとなりまして、組織や分野の枠を超えた連携により、新しい学際研究領域の研究ネットワークの構築・強化・拡大を推進しています。そのための経費といたしまして、共同研究費や共同研究マネジメント経費を支援してございます。令和8年度概算要求におきましては、継続事業として11件の実施分と1件の新規採択を行うべく6億円の要求を行っております。
また、右側でございますけれども、特色ある共同利用・共同研究拠点支援プログラムにつきましては、公私立大学の共同利用・共同研究拠点を対象に機能強化のさらなる強化を図るため、共同研究者の旅費や運営委員会等の経費、そういったものを支援してございます。
国立大学の共同利用・共同研究拠点は、先ほど御説明のとおり、運営費交付金において支援をしてございますけれども、公私立大学につきましては当該事業で支援をしてございます。今年度、令和7年度におきましては、新規の公募はございませんでしたけれども、令和8年度概算要求につきましては、継続事業の実施分と3件の機能強化支援、こちらを新規に採択すべく、1億2,500万円を要求してございます。
また、左下でございますけれども、国公私立大学の共同利用・共同研究機能の中核を担う新技術・設備開発要素が含まれる最先端の中規模研究設備の整備、更新を支援すべく、こちら55億円の支援を1件要求してございます。
最後に、右下でございますけれども、この部会におきまして7月に、AI時代にふさわしい科学研究の革新として、最先端研究設備を中核とした大規模集積・自動/自律化・遠隔化による新たな科学研究の姿について取りまとめをいただきましたけれども、その先生方の取りまとめも踏まえまして、関連予算として11億6,000万円を要求してございます。
こちらにつきまして、7ページ目を御覧ください。
審議の過程におきましても、当該取り組みは他の施策等と一体的に検討していくことが重要であるというお言葉をいただいてございましたけれども、文部科学省といたしまして、この取り組みも含めて、AI for Scienceによる科学研究の革新という形で大きな施策として打ち出しをさせていただいてございます。AI研究を科学研究に組み込むことで、研究の範囲、スピード、こういったものが飛躍的な向上をもたらすAI for Scienceが、創造性・効率性などの観点で科学研究の在り方に急速かつ抜本的な変化をもたらしつつあるというところと、国際的な潮流でもあるという状況を踏まえまして、日本固有の強みを生かした分野横断的・組織横断的なAI for Scienceの先導的実装に取り組むことが喫緊の課題となっております。取り組みは、主に4つの柱からなっております。先ほどの大規模集積につきましても、その一つとして位置付けてございます。
4つの柱について簡単に触れさせていただきますと、まず左上がAI駆動型研究の強化といたしまして、ライフ分野等の特定の分野に固有の強みを持つ化学研究向けAI基盤モデルの開発の加速ですとか、AIそのものの研究開発の強化といたしまして、Science for AIの取り組みを推進するものでございます。
そして、その右側、自動/自律化・遠隔化による研究データの創出・活用の高効率化でございますが、ここに大規模集積研究システム形成先導プログラムが位置付けられてございます。より多くの研究者がAIを活用した研究環境を利用でき、高品質かつ大量のデータを継続的に生み出す研究システムの構築を目指します。
左下、AI for Scienceを支える次世代情報基盤の構築といたしまして、計算基盤の開発・整備、運用や、今後、大幅な増加が見込まれる研究データの流通を安定的に支える流通基盤の強化、またAI時代に求められる新たな研究データ基盤等の構築に向けた調査等の実施を行います。
そして、最後、右下でございますけれども、世界を先導する戦略的な産学・国際連携といたしまして、戦略的な産学・国際連携体制を構築・強化することで、世界に伍するAI for Scienceプラットフォームの実装を実現し、国際プレゼンスの向上に貢献をしてまいります。こういったことに一体的に取り組みをいたしまして、わが国の研究力・国際競争力の抜本的強化につなげていきたいと考えてございます。
そして、8ページ目でございますが、こちらに大規模集積研究システム形成先導プログラムのより具体的なイメージを付けさせていただいております。
課題・背景といたしまして、今ほど右側のAI for Scienceの推進という観点から御説明をいたしましたけれども、この取り組みは左側の研究の大型化・高度化への対応という側面の2つの側面に対応していくためにも必要不可欠な取り組みであると考えております。
真ん中ほどの記載を御覧ください。事業の意義、またイメージといたしまして、最先端の研究設備を集積し、高度な研究支援・コンサルテーションと一体的に提供する新たな共同利用サービスを構築する。研究設備の自動/自律化、遠隔化による大規模なオートメーション/クラウドラボを形成する。
そして、地方大学を含め、所属大学を問わず、意欲・能力ある研究者誰もが時間・空間を超えて高度な研究環境にアクセスをし、データ取得可能にしていく。加えて、多様な研究者のアイデアからAI for Scienceの推進にとって重要な資源となる高品質なデータを大量に生成をしていくと、そのようなことができる拠点の形成を目指してまいりたいと思います。
9ページ目でございますけれども、こちらは7月に先生方におまとめいただきました報告書の概要を改めて付けさせていただいてございます。この報告書を御審議いただいたこともございまして、ただ今申し上げましたプログラムのところの概算要求に至っておりますことを改めて御礼を申し上げたいと思います。
概算要求といたしましては、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【梶田部会長】 ありがとうございました。では、ただ今の御説明につきまして、御質問などありましたらば、委員の先生方、お願いいたします。
原田委員、お願いします。
【原田委員】 御説明ありがとうございました。私からは2点です。2ページ目のところで、物価、人件費の上昇等を踏まえた教育研究基盤の維持として、円安も手伝って実質的に目減りしている現状の運営費交付金について、同額ではなくて増額の要求があってしかるべきかと思ったのですが、説明では今年度と同額を要求というように説明されていたような気がしました。同額では基盤的経費の確保には結び付かないのではないかと思ったのですが、増額の要望は難しかったのでしょうか。それとも、私の聞き間違いでしたでしょうか。
【俵大学研究基盤整備課長】 よろしいでしょうか。
【梶田部会長】 お願いします。
【俵大学研究基盤整備課長】 すみません、俵です。まず、運営費交付金全体については、先ほども御紹介したと思うんですけれども、620億の増額の要求をしていて、これはこのページでいうと左上の物価・人件費の上昇を踏まえた教育研究基盤の維持というふうに書いていて、これは毎年、三百数十億程度の増額要求が通常だったんですけれども、今回はその倍、交付金全体については増額の要求をしようということで整理しているものになります。
【原田委員】 分かりました。では、いつもよりも多く要求することができているということでよろしいですよね。
【俵大学研究基盤整備課長】 全体としては、そういうことになります。
【原田委員】 すみません、それでもう一つよろしいでしょうか。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 お願いします。
【原田委員】 13ページの参考資料のところですが、科学の再興に向けた研究力の抜本的強化で、一番上の優れた博士課程学生・若手研究者の活躍促進というところですが、再興という言葉を用いたという点は、日本の科学の落ち込みを認識して、再度あるべき水準に到達させるという覚悟の言葉だなと、受け止めていました。勇気ある言葉を選択された点、ありがとうございます。
科学の再興に向けた抜本的強化のところですが、私が所属する学会の年会で実は先週、内閣府のCSTIの担当官の方が次の科学技術・イノベーション計画の説明会をしてくださいました。学会員と意見交換をした中で目立ったのが多くの若手からの発言で、現在置かれている経済的困窮、特に就職組の同世代の友人たちの給与との大きな格差の改善が非常に強く訴えられていました。
また、やりがいだけでアカデミアに残ろうとは思えないという意見もありまして、優秀な若手に魅力ある将来のキャリアパスを示していくということも大変大事かと思います。民間企業にも博士人材の雇用の魅力を理解していただき、今ある特別研究員制度の発展だけではなく、優れた=若手の活躍促進について特に注力した政策を引き続き進めていただきたく思います。よろしくお願いします。
【俵大学研究基盤整備課長】 ありがとうございます。心強いコメントをいただきました。学会での議論もよく分かりました。僕ら文部科学省全体として、内閣府とも連携しながら進めていきたいと思います。ぜひまた継続的な協力もよろしくお願いします。ありがとうございます。
【原田委員】 ありがとうございます。
【梶田部会長】 ありがとうございました。では、長谷部委員、お願いします。
【長谷部委員】 全般的に部会での意見を反映させて概算要求していただきまして、大変ありがとうございます。
1点気になったのですが、8ページの大規模集積研究システム形成先導プログラムのところで、期待される効果で、研究生産性7倍以上、発表論文数2倍以上となかなか大きな数字が出ていますが、これはどういう根拠で設定されたのでしょうか。
【高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官】 よろしいですか。すみません、高橋でございます。
【梶田部会長】 お願いします。
【高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官】 こちらの期待される効果の部分は、あくまでもイメージとして記載させていただいておりますけれども、今回、部会でも少し取り上げていただいたかと思うんですけれども、米国のエメラルドクラウドラボですとか、英国のMIFといった、そういう先進事例を引き合いに、どれぐらいの効果が見込めるのかというのを少し数字として落とし込ませていただいたというのが状況でございます。
【長谷部委員】 部会の議論であったように、分野によって随分違うという議論があったと思うので、その辺りを今後念頭において話を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官】 ありがとうございます。
【梶田部会長】 ありがとうございました。他に何か御意見、御質問、ありますでしょうか。
よろしいですか。
では、この議題につきましては以上とさせていただきます。
続きまして、議題2「大学共同利用機関の検証について」に移りたいと思います。まず、事務局から説明をお願いいたします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 そうしましたら、議題2に進めさせていただきます。資料2を御覧ください。
大学共同利用機関の検証についてというものでございますけれども、このテーマにつきましては、ちょうど1年前のこの時期の部会の審議におきましても取り上げさせていただいたところでございます。ただ、少し議論の間が空いてしまいましたのと、期が12期から13期と替わられまして、今年度より御参画をいただいております委員の方々もいらっしゃるという状況も踏まえまして、本日、改めてこれがどういうものであるかというところから御説明をさせていただこうと思ってございます。その上で、ざっくばらんに先生方の御感触、御意見等を頂戴いたしまして、次回、具体的な御審議をいただければと思ってございます。
なお、そういった1年前に取り上げたというものでございますので、改めて御説明をさせていただくという都合上、昨年度と説明が一部重複するところもございますことをあらかじめ御了承いただければと思っております。
では、資料15ページ目を御覧ください。
まず、そもそもこの検証とはというものでございますけれども、平成30年の当部会におきまして「第4期中期目標期間における大学共同利用機関の在り方について」という審議のおまとめをいただきました。真ん中の四角囲みのところでございますけれども、この審議まとめの中で、大学共同利用機関法人だけではなく、その下の大学共同利用機関、こちらにつきましても学術研究の動向に対応して、また大学における学術研究の発展に寄与しているかなど定期的に検証する必要があること。また、2つ目の丸でございますが、検証の時期は6年ごとに行うといったことなどを御提言いただいているところでございます。
そして、資料の下段に掲載をしてございますが、検証に当たりまして大学共同利用機関として備えるべき要件、これにつきましても当時御審議をいただきまして、運営面、中核拠点性、国際性、研究資源、新分野の創出、人材育成、社会との関わりという7つの観点を告示により定めまして、これに即して適切な指標を設定した上で検証を行うという形で進めてまいりました。
次に、16ページを御覧ください。
こちらが、前回の具体的なスケジュールでございます。緑色の部分がこの研究環境基盤部会でございます。そして、前回はその下に青の作業部会を設けてございました。その上で、作業部会で、先ほど申し上げました備えるべき要件を御検討いただいた上で、検証実施のためのガイドラインを策定するまでに多くのヒアリング等も行いまして、結果、令和2年3月にガイドラインを策定いたしました。そのガイドラインを基に検証を行うという形を取ってございました。
その後、一番上のオレンジのところでございますけれども、このガイドラインを踏まえまして、各大学共同利用機関におきまして、大体5月から8月の4カ月程度で自己検証というものを実施していただきまして、そして各機関から8月末までに、その自己検証の結果の御提出をいただいてございます。
また、9月からは部会およびその作業部会におきまして、その自己検証を基といたしました外部検証を実施してございます。外部検証につきましては、最初の2カ月で別途、一番下の黄色でございますけれども、やはり外部検証の先生方で全ての分野を網羅的に見るということが困難であったということもございますので、別途、専門家の先生方に意見書というものを作成していただきまして、それを参考といたしまして委員による書面検証を実施してきてございました。そして、その後、11月から12カ月弱で作業部会での審議を実施して、検証結果を決定し、翌年1月に公表といったスケジュール、こういった形で進めてきてございました。
17ページに参ります。こちら前回のガイドラインの内容を概要としてまとめてございます。
まず、ガイドライン本体は、今般、参考資料1として添付をさせていただいてございますので、また後ほどよければお目通しをいただければと思います。
内容といたしましては、検証でございますが、まず一番上の主体別構成とございますが、検証は自己検証と外部検証により行うということ。また、2つ目の検証の基準といたしまして、先ほど御紹介をした大学共同利用機関として備えるべき要件、こちらに対応する主な観点、そしてこれらの観点ごとの指標例、また検証の時期や自己検証の作成様式等について記載してございました。
少し18ページを御覧いただければと思いますけれども、ただいま申し上げました備えるべき要件に即した主な観点、そして指標例というものにつきまして、前回、ガイドラインに記載をされていたものを、イメージを持っていただくために、2つほど抜粋をさせていただいてございます。
例えば、この大学共同利用機関として備えるべき要件のうちの運営面と研究資源というものを取り上げてございますけれども、運営面の主な観点といたしましては、運営体制やコンプライアンス、また公募課題の採択についてなどを記載させていただいてございまして、これらの主な観点に対する主な指標としては記載の事項を列挙しているという形になってございます。こういった形で7つの要件全てについて、この基準をガイドラインの中で定めてございます。
そして、資料右側に補足をしてございますけれども、例えばこの主な観点のうち二重丸が付いているものでございますけれども、これは自己評価において必ず取り上げていただきたい事項、そして丸は少なくても一つは選択して取り上げていただきたい事項としてございます。指標例もあくまで例示でございまして、各機構の特性もございますので、それに応じて独自で設定するということも可能であるという前提で実施してございました。
そして、19ページ、こちらも御参考でございますけれども、こちらがこのガイドラインに基づきまして実施をした自己検証のイメージでございます。全体といたしましては、大体1機関30ページほどのものになってございますけれども、左側、これが先ほどの7つの要件のうち、今回、中核拠点性というものに対して書いていただいたものを少し自己検証した右側、3枚並べておりますけれども、イメージとして付けさせていただいてございます。
それぞれ、真ん中のほどのところで、後ろに1枚隠れておりますけれども、主な観点1というところで、それぞれの主な観点に対応してどう取り組んでいるのか、そして隠れているもののうちの右側のほうで、指標としてどういうふうな数値が今あるのかというところを、こういった形で自己検証の中でそれぞれの観点と指標を用いる形で、これまでの実績について記載をしていただいてございました。
そして、20ページでございますけれども、自己検証の報告書を受け、部会および作業部会のほうで外部検証を実施していただきましたが、その様式と検証の結果のものを今度抜粋させていただいてございます。
大体、外部検証の結果は1機関当たり4ページ程度のものになってございます。外部検証の様式といたしましては、総合所見というものと観点ごとの所見というふうな形になってございまして、総合所見のほうで優れた所見ですとか、課題、改善を要するところと、またその他といたしまして、例えば今後の体制強化の在り方ですとか、そういったものを記していただくというような形で作業をしていただいてございました。
次のページに参ります。こういった自己検証、また外部検証というものを行いまして、最終的にまとめていただきました。これが全体の総評というふうなイメージでございますけれども、大学共同利用機関の外部検証の結果について概要という形でも公表をさせていただいてございます。
上段の結果につきましては、全ての機関が要件に照らして十分な活動を行っているということ。また、全体として、各分野の中核拠点として研究資源の維持・発展に努めておりまして、共同利用・共同研究の発展に貢献をしていること。また、学術や社会的動向に対応した組織の改編等について多くの機関で行われる状況が確認をされております。
ただ一方、下のほうに今後の課題というものがございますけれども、指摘されたものの例といたしましては、国内外の動向を踏まえたさらなる研究活動、共同利用・共同研究機能の強化、研究者の多様性の向上、コミュニティーにより開かれた運営、総研大との連携による大学院教育への貢献、機構長のリーダーシップの一層の強化、限られた財源・人員下での研究資源、効率的・効果的機関の連携や大学・研究開発法人との組織的連携の強化、異分野融合・新分野の創出等による研究力強化、人材育成の充実、運営の効率化のための法人の枠を超えた連携の推進等がございまして、それぞれの機関における課題が指摘をされていたという状況にございました。
以上が、前回の検証の流れ、概要となってございます。
また、今般検証を行うに当たりましても、前回検証の改善点につきまして、大学共同利用機関協議会におきまして、全機関、機構本部の意見を昨年度まとめさせていただいてございますので、御紹介をさせていただきます。
こちらも実は昨年度のちょうど1年前に一度お諮りをさせていただいた資料と同じものでございますけれども、よろしければ御説明をさせていただこうと思います。
参考資料3でございます。ページといたしましては31ページでございますけれども、申し上げましたとおり、今回の検証に当たりまして、前回やった実施方法に対して、今般の実施に当たって何か改善すべき点ですとか御意見などがあるかということにつきまして、大学共同利用機関に1年ほど前にアンケートで意見聴取を行ったものでございます。
主に聴取した内容といたしましては、ガイドラインそのものに関すること、そして自己検証の様式に関すること、そしてスケジュールに関することの3点を聞いてございます。
最初の31ページから43ページの部分がガイドラインに関することでございます。一点一点御説明は割愛させていただきますけれども、簡単にどのようなものがあったかだけ口頭で御紹介をさせていただきますと、論文数だけではなく著書数というものも重要であること。また、独自のベンチマークの設定を可能としてほしいこと。そして、人材育成については、主な観点のところに、研究者だけではなくて技術職員の人材育成についても記載をしてほしいということ。その他、前回の記載で分かりにくかった点等についての記載の具体化に関する意見がございました。
そして、44ページから55ページが自己検証の様式に関する御意見でございます。なお、様式につきましては、昨年度時点でグラフですとか図、こういったものを多分に用いて、文章だけではなくて、しっかり取り組みの可視化を図って自己検証をしていくということについても、このアンケートの中で聞いておりました。
内容といたしましては、数値だけでは測れない取り組みの記載ができるようにしてほしい。そして、グラフや図を適宜使用したいが、文章による説明との併用を想定しており、グラフや図は文章による説明の代替にはなり得ないのではないかと考えている。グラフや図による実績を可視化する場合も、設定指標の根拠が示された数値の意味するところを十分に説明できる構成にしてほしい。こういった御意見をいただいたところでございます。
そして、最後に、56ページ目からがスケジュールに関する意見となってございますが、こちらにつきましては、大学共同利用機関ではなくて大学共同利用機関法人全体といたしましては、中期目標期間におきまして4年目終了時評価というものを受けることになってございますが、その終了時評価の期限が大体この検証、来年度の検証と重複をするような時期になってきてございます。なので、それも踏まえまして、その評価で使う各書類の提出期限が、来年度で申し上げますと、前回のものを踏まえますと大体6月末というところで作業が集中をしてくる状況にございますので、業務負担の観点からも、この自己検証結果の提出時期は前回と同様の8月末としてほしい、つまり前倒しというものはあまりしないでほしいということ。そして、法人評価のデータも活用できるようなタイミングにしてほしい。ガイドラインを前回より早く策定して自己検証の時期を確保してほしい。そういった御意見が複数の機関から寄せられたところでございます。
こちらの各機関からの御意見も踏まえた上で、委員の先生方から今般の検証につきましてざっくばらんに御意見をいただきまして、そしてまた次回の部会におきまして、より具体的に、では今回の検証の実施方法、ガイドラインの内容をどのようにしていくかというところの少し改訂案といいますか、そういったものをお示しさせていただいて御審議いただきたいと思っているところでございます。
それでは、資料2のほうに戻らせていただきまして、22ページでございます。
本日、御意見いただきたいなというところにつきまして5つ挙げさせていただいてございます。もちろん、この論点に限らず、ぜひ先生方、思われるところがあれば、また御指摘もいただければと思ってございます。
1点目でございますけれども、まず大きな方向性としてというところでございますが、前回多くのヒアリングも重ねてガイドラインというものを策定いたしまして、その中で実施方法や検証の観点等を記載してきてございましたということに関しましては今申し上げたとおりですけれども、今回も検証の方法を、正直、抜本的に今回は変えてやるんだということもできなくはないとうふうには考えてございますけれども、ただ継続性というところは一定意識をしたいと考えてございまして、検証の方法を、ガイドラインを一から抜本的に変えていくのではなくて、継続性を一定確保するというところで、前回のガイドラインを基本として一定の改訂を行うという方向で検討してよろしいかということが1点目でございます。
そして、2点目でございますけれども、検証の基準でございますが、こちらも今申し上げたことと同様に、大学共同利用機関として備えるべき要件、こちらに対応する主な観点およびこれらの観点ごとの指標例を基本といたしまして、一定の改訂を加える方向でよろしいかということでございます。
そして、その場合、主な観点や指標例につきまして、先ほど御紹介したとおり各機構からも御意見はいただいておるところではございますけれども、また先生方からの御意見があれば頂戴できればと思ってございますが、ただ、こちらにつきましては、本日初めて御覧になる先生方もいらっしゃいますので、また改めて後日メール等でいただくということも含めまして、御意見をぜひ頂戴できればと思ってございます。
そして、3つ目でございますが、こちらは検証のスケジュールについてです。先ほどの大学共同利用機関からの意見も踏まえまして、次期検証のスケジュールにつきましては、その後の外部検証との兼ね合いもございますので、締め切りは前回同様の8月末としつつも、十分な作業時間を確保するという観点から、できれば今年度内には、この自己検証を開始できるように進めていってはどうかと考えてございます。
そして、23ページ目でございます。こちら検証の体制についてでございますけれども、前回同様、これは来年度の話にはなってきますけれども、この部会だけで検証を行うということはなかなか難しいのではないかと考えてございますので、ワーキングというものを設けて実施することとしたいと思ってございます。
そして、細かい点で恐縮でございますけれども、その際、前回は申し上げたとおり、別途、外部の専門家の意見聴取を書面で行っておりましたけれども、今回はそうではなくて、ワーキンググループに別途専門性や分野融合等に配慮して所要の有識者を加えていくというところで、その専門性の担保もしていきたいと考えております。
そして、最後、5つ目でございますけれども、この検証結果につきましては、この部会において改めて検証結果を踏まえて大学共同利用機関の機能強化の検討を行っていきたいと思ってございますが、こちらはもしかしたら、この13期という中にとどまらず、期をまたいで検討するということになるかもしれませんけれども、しっかりこの検証結果というものを生かして、機能強化の在り方の検討につなげていきたいと思っておりますということと、令和10年度から、こちらは大学共同利用機関法人、全体のほうでございますが、第5期中期目標期間における組織および業務の全般にわたる検討というものが今後なされていくという流れがございますので、こちらの中でも、その検討に反映していくことを予定してございます。
そして、24ページでございますけれども、今ほど申し上げました、もしこのような流れでよろしければというところで、今期の検証のスケジュールのイメージとしてまとめさせていただいてございます。
12月までに大体このガイドラインというところを策定いたしまして、今年度内、できれば2月ごろから8月ごろまで、少し多めの期間で自己検証の実施の期間を取らせていただいて、来年秋以降に外部検証というふうに進めてまいりたいと考えております。
御説明としては、以上になります。改めてでございますが、本日、駆け足での説明となってしまいましたので、その上で改めて初めての先生もいらっしゃいますので、この場のみではなく、また後日メールでも、ぜひ先生方の御意見などをお寄せいただければと思ってございます。
私からの説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
【梶田部会長】 ありがとうございました。それでは、委員の皆さまから御質問や御意見を伺いたいと思うんですけれども、すみません、私から1点、最初にお聞きしてよろしいでしょうか。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 はい。
【梶田部会長】 今日お聞きしたところでは、平成30年の末の審議のまとめで、12年間存続することを基本としつつということで、何か12年が一つの区切りになっているような形で書かれているのですけれども。それで、前回の検証があって、今回は12年の一つの区切りが終わるという、そういうタイミングということでよろしいのでしょうか。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 申し訳ありません、御説明が足りておりませんでした。前回の検証が、まさに12年が始まる前になされたものですので、今回で申し上げますと、このちょうど真ん中の時期に当たる検証になってございます。ですので、またさらに6年後には、再び大学共同利用機関の検証をするという流れに今後なってきます。
【梶田部会長】 分かりました。ありがとうございます。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 言葉足らずで申し訳ありませんでした。
【梶田部会長】 それでは、委員の先生方からお聞きしたいと思います。まず、山田委員、お願いいたします。
【山田委員】 ありがとうございます。私、大学共同利用機関に身を置いておりまして、いわばまな板に載る側なのですが、事務局側には発言してよろしいということを言っていただいておりますので遠慮なく発言したいと思います。また、新たに今年度から参加しておりますので、周回遅れのところがあれば、御容赦いただいてお教え願えれば幸いです。
それで、質問が1つと意見を申し上げたいことが3つあります。1つ目はこのスケジュールにあるところで、さまざまな評価ですね。この第4期の中期評価に4年目の終了時評価の準備とオーバーラップで、8月締め切りにしていただいているのは大変ありがたいのですが、前回はこの自己検証の開始が5月開始になっておりまして、それはこの部会でのさまざまなガイドラインの準備に時間がかかったので5月になったのであって、今回は2月から要するに着手できるという理解でよろしいでしょうか。というのは、2月から5月の間に何かするようなことが生じるのでしょうか。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 先生、先に御質問に回答してしまってよろしいでしょうか。
【山田委員】 はい、まず質問ですので。
【梶田部会長】 お願いいたします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 それにつきましては、先生がおっしゃるとおり、前回はガイドラインそのもののゼロからの策定というところで時間を要したこともあり、5月からの開始になったという状況がございます。今般、特に2月から5月でさらに何かというところがあるものではございませんので、大学共同利用機関が、できるだけ作業する時間を多く取れるような形で進めたいという状況でございます。
【山田委員】 ありがとうございます。21ページに沿って、3つほど御意見を申し述べたいと思います。よろしいですか。
【梶田部会長】 お願いします。
【山田委員】 1つ目は、ここでは異分野融合・新分野創出というのが幾つも出てきています。それで、こういったことに関しては、既に御説明がありましたけれども、第7期の科学技術・イノベーション基本計画の取りまとめであるとか、また国立大学の中期の第7期に向けて機能強化への改革なども議論されているので、こういったことは次に起こる計画のことなのですが、それに向けて検証という形でもさまざまプロアクティブに取り込んでいくことが適切だと思います。ですので、この異分野融合・新分野創出のところについては、イノベーションという言葉が入ってくることが適切なのではないかと思っています。
それで、これに関しても、往々にして大学共同利用機関からは共同利用設備の提供であるとか、あるいはデータの供与だとか、そういったサービス面のある意味一方向的なことが強調されがちなのですが、今後は他機関であるとか、あとは民間企業との協業によって、あるいはそういった相互の協力によって、そういったイノベーションを創出していくという観点が大事かと思います。それがまず1点目です。
2つ目が、下から3つ目にある国際的な研究機関とのベンチマークというところで、大学共同利用機関というのは、わが国の独自の機関ですので、国際的な研究機関とベンチマークといっても、それに相応するぴったりの機関というのはなかなかないわけで、往々にしてですが、研究成果として論文数がどうであるかとか、そういったことになりがちです。そのためには、共同利用・共同研究に対するベンチマークといった場合、われわれ自身は持っていますけれども、海外の機関がどういった共同研究をどういった規模で行っているというのはなかなか数値としては取れないので、これについては、17ページに大学共同利用機関の特性に応じつつ機能の違いに配慮しというような文言がありますので、それで独自の指標、ベンチマークを設定することも可能とするとありますので、この辺りはわれわれ自身も考えていかないといけないと考えております。
それで3つ目は、22ページに、これは幾分、自分の首を絞めることになると思いますが、この部会でぜひ御議論いただきたいということで、自らの強み・特色と課題を可視化しという文言が下から5行目にございます。これは、往々にして、良い評価をいただくために、可視化というと右肩上がりのグラフを用意するということになりますよね。そうすると、そういったものだけで済ますわけではなくて、その可視化したグラフがどういう価値、どういう意義付けにあるかということを大学共同利用機関自ら説明していくということが大事だと思います。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。では、小関委員、お願いいたします。
【小関委員】 僕も大学共同利用機関にいる人間ですので、山田委員と同様、まな板に載る側なんですけれども、少しコメントをさせていただきたいと思います。
全体の指標例のところで山田委員が御説明くださったように、定型の観点や指標に加えて共同利用機関の特色に応じた独自の観点や指標を付け加えるというのはとても重要だと思っています。やはり大学共同利用機関というシステムの広い分野やバラエティの豊かさを考えると、あらかじめ定められた指標では適切な評価にならない部分があると思います。
僕は加速器研究施設におりますので大型加速器をやっているわけですけれども、大学共同利用機関としてそれがいかに国際的に優れているかということを評価するときに、ユーザーの数ですとか、出ている論文の数ですとかが大切な指標になることはもちろんそうなんですけれども、大学共同利用機関にいる研究者たちがさまざまな開発を重ねて、世界でそこにしかないようなユニークな大型装置を建設して、それを共同利用に供しているということが適切に評価されるということが本当に重要だと、さまざまな外部評価を受ける中で、感じています。
例えば、大学共同利用機関にいると、大学と横並びで評価を受けて、教員当たりの論文数などを非常に重要な評価指標とされることがありますけれども、大型装置の研究開発というのは安定的な運用も含めて、研究者がエフォートを尽くすものですが、トップ何%の論文がどんどん量産できるという類いの研究ではないわけですね。そう考えると、大学共同利用機関における例えば加速器というのは、高性能なビームを安定に利用実験に供給するということが一番重要な課題で、加速器の研究者というのはインパクトの高い論文ネタを考えればいいということではないわけです。論文になりにくい課題も含めて、丹念に検討しながら装置を高度化して安定に共同利用に供していく。そういうところが適切に反映される評価であるということは、この検証にとって非常に重要だと感じております。恐らくここにいらっしゃる方は、みんなよく理解しておられることだと思いますし、大研課の皆さんもよく理解しておられることだと思いますけれども、コメントさせていただきます。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。関沢委員、お願いいたします。
【関沢委員】 ありがとうございます。私も、まな板に載っているほうではあるのですけれども、資料の24ページ、今期の検証のスケジュールのイメージというところで質問がございます。
令和8年度の2月に、この研究環境基盤部会と、あと今回つくられる可能性の高い作業部会のほうで大学共同利用機関の機能強化について取りまとめというところがありまして、これがどの程度の取りまとめを行うのか。改編というところまでの方向性を示すのか、あるいは幾つかの原案のような課題を提示して、また令和9年度に、次の期に引き継いでいくのかというところが知りたいところなのですけれども。それにしても、この外部評価、外部検証が終わってから2月の機能強化の取りまとめまでの間が短すぎるように思いまして、ここは重要なところなので、もしかしたら令和8年度の2月というのは機能強化についての方向性についての取りまとめぐらいの少し緩いイメージなのか、その辺のお考えがもしございましたらば、後でお聞かせいただきたいということが一つあります。
あともう一つは、外部の専門家による意見書の作成がなくなって、この作業部会のほうに専門の方に入っていただくということを御説明いただきましたけれども、これまでも委員の先生方から御意見がありましたように、非常に幅広い分野、範囲が機構の中にはありますので、それぞれの専門でよく分かる方、そういう方に意見書をいただくというのは、評価の間違いをなくすというか理解を深められるかなという感じがしております。これは意見です。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。では、文部科学省のほうから差し障りのない範囲で、何か御発言をお願いできますでしょうか。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 先生、どうもありがとうございます。取りまとめのイメージでございますけれども、まず自己検証の中で、今後こういう機能強化を図っていきたいというところも、書いてきていただけるような機関があるかと思いますので、その辺を踏まえてのこの辺りの取りまとめをどうしていくかということをしっかり考えていかないといけないと思っていますというのが大前提でございます。
その上で、先生のおっしゃるとおり、2月の1回だけでまとめるのであれば、何らか今後の方向性という大きな視点でまとめをしていただくのかなというふうには思っております。ただ、各機関から出てきた内容が、よりしっかり審議をして、まとめていったほうが良いという内容のものでございましたら、それは期を跨いで第14期の議論に移ってしましますが、先生方に一個一個論点を御提示して、よりもう少し手厚い形での取りまとめをしていくことになろうかなとは思っております。
ただ、冒頭申し上げましたとおり、この検証自体は、もともと12年間というところで、今、その半ばでの検証ということになりますので、この12年間は今の大学共同利用機関であるということを前提として、今後、どういうふうにその中で機能強化を図っていくか、そしてその12年後には、この大学共同利用機関の在り方としてどういうふうになっていくかというところは、また次の、最後の検証の方にもつながっていくところではございますので、そこへの橋渡しとなるような取りまとめなるということもあるかなと思ってはおります。明確にお答えできず申し訳ないですが、それぞれの機関から出てくる自己検証の内容を見て、まとめについては検討すると思っているところでございます。
【関沢委員】 ありがとうございます。
【梶田部会長】 ありがとうございました。では続きまして、渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺委員】 ありがとうございます。私は、今まで御発言された方と違って、まな板に載らない側で、逆に実態がよく分かっていない中での意見になる可能性がありますので、具体的なことは申し上げられないですが、全体を通して雑ぱくな意見を申し上げたいと思います。
大学共同利用機関として備えるべき要件や、21ページにある検証結果の反省、あるいは今後の課題はそれぞれ本当にそのとおりだと思うことがたくさん書いてあります。一方、検証すべき項目がどんどん多くなってしまうことが果たしていいのかということについて問題提起したいと思います。
それぞれ意味がありそうですけれども、分野や研究内容、それから今どういうフェーズにあるかということによって検証すべき内容は変わってくると思いますが、それを皆さん同じように統一してしまうと、どうしても研究の個性が出なくなってしまって、競争力が強い研究がやりにくくなるということも起きるのではないかということを感じました。それぞれの個性を重要視しながら、思い切って削減するものがあってもいいというような検証をしていったほうがいいのではないかと感じたので申し上げます。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございます。では続きまして、大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】 ありがとうございます。最初の議題にまず戻るんですけれども、運営費交付金の630億円上積みというところは大変大きいところだと思いますし、感謝を申し上げたいと思います。
その上で、今回のお話で5つ論点があったと思います、22ページから23ページに対して。これについては、前回を基本としということでいいのかなと私も、評価されるほうではないのですけれども、人間としてやはり継続性というのも必要なのかなと思いました。
その上で素朴な疑問というか質問をさせていただきたいと思っていて、その前提はまさに渡辺委員がおっしゃったことにあって、あまり負担がものすごく増える方向というのは好ましくないと、効率的にやっていったほうがいいというのは一つある中で、評価自体はしっかりやっていく必要があるので、そのバランスをどう取っていくかということはお考えだと思うんですね。
私が分からなかったのが、外部検証というのがある中で、ここの委員の構成、例えば外国人を入れるとかということが規定されているのかどうかとか、あるいは人数が規定されているのかどうかとか、そこが理解できなかったので御指摘いただければと思います。背景には効率的に、かつしっかり評価するべきという論点があります。
以上でございます。
【梶田部会長】 ありがとうございます。では、作業部会のというかワーキンググループのイメージとして、もし文部科学省のほうでお考えがあれば、お願いできますでしょうか。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 先生、ありがとうございます。まず前回の6年前で申し上げますと、外部の作業部会は11名の委員の先生方で構成をしてございました。その11名の先生が評価するに当たりまして、先ほどの資料でいきますと一番下にある専門家の方々の意見書を作成していただいた上で、その11名の方々で外部評価をしていいただくという体制を取ってございました。そこには特に外国人の方に入っていただくとか、そういった規定はございませんで、むしろ各大学共同利用機関にも様々な分野がございますので、そういった分野を網羅的にといいますか大体カバーできるような形での先生方に集まっていただいたというイメージではございます。
今回に関しましては、これからの検討になりますので、現時点でなかなか確定的なことはお伝えできないのですけれども、この専門家の意見書の作成というものを今回もし行わないとした場合には、前回のような11名体制ではなくて、もう少し多い、少なくても20人近くの体制は要るのではないかというふうには思ってございます。ただ一方で、専門家の御意見を前回同様に入れていくのであれば、前回同様の体制という形で考えていくのかなと思っているということを、本日は申し上げられると思っております。
【大竹委員】 ありがとうございます。
【梶田部会長】 ありがとうございます。では続きまして、木部委員、お願いいたします。
【木部委員】 ありがとうございます。私も評価される、まな板の上に載っているほうなので、申し上げていいのかどうかよく分かりませんけれども。
まず、22ページの3つの項目ですね。これに関しては、大体これで結構だと思います。1番目の前回の検証との継続性を確保するために前回のものを基本とするというのは、これで結構だと思いますが、参考資料の3に書かれているように、各大学共同利用機関から、かなりたくさんの意見が出されていますので、これはできるだけ考慮する必要がある、してほしいと思います。その中には、今までも御意見が出たような、単なる数値による評価をすべきでないとか、そういうことも書かれていますので、そういうものをできるだけ盛り込んでほしいというのが1番目に関しての意見です。
2番目に関しての主な観点、指標、これも前回を基本とするので結構だと思いますが、同じように、参考資料3に非常に多くの意見が出ておりますので、これをできるだけ反映させてほしいと思います。
3番目のスケジュールについては、結局、最終的な提出は前回と同じですけれども、ガイドラインが早めに示されて報告書の作成の開始が早くできるようになったということは非常にいいことだと思います。スケジュールは24ページですね。
ただ、令和8年2月から8月という時期は、ほとんど4年目終了時評価と重なるわけです。ということは、非常に重要なことは、2つの評価を並行してやる必要があるのかということなんですね。今回はこのようなスケジュールになっておりますので、これでいくしかないと思いますけれども、今後、評価をこんなに何本も並行して走らせる必要があるのかということを考える必要があると思います。
2つの評価は目的が違うということは分かりますので、中期目標計画の評価と大学共同利用機関の検証の検証とは目的が明確に違うということを具体的にガイドラインに書き込む必要があると思います。そのときに、先ほど山田委員からも御意見出ておりましたけれども、評価では、大体、右肩上がりのものを求められているわけですが、大学共同利用機関の検証のほうは必ずしも右肩上がりばかりではない、むしろ失敗例から学ぶということが非常に多いので、そういうことを考慮した全く別の評価観点を導入するということをガイドラインにきっちり書き込む必要があると思います。
それから、大竹委員からも御意見出ておりましたが、外部検証の組織ですね。これは非常に重要で、自己検証の書類を書く前に、外部評価の構成というのをガイドラインで明らかにする必要があると思います。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。長谷部委員、お願いいたします。
【長谷部委員】 ありがとうございます。僕も書類を作るほうの立場になるのですけれども、そういう立場からだと、前回のガイドラインを基本としていただくというのは、評価を受ける側としては準備がしやすいと思いますので、非常に賛成です。
ただ、幾つか加えてもいいのかなと思う点がありまして、山田委員がおっしゃっていた異分野融合ですとか新分野創出というのは、これは非常に大事な観点かと思うので、加えるのは非常に結構なことかと思います。あと、前回の検証結果がどう生かされているかというのも今回の検証には加えたほうが、検証をより効率的に運用する上でいいのかなと思います。
あと、3点目としては、学際ハブですとか、昨日、共共拠点の作業部会があったのですが、そこで共共拠点、共同利用研の連携というのが研究力強化にすごく大事だという議論が幾つかあったので、他機構ですとか共共拠点との連携をどのように行っているかという観点の指標も加えてはどうかと思います。
一方で、先ほど山田委員がおっしゃったイノベーションの創出については、なかなか分野によって違うかなという感じがしますので、そこは少し気を付けて分野ごとに異なった指標として入れるようにしたほうが良いのではないかという感じがいたしました。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。原田委員、お願いいたします。
【原田委員】 御説明ありがとうございました。いろいろな委員の先生方から御指摘あったことと繰り返しになりますが、評価指標についてです。2番目の検証の基準について、自然科学と人文社会科学など、多様な研究機関が存在していますので、そのそれぞれの分野の特性に合わせた指標を立てるべきだと思います。これに関しては参考資料3の各機関、機構からの意見として書かれているので、それをベースにしながら指標の多様化を確保していただきたい。研究機関独自の評価指標も立てて良いことになっていますので、それによる検証を特に大事に評価に反映していくべきだと思いました。
それから、研究機関の負担、それから評価する側の負担、両方の負担を軽減していく方向の改革は必要かと思います。例えば、参考資料3の各機関からの回答を見ると、グラフや図を用いた説明、これに関して負担を感じている機関もありそうです。
グラフ等の図式化というのは、多分、審査する側の便宜を図るために、文章の羅列資料を直感的に分かりやすくするためだと思います。一方で図式化が研究機関にとってはどう図式化するといいのか、検証資料にクリエーティビティを求めるようなスタイルになってしまっていることは研究機関の負担になっているように見受けられます。従って、図式化以外に、できるだけ短い文章で説明してもらう、文字数に制限をつけて説明を求めるなども良いのではないかと思います。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。河原林委員、お願いいたします。
【河原林委員】 私も評価される側にもいるので、多分にポジショニングトークになる可能性が高いのですけれども、それを基に意見させていただければと思います。
これ、前回は6年前ですね。6年前にChatGPTというのはなかったんです。ChatGPTもないし、いわゆるAI時代の今のLLMもなかった時代の評価と、LLM時代が始まってしまって、ChatGPTがあって、AI for Scienceが出てきたときの評価ってまるっきり違っているはずで、そうなると情報系を含めると、近いところでいうと、前回からの継続評価などをされると全く困るんですね。世界が変わっているところに、前回の継続もなくて、今は嵐の中でどうやって付いていくかということで。例えばLLMを作ったり、リサーチクラブを作ったりだとか、研究基盤を作ったりということは、これは恐らく、前回でも指摘されたところはあったのかもしれないけれども、少なくともLLMはなかったので。
そういうことを考えると、完全に時代が変わっているその中に、こういうきちっとした評価基準で検証されてしまうと困るというところは多い気がしますので、いろんな先生方がおっしゃっていたかと思いますけれども、評価基準というところに関して今は非常に柔軟にやっていただきたいなと思っています。特に情報系、NIIの場合はどちらかというと異分野創出とか新分野というよりは、どれぐらい国家に貢献できたかというところが結構重要な指標になってきていて、それは恐らく、大学共同利用機関の在り方以上のものになってしまっているので、それをどう評価するかというのは多分に困るところはあるかと思うのですけれども。そういうところを含めてどうやるかというのは、評価基準を柔軟にしてほしいというのは皆さんおっしゃるとおりで、われわれもそう感じています。長い目で研究しなければいけないところもあれば、嵐の中にいて付いていくので精いっぱいという研究所もあって、そこのところをどう評価するかということに関して同一の基準でできるわけはないので、その辺のところは気を付けていただきたいなと思います。
それが1点目で、2点目は人材育成です。ここでもあったと思うのですけれども、いわゆるリサーチエンジニアリングのようなことができる人材が重要だという意見が幾つか出ていたと思います。そういうところを含めて、それに対してどれだけ貢献できたか、あるいはリサーチをサポートする人、あるいはリサーチをサポートするプログラマーだとか、そういうものの人材というものが非常に重要な気がするので、若手研究者の人材は当然ですけれども、それ以上に、その辺のところの新しい、ある意味今までそこまで考えられてなかった人材の育成をどれだけできたかというところが重要かと思いますので、その辺の評価は大きくしたほうがいいのかなという気がしています。
3つ目は、私も外部評価書、あるいは外部専門家ではなくてもいいのかもしれないですけれども、の意見書というのはあったほうがいいのかなと思います。特に、これだけたくさんの評価軸がずれてしまった瞬間に、外部の方の意見、こういうような専門家から、あるいは外部の要望から、こう変えたほうがいいのではないかという意見があるとすると、それに沿った評価軸にする必要があるかと思いますので、ぜひ外部からのインプットというのは検討いただきたいと思います。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。続きまして、市川委員、お願いいたします。
【市川委員】 私は、普段、施設を使わせてもらうために、まな板に載っているのですけども、今日はそのまな板をまな板に載せる側というか、まな板に載らない側の大学の人間なのです。しかも全然事情が分かっていないし、今年初めて入ったので、どちらかというと素朴な、的外れなのかもしれないのですけれども、素朴か根源的な質問なのか分からないのですけれども。この評価、何のためにする評価かなと思って、一生懸命資料を今日、見ていくと、15ページにすごいことが書いてあって、国においてはという審議のまとめのところで、12年間存続することを基本としつつという、この12年間存続ってどういう意味なのかなって一生懸命文章を読み解くと、どう考えても各大学共同利用機関が12年間は存続するでしょうということですよね。その後どうなるかというのは、この評価を見て再編・統合等を含めて検討しますよという大学共同利用機関の存続がかかっているようなすごい評価に読めました。
まず、その解釈で本当に正しいのかどうかということと、それと、もしそれが本当にそういう評価であるならば、きっと機関が真面目にきちんとやっていても、いろんな学術の動向とか、海外の動向、国の状況によって、機関そのものが変わるべきときは変わるべきだという、そういうことをきちんと考えるというのは大切であると思うのです。そうすると、いろんな委員の方がおっしゃっていたように、中間評価との違いというのをきちんと分けるべきかなと思いました。
特に、私も今、大学の専攻長とか学振の仕事とかをやっていて、評価ばかりで、ほとんど研究時間が取れないというところに、ここでまた評価のことを考えろと言われて、少し億劫に思っているのですけれども。評価というものの目的を考えて、きちんと重ならないように、これについてはあっちに任そうというようなことが大切なのではないかなと思っていて。例えば、その機関が備えるべき要件を満たして、きちんとやっているかどうかというのは中間評価のほうでやるのではないかなと私は思ったんです。そのときに、ではここでも同じことをやる必要があるかというと、きっとなくて、では何がここで重要かというと、機関の在り方です。分野の中の動向とか、学術の動向、いろんな動向、状況の中で、その機関がこの在り方で次また6年続けていいし、さらにその先にそのまま続けるのがいい、あるいはポジティブにこう変わっていくというようにすることを、AIが入ってきたとか、今後のいろんなことを考えると、こう変わっていくことがいいのではないかというのをきちんと共同利用機関に考えてもらって、それを審査する側が見て、いいよとか、いやこうじゃないというようにやるという、そういうものなのではないかなと。ドラスチックにガイドラインを変えてほしいとか、そういう話ではなくて、要点を絞って、みんなの負担は軽くしつつ、でも大切なことを評価するというのが大切なのではないかなと思いました。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。永田委員、お願いいたします。
【永田委員】 既に御意見はたくさん出ましたし、私自身も総研大所属なので、半分ぐらいまな板に載ってはいるのですけれども・・・。
この「12年」というのは、恐らく第4期中期目標期間の6年ではなかなか再編・統合に向けた検討は難しいだろう、もう少し時間をかけてきちんと見ていく必要があるだろうということだと思います。これまでも、期が変わるごとに大学共同利用機関の再編・統合とか、このままでいいのかという議論が出ています。しかし、それを具体的に方向付けていくのが相当難しいので、このような「12年」という書きぶりになっているという理解をしています。
再編・統合というのは大変に難しくて、国立大学法人でも機能強化とか色々なことを考えて、今日、大竹委員もおられますけれども、まさに国立大学法人自体の再編・統合というのがあるのですけれども、機関レベルの自己評価に基づいて外部評価を掛けたとしても、本当にメタな評価をしないと再編・統合は議論できないですよね。つまり、市川委員からもコメントがありましたが、学術の動向がどうなっているか、あるいはこれまである経緯で設置された大学共同利用機関は特定の学問領域しかカバーしていないのですが、本当にそれらの領域だけでいいのか、あるいは、それを何かの形で変えていく必要があるのかという議論は、ボトムアップの評価ではなく、メタの評価をしないと出てこないと思います。
その意味では、今回の評価について、その検証結果に基づいて再編・統合を含めて大学共同利用機関の在り方を検討すると書いてあるのですけれども、あまりここを強調しないで、どちらかという、そのようなメタ評価とはと切り離して、淡々と、ともかく現状をきちんと評価する。その辺りの今回の評価の位置付けをきちんとしておいたほうが良いのではないかというのが私の考えです。
それに基づいて、再編・統合あるいは大学共同利用機関がどうあるべきかについては、もっとメタな評価しないと、また同じ議論が繰り返されて、次の「12年」ということになるような気がします。以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。荒砂委員、お願いします。
【荒砂委員】 ありがとうございます。私は今年度より委員ですし、あと共同利用機関法人の理解も十分ではないのかもと思いますので、的外れのコメントでしたら御容赦ください。
ここまでのところで、渡辺委員と同じ意見なのですけれども、検証項目が増えるというところに、増え過ぎると、その拠点の目標と一致しない、審査しにくい項目が出てくるのではないかなとを思っておりまして、できるだけ検証項目というのをシンプルに考えると良いのではないかと思いました。
あと、もう一点なのですが、国内研究機関に所属する研究者の先生方に、共同利用機関法人が貢献するといったところがあったと思います。そういったところをどのように検証していけるのかといったところが一つ気になっています。
例えば論文などはピックしやすいのかもしれないんですけれども、今日の資料の事例に出ていましたけれども、トップ10%論文などの数値がありました。事例に出ていたものは非常に巧緻でして、ものすごく努力をされていると思うのですけれども、一方でその値がどれだけ高いのかといったところ、ベンチマーキングしている拠点と比較してどうなのかとか、あと日本におけるその分野の値と比較してどうなのかとか、そういったところがないと、なかなかトップ10%論文の数値も評価しにくくて、ただただ高い値を追い求めるというようなことになると、組織としてはかなりしんどいことになるだろうなという思いがありまして、そういったところを整理していただけると良いのではないかなと思います。ただ、私、URAとして報告書を書いたりしますので、IRの分析とかが複雑になってくると報告書作成は結構しんどくなってくるので、そういった辺りは機関法人の組織の先生方に、あまり負荷がないような形で整理できるといいのではないかなと思っています。
以上になります。
【梶田部会長】 ありがとうございました。柳川委員、お願いいたします。
【柳川委員】 柳川でございます。私はまな板に載ってはいないのですけれども、評価疲れというんでしょうか、そのためにものすごく労力を皆さんがかけられているのはよく承知しているつもりでございまして、今日の御意見は誠にそのとおりだなと思っています。
国のお金をだいぶここにつぎ込んでいることは事実なので、それに対して適切な結果が出ているということを示していかなければいけないというのは、制度的にはそのとおりだと思うのですけれども。その結果として、そのために本来の研究が、おろそかというのは言い過ぎかもしれませんけれども、かなり成約されてしまうというのは本末転倒なところなので、ここをどうやってより効率的にやっていくかというのは、かなり考えるべきポイントだと思っています。というわけで、何人かの委員が御指摘になったように、外部評価はそこで代替するとか、全く違う役割を果たしていくということを考えていく必要はあるのだろうなと強く思います。
それで、今出ていますように、再編・統合とか、そういうところが出ているので、どうしてもかなりここの検証ということでいくとセンシティブになってしまうんですけれども、永田委員からもお話があったように、直接評価を出したからといって、それがすぐ再編につなげられるのかというと、この大学共同利用機関の場合は、なかなかそんなにシンプルな話でもないと思いますので、少なくともきちんとやれているということ自体はある程度出していただく必要がありますけれども、もう少し大事なことはユニークさですよね。柔軟にという話がよく出てきましたけれども、柔軟なだけではなくて、もう少し多様な活動をしているんだと、こういう活動をしているので、こういうところをしっかり評価してほしいということを各共同利用機関の方から出していただくというところのほうが、実は本質的に中期目標期間の6年のところでは大事なのではないかと思います。そこをしっかり見ていただくために、ユニークな指標がどういうものなのかということを出していくことを重点に、それを踏まえて機能強化をしっかり考えていくということがとても大事だと思いますので、こういう方向で使っていくということを強調してはどうかと思います。
継続性に関していえば、継続していくしかないと思いますし、今から大きくガイドラインを変えるという必要もないし、手間だと思いますので、運用の段階でそういう方向で力を入れるほうがいいのではないかと思っております。
以上でございます。
【梶田部会長】 ありがとうございました。一応皆さまから一通りお聞きしましたけれども、加えて何か御意見などございますでしょうか。
では、どうもありがとうございました。本日、皆さまから大変たくさんの御意見をいただきましたが、本日いただきました意見を踏まえて、次回の会議で検証の実施に関わるガイドラインの改訂、あるいは実施体制について委員の皆さまと御議論をさせていただければと思っております。
以上で今の議題につきましては終わりにさせていただきまして、最後、その他の議題として、事務局のほうから何かありましたら、お願いいたします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 1点、御報告をさせていただきたいと思います。資料3を御覧いただければと思います。
26ページでございます。先ほど令和8年度の概算要求のところでも御説明させていただきましたけれども、この学際領域展開ハブ形成プログラム、こちら令和7年度につきましても1件新規の公募を行いましたので、その結果についての御報告でございます。
この4月2日から5月12日にかけて公募をいたしまして、7月から8月で審査をいたしまして、9月10日にホームページにて採択機関の公表をさせていただきました。
その結果でございますけれども、27ページのところになりますが、令和7年度につきましては20件申請がございましたけれども、その中から名古屋大学低温プラズマ科学研究センターが採択をされてございます。
学際ハブ事業につきましては、先ほども御説明しましたとおり、令和8年度も概算要求1件、また継続分の支援というものも併せて概算要求をしておる状況にはございます。引き続き、こちらの事業に取り組んでいきたいと思っておりますということとともに、またこの事業でございますけれども、令和5年度が一番最初の採択でございまして、当時8件ございましたけれども、その進捗状況というもの、今後、フォローアップをしていきたいと考えてございます。フォローアップは別途設けております事業推進委員会でさせていただきますけれども、また来年度にかけてやっていきますので、状況などは都度御報告させていただきたいと思ってございます。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【梶田部会長】 ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、何か御意見、あるいは御質問などありましたら、委員の皆さまからお願いいたします。
この件はよろしいでしょうか。
では、ありがとうございました。本日の議事は以上となります。最後に事務局から連絡事項などがありましたら、お願いいたします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 次回の開催予定でございますけれども、まず先生方の今般の御審議につきまして、抜本的に改正を今回するという可能性もあるかなと思いまして、先生方にはあらかじめ10月末に再度もう一回ということで、次の開催の御案内をしていましたが、本日の議論を踏まえ、中身の工夫は必要かなというふうには感じておるところでございますが、前回のガイドラインを基に一度、改訂案を作らせていただきまして、先生方に御審議をいただこうと思ってございます。
その上で、12月に一度先生方に御議論いただければと思っており、その開催は、12月1日に予定をしてございます。開催方法につきましても、また少し中で検討いたしまして、先生方に改めて御連絡をさせていただきたいと思います。
また、今日たくさんの御意見をいただきましたが、説明の中でも申し上げましたけれども、またこの後、追加で御意見があれば是非メールにてお寄せいただければと思ってございます。
私からは以上でございます。
【梶田部会長】 ありがとうございました。以上で、当初用意していた議題、全て終わりましたけれども、最後、何か先生方のほうから御発言などございますでしょうか。
よろしいですか。
それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。本日は御出席いただきまして、どうもありがとうございました。
企画指導係
電話番号:03-5253-4111(内線4169)