令和7年6月24日(火曜日)16時00分~18時00分
対面(オンライン併用)会議にて開催
梶田隆章部会長、大竹尚登委員、木部暢子委員、飯田順子委員、河原林健一委員、小関忠委員、関沢まゆみ委員、永田敬委員、中野貴志委員、長谷部光泰委員、荒砂茜委員、柳川範之委員、山田弘司委員、渡辺美代子委員
俵大学研究基盤整備課長、奥人材政策課長、土井学術基盤整備室長、山村大学研究基盤整備課学術研究調整官、熊谷大学研究基盤整備課課長補佐、高橋大学研究基盤整備課連携推進専門官、その他関係者
【梶田部会長】 では、ただいまより、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会(第124回)を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
まず、事務局より、本日の委員の出欠、そして、配付資料の確認をお願いいたします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 大学研究基盤整備課の山村でございます。
本日は、リモートと対面で開催をさせていただきます。
まず、委員の先生方の御出欠の状況でございますけれども、本日は、市川委員、原田委員が御欠席となってございます。
また、本日は、人材委員会に係る議論につきまして後ほど担当部局から説明させていただくため、その議論に参画されております小泉周北陸先端科学技術大学院大学副学長にも、オブザーバーとして御同席をいただいてございます。
また、本日の資料でございますけれども、議事次第に記載のとおり、資料1から資料4、そして、参考資料でございます。事前に各委員にはお送りさせていただいてございますけれども、不備等ございましたら、チャット機能等で、随時、事務局までお知らせください。また、音声に不都合がある場合も、随時、事務局まで御連絡いただくよう、よろしくお願いいたします。
私からは、以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。大規模集積研究基盤については、これまで3回議論してきましたが、本日はその意見のまとめを行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
その議論に入る前に、これまでの議論の中で、委員の皆様から、情報基盤の重要性や人材の育成確保の重要性についても、多くの御意見をいただいておりました。これらに関することとして、科学技術・学術審議会に設置された他の審議会で検討が行われておりましたが、中間まとめが公表されておりますので、まずはその内容について、この部会で共有した上で、意見のまとめに入っていきたいと考えております。
それでは、まず、情報委員会の御議論についての御説明をお願いいたします。
【土井学術基盤整備室長】 それでは、資料1を御覧いただければと思います。科学技術・学術審議会の直下に置かれております情報委員会で、5月30日付で取りまとめました「次世代の科学技術・イノベーションを支える情報基盤の在り方について(中間とりまとめ)」、こちらにつきまして説明をさせていただきます。本体はこの資料の2ページ以降になりますが、1ページ目の概要に基づいて、説明をさせていただきます。
これまでも様々な御支援や御理解いただきながら、例えば、SINETや、NII RDCという研究データ基盤をはじめとする情報基盤の整備・運用を推進させていただいておりますけれども、左上の背景にありますように、科学研究へのAIの応用は産業革命と同等以上のインパクトを持って国際的に積極的に進められているという状況ですとか、生成AIの利活用が、教育研究活動だけではなくて、社会活動全体に急速に浸透していて、研究DXのさらなる加速化や、流通する研究データの質・量が増大するといったことが推測されます。また、社会課題やイノベーションの源泉である研究データを共有して、組織・分野・セクターを超えた科学研究を行う重要性がますます高まっているという背景の下で、今後の情報基盤の在り方はどうあるべきかを審議いただいて、中間的に取りまとめたものになります。
右上にございますように、情報基盤への期待・影響としましては、AI時代の新たな科学技術・イノベーションを切り開くインフラとなること。そのためには、AIを活用してあらゆる垣根を越えた新たな知の創造を支援し、AIが出力する情報の信頼性を担保すること。また、AIモデルの高度化ですとか、AI for Scienceの拡大、分野融合や裾野の広い研究の促進、また、社会課題の解決や我が国全体の研究力・産業競争力の向上に大きく貢献すること。このような期待があるとした上で、今後の情報基盤の方向性を六つの観点からまとめてございます。
まず、下の真ん中の円の中にあります、AIを取り込んだエコシステムの構築という点でございますけれども、今後の情報基盤は、AIを活用した機能を組み込むことを前提として構築する必要があること、その際、日本の文化等に理解のあるAIですとか、ELSI・AIガバナンスを意識することが重要であること、また、蓄積された研究データを活用してAIの高度化サイクルを生み出す役割が期待されること。
二つ目、産業界・海外との連携としまして、情報基盤は産業界とアカデミアの協働の基盤となることが大事であり、したがって、産業界の利用も前提にした情報基盤の在り方を検討することが重要であること。また、産業界の利用に当たっては、ユーザビリティを確保した設計ですとか、オープン・アンド・クローズ戦略等に留意して、協働が相乗効果を生むような仕組みが必要であること。また、産業界や海外と研究データの流通、あるいは利活用を促進する上で、研究データの共有ポリシー等の策定ですとか、情報セキュリティの強化、経済安全保障への対応等が必要であること。
三つ目、人材の育成・確保ですけれども、研究に伴走し、情報基盤を中心とした研究エコシステムを支える人材を育成・確保し、研究を一体的に進める持続的な体制を構築する必要があること。特に、組織・分野・セクターの垣根を越えた、連携を具体化するマッチング人材の重要性が高まっていること。また、研究支援人材・技術者、こちらは成り手不足がかなり深刻でございますけれども、そういった方々の重要性を示して、待遇改善や、研究チームの一員としての功績が正しく認知・評価される制度の構築等が求められること。また、本文の中では、「研究支援業務のうち、AIが代替できるものについては、研究支援人材の業務を支える手段として、新たな情報基盤に組み込むことも考えられる」といったことも記載しております。
四つ目、リテラシー向上、研究データの共有・活用促進という点では、情報基盤を十分に活用していくためには、利用者のリテラシー向上が不可欠であることですとか、データや成果を広く共有・活用する活動を促進するインセンティブ及び評価する仕組みの整備が必要であること。
五つ目、AI for Scienceのための高度化では、計算基盤ですとか研究施設・設備等で取得されたデータを情報基盤に接続することで、AI for Scienceやデータ駆動型研究の加速が期待できること。また、GPUなどの加速部を活用した計算資源を提供できる環境の整備や研究データの流通を支えるネットワークの在り方の検討が必要であること。
六つ目、効果的な配置につきましては、資源の効率化や安定したサービス提供の観点、あるいは災害に対する堅牢性や電力消費の観点から、全国的なエコシステムとして最適化された情報基盤について検討が必要であることを述べております。
最後に、次世代情報基盤の構築を進める上でのポイントとして、本文では「まとめ」という形で記載しておりますけれども、長期的に科学研究やそれを支える情報基盤のあるべき姿を描いた上で、短期的/中長期的に取り組むべき課題と取組主体を明確にすること。そして、情報基盤に求められる機能・役割は今後も変わっていくことは容易に想像できるため、世界的に見て、我が国が孤立しないように国際的なベンチマークを見て、技術の急速な進展や国際動向に合わせて目標や評価指標を臨機応変に軌道修正しながら取組を進める。つまり、アジャイルに進めることが肝要であるといったことを述べて、中間とりまとめを結んでいるところでございます。
駆け足で恐縮ですが、説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【梶田部会長】 どうもありがとうございました。
では、ただいまの御説明に関して、御意見あるいは御質問がありましたらば、お願いいたします。
お願いします。
【山田委員】 ありがとうございます。山田でございます。
ここで指摘されている、産業界とアカデミアの協働とか、イノベーションですね。その下にオープン・アンド・クローズ戦略というのがございますけども、産業界との協力というのはどうしても、データを知財の関係で秘匿したり、非公開としたりということがままあるわけですが、それがないものとしてごみになってしまうのは非常にもったいないことなので、最後のオープン・アンド・クローズというのは大事だと思うのですが、そういう意味では、キーワードとして、ある意味、最近のはやりと言ったらあれかもしれませんが、DFFT(Data Free Flow with Trust)という、要するに信頼性を確保しながら共有していくという考え方がここにはちょっと見受けられないので、このオープン・アンド・クローズ戦略等というところに絡めて、御説明いただければ助かります。
【土井学術基盤整備室長】 今も研究データ基盤の構築というのをNIIが中心に行っていますけれども、その中で、研究グループがそのグループの中できちんと研究データを共有できるような取組といいますか、そういったシステムを構築して、それをさらに機能の高度化等を図っている状況ですので、当然のことながら、そういったことも含めて協働することが今後も相乗効果を生むような仕組みということで、そこも観点として外さないように取組は進めていく形になろうかなというふうに思っております。
【梶田部会長】 ほかにありますでしょうか。
飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】 ありがとうございます。人材の育成・確保のところの「研究支援人材・技術者の重要性を示し、キャリアパスとして正しく評価される制度」、こちらのほうは、研究環境基盤部会でもですし、研究開発基盤部会のほうでも出ているのですが、この辺りは、文科省様全体として取り組まれるというような動きというのはございますでしょうか。
【土井学術基盤整備室長】 今、各審議会、あるいは、分科会、部会、委員会でいろんな議論をしている中で、人材の育成・確保というのはあらゆる側面で重要だというのは言われておりますので、それは、今後何らか、インテグレートするような形で進められていくといいのかなというふうに思っております。
【飯田委員】 ありがとうございます。できましたら、マイルストーンというか、スケジュールといいますか、そういうものも含めて、これは誰も絶対に異論はないと思いますので、その辺りが具体的になってくると、実際に今、若い方々も、博士人材の活用等々とも絡めて、キャリアパスの多様化とか、流動性とかございますので、ぜひ御検討いただければと思います。
以上です。ありがとうございます。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
では、続いて、大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】 オンラインから、ありがとうございます。東京科学大学の大竹でございます。御説明いただいて、ありがとうございました。
最後に一言おっしゃっていた、日本が孤立しないようにという、そのお話はとても大事だなあと思って伺っておりました。標準化戦略については、これまで何度か、この部会でも言及があったところで、標準化という観点では日本はあまりリソースを割いていないところは事実だと思いますので、AIも含めて、将来に向けて標準化のところは注力するようにということは我々も考えたほうがいいのかなというふうに思いますし、標準化を先導していく、あるいは伴走していくような人というのも、例えば、ドイツと比べると圧倒的に少ないというのは事実だと思うので、そういった意味でも人材育成が必要なのかなというふうに思う次第であります。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
じゃあ、渡辺委員、お願いいたします。
【渡辺委員】 どうもありがとうございます。大変丁寧な御説明、ありがとうございました。
効果的な配置のところで少し言及されていたのですが、AIは膨大なエネルギーを使います。世界中でAIを使っていく中で本当にエネルギーを確保できるのかという心配があります。ここに書くべきかどうか、私もよく分かりませんけれども、AIを進める上で、それにふさわしいエネルギーを確保していく、あるいは、当然ながらAIが膨大なエネルギーを使わないようにしていくという技術も同時にやっていかないと、どこかでエネルギーが足りなくてAIが使えないということになりかねないので、そういうことをここの情報基盤には書く必要はないかどうか、お伺いしたいと思います。
(マイク調整)
【土井学術基盤整備室長】 渡辺委員の御意見、途切れ途切れなので、ひょっとしたらちゃんとした答えになってないかもしれませんけど、電力の関係で言いますと、今、総務省のほうでも、最適な電力配置ですとか、データセンターの配置ですとか、そういった検討も進んでおりますので、そういったところもきちんと見ながら、この情報基盤の在り方というのを考えていければいいかなというふうに考えています。
以上です。お答えになったでしょうか。
【渡辺委員】 なっています。どうもありがとうございます。
【梶田部会長】 では、河原林委員、お願いいたします。
【河原林委員】 私もNIIの人間として、ここに書いてあることは当然のごとく大賛成で、これは情報委員会のほうで丁寧に御議論いただいたかと思います。
一言足させていただくと、先週の大学研究力強化部会でもいろいろと御意見いただいて、この点に関しては本当に皆さんのほうからエンドースいただいたので、どちらかというとこれは、やるか、やらないかじゃなくて、どうやってやるか。もっと言うと、どういうふうに早くやるかというところがポイントで、その辺のことについて、もうちょっと具体化されたというところがあればコメントをいただきたいのと、もう一つ、自分が最近思うのは、もし時間があったら梶田先生にちょっとコメントをいただければと思うのですが、AI for Scienceも多分重要なんですけど、今、AI for Big Scienceは、過渡期、ひょっとしたらもう既に変わっちゃっている可能性もあるんですが、今までは、結構たくさんの研究者と大型研究施設の研究者、研究者だけじゃなくて技術者もそうですけど、その方々の多大なる労力と大型研究施設の組合せでできていたところが、これに加えて、情報基盤、データ基盤、知識基盤があって、こっちの知識がなければいい実験ができないような状況にもしなっていたとしたら、もはや日本のお家芸のAI for Big Scienceすら置いていかれる可能性があるので、例えば、去年のノーベル化学賞とかを見ると、あれは明らかにAI for the Big Scienceですので、その点について、本当に喫緊にやらなきゃいけない問題なのかなという気がしますので、ぜひ、とにかく早くインテグレートしていただきたいと思いますし、それに対する体制というのもなるべく早く出していただきたい。これは、ここだけの問題ではなくて、全体の問題だと思いますので、そういうふうにしていただければと思います。
以上です。
【土井学術基盤整備室長】 ありがとうございます。さらにギアを上げて取り組ませていただきたいと思います。
【梶田部会長】 ありがとうございます。私からは、意見交換会で。
じゃあ、長谷部委員、お願いいたします。
【長谷部委員】 AI for Scienceは本当に日常的に我々も使っていまして、僕、今、議論する時間が一番長いのは多分ChatGPTさんで、これは非常に大事だと思うのですが、生成AIが知っている情報というのは僕らが発信する情報で、そこはオープンアクセスの問題とすごく関わっていると思うのですね。あと、生成AIを使って情報をいろんな人が取るときに、生成AIが知らない情報というのは全然表に出てこなくなってしまうので、成果の公表という点でもすごく大事だと思うのですが、オープンアクセスとの関係、特にパブリケーションのオープン化ということについては、どのように連携させていくことをお考えでしょうか。
【土井学術基盤整備室長】 中間とりまとめの段階では、ネットワーク、流通の部分と、それに乗っかる研究データの部分と、あとは、いろいろデータを活用していただく上での計算資源とか、そういった観点からまとめていますが、今後、この情報基盤をどう捉えるかによって、オープンアクセスの取組とかも十分入ってくるかなというふうに思っていますので、引き続き、そこは気にしながら対応をさせていただければというふうに思っています。
【長谷部委員】 よろしくお願いします。
【梶田部会長】 では、最後ということで、関沢委員、お願いいたします。
【関沢委員】 「日本の文化等に理解があるAI」という文章が後ろの3(2)ページと4(3)ページにもあるのですが、やや抽象的で分かりにくかったので、もう少し、どのようなイメージでというのがあれば、教えていただけたらと思うのですが。
【土井学術基盤整備室長】 ひょっとしたら様々あるかもしれませんけど、まずは日本語での研究成果なり論文なりを学習していくことが必要なのかなというふうに考えていまして、あとは、日本の社会についての知見ですとか、そういったものを学習していくことが必要なのかなというふうに思っているところであります。今のAIはどうしても、英語圏での、開発されたところがかなり趨勢を占めているというふうな捉え方もありますので、そういう英語圏の考え方に沿ったようなAIというのが、日本人の研究者とか、そのやり取りの中で、うまくフィットするというか、そういったところはひょっとしたらなじまない部分が出てくるというふうなことは課題としてあるかなと考えていまして、そういったところをきちんと答えられるようなAIとして、日本の文化ですとか、そういったものにしっかり認識のあるAIというものをつくっていくことが必要なのかなというふうに思って、そういった観点で取りまとめていただいているところです。
【関沢委員】 人文系がどういう役割を果たしていけるのかというところで悩んでいるところもありますので、今回、こういう「日本の文化等に」というところを入れていただけたのはよかったと思っております。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
中野委員、手短にお願いします。
【中野委員】 最後のポイントの最後に書かれている「我が国の独創性や潜在的な強み」という点ですが、この分野における独創性や潜在的な強みとは、具体的にどのようなものがあるのか、もし具体例がありましたら教えていただけますでしょうか。
【土井学術基盤整備室長】 それは一歩間違えるとガラパゴス化みたいのと表裏一体の部分はあると思うのですが、それでも、先ほどの「日本の文化等に理解のあるAI」じゃないですが、日本の状況ですとか、文化といいますか、考え方に基づいて、例えば、今の研究データ基盤とか、SINET、ネットワークもそうだと思いますし、ほかの基盤もそうだと思いますけれども、そういったもので構築されてきているものの中でも、いいところはきちんと継承して今後の情報基盤を構築していくべきではないかという意見でございます。
【中野委員】 分かりました。主に既に蓄積されているデータのことについておっしゃっていて、技術的なことではないのですね。
【土井学術基盤整備室長】 データというよりは、これまでシステムを構築していく中で、日本ならではの機能だとか、そういったものは、いいものはいいものとして、しっかりと組み込んだ形でやっていくべきじゃないかということです。
【中野委員】 分かりました。
【梶田部会長】 どうもありがとうございました。
この段階で次に進ませていただきまして、人材委員会での議論につきまして、御説明をお願いいたします。
【奥人材政策課長】 ありがとうございます。人材政策課長の奥と申します。本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。科学技術・学術審議会の直下に人材委員会という組織がありまして、特に、今年の4月以降、集中的に、今後の人材政策の在り方、基本的な方向性というのを議論し、取りあえず、中間まとめの案として、6月13日の委員会に示させていただいたものを、今回、お配りさせていただいています。まだ案の段階ですので、最終的には7月30日の段階で取りまとめをしたいというふうに思っています。そういう位置づけだと、御理解いただければと思います。時間も限られていますので、本当に駆け足、かつ、かいつまんだポイントだけになってしまいますけれども、御容赦いただければと思います。
まず、おめくりいただいて、2ページ目で、科学技術・イノベーションを取り巻く現状として、各国の経済成長であるとか、我が国の投資が諸外国と比べて伸びていない、あるいは研究力が低迷しているといった状況を書かせていただいています。
また、3ページ目の人材に関しては、研究者数の動向であるとか、博士号の取得者の状況、女性研究者の割合の状況等、データを基に集計をさせていただいています。
5ページ目、6ページ目、7ページ目は、今後の科学技術政策の基本的な方向性として、まとめさせていただいているものになります。
まず、5ページ目ですけれども、科学技術・イノベーション政策イコール科学技術人材政策だと、我々は思っています。人材政策こそが科学技術・イノベーション政策を進める上で非常に大事だということで、これを中核的なものとして位置づけた上で、今後5年間の、特に重点的に推進すべき具体的な方策を取りまとめるということを書かせていただています。
今回、基本方針として、左側ですけれども、三つ挙げています。まず、人材に対する投資を抜本的に拡充していくということで、人的資本経営的な考え方を取り入れたいということが一つ目。二つ目は、科学技術人材といっても、研究者、技術者、あるいはURAをはじめとする研究開発マネジメント人材等、多様な人材がいます。こうした人たちが多様な場・機会で活躍できるような環境をつくっていくというのが二つ目。さらに、人材は1人1人で育つわけではありませんので、組織であるとか機関の役割が大事だということで、この三つを基本方針として掲げた上で、右側にありますが、今回、三つの柱で全体を整理しています。一つ目は、研究者、技術者、あるいは研発マネジメント人材といった、職種別の人事政策というのがマル1。二つ目は、いわゆる初等中等教育から高等教育まで、学校教育段階に応じた人材育成の在り方というのがマル2。こうした人材を取り巻く制度・システム改革というのがマル3で、この三つの柱で全体を整理させていただいています。
次、6ページ目になります。ここは、一つ目の柱の多様な人材の育成・活躍促進になります。こちらは、1ポツ目は研究者、2ポツ目は技術者、3ポツ目は高度専門人材という形で整理をしています。後ほど詳細は説明させていただくので、ここは柱立てになりますけれども、研究者については、研究費と安定したポストの確保、国内外あるいは産業界における活躍の場・機会の拡大、組織・機関における研究環境整備という形で、具体的方策を書かせていただいています。
技術者に関しては、(1)で大学・大学院における工学系教育の充実、(2)で、産学で活躍するような技術者の養成、その中で特に技術職員の育成・確保という辺りも書かせていただいています。さらに、我々は技術士制度を所管しているということもありまして、技術士制度の活用促進に関する取組も書かせていただいています。
3ポツ目、高度専門人材の育成・確保です。先ほど研究支援人材の話がありましたけれども、我々としては、URAをはじめとする研究開発マネジメント人材というのを新しい職種として位置づけた上で、これの普及・展開を図っていくということで、特にこの点に重点を置いて議論をさせていただいています。
ここまでは、一つ目の柱です。
二つ目の柱のVは、7ページ目、教育段階別での人材育成ということで、1ポツは大学・大学院における教育研究活動の充実・強化ですが、ここは特に博士人材の育成・確保に向けた取組というのを書かせていただいています。特別研究員(DC)であるとか、SPRINGの在り方の見直しというのも、具体的な方策として挙げています。右側の2ポツ目、初等中等教育段階における人材育成ということで、科学技術人材を育成するに当たって、トップ層の育成と裾野拡大、双方を両面として進めていく必要があるだろうということで、いわゆる才能教育的な部分を支援するSTELLAの事業であるとか、スーパーサイエンスハイスクールの事業等々について、今回も見直しを図っているところであります。3ポツ目として、科学技術コミュニケーションの展開ということで、社会教育の一環として、こうした取組についても充実・強化を図っていくということを書かせていただいています。
また、三つ目の柱のVIになりますけれども、制度・システム改革ということで、1ポツ目として、女性研究者の活躍促進、ダイバーシティの確保であるとか、海外からの優れた研究所の招聘、産業界で活躍できるような人材育成といった、環境整備に関する取組。2ポツ目として、研究インテグリティ・研究セキュリティであるとか、ELSIに関する取組といった、制度・規範面の取組というのも、併せて書かせていただいています。これに沿った形で、以後、具体的な中身を本当にかいつまんで御説明いたします。
9ページ目、10ページ目は、検討体制であるとか、審議の状況等を書かせていただいています。
また、11ページ目は、今回の「骨太の方針」の中でも、左側の真ん中にありますが、科学技術人材の育成・強化であるとか、12ページ目、これは新資本の実行計画になりますけれども、右下、産業人材育成プランの一環として科学技術の人材の育成・強化というのも、政府方針の中できちんと位置づけて、充実を図っていくということにしています。
続いて、13ページ目からは、一つ目の柱、多様な科学技術人材の育成・確保、職種別の人材育成に関する取組になります。
14ページ目からの研究者の育成確保というところで1点だけ申し上げますと、下の真ん中の図になります。国立大学法人の経常収益の推移とありますけれども、少し分かりにくいですが、黄緑色が運営費交付金の推移になります。平成19年以降、右肩下がりで運営交付金が減っている一方で、右側の濃い緑色のところは競争的資金になっていまして、競争的資金を含めると大学の総収入は増えている一方で、右側の本務教員数の推移、特に薄い水色の数字は任期なしの若手研究者のポストでして、ここが大幅に減少しているというのが、一つ、特徴として挙げられます。
こうしたものを踏まえて、今後、研究者の育成・確保をどうしていくのかという方策をまとめたのが、15ページ目からになります。3ポツ、具体的取組・方向性の(1)、まず、研究費になります。研究費については、大学等の基盤的経費と競争的研究費制度で研究費の質的・量的な充実・確保を図っていく。これは当然のことだと思っています。その上で、特に国家的・経済的・社会的に重要な科学技術あるいは産業分野を特定して、研究開発と人材育成を一体的に推進するような、新しい資金制度をつくってはどうかということをここで提案をさせていただいています。また、マル2のところですけれども、競争的研究費制度改革のところで、特に直接経費と間接経費の中の人件費の支出割合を高めるということで、直接経費のうち、例えば、戦略創造事業CRESTなどでは、PI人件費は支出を認めている一方で、研究分担者等にはまだ開いてないというところもありまして、要は使途の拡大というのもこの中で検討したいということを考えています。
また、(2)のポストの確保になりますけれども、これは、大学の基盤的経費できちんとポストを確保するというのはもとより、間接経費であるとか、外部資金、産業界からの外部資金も含めて、こうした多様な資金を活用することによって、特に若手研究者をはじめとする研究者の安定したポストの確保を図っていくということを書かせていただいています。
あと16ページ目の(3)の活躍の場・機会の拡大のところでは、最近、ハーバードで問題になっていますが、海外からの研究者の招聘・獲得に向けた取組であるとか、我が国の研究者の海外派遣を積極的に進めるであるとか、産業界との間で共同研究等を通じたクロスアポイントメント制度の活用による人材流動促進ということも書かせていただいています。
また、(4)の組織・機関の研究環境整備のところでは、大学等におけるAI活用・DX化も含めたような組織体制の整備であるとか、先端的な研究施設・設備の共用、あるいはダイバーシティの確保といった取組についても書かせていただいています。
17ページ目は取組事例で、18ページ目は、先ほど新しい資金制度と申し上げたものになります。総理の指示で産業人材プランというのをつくるということが掲げられておりますので、それを受ける形で、一つの案として示させていただいているものです。真ん中にありますように、産学官で最先端の分野を設定し、産業界とアカデミアの間の共同のマッチングファンドによって、かつ、大学におけるクロアポも通じた人給マネジメント改革を進めるような資金制度として、マル1、マル2、マル3、研究者、技術者、教育プログラムの開発を支援するといった、新しい制度をつくってはどうかということを提案させていただいているところです。
また、19ページ目では、競争的研究費制度改革になります。先ほど申し上げたように、左側、直接経費のところから、PI人件費に加えて、支出の範囲を拡大するとか、間接経費の利活用を促進する。間接経費を30%以上にするといった取組についても、書かせていただいています。
具体的には、20ページ目のところで、戦略創造事業については、来年度から具体的な制度改正を進めていきたいというふうに思っているところです。
ここまでが一つ目です。
二つ目、駆け足で恐縮ですが、21ページ目のところは、技術者の育成・確保になります。技術者の育成確保に当たっては、まず、(1)は、工学系教育の充実・確保ということで、JABEE認定校の拡大であるとか、(2)は、特に産業界とアカデミア双方で活躍する技術者の育成・確保ということで、共同研究であるとか、先端的な研究施設・設備の整備・共用等を通じて、双方で活躍できるような技術者の育成・確保を図っていくということ。それと、マル2になりますけれども、技術職員に関して、人事制度のガイドラインを新しく整備をすることを考えたいと思っているところです。そうしたポイントを書かせていただいています。
参考資料は飛ばしまして、次、28ページ目からは、高度専門人材の育成・確保になります。高度専門人材には、様々な職種の人たちがいると思いますけれども、この中で、特に今回は、研究開発マネジメント人材、URAをはじめとするような、いわゆる研究支援人材と呼ばれていた人材の位置づけをきちんと明確化しようということをこの中では書かせていただいています。
29ページ目になります。今回、研究開発マネジメント人材に関して、初めてガイドラインを整備させていただきました。いわゆる教員と事務職員に次ぐ第三の職種として、こうした人材をきちんと職位として確立するというのと、キャリアパスを整備するということを、ガイドラインの中で示させていただきました。また、これを具現化するために、今年度から我々のほうで「研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業」というのを新規事業として始めております。こうしたものも先行事例として、マル3になりますが、いろんな大学でこうした人材が活躍できるような環境整備をしていくということを掲げさせていただいています。いわゆる競争的資金であるとかの採択の際の要件等でも、こういうのを示させていただくということも考えたいというふうに思っております。
30ページ目は、そのガイドラインを示させていただいたものになります。
続いて、32ページ目からは、教育段階別の人材育成になります。ここは本当にかいつまんでになります。
34ページ目です。ここは、特に博士人材の活躍促進というのを、我々としてうたっています。まず、特別研究員について、アカデミアで活躍するような優秀な研究者を育成する事業ということで、こちらは単価の引上げを優先的に考えていきたいということと、あと、博士の進学支援に当たって、今、SPRINGという制度を支援していますけれども、このSPRINGについて、一定の見直しをしたいと思っています。それは、36ページ目になりますが、現行ですと、日本人と留学生は一律的に290万円の支援という形になっていますけれども、ここについて、本来的な趣旨、優秀な日本人学生の博士課程への進学を支援するという観点から、一定の見直しをしたいと思っています。ここはまだ暫定的な資料になっていまして、26日に、この具体的な制度の案をお示しさせていただきたいと思っております。
続いて、37ページ目からは、初等中等教育段階での人材育成になりますが、ここはさっとご説明します。
38ページ目です。次世代人材育成ということで、大学において高度の研究環境を小中高の児童生徒に対して提供するという事業としてSTELLAの事業をやっていますが、こちらについては実施拠点の拡大を進めるであるとか、スーパーサイエンスハイスクールについては、現在、230校に対して一律的に750万円の支援というのをやっていますが、制度創設から23年が経過したということもあり、一定の類型を設けた上で支援内容に差をつけるということを今後考えたいと思っております。
39ページ目のところで制度改正の案を書かせていただいていますが、現行、最大26年の支援というのを全体として20年に短縮をするということと、卒業した後、認定枠に移った後にも、引き続き金銭的な支援を行うということ。それと、真ん中の10年間について、三つの類型に分けた形で支援金額に差を設けるということを今回の制度改正で考えたいと思っております。
41ページ目が類型になっていまして、いわゆる全学的に理数系教育を充実させる学校、研究者・技術者といった高度専門人材の育成を目的とする学校、グローバルに活躍する人材を標榜する学校と、三つ程度類型を設けて、支援の内容に差をつけるということを考えたいと思っています。
44ページ目、45ページ目は、科学技術コミュニケーションになりますので、特に、科学技術コミュニケーションは歴史がありまして、一方通行のアウトリーチから双方向の科学技術コミュニケーション、対話・共創の促進といった形で科学技術基本計画に基づいて推移してきましたが、対話であるとか共創の取組というのをより重視しようということを書かせていただいています。
最後、47ページ目からは、制度・システム改革に関する取組になります。女性であるとか、外国人、産学での人材育成といった辺りは48ページに書いていますが、50ページ目の二つ目の柱、制度・規範に関する取組というのが、最近、特に重要になってきています。いわゆる研究員インテグリティ・研究セキュリティといった、大学における取組であるとか、研究公正、あるいは生命倫理に関する取組、さらにはELSIですね。ELSIについては、基本的に全ての研究者が身につけるべき共通的な規範だと思っていますが、まだ一部にとどまっているということで、これを全般的に広げていくということを今後重点的に進めていきたいというふうに思っているところです。
今、こうした全体的な方向性を議論していまして、最終的には、4月末に取りまとめをさせていただきたいと思っています。先ほどあったように、いろんな委員会の先生たちから御意見をいただいているところですので、ぜひ、こちらでも建設的な御意見をいただけると大変ありがたいと思っております。
駆け足で恐縮です。
【梶田部会長】 どうもありがとうございました。
では、ただいまの説明につきまして、何か、御意見、あるいは御質問などありましたら、お願いいたします。
永田委員、お願いいたします。
【永田委員】 永田です。先ほどお話のあった、SPRINGを含めた博士課程への進学率向上に対する施策についてですけど、おっしゃるとおり、元々の趣旨は、日本人の学生を如何に博士後期課程に進学させるかということに対する事業であるということは承知の上で、恐らく、これから先、それだけでも人が足りない。我々としてみると、海外から人材を連れてくるためにある程度の経済支援策が必要で、大体、僕らが競合する海外の大学では、日本円にして3百から3百数十万円ぐらいを博士課程のときに貰っているわけですね。うちの大学でもそうなんですけど、海外から志望した人で、合格してもうちに来ない学生の一部は、そういう経済的支援はヨーロッパのほうがはるかにいいので、そこに持っていかれちゃう。これは長谷部さんも経験されていると思うんですけど。そういう意味で、日本人学生を博士後期に進学させるための事業であるということだけではなくて、これから先、人材をどこから確保するかということを含めて設計をしたときに、今、やろうとしている方向がいいかどうかという議論はあると思うんです。そこはちょっと頭に置いていただければなと思っています。
それから、もう1点は、全体を拝見して、少しこういう要素があったらいいなと思うのは、モビリティなんですね。特に若い連中をいかに動かすかは大事で、一ヶ所にいるときの研究環境をきちんと整備してあげる,ポジションを確保してあげる,これは大事なことなんですけど、彼らは、動き回って初めて、いろんなものが活性化できる。あるいは、違う研究環境を経験したことによって、将来、全く違う領域の仕事ができる。これは大事なことで、多分、現場にいらっしゃる方はそういう感覚を共有していただけると思います。そういうモビリティにどうやってインセンティブを与えるかということを一緒に突っ込んでおかないと、一つのところにずっといて、決していいことはないと思っています。この2点を少し施策に入れ込んでいただけるといいなと思っています。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
長谷部委員、お願いします。
【長谷部委員】 永田先生の最初の論点と似ているのですけれども、永田先生は、大学院生、優秀な外国人の大学院生の獲得ということだったのですが、うちの研究室、歴史的にずっと外国人の留学生が半分ぐらいいたのですけれども、すごい優秀な子たちで、一生懸命教えて、すごく優秀になって、日本で得た知識等をみんな外国に持っていって、外国でみんな偉い先生になって、いい研究者になっていて、日本が随分損していると言うとちょっとせこい感じがしますが、今、日本で育った外国人の留学生だとかポスドクが日本に定着していくキャリアパスというのがすごく難しくて、日本にいたいという子たちは結構いるんですけれども、なかなか定着できないんですね。そういう施策が何かあると、これから、日本で育った外国人留学生が日本でそのまま研究を続けられるし、また、教えていくと外国人の数も増えていくと思うんですね。今、優秀な外国人を採る、エスタブリッシュした人を採るというシステムはいろんなところでやっていますけど、若い人が日本に残ってもらうシステムというのは何か考えたらいいんじゃないかなと思います。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
続いて、河原林委員、お願いします。
【河原林委員】 河原林でございます。どうもありがとうございました。
私が関わっているものから3つほどで、一つは、若手研究者、特にアカデミアの研究者なんですけど、私みたいに情報にいると、アカデミアを出たほうが給料を倍稼げるわけです。正直、給料の話はここの中ではタブーなのかもしれないけれども、タブーにしないほうがいいと思うんですね。2倍、3倍だったら、行くなという言い方すらできないわけで、向こう行きますよ。それに関しては、私はJSTのBOOSTのPOをやっていて、そこでは、いわゆるクロアポはさせるけど、給料は上げるという政策で、これは多分、文科省としては結構画期的だなと思うんですが、そこで給与が上がることに対して、若手研究者に聞いてみると、研究環境が改善というところまではいかないけれども、給与が上がるとモチベーションはめちゃくちゃ上がると言っているので、そういうところでモチベーションが上がるということは、ぜひこれからもいろいろ考えて、これを全分野に広げるとかっていうのをやってほしいと思っているのが一つ目。
二つ目は、先ほど研究者以外のパスに関して話がありましたけど、NIIもずっとそういうことをやって、例えば、SINETの技術者だとか、そういうこともやっていましたし、それ以外にも、今度、知識基盤だとか、データ基盤だとかつくると、研究者じゃない方々が大量にコミットしなきゃいけないときに、そういう人たちのキャリアパスをつくってあげるということをぜひ考えてほしいですね。先ほどの話にもつながりますけど、この人たちって、正直、民間へ行ったらもっと稼げちゃう人たちが多いです。そうじゃないような形にするためには、研究者と同等か、それ以上にしないと、いい人は恐らく来ないですね。そういうことを含めて、ちゃんと考えてほしいということがある。
最終的には、私は、情報科学の達人というぐらいの、高校時代のトップクラスの人たち、特に、情報オリンピックとか、そういう人たちと研究者を結びつけるということをやっているのですけど、そこで見て感じたのは、そういうジュニア人材の育成って、すごい手間がかかるのです。お金以上に手間がかかるということなので、手間がかかるというところを評価して、できれば長期スパンでのサポートというのをたくさんやっていただきたいと思うのと、ここでもやっぱり問題なっているのは高大接続ですね。高校はいいけど、大学、どこへ行っちゃうか分からないとかということになってしまうと困るのは僕らなので、そういうところの問題もちょっと考えていただくといいかなと思います。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
では、荒砂委員、お願いいたします。
【荒砂委員】 PI人件費というのは大学にとって研究者を確保しておくためにすごく必要な施策であると思っておりますが、一方で、なかなか進まない、広がらないみたいなことが資料のほうに書いてありまして、それはどういったところが課題となっているのかということをお聞きしたいと思いました。大学のほうの問題なのか、ファンドのほうの、もう少し拡大したいというところが追いついていないのかというところを。
あと、河原林先生からもありましたが、研究者以外の人材のところで、技術職員さんとかでも、例えば、地方のほうに行きますと優れた技術を持った方とかは企業との取り合いとかになって大学から出ていってしまうということもあって、もちろん技術職員の中の待遇改善というのはあるのですけれども、PI人件費などの資金がプロジェクトで雇用されたエンジニアに付与されるとか、彼らのサラリーが少し上がるようなこともしていかないと、大学で確保していくということがなかなか難しくなっている状況もあるかなあというふうに思います。
もう一個は、私、URAなので、URAの立場で研究開発マネジメント人材というところを、現場の立場でコメントさせていただくと、いろんなところでURAというキーワードを出していただいて、すごくありがたい一方で、求められている仕事というのが、業務が非常に多様化かつ高度化してきていて、どうやってそういったURAを育成していくのかというところは、すごく難しいというか、重要だなあと思っています。文部科学省のほうからも、研究開発マネジメント人材の体制整備というところで、もう一つ、研修のほうの提供もしていただいているところでありがたいのですが、博士人材をURAに雇用して、そして優れた人材に育成していくというところは、かなり重層的な支援がないと難しいんじゃないかなと思っておりまして、これはコメントですが、引き続きいろいろと施策を御検討いただいて、我々をずっとプッシュしていただけるとうれしいです。ありがとうございます。
【梶田部会長】 何かありますか。
よろしいですか。
【奥人材政策課長】 後でまとめて。
【梶田部会長】 分かりました。
では、山田委員、お願いいたします。
【山田委員】 ありがとうございます。これだけ緻密な検討の上、まとめていただきまして、まず、敬意を表したいと思います。これだけ立派な方向性が打ち出されていて、それに対して、言葉が過ぎるかもしれませんけど、物足りないということを二つ、恐縮ながら申し上げたいと思います。
その前に、科学技術政策イコール人材育成であるということに対して、私、すごく共鳴して、まさに、科学力にしろ、技術力にしろ、無味乾燥なものではなくて、結局は人に宿ると思いますので、そのお考えというのは非常に心強く思います。
その上でということですが、まず、一つ目は、6ページ目の多様な科学技術人材の育成・活躍促進というところの左側、優れた研究者の育成・活躍促進ということで、人材育成について政策を細かく語られる中で、人材育成というのは結局、いかにすごい研究環境に身を置くかということが第一義的に大事だと、私は思っています。そういう点で(4)の組織・機関における研究環境整備がそれに当たると思うのですが、これは(1)(2)(3)(4)の最後の(4)にあって、しかも一番下の先端研究施設等々のところはハイライトもしてないということに対して、申し訳ございませんが、ちょっと物足りないなというのを感じた次第です。もちろん、人材育成のことを強調されるとこういうバランスになるというのは理解するところです。
もう一つは、ここで語られることが、私の感じとしては、個人の能力を伸ばすということにちょっと偏っていないかという懸念があります。個人の能力を伸ばすということはまさに必要条件なんですけども、それの足し算が日本としての科学力・技術力になるかというのは十分条件ではないというところを考えていただきたいなということです。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
では、大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】 大竹でございます。どうもありがとうございます。
2点申し上げようと思っていて、1点目は、河原林委員がおっしゃっていた高大連携は、私も大事だなというふうに思っていました。SSHの話もいただいている中で、これから女性も含めてトップの人が理工系に行くようになど、高大連携というところに力を貸していただけると、さらにありがたいなというふうに思っています。これはお願いということになります。
もう1点は、人材育成の文脈だと思いますけれども、重点領域にマッチングファンドのような形で新しい研究支援というのをつくったらどうかという御提案もあったかなあというふうに思っていて、それ自身は一つの考え方として大事だと思う中で、基礎研究、特に基礎研究者を育てるという育成の観点からいくと、科研費(科学研究費)の重要さというのは依然失われていないものだと思うので、科研費が減るような格好は避けていただけるといいのかなというふうに感じた次第であります。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
小関委員、お願いします。
【小関委員】 どうもありがとうございます。
人材ということに関して様々な施策を検討しておられるということに敬意を表するとともに、非常に頼もしく感じております。ここで特に申し上げたいのは、技術職員の役割が非常に重要だということです。研究者、URAと共に、技術職員の育成や処遇を含む環境整備がとても重要だと感じています。今まで大学共同利用機関や大学の附置研におりまして、その中で非常に優秀な技術職員が活躍する現場を見てきましたが、一方で、日本の大学全体を広く見渡すと、技術職員が十分に活躍できているかというと、大学や研究所によって違いますけど、改善の余地があると感じております。
22ページを拝見すると、技術職員に関する人事制度のガイドラインを整備したいとあり、それはとても重要なことだと思いますが、技術職員の果たしている役割や、その能力をきちんと評価するのは意外と難しいです。粒子加速器の分野で言うと、エレクトロニクスとか、コンピューティングに高い技能を持って活躍する技術職員は大勢いますが、一方で、例えば、大規模な施設を建設するときには、大電力のケーブリングとか、冷却水配管の引き回しとか、膨大な物量をどのようにさばいて、どのように合理的に納めていくかということを適切に設計し実現していく能力も極めて重要で、そのような能力がきちんと評価されることも、技術職員の人たちをエンカレッジして育てていくために必要だと思います。そういう意味では、技術職員の評価基準にはかなりの多様性が求められるということをぜひ御考慮いただきたいと思います。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
中野委員、お願いします。
【中野委員】 私は、さまざまな政策の中で最も重要なのは、若手研究者に対して安定的なポストを確保するということだと考えています。この点について、競争的研究費や外部資金等の活用による新たなポスト確保が挙げられていますが、これは財源を多様化することで、任期のないポストを増やしていくというお考えでしょうか。うなずいていらっしゃるので、そのように理解しますが、それを可能にするためには、どのような手段があるのか、例えば、制度改革であるのか、あるいは制度自体はすでに整っているが、それを積極的に実行できるように周知していくべきということなのか、その点についてご見解をお聞かせください。
【梶田部会長】 質問を進めて、最後にということでよろしいですかね。
では、柳川委員、お願いいたします。
【柳川委員】 ありがとうございます。
かなり多様な側面から、人材育成、人材の在り方が書かれていて、充実したものになっていると思うのですけれど、今のお話にもちょっとあったのですが、あるべき人材像とか人材育成像と、人材育成政策の在り方とは違うと思うのですね。そこを少し区別して見せていただけると、政策として何が必要なのかというのが見えてくるかな。
政策として何が見えてくるかなということを考えるときには、今までの政策は、何がうまくいかなくて、何がうまくいったのかというところは見ていく必要があるのだと思うんですね。人材が大事だという政策は恐らく今までもなされていて、今回のものはそれと何が違うのか。なぜ違うのか。一緒だったら、同じことをなぜ言わなければいけないのか。違うのだったら、それは、時代が変わったからなのか、技術が変わったからなのか。その辺りを少し整理していただいたほうが、今回、なぜこれが必要で、政策としてなぜここが特に強調されるべきなのかということが見えてくるのかなと思います。できることなら、政府全体としてはEBPMということを言っているので、今から全てやるのは難しいと思いますが、こういうことを目的にしたけど、ここはできなかったと。今回はこれをやることでそれを改善できるというようなところを少しエビデンスに基づいて付加していただけると、より説得力のあるものになるかなと思います。
私からは、以上でございます。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
木部委員、お願いいたします。
【木部委員】 どうもありがとうございます。多様な問題をまとめてくださっていると思います。
たくさん意見が出ましたので重複するかもしれませんが、私からは二つ申し上げます。一つ目は、永田委員がおっしゃった、モビリティの問題。研究者の移動と交流の問題ですね。これは研究環境の改善とも関係すると思います。移動することによって、新しい環境に移る、そのことで、何か新しい刺激を受けていく。このような、研究者が交流するようなことをもう少し具体的に書いていただけるといいと思います。現在は、クロスアポイントメント制度により大学の教員同士は交流をやっていますけれども、流動性という意味では、企業との流動性も重要です。このことは48ページに書かれていますが、一度、企業に就職した人が、また大学に戻って博士号を取ることができるとか、そういう制度がもう少し定着すればいいと思います。
もう一つは、女性の登用です。ダイバーシティが段々定着してきて、若いときは女性研究者も結構多いと思うのですが、中年ぐらいになると、女性研究者の割合がなかなか増えない、上に上がっていかないという状況が、私たちの学会でもあります。それはなぜかといつも思っています。一つは、私は女性の問題は男性の問題であるという視点でこの問題を考える必要があると思います。家庭的に、男性の支援がないと女性は仕事を続けていけない。したがって、女性の問題は男性の問題だという視点でこの問題を考えていただきたいと思います。それから、出産と育児の問題。育児は男性の問題でもあると思いますが、出産は女性特有の問題なので、今の評価制度だと、どうしても出産の世代の女性に評価の上で精神的な負担がかかってしまう。頑張り過ぎないといけないという状況になってしまう。もう少し女性にも優しい長期的な評価制度を考える必要があるのではないかと思います。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
では、最後に、飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】 ありがとうございます。島津製作所、飯田でございます。2点、手短に申したいと思います。
人材に関しまして、非常に網羅的にまとめていただきまして、また、御説明いただきまして、ありがとうございました。アカデミアと産業界ですとか、研究者と事業者の人材の流動化みたいなことも、今、お話が出ていまして、非常に関心のあるところですが、特に、研究者、技術者、研究支援人材ごとに、5ページ、6ページ、それから、先ほど出ました21ページ、22ページ辺りにまとめていただき、論点を整理いただきまして、アクションもお示しいただいていますが、現実的に、これを進めていただこうとしますと、財源もあることですので、優先順位づけになると思います。これからの議論というところはあるかと思いますが、スケジュールやマイルストーン、その辺りをぜひ、議論まとめられて、それ以降になるかと思いますが、お示しいただけたらなと思いました。
それから、2点目はSPRINGのことです。私自身も大阪大学で選考等の審査に関わっておりまして、外国人の学生の方に関しまして、最初、議論がありましたが、実際に採択されて、また修了審査をされている学生の方々は、日本で就職したいとはっきり言われている方もいるなど、これから優秀な外国人の人材を採っていくという意味では、このシステムの活用の仕方があるのではないかなと思っておりまして、留学生の日本への定着ということでは、産業界のほうもいろいろとできることはあるかと思いますが、ぜひその辺りも御考慮いただければなと思ったところでございます。
以上です。ありがとうございます。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
では、最後に、文科省のほうから、お願いします。
【奥人材政策課長】 多岐にわたる御意見いただきまして、ありがとうございました。
質問として、二ついただいていると思います。まず、PI人件費が広がらない理由というのと、若手の安定ポストをどのような方策で確保するかということですが、これは双方連動します。まず、PI人件費については、科研費ではPI人件費への支出は認めていません。つまり、今、戦略創造事業であるとか、一部の事業では認めていますが、ほかの制度ではなかなか認められていないという、制度面の問題が一つあります。
もう一つは、大学の側で、あるいは研究者の側で、PI人件費、自分の人件費を出すということは結果として研究費のほうが減ってしまうということで、バーターになっているというところがある種問題になっているというのと、大学のほうとしても、研究者に対して無理強いをしてまでPI人件費で自分の給与を賄ってくださいというところまではなかなか至ってないというところはありますので、ここは、大学の取組と制度面、双方で改善が必要かと思っています。
関連して、若手のポストを増やしていくということが大事で、これは大学における安定財源をいかにして増やしていくのかということに尽きると思っています。なので、いわゆる間接経費を増やすことによって大学の自主財源を増やすということと、PI人件費の幅を広げ、その活用を広げることで結果的に直接経費の中のPI人件費から人の経費が出せるということで、今のいわゆる基盤的経費のところに、ある種、一部、穴が空くというんですか、そこを若手の研究者のほうに回せるような形で、うまい事例ができていかないか。
さらに言えば、大学にとってみれば、間接経費も直接経費も一定程度の財源が毎年必ず入ってくるという見通しがある中で、ある程度、リスクを負って大学のほうで雇用するということも必要なんじゃないかなということも打ち出させていただきたいと思っています。
御意見として幾つかいただいたうち、まず、SPRINGに関してですが、SPRINGは、国会のいろいろな審議もありまして、いわゆる留学生支援政策と混同されて議論されているところがありますが、創設経緯からすると、日本人の優秀なストレートドクターを増やすというところが本来の趣旨でしたので、留学生政策ではないというところです。したがって、いわゆる留学生政策のほうできちんと、海外から優秀な人材、若手の人材を確保するということは大前提として進めた上で、SPRINGについては、あくまで博士を増やしていく、しかも日本人のストレートドクターを増やしていくという制度にきちんとした形で見直しをすべきなんじゃないか。ただし、そこの場でいわゆる日本人・留学生・社会人は、ある種、研究活動としては同じことをやっているわけで、そこに一定程度の支援ができないかということは考えたいと思っています。これは、制度の見直しはこれからですので、月末までに、ある程度、一定の方向性を示した上で、大学の関係者とまた御議論させていただきたいなと思っています。
あと幾つかありますけれども、特に高大接続の問題ですね。これは初等中等教育と大学との間の接続支援、特に優秀な児童生徒の支援というのは非常に大事だと思っています。今でも、STELLAという大学に対する支援事業と、スーパーサイエンスハイスクールであるとか、科学コンテストといった取組を様々進めていますけれども、優秀な児童生徒の方々が理工系にきちんと進学できるような環境整備、それも女子生徒は理工系に進まないという保護者のバイアスがかからないような形で、うまい取組ができないかなあというふうに思っているところです。
また、専門人材として技術職員であるとかURAの方々についてもお話いただきましたが、技術職員、URAが、きちんと大学の中で評価をされ、処遇され、キャリアアップができるような形で制度をきちんと徹底するということが大事だと思っています。我々、技術職員も、研発マネジメント人材も、今回、新しくガイドラインを示させていただくことにしています。こうしたものを競争的資金で機関を採択するときの要件として課すみたいなことをすることによって、できるだけ広い大学で取組が進むように促していきたいというふうに思っています。特に研発マネジメントについては、今回、我々として新規事業を創設させていただきました。まず、マスを増やすということも大事ですので、研修を通じた、しかもOJTを通じた人材育成というところと、あと、博士を出た人の多様なキャリアパスの一環としてそういう道筋をつくっていくということも、並行して考えさせていただきたいなと思っているところです。
環境整備が大事である一方で先端選択研究施設がハイライトされてないという御指摘をいただきましたが、後ろのほうの資料ではきちんと環境整備が大事だと書いているのと、あと、三つの基本方針の三つ目で、大学の組織であるとか機関の役割が非常に大事だということを書かせていただいているので、全体を通じた思想として、それをきちんと徹底させていただきたいなというふうに思っているところです。
あと、EBPM等々のお話がありましたが、今回の取りまとめの中では、必ずしもいつまでに何をやるという、時限を切ってないというところがあります。最終まとめに向けて、いつまでに何をやるというところをもう少し具体化して、予算も絡んできますので、予算の状況も見ながら、ある種、年限をもう少し明確にするような形で最終的に取りまとめをしたいと思っております。
抜けがあるかもしれませんが、以上です。
【梶田部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました他の審議会のまとめも踏まえまして、研究環境基盤部会の意見のまとめに向けた議論をしていきたいと思います。
事務局より、説明をお願いいたします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 それでは、説明させていただきます。
資料3―1、全体通し番号の71ページを御覧いただければと思います。前回は「これまでの意見等の整理」として諮らせていただきましたが、そこでの御意見を踏まえ、今般「意見等のまとめ」を作成させていただきました。特に、前回頂いた御意見として、全体の構成に関するもの、自動化/自律化という言葉が前に出過ぎているのではないかというもの、人材育成に関する既述の充実に関するものなどの御指摘を頂いてございます。
では、本文を説明させていただきます。まず、最初の経緯については大きくは変えてございませんが、少し簡素化を図らせていただきました。来期から始まる「第7期科学技術・イノベーション基本計画」の検討の中で、文部科学省の認識といたしまして、二つ目の丸でございますけれども、多様で豊富な「知」を生み出すエコシステムを活性化させることが、主として取り組むべき喫緊の課題との認識がなされていること。また、三つ目の丸で、別添として、具体的な検討事項といたしまして、4月に御説明をいたしましたポンチ絵をつけさせていただいてございます。そして、四つ目の丸で、当部会の検討事項として、新たな科学研究の在り方に変革をもたらす方策について検討したことを記載させていただいてございます。
そして、次ですが、前回はここから諸外国の状況を書かせていただいておりましたが、「AI時代にふさわしい科学研究の姿」というふうに銘打たせていただき、大きな観点から書かせていただいてございます。
まず、一つ目の丸でございますけれども、2行目辺りからでございますが、研究者個々人が持つポテンシャルと、大学、共同利用・共同研究拠点、大学共同利用機関をはじめとして、大型先端共用施設、国研等が有するポテンシャルを相乗的に最大限引き出して、日本全体の研究の質・量を最大化するよう取組ことが重要であるということを書かせていただいた上で、その取組の一つとして、72ページの一つ目の丸に、「基盤となる研究環境の高度化・高効率化を図っていくことが必要である」といたしまして、諸外国の状況ですとか、二つ目の丸で、日本における、特定の分野等における、先行的な事例をについて触れさせていただいているところでございます。そして、三つ目の丸で、研究環境の高度化・高効率化を図る意義に触れさせていただいてございまして、研究者がより創造的な活動に従事することが可能になるということですとか、研究から得られるデータを活用した科学研究の変革、そして、その科学研究の進め方や在り方を変えていくというところについて、記載をさせていただいてございます。四つ目の丸で、「この実現に向けては」ということで、ここは前回御指摘いただいたところでもございますが、単に、研究設備の集積化、自動化/自律化、遠隔化等のみを行えばいいというものではなくて、科学研究の進め方、ひいては科学研究の在り方そのものを変革するというマインドが根づくことが重要であると。そして、変革の原動力となり得る組織や機関等が一体となって拠点やネットワークを形成して、このような科学研究の姿の実現に向け取り組んでいくことが必要であるということを書かせていただきました。
次に、どのような方向性で取り組んでいく必要があるかということで、「AI時代にふさわしい科学研究の革新に向けた取組の方向性」といたしまして、73ページからですけども、五つ挙げさせていただいてございます。マル1の一つ上の丸のところでございますが、ここも前回御指摘いただいた箇所ではございますけれども、「なお、これらの取組は、将来像を描きつつ、最も効果的と考えられる実施機関や研究分野から着手をし、経営的な視点も重視しながら段階的に取り組んでいくことに留意すべきである」と書かせていただいた上で、五つの取組の記載をさせていただきました。
まず、マル1でございますが、「大規模集積研究基盤の整備」といたしまして、一つ目の丸で「中核となる研究装置を核として、先端設備群や既存の設備・機器を含め連する設備・機器を、段階的に整備・集積しつつ、ワンストップでシームレスに統合された研究環境を構築していくこと」と記載いたしまして、二つ目と三つ目の丸でございますけれども、これらの整備される機器につきましては、最も効果が最大化されるということをしっかり念頭に置いた上で、自動化/自律化、遠隔化を図っていくことが重要であるということを書かせていただいてございます。また、その際に、三つ目の丸の中で、こちらも前回御指摘をいただきましたが、標準化されたインターフェース等の整備も行うことが重要であることにも触れさせていただいてございます。
マル2でございますけれども、こちらで「データの蓄積と、AIとの協働による研究の最適化・新領域の開拓」と書かせていただいてございます。一つ目の丸で、自動/自律化された機器が集積されることで、「蓄積されたデータは、分野の壁を越え、あらゆる科学研究における重要な資源となり得る」と記載いたしまして、その上で、二つ目の丸でございますけれども、このデータの活用によりまして、新たな研究の萌芽を促進し、支えていくような仕組みを構築することも重要であるということを書かせていただいてございます。
74ページのほうに行かせていただきまして、一つ目の丸で、AI for Scienceの可能性を最大限引き出すことや、二つ目の丸で、こちらは先ほど御説明いただきましたが、次世代の科学技術・イノベーションを支える情報基盤の在り方について、情報委員会のほうでも議論をされてございましたので、そういった中での議論を踏まえた取組を実施していかなければならないというふうにまとめさせていただいてございます。
マル3につきましては、ここも前回多くの御意見を頂戴したところであると認識をしてございますが、「体制の構築と人材育成」でございます。一つ目の丸でございますけれども、まず、新たな科学研究の姿を構築するに当たりましては、当該研究分野の研究者のみではなくて、ソフトウェアやハードウェア、そういったエンジニアの皆様が一体的に検討を行える体制、そして、相互にしっかりと作用し合うような形でこういった姿を構築していくことが必要であるということを触れさせていただいてございます。そして、二つ目の丸から四つ目の丸でございますけれども、実際、この研究環境を動かしていくためには、技術職員ですとか、実験支援の職員の皆様、そして、研究コンサルテーションを行う人材は大前提といたしまして、さらに、「研究や技術の素養を有し、全体を俯瞰的に捉え、統括・マネジメントできる人材の配置や処遇が必要である」といたしまして、その育成やキャリアパス等の確立の必要性について、記載をさせていただいてございます。特に、先ほど御報告いただきました人材委員会における議論とも軌を一にした取組というものをしっかりしていかなければならないということを、マル3の四つ目の丸の中では触れさせていただいているところでございます。そして、五つ目の丸の「さらに」というところでございますけれども、この新たな科学研究の姿を教育資源と捉えていくことが必要であるというふうに書かせていただいてございまして、75ページのほうに行かせていただきますが、「自身の研究分野に加えてAI・データサイエンスの素養を有する人材等、新たな科学研究の姿を牽引できる人材の育成を図っていくという観点から、大学等と連携し実践的な人材育成を行える仕組を構築することが必要である」と、加えさせていただいてございます。また、こういった取組は、当初は多分、特定の分野から段階的に始めていくということになろうかと思いますけれども、新たな科学研究の姿というものが将来的にはもう少し幅広い分野にも広がるという可能性も見据えた上で、この人材育成も取り組んでいくことが必要であることも、触れさせていただいてございます。
マル4、「産業界との協働」でございますけれども、「知」の拠点で得られた「新しいモノ」が社会実装されてイノベーションを創出して、社会を変革する力となっていくためには、理化学機器産業ですとか、ロボット産業をはじめとする産業界とも協働していくことが重要であるということを記載させていただいてございます。
マル5のほうで、「国際頭脳循環の促進」と打たせていただいて、これまで御説明させていただきましたマル1からマル4の取組を進めていくに当たりましては、「我が国の強みを活かしたオリジナルのあり方で取り組むことで、世界の研究者を惹きつけ、国際頭脳循環のハブの一つとなり、主導していくことを視野に入れ、取り組むことが重要である」というふうに触れさせていただいてございます。
そして、最後に、「取組の具体化に向けて」というところで示させていただいてございますけれども、まず、一つ目の丸でございますが、今まで申し上げたような、「AI時代にふさわしい科学研究の姿を実現するためには、組織として大規模な設備・機器や人的資源等の基盤を有し、科学研究の変革の原動力となることが求められる」というふうなところから始めさせていただいてございます。そして、その後に、二つ目の丸、三つ目の丸で、現在、大学共同利用機関が有している、人的・物的ポテンシャルについて、触れさせていただいているところでございます。
次、76ページに行かせていただいて、一つ目の丸の3行目辺りからでございますが、「大学共同利用機関が、既に有しているポテンシャルを活かし、分野や組織の枠を超えた多様なユーザーに対して、新たな共同利用の環境を構築・提供することは、我が国の科学研究の進め方そのものに変革をもたらす原動力となる」ということを記載いたしまして、三つ目の丸の上から5行目の辺りでございますけれども、「大学共同利用機関は、こうしたAI時代にふさわしい科学研究の姿を実現するための拠点やネットワーク形成の中心的機関の一つとして期待される」という言葉も入れさせていただいてございます。そして、五つ目の丸でございますけれども、「なお」といたしまして、大学共同利用機関が拠点の一つとして、新たな科学研究の姿を実現するには、特定の大学共同利用機関のみにおいて行えるものではないということでございますので、大学共同利用機関法人のリーダーシップの下で、大学共同利用機関間、大学共同利用機関同士における役割分担や連携も促進しつつ、また、その他の共同利用・共同研究拠点ですとか、その他の様々な機関や組織と協力をして、オールジャパンの研究推進体制を構築して取り組んでいくことが必要であるということを、留意ということも含めまして、最後に示させていただいてございます。
そして、最後に、資料3―2で参考資料というものをつけさせていただいてございます。そちらの全体通し番号で107ページを御覧いただければと思いますけれども、こちらは政府の政策文書の記載を抜粋させていただいた資料でございます。6月13日に、いわゆる「骨太の方針」をはじめといたしまして、新資本ですとか、108ページをおめくりいただきますと、地方創生の関係の幾つかの政策文書が閣議決定されましたが、その中で、青字にしているところがございますけれども、今般の議論を踏まえたような文言が記載をされたところでございます。これも、4月以降、これまで先生方に御審議をいただいてきたことも大きくあろうかと思いまして、この場をお借りしまして感謝を申し上げたいと思います。本当に、どうもありがとうございます。4月から駆け足で進めさせてきていただいておりますけれども、この「意見等のまとめ」自体は大きな方向性を出しますということを主眼に作成しておりますが、委員の先生方から様々な御意見を頂戴してございますので、政策文書も踏まえつつ今後、取組を具体化していく中で、また、取組を進めていく中で、先生方の御意見を踏まえて進めてまいりたいと思ってございます。
事務局からの説明は、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
それでは、本日は、資料3の意見のまとめ(案)に沿って、大規模集積研究基盤の整備について、意見のまとめの御議論をいただければと思っております。
なお、より詳細の内容については、今後、予算編成過程の中で事務局のほうで検討していくこととなりますので、資料の本文に関わらず、今後の取組に対する期待や留意点というような観点からの御意見等でも結構ですので、お願いいたします。いかがでしょうか。
では、小泉先生、お願いいたします。
【小泉先生】 オブザーバーですが、コメントしてもよろしいでしょうか。
【梶田部会長】 お願いします。
【小泉先生】 丁寧にまとめていただいて、ありがとうございます。また、先ほど奥課長からかなり丁寧に、研究開発マネジメント人材、技術職員の話をしていただきまして、今回、この研究環境基盤部会で話されていることがかなりリンクするなと思っていたところです。
その観点で、75ページ目の一番下のところで、これは私の発言のところから取っていただいたと思うんですけれども、ぜひこの中に「研究開発マネジメント人材」という言葉も入れていただければと思いました。75ページの一番下の丸ですね。「特に人的資源については、研究者のみならず、技術職員をはじめとする研究支援者」云々とありますが、こういった先端的な技術開発からコンサルティングも含めた設備の運用支援まで、広い意味で研究開発マネジメント人材がかなり重要な役割を果たしておりますので、ぜひこの丸の中に「研究開発マネジメント人材」という言葉を入れていただけると、人材政策課で議論してきたことも大きく生きるかなと思っております。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
中野委員、お願いいたします。
【中野委員】 どうもありがとうございます。今さらという感じはしますが、「AI時代にふさわしい科学研究の革新」という表現は、受け手によってさまざまな印象を与える可能性があり、やや後追い的な印象を与えるかも知れません。今からタイトルを変更するのは難しいと思いますので、「AI時代にふさわしい科学研究の革新」というのは具体的に何を意味しているのかを丁寧に説明されたほうがよいのではないかと思います。内容をすべて読めば、これはAIの可能性を最大限に生かす、あるいはその可能性を引き出す科学研究の革新であると理解できますが、その点はどこかで明確に説明していただければと思います。
もう1点は、このような自動化・集積化という新しい方向に進む際に、日本の強みがあると感じています。これは同時に弱みでもあるのですが、日本では研究者が現場で技術開発にも携わっているというのは、大きな強みです。一般的に、自動化・集積化と行った場合は、既存の装置や機器をそのまま自動化・集積化するという印象を持たれがちですが、日本では、それらをさらに高度化し、常によりよいものへと改良していく能力があります。こうした強みについても、どこかで補足していただければと存じます。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
今の段階で何かありましたら、文科省のほうから御発言ください。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 いずれも先生の御指摘の通りと認識してございます。本日は案ということで、この後、最終版としてまとめていきたいと思いますので、その中で御指摘を踏まえる形で修正をさせていただきたいと思います。
また、私自身もこのまとめをもって、結局何が必要、重要なのかということを外に説明していく際にも、しっかりメッセージとして伝わるような形で工夫して、取り組んでいきたいと思います。
ありがとうございます。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
河原林委員のほうから、お願いいたします。
【河原林委員】 間違えていたら皆さんに訂正いただきたいのですけど、私が知る限り、大学共同利用の研究所みたいなものは世界各地にあるような気がしますが、大学共同利用機関という組織というのは、あんまり海外で見たことないような気がします。それ自体が多分この国のアセットなんだろうなあという気がしていて、それをどう強くしていくかというのが今回の議論の主眼になっていたと思うのですが、そういうところというのを強調していただいて、かつ、その強みというのを生かすという方法をもうちょっと、ここで書く必要があるのかどうかは分からないですけど、その辺のところのニュアンスをぜひ出していただきたいと思っています。特に、マル1とか、マル2とか、マル3とかは、多分、大学共同利用機関が中心になってやるところだと思うので、そういうところが分かりやすくなってくれているとうれしいなあと思っています。特に、今回のAI時代であったりというところは、海外とかだったら1個の機関でできてしまうところが、日本はもはやそれはできないということで、基本的には日本全国で、計算基盤であり、データ基盤であり、実施基盤であり、全部シェアしなきゃ駄目だと思います。そういうものをシェアしながら、日本の研究というのを世界に遅れを取らないようにやると。今までの伝統的なところと、今のAI時代に即した、データ時代に即したものを組み合わせていくということをやっていく必要があると思いますので、ぜひ、大学共同利用機関というものの強さというのを、日本が持っているアセットを使えるというニュアンスを出してくださればと思います。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
長谷部委員、お願いします。
【長谷部委員】 非常によくまとめていただいて、ありがとうございます。
76ページの最後のところですが、共同利用機関のリーダーシップの下で、共・共拠点だとか大学を統合してオールジャパンの研究体制をつくるというところは、学際ハブを意識したようなことなのかなと思い、この体制はあったらいいなと思うんですが、実際、大学共同利用機関にいて、共・共拠点だとか大学と連携していくことを僕らはあんまり意識してないです。学際ハブのプログラムができて、ボトムアップ的にそういうことをしようという意識は芽生えているのですが、トップダウンでオールジャパンにできるような仕組みというのがあると、そこがエンハンスできるのかなと思います。特に構成員の人たちはあんまりそういう意識はないと思うので、そこを意識改革できるといいのかなと思いました。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
永田委員、お願いします。
【永田委員】 大変よくまとまっていると思って拝見しているのですが、河原林先生がおっしゃった、大学共同利用機関というのは日本のアセットだと。これはそのとおりだと思っていて、大学共同利用機関というものをつくって、大学独自ではできないこと、あるいは一つ研究機関ではできない研究を促進するというのは、日本独自の仕組みだと思います。ただ、少し注意しなきゃいけないのは、そう考えたときに、大学共同利用機関は全ての領域をカバーしている訳ではないのです。だから、アセットとして見たときに、例えば社会科学系の大学共同利用機関はないので、そういうことを考えると、いろんなものを組み合わせていかないと、相対的に強くならない。その仕組みをどこかで作っていかなきゃいけなくて、その相手は共・共拠点なのか、あるいは大学なのかは分からないですけど、大学共同利用機関というアセットを核にしながら、どうやって連携を広げていくかという方向性がもうちょっとあってもいいかなと、今の御発言を聞いて思いました。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
今までの御意見について、何か文科省のほうからありましたら、お願いします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 河原林先生からいただいた、大学利用機関はというところの話に関しては、75ページの「取組の具体化に向けて」において、大学共同利用機関が有しているポテンシャルについて記載していますので、その中で書き方を工夫してみたいと思います。
関連して、永田委員の御指摘もどこまで広げていくかというところに関しては重要な点であろうかなというふうに感じております。この報告書の中で申し上げますと、73ページのマル1に入る前の白丸のところですが、今般の取組はなじむ分野となじまない分野というのがあるのではないかと思っていまして、まずは、最も効果的な分野、最短で効果が見えやすい分野において、着手するのかなと考えているところでございます。その後、どういうふうに段階的に広げていけるかということにつきましては、今の永田委員の御指摘も踏まえまして、私どものほうで今後詰めていく中で、意識して検討を進めていきたいと思ってございます。
また、長谷部先生の、普段連携がないというところにつきましては、今般は、こういった取組をするには、オール大学共同利用機関と、その他の拠点や機関を含めて取り組んでいかなければ実りあるものにはならないだろうという思いでおります。私どもからしっかり謳っていきたいと思っておりますし、76ページの最後のところでも、大学共同利用機関法人のリーダーシップということも書かせていただいておりますが、法人の方ともしっかり連携をしながら、どういう形でオールジャパンの体制を構築していけるのかについて意見交換などしていきたいと考えています。
以上でございます。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
では、続いて、柳川委員お願いいたします。
【柳川委員】 私、ここまでのところ、ずっと参加できてなかったので、皆さんのすばらしい御議論がこういう形でまとめられているので、内容に関しては改めて申し上げるものもないのですけれど、今後の期待をということも座長から御提案いただきましたので、少し、今後についてということで、意見というか、コメントを申し上げます。
今、御議論があったこととかなり関係するんですけれど、シェアしたり、共同利用したりということは、日本のすばらしい知恵だし、こういうアセットうまく使っていくことは大事だと思うんです。ただ、例えば、施設を共同利用しますといって施設を一つにまとめても、あるいは共同利用してくださいという制度をつくっても、それをどのようにやっていくかという、具体的なマネジメントのやり方であるとか、高度化するための仕掛けであるとか、こういうものが見えてこないと、共同利用って、うまくいくようで、うまくいかないという感じになってくると思うんですね。これは、この分野だけに限らず、いろんなところで見られるところだと思いますので、苦しくなった会社が合併をして、三つ四つ一緒になるとうまくいきそうに見えるんですけど、そう簡単にいくものではないんだと思うので、皆さんがおっしゃったような、ある種のマネジメントをどうするかとか、あるいはリーダーシップをどうやってつくれるようにしていくかとか、これを制度でがちがちにやってもなかなか難しいんじゃないかと思うので、基本的には、人材育成の話がありましたが、人材育成というよりは、実際はそれができる人がしっかりマネジメントしてつくり上げていくんだろうと思うんですけど、ただ、それをサポートするための制度もないとなかなか難しいのも事実だと思うので、この辺りのマネジメントと制度のサポートみたいなことが、この次のステップとしてはすごく重要になってくるのかなあというふうに思っております。
私からは、以上でございます。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
飯田委員のほうから、お願いいたします。
【飯田委員】 島津製作所の飯田でございます。ありがとうございます。
取りまとめのほう、非常にきれいにまとめていただきまして、また、丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。
今まで議論されたとおりで、付け加えること等はないのですが、73ページのマル2でございますが、「データの蓄積と、AIとの協働による研究の最適化・新領域の開拓」のところも、全く書かれているとおりだと思います。二つ目の丸の「研究の過程から得られたデータの保存・管理、流通、活用」の部分ですが、これを取り組まれる情報人材といいますか、これを進めていかれる人材も非常に重要で、そういう人材は、海外企業、GAFAとかでありますけれども、今のところ取り合いになっていますので、確保等もなかなか難しいと思いますので、もちろん、いろいろ御検討いただいているところだと思いますが、ぜひ、優秀な方が一緒にやろうと思っていただけるような制度といいますか、事業といいますか、お考えいただけるとありがたいなと思っておりました。
以上になります。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
では、今の段階で、また文科省のほうから何かありましたら、お願いいたします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 ありがとうございます。
柳川先生がおっしゃっていただいたことは、おっしゃるとおりだと認識してございまして、今回、自動化/自律化されたものをはじめとして、設備・整備の集積と書かせていただいていますが、集めるだけではワークしないというところはしっかり認識して取り組んでいかなければならないと思ってございます。実りあるものにしていくために、体制の整備や人材育成に関ても、一体的にパッケージで取り組んでいかなければならないと思っているところでございます。
飯田委員の御指摘に関しましては、従前の部会の中でも御意見いただいていた御指摘でもあったかとい認識してございます。今、それに対しての明確な解を持ち合わせてはおらないので恐縮でございますけれども、問題として認識して、こういった研究の姿というのが実現される中で、じゃあどのようにそういった人材を確保していけるのかということも併せて、しっかり考えていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
【飯田委員】 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
ほかに何か、御意見ございますでしょうか。
大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】 ありがとうございます。内容の話ではなくて恐縮ですけども、これだけまとめていて、一番頭のところに、アブストラクトというか、グランドサマリーというか、それがあるといいかなというふうに感じたので、それだけ最後に申し上げようかなと思って。経緯から入って、最後、結論めいたところというか、今後の方針というのも入っているんですけども、コアになる部分ってこれですよというところは、一番頭のところに書いておくといいかなと思います。
以上です。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 先生、ありがとうございます。この「意見等のまとめ」をご了解いただきましたら、事務局のほうで、全体の概要といいますか、何が大事かというのが分かるものを作らせていただこうと思ってございましたので、世の中の皆様に御理解いただけるような形で示していけるようなものを作りたいと思ってございます。
以上でございます。
【大竹委員】 ありがとうございます。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
ほかに何か、御意見ございますでしょうか。
よろしいですか。
では、どうもありがとうございました。本日いただきました御意見につきましては、最終的に御意見を踏まえて取りまとめるということとなるかと思いますけども、この点につきましては部会長に一任ということとさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。事務局とよく相談しまして、整理ができ次第、それをまた委員の先生方にお送りさせていただきます。
最後ですが、「大学の枠を超えた研究基盤整備強化・充実プログラム」の採択結果等につきまして、事務局より報告をお願いいたします。
【熊谷大学研究基盤整備課課長補佐】資料4の111ページを御覧ください。
令和5年6月に本部会にお取りまとめいただきました「中規模研究設備の整備等に関する論点整理」を踏まえ、中規模研究設備のうち、最先端の研究設備に関する整備の枠組みとして、令和6年度補正予算で認められた「大学の枠を超えた研究基盤設備強化・充実プログラム」について、このたび公募審査を実施し、今月12日に採択結果を文部科学省ホームページにおいて公表しましたので、その内容について、本日、御報告をいたします。
本事業については、令和6年12月、令和6年度補正予算成立後、本日御出席いただいております、関沢委員、永田委員のほか、本部会の前部会長である観山先生、共同利用・共同研究拠点作業部会の前の主査である井上先生、また、自然科学研究機構の前理事である井本先生で構成する本事業推進委員会を立ち上げ、整備方針等について御議論をいただき、3月中旬より公募を実施しました。1月に本部会において御報告をしましたが、本事業については、予算編成過程の中で支援対象が国公私立大学の国際共同利用・共同研究拠点もしくは共同利用・共同研究拠点に限定をされ、それら105拠点のうち、38.1%に当たる40拠点より申請があり、うち1拠点からは2件の申請がありましたので、申請件数としては合計41件を受け付け、書面審査、合議審査を経て、2件の採択をしました。
112ページを御覧ください。
採択をしましたのは、大阪大学蛋白質研究所より申請があった多対象及び多階層構造解析用の多目的開発電子顕微鏡と、東京大学物性研究所より申請があった先進的超強磁場システムです。
各設備の概要につきましては、113ページ、114ページを御覧いただきたいのですが、委員会として定めた国の整備方針としては、当該研究分野の国内外の研究動向の中で、重要性等を踏まえても整備の必要性があり、高い先進性を有する設備であること、整備することにより共同利用・共同研究拠点あるいは国際共同利用・共同研究拠点等としての機能が格段に向上する設備であること、技術職員等の人材育成への多大な貢献が見込まれる設備であること、企業との共同研究をはじめとする産学連携や製品化・事業化への効果が期待される設備であること等を定め、それらの方針の中でも、本プログラムの採択においては、「先進性」を最も重視したいとの御意見をいただき、そういった観点で本件2件の採択を決めました。なお、結果的に、採択をされたいずれの拠点についても学際領域展開ハブ形成プログラムに採択をされており、そういった観点からの展開というものも見込まれるところです。
事務局からの報告は、以上です。
【梶田部会長】 どうもありがとうございます。
では、ただいまの説明につきまして、御意見や御質問などありましたらば、お願いいたします。
中野委員、お願いいたします。
【中野委員】 どうもありがとうございました。1点だけ、お願い申し上げます。
この制度は、共・共拠点のうち約50%が申請しているということで、非常に期待が大きく、引き続き需要もあると認識しています。今後もこのような制度を継続的に進めていただき、可能であれば当初予算化の方向でご検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【梶田部会長】 ありがとうございます。
ほかに何か、委員のほうから御発言ございますでしょうか。
特にないでしょうか。
そしたら、今の中野委員の御発言につきまして、文部科学省のほうから何かありますでしょうか。
【俵大学研究基盤整備課長】ありがとうございます。全力で本事業の拡充に取り組んでまいります。応援よろしくお願いいたします。
【梶田部会長】 ありがとうございました。
ほかに、何かありますでしょうか。
よろしいですか。
では、どうもありがとうございました。
本日の議事は以上となります。事務局のほうから連絡事項がありましたらば、お願いいたします。
【山村大学研究基盤整備課学術研究調整官】 先生方、ここまでの御議論、多分にしていただきまして、本当にありがとうございました。改めて感謝申し上げます。
次回でございますけれども、また日程調整を改めて事務局からさせていただきたいと思ってございますが、大学共同利用機関の検証というものがございまして、それに向けたガイドライン、どういうふうな形で検証していくかというところの御議論をいただきたいと思ってございますので、その御議論に向けまして、日程調整をして、進めてまいりたいというふうに考えてございます。
事務局からは、以上でございます。
【梶田部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。本日は、どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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